植物リンク(遊戯王OCG)

登録日:2019/11/20 (水曜日) 23:56:59
更新日:2023/12/04 Mon 18:18:38
所要時間:約 5 分で読めます




【植物リンク】は遊戯王OCGにおけるデッキ名称の一つ。
本項目では主に、第10期初頭に活躍していたデッキを解説する。

概要

第10期。

それは新たな召喚方法「リンク召喚」が誕生した期である。

素材となるモンスターを場から墓地に送り、お目当てのリンクモンスターを召喚する。
EXゾーン以外の場所はEXデッキからモンスターを召喚できず、リンクモンスターを先に展開しなくてはいけない。
ルール変更とともに遊戯王のセオリーが大幅に変更され、多くのデッキがリンク召喚の扱いについて模索していた。
最初期こそリンクモンスターが少なかったためEXデッキをあまり使わない【真竜】系列や【ABC】が覇権を握っていたものの、禁止改訂とリンクモンスターの充実により大きく変化をしていく。

リンク召喚を最初に活用したのは【SPYRAL】であった。
この海外で生まれたデッキは、来日後しばらくの間は環境を完全に支配し続ける。「優勝は【SPYRAL】」「上位入賞デッキは全て【SPYRAL】」そんな情報ばかりの日々。
しかしその完全なる覇権も長くは続かない。禁止改訂2月後に発売された「LINK VRAINS PACK」より多くのデッキにパワーカードがもたらされると、一強時代は終わりを迎える。
パワーカードを採用することができたデッキ同士が殴り合う、群雄割拠の時代の始まりであった。
逆に言えばパワーカードが貰えない・入らない・使いこなせないデッキは環境から脱落する厳しい時代でもあった。

その中に、LINK VRAINS PACKの新カードを手に入れて生まれ落ちたデッキがあった。それこそが【植物リンク】である。
カード・アドバンテージ獲得能力に長けた植物族モンスターを中心としたグッドスタッフデッキで、
有り余る展開能力を持って戦うデッキであり、オルターガイストや剛鬼トロイメアと肩を並べ、トップ争いをしていた。


以下、そんな【植物リンク】のキーカードを列挙する。

  • ローンファイア・ブロッサム
デッキから植物族モンスターをリクルートする、植物族の泰斗。
数多の植物族デッキを牽引する存在でもあり、勿論本デッキでも大活躍。
【植物リンク】内の植物族モンスターであれば、一枚の例外を除いてどれも特殊召喚できるので
柔軟に択を選び、対応できる。

百千のデッキで展開補助を担う、植物族の辣腕家。
他のデッキではランク3要因になることが多かったが、このデッキではその傾向はほとんど見られず
ケルビーニなどのリンクモンスターの素材になっている。
コブラの効果は「とりあえず」感覚で簡易融合をサーチすることが多い。

  • ダンディライオン
墓地へ送られれば植物族のトークンを二体特殊召喚する、植物族の雄。
フィールドからはリンク素材にすることで、手札からはにん人やオフリスやワンフォーワンで、
デッキからはケルビーニやマスマティシャンで墓地へ送れるので、万能リンク素材として君臨する。
場と墓地と手札を言ったり来たりする過労死枠でもあった。

  • にん人
手札か場から植物族を墓地へ送ることで自己蘇生する、植物族の王者。
カードアドの枚数こそ変わらないものの、ダンディライオンのような墓地に置きたいカードを送れる上に
ランク4エクシーズ召喚の準備もできる。

  • イービル・ソーン
自身をリリースすることで同名カード二枚をリクルートする、植物族の黒子。
単純に1枚が2枚に増えるのは優秀で、リンク素材の水増しとして活躍している。
その分、手札事故の危険性も高いのだが。

デッキのカードを墓地に送って自己蘇生する、植物族の萌芽。
こちらもリンク素材の水増しと、あわよくばの墓地肥やしを担っていた。
チューナーだが、例によってこのデッキではシンクロモンスターは一体も採用されていない。
後述のハリファイバーとの相性は凶悪なレベル。

デッキから植物族をリクルートするリンクモンスター。植物族の女神。LINK VRAINS PACK出身。
誰がどう見ても危険物でしかないが、ロンファ同様に制限なくリクルートできるのは強力。
自身を出すのに植物族が2体、更にリクルートのコストで1体必要なので刷るのを許された感はある。
ロンファをリクルートするのも定番の流れ。


植物族以外のカード

リンク素材として多くのデッキに出張していたBF随一のインチキ。元々の使用率から考えれば出世したと言えなくもない。
「初動をゴウフウで」「ハリファイバーの特殊召喚用にスチームを」いれるのはこの時期のデッキの「あたりまえ」だった。
本デッキの場合、初動はオフリスやマスマティシャンなどのゴウフウ以外のモンスター1枚でも柔軟に熟せていた点が恐ろしいのだが。
この手の使われ方をしたカードがどうなるかをよく知っている古くからのBF使いはすでに戦々恐々としていた。

  • 亡龍の戦慄-デストルドー
墓地から自力で特殊召喚できるチューナー。ウナギ投獄の最後の一押しとなった。
ハリファイバーのリンク素材を目的に採用される。
墓地送りの方法は勿論終末の騎士。

モンスターの大量展開を促進する、リンクモンスターの三種の神器。
この時期のビートダウンではほぼ例外なく必須扱いを受けていた。
後に全て禁止カードとなるが、この時点ではファイアウォールが制限なだけである。
ハリファイバーはLINK VRAINS PACK、サモソはVジャンプ出身。

  • リンクリボー
リンク素材、および墓地から蘇生する時にレベル1モンスターを要求するリンクモンスター。
このデッキではイービル・ソーン、グローアップ・バルブ、綿毛トークンなどが該当する。
ファイアウォールの相互リンク数を増やしたり、自身を含めた闇属性三体でサモソをリンク召喚するのが主な役目。

レベル3モンスター二体で召喚するリンクモンスター。レベル3モンスター専用のおろ埋効果を持つ。
オフリス、マスマティシャン、ダンディなど、このデッキのキーカードのいくつかがレベル3なので召喚はすんなり行える。
墓地に送るのは勿論ダンディライオン。
こいつもLINK VRAINS PACK出身。多すぎ。

  • トロイメアリンクモンスター
  • トライゲート・ウィザード
このデッキの表向きの終着点となるモンスター達。
これらの布陣で相手の一挙一動を妨害し、勝利を狙う。
この時期は展開力のあるデッキは全て似た様な終着点だったけどな!

  • ミレニアム・アイズ・サクリファイス
  • 外神アザトート(&ナイアルラ)
相手のモンスター効果に待ったをかけるモンスター。
強力な手札誘発モンスターを阻止することでこちらの展開を安全に行える。
制圧手段の一員として動員されることもある。
サクリファイスの方は、ダーリング・コブラで簡易融合をサーチできるので、ついで感覚で召喚される。



追記修正お願いします。




































































このデッキが単なる植物軸のグッドスタッフではなく、「植物リンク」と呼ばれ一つの独立したデッキとされる理由、そしてこのデッキの真の主役をここから解説する。

フェニキシアン・クラスター・アマリリス
効果モンスター
星8/炎属性/植物族/攻2200/守 0
このカードは「フェニキシアン・シード」またはこのカードの効果でしか特殊召喚できない。
このカードは攻撃した場合、そのダメージ計算後に破壊される。
自分フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
相手ライフに800ポイントダメージを与える。
また、自分のエンドフェイズ時、
このカード以外の自分の墓地の植物族モンスター1体をゲームから除外する事で、
このカードを墓地から表側守備表示で特殊召喚する。

元々は植物族モンスターのパワーが底上げされた5D's期に登場したモンスター。十六夜アキの使った由緒あるカードである。
サイドララインを越える絶妙な攻撃力と相手にダメージを与えながら不死鳥の如く墓地から蘇る等、カタログスペック自体はかなり高いモンスター。
だが特殊召喚に特殊な縛りと、蘇生時に植物族を除外する必要がありこれが地味にきつい。
これのせいで植物族の十八番であるローンファイアのリクルートができない、植物族はアンデット程ではないにしても墓地に依存する戦略が多いためリソースを食いつぶしやすく事故要因になりやすいなど、このカードは採用に黄色信号が出る。

さらに特殊召喚縛りをカバーするために墓地に直接落としたとしても、復活するのはエンドフェイズと遅い。
アタッカー&素材としても運用しづらく、ほとんどの場合バーン効果を内蔵した壁モンスターにするのが精々。守備力0なのに強制的に守備表示で出るし。
自己蘇生による疑似的な破壊耐性も、登場時点の攻撃力はシンクロモンスターの登場により2200オーバーが普通。
更に氷結界シンクロのメンツが全員本来の力で生き残っていたために、除外やバウンスはもちろんその他除去手段は豊富であり、
ついで感覚で除去されることも珍しくなくターンが帰ってきても場に残っていないことも珍しくなかった。
まあその特殊召喚制限によりゴヨウされないのはメリットかもしれないが。

更に登場したパックでは同時にBFの主力メンツが登場しており、最初の全盛期を迎えようとしていた。
守備表示で出てくる上に守備力0のこいつはもはや絶好のカモであり、攻撃力の上がったブラストやアームズウィングで突っつかれるわ、シュラの能力誘発をやすやすと許すわ、アーマード立ったら何もできないわと悲惨であった。
高いレベルもエクシーズのない時代ではシンクロしづらいデメリットでしか無かった。せっかく何度も蘇るのに…

効果の強力さから話題を呼んだのは最初だけで、その後は一部の植物族デッキで隠し味として細々と使用。そしてその植物デッキですら環境のさらなる高速化によりそもそも自己再生が遅すぎると考えて抜けていくことも珍しくなかった。
まあ正確に言えば「当時の環境に植物族をメインに据えたデッキの居場所がなかった」と言ったほうが正しいが。

しかし、勘のいい人にはピンとくるところがあるだろう。
そう、この手のお手軽自己再生カードにはあるはずの1ターンに一度のテキストがない
このモンスターの自己蘇生効果は墓地にコストとなる植物族さえあれば
1ターンに何回でも発動できる。
そして効果ダメージの方にもターン制限が無いため、複数回破壊されれば複数回ダメージを与えられる。
まあ当時はそういった制限はあまりついていなかったのだが*1

こうなれば行き着く先はただ一つ。
太古から手を変え品を変え試されてきた、1ターンキルである。
「アマリリスには、1ターンキルができる素質がある」と思いつき、専用デッキの構築に走った猛者もいた。

しかしこの試みは、結果に繋がらなかった。
もしアマリリスの効果だけで1ターンキルを狙う場合、
「わずか1ターンで墓地に植物族モンスターを10枚用意し」
「しかもアマリリスを墓地に用意したうえで」
「場のアマリリスをエンドフェイズに10回破壊しなければならない」
という条件をすべて揃えたうえで初めて成立するものだった。こんなもの狙いを1ショットキルに変えたとしてもなかなか難しい。
おまけに《D.D.クロウ》などがサイドデッキに常備されている時代。それを引かれていないことまで祈らないといけない。

エラッタ前未来融合やスネークレイン、炎熱伝導場による大量墓地肥やしができた機械族・爬虫類族・炎族ならともかく、
一度に10枚近い量のモンスターを安定してデッキから墓地に送る方法なんか植物族には碌に無く、しかも自分のカードを効果で破壊する行為がイレギュラーな時代だったため、
まともな決闘者は「現実的でない」「大会で勝ちたいなら違うデッキにしたほうが良い」と言う他なかった。


そんな当時のアマリリス1キルを行ったキーカードはこちら。

コトダマ
効果モンスター
星3/地属性/天使族/攻 0/守1600
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
同名モンスターはフィールド上に表側表示で存在する事ができず破壊される。
後から召喚・特殊召喚・リバースした同名モンスターは破壊される
(同時の場合、全ての同名モンスターを破壊する)。

同名モンスターがフィールドにいると、そいつを破壊するという一風変わった効果を持つ。
そしてこの破壊効果は永続効果で、エンドフェイズ時でも適用される、当時としては貴重な効果だった。
その為アマリリスをフィールドに2枚召喚し、墓地に植物族を10枚溜め、さらにコトダマを配置することで
コトダマの効果で片方のアマリリスが破壊と自己再生を繰り返し、合計8000のダメージを叩き出せた。

だが結局、「わずか1ターンで墓地に植物族モンスターを10枚用意し」、「しかもアマリリスを墓地と場に用意したうえで」「更にコトダマを場に出さ」ないといけない。
あまりにもきつい条件が立ちふさがり、余程の物好きしか興味を持たないデッキであった。
実際これができるような都合のいい手札を引けるなら、他のデッキなら相手を2回は殺せているであろう。

最早おとぎ話だと笑われ、アマリリス1キルの試みは正に日に当たることなく枯れ朽ちる植物だった。




「またお前にもひと暴れしてもらわなければいかんなー」

トポロジック・ボマー・ドラゴン
効果モンスター
リンク4/闇属性/サイバース族/攻3000
【リンクマーカー:上/左下/下/右下】
効果モンスター2体以上
(1):このカードがモンスターゾーンに存在し、
フィールドのリンクモンスターのリンク先にこのカード以外のモンスターが特殊召喚された場合に発動する。
お互いのメインモンスターゾーンのモンスターを全て破壊する。
このターン、このカード以外の自分のモンスターは攻撃できない。
(2):このカードが相手モンスターを攻撃したダメージ計算後に発動する。
その相手モンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

リンク先にモンスターが特殊召喚されるたびにモンスターを破壊する危険なモンスター。
破壊効果は回数制限がなく、特殊召喚するだけで何回でも破壊してくれる。
つまりアマリリスを自身の効果でリンク先に置けば即座に破壊してくれる。
アマリリスは一枚でいいしトポロジックのリンク素材は「効果モンスターなら何でも良し」なので、
特にサポートカードの無いコトダマと召喚に制限のあるアマリリス×2を用意するよりも遥かに難易度の低い方法であった。

破壊手段の確保と言う、一番の問題がここにきて解決されたことにより、1キルの成功率が飛躍的に上昇。
見事「次にやらかすであろうカード第1位」に上り詰めたアマリリスだが、まだ問題は残っている。

アマリリスの効果を使うには墓地に送らなければいけない。
しかしモンスターを何でも墓地に送れる「おろかな埋葬」は制限カードで、サーチ手段の乏しい通常魔法。
ラヴァルバル・チェインは投獄され使えない今、安定してアマリリスを墓地に置く用意は……


ライトロード・ドミニオン キュリオス
効果モンスター
リンク3/光属性/戦士族/攻2400
【リンクマーカー:上/左下/右下】
同じ属性で種族が異なるモンスター3体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。
デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る。
(2):自分のデッキのカードが効果で墓地へ送られた場合に発動する。
自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。
(3):表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合、
または戦闘で破壊された場合、自分の墓地のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。

ありました。

一部では調整版チェインとすら呼ばれているこのモンスターのお陰で、アマリリスを確実に墓地に送る手立てができた。
ちなみにアマリリスが手札に遭った場合はにん人やオフリスやワンフォーワンで墓地に置くだけだから問題ない。
ちなみにこいつもLINK VRAINS PACK出身。強カード多すぎである。

チェインと異なるのは、きつい召喚条件。
だが、このデッキのモンスターは闇属性に偏っているので、
植物(捕食植物、にん人)+サイバース(リンクリボー)+ドラゴン(デストルドー)+鳥獣(BF)+魔法使い(ミレミアム)+戦士(終末)…
のいずれかの組み合わせで召喚される。
悪魔族のアザトートの役目は、手札誘発の阻止以上にキュリオス召喚の保険だったりする。
相手ターンでエクシーズ召喚できる手だてもないので、拘束力としてはそこそこ止まりではあったし


残る問題は「墓地に植物族が10枚必要」という点だが、ここしばらくのインフレを見てきたデュエリストはこれが解決するのは時間の問題だと直感していた。

デッキ回転用の無制限ロンファ、オフリスコブラ
リソース数を確保するソーン、トークン製造機として酷使されるダンディ
天丼のハリファオライオンサモソetc.

気が付いた時には、まるでアマリリスを神と崇めるかのようにカードが集まっていた。
展開しているだけで墓地が溜まっていき、自然と植物族は増えていく。
盤面にトポロジックが立つ頃には、墓地にはアマリリス含めた11体以上の植物族が控えていた。

そしてついに その日は訪れた。

アマリリス1キルの完成。
それは、アマリリスの内に隠れていた狂気をブチまける事を意味する。

こうして【植物リンク】は
「トロイメアを軸とした制圧型ビートダウンデッキ」と「アマリリスを軸とした1ターンキルデッキ」を
1つのデッキで使い分ける狡猾なデッキとして誕生したのだった。

このデッキが数多のデッキが群雄割拠する環境に躍り出た所以は、ここにある。
単に制圧力に優れたデッキ、単に1ターンキルの成功確率が高いデッキは他にもある。
かつては【マスドラガエル】【マジエク帝】という、ビートダウンと1ターンキルの両面を持ったデッキもあった。
しかしこれでも【マスドラガエル】は「ガエルとフィッシュボーグガンナーの展開力を利用した光と闇の竜軸のシンクロパーミッションビート」と「ガエルの展開力をマスドライバーによってバーンに変換する1ターンキル」の二つの顔を、
【マジエク帝】は「帝モンスターによるビートダウン」と「帝専用の大量のデッキ回転魔法カード群を利用したマジカルエクスプロージョンによる1ターンキル」という二つの顔を
あくまでサイドデッキのカードを入れ替えることで成立させていたのだ*2

メインデッキのみで違う勝利のコンセプトを実現させたものとなるとやはり【旧神ノーデン】が挙げられる。
こちらはノーデンの常識外れのアド生成能力と緩すぎる召喚条件が原因の過剰なインフレによって実現できたが、
それでもこちらは複数のルートがあるから安定性が段違い、というだけで本質的には1キルしかできず、同格クラスのデッキに1キルだけでもメタれると途端に勝率が激減する欠点があった。

その一方でこのデッキはどうだろうか?
サイドデッキに頼らず、制圧と1ターンキルと言う全く異なる二つの要素を、一つのデッキの中で完結させてしまう
起点となるカードは最悪1枚で済むから、事故なにそれ美味しいの状態。
凶暴で、それでいて柔軟な様は、ただ暴れるだけのデッキとは一線を画していた。
まあ上で群雄割拠と書いたとおり、周りのデッキも先攻制圧や罠を使ったメタビート系列などがたくさん存在していたので、このデッキは環境を支配するところまでは行かなかったのだが
この期のトップとして扱われるのは後半に登場した【閃刀姫】の出張パーツを使った各種デッキであることからも、それが分かる。


かくしてその名を広めたこのデッキだったが……当然ながら、終焉の時が訪れる。

2018年4月にアマリリスは一発禁止指定ロンファとオフリスが制限指定を喰らうこととなった。
1ターンキルに厳しいKONAMIゆえに、予見できた結末ではあった。
同時に、数多のデッキで初動札として活躍した朧影のゴウフウも禁止になっている。BFはとばっちりで涙目である。使用率から見て残当ではあったが。

しかし入念に植物族を殺したように見えるがこれはワンキルの筋を潰したにすぎず、有り余る展開力の部分は殆どノータッチだった。
トロイメアリンクモンスターや植物族の展開力による制圧システムは相変わらず生き残っていたため、それを使ったデッキは生きながらえていたのだ。
しかしその後は射出カードの禁止とともにカードが徐々に規制されていく。
2019年1月の改定ではついに、このデッキの中核カードの内、ダンディ、バルブ、スチーム、トロイメア・ゴブリン、ファイアウォール・ドラゴンの5枚が禁止指定を受けることに。
これをもって【植物リンク】から繋がるグッドスタッフリンクデッキは過去のものになったと言える。
「もっと早く禁止にしろよ」なカードがチラホラ
まあ結局その後も【ドラゴンリンク】といった「グッドスタッフ的な、リンクを使った制圧デッキ」は生きながらえるのだが。


対策

コンボの過程で多くのカードが絡むので、うららうさぎ無限泡影を始めとした手札誘発を当てるタイミングは多い。理論上は最後にクロウを当てればほぼ終わりである。
しかしこのデッキは少ない手札からでもアマリリス1キルorトロイメアエクストラリンクを現実的な確率で行えるので
一つ二つの妨害では阻止できないこともままある。

またアザトートを経由された場合は、手札誘発を含めモンスターカードを発動できないので
モンスターカードでワンキル・展開を阻止するには、アザトートより前でないといけない。

意外な対策カードとして、エクストラ・ヴェーラーの名が挙がったこともあった。
モンスターの特殊召喚に反応して手札から特殊召喚、そのターンの自分への効果ダメージを0にするこのカードは
アザトートより前に出すことでアマリリスの効果ダメージを阻止できる。
手札から墓地に行くわけではないので、墓穴の指名者に引っかかることがないのも高評価。
阻止能力で言えばうららよりも高いと言われていた。


余談

本デッキは「アマリリスによる手軽な1キルとビートダウン」という点で持て囃されていたが、
そのアマリリスや一部の展開用植物族を除くと、使用されているカードは漏れなく「当時のデッキ」に必須扱いで使用されてきたカードである。

  • 展開用リンクモンスターのハリサモソFWD
  • ハリファイバーのためのオライオンスチームデストルドー
  • 初手に来たらラッキーのゴウフウ
  • 制圧用のトロイメアトライゲートウィザード

……等々

言い変えると、一部の例外を除くと当時ではこれらのカードがないデッキはデッキではない扱いですらあった。
こうしたデッキの固定化は当然ながら非難の対象になる。

そこに悪名高い1ターンキル要素が加わり、特異なデッキとして【植物リンク】の名は知れ渡っている。

デッキの多様性を阻害する「固定化」と、駆け引きを放棄する「先攻制圧」と「1ターンキル」が合わさったデッキ。
【植物リンク】は、ある意味ではそうした「悪しき強さの集大成」とも言えるのであった。
デッキとしての完成度としては間違いなく高いのがまたなんとも皮肉な話である。


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最終更新:2023年12月04日 18:18

*1 《黄泉ガエル》なども誘発回数に制限がなく、1枚かつ1ターンで《光と闇の龍》を限界まで小さくできた

*2 それでも1キルとアグレッシブ・サイドボーディングの典型として今に知られるが