ネガの世界(仮面ライダーディケイド)

登録日:2020/02/20 Thu 01:40:00
更新日:2025/03/14 Fri 17:27:55
所要時間:約 10 分で読めます






本当に戻ってきたんですね…?あーっ、懐かしい!

私のホントの世界、私の故郷(ふるさと)……。ハァ…!何だか空気まで美味しい気がします!


「ネガの世界」とは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーディケイド』の舞台『A.R.WORLD』の一つである。
第19話ラストから第21話にかけて描かれた。
なお、本エピソードの脚本を手掛けたのは『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー555』『仮面ライダーキバ』を始め、
平成仮面ライダーシリーズを代表する脚本家の1人である井上敏樹氏。
第21話よりオープニング時のナレーションが世界の破壊者・ディケイド。幾つもの世界を巡り、その瞳は何を見る?」に変更された。




【概要】

9つの仮面ライダーの世界を旅した門矢士達が『響鬼の世界』の次に訪れた世界。
本項目冒頭のように、光夏海がかつて暮らしていた世界に瓜二つの様相を呈している。
その為、世界毎に外観が変わる光寫眞館もまた『夏海の世界』と同じ見た目になった。
だが、士は9つの世界を巡った理由が分からない事から、当初よりこの世界の事を訝しんでいた。

この世界を訪れた士は鳴滝から、「これからの君には、幸福な人生が待っている。嬉しいよ、私も……」という皮肉めいた賛辞を受けたが、
程なくして幾つもの常識では有り得ないレベルの幸運に見舞われることになる。
たまたま訪れた高級レストランではたまたま来店1万人記念の来客として、
  • 食事無料
  • 先代オーナーの遺言による資本金100億の企業グループの相続
  • お見合いのセッティング
…といった熱烈な歓待を受けた。
更に街中で出会った芸能プロの役員に「10年に1人の逸材」と見初められて写真集を出版、アイドルとしてデビューし、多数のファンを獲得するなど、
鳴滝の発言を彷彿とさせる数々の幸運が士に舞い降りた。
おまけに士は普段写真を撮影してもピントが歪んでしまうのだが、当初この世界で撮った写真に異常はなかった。

だが、この世界の本質は『ネガの世界』
『影』『裏側』とも称される、人間が殆ど死に絶えた世界だった。
数少ない生き残りはこの世界を支配するダークライダーと配下の怪人により徹底的に弾圧され、「人間を生かしておく事は、この世界のルールに反する」とまで言われているほど。
士と海東大樹の奮戦により、仮面ライダーダークキバを除くダークライダーと数体の怪人は倒されたが、依然として首魁のダークキバは健在のまま。
この世界の戦いを終えた後、士が撮った写真は全てネガ写真のように変質してしまった。



【ダークライダー】

『ネガの世界』の支配階級であり、本エピソードの主たる悪役。
いずれも人間の姿からライダーに変身するが、その実態は人間を殺害しては成り代わり、怪人達を支配下に置き世界を掌握する人外の存在である。
作中の描写からこの世界における紅音也が他のダークライダーを指揮する役目を担っており、千夏に奪われたお宝=ケータッチを取り戻す為、
彼女と共同生活を送っていたTGクラブの男性陣を殺害し、彼らに成り済ます事でTGクラブ最後の1人であるこの世界の夏海を探していた。
士達が訪れた事で『ネガの世界』の真実を知らない光夏海を利用し、この世界の夏海を捕まえる事に成功。
彼女が埋めたケータッチを掘り起こさせるが、これが海東を通して士の手に渡った事で再び失われたライダーカードの力が復活。
新たに得られたコンプリートフォームの力でダークキバを除くダークライダーは殲滅された。




この世界で生きろ、士。お前の旅は終わったんだ。

この『ネガの世界』でなら何でも好きなものを与えよう。
あらゆる快楽を…。幸福を!

演:武田航平

『ネガの世界』を牛耳るダークライダー達を束ねる男。
原典『仮面ライダーキバ』の音也とはキャストこそ同一だが、この世界の性質上、複数回ダークキバに変身しても平然としている事から彼も人間ではない可能性が高く、
公式サイトでは「ネガ音也」と表記されている*1
自身を「千年に一度の天才」「偉い人」と称し、「近い将来、全国の教科書にこの俺の名前が載る事になるだろう」と豪語する尊大な態度は相変わらず。
この世界を『夏海の世界』と勘違いする士達にヴァイオリンで彼の象徴たるエチュードを奏でながら登場し、士に「お前の生きるべき世界」だとして歓迎する。
実力は非常に高くディケイドを圧倒していた。
その真意は語られなかったが、ケータッチをちらつかせて士にしつこく永住を勧める辺り、
士=仮面ライダーディケイドをダークライダーとして引き込もうとしていた模様。
当初この世界を「お前達のおかげでこの世界は修復された」と語っていたが、本性を現してからは「この世界が救われる必要などない!」と発言を一転させている。
その為、士にケータッチを継承させようという意思自体は本物だったようだが、『ネガの世界』への永住を拒んだ士によって配下のダークライダーを倒されると自身は姿をくらまし、その後の去就は不明。


お前はエサだったんだよ…。この女を誘き寄せる為のな……。

演:森陽太

ダークカブトゼクターを使い変身するダークライダー。
『夏海の世界』における彼は光夏海の学友で、高校時代に行き詰まりから結成された「退学クラブ」、通称「TGクラブ」のリーダー格を務める青年だった。
学生時代はメンバーに反社会的行動を共にする事…つまり何かを盗んでくることを提案し、後に加入した千夏には心意気として高校の名板を盗むよう指示するなど、少々痛い人物。
まあこの性格のまま大人になっていたら某海東みたいになりかねないので丸くなって助かった。
千夏の名板の件では結局他のメンバーと共に千夏を支えた事もあって、根は仲間想いなようだ。
だが、『ネガの世界』では彼を殺害した仮面ライダーダークカブトがその正体(ただし、ワームあるいはネイティブなのかどうかは不明)。
他のダークライダーと共に青柳の首を折って殺害*2するといかなる方法を使ってか彼に成り代わり、ケータッチを奪還すべく暗躍していた。
戦闘では原典『仮面ライダーカブト』と違ってクロックアップやゼクトクナイガンなどを使用せず、
徒手空拳で戦うが、3対1とはいえディケイドを苦戦させるなど実力は高い。
だが、ケータッチを手に入れたディケイドと彼が召喚したカブト ハイパーフォームには敵わず、ライダーキックを放つも、両者のハイパーライダーキックに敗れて爆死した。


さあ、お宝の場所に案内しろ。

演・声:坂本恵介

オーガドライバーを使い変身するダークライダー。
『夏海の世界』における彼は丁寧な物腰を崩さない気弱な青年。
だが、『ネガの世界』では彼を殺害した仮面ライダーオーガがその正体で(オルフェノクかどうかは不明)、本性を現すと口調も荒々しくなる。
戦闘では原典『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』同様、オーガストランザーを手にディケイドと激戦を繰り広げるが、
最期はコンプリートフォームとディケイドが召喚したファイズ ブラスターフォームのフォトンバスターに敗北。
オーガストラッシュを放とうとするも力負けし、フォトンブラッドの奔流に呑まれた。
ちなみに、オリジナルのオーガの変身者である木場勇治役の泉政行氏は「オーガやるなら許可とれよ!」と冗談交じりに悔しがっていたそうな。後の作品で別の人間が変身するエターナルを出す時にプロデューサー直々に松岡充氏に話をしに行ったのはこの件があるのかもしれない。


ようやく姿を現したな……。

演:岩間天嗣

カードデッキVバックルを使い変身するダークライダー。
『夏海の世界』における彼はTGクラブという略称の名付け親で、光夏海に顔を合わせた側から告白しては往なされるという剽軽な青年。
だが、『ネガの世界』では彼を殺害した仮面ライダーリュウガがその正体。
アドベントカードは使用しないものの、ドラグセイバーを駆使する他、
必殺技のドラゴンライダーキックを放つ際には、原典『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』のリュウガ同様、契約モンスターのドラグブラッカーを召喚する。
ディケイド龍騎との剣戟では他のダークライダーと共に彼を圧倒するものの、コンプリートフォームと召喚された龍騎サバイブが放ったバーニングセイバーでドラグブラッカー諸共切り裂かれて爆散。
ダークライダーの中では最初の退場者となった。
ミラーワールドの存在なのかどうかは不明だが、ひょっとしたら原典におけるリュウガ同様、ミラーワールドの佐藤が本来の佐藤と融合した可能性もあるかもしれない。



【『ネガの世界』の怪人】

ダークライダーに従う怪人達。
この世界の住人はその大半が彼らに殺害されており、士や小野寺ユウスケが出会った人々もこのような異形の怪物であった可能性が極めて高い。
ただし、ダークライダーと怪人の地位には絶対的な格差があるようで、ダークライダーに従わない者は制裁を受ける事となる。
つまり、この世界で自由に暮らすことが出来るのはごく少数のダークライダーのみといえる。



あの女、いつまで生かしておくつもりだ?
人間を生かしておく事は、この世界のルールに反する!

演:北山雅康

光夏海達の高校時代の恩師で、紫蔭学院に勤める教師。
『夏海の世界』における彼は光夏海の頼みにより、TGクラブの顧問に就任する事になるが、当の田中自身は対等な仲間として加わる事を希望していた。
穏やかな性格ではあるが、後に自分達の浅はかさに気付き、再び登校する事に決めたTGクラブの面々を見て、
5人の活動を「100点満点の課外授業」として出席日数にカウントしてくれるなど懐の広い人物。
だが、『ネガの世界』では既にオルタナティブに成り代わられた状態で登場。
原典『仮面ライダー龍騎』のオルタナティブは神崎士郎のライダーシステムに対抗して、香川英行が開発した擬似ライダー…
即ち、由来が異なるだけで仮面ライダーに準ずる存在ではあったのだが、本作では音也にはっきり「怪人」として扱われている。
その為、変身時には原典『龍騎』同様、田中にオルタナティブの鏡像が重なる演出がなされるのだが、変身ポーズや掛け声は存在しない。
アクセルベントを使わずとも高速移動が可能で、生身、それもスーツ姿で目にも止まらぬ速さで移動し、この世界の夏海と行動していた生き残りの男性を殺害した。
だが、あくまでルールに固執してこの世界の夏海を殺害しようとする為、彼女を泳がせてケータッチを取り戻そうとする音也=ダークキバの折檻を受けていた。

ディケイド・ディエンドとの決戦ではレイドラグーンを従え戦うが、ディエンドのディメンションシュートで手下諸共吹き飛ばされ倒された。
なお、頭部のみオルタナティブ・ゼロのものが使われている他、サイコローグやスラッシュダガーといった原典『龍騎』の契約モンスターや装備は登場しなかった。


青い体色が特徴のトンボ型ミラーモンスターで、平成ライダーシリーズではお馴染みの生きた人類終了のお知らせ
原典『龍騎』同様、多数存在し、士とユウスケが出会ったお見合いの席の3人の美女や、士との関係を知って光夏海に嫉妬する2人の女性などに化けていた。
ディケイド・ディエンドとダークライダーの決戦でも3体が乱入し、襲い掛かるが、最期はオルタナティブ諸共ディエンドのディメンションシュートを受けて一掃された。



【『ネガの世界』の人間】

『ネガの世界』は元々「光夏海がいた世界と対になる世界であり、本来の住人は『夏海の世界』の住人と極めてよく似た存在であった。
しかし、ダークライダーと怪人の襲来により、大半の人間は殺害されて成り代わられ、残る人間は身を隠しながら細々と暮らしていた。
その為、元の世界で光夏海が過ごした高校生活と、『ネガの世界』の夏海が過ごした生活は同じ時系列でも詳細が大きく食い違っている。

光夏海と学友達が青春を味わったTGクラブはこの世界においては難を逃れた少年少女による共同体で、荒れ果てた秘密基地と思われた場所もこちらではダークライダー達から逃れる為の隠れ家であった。
だが、千夏は命がけでケータッチを手に入れ、この世界の夏海に託した直後に息を引き取り、
ダークライダーの襲来により男性陣は命を奪われた。
それからこの世界の夏海はひたむきに過酷な環境を生き抜いていたのだった。


  • 『ネガの世界』の光夏海

驚かないで聞いて。ここはあなたの世界じゃない。

演:森カンナ(光夏海と二役)

『ネガの世界』における光夏海。
数々の苦労を思わせるぼろぼろの服を身に纏い、普段は迷彩バンダナやギリースーツで身を隠している。
数少ない人間の生存者であり、ダークライダーや怪人の目を掻い潜って光夏海と接触。
事実を信じられない彼女に『ネガの世界』の真実を伝える。
だが、その場を狙っていたTGクラブの男性陣に化けたダークライダー達に光夏海を人質に取られ、この世界の千夏から託されたケータッチを提供する。
だが、海東の機転によりケータッチは士の手に渡り、コンプリートフォームにパワーアップしたディケイドが追手のダークライダーを撃滅。
音也を始め、大半の怪物は健在の為、『ネガの世界』に安寧が訪れるわけではなかったが、
この世界の夏海は「私は明日を信じてこの世界で生きていく。だからあなたも、明日を信じて」と告げ、
自分の居場所を探す光夏海と士にケータッチを託すと、「見つけて、あなたの世界を」と言い残して去っていった。


  • 千夏

夏海……。お願い、これ……。奴らの手に渡さないで……。絶対……。

演:井端珠里

夏海の高校以来の親友。
『夏海の世界』における彼女は遅れてTGクラブに加入を表明し、その条件として青柳に提示された名板を盗み出す件で光夏海と交流を深めた。
男性陣の協力もあったが、警備員に見つかり、作戦は失敗に終わってしまう。
だが、その事がTGクラブの面々に「何だかんだ言いながらも退学は怖い」と気付かせる事となった。
その後もTGクラブと交流していたが、転校したとの事。
『ネガの世界』の彼女はダークライダーの元から彼らの秘宝たるケータッチを盗み出すが、この世界の夏海にそれを託した直後に絶命した。

演じた井端珠里氏は、子役時代にアニソンを多数出していた事で知られる。グダクダヘレヘレな白い犀の戦士を兄に持っていない。



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最終更新:2025年03月14日 17:27

*1 原典『キバ』におけるダークキバの鎧はファンガイアでなければ装着出来ず、無理に装着した音也は命を落とす結果になった。

*2 なお、原典『555』本編で草加の首を折って殺害した木場勇治が変身するオーガは素手で坂田を撲殺していた。