パルデアをめぐる課外授業、その大きな目的である『チャンピオンロード』『レジェンドルート』『スターダスト★ストリート』の3つを終え、ネモ、ペパー、ボタンという頼もしい友達を得た主人公は、オーリム博士/フトゥー博士の「研究所まで来て欲しい」という依頼に応える形でついにエリアゼロへの侵入を果たす。
この依頼はレジェンドルートをクリアした時点で聞く事ができるが、「エリアゼロに跋扈する危険なポケモンにも負けないバトルの腕に覚えがある助っ人」と「調査隊が遺した機械装置が点在するためメカに強い人材」が要求されるため、残る2つのルートをクリアしてネモとボタンの協力を得られるようになるまで準備が整わない。
仲間を集めてエリアゼロに突入すると、そこに広がっていたのは奇書やおとぎ話とされていたスカーレットブック/バイオレットブックに記されていた内容がそっくりそのまま現実となった、幻想的ながらどこか恐怖を覚える世界であった。
内部構造は中心に向かって下っていく広大なすり鉢状となっており、内壁伝いにどんどん降りていく事で徒歩でも最下層まで到達できるようになっている。
また、横穴のような小洞窟がいくつか存在し、中には巨石や地形に隠れて分かりづらいものも存在する。先述の通りパルデアの大穴内ではいかなるマップシステムも動作しないため、隅から隅まで散策するのは至難の業。
なお、初めて訪れた時からエンディングまではエリアゼロ内でコライドン/ミライドンにライドする事ができず徒歩での移動しかできないため、侵入できない個所も多い。
徒歩でも崖を飛び降りれば一気に下までショートカットできるように思えるが……と言うより特定の操作をすれば飛び降りること自体はできるのだが、
ロックを解除していない限り、崖上まで強制的に戻されてしまうため、地道に歩いて降りなければならない。
上層部から最下層に至るまでの4か所にかつての探検隊が86年前に設置した観測ユニットが設置されており、この内部に入ってロックを解除すれば最下層に存在する研究所への侵入が可能となる。
また、観測ユニット内にはワープポイントも設置されており、こちらもロックを解除することで各観測ユニットおよび、大穴の淵に建設された入口となる施設ゼロゲート間の相互ワープが可能。
各ユニット内に備え付けられたベッドはネモ曰くちょっとカビ臭いらしいが、調べる事でポケモンの回復が可能。
エリアゼロ内は上部が分厚い雲で覆われているため、長くいても時間の流れや天候変化が一切感じられないのも特徴。
外界が夜になっていようとエリアゼロ上層部はどこにいても明るいままであり、外界の天気が曇りでもエリアゼロ内では何ら変わらない。
スマホロトム経由であれば時間帯も天候も確認可能だが、それがないと全く分からないというのは現実的に考えると中々に恐怖である。
危険地帯だからかエリアゼロ全域でピクニックを行う事はできない。
たとえ平地であろうとテーブルは置けず「ここで ピクニックをするのは やめておこう……」とメッセージが出るだけ。
食事パワーが必要な時はエリアゼロへ入る前に食べて付けてこよう。
ちなみにエリアゼロ内でタマゴを孵化すると付近に置いて見守る形式ではなく、孵化用の個別画面へ移行し、孵化が始まるようになっている。
こちらも平地・斜面など地形に関係なく必ず個別画面で行われるため、エリアゼロ内はタマゴを安心して置けるような環境ではないという事だろう。
ここでのBGMは、Toby Fox作曲(編曲は一之瀬剛)によるもの。
上層部
上層部は穏やかな丘陵地帯と岩肌の露出した崖が点在する平原となっている。また、水の湧き出る小規模な水源や、そこから流れ落ちる滝、小川といった豊かな自然が形成されており、一目では地形が入り組んでいるものの居心地の悪くない環境の様に思えるだろう。
また所々に落ちているアイテムにはピチューのけやオボンのみに混じってチイラのみやカムラのみなど、大穴の外では入手できない希少なきのみが入手できる。
しかし、上空を分厚い雲が覆い尽くし、大気中にはテラスタルエネルギーと思われるキラキラと輝く粒子が飛び交い、生えている木々は根元から結晶状の物体に侵食されている…と、外界ではありえない光景が美しさと異様さを際立たせている。
外界からの観測を遮断する程分厚い雲に覆われてはいるが、内部は問題なく照らされており、真昼のように明るい。外界が夜でも関係なく常に明るいところを見るに、この明るさもテラスタルエネルギーに由来するものである可能性がある。
ここでは
アーマーガアや
モルフォンといった
天敵の居住する外界では見ることの少ないポケモンや、
ワタッコや
ライチュウなどのこれまで見てきたポケモンの最終進化系のレベルが高い個体が闊歩しており、迂闊に戦闘を挑むのは非常に危険。
さらに既存のポケモンに似た全く別種の何か…
パラドックスポケモンがその中に紛れてうろついている。これらは下へ進むにつれ徐々に数を増やしていく。
一番下の河原付近で進化前のものと共に群れている
キリキザンや
ハラバリーは、まるでそれらに怯えて暮らしているかのようにも見える。
パラドックスポケモンとは、本来この現在という時間軸上にいるはずの無いポケモンを指す総称である。
現在のポケモンから見て、スカーレットでは古代の姿、バイオレットでは未来の姿とされるポケモンがそれにあたる。
例えばスカーレットブック/バイオレットブックに記されたドンファンに似た生物は、
- スカーレットでは古代の姿のドンファンにあたる、現在の種よりも大きな牙に赤い鱗や棘を持つ仮称『イダイナキバ』
- バイオレットでは未来の姿にあたる、全身が金属質になり顔がLED表示板の様になった仮称『テツノワダチ』
といった具合。
ここまで読んでピンときた人も居るかもしれないが、実は
コライドン/
ミライドンもそれぞれ、今作で初登場した
モトトカゲのパラドックスポケモンに当たる存在である。
下層部
入り組んだ構造のため日の光が届かない下層部は外界における洞窟と同じ環境となっているが、至る所からテラレイドバトルの入口に似た六角柱の光り輝く結晶が生えている光景を見る事ができる。
洞窟を降りていくにつれ結晶はその大きさを増していき、最下層近くでは外界の民家と同じほど、あるいはそれ以上の大きさを誇る巨大な結晶が洞窟内の一面に形成されている。
上階層からひと繋がりになっているため、ライドアクションを使えば最上部から一気に最下部まで飛び降りたり、逆に最下部から最上部へ登ることも可能。
洞窟内に唯一設置された観測ユニットはとある理由で損壊状態となっており、さらに半ば結晶体に侵食されている。
博士が待つ研究所ゼロラボは超巨大な結晶体にほとんど取り込まれた形となっており、取り付けられたハッチの中から侵入することとなる。
このあたりには
ノコッチ種や
ダグトリオといった洞窟ならではのポケモンが生息するほか、テラスタル現象と密接な関係を持つと噂されるキラーメ、
キラフロルの大量群生地となっている。
と同時に徘徊するパラドックスポケモンの割合が地下へと進むほどどんどん増えていき、研究所周辺には大量のパラドックスポケモンが縄張りを作っている。
テラスタルとその研究
観測所内に残されたオーリム博士/フトゥー博士が記述したと思しき日誌には、未知なる力であるテラスタルがいかに発見されたのか、そしてその後博士は何を研究していたのかが記録されている。
博士はエリアゼロの観測中、仮称███と表記される謎の存在に接触。この仮称███の六角形で構成された外殻の構造がエネルギーを結晶化させることを発見し、この現象をテラスタルと命名。
そしてエリアゼロから採取された結晶化エネルギーを利用し、ポケモンを『テラスタルの姿』に変える道具テラスタルオーブを発明した博士はさらなる資金融資を獲得。いよいよ本命の研究である楽園の制作に乗り出すことになる。
この楽園は恐らく
スカーレットブック/
バイオレットブックに記された
幻の生物が現在の生物と同居する地を指すと思われ、「あの人」や研究中の同時期に生まれた我が子と共に、そこで3人で仲良く暮らすことを夢としていた。
その夢に憑りつかれ、狂気に飲み込まれてしまうまでは…
残された謎(~藍の円盤まで)
紆余曲折の末、主人公は相棒や友達たちと共にタイムマシンに関わる事件を解決した。
しかし、解決したのはあくまでオーリム博士/フトゥー博士とタイムマシンに関わる事柄のみであり、エリアゼロに残る不可解な謎はまだ残されている。以下はその一例である。
- なぜタイムマシン完成前にパラドックスポケモンの目撃例が存在するのか?
タイムマシンの完成が原因で現代に古代/未来のポケモンが召喚されたのであれば、
それ以前に執筆されたはずの書物にその存在が記載されているのは説明がつかない。
この件は作中でも事件解決後のイベントでペパーが指摘しているため、メタ的な話をするとシナリオ作成時のミスではなく
意図的に設定された伏線であると考えられる。
生物学者ヘザーがパラドックスポケモンを目撃していたなどの状況証拠から考えて、元々エリアゼロには別時代からの時間転移を実現する「何か」があり、タイムマシンは一から作られたものでは無く、その「何か」の能力・現象を科学技術的に再現したものであった可能性が浮上している。
時間転移による召喚を可能とするほどの力を持つ存在としては、時間を司る
ディアルガや時空の裂け目を引き起こせる
ギラティナが存在する(実際に
ヒスイ地方では神々の影響で過去や未来のポケモンが時空転移に巻き込まれる現象が発生した)が、エリアゼロでは両者が干渉したと思われる時空の歪みなどの痕跡は確認されていない。
そうなると、
ウルトラホールを通して出現した可能性もあるが、しかしウルトラホールが時間移動すら可能なのかについては未だ不明。
エリアゼロ探索中、実際に幾何学的な地上絵や記号の刻まれたプレートを発見することができるが、
これが何を指すのかは不明である。
ただし地上絵に関してはパルデア地図と重ね合わせた時、各交点の位置が今作の
準伝説系ポケモンが封印された祠の位置と一致するという発見が報告されている。
今作の準伝説系ポケモンの設定は一見してエリアゼロに全く関係ないように思えるが、果たしてこれは偶然の一致なのだろうか?
そして記号の刻まれたプレートには、現在のパルデア地方のマップとほぼ同じ形の大陸図が記載されている。果たしてこれが意味するものは一体何なのか?
生物学者ヘザーが出会い、博士がテラスタルを着想する原因となった、六角形の多層構造をした外殻を持つ円盤のようなポケモンとは一体何なのか?そもそもポケモンなのかすら分かっていないが、メタ的にはポケモンだろう。
現時点でエリアゼロにそのようなポケモンが棲息している様子はないが、テラスタルの大元となる結晶はエリアゼロ中に散りばめられている。
さらにペパー曰く、このポケモンについて記述された記録物は例外なく滲んで完全な解読が不可能になってしまうらしく、観測ユニット内の手記はおろか、大量印刷されたスカーレットブック/バイオレットブックの全ての版に至るまで同様の現象が発生しているという。
また、このポケモン自体の謎ではないが、この記述が「本の一番後ろ」にされているのも気になる所。その前の2ページは「協賛」と「著者の情報」という後書きとして書かれるべき内容である。仮にもエリアゼロ内で発見した立派な記録であるのにも関わらず、まるで見られたくないかのように最後のページに記されている。果たしてこのポケモンが持つ真の力とは一体何なのだろうか…
これら全ての残された謎は、追加コンテンツでの伏線回収が期待されていた。
余談
- タイトルにある『ホームウェイ』とは『家路(≒帰り道)』という意味がある。
- 本編以前にペパーのマフィティフが大怪我を負ったのも、このエリアゼロで何者かに襲われたのが原因だったという。その時は命からがら逃げだした後に、そらとぶタクシーへ無理を言って救助してもらったとのこと。
- 上記の秘伝スパイスはエリアゼロの中で見つけたと言われているのだが、ゲーム中の探索可能な場所の中には見当たらない。オリジナルがもうないのか、探索していない範囲が他にあるのだろうか。
- 今作ポケモンSVのタイトルロゴにはそれぞれコライドン/ミライドンを模した飾り枠があしらわれているが、その飾り枠の四隅に描かれたマークは全てエリアゼロ関連のものとなっている。
- 左上:エリアゼロ内のプレートに描かれた三角形が縦に2つ重なった謎のシンボル
- 右上:エリアゼロ内の洞窟に描かれた地上絵の簡略版
- 左下:テラスタルやエリアゼロの共通モチーフである六角形
- 右下:コサジ灯台の研究所やゼロラボ内のホワイトボードに描かれたグラフ
- 宝物伝説のあるエリアゼロに向かうということは、課外授業のテーマが「宝探し」であるのを考えると、ストーリーの最後のルートにあたることを序盤から考察できる。