エンテイ

登録日:2010/02/08 Mon 00:59:14
更新日:2025/09/19 Fri 20:24:58NEW!
所要時間:約 30 分で読めます


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244 ええいー!! かざんポケモン しんそく せいしんりょく せいなるほのお たねポケモン とつげきチョッキ どくまも ほのお ほのおタイプ ほのおタイプのポケモン ほのお単 やけたとう ウガツホムラ エンテイ コクラン コメント欄ログ化項目 シンオウ地方の博士 ジョウト地方 ダキム プレッシャー ポケットモンスター ポケモン ポケモン解説項目 リコロイ リラ ルシアス ルスワール 三犬 伝説 伝説のポケモン 伝説の三聖獣 元不遇 六英雄 出オチ 唯一神 噴火 帝王 愛のある項目 所要時間30分以上の項目 斉藤むねお 映画主役ポケモン 準伝説 火山 炎帝 無進化ポケモン 竹中直人 第二世代 第二世代(ポケモン) 結晶塔の帝王 耐久型 聖なる炎 聖獣 金銀



♪~(野生ポケモン遭遇の音楽)

あ~また野生だよ、この辺のは全種類捕まえたから今更出て嬉しいポケモンなんて居ないんだよなあ…


        \ええいー!!/
画像出典:ポケットモンスター金・銀 1999年11月21日発売 株式会社ポケモン/任天堂株式会社




!?




ミーが望む限り…私はミーの父親だ!!



出典:劇場版ポケットモンスター 結晶塔の帝王 ENTEI、OLM、
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2000 ピカチュウプロジェクト、
東宝、2000年7月8日公開。



エンテイとは、『ポケットモンスター』シリーズで登場するポケモンの一種である。


■データ


画像出典:㈱ポケモン ポケットモンスターオフィシャルサイト「ポケモンずかん」2024/02/12閲覧
https://zukan.pokemon.co.jp/detail/0244
全国図鑑No.0244
分類:かざんポケモン
英語名:Entei
高さ:2.1m
重さ:198.0kg
タマゴグループ:未発見(性別不明)

タイプ:ほのお
特性:プレッシャー(相手から受けた技のPPを1余分に減らす)
隠れ特性:せいしんりょく(怯まない。特性「いかく」を無効にする(第八世代以降))

HP:115
攻撃:115
防御:85
特攻:90
特防:75
素早さ:100
合計:580

努力値:HP+1、攻撃+2


■概要



鬣を持つ唐獅子のような、威厳のある姿をした伝説のポケモン
火山が出来ると共に産まれると言われており、その体にはマグマの情熱を宿しているという。
吠えるとどこかの火山が噴火する。
その有り余るパワーを抑え切れずマグマよりも熱い炎を吹き上げながら大地を駆け巡る。
名前の由来は「炎」「帝王」からで、同胞とは属性+君主を表す言葉というネーミング法則が共通している。


元々は別のポケモンだったらしいが、エンジュシティの塔が火事になった際に死んでしまい、
それを哀れに思ったホウオウの力によってライコウスイクンと共に今の姿で蘇ったという伝説がある。


■ゲームでのエンテイ


ジョウト地方

『金・銀』『クリスタル』およびHGSSで、エンジュシティの「やけたとう」の地下にライコウ、スイクンと共に佇んでおり、プレーヤーが近づくと逃亡し各地の草むらを徘徊する。レベルは40。
初代徘徊伝説ポケの一匹。
徘徊しているので狙って出会うのが難しく、出会ってもすぐに逃げられ、「くろいまなざし」などで逃げるのを封じても、「ほえる」で強制退却させられてしまう。
マスターボールの使い所と言うべきだが、後述のとある理由によりマスターボールはスイクンに使ったほうが良いと思われる。

ジョウト以外

ポケモンコロシアムでは、ダークポケモンとして登場。
シャドー幹部の一人、ダキムが繰り出してくるので、これをスナッチする事で入手できる。

FRLGでは最初にフシギダネを選ぶと1の島にあるネットワークマシンを完成させたあと、カントー地方を徘徊する。レベルは50。
ただしFRLGの徘徊伝説の個体値バグによって最低レベルになっている*1ため、実用性は低い。
この個体のエンテイをマトモなレベルに鍛えなおそうと思ったら、第七世代以降の作品に連れてきて「すごいとっくん」を受けさせ、更にガラル地方パルデア地方で入手できる「ミント」を与える必要がある。

その後の作品では「伝説ポケモン全種登場」系のソフトに大体登場。
ORASの「おおぞらをとぶ」、『ウルトラムーン』のウルトラワープライド、剣盾では「冠の雪原」のダイマックスアドベンチャーで入手できる。

エメラルド』では、フロンティアブレーンの一人、リラが銀シンボルの戦いで使用。

レンジャーシリーズではかなり優遇された扱いをされており、初代では三聖獣で唯一2回戦ううえに、2回目の戦いであるラスボスの連続キャプチャーの大トリを務めたりしている。
光の軌跡』ではレンジャーサインで呼ぶと乗って移動でき、岩を壊せる。

また、ポケダンでは、『救助隊』のエンディング後のストーリーで、
『超』のエンディング前のストーリーである重大な局面を迎えるシーンで、それぞれボス敵として抜擢されている。


■アニメ・映画でのエンテイ


言わずもがな劇場版第三作『結晶塔の帝王』でメインを勤めた。
CVは竹中直人。
孤独な少女に「私がパパだ」と言い出すロリコン家族愛あふれる姿と、口から明らかに炎ではないナニカを吐き出して攻撃する事で有名。

実は一度だけアニメ本編にも登場している。
当然映画とは別個体。
ムウマの「くろいまなざし」で足止めを食らうも、最後は「ほえる」で強制退場させて逃亡、とゲーム本編のネタを再現したような内容だった。

また、劇場版では『幻影の覇者ゾロアーク』でも、ゾロアークが化けた姿として登場。また街の守り神として色違いの個体も登場した。


出典:劇場版ポケットモンスター キミにきめた!、製作:OLM Team Kato、ピカチュウプロジェクト、配給元:東宝、公開:2017年7月15日
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku、
©Pokemon ©1998-2020 ピカチュウプロジェクト、©2020 Pokemon. ©1995-2020 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.



2017年の劇場版『キミにきめた!』でも登場。
モブトレーナー達の「珍しいポケモンが近くに居るとわかったときのPokemon GOプレイヤー」みたいな反応が印象的。



リコとロイシリーズでは物語の鍵となる、いにしえの冒険者ルシアスのパートナーポケモン六英雄の一匹に含まれる。
78話では、目撃情報を追いジョウト地方の群島にたどり着いたリコ達の前に姿を見せる。六英雄に認めてもらうためバトルを挑んだリコ達に応戦するが、終戦後に六英雄のエンテイとは別個体だったことが判明する。

改めてエンテイの情報を収集したリコ達はエリアゼロでの目撃情報を得るが……?


■対戦(と、ネット界隈)でのエンテイ


高い攻撃、HPを筆頭に全体的にバランス良く高い能力を持つ伝説のポケモン。
その高い能力から登場当初から対戦で猛威を震う…………

という事は全然なく、対戦ではとにかく不遇。
長らく弱い伝説ポケモン筆頭のような存在であり、ぶっちゃけネタポケだった。

第二世代金銀)のエンテイ


攻撃種族値こそ115と高いものの、金銀当時は物理技・特殊技がタイプごとに決まっていた。
このため、当時の炎タイプの技は全部特殊攻撃であり、エンテイはその 高い攻撃力を活かすことができなかった
ついでにサブウェポンが貧弱であり、「じしん」等のマトモな物理技をほとんど覚えず、「めざめるパワー」以外だと「おんがえし」くらいしかその攻撃力を活かす手段はなかった。
同期の耐久に特化した不沈要塞スイクン、素早さと特攻に長けた電撃戦のライコウに比べ、 エンテイの能力配分は明らかにお粗末 であったと言わざるを得ない。
マスターボールをエンテイに投げない方が良いと先述したのは単純に強くないからである。スイクンに投げたほうが良い。
……実はスイクンやライコウも弱いわけではないが、50から55のルールが基本となるのでスイクンは採用不可能な技が存在しれいとうビームも使えなかったり、ライコウは10まんボルトを使えずメインウェポンが不遇だったり(弱いわけではないが)するので後述の固有の強みがあるエンテイの方が強い面もあるにはある*2

当時のポケモンはサブウェポンが貧弱なのが当然で、タイプ一致技とノーマル技くらいしか使えないのはエンテイに限ったことではなかった。
むしろ、当時の炎タイプでは珍しく「ソーラービーム」が使えるエンテイはまだ恵まれていた方とさえ言える(特殊技だけど)。
めざパを厳選すれば高い攻撃種族値も生かすことができ、めざバンギラスハピナスカビゴンにも有効打を与えたりめざで他の炎タイプを狩ることもできる。

炎タイプの戦力がまだそこまで層が厚くなかったのに加え、金銀当時はまだネットコミュニティが十分に発達していなかった。
エンテイがそのネタポケとしての地位を確立するのはまだ先の話である。

一応彼の名誉のために言っておくと、クリスタル発売後の第二世代*3やVC版環境では物理めざパの火力の優位性から「にほんばれ」+「だいもんじ」型アタッカーのファイヤーヘルガーと選択で使われるようになっている。
また種族値の配分が悪いと言われがちだが、実戦レベルのほのおタイプポケモンの中では最も物理耐久が高く、大抵のポケモンの「だいばくはつ」を確定で耐えられるのは明確な強みとなっている。
つまり、仮想敵をきっちり絞れば第三世代・第四世代とは比べ物にならないぐらい強い。第二世代の対戦環境は、第三世代のシステムを土台とする現在のポケモンとは「システムがよく似ているだけの別のゲーム」というくらい対戦環境が異なっているのだ。

メインウェポンは「だいもんじ」でほぼ確定、他の炎ポケモンも「かえんほうしゃ」を採用することは少ないが、エンテイは特攻が低いのでなおさら。
サブウェポンは「ソーラービーム」や「めざめるパワー」格闘が定番。
補助技としては上述した「にほんばれ」の相性が良く、前述の攻撃技3つとこれで型が完成する。

第三世代(ルビー・サファイア)のエンテイ


『ルビー・サファイア』では欠席していたが、ゲームキューブソフト『ポケモンコロシアム』で復活。
悪の組織「シャドー」の幹部ダキムが使用するダークポケモン化したエンテイをスナッチ(捕獲)する事で入手できる。

よーし初の伝説ポケモンだ!ゲットしてやるぞ~と意気揚々と挑んだプレイヤーが目にしたのは、
味方の「じしん」に巻き込まれ勝手に倒れていく衝撃的なエンテイの姿であった。
…というあまりにも酷い事実誤認が何年もの間に広まっていた(後述)。

ポケモンコロシアムはすべての戦闘がダブルバトル
ダキムは地面タイプの使い手であり、メタング・バクーダゴローニャと手持ち5体中3体が 敵味方全員を巻き込む攻撃「じしん」を覚えている
ダキムは「じしん」をもう1体のポケモンに「まもる」をさせて自軍への被害を防ぎながら使うのだが、エンテイは味方の地震を防ぐための「まもる」を覚えていない。
それどころか「じしん」が効果抜群であり、しかも第3世代は後の世代のように「敵味方を巻き込む攻撃はダブルバトルでは威力3/4」という仕様がなかったため、100%のダメージが直撃する。

この敵3体vsエンテイ1匹のような衝撃的な構図は、エンテイのネタポケ性を高めるのに十二分な役割を果たした。

…と言われているが、実際は「じしん」で倒れてしまう場合(流石に急所除く)には「じしん」は使わないAIにちゃんとなっていることが現在では判明…というより当時のガセネタであることが判明している。
じしんの後に自分の「ダークラッシュ」の反動で倒れてしまうことは確かにあり、これで捕獲難易度を上げていること自体は事実。
別のトレーナーでは当時のダブルバトルの仕様(倒れた場合即座に後続のポケモンを出す)で、AIが「地震は効かない」と判断する飛行タイプや「ふゆう」持ちが倒れた場合に後続のポケモンが地震に巻き込まれてしまうことはある。が、ダキムはこのパターンには当てはまらない。
しかしながら後述するように「ネタポケモン」というのを面白がったライト層が広め、検証するにも当時はそのようなサイトもろくになかったこともあり、このような誤解が何年もの間知れ渡ってしまった。
そもそも耐久自体はあるポケモンであるため、バクーダやゴローニャのじしんで確一されることはまずなく、「じしんでやられる」光景を見ることはほぼありえないことが判明している。
現在ではむしろ「知ったかぶり」のネタとして逆に笑われるようになっているので注意。

一方で個体値が序盤の時点で決められてしまい、FRLGでの徘徊にもバグがあって個体値が逆4V確定という凄まじい厳選の難しさである。スイクンやライコウも似たようなものだが、エンテイは輪をかけて酷い有様である。

そしてエンテイがネタポケとなった決定的な理由が、その伝説ポケモンとは思えない微妙な性能である。
まず、ほのお技が全部特殊技という事情は、第三世代ではまだ変わっていなかったので全く改善なし
新たな炎技「ふんか」が登場したが、コイツは「かざんポケモン」なのに習得できず
それどころか、この世代で新規追加され、ほとんどの炎ポケモンがわざマシンで習得できた強力な炎技「オーバーヒート」を覚える事が出来ない*4
サブウェポンの貧弱さも全く変化なし。「おんがえし」「あなをほる」「アイアンテール」という貧弱極まるラインナップで、「じしん」「シャドーボール」をはじめとした便利技が習得できない始末。
おまけに努力値の仕様が変更されて攻撃と特攻の両方を伸ばすことが難しくなったため、メインウェポンが特殊・サブウェポンが物理のエンテイは火力が金銀時代より更に低下した。
ちなみに、この世代のスイクンライコウは第一級の強ポケであり、優秀な同期の存在はエンテイのダメさをますます際立たせる事になった。

味方にやられる(というガセ)。捕まえても弱い。
急速にその存在感を増していたネット掲示板では、この全体的にダメダメな駄犬は逆にネタキャラとして人気を集め、
その唯一無二のダメな存在感に加え、アニメ映画でも主演回が「アンノーンの力によってつくられた幼女の妄想の産物」というあんまりな扱いもあり、いつしかこう呼ばれるようになる。


唯一神エンテイ


折しも当時、2ちゃんねる界隈を中心に、後述する泡沫候補の凄まじい選挙ポスターと演説が大きな話題を呼んでいた頃であり、実際に神のような外見であるエンテイはなぜかこのネタと絡められてしまったのだった。
当時のインターネットのポケモン界隈では、唯一神と言えばエンテイのことであるのは、努力値や個体値の存在と同程度には常識であった。
ポケモンコロシアムが発売された翌年の2004年頃には以下の唯一神が2getしながら自らの優秀さを主張するAAが確立し、2ちゃんねるのポケモン板などに頻繁に貼られていた事が確認できる。


       ノレ一´ ̄`ゝ        唯一神エンテイ様が華麗に2get! 皆のもの俺にひれ伏せい!!
      / _ム-一-'フ´`>、       エンテイは神!! エンテイは神!! ENTEI is god!! ENTEI is god!!
    /´ / ___/ ̄フ`ー、_.       >バクーダ.  お前水に弱すぎ 踏みつけるぞ(プ
   アi  ∠ビ;;}ノ  く_  r、`ヽ..    >マグカルゴ お前も水に弱すぎ(プププ
   r、レ´〉  ̄ ̄ ̄` _,> `く...    >コータス.   お前は鈍すぎ(ワラ
   ノ 、  \   r-' ̄     \   >ブーバー.  出現率低いうえに影薄いから地味なんだよ(w
  〈  ,イ`i  :i   |       「 ̄   >リザードン.. お前は岩に弱すぎ(ゲラ
   i :ト、 | i、   i      | `     >バクフーン. 雷P覚えなくなった雑魚はどっかいけ(プゲラ
    i | |`T| ハ  ハ      ト、|    >バシャーモ. 格闘ついたせいでよけいな弱点ついてるし(プゲラッチョ
   `ト | :|´  i i |      i`、.    >ブースター  イーブイ進化形の落ちこぼれが(藁
    Y |   V  |      `i y'.  >ヘルガー.  悪タイプのせいで虫一倍じゃねぇか(ピッ
    i   |     |       Y.   >ウィンディ  しんそくばっかで勝てると思ってるのか?(ファファファ 
    i  |      |       ト    >キュウコン  お前まともな攻撃技なさ杉(ププ   
                       >ギャロップ.  影薄い上に弱かったらどうしようもないな(^^
                       >ファイヤー  消防厨房にまで弱いといわれる雑魚は消えろ(ゲラゲラ
                      水タイプ地面タイプ岩タイプ様ライコウ様スイクン様ホウオウ様
                      すいません調子こいてました許してくださいおながいします

当時の唯一神がどのような扱いを受けていたのか、だいたいおわかりいただけるだろう。
よく見ると唯一神は自分は神と主張しているものの、他の炎ポケモンの粗探しをしているだけで何一つ自分が優れている点を証明できていない辺りも、この時代のエンテイらしい。
このエンテイネタが大ウケしてしまい、その数年後に「真・唯一神」ファイヤー*5や「唯一王」ブースターといった便乗ネタも登場し、さらに携帯電話のカメラ機能が一般化したことで昔の攻略本の「苦行ともいえる炎属性への進化」ネタが写真という形でネットで共有できるようになり、ほのおポケモンの不遇ネタに拍車をかけたのだった。

第三世代当時に唯一神エンテイを使おうと思ったら、他の炎タイプとの差別化点になりうるのは特攻と特防を上げる「めいそう」くらいである。めざ格の微妙な強さもバシャーモの登場で長所とは言えなくなった。
当時ほかに「めいそう」を使えるほのおタイプはおらず、そもそも特攻を上げる補助技を覚える炎タイプ自体がエンテイ以外皆無だったので、これは唯一神が実際唯一無二であった数少ない点と言える。
もっとも、唯一神エンテイの特殊サブウェポンは物理以上に悲惨であり、「ソーラービーム」と「かみつく」、あとは「めざめるパワー」しかない。
エメラルドでタワータイクーンリラが使用するエンテイもめいそう型であるが、メインウェポンが「かえんほうしゃ」、サブウェポンは物理技の「おんがえし」、性格は攻撃↑防御↓の「さみしがり」という、当時のエンテイのどうすんだコレ感をうかがい知れるような構成となっている。迷走型
そもそも「めいそうアタッカー」自体、当時の特殊型のポケモンとしては驚くほどありふれた型。こんなもんで強くても「そりゃめいそうが強いだけやん」とド正論で返されてしまうというとんでもないポケモンだった。
同じことをするんだったらスイクンやラティアスの方が圧倒的に強いのだからしょうがない。

また、当時のほのおタイプのポケモンの戦略としてポピュラーだったものが「特殊技にろくなサブウェポンがないため、サブウェポンが無駄に豊富な物理型に寄せ、役割破壊や最後っ屁を兼ねたオーバーヒートを持たせる」という型だった。
オーバーヒートは威力が140と高く、そこそこのとくこう種族値から繰り出されるオーバーヒートははがねタイプなどにそこそこ有用だったという理屈で、バシャーモやウインディをはじめとした物理面が優秀だったほのおポケモンはこのように戦った。
エンテイはオーバーヒートを覚えないし、覚えたとしても上述の通り物理面はぶっちゃけ一般ポケモンよりも貧弱という有様。つまり本当にほのおポケモンの中だと抜きんでて弱かったのである。

この体たらくにもかかわらず厳選がとにかく面倒なのも唯一神唯一神たるゆえんである。
リメイク赤緑エンテイは仕様上HPと攻撃以外の個体値は0固定なのでまともな個体を入手するにはコロシアムに頼るしかない。
しかし、コロシアムはただでさえテンポが悪い上に、前述の通り捕獲難易度が高い。
なので「マスターボール」を使いたいところだが、入手タイミングはちょうどエンテイ戦が終わった後と、エンテイを厳選させる気が全く感じられない仕様である。
(予約特典ディスクがあればエンテイ戦前にマスターボールを入手可能だが非常に面倒)
初戦でエンテイを倒しておいてマスターボール入手後に厳選するのも不可能。エンテイの性格・個体値等は初遭遇時に固定されてしまうためだ。
そもそも、エンテイを厳選するヒマがあるなら同じく厳選困難だったスイクンライコウをマスターボールで厳選した方が絶対によろしい

この世代で全てのポケモンが特性を持つようになったが、エンテイが獲得したのは当時伝説ポケモンに配られまくっていた「プレッシャー」であり、全く唯一性のない平凡な特性であった
後の世代ではこの「プレッシャー」を活かした型で評価を上げるエンテイだが、第三世代当時の唯一神には敵をやけどにする手段が乏しく、同じプレッシャー勢で弱点の少ないサンダーやライコウと差別化できる点に乏しかった。
むしろ、同じ炎単タイプで物理系で耐久・素早さも両方高めでついでに四足歩行という似た立場のウインディが強特性「いかく」を手に入れた事で、唯一神の特性の平凡さは目立つ結果となった。
ちなみにウインディはタマゴも作れる普通のポケモンだが、ポケモン図鑑の分類は「でんせつポケモン」であり、見た目にも実力にも違和感がないため、ジョウト地方の伝説のポケモンはスイクンライコウウインディとするネタも流行した。

なお、この世代のウインディは威嚇に加え(唯一神にはない)オーバーヒートでほとんどの型のメタグロスを確殺できる点で評価はされていたが、サブウェポンは「しんそく」と「かみくだく」くらいで、今日のように格闘やら電気やらを撃ち分ける器用さはまだ持っていない。
当時の唯一神はそのウインディと比べてもなお明らかに見劣りしていたのである。

そんな散々な扱いのエンテイではあったが、唯一、彼を(ガセネタで)貶めたオーレ地方における旅パとしての使い勝手は良好な部類。
捕獲できるポケモンの種類が少なすぎるうえ(種族的な意味で)ステータスにも難があり、しかも攻撃範囲どころかタイプ一致主力技の習得にすら難儀するポケモンが多い*6 *7今作において、中盤に捕獲チャンスが比較的高めのLvで出現しリライブ時に「だいもんじ」、Lv51と比較的現実的な段階で「かえんほうしゃ」を覚える高種族値のエンテイは強力で十分頼りになる存在である。*8 *9 *10

速攻アタッカーだが肝心の特殊技がほぼエスパー1本のエーフィは鋼タイプのポケモン全般や草・悪複合のダーテングやノクタスの処理に手間取りやすく、それらにタイプ一致の炎技で弱点を突けるエンテイは彼との相性補完ができるアタッカーとしても優秀。
対戦面における低評価の理由たるミスマッチな両刀型の種族値も、ダークポケモン時は条件を満たせば急所率が跳ね上がる無属性の物理技「ダークラッシュ」を使うには適した高い攻撃・素早さと奇跡的な噛み合いを見せる。リライブ後は「おんがえし」も有効活用できる。*11
…ただ、どちらもタイプ不一致かつ敵の弱点が突けない物理攻撃でしかないので、それらを無理に活用せずとも炎技+「かみつく」を主体にした特殊アタッカーとして使っても特に問題はない。本作に登場するポケモンの中では特攻種族値90でも十分高い方だし。
今世代においてほぼ唯一といっていいエンテイの輝ける場所であり、積極的に採用する価値はある。苦労して厳選したところで性能に難があるので、旅パ要員として割り切ってしまいやすいのである……


第四世代(ダイヤモンド・パール)の唯一神エンテイ


第四世代、ポケモン界に1つの革命が起こる。技タイプと物理・特殊の分離だ。
これまで「電気タイプ技は全部特殊」のようにタイプごとに決まっていた物理技・特殊技の判定が、
「10万ボルトは特殊、かみなりパンチは物理」のように、技ごとに決められるようになった。
これにより、「攻撃力が高いのに技タイプが特殊なのでタイプ一致技の火力が低い」という、どこかの唯一神のような悩みを持つポケモンが大量に救済された。

特にこの恩恵を受けたのが炎タイプで、威力120・命中率100%の超強力な物理・炎技「フレアドライブ」が登場。
長年種族値とわざタイプのギャップに苦しんできたでんせつポケモンウインディギャロップは本来の火力を生かせるようになり、新参のゴウカザルはこの技で大活躍する事となる。
ダメージの1/3の反動を受けるデメリットはあるものの、HPが高いポケモンであれば反動を軽減できるため、まさしくさる唯一神のために作られたような技と言えよう。

もちろん唯一神エンテイもこの恩恵を受け、新たに物理・炎技を習得!!
ついに唯一神始まったな!



……と喜んだのも束の間、エンテイはなんとフレアドライブを覚えなかった。
しかも四足歩行の体型が祟り、威力85の「ブレイズキック」も、威力75の「ほのおのパンチ」も習得できなかった。
エンテイに与えられた最強の物理・炎技は威力たった65の「ほのおのキバ」
Lv50まで上げてようやく覚えるのが「ほのおのキバ」
ほとんどのポケモンにとってはストーリー攻略の途中で使って後々「かえんほうしゃ」辺りで上書きされるだけの存在である「ほのおのキバ」が、唯一神エンテイに許された最強のタイプ一致物理攻撃だったのである。もっとほのおのキバの威力を上げた方が良かった気もするが…


不遇。圧倒的な不遇*12

唯一神エンテイ唯一神っぷりが極まった瞬間である。


ちなみに、相手の防御と特防が同じだった場合、
いじっぱりで攻撃全振り・特攻無振りエンテイの「ほのおのキバ」と「だいもんじ」がちょうど同じダメージとなる。
性格補正なし・AC全振りで比較すると、「ほのおのキバ」より「かえんほうしゃ」の方が1.2倍、「だいもんじ」の方が1.5倍ほど強い。
ただ、鋼タイプを中心に炎弱点ポケモンには特防<防御のものが多く、弱点を突くなら特殊技の方が有利。
そもそもタイプ一致「ほのおのキバ」より不一致「おんがえし」の方が威力が高いといった事情もあり、実際に「ほのおのキバ」で戦った唯一神は少数派だったのではと思われる。
こだわりハチマキ」型かつ相手が炎弱点なら他の技より火力は高くなるが、エンテイよりもハチマキを活かせる物理アタッカーはいくらでもいた。

第二世代からずっと罹患していたサブウェポン足りない症候群については、炎タイプとの補完に優れる強力な岩タイプ技の「ストーンエッジ」が追加され、ある程度解決した。
また、第三世代でネタにされた「オーバーヒート」をようやく習得した他、プラチナでは「かざんポケモン」らしく「ふんか」を取得した。
また、貴重な物理サブウエポンとして「しぜんのめぐみ」を習得している。
「チイラのみ(HP1/4で攻撃強化・草)」「カムラのみ(素早さ強化・格闘)」「ズアのみ(特防強化・地面)「リュガのみ(防御強化・)」等が有用かもしれない。
ただしこれらの点はぶっちゃけ他のポケモンももらえていた強化点であり、それどころか「こだわりスカーフ」との相性の良さで環境初期に名をはせたバクフーンをはじめ、ほとんどのポケモンはエンテイよりも一芸に秀でた強化をもらえていた。
ぶっちゃけ「フレアドライブ」をもらえるだけで十分だったのに、肝心のそれがもえらえなかったせいで状況はまったく好転しないという始末。「かみつく(威力60)」が物理技になったぞ、よかったな。

さらにこの世代から素早さ102で上から地震を撃ってくるガブリアスが登場した他、素早さに補正をかける「こだわりスカーフ」「トリックルーム」などが登場。
エンテイの上から強烈な物理技を仕掛けてくるポケモンや「だいばくはつ」による強引な役割遂行、炎タイプをその後長きにわたって苦しめる設置技「ステルスロック」の流行なども逆風となった。

一方、この世代になると「ありえないほど弱い」と思われていた唯一神をなんとか使用しようとする、唯一神の信徒による研究が進められてもいた。
その結果、仮にも伝説であり合計種族値が高いので、なんだかんだで中堅レベルの強さはある事が知られるようになった。
鍵となるのはわざマシン化した「おにび」。

実は耐久がかなり高く(弱点でもスターミーのハイドロポンプくらいなら耐える)、「リフレクター」に加えてこの世代で「おにび」を新規習得したことで物理に対しかなり強く出られるようになった。
「どくどく」をメインウェポンとする耐久型のほか、特攻も平均以上はあるので「めいそう」型であれば火力はそれなりに出る。
HPが高いおかげで「みがわり」が「ちきゅうなげ」を耐えられるのも地味においしい。
「ストーンエッジ」を搭載した二刀流もなかなか。
岩と炎の相性の補完具合は優秀で同タイプに打点のある炎は珍しく、素早さも伝説ポケモンウインディより速い100族なのもポイントである。
ただ正直、種族値をごりごりに押し付けているだけということもあって「炎ポケモンとしての戦い方ではないのでは」とあまり評判はよくなかった。環境に高いポケモンが多かったため、割とあっさり突破されるのも難点。
とはいえ、エンテイというポケモンの種族値を生かした戦法ではあり、このあたりから評価するプレイヤーが増えてきたことも事実。


第四世代後期(HGSS)の唯一神エンテイ

金銀がリメイクされたことで、ジョウト地方をウロウロ徘徊する唯一神が復活。
非常に面倒なポケモンコロシアム厳選を行わなくても、比較的エンテイを厳選しやすくなった。
とはいえ、個体値・性格決定タイミングが徘徊開始イベント直後(マスターボール入手前)であること、エンテイと同時にライコウの個体値も決まってしまうこと、そしてやっぱり強いライコウの厳選が優先されがちなことなども相まって、相変わらず優先順位は低い。

「四足歩行の炎単色」「特攻<攻撃」「フレアドライブを覚えず物理最高火力が炎の牙」と共通点が多いブースターが、唯一神の弟分として唯一王と呼ばれ始めたのは2009年頃の模様*13
第三世代の唯一神エンテイは上記のAAから見て取れる通りブースター含む全方面に喧嘩を売りまくっており、弟分を作るようなキャラではなかったのだが、いつの間にか性格が丸くなったようだ。
だが、唯一神唯一王、2匹の駄犬が首を並べてフレアドライブをおねだりする蜜月の時は、長くは続かなかった。



2010年夏。劇場版『幻影の覇者ゾロアーク』の前売り券購入特典として、突如「フレアドライブ」を覚えた色違いエンテイが配布されたのだ。
おめでとうエンテイ!やはりエンテイは神!! ENTEI is god!! ENTEI is god!!
またこのエンテイは他にも「しんそく」「ブレイククロー」「とおぼえ」を取得している。後ろ2つはともかく、「しんそく」は威力が最も高い先制技であり強力な技と言える。
性格は「いじっぱり」固定。「ようき」ではないことと、色違いかつプレシャスボール入りなのでフレドラ持ちである事が相手にもバレてしまうのは欠点。
とはいえ、フレアドライブの威力はほのおのキバの1.8倍もある事を考えれば些細な欠点と言えよう。やっと、やっとエンテイが高い攻撃力を存分に生かせる日がやってきたのである。

ただ、この時の配布はエンテイスイクンライコウの三者択一であり、このうちスイクンは耐久型ステータスと恐ろしく相性が良い一撃必殺技「ぜったいれいど」を覚えていたのだ。
この零度スイクンは、その後第七世代でナーフされるまで猛威をふるい続け、しかも再配布が一切行われなかった。*14
しかも前売り券、つまり有料配布のポケモンである。強いポケモンを選びたくなるのが人情だろう。「3枚買えば良かったのでは?」だとか「家族で3枚以上買うキッズになら関係ない」とかの意見は野暮である。
このため、ノリと勢いと唯一神信仰で色エンテイを手にしてしまった者は、環境で猛威を振るう零度スイクンの前に「俺もスイクンにしておけば…」と涙を呑んだのであった。
そもそもフレアドライブを得たところで、当時乱数調整の一般化によって増えてきた伝説環境においてはあんまり強くないのが困りどころ。どうもエンテイは「同僚が強すぎる」という点につくづく泣かされる運命のようである。
ただし、スイクンの方は一撃必殺技故に命中率とPPが少なく、HGSSでは徘徊しない為捕獲しやすい上、とくこうも高い為ハピナスなどが相手でもない限り配布でなくても十分活躍できる。

第五世代(BW)の唯一神?エンテイ

攻撃しつつ自身の素早さを上げる「ニトロチャージ」、同じく敵の素早さを下げる地面技「じならし」を獲得。
地面打点の獲得は悪くないと言えるが、ライバルの伝説ポケモンウインディは上記2つを両方覚えた上に「ワイルドボルト」「インファイト」「げきりん」等を習得して物凄い勢いで器用になり、更に同じ炎タイプに物理超火力脳筋ゴリラヒヒダルマが登場。
炎・物理アタッカーの層が厚くなったことでせっかくのフレアドライブもあまり目立たないものとなってしまった。なんという三日天下…。

ただ、ナットレイハッサムが流行して物理硬めの炎タイプの需要は増加しており、一概に逆風ではない。
特にそこそこの耐久と素早さ、そして特性「プレッシャー」を生かして相手の主力技のPPを削るエンテイ、通称「ノイテイ」はなかなかの使い勝手を有した。
なおノイテイは耐久を重視するのでHPを削るフレドラは使わない上、ぶっちゃけフレドラ型より評価が高かった。
あれだけフレドラを欲しがっておいて貰ったら貰ったで使わないとは贅沢なヤツである。
(ちなみにノイテイのメインウェポンは3割の確率で敵をやけどにする炎・特殊攻撃「ふんえん」である)

この時期のエンテイは、「唯一神(笑)」とネタにするほど弱くはなく、かといって目立って強いわけでもないという立ち位置であった。
もっともこの頃から無理やり貶そうとする層も増えてきてしまっており…。

第六世代(XY)の真・唯一神エンテイ


唯一神覚醒。

ホウオウの専用技であった「せいなるほのお」をレベルアップで習得できるようになった。
せいなるほのおは威力100・命中95・デメリットなしというハイスペックに加え、50%の確率で火傷させ物理アタッカーを機能停止に追い込めるという超高性能な炎タイプの物理技。
まさかの習得であり、「ホウオウによって蘇った」という設定とのマッチ感も抜群であり、全国のエンテイファンを狂喜乱舞させた。

元々エンテイはアタッカーの中では耐久力も高めのため、反動ダメージを受ける「フレアドライブ」よりも無反動かつ相手の物理技の火力を下げられる「せいなるほのお」の方が相性が良いともいえる。

更に低めの特防を補えるアイテム「とつげきチョッキ」の登場により、せいなるほのおで物理・チョッキで特殊を軽減する事でかなり硬いポケモンとして運用することが可能に。
まさかの大幅強化により、一気に他の三犬に勝るとも劣らない強力なポケモンと化した。
ほのおタイプ単色では最強のポケモンではないかとの呼び声も高い。
その強さとレートで唯一「せいなるほのお」をまともに使える点から、本当の意味で唯一神の名に相応しい実力を得たと言える。

2015年世界大会でベスト4に入った日本代表選手がエンテイを採用していた事からも、その優れた実力がうかがえる。
技構成は「せいなるほのお」「ストーンエッジ」「みがわり」「まもる」で、持ち物食べ残しという、ダブルバトルでありながらPP削りを重視した「ノイテイ」系の構成となっている。
前述したように「ノイテイ」のメインウェポンはやけど狙いの特殊炎「ふんえん」だったが、物理技でやけど5割の「せいなるほのお」はエンテイの種族値と完全にマッチしていることも理由だろう。

ただしPP5(最大で8)と少ないことと命中95な点は明確にフレアドライブに劣る。
反動覚悟で命中安定を求めるかはプレイヤー次第だろう(入手の難しさもあり採用率は低いが)。

+ ちょっとアレな話
本記事でも書かれてしまい、コメント欄でも過去のコメントにあるが、この「せいなるほのお」追加という強化に対して
当時から「強くなったエンテイはエンテイじゃない!」という目を疑うような書き込みが散見されていた。
過去には「せいなるほのおなんて追加されたら誰でも強くなるに決まっている」「古参は誰も歓迎していなかった」という内容で書かれていた。
ネタポケから脱却したら空気になったので間違いだった」という信じられない書き込みも多数あり、コロシアムの「じしんでしばしば自滅」と合わせて「エンテイはやられ役にするべき」という酷い空気でもあった。
そうした層が「古参」を自称して幅を利かせていた時期(ニコニコ動画などネットで触れただけのライト層が増えていた)でもあり、
現在でもこうした層は(ポケモンに限った話でもなく)嫌われている。

前述したようにアタッカーとしてはともかく「ノイテイ」といった耐久型として元々評価されていたので「弱いのがエンテイの個性」というのも間違いである。

第七世代(SM)のエンテイ

引き続き唯一の「せいなるほのお」の使い手で、使い勝手は第六世代から変わらず。
やけどの追加ダメージが最大HPの1/8から1/16に減ったのが一応の弱体化ではあるか。
USUMでは教え技で「じならし」より威力の高い「じだんだ」を習得。
ヒードラン等「もらいび」持ちに炎技を無効にされていた場合は倍の威力で撃てる。

またライコウ・スイクン共々、VC版金銀の配信によって隠れ特性「せいしんりょく」が初解禁された。
「プレッシャー」は場に出た時にメッセージが出る特性なので、メッセージが出なければ「せいしんりょく」確定である。

第八世代(剣盾)のエンテイ

剣盾ではDLC『冠の雪原』で他の伝説のポケモンと共に登場。
今作で配布産限定だった「フレアドライブ」「しんそく」をレベル技やマシン技として習得することが可能になっており、技の選択肢が大きく増えた。
一方で「ニトロチャージ」や「どくどく」がわざマシンレパートリーから削除。とくに「どくどく」没収は耐久型にとって大きな痛手となった。
またとくせいパッチの登場によって、特性「プレッシャー」の個体も「せいしんりょく」に変更できるようになった。
剣盾から「せいしんりょく」に特性「いかく」を無効にする効果が追加されたので、基本はこちらが優先されるだろう。
ダブルバトルで跋扈している「ねこだまし」の怯みや「いかく」を無効化できるようになったことから、以降はダブルバトルが主戦場となっている(シングルでもそこそこ活躍はしている)。

またこれはエンテイ本体の性能とはあまり関係ないが、「ダイマックスアドベンチャー」では格段に入手しやすい
技構成が「かえんほうしゃ、こわいかお、しんそく、かみくだく」と火力が高いものが無く、HPが減って使用する技も「かえんぐるま」とやさしめ*15
長期戦になると厄介な「プレッシャー」持ちなことだけは注意だが、ほのお単なので弱点を突けるポケモンを素直に揃えるだけでなんとかなるので、NPCのみの周回でも勝率は高い。
時間に余裕があれば再戦で色違いの厳選も狙ってみるのもいいだろう。

ランクバトルシーズン20ダブルバトルでは、使用率30位を記録している。
2021年7月終了時点の記録である。第二世代から苦節20年8ヶ月にしてようやく環境入りを果たしたと言える。
そしてシーズン21になると、エンテイの「せいなるほのお」を活かせる「ひでり」持ちのグラードンを使うことができる禁止級伝説あり、こだわり系アイテム持ちが相対的に強くなるダイマックスなし、というルールを味方に付け、使用率13位まで大躍進。
シーズン22に至っては、ゴリランダーザシアンアマージョモロバレルエルフーンと、有利なポケモンが使用率10位以内にいたことから、使用率5位ともはやトップメタと言うべき活躍を果たしている。

第九世代(SV)のエンテイ

SVではDLC『藍の円盤』にて解禁。
「くさわけ」を新規習得、「ニトロチャージ」と「すてみタックル」を再習得した一方、「アイアンテール」と「リフレクター」が剥奪された。
技方面はさほど変わりない一方で、テラスタルとの相性が良く、「しんそく」をタイプ一致で撃てるようになった。
同じことができる上に特性も被るカイリューと競合するが、こちらはフェアリーやこおりに強いので他のドラゴンと併用しやすいのがメリット。

解禁直後のシーズン14ではシングル29位、ダブル11位と前作から続き準トップメタとも言える活躍をしている。
特にダブルバトルではパオジアンと並べて先制技でゴリ押すPTが流行しており、カイリューと違ってフェアリーが一貫しない点を活かせ、禁伝が解禁後はシングルの使用率が落ちてしまうもダブルでは高い水準の採用率を誇っている。
もちものはシングル、ダブル問わずハバタクカミ対策を意識したとつげきチョッキが多い。
テラスタルはダブルではゴースト技対策とカイリューよろしく「しんそく」の強化を狙ったノーマルが、シングルでは環境に蔓延している地面対策に草タイプがメジャー。シングルの草テラスタルの場合は水・地面への打点としてテラバーストの採用率も高い。

そしてその真価はポケモンワールドチャンピオンシップス2024で証明された。特にシニアカップでは「せいなるほのお」で高火力+火傷を押し付けつつ、ノーマルテラス+「しんそく」で素早い相手を牽制するなど縦横無尽の働きを見せ、チームの準優勝に貢献している。

また、パラドックスポケモンとして新たにドラゴンタイプ複合となったエンテイとそっくりなウガツホムラが登場した。あちらは「じしん」や「かみなりのキバ」など使いやすいサブウェポンを覚える一方で「せいなるほのお」や「しんそく」は覚えないため、棲み分けは十分できている。

総評

とにかく時代に翻弄されたポケモン。
第四世代までは皮肉を込めて唯一神呼ばわりされていたが、今日のエンテイは聖なる炎を操る掛け値なしの唯一神である。
今日エンテイのことを唯一神と呼ぶ者が居たら、それは第四世代で知識がストップした浦島太郎か、
あるいはかつての唯一神だった頃の名残でエンテイを懐かしむ古参のプレイヤーであろう。


「せいなるほのお」の性能がとにかく優秀で、ミミッキュの「ばけのかわ」をひっぺがしたりしながらやけどを押し付ける事が可能。
相性の良いポケモンに交換して受けても、炎タイプ以外は50%の確率でやけどさせて後に影響を残せるのでゴリ押しが効く。
物理技では珍しい非接触技なので、接触技を使うと「キングシールド」で攻撃力を下げてくるギルガルドを安全に燃やすことが可能。
物理・炎タイプによくある「ナットレイをフレアドライブで焼いたけど反動とてつのトゲでHP半分持って行かれる問題」とも無縁である。

ちなみに「せいなるほのお」の技アニメはどう見ても火を吐いており一見物理技に見えないが、第二世代では「かえんぐるま」の上位版というべき技アニメだった。
そのためかえんぐるま同様に自分のこおり状態も解除可能。これを知っていれば物理技という扱いにも納得が行くかも。
そうなると非接触技扱いなのが納得行かなくなるけど

「せいなるほのお」「しんそく」以外の物理技としては、「ストーンエッジ」「じならし」が有力なサブウェポン
共に相性補完に優れ、前者は命中率は低いが威力と急所率が高く、後者は威力は低いが相手の素早さを下げる追加効果が優秀。
…というか、火山ポケモンなのに「じしん」とか「がんせきふうじ」を覚えられないので、これくらいしか選択肢はない。

「せいしんりょく」による怯み・威嚇無効&炎タイプによるやけど無効で、アタッカーとして機能停止しにくいのも魅力である。

持ち物としては、特防を強化しタイマン性能を飛躍的に向上させる「とつげきチョッキ」が筆頭候補。
また、「こだわりハチマキ」なら「せいなるほのお」でHP極振りギルガルド(シールドフォルム)が確定1発。
さらに「いかく」込みHP極振りメガクチートに対しても中乱数(火傷ダメージ込なら確定)1発となる。

アタッカーとしての能力が強化された後も耐久型としても重宝されている。
素早さ100+を呼びにくい炎+高耐久+「プレッシャー」からの「まもる」「みがわり」、「どくどく」と「せいなるほのお」の撃ち分け。
この型は「せいなるほのお」未解禁の頃から「配布型より強い」という声も多く聞かれていた。
何をやっても他のポケモンに見劣りした昔とは違い、アタッカーでも耐久型でも独自の強みを出せるようになったことで種族値のバランスの良さも活きるようになったといえる。
ただし、先述の通り「どくどく」は剣盾で没収されてしまった。

「プレッシャー」でPPを削る型があるのは先述のとおりだが、エンテイ自身も「せいなるほのお」「しんそく」「ストーンエッジ」と主力技のPPが少ないものばかりであり、プレッシャー型のポケモンにメチャクチャ弱い。
また近年の作品ではカプ・レヒレも天敵で、相性が悪いみずタイプ、ミストフィールド生成でやけどにならない上、カプ・レヒレ自身を倒すか交代させるか、してもミストフィールドが残るので「せいなるほのお」の5割やけどという長所を潰されてしまう。

余談

  • 時折「エンティ」(小さいィ)だと勘違いしている人が居るが、大きいイの「エンテイ」が正しい。
    漢字で「炎帝」と書く事を覚えておこう。

  • 穴久保版のエンテイは語尾に「ライ」を付ける。ライコウと間違えたのだろうか?

  • 唯一神ネタ全盛期の頃はポケモンの名前は5文字までだったため、「ゆいいつしん」という名前をエンテイにつけることができなかった。
    やむなく当時のプレイヤーは「ゆいつしん」にするか、「ゆい1しん」「ゆいーしん」といった代替手段を取っていた。
    第六世代で6文字名前が解禁されたため「ゆいいつしん」命名が可能となり、第七世代では中国語表記が可能になったため「唯一神」と名付ける事が可能となっている。

  • 体験版 ポケットモンスター 金・銀の内部データには、製品版のエンテイに相当するであろう「エン」というポケモンが収録されている。
    こちらは特攻種族値が125もあるので、このままなら唯一神扱いを受けることはなかったと思われるのだが。

  • 「唯一神」という言葉自体の元ネタは、当時ネット上でカルトな人気を誇ったいわゆる「泡沫候補」の政治家*16・又吉イエス氏。
    彼は自らを「唯一神又吉イエス」と名乗り、国会議員選挙のたびに出馬しては著名な政治家を「腹を切って死ぬべきである」「唯一神又吉イエスが地獄の火の中に投げ込む者達である」と批判する派手な政治演説で知られた。
    実際、第三世代の唯一神ネタ全盛期には、エンテイがスーツを着て他のポケモンを又吉氏風に批判するAAが流行している。
    又吉氏はエンテイが唯一神でなくなった後も唯一神として選挙への出馬を続けたが、惜しくも2018年に世を去った。


かつて唯一神だったエンテイを懐かしむキミの追記と
真の唯一神と化したエンテイと共に戦っているキミの修正を
エンテイはやけたとうの地下で待っています。

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最終更新:2025年09月19日 20:24

*1 本来30bitからなる個体値の情報が下8bitしか変動しない。HPは0〜31までパターンがあるが、攻撃は0〜7まで。それ以外は全部0固定

*2 クリスタルの発売後はスイクンはれいとうビーム、ライコウは10まんボルトを習得できるようになり、対戦においての評価は明確にエンテイを上回っている。

*3 互換切り後も第二世代の環境に残っていた人々

*4 なぜか炎タイプの中でエンテイとブーバー系だけ習得不可であった

*5 ただしポケモンをあまりプレイしない層が「にらみつける」ネタを擦っていただけで、当時の……というか第二世代以降のファイヤーは十分戦える性能だった。むしろ初代最強だったフリーザーが悲惨なことになっている。

*6 例をあげるとアリゲイツとベイリーフは威力減衰率50%の範囲打点である「なみのり」「はっぱカッター」で最終盤まで戦うことになる。自力でまともな一致技を覚えるポケモンはエーフィ、マクノシタ、モココ、ヌオー、ヘラクロス、エアームド等ごく一部に限られ、マンタインの「バブルこうせん」やオオタチの「かいりき」が上澄みの部類

*7 「ならわざマシンで補強すればいいじゃない」と現行世代のポケモンに慣れ親しんだ人達であれば思うかもしれないが、当時のわざマシンは消耗品であるうえに「じしん」「シャドーボール」を筆頭にシナリオ1回につき1回しか入手できない貴重品が多すぎる上、それを対戦用ポケモンに回したいのであれば、おいそれと使えないのである。割り切って使おうにも「つばめがえし」「オーバーヒート」など、一部のわざマシンとすべてのひでんマシンは入手すら出来ない。

*8 炎タイプのダークポケモンはエンテイ含め4匹いるが…素早さを始めとしたステータスが低く、進化すると4倍弱点2つ持ちで扱いが難しくなるマグマッグ・強力なアタッカー枠として使えるもののスナッチできるのがラスボス直前の連戦と遅すぎるヘルガーと問題点が多い。

*9 唯一対抗馬たりうるマグマラシはエンディング前だと三者択一であり、フェナスシティでスナッチしなかった場合はエンディング後までお預け=使用すらできなくなってしまう。マグマラシ(と進化形のバクフーン)は「かえんほうしゃ」の自力習得がエンテイよりさらに遅いという問題点もあるが、景品から「わざマシン35(かえんほうしゃ)」を入手して早期習得させたり、それが面倒なら初期技の「かえんぐるま」・店売りの「わざマシン38(だいもんじ)」で頑張るという手もある。

*10 では店売りで入手が容易な「わざマシン38(だいもんじ)」の習得者はどうなのかといえば、不一致で覚えられて能力的に活用できそうのはオクタン、ノコッチ、チルタリス、グランブル、フライゴンでこちらも少ない。世代を経るにつれて旅パ評価が上昇傾向にあるフライゴンも第3世代当時はレベルアップ技がショボく、一致の地面技は「すなじごく」のみという有様。一品モノで対戦用に持って行きたい「じしん」のわざマシンを使わない事には戦力化が難しい。

*11 ただし今作のわざマシンは店売り品、景品、バグで無限入手が可能な「きあいパンチ」を除きすべて一品モノである為、「おんがえし」もまともな攻撃力を持つポケモン達で取り合いになる点には留意。

*12 似たようなポジションのポケモンに、ワイルドボルトが存在すらしていなかった時期のレントラーがいる。ところでレントラーは序盤ポケモンである。

*13 ニコニコ動画でのバトレボ実況の流行が佳境を迎えた時期

*14 そのために改造の温床となるが、それはまた別の話。当時はこの手のチートを非常に行いやすく、第三世代は「孵化・厳選作業が拷問級かつGBAのチート対策がガバガバなので非常に手を出しやすい」、第四・五世代は「有料配布ポケモンがあまりにも多かったのでチートを使うことで得られる利益が大きい」と、チートの温床になってしまっていた。

*15 仲間のスイクンとライコウも同様に対処しやすい構成になっている

*16 大政党に属さず、選挙に出馬はするが当選はできない政治家