テツノワダチ

登録日:2022/12/07 Wed 02:42:12
更新日:2024/09/02 Mon 00:17:44
所要時間:約 3 分で読めます






ドンファンという ポケモンに
似ているような気が するが
体の質感や 移動方法など
生物的に 全く 異なる。
まるで あれは 鉄の轍だ。

―バイオレットブック「エリアゼロの怪物」より


※SV終盤のネタバレを含むため、未プレイの方は注意!※















『ウィ・ルドン・ファー!!』



近年 目撃例が ある。 古い 探検記に 記された 謎の 物体に 似た ポケモン。

オカルト雑誌が 紹介した 宇宙人が 送り込んできた 科学兵器に よく 似ている。



テツノワダチとは、「ポケットモンスター」シリーズに登場するポケモンの1体である。


■データ

全国図鑑No.986
分類:パラドックスポケモン
英語名:Iron Treads
高さ:0.9m
重さ:240kg
タマゴグループ:タマゴ未発見
性別比率:性別不明

タイプ:じめん/はがね

特性:クォークチャージ(ブーストエナジーを持っているか、場がエレキフィールドのとき、自分の最も高い能力が上がる)

種族値
HP:90
攻撃:112
防御:120
特攻:72
特防:70
素早さ:106

合計:570

努力値:防御+3

進化:なし


■概要

ポケットモンスター バイオレット」限定で登場するポケモン「スカーレット」限定で登場する「イダイナキバ」とは対になっている。
「バイオレットブック」にて記されているポケモンで、その姿は「金・銀」で初登場したよろいポケモン・ドンファンと似たような姿をしている。

その実態は本来この時間軸にいるはずのないポケモン、通称「パラドックスポケモン」の未来種の1種で、ドンファンの遥か未来の姿と考えられる存在。
まるでドンファンが機械化されたような外観で、鉄球に足の生えたような、全体的に丸っこいフォルム。現代種よりも一回り小さいくせに、重量は2倍にも及ぶ
鼻と尻尾(のような部分)と背中がつながったようなベルト部分はそのままに、鼻部分と繋がっていない小さな丸顔、牙パーツのつき方ものそれとはかけ離れていると、ドンファンとは似ても似つかない顔つきをしているのも特徴。
液晶状のギロ目の下には腹話術人形のような開き方をする口があり、その口から食事する際の姿はまさに異様と言える。

ドンファンのように体を丸めて転がるように移動するのだが、本体は微動だにせずベルト部分だけを回転させるという衝撃的なモーションにアインラッドを思い浮かべたプレイヤーも多いであろう。
(ちなみに体の一部である外側のベルトだけ繋げて回転させるという、より仕組みが近いものとしてその作品の外伝漫画に登場したビブロンズなんてのもいたり)
過去の事例で襲撃を受けた際も、突撃してきた後の地面が深く削れて焼け焦げた跡が残ったというほどであるから、ベルトの赤く発光する部位は相当の高熱であると考えられる。
この性質から、「鉄の(わだち)(※轍:車輪の跡)」と仮称を与えられ、それが改名されないまま現在のポケモン名として定義されている。

基本的に好戦的で冷酷な性質。スカーレットのイダイナキバと同じように、遭遇した探検隊が致命傷を負わされたという記録まで存在する。
最近ではパルデア地方の乾燥地帯でも目撃されているようだが…


■ゲームでのテツノワダチ

ゲーム序盤でペパーから見せてもらったバイオレットブックにてテツノワダチの項目を見れるのだが、実物を拝見できるのは意外と早い。
なにしろ、基本的には必ず通ることになるロースト砂漠にて、『土震のヌシ』と呼ばれる巨大な個体が君臨しているのだ。
この砂漠はスパイスを追うレジェンドルートを後回しにしていたとしても、チャンピオンロードのシナリオとして必ず通ることになっており、
また(順当にレベルの低い順に挑む場合のルートである)セルクルタウンからカラフシティへは山を越えて下っていく道であり、高所からロースト砂漠を見下ろした際にドンファンのような大型の何かが砂漠を疾走する姿を見ることになるだろう。
ヤツが高速で砂漠の中を走り回っている光景は誰もが驚愕すること請け合い。

ロースト砂漠の野生ポケモンのレベルは進化前が20代、進化体として30代半ばもいるが、ヌシであるテツノワダチのレベルは45とそれよりもかなり高い。
レベルだけで言えば6つめのジムリーダーの手持ちをやや超える強さとなっている。
バッジ4つめとしてカラフジムに挑戦する道すがらで挑むこともできるが倒すのは厳しく、1番目のセルクルタウンジムから道なりに進んだ結果でいきなり飛び込むのは非常に危険。

もし特性「じきゅうりょく」のバンバドロを育てていれば、タイプ相性に加えて高い物理耐久と特性による防御力強化によってある程度レベル差があっても優位に戦える。
どうしても消耗覚悟してでも挑むというのであれば、特性ががんじょうジオヅム・キョジオーンがオススメ。
なんたってはがねタイプであるため、「がんじょう」で1発耐えてしおづけにしてやれば割合ダメージを活かして4ターンで確実に倒せるからだ。

ヌシポケモン戦で一度戦闘して追い詰めた後、スパイスを食べて強化された状態でペパーと共に最終決戦となる。
ペパーはほのおタイプを持つスコヴィランを繰り出してくれるため、イダイナキバよりは優位に戦いやすい。
とはいえ撃たれ弱いスコヴィランの耐久ではやはり2〜3発で沈むので、フォローは忘れずに。
見事に撃破してひでん:すぱスパイスを獲得すれば、その効果でミライドンがライド技「かっくう」を習得し、行動範囲が広がる。

その後はこの「ヌシだった」テツノワダチが砂漠内で佇んでおり、話しかけるとゲット戦となる。
特別な証持ちと6U固定の上、何よりも最終シナリオ突入前にパラドックスポケモンをゲットできる唯一のチャンスなため、是非ともゲットしておきたい。
当初は捕まえずに倒してしまうと二度と復活しないという仕様だったが、その後のアップデートで捕まえずに倒した場合はゲーム内時間で1日経過すると復活するようになった(これは他のヌシポケモンも同様)。
ちなみに近所には野生のドンファンもいるので運が良ければツーショットが撮れる。

最終シナリオの舞台となるエリア「エリアゼロ」にも多数生息しており、そこで彼ら「パラドックスポケモン」についてを知ることになる。
なお、そのエリアにはパラドックスポケモンが出ていかないようにバリアを張っていたのだが、少ないながらもそのバリアを抜け出して外部に進出した個体がいる模様。その中の1体が後の「土震のヌシ」である。
エンディングを迎えた後は、エリアゼロ全域に一般個体が出現。色違いや二つ名を狙うなら必然的にこのタイミングとなる。


■対戦でのテツノワダチ


第二世代のハガネールから始まる通算5匹目のじめん・はがね複合。
しかしSV初期では先輩たちが軒並みリストラされていた為、該当する複合タイプはこのテツノワダチのみだった。その後『藍の円盤』でドリュウズ、アローラダグトリオが登場し固有の複合タイプではなくなった。

ステータスはドンファンと比較してHPと防御は据え置き。攻撃を少し下げた代わりに特攻・特防・素早さが引き上げられている。
こと素早さに関しては元となったドンファンの1.5倍ほど素早く、あのガブリアスよりも素早いと言う、見た目の割にとんでもない事になっている。

ドンファンと違い「がんじょう」を持たないが、代わりに弱点4耐性10から来る優秀な耐性が持ち味となっている。
とはいえ弱点の水・炎・格闘・地面はメジャーなタイプであり注意が必要。

メインウェポンは「じしん」を始めとした各種じめん技で最低限揃っている。
はがね技はそこそこの速さから怯みも狙える「アイアンヘッド」で事足りる。
「ヘビーボンバー」も覚えるが、(ドンファンより重いとはいえ)240kgでは最大威力を出せるポケモンが限られるのが悩みか。

また、SVでは唯一の「アイアンローラー」の習得者となっているが、フィールドを張るお膳立ては必須。
一応自力で「エレキフィールド」を習得できるがそこまでして採用する価値があるかは未知数。

サブウェポンもドンファン譲りで、各種いわ技を始めとして「こうそくスピン」「はたきおとす」「ボディプレス」「アイススピナー」が揃う。
更に現代種と違い「ワイルドボルト」「メガホーン」「しねんのずつき」……と、やはりドンファンの系譜らしくなかなかに器用かつ幅が広い。
また、でんきタイプでないにもかかわらず交代技の「ボルトチェンジ」を覚えるという珍しい特徴を持つ*1
火力はお察しだがサイクル戦で大いに機能するので採用価値は十分にある。

一方で現代種が覚えた「こおりのつぶて」や「がむしゃら」や「じゃれつく」を覚えなくなってしまっており、先制技を覚えないのが痛い。
「じゃれつく」は古代種の方は覚えるので、時を経た過程で慣れ合う事を忘れてしまったのであろうか……?

変化技は起点作りの「ステルスロック」が優秀。
「ボルトチェンジ」「はたきおとす」「がんせきふうじ」等と併せて、先発出しでのサポート運用で強力に機能する。
一方積み技は「てっぺき」程度しかなく、火力が補強しづらいのは残念。

同タイプのアローラダグトリオとドリュウズとの競合があり、2体と違って一撃技を覚えないがタイプ相性補完のいい氷技を覚える点や耐久面の高さなどで差別化は十分に可能。
道具候補は並の特殊耐久を補う「とつげきチョッキ」、フィールド無しでも特性を発動する「ブーストエナジー」辺り。
ちなみに、なぜか「こらえる」を覚えないと言う謎の特徴がある*2

特性は他の未来パラドックスポケモンと共通の「クォークチャージ」で専用アイテムの「ブーストエナジー」を持たせるか場をエレキフィールドにすることで
自身の最も高い能力を伸ばすことができる。素早さインフレの激しいSV環境では基本的にSを伸ばすことになるだろう。

一方でSVシングルでの対戦環境において、禁止伝説が解禁されるシーズン18~21になるまではっきり言って中堅クラスの強さであり使用率は振るわなかった。
その要因として2つあり、まずSV環境における地面タイプは超激戦区なのである。

現に禁止伝説が解禁されるシーズン17を見ると地面タイプだけで上から


さらにドオーカバルドンに原種のガチグマ、ドリュウズなど強力な地面タイプが揃っている。
役割が違うとはいえ、はっきり言ってこれらを押しのけてまでテツノワダチを採用する必要性は薄かったのである。

さらにテツノワダチは専用の持ち物である「ブーストエナジー」を持たせることで特性を発動させられるのだが、
この「ブーストエナジー」も取り合いが激しく(同じアイテムはパーティに1つまで)、テツノワダチに持たせるのなら他のポケモンに持たせたい状況であった。

かといって特性を発動させるために「エレキフィールド」を活かそうにも、「エレキメイカー」で場を整えられるカプ・コケコはまさかの出禁。バチンウニは流石に力不足。
技で場を整えるようも、それを行うのに必要なリソースがリターンに見合わない。

本人が弱いわけではないのに、周りが強すぎて不遇であった・・・

転機となったは禁止伝説がパーティに1体まで解禁されるシーズン18、レギュレーションGの到来であった。
なんとコイツ、トップメタの禁止伝説であるミライドンに対してかなり強く出ることができるのである。

ミライドンは電気ドラゴンの複合タイプで、専用特性「ハドロンエンジン」を持つ。これは

  • 登場時に場を「エレキフィールド」に塗り替える
  • 「エレキフィールド」下で自身の特殊攻撃力が上昇させる

という2つの効果を複合した強力な特性である。
おまけに「エレキフィールド」下では電気技の威力も上がるため、ミライドンは超高威力の電気技を放つことができる。
そのため、レギュレーションGでは電気技の対策はかなり重要なポイントであった。

そこで注目されたのがテツノワダチであり、

  • 相手のミライドンの「エレキフィールド」を逆に利用でき、こちらは地面技で相手の弱点を突くことができる
  • ミライドンの採用率の高い技のうち、電気技を無効・ドラゴン技とマジカルシャインを半減と耐性で受けられる

つまり、ミライドンに交代で後出しつつ、エレキフィールドを逆利用して加速し上から弱点となる地面技をぶち込める個性を得られたでのある。
ミライドン側にも「オーバーヒート」や水テラスからの「テラバースト」といった打点は存在しうるため、完封は出来ないが圧力をかけることが可能であった。

実際にミライドン解禁前のシーズン15~17からミライドン解禁後の18~21まで、シングルにおけるテツノワダチの使用率の推移をみると
145位→138位→81位→66位→39位→21位→23位とミライドンキラーとして面目躍如の活躍を果たした。


■余談

  • どう見ても象とは微妙にかけ離れた顔つきではあるが、鳴き声自体は(機械音が混じっているが)ほとんどドンファンのそれである。
    赤色が目立つのは進化前のゴマゾウに由来している。

  • ちなみにヌシ戦で字幕表示されるフィールドでの鳴き声は、英語の未来形の助動詞「will」 + ドンファンに由来するものと思われる。

  • 未来パラドックスポケモンはメカニカルな外見の者が多いが、はがねタイプ持ちは10種中2種しかいない。DLC発表まではこのテツノワダチ1種のみだった。


『ウィー! ルドン!(追記・修正 オ願イシマス)』


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最終更新:2024年09月02日 00:17

*1 SV登場ポケモンではフォレトスとテツノワダチのみ。

*2 「こらえる」を覚えないポケモンは他にイダイトウがいるが、こちらはバスラオの時点で覚えさせれば使用可能