殺島飛露鬼(忍者と極道)

登録日:2020/01/14 Thu 17:46:00
更新日:2025/09/24 Wed 22:39:50
所要時間:約 21 分で読めます


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GA THEE MICHELLE GUN ELEPHANT めんどくさくて大人気ない男 アジテーター アダルトチルドレン イケメン オールレンジ攻撃 カルト教団 ガンマン ゾクガミ チャラ男 テロリスト ネットミーム バツイチ ヤクザ ヤンキラー ヤンキー 一周回って愛すべき外道 不良 世界の終わり 二丁拳銃 伊達男 兄貴分 全部忍者が悪い 名悪役 地獄への回数券 子安武人 家庭崩壊 帝都高速道路 忍極 忍者と極道 悪のカリスマ 情愛大暴葬 愛煙家 放火魔 暴力団 暴走師団聖華天 暴走族 暴走族神 架空の組織 極道 極道技巧 極道車 殺島飛露鬼 犯罪組織 狂弾舞踏会 破壊の八極道 社会の犠牲者 社会悪 美形悪役 若頭 跳弾




子供(ガキ)忍者(テメー)に…“大人(オトナ)”の厳しさ神託(おしえ)てやろう



殺島(やじま)飛露鬼(ひろき)とは『忍者と極道』に登場するキャラクター。


●目次

【プロフィール】

年齢:39歳
生年月日:1981年2月1日
身長:183cm
体重:78kg
好きなもの:自分を好いてくれる人と遊ぶこと、セブンスター、チャンプロード、娘の花奈


【概要】

東京で破壊の限りを尽くす極道陣営第2の刺客。
帝都高(テトコー)の"生きる伝説(リアルレジェンド)"」「不良(ヤンキー)界の神性(カリスマ)」「暴走族神(ゾクガミ)と数多の異名を持つ『破壊の八極道』の1人で現講男會傘下長沢組若頭。
薄紫色の波打つ髪を持つホスト風の絶世の美貌の優男だが年齢はこう見えても39歳。そしてバツイチ。

その正体はかつて日本中の暴走族・走り屋を傘下に収めた『暴走師団 聖華天』初代総長という伝説的元暴走族。
10万を超える配下を率いて東京の帝都高速道路を暴走し、機動隊すら蹴散らし警官とパトカーの屍の山を築いた。

中学生時代はエアマックス95やゴローズのネックレスとヴィンテージ古着のシャツを身につけていたが、それらは全て殺島ファンのマダムやお姉様達からのプレゼント。
事あるごとにお高い品をプレゼントされるので、時々それを売って実家の家計の足しにしていたらしい。


【人物】

一人称は「オレ」だがルビが入ると(オレ)となる。
笑顔が絶えない大の女好きで、言動は軽薄気味だが仲間想いの情に厚い性格。
特に自身が率いた聖華天への愛着は深く、仲間を「家族」と呼んでいる。
礼儀もキッチリ弁えており、自分より年下だが立場が上である夢澤に対しては夢澤が自分に敬語を使うことをやんわり諌めるという社会人らしい気配りも効く。
ただし極道の例に漏れず身内以外には非道。

暴走行為を「日々の辛さや退屈をブッ飛ばしてくれる夢の世界」と定義しており、ストレスは帝都高速道路をドライブすることで発散するのが趣味。
生粋の女好きであるが、『花奈(はな)』という女性に操を捧げてるらしく、デートもSEXもせずバードキスだけに留めるというポリシーを持っている。
『花奈』に報いるための本人の最大限の努力らしいが、初対面の女子だろうと秒でキスはする。逆を言えば「キスだけならば浮気にならない」というのが本人の認識。
義理人情にも厚く、暴走族時代には自分を一度逆ナンした女を助けるためだけに単身敵対している暴走族の集会に乗り込んだ逸話や、以前死闘を繰り広げた対立暴走族すらも魅了して仲間に引き込んだ逸話を持つ。

生まれは母子家庭であるが、中学生の頃に母親を病気で亡くしている。
実家であった自営業の店舗跡を見て殺島は暖かく優しく帰宅した息子を出迎えてくれた母親を回想しており、その回想に浸っている際に殺島は母を悼んでいる等親子仲は良好であった事は確か。
この事から殺島は最も親しく尊ぶ関係を持つ者を『家族』と定義するようになり、それが聖華天への強い愛着の元となる。

ガムテからは本人の人心掌握能力……及び暴走(ゆめ)を奪われたものとしてのシンパシーもあってか「殺島の(あん)ちゃん」と慕われており、夢澤とは同じく『家族』を愛する者という事もあってか『殺島さん』『夢澤の組長(ダンナ)とそれぞれが敬意を払う関係を取っていた。
極道(きわみ)のことは極道(ボス)と呼び、その恩義から最大限の敬意を払っていたが、上記の親子関係に対する思い入れからガムテとの歪な親子関係までは孔富に諭されるまで苛烈な児童虐待にしか思えずやりきれない表情を浮かべていた。

戦装束はピンク色の特攻服とイエス・キリストの茨の冠を思わせる有刺鉄線の鉢巻。
刺青は背中の中央に聖華天のエンブレムを入れ、右胸に「聖」、左胸に「華」の一字。
右上腕部に「暴走羅愚那録」、右前腕部に「零震愚」の文字と現役当時の(と思われる)愛車の絵。左上腕部には「聖華天」を直訳した「GOD FLOWER HEAVEN」、左手首にブレスレット状にした有刺鉄線の絵を入れている。またバラやひまわり等の様々な花の絵がワンポイントで入っている。

【戦闘能力】


麻薬(ヤク)の力で動体視力強化ッ精度も“激増(バリバリ)”よ
オラァ忍者攻勢(ギア)アゲんぞ!!!


実力自体は八極道の中でも下から2番目と下位だが、それを補って余りある絶大な神性(カリスマ)の持ち主。
人柄で好かれるカリスマ性は八極道トップクラスという天性の人誑しで、上述したように聖華天の全盛期は10万人を超える少年少女たちを従えていた。
聖華天が解散し、一部構成員が日本を離れてしまった2020年でも、生き残った5万人の部下をたった2日で東京に集結させてみせたほどの影響力を誇る。
そのカリスマ性を生かした高い扇動技術も併せ持ち、極道(きわみ)「彼らを酔わす最も強い麻薬(ヤク)」「殺島飛露鬼という存在そのもの(・・・・・・)悪童(ワルガキ)は酔うのだ!!」と殺島の神性(カリスマ)をたとえている。

戦闘では回転式拳銃を得物とする二丁拳銃使いで、跳弾を自在に操る超人的な射撃技術と洞察力、動体視力を誇る。
地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)」の強化は動体視力が主で、射撃の精度向上をもたらしている。

武装

  • 拳銃
殺島のメイン武器。ド派手なピンク色に染められた大型回転式拳銃。
作者によれば使用する銃弾は高熱に強いタングステン合金で加工されているため陽日の異能でも無効化はできないとのこと。
弾切れを起こすと躊躇いなく銃を捨てるが特攻服には大量の拳銃の予備を仕込んでいる為弾切れの心配もない。


極道技巧(ごくどうスキル)

  • 狂弾舞踏会(ピストルディスコ)
宙舞う“破片(ガレキ)”に“跳弾(チョーダン)”かます!!!
変幻自在ッ!!!3次元の弾道が敵を討つ!!!

死出の弾丸に踊って死ね…忍者!!!

宙を舞う無数の瓦礫に弾丸を跳弾させ続け、3次元の弾道で攻撃する変幻自在のオールレンジ攻撃
加えて銃弾を回避しても地面に当たった弾丸が更に瓦礫を増やして跳弾先を増やし、弾道をより変幻自在且つ複雑なものに変え続けていく。

地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)をキメてない状態でさえも、走ってる車から後続車のガソリンタンクに正確に跳弾させた二発の弾丸を直撃させ、しかもタンク内で弾丸同士を跳弾させる事で起きた火花によりガソリンを爆発させる絶技が可能。
帝都高に施された"高機能舗装"*1は、瓦礫を作りやすいことからこの技巧との相性が抜群で、暴走族時代はこの技で抗争相手や警官と渡り合った。
煙幕を併用すれば、あたかも複数人の敵が銃を撃ってきたかのようにも錯覚させることも可能となる。

扱うためには「跳弾点を秒で見極める洞察力(ドーサツ)「0.01ミリ単位で弾を当てる狙撃力(ソゲキ)が重要。
逆に言えば、肝要なのはあくまでその二点だけであり、カンストに近い身体能力が必要な技巧ではない。つまり、元々それだけの技能を持っている人間ならば再現も可能*2
二丁拳銃での射撃を継続できないと攻撃力・制圧力が大幅に低下するのが難点。

元ネタは『THEE MICHELLE GUN ELEPHANT』の楽曲『ピストル・ディスコ』。*3


  • 世界の終わり
(弾丸よ!!!頭蓋骨(ズガイ)を踊れ!!!)

こめかみを拳銃で撃ち抜き自殺……するように見せかけて自分の頭蓋骨内で銃弾を激しく跳弾させ、片目の眼窟を銃口に見立てて目から銃弾を射出。
自殺する姿に惑わされた相手の意表を突く奇襲攻撃にして究極の自爆技にしてロマン技。脳味噌が入ってないのだろうか*4

決まれば相手の急所に至近距離から不意撃ちで銃弾を叩き込めるが、
●イメトレ以外に練習手段がない*5
●使えば脳味噌と片目に風穴が空いて自身も即死する*6
●一旦人体を貫通&複数回跳弾することによる威力の減衰
…とツッコミどころ満載。

元ネタは『THEE MICHELLE GUN ELEPHANT』の楽曲『世界の終わり』。


【用語】

聖華天が聖地と崇める都市高速道路。通称帝都高(テトコー)
東京都区部全域に蜘蛛の巣のように張り巡らされた、東京都内の輸送と流通の中枢を担う東京の大動脈。
元ネタは現実における首都高。

  • 暴走族
かつて極道業界に数々の人材を輩出した(ワル)の養成所。
暴走族を卒業したり暴走族自体が解散すると極道ドラフトを経て各地の極道事務所に就職し真っ当な大人(オトナ)となる。
なお中にはスカウトを蹴って極道ではない堅気の就職先を選ぶ者もいる。

  • 極道車(ごくどうしゃ)
極道が用いる黒塗りの高級車。車種はいわゆるVIPカーやSUVなど。
存在そのものが極道を表すためか一般市民にも広く知れ渡るほど知名度があり、暴走族にとっては憧れの車として位置づけられている。
通常の極道車の時点で普通のバリケードをぶち破るほどの戦闘力を持つが、今回用意された3万台は兆単位の予算強化改造(カスタム)が施されている。
その結果、人員輸送車によるバリケードを容易く蹴散らすモンスターマシンに変貌し、警官隊からは戦車とたとえられた。

  • 殺島生花店
……おーし!!
今日も───暴走(はし)るか……!!

聖華天(オレたち)は “家族”だ…!!!

殺島の母親が経営していた小さな花屋。
普通の商店街にあるような平凡な花屋であり、母親の病死に伴い閉店。貸店舗化した。
殺島が暴走族に堕ちたきっかけの悲劇であり、殺島が聖華天のメンバーを家族と定義するようになった根幹である。

  • ヤンキラー
日曜朝に放送された幼児向けアニメ『フラッシュ☆プリンセス』の敵幹部。
ビジュアルは特攻服を着て頭に有刺鉄線の鉢巻を巻き、二丁拳銃で武装したドブネズミ。
圧倒的神性(カリスマ)と仲間への深い愛情を持ち、町の嫌われ者であるドブネズミ達に神の如く崇められている。
「ヤンキラー編」にて町の道路で暴れ回るも主人公のプリストロベリーに敗北し戦死した。

  • DJポンダ
第五章 極契大壊嘯に登場し麻薬水(ヤクみず)テロの犠牲になった旅客機パイロット・反俟(そりまち)義治(よしはる)が出勤前に聴いていた朝のラジオ番組のパーソナリティー。11巻のおまけページで殺島の同級生だったことが明らかになった。
詳細は救済なき医師団の項目を参照。


暴走師団(ぼうそうしだん) 聖華天(せいかてん)


暴走(ユメ)”邪魔する奴ぁ
暴走族神(カミ)”の名の下全殺(ゼンゴロ)しだッッ!!!


殺島飛露鬼が90年代末期に立ち上げた日本最凶の暴走族グループ。
数々の抗争を勝ち抜き日本全国の暴走族・走り屋を束ねることで史上初の全国統一を果たし、10万人を超える構成員を獲得。
その圧倒的数の暴力は当時の機動隊ですら食い止められず、帝都高にパトカーと警官の屍の山を積み上げながら帝都高で暴走行為を働き、80年代以来の大暴走時代を作り上げた。

構成員は皆殺島を熱狂的に狂信しており、その様は暴走族というよりカルト宗教そのもの
組織としては暴走を行う前の陽動で近郊の住宅を無差別に放火し、そこに警察の目と手が向けられている隙に暴走行為を行う手口が特徴。
当然ながらこの段階で放火による死傷者が発生するが、極道新聞で連載している『実録日本暴走族列伝』によれば、この民家への放火は対立する族と抗争を行う際の景気付けの一発感覚で放火していたようである。
また悪の養成所扱いされているだけあって、仲間の命と友情、暴走行為の価値が民間人の命より遥かに上という極道に近い倫理観を持つ。このため、暴走の過程で民間人や警察を殺戮することに一切の躊躇がない。

前身は荒れた家庭に苦しみ、学校でも孤立していた有羽と詩隈、そして当時いじめられっ子だった小学生の頃の逢魔賀を誘って結成した暴走族グループ。

つーかよ有羽(アリ)詩隈(シク)!オレ達で“暴走族(ゾク)“やんねー!?
どーせオメーラ退屈してんべ?パ〜っと楽しーことしよーぜ!!なっ!?

保険金(カネ)“……入ったし…よォ…!
お前らにも単車…買ってやっから…!!

という涙ながらの独白から、自身も友達に救いの手を差し伸べるだけではなく、病気で最愛の母を失った悲しみを紛らわせるためという動機も含まれている。
こうして母親の死で偶然手に入った保険金を資金源としつつ暴走族を結成。
結成後は上記の経緯を経て最盛期を謳歌するも、同時期に復活した忍者たちが襲来。忍者相手に勇敢に戦うも「半殺し」として構成員である少年少女の半分である5万人が殺戮され組織は壊滅し、壊滅的打撃を受けた聖華天はそのまま無念の解散に追い込まれた。この時全殺しにしておけば……
この顛末を極道(きわみ)「悲劇」と評している。

本編では自分達から夢である暴走を奪い、仲間たちを無惨に殺戮した忍者への復讐を掲げ、殺島の呼び掛けと極道(きわみ)の手引きでカスタムされた3万台の極道車、『地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)』を手に入れた残党5万人が集結し20年ぶりに復活。
再び東京近隣の住宅数百軒を無差別に放火*7し、その隙に帝都高(テトコー)で逆走による暴走行為を開始。
国民を守ろうとする警官隊を虐殺し、民間人を躊躇いなく轢き殺して楽しんでいく破壊と殺戮の限りを尽くし、帝都高全域を火の海に変えた。
20年ぶりの復活であるが、警察にはその悪名が深く刻み込まれていたのか放火の手口も含めて剣崎警視総監「20年ぶりに蘇ったというのか……!!」と苦々しい顔をしていた。

ただ、規模としては規格外ではあるものの、ほとんどの構成員が長年一般人として生活していたためかモブについては竹本組構成員のような漢気を見せるシーンすらなく忍者に鏖殺されており、幹部格も多少持ち堪えてこそいるが結局忍者に手傷も負わさられないまま死亡している*8
殺島以外の個々のメンバーの戦闘力としては恐らく八極道の構成員としては最弱クラスと思われるが、それでも地獄への回数券と強化された極道車により、並の警察官では対抗すら不可能であった。

なおメンバーの中には極道技巧を操る猛者もいるが、実は暴走族の癖に誰もバイクや車関係の極道技巧は持っていない
「優れた走行技術を持つ走り屋集団」ではなく「無軌道に暴走する暴走族(ゾク)」であるが故……だろうか。

エンブレムは炎上する帝都高(テトコー)の路線図。


副総長α(アルファ)有羽(ありは) 汰駆(たく)


押忍…″暴走族神(ゾクガミ)″!!

α(アルファ)″です!!!待っていた…貴方をずっと待っていた!!!

CV:???

元『暴走師団 聖華天』副総長。
屈強な大男で、胸に抉ったようなαの文字を描いた傷跡がある。

一人称は「オレ」
殴った相手の人骨(ホネ)が砕ける音を「イカした音色」と表現する残虐な性格。
副総長としての気概とプライドもあり、右龍との戦いでは敢えて部下の加勢を「バカヤロウ…不要(いら)ねーゾ!?」拒否してタイマンに固執する場面もあった。

戦闘では喧嘩殺法を昇華したと思われる暴走族(ゾク)拳法」の使い手で、武器も持たない徒手空拳(ステゴロ)スタイル。
地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)』の力で現役当時以上の力を獲得している。ニート時代には居室を廃屋にしか見えないレベルでボロボロにしており、筋力は常人以上にはあった模様。
タイマンに拘る姿勢や徒手空拳による戦闘スタイル、筋力は右龍も評価しており「今のは”いい(パンチ)“だった」「骨があるな(・・・・・)てめー!!」と評されている。


元々殺島の同級生だった不良で、詩隈と共に中学生の頃から殺島に心酔している。
賢い生徒にしか興味がなく不良に見向きもしない教師や荒れた家庭環境が重なって毎日辛く退屈な日々を送っており、同じ境遇の詩隈と燻っていた所を殺島の誘いに乗って暴走族の道に走った。
暴走族卒業後、就職先の極道で人間関係のトラブルを経て破門。堅気になるも妻の浮気による家庭崩壊を経験し、更に追い打ちに投資詐欺に引っかかって1億円の借金を背負ってしまう。
近所から「元極道で暴走族とか生きる価値はない(要約)」「早く死ねばいいのに」などと、降りかかった不幸の数々を嘲笑され陰口を言われる中で完全に鬱になり、自殺寸前のニート暮らしをしていた時に殺島からの通告を受け再起。
聖華天残党を率いて帝都高速大爆走に加担している。

劇中では市川から部隊を率いて出撃し、葛西で同じパワーファイターの邪樹右龍と激突。
しかし右龍の尋常ならざる骨を砕くことはできず逆に自身の拳がバキボキに折れ、更に右龍の技「不死身の電撃漢(エレキマン)」で全身を焼かれ重傷を負い敗北。
最後は自分達よりも遥かにデカい大人のつらさを抱えていながら自分達に救いの手を差し伸べてくれた殺島への恩義から意地と根性で奮い立ち、死に場所を与えてくれた殺島に感謝しながら特攻し、Σと同タイミングで笑顔のまま首を討たれた。

嗚呼……帝都高(テトコー)で死ねるんだ……
暴走(ユメ)”の中で死ねるんだ……!!
殺島(ヤジ)……心底(マジ)感謝(サンキュ)”な!!!


副総長Σ(シグマ)詩隈(しくま) 殴偉斗(ないと)


有難(アザ)っス…オレ会社辞めます
(ボゴォボゴォボゴォボゴォ)

CV:???

元『暴走師団 聖華天』副総長。
線の細い長髪の美青年で、左目蓋にΣの文字の傷を刻んでいる疵面(スカーフェイス)

一人称は「オレ」
見た目に反して愚直寄りな性格なのか、左虎との戦いでも自分の死を前提として相討ちを狙おうとした昔の侍みたいな気風の男。
また剣術使いの宿命か自身の剣技にはプライドと誇りを抱え、自らを剣豪と評していた。

現役時代に日本刀(ポンとう)官憲車(パトカー)を100台斬って鍛え上げた我流剣法暴走族(ゾク)流剣術」を操る剣豪であり、再結成時には『地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)』の力でパトカーを現代アートの如く綺麗に両断するほどの剣技を得た。暴走族って何だっけ…
ただし現役から大分遠のいていたブランクから、日本刀使いの極道の中では力量は最弱クラスである。


元々は有羽同様殺島とは中学からの同級生の不良生徒。
極道ドラフトで極道業界に就職するも馴染めず、真っ当な道を歩もうと思い自分から極道を辞めて保険会社「漆黒生命保険」に再就職する。
だがそこは社名どおりのブラック企業であり、まともな仕事もさせて貰えず*10、陰湿な虐めを受け社畜扱いされていた時にαから聖華天再結成の連絡を受け復活。
今までの鬱憤晴らしといわんばかりに上司をボコボコにして脱走すると、そのまま聖華天残党を率いて帝都高速大爆走に加担した。

劇中では川口から部隊を率いて出撃し、レインボーブリッジで覇世川左虎と対決。
徒手で待ち構える左虎と斬り刻まれた極道車の残骸からいち早く自身と同じ剣豪と判断し死亡上等(シボージョートー)の精神で突貫するも、
技の性質を「手刀」だと見誤り間合いの外から放たれた「凍剣執刀」で斬り刻まれた挙句左半身を凍結破砕されなすすべなく惨敗。
それでもなお意地と根性、殺島への恩義から立ち上がり左虎に挑むがαと時同じくして笑顔で絶命した。


特攻隊長Ω(オメガ)/『旋風(かぜ)を呼ぶ男』逢魔賀(おうまが) 広偉(ひろい)


(“黄金”──………これが?)
虚無(シャバ)い…)

CV:???

元『暴走師団 聖華天』特攻隊長。
顔にΩを模した傷がある疵面(スカーフェイス)の大男。殺島と副総長2人より4歳年下の35歳*11

一人称は「オレ」
座右の銘は「“人”打つより“球”打つほうが楽だね」
聖華天解散後はアメリカのメジャー球団・NYドンキーズに所属し、通算6度のメジャー本塁打王と大リーグ記録799本塁打を記録した英雄的大リーガー。右投げ左打ち、背番号は1。名前のもじりと思われる「Oh! My God Hero!!」がキャッチフレーズ。
聖華天時代から上半身全体に刺青を入れているが、メジャーリーガーになってから右胸にボール、左胸にバット、左上腕部に(ワン)・キングの似顔絵の刺青を描き足している。
アメリカ日本問わず熱狂的な支持を受ける、登場した残党の中では唯一の人生の成功者。元暴走族という経歴ながら愛多総理からは「我が国の国民的英雄」と評されていた。

戦闘では得物である金属バットを振り回してアスファルトや人間の頭をいとも容易く粉砕しながら吹き飛ばす打撃の使い手。
αやΣと異なり社会で腐らず、メジャーリーグで尋常ならぬ研鑽を積んでいたためか、これと言った見せ場なく首を献上した上2人と比べても明らかに戦闘能力・極道技巧の練度が高く、単純なパワーなら一部の八極道に匹敵する…と言うか近接格闘戦なら殺島より強そうに見える。
副総長より強い特攻隊長はヤンキー漫画ではよくあることである。


小学生の頃はひ弱ないじめられっ子(シャバゾウ)であり、当時中学生だった殺島らの3人の姿をいつも物陰から覗いていたが、ある時「いじめっ子の殺し方を教えてやる」と殺島から声をかけられ暴走族となった。
聖華天解散後も極道に情熱を見いだせず、組からのスカウトも全て蹴っていたが、偶然街頭で見た伝説の大リーガー「(ワン)・キング」*12の姿を見て野球の素晴らしさ……特にバットスイングの美しさに目覚め、野球未経験ながらも裸一貫で18歳の時単身渡米。
そのままメジャーリーグ入りを果たし、十数年かけて国民栄誉賞候補の記録的大リーガーとして成功を収めたアメリカンドリームの体現者。
大リーグのスターとして、金にも女にも何不自由ない幸せな生活を送っていたが、5年前、自分を慕うブライアンという難病の少年の願いでホームランを打つことを約束する。
「俺は昔、偉大な神に夢をもらった。そして、野球には新たな生命をもらった。だから今度は俺が、ブライアンに夢と生命を与えるのさ」とインタビューに答えてかのベーブ・ルースが見せた奇跡の如くΩは彼の生きる気力が取り戻せる事を願い約束通りホームランを打つが、ブライアンはその甲斐なく普通に死去。
追い打ちに、同僚が慰めのつもりで言った「野球で病気が治るはずねえさ…仕方ないんだ 大人(オトナ)”になれよ」という一言が突き刺さり、同僚の胸倉を掴みながら「野球を信じて何が悪い!!?」と号泣し野球そのものに絶望。
この一件が情熱に影を落とした大人の苦しみを抱えてしまい、前人未到の800本塁打を控えた打席を目前にしても虚無(シャバ)い心境のまま変わらないところまで絶望しきってしまった*13
そんなところにΣから聖華天再結成の連絡を受け、その場でこれまで積み上げてきた大リーガーの地位も名誉も躊躇なく捨ててアメリカから帰国。
聖華天残党を率いて帝都高速大爆走に加担した。

悪ィな…
それでも(・・・・)…オレには聖華天の“黄金時代(オウゴン)”が眩しすぎてよ…


劇中では松戸から部隊を率いて出撃、立ち塞がる警官隊やパトカー、一般人をフルスイングで次々に破壊(ホームラン)しながら進撃し、霞ヶ関にて愛多間七総理の前で神賽惨蔵と対決。

打者(バッター)同士“球“(タマ)不要(ノーサンクス) 己の打棒(バット)“命“(タマ)を打て!!

決めようか…!! 何方が生存()つか 死滅(うたれ)るか!!?


「王・キング」の姿に変身した惨蔵と『スイング対決』そうはならんやろを繰り広げるが、惜しくも力尽きる。
憧れの選手とのドリームマッチにより最後の最後で「野球が楽しい」という原点に立ち返ったナンデ?事で、誇り高き大リーガーとしての本来の心を取り戻し、ほぼ無抵抗で惨蔵の全力アッパースイングを食らう。胴体は赤い霧になって消し飛び、頭は大気圏外(じょうがい)本塁打(ホームラン)されて、「最高の 人生だった……!!」と満足のうちに『星』となった。赤い霧事件
なお、王(惨蔵)との対決の前に口内の『地獄への回数券』を奪われていたため、「打ち合い」を続けているうちにクスリの服用者の特徴である目元の血走りが少しずつ小さくなっており、決着の直前には完全に消えている。

「一度は真っ当に光の道を進んでいたが、ある出来事で再び闇に堕ちる」というその経緯から、極道側の人物でも、かなり同情の余地のある人物であり、この作品の極道達が、自分の才能を陽の当たる社会で真っ当に使えてたらどうなっていたのかを体現した人物。
国民的英雄から一方的に襲撃され無慈悲に殺戮された警官や一般人の恐怖たるや
大リーガーとしての彼の大ファンだった惨蔵にしても彼が再び暴走族に堕ちた事は残念だったらしく、上述の様に戦いを通して野球に対する愛をあの手この手で取り戻させようとしていた*14
作者曰く「野球無経験から大リーグの本塁打王にのしあがった怪物」「劇中での行動は現実で言えば大谷が50-50を達成する打席直前に失踪して帝都高暴走に参加したようなモノ」
なお聖華天残党の中でも最大の人生の成功者であった逢魔賀が暴走に参加するのは殺島も流石に予想外だったのか、最初は「テメーいいのか!?大リーグのスターだろ!?」と素で驚愕していた。


その他構成員


「忍者!!!忍者だと!!?」

「20年前ッ 聖華天(オレら)を半殺しの憂き目に遭わせた忍者!!!」
「オレの“親友(マブ)”を惨殺した!!」「アケミを…っ オレの“(スケ)”を殺した忍者!!」
「てめーコラあの日のこと忘れねーゾ!?」
尻穴(ケツ)に“釘打棒(クギバ)”刺したらああ!!!」

全世界に散らばった5万人にも及ぶ聖華天残党達。武装は釘バット、鉄パイプ、メリケンサック、長ドスなど。
再結成後は、自分達が過去にしでかした悪行三昧を棚に上げて、現役時代に彼女や親友を惨殺した帝都八忍に対する怒りと怨み節を叫ぶ者も多くいた。
解散後はαやΣのように落ちぶれた者だけでなく、結婚し家庭と子供を得た者、コンビニの店長、会社役員、サラリーマン、探検家(自然保護員?)としてそれなりに成功した者もいたようである。

そして殺島の召集を受けて参加し『地獄への回数券』をキメて暴走と殺戮の限りを尽くしたが、立ちはだかった帝都八忍の手ですれ違いざまに首を落とされたり、暴走中に抵抗できない眠気に襲われ帝都高の外壁や分離帯の餌食になったりして*15一方的に殺戮され、大半の者は自分の身に何が起きたか判断する間も無いまま一人残らず全殺しとなった。
だが彼らにとっては今の地位以上に、殺島と共に駆け抜けた「黄金時代(オウゴン)」が眩し過ぎたのだろう…。

  • K=勘崎(かんざき)
聖華天残党の一人。下っ端ではあるが最初期から聖華天に居た古参メンバー。
極道新聞に聖華天現役時のエピソードで構成された実録小説『実録日本暴走族列伝~聖なる華咲く天の下~』を連載中。
本編には登場していないが、恐らく聖華天再結成に参加して忍者に殺されたのだろう。

  • 武羅神(むらかみ)
聖華天潰す気っスか

現役時代の聖華天古参幹部の一人。
「マブの武羅神」と呼ばれていたので、たぶん相当な友達なのか美人レディースなのだろう。
一度殺島を逆ナンしたことがあったが、後に敵対組織の集会で捕らわれてリンチされそうになった時に単身乗り込んで来た殺島に救われ、以後聖華天傘下に加わった。
幹部ではあるが本編に登場していないので、聖華天が忍者に「半殺し」された時に殺戮されたと思われる*16

いてっ いててっ

聖華天残党の一人。
第30話冒頭で忍者(しのは)に縦真っ二つに両断された極道車に乗っていてついでに首を落とされた構成員。
上記の台詞は生首になった後、忍者(しのは)がかわした殺島の銃撃が当たった時の台詞である。
顔がケンコバそっくりな上、特攻服の背中に「GOD HOLE」という文字*17が入っており、2025年に放送されたFODの番組「漫道コバヤシ」に作者が出演した際ケンコバに「俺ですよねコレ??」と指摘されて認めたものである。

【聖華天青春の語録抜粋】

  • 二重唄(ニケツ)
  • 強請(オネダリ)
  • ()シャス
  • 「よう (オレ)だぜ」
  • 虚無(シャバ)
  • 悪童(ワルガキ)
  • (エンジン)
  • 「“幻想(ユメ)”じゃねえよな…!?」「(かえ)って来る…オレ達の“黄金時代(オウゴン)”が(かえ)って来る!!」「すぐ“帰国”するッ…!!」
  • 暴走(ユメ)
  • God speed you(暴走族に幸あれ)(ゾク   )
  • 「全てブッ破壊(こわ)せ」
  • 釘打棒(クギバ)
  • 早漏(はや)るなオメーラ…!!」
  • 暴走族神(ゾクガミ)神託(おしえ)だ 極めし技術其れ即ち”極道技巧(ごくどうスキル)“也!!!」
  • 官憲車(パトカー)
  • 「いざ尋常に特攻(ブッコ)む!!」
  • 死亡上等(シボージョートー)
  • 警察(ポリ)
  • 頭蓋骨複雑骨折(ズガイフクザツ)
  • 虚像(ウッソ)だろ!!?」
  • 永久不滅(ズット)
  • 暴走(つっぱし)
  • 絶頂(タマンネ)
  • 「あまりに美麗(マブ)くて」
  • 感激的(ドラマチック)
  • 「オウ若えのッ!!テメー中々いい殺人(コロシ)っぷりじゃねーの!!」
  • 「オレ達ゃふたりで力で合わせて()ってっかんな!!」
  • 「オメーにも“親友(マブ)”…いるかい?」
  • 非現実(アリエネ)
  • 完敗(まけ)


【劇中での活躍】


暴走は────…暴走族にとって“夢”でした

日々のつらさや退屈をすべてブッ飛ばしてくれる“夢の世界”────
聖華天(オレら)はそれを……忍者に奪われた…!!

仲間達に────あの時止まった“暴走(ユメ)”の続きを見せてやりてえ
子供(ガキ)の頃の“暴走(ユメ)”を忘れられず…… “大人”に苦しむ悪童(ワルガキ)に救済を!!!


そして忍者に復讐を!!!
決戦は聖地“帝都高(テトコー)”!!! 蘇りし暴走族が忍者共を天に召す!!!


初期の頃から姿を見せ、ガムテと共に陽日にとどめを刺すなど暗躍していたが、『第三章:情愛大暴葬』で破壊の八極道の2番手として本格的に行動を開始。
「大人」であろうとするため社会の荒波に揉まれながら現代社会に身を潜めねばならない仲間達の在り方を憂い、全世界に散らばった聖華天メンバーたちを呼び寄せて再び大規模な暴走行為を目論み、世界中に散らばった残党5万人に連絡をすることで2日で5万人全員を東京に招集する。

今宵オレらは“子供(ガキ)”に還る… !!!


忘れちまえ!!“大人”の厳しさなんてよ……!!!
棄てちまえ!!“大人”の退屈なんてよぉ……!!!

(オレ)が“暴走(ユメ)”を魅せてやる…!!
黄金時代(あのころ)”の“暴走(ユメ)”の続きを魅せてやる!!!

暴走せよ!!!“(オレ)”が赦そう!!
殺害(サツガイ)せよ!!!“(オレ)”が赦そう!!


「“殺害(サツガイ)”!!! おお暴走族神(ゾクガミ) 我らに何を殺害せよと!!?」


オレらの“暴走(ユメ)” 邪魔する“全部(すべて)”だ


暴走族神(ゾクガミ)!!! 暴走族神(ゾクガミ)!!! 暴走族神(ゾクガミ)!!! 暴走族神(ゾクガミ)!!!』
ぞくがみっ!! ぞくがみっ!!
わ~お バカ洗脳完了


更に極道(きわみ)が用意した改造極道車3万台と『地獄への回数券』を利用して集った仲間達を扇動。
帝都高の外縁部にあたる蒲田・川口・松戸・市川の4都市から解散前と同じ手口で暴走を開始し、帝都高環状線に逆走で侵入、破壊と殺戮の限りを尽くし地獄絵図に変えた。
しかし帝都八忍の活躍により配下は全滅。自身も暴走の最中主人公・忍者(しのは)と対峙、極道技巧を駆使して翻弄し、両足を撃ち抜いて圧倒的優位に立った…と思いきや、忍者(しのは)に自身の技をパクられ、驚異の身体能力で逆襲を受けた結果窮地に陥る。

そんな中、自身の右手首に飾られたブレスレットが光り…













【以下、悲しいネタバレ









パパ……花奈(はな)のお願い

ママとずっとずっと…仲良くしてね


実はこの殺島、なんと結婚していた。
そして、娘もいたのである。

上記の通り中学生の時、殺島は最愛の母が病気で死去する形で『家族』を失う。
その保険金と、母がやっていた『生花店』の売却金を元手に殺島は同級生だった有羽(α)と詩隈(Σ)、自分を慕ういじめられっ子だった逢魔賀(Ω)らを暴走族の道に誘う。
母を失った殺島、ネグレクトや暴行を家族から受けていた有羽と詩隈、小学生で壮絶ないじめを受けていた逢魔賀。
彼らは拠り所の無い者同士で支えあって助け合う『家族』であり、そこから四人は『暴走師団 聖華天』を立ち上げるのであった。*18

この時はただ、『家族』が欲しかっただけだったのだが、やがて殺島の預かり知らぬ間に持ち上げられ、
単に気合い入れる為のあだ名というだけだった筈の『暴走族神(ゾクガミ)』として持て囃されるようになっていった。
そして聖華天は最終的に10万人のメンバーを有する文字通りの『暴走師団』となり、全国統一を果たすのであった。


聖華天の解散後、暴走族を卒業して長沢組に就職すると、持ち前の気質で25歳の若さで組の本部長にまで出世する順風満帆な人生を送る。

そんな中、取り巻きだった女性の一人、ノリカと結婚。
やがて娘の花奈(はな)が誕生。
…そう。『花奈』という女性は、彼の実の娘の事だったのである。


なんでだろう…!? 涙が…涙が止まらなかった!!

オレの“生命(イノチ)”を受けた“家族”が…!!


そう思ったらよ…

涙が…涙が…!!!


この『花奈』こそ最愛の母と並ぶ殺島の『家族愛』、そのもう一つの根源。
この時の彼は大変な子煩悩であり、娘の為ならキツい育児も債務者を足蹴にしての取り立ても全く平気であった。
極道(きわみ)が亡き夢澤に贈った『孤独の歌』に二重奏(ニケツ)できたのも、おそらく娘の影響だろう。
やり方こそ間違えども、「神」などではなく、普通の「父親」であり、この時の彼は間違いなく「“大人(オトナ)”」であった。

だがある日を境に、だんだんと妻のノリカとそりが合わなくなっていき、喧嘩が絶えなくなっていく。
喧嘩の内容は娘を芸能界に入れるか否か、仕事の帰りが遅いなど色々あったようだが、殺島自身あまり覚えてはいない。
それでも一番強く覚えていたのは、ノリカが最後に言った言葉……


大人(オトナ)”になってよ!!

ノリカがどういう状況でこの言葉を発したか、詳細は不明。
だが、この言葉は、殺島の心に決定的にこびり付く事となってしまった…。


そしてそのまま離婚し、しばらくしてノリカは再婚。
再婚相手はよりにもよって上司である長沢組の組長であり、娘とは引き裂かれ、娘の親権も奪われてしまった。
だが、月に一度だけ会う事は許された為、殺島はそれだけでも幸せだった。娘が幸せに成長するのを見守れる、それだけでも充分だった。

…この時までは…!

ある日、長沢組の事務所に忍者が襲撃をかける。*19

駆けつけた殺島の見たものは…


…変わり果てた娘・花奈の姿であった…

その時、ノリカと花奈は何故か家でなく組の事務所におり、巻き込まれた娘は組員が撃った流れ弾*20を受け、治療*21の甲斐なく死亡してしまったという。(この際にノリカと組長も死亡)

愛する娘の死に動揺する殺島の脳内で、あの言葉が響く。



大人(オトナ)”になってよ!!


原因を作った忍者は憎いが、花奈を直接手にかけたわけではない。
花奈を危険に晒した組長とノリカも、死んだ事でケジメを付けた。
だが、殺島は許せなかった。
何より、娘を守れなかった、自分自身が許せなかった。


大人(オトナ)”になれねぇ

自分が憎い──!!


そのトラウマから、殺島は組からも家からも飛び出し失踪。
毎日浴びるように酒を飲み、冬は路上で寝て凍死寸前になった事もあったなど、一時期は廃人同然の世捨て人にまで落ちぶれた。

「大人」という概念に強いコンプレックスを抱えたのも、この時期からである。



なんともなかった“大人(オトナ)”の日々が、酷く退屈に思えた

大人(オトナ)”の日々が、ただただ……つらかった

そんな無気力な日々を送りながらも黄金時代への郷愁に思いを馳せるある日、極道(きわみ)と出会う。

君に何が起きたか…聞かせてもらった

全部忍者が悪い

さあ────…共に忍者をブッ殺そう…!!

こうして極道(きわみ)悪魔の囁きを受け再起。
その後は極道(きわみ)のバックアップを受けながら、長沢組若頭の座までのし上がった。
殺島が右手首にぶら下げているブレスレットは、娘の花奈が大好きだった『フラッシュ☆プリンセス』のおもちゃのブレスレットである。



…そして、現在。
忍者(しのは)に左腕を丸ごと斬り落とされ、自分と仲間達を「大人として生きていく中での困難から目を背けて、暴走という夢に逃げ、人に迷惑を掛けなければ生きられない負け犬」と自嘲し、「そんな仲間を少しだけでも肯定してやりたかった」という本音を吐露する。

そして右手に持った拳銃で自決する素振りを見せ、奥の手「世界の終わり」を繰り出すが、目の奥にある殺意までは隠せなかったことで見破られ、完全に敗北。
「負け犬の眼じゃなかった」という奥の手を見破られた理由を聞いて納得し、自嘲の笑みを浮かべながら暗刃により斬首された。


それなら

仕方ねえなあ……



【余談】

単行本で明かされた犠牲者の数は20万人以上。
殺島の登場から本作の人気も上向きになってきたらしく、作者から「感謝に尽きない」と評された名悪役であった。
また殺島が本格的に登場する第3章から各話のタイトルに楽曲名が用いられるようになっており、そういった意味でもターニングポイントとなった。
なお3章では『THEE MICHELLE GUN ELEPHANT』を中心に『凛として時雨』や『ROSSO』などといった邦楽のロックバンドで占められている。


なお殺島が聖華天残党を招集する際の見開きページはかなり汎用性が高いためか、昔の古い作品がリメイクや復刻などする度にコラ画像にされたりコマを切り抜きとしてリアクションに利用されたりと、割とネットミームになりつつある。
本作を知らなくても
『その"(カミ)のひと声”は瞬く間に 全世界の悪童(ワルガキ)共の"(エンジン)”に火を付けた!!!』
「“幻想(ユメ)”じゃねえよな…!?」「(かえ)って来る…オレ達の“黄金時代(オウゴン)”が(かえ)って来る!!」
という文言で号泣するサラリーマンのコマは見たことがある人がいるかもしれない。

担当声優の子安武人氏の演技はまだ大半のキャラの配役が公表されていなかった第一弾PVの時点から際立って目立っており、忍極ファンの間では「殺島は絶対子安」とほぼ確信されていた。
なおTVアニメ公式サイトの子安氏の意気込みメッセージによると、殺島役に関しては制作サイドからのご指名らしい。

名前の由来は恐らく「殺島」が暴走族上がりのサラリーマンが活躍する某漫画の主人公から、「飛露鬼」が本作同様特徴的なルビ芸でお馴染みの某暴走族漫画の原作者の名前の捩りと思われる。


「“幻想(ユメ)”じゃねえよな…!?」
(かえ)って来る…オレ達(アニヲタ)の“追記時代(オウゴン)”が(かえ)って来る!!」
「すぐ“修正”するッ…!!」




















殺島の死後、嘆き悲しむガムテを諫めつつ、極道(きわみ)もまた、最後まで仲間への想いに殉じ、仲間の夢を叶え、孤独な者達の存在を世界に刻み付けた殺島の生き方を賞賛し、ヤンキラーにたとえて「ドブネズミのように美しい…!!!」と褒め讃えた。
実際、壊滅時惨めにも忍者に情けをかけられて『半殺し』にされた仲間の仇を討てず生き延びさせられてしまったメンバーを殺島は再び召集。
そこで暴走を行うことで忍者に『あの時全殺しにしておかなかったから多くの民が犠牲になった=忍者の采配ミスで民を殺したようなもの』という屈辱を命と引き換えに聖華天は忍者に与え、暴走の限りを尽くし最後まで走り抜いた*23
つまり、民を極道の手から守ることを存在意義とする忍者に対しては聖華天が復活して暴走を行い黄金時代に帰ることができた時点で殺島とその聖華天(かぞく)は忍者に完全勝利できていたのである。


とはいえ『戦略』や『理念』の観点から見れば勝利かもしれないが『戦術』の観点から見れば、忍者との抗争として紛れもない敗北。
忍者を1人殺すことに成功してはいるのだが、殺ったのは聖華天と関係ないガムテの個人技である。
この結果を極道(きわみ)「善き教訓」と定めた。


如何に麻薬(ヤク)で肉体を強化しようとも
忍者には数では勝てぬ 現役退いた“素人”5万人では相手にならぬ…!!

忍者()るには君達(・・)のような──……!?

大丈夫…極道(きわみ)さん オレ達(・・・)は…“玄人(プロ)”だ





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最終更新:2025年09月24日 22:39

*1 通常よりも路面の空隙率を高めた舗装。タイヤ溝と舗装面の間の空気が空隙に逃げることで、騒音が低減される。また、空隙から雨水を舗装内に浸透させることで、排水効果も高まる。

*2 実際ヤク無しで発動する場面もあった

*3 「世界の終わり」共々漫道コバヤシにて言及

*4 発動時のコマをよく見ると脳味噌が描かれているが

*5 対立組織の構成員の頭でも使って実験したのだろうか

*6 しばらく戦闘不能に陥るだろうが、敵を確実にブッ殺した後地獄への回数券の超再生回復力で一命は取り留める、という計算だった可能性もある

*7 当然無人の家屋を狙う訳もなく、この時点で放火に巻き込まれて焼け死んだ民間人が生じている

*8 Ωだけは他とは格が違う戦闘力を見せており、相手が惨蔵でなければ最終的に敗死するにせよもう少し見せ場を作れたと思われる

*9 パトカー1台は大体300万円くらいである

*10 毎日契約ゼロの駄目営業マンだった模様。しかしそもそも見た目の印象が大事な営業職が顔に傷がある詩隈に向いていたかと言うと……

*11 殺島は早生まれなので5学年下か4学年下かはまだ分かっていない。

*12 勿論、モデルはどう見ても王貞治。

*13 皮肉にも、これらの悲劇を抱えたまま何年もの間笑顔の仮面でファンの声援に応えバットを振り続け記録を作るという姿は、彼が最も忌避していた「大人」の姿そのもの

*14 もちろんここまでの悪サをかましたΩを「ブッ殺す」ことは確定事項であり助命しようとしたわけではなく、その上で「せめて最後だけは」という思いから行ったこと

*15 3万台の極道車のうち5千台くらいは色が一人で片付けたらしい

*16 ただし再集結した聖華天残党は作中の絵を見る限り全員男性で、現役時代とは異なりレディースは見当たらないので、元レディースには殺島が招集を掛けなかった可能性がある

*17 ケンコバがアメトーークのキン肉マン芸人の回で考案したTENGAモチーフの超人の名前

*18 勘のいい人はお分かり頂けたと思われるが、『聖華天』の由来は…

*19 この時の忍者が誰なのかは不明、殺島の年齢から換算するとおよそ10年前程度の出来事になる為、忍者と陽日以外の帝都八忍であると思われる(あくまで筆者による考察)

*20 跳弾を極道技巧としている後の八極道の娘が、である。皮肉と言うには残酷すぎる

*21 この時駆けつけた極道たちの中に繰田孔富とその兄・美伴らしき人物が見える

*22 恐らくは彼らも、ケジメの為に自分の意思で「下」を選んだものと思われる。

*23 カルト宗教の集団自殺儀式との類似性を指摘する考察もある