登録日:2020/01/14 (木曜日) 17:46:00
更新日:2025/03/20 Thu 18:31:01
所要時間:約 21 分で読めます
子供の忍者に…“大人”の厳しさ神託てやろう
殺島飛露鬼とは『
忍者と極道』に登場するキャラクター。
●目次
【プロフィール】
年齢:39歳
生年月日:1981年2月1日
身長:183cm
体重:78kg
好きなもの:自分を好いてくれる人と遊ぶこと、セブンスター、チャンプロード、娘の花奈
【概要】
東京で破壊の限りを尽くす
極道陣営第2の刺客。
「帝都高の"生きる伝説"」「不良界の神性」「暴走族神」と数多の異名を持つ『破壊の八極道』の1人で現講男會傘下長沢組若頭。
薄紫色の波打つ髪を持つホスト風の絶世の美貌の優男だが年齢はこう見えても39歳。
そしてバツイチ。
その正体はかつて日本中の暴走族・走り屋を傘下に収めた『暴走師団 聖華天』初代総長という伝説的元暴走族。
10万を超える配下を率いて東京の帝都高速道路を暴走し、機動隊すら蹴散らし警官とパトカーの屍の山を築いた。
中学生時代はエアマックス95やゴローズのネックレスとヴィンテージ古着のシャツを身につけていたが、それらは全て殺島ファンのマダムやお姉様達からのプレゼント。
事あるごとにお高い品をプレゼントされるので、時々それを売って実家の家計の足しにしていたらしい。
【人物】
一人称は
「オレ」だがルビが入ると
「神」となる。
笑顔が絶えない大の女好きで、言動は軽薄気味だが仲間想いの情に厚い性格。
特に自身が率いた聖華天への愛着は深く、仲間を
「家族」と呼んでいる。
礼儀もキッチリ弁えており、自分より年下だが立場が上である
夢澤に対しては夢澤が自分に敬語を使うことをやんわり諌めるという社会人らしい気配りも効く。
ただし極道の例に漏れず身内以外には非道。
暴走行為を「日々の辛さや退屈をブッ飛ばしてくれる夢の世界」と定義しており、ストレスは帝都高速道路をドライブすることで発散するのが趣味。
生粋の女好きであるが、『花奈』という女性に操を捧げてるらしく、デートもSEXもせずバードキスだけに留めるというポリシーを持っている。
『花奈』に報いるための本人の最大限の努力らしいが、初対面の女子だろうと秒でキスはする。逆を言えば「キスだけならば浮気にならない」というのが本人の認識。
義理人情にも厚く、暴走族時代には自分を一度逆ナンした女を助けるためだけに単身敵対している暴走族の集会に乗り込んだ逸話や、以前死闘を繰り広げた対立暴走族すらも魅了して仲間に引き込んだ逸話を持つ。
生まれは母子家庭であるが、中学生の頃に母親を病気で亡くしている。
実家であった自営業の店舗跡を見て殺島は暖かく優しく帰宅した息子を出迎えてくれた母親を回想しており、その回想に浸っている際に殺島は母を悼んでいる等親子仲は良好であった事は確か。
この事から殺島は最も親しく尊ぶ関係を持つ者を『家族』と定義するようになり、それが聖華天への強い愛着の元となる。
ガムテからは本人の人心掌握能力……及び
『暴走』を奪われたものとしてのシンパシーもあってか
「殺島の兄ちゃん」と慕われており、夢澤とは同じく『家族』を愛する者という事もあってか
『殺島さん』、
『夢澤の組長』とそれぞれが敬意を払う関係を取っていた。
極道のことは
「極道」と呼び、その恩義から最大限の敬意を払っていたが、上記の親子関係に対する思い入れからガムテとの歪な親子関係までは孔富に諭されるまで苛烈な児童虐待にしか思えずやりきれない表情を浮かべていた。
【戦闘能力】
麻薬の力で動体視力強化ッ精度も“激増”よ
オラァ忍者攻勢アゲんぞ!!!
実力自体は八極道の中でも下から2番目と下位だが、それを補って余りある
絶大な神性の持ち主。
人柄で好かれるカリスマ性は八極道トップクラスという天性の人誑しで、上述したように聖華天の全盛期は
10万人を超える少年たちを従えていた。
聖華天が解散し、一部構成員が日本を離れてしまった2020年でも、生き残った
5万人の部下を
たった2日で東京に集結させてみせたほどの影響力を誇る。
そのカリスマ性を生かした高い扇動技術も併せ持ち、
極道も
「彼らを酔わす最も強い麻薬」「殺島飛露鬼という存在そのものに悪童は酔うのだ!!」と殺島の
神性をたとえている。
戦闘では回転式拳銃を得物とする
二丁拳銃使いで、跳弾を自在に操る超人的な射撃技術と洞察力、動体視力を誇る。
「
地獄への回数券」の強化は動体視力が主で、射撃の精度向上をもたらしている。
戦装束はピンク色の特攻服とイエス・キリストの茨の冠を思わせる有刺鉄線の鉢巻。
刺青は聖華天のエンブレムと同一。
武装
殺島のメイン武器。ド派手なピンク色に染められた大型回転式拳銃。
作者によれば使用する銃弾は高熱に強いタングステン合金で加工されているため
陽日の異能でも
無効化はできないとのこと。
弾切れを起こすと躊躇いなく銃を捨てるが特攻服には大量の拳銃の予備を仕込んでいる為弾切れの心配もない。
極道技巧
宙舞う“破片”に“跳弾”かます!!!
変幻自在ッ!!!3次元の弾道が敵を討つ!!!
死出の弾丸に踊って死ね…忍者!!!
宙を舞う無数の瓦礫に弾丸を跳弾させ続け、3次元の弾道で攻撃する変幻自在の
オールレンジ攻撃。
加えて銃弾を回避しても地面に当たった弾丸が更に瓦礫を増やして跳弾先を増やし、弾道をより変幻自在且つ複雑なものに変え続けていく。
地獄への回数券をキメてない状態でさえも、走ってる車から後続車のガソリンタンクに正確に跳弾させた二発の弾丸を直撃させ、しかもタンク内で弾丸同士を跳弾させる事で起きた火花によりガソリンを爆発させる絶技が可能。
帝都高に施された"高機能舗装"は、瓦礫を作りやすいことからこの技巧との相性が抜群で、暴走族時代はこの技で抗争相手や警官と渡り合った。
煙幕を併用すれば、あたかも複数人の敵が銃を撃ってきたかのようにも錯覚させることも可能となる。
扱うためには
「跳弾点を秒で見極める洞察力」と
「0.01ミリ単位で弾を当てる狙撃力」が重要。
逆に言えば、肝要なのはあくまでその二点だけであり、
カンストに近い身体能力が必要な技巧ではない。
つまり、
元々それだけの能力を持っている人間ならば
再現も可能。
二丁拳銃での射撃を継続できないと攻撃力・制圧力が大幅に低下するのが難点。
こめかみを拳銃で撃ち抜き自殺……するように見せかけて
自分の頭蓋骨内で銃弾を激しく跳弾させ、片目の眼窟を銃口に見立てて目から銃弾を射出。
自殺する姿に惑わされた相手の意表を突く奇襲攻撃にして究極の自爆技にして
ロマン技。
脳味噌が入ってないのだろうか
決まれば相手の急所に至近距離から不意撃ちで銃弾を叩き込めるが、
●イメトレ以外に練習手段がない
●使えば脳味噌と片目に風穴が空いて自身も即死する
●一旦人体を貫通&複数回跳弾することによる威力の減衰
…とツッコミどころ満載。
元ネタは恐らく『THEE MICHELLE GUN ELEPHANT』の楽曲『世界の終わり』だと思われる。
【用語】
聖華天が聖地と崇める都市高速道路。通称「帝都高」。
東京都区部全域に蜘蛛の巣のように張り巡らされた、東京都内の輸送と流通の中枢を担う東京の大動脈。
元ネタは現実における首都高。
かつて極道業界に数々の人材を輩出した悪の養成所。
暴走族を卒業したり暴走族自体が解散すると極道ドラフトを経て各地の極道事務所に就職し真っ当な大人となる。
なお中にはスカウトを蹴って極道ではない堅気の就職先を選ぶ者もいる。
極道が用いる黒塗りの高級車。車種はいわゆるVIPカーやSUVなど。
存在そのものが極道を表すためか一般市民にも広く知れ渡るほど知名度があり、暴走族にとっては憧れの車として位置づけられている。
通常の極道車の時点で普通のバリケードをぶち破るほどの戦闘力を持つが、今回用意された3万台は兆単位の予算で強化改造が施されている。
その結果、人員輸送車によるバリケードを容易く蹴散らすモンスターマシンに変貌し、警官隊からは戦車とたとえられた。
日曜朝に放送された幼児向けアニメ『
フラッシュ☆プリンセス』の敵幹部。
ビジュアルは特攻服を着て頭に有刺鉄線の鉢巻を巻き、二丁拳銃で武装したドブネズミ。
圧倒的
神性と仲間への深い愛情を持ち、町の嫌われ者であるドブネズミ達に神の如く崇められている。
「ヤンキラー編」にて町の道路で暴れ回るも主人公のプリストロベリーに敗北し戦死した。
第五章 極契大壊嘯に登場し
麻薬水テロの犠牲になった旅客機パイロット・
反俟義治が出勤前に聴いていた朝のラジオ番組のパーソナリティー。11巻のおまけページで殺島の同級生だったことが明らかになった。
詳細は
救済なき医師団の項目を参照。
【暴走師団 聖華天】
“暴走”邪魔する奴ぁ
“暴走族神”の名の下全殺しだッッ!!!
殺島飛露鬼が90年代末期に立ち上げた日本最凶の暴走族グループ。
数々の抗争を勝ち抜き日本全国の暴走族・走り屋を束ねることで史上初の全国統一を果たし、10万人を超える構成員を獲得。
その圧倒的数の暴力は当時の機動隊ですら食い止められず、帝都高にパトカーと警官の屍の山を積み上げながら帝都高で暴走行為を働き、80年代以来の大暴走時代を作り上げた。
構成員は皆殺島を熱狂的に狂信しており、その様は暴走族というよりカルト宗教そのもの。
組織としては暴走を行う前の陽動で近郊の住宅を無差別に放火し、そこに警察の目と手が向けられている隙に暴走行為を行う手口が特徴。
当然ながらこの段階で放火による死傷者が発生するが、極道新聞で連載している『実録日本暴走族列伝』によれば、この民家への放火は対立する族と抗争を行う際の景気付けの一発感覚で放火していたようである。
また悪の養成所扱いされているだけあって、仲間の命と友情、暴走行為の価値が民間人の命より遥かに上という極道に近い倫理観を持つ。このため、暴走の過程で民間人や警察を殺戮することに一切の躊躇がない。
前身は荒れた家庭に苦しみ、学校でも孤立していた有羽と詩隈、そして当時いじめられっ子だった小学生の頃の逢魔賀を誘って結成した暴走族グループ。
つーかよ有羽!詩隈!オレ達で“暴走族“やんねー!?
どーせオメーラ退屈してんべ?パ〜っと楽しーことしよーぜ!!なっ!?
“保険金“……入ったし…よォ…!
お前らにも単車…買ってやっから…!!
という涙ながらの独白から、自身も友達に救いの手を差し伸べるだけではなく、病気で最愛の母を失った悲しみを紛らわせるためという動機も含まれている。
こうして母親の死で偶然手に入った保険金を資金源としつつ暴走族を結成。
結成後は上記の経緯を経て最盛期を謳歌するも、同時期に復活した忍者たちが襲来。忍者相手に勇敢に戦うも「半殺し」として構成員である少年少女の半分である5万人が殺戮され組織は壊滅し、壊滅的打撃を受けた聖華天はそのまま無念の解散に追い込まれた。この時全殺しにしておけば……
この顛末を極道は「悲劇」と評している。
本編では自分達から夢である暴走を奪い、仲間たちを無惨に殺戮した忍者への復讐を掲げ、殺島の呼び掛けと
極道の手引きでカスタムされた3万台の極道車、『
地獄への回数券』を手に入れた残党5万人が集結し20年ぶりに復活。
再び
東京近隣の住宅数百軒を無差別に放火し、その隙に
帝都高で逆走による暴走行為を開始。
国民を守ろうとする警官隊を虐殺し、民間人を躊躇いなく轢き殺して楽しんでいく破壊と殺戮の限りを尽くし、帝都高全域を火の海に変えた。
20年ぶりの復活であるが、警察にはその悪名が深く刻み込まれていたのか放火の手口も含めて剣崎
警視総監は
「20年ぶりに蘇ったというのか……!!」と苦々しい顔をしていた。
ただ、規模としては規格外ではあるものの、ほとんどの構成員が長年一般人として生活していたためかモブについては竹本組構成員のような漢気を見せるシーンすらなく忍者に鏖殺されており、幹部格も多少持ち堪えてこそいるが結局忍者に手傷も負わさられないまま死亡している。
殺島以外の個々のメンバーの戦闘力としては恐らく八極道の構成員としては最弱クラスと思われるが、それでも地獄への回数券と強化された極道車により、並の警察官では対抗すら不可能であった。
なおメンバーの中には極道技巧を操る猛者もいるが、実は暴走族の癖に誰もバイクや車関係の極道技巧は持っていない。
「優れた走行技術を持つ走り屋集団」ではなく「無軌道に暴走する暴走族」であるが故……だろうか。
エンブレムは炎上する帝都高の路線図。
副総長α/有羽 汰駆
押忍…″暴走族神″!!
″α″です!!!待っていた…貴方をずっと待っていた!!!
元『暴走師団 聖華天』副総長。
屈強な大男で、胸に抉ったようなαの文字を描いた傷跡がある。
一人称は「オレ」。
殴った相手の人骨が砕ける音を「イカした音色」と表現する残虐な性格。
服総長としての気概とプライドもあり、右龍との戦いでは敢えて部下の加勢を「バカヤロウ…不要ねーゾ!?」拒否してタイマンに固執する場面もあった。
戦闘では喧嘩殺法を昇華したと思われる
「暴走族拳法」の使い手で、武器も持たない
徒手空拳スタイル。
『
地獄への回数券』の力で現役以上の力を獲得している。
ニート時代には居室を廃屋にしか見えないレベルでボロボロにしており、筋力は常人以上にはあった模様。
タイマンに拘る姿勢や徒手空拳による戦闘スタイル、筋力は右龍も評価しており
「今のは”いい拳“だった」「骨があるなてめー!!」と評されている。
警察も!忍者も!何もかもッッ!!
“暴走”の邪魔は砕いて通る!!!
麻薬で強化された暴走族拳法による強力なパンチ力でブン殴るシンプルな極道技巧。
その威力はパトカーや人員輸送車すら素手で大きく弾き飛ばし、パトカーや人員輸送車に大きな拳の形の凹んだ跡を残す。
元々殺島の同級生だった不良で、詩隈と共に中学生の頃から殺島に心酔している。
賢い生徒にしか興味がなく不良に見向きもしない教師や荒れた家庭環境が重なって毎日辛く退屈な日々を送っており、同じ境遇の詩隈と燻っていた所を殺島の誘いに乗って暴走族の道に走った。
暴走族卒業後、就職先の極道で人間関係のトラブルを経て破門。堅気になるも妻の浮気による家庭崩壊を経験し、更に追い打ちに投資詐欺に引っかかって1億円の借金を背負ってしまう。
近所から「元極道で暴走族とか生きる価値はない(要約)」「早く死ねばいいのに」などと、降りかかった不幸の数々を嘲笑され陰口を言われる中で完全に鬱になり、自殺寸前のニート暮らしをしていた時に殺島からの通告を受け再起。
聖華天残党を率いて帝都高速大爆走に加担している。
劇中では市川から部隊を率いて出撃し、葛西で同じパワーファイターの
邪樹右龍と激突。
しかし右龍の尋常ならざる骨を砕くことはできず逆に自身の拳が粉砕され、更に右龍の技「不死身の
電撃漢」で全身を焼かれ重傷を負い敗北。
最後は自分達よりも遥かにデカい大人のつらさを抱えていながら自分達に救いの手を差し伸べてくれた殺島への恩義から意地と根性で奮い立ち、死に場所を与えてくれた殺島に感謝しながら特攻し、Σと同タイミングで笑顔のまま首を討たれた。
嗚呼……帝都高で死ねるんだ……
“暴走”の中で死ねるんだ……!!
殺島……心底“感謝”な!!!
副総長Σ/詩隈 殴偉斗
有難っス…オレ会社辞めます
(ボゴォボゴォボゴォボゴォ)
元『暴走師団 聖華天』副総長。
線の細い長髪の美青年で、左目蓋にΣの文字の傷を刻んでいる。
一人称は「オレ」。
見た目に反して愚直寄りな性格なのか、左虎との戦いでも自分の死を前提として相討ちを狙おうとした昔の侍みたいな気風の男。
また剣術使いの宿命か自身の剣技にはプライドと誇りを抱え、自らを剣豪と評していた。
現役時代に日本刀で官憲車を100台斬って鍛え上げた我流剣法「暴走族流剣術」を操る剣豪であり、再結成時には『地獄への回数券』の力でパトカーを現代アートの如く綺麗に両断するほどの剣技を得た。暴走族って何だっけ…
ただし現役から大分遠のいていたブランクから、日本刀使いの極道の中では力量は最弱クラスである。
黄金時代……ッ “官憲車”100台斬って鍛えしこの斬撃!!
剣豪同士“一対一”で真剣勝負だ…忍者!!!
日本刀で
官憲車を豆腐のように切断する斬撃を繰り出す極道技巧。
アバン先生に謝れ
麻薬による強化を受け、ただ真っ二つにする以外にも高速で刀を振るい
官憲車を細切れにする斬撃を披露することも可能。
余談ながらこの技を習得する過程で国民の血税が約3億円ほど失われている。
元々は有羽同様殺島とは中学からの同級生の不良生徒。
極道ドラフトで極道業界に就職するも馴染めず、真っ当な道を歩もうと思い自分から極道を辞めて保険会社「漆黒生命保険」に再就職する。
だがそこは
社名どおりのブラック企業であり、まともな仕事もさせて貰えず、陰湿な虐めを受け社畜扱いされていた時にαから聖華天再結成の連絡を受け復活。
今までの鬱憤晴らしといわんばかりに上司をボコボコにして脱走すると、そのまま聖華天残党を率いて帝都高速大爆走に加担した。
劇中では川口から部隊を率いて出撃し、レインボーブリッジで
覇世川左虎と対決。
徒手で待ち構える左虎と斬り刻まれた極道車の残骸からいち早く自身と同じ剣豪と判断し
死亡上等の精神で突貫するも、
技の性質を「手刀」だと見誤り間合いの外から放たれた「凍剣執刀」で斬り刻まれた挙句左半身を凍結破砕されなすすべなく惨敗。
それでもなお意地と根性、殺島への恩義から立ち上がり左虎に挑むがαと時同じくして笑顔で絶命した。
特攻隊長Ω/『旋風を呼ぶ男』逢魔賀 広偉
(“黄金”──………これが?)
(虚無い…)
元『暴走師団 聖華天』特攻隊長。
顔にΩを模した傷がある大男。殺島と副総長2人より4歳年下の35歳。
一人称は「オレ」。
座右の銘は「“人”打つより“球”打つほうが楽だね」。
聖華天解散後はアメリカのメジャー球団・NYドンキーズに所属し、通算6度のメジャー本塁打王と大リーグ記録799本塁打を記録した英雄的大リーガー。右投げ左打ち、背番号は1。名前のもじりと思われる「Oh! My God Hero!!」がキャッチフレーズ。
聖華天時代から上半身全体に刺青を入れているが、メジャーリーガーになってから右胸にボール、左胸にバット、左上腕部に王・キングの似顔絵の刺青を描き足している。
アメリカ日本問わず熱狂的な支持を受ける、登場した残党の中では唯一の人生の成功者。元暴走族という経歴ながら愛多総理からは「我が国の国民的英雄」と評されていた。
戦闘では得物である金属バットを振り回してアスファルトや人間の頭をいとも容易く粉砕しながら吹き飛ばす打撃の使い手。
αやΣと異なり社会で腐らず、メジャーリーグで尋常ならぬ研鑽を積んでいたためか、これと言った見せ場なく首を献上した上2人と比べても明らかに戦闘能力・極道技巧の練度が高く、単純なパワーなら一部の八極道に匹敵する…と言うか近接格闘戦なら殺島より強そうに見える。
副総長より強い特攻隊長はヤンキー漫画ではよくあることである。
人はオレをこう呼ぶぜ
“旋風を呼ぶ男”!!!
竜巻の如き突風を巻き起こすほどのバットスイングで相手をなぎ倒す打撃操術の極道技巧。
灼華繚乱の灼熱の炎を散らして無効化できるほどの旋風を巻き起こし、旋風で怯んだ隙を狙って渾身の金属バットによる打撃を繰り出す。
小学生の頃はひ弱ないじめられっ子であり、当時中学生だった殺島らの3人の姿をいつも物陰から覗いていたが、ある時「いじめっ子の殺し方を教えてやる」と殺島から声をかけられ暴走族となった。
聖華天解散後も極道に情熱を見いだせず、組からのスカウトも全て蹴っていたが、偶然街頭で見た伝説の大リーガー「王・キング」の姿を見て野球の素晴らしさ……特にバットスイングの美しさに目覚め、野球未経験ながらも裸一貫で18歳の時単身渡米。
そのままメジャーリーグ入りを果たし、十数年かけて国民栄誉賞候補の記録的大リーガーとして成功を収めたアメリカンドリームの体現者。
大リーグのスターとして、金にも女にも何不自由ない幸せな生活を送っていたが、5年前、自分を慕うブライアンという難病の少年の願いでホームランを約束される。
「俺は昔、偉大な神に夢をもらった。そして、野球には新たな生命をもらった。だから今度は俺が、ブライアンに夢と生命を与えるのさ」とインタビューに答えてかのベーブ・ルースが見せた奇跡の如くΩは彼の生きる気力が取り戻せる事を願い約束通りホームランを打つが、ブライアンはその甲斐なく普通に死去。
追い打ちに、同僚が慰めのつもりで言った「野球で病気が治るはずねえさ…仕方ないんだ “大人”になれよ」という一言が突き刺さり、同僚の胸倉を掴みながら「野球を信じて何が悪い!!?」と号泣し野球そのものに絶望。
この一件が情熱に影を落とした大人の苦しみを抱えてしまい、前人未到の800本塁打を控えた打席を目前にしても虚無い心境のまま変わらないところまで絶望しきってしまった。
そんなところにΣから聖華天再結成の連絡を受け、その場でこれまで積み上げてきた大リーガーの地位も名誉も躊躇なく捨ててアメリカから帰国。
聖華天残党を率いて帝都高速大爆走に加担した。
悪ィな…
それでも…オレには聖華天の“黄金時代”が眩しすぎてよ…
劇中では松戸から部隊を率いて出撃、立ち塞がる警官隊やパトカー、一般人をフルスイングで次々に
破壊しながら進撃し、霞ヶ関にて
愛多間七総理の前で
神賽惨蔵と対決。
打者同士“球“は不要 己の打棒で“命“を打て!!
決めようか…!! 何方が生存つか 死滅るか!!?
「王・キング」の姿に変身した惨蔵と『スイング対決』そうはならんやろを繰り広げるが、惜しくも力尽きる。
憧れの選手とのドリームマッチにより最後の最後で「野球が楽しい」という原点に立ち返ったナンデ?事で、誇り高き大リーガーとしての本来の心を取り戻し、ほぼ無抵抗で惨蔵の全力アッパースイングを食らう。胴体は赤い霧になって消し飛び、頭は大気圏外本塁打されて、「最高の 人生だった……!!」と満足のうちに『星』となった。赤い霧事件
なお、王(惨蔵)との対決の前に口内の『地獄への回数券』を奪われていたため、「打ち合い」を続けているうちにクスリの服用者の特徴である目元の血走りが少しずつ小さくなっており、決着の直前には完全に消えている。
「一度は真っ当に光の道を進んでいたが、ある出来事で再び闇に堕ちる」というその経緯から、
極道側の人物でも、かなり同情の余地のある人物であり、
この作品の極道達が、自分の才能を陽の当たる社会で真っ当に使えてたらどうなっていたのかを体現した人物。
国民的英雄から一方的に襲撃され無慈悲に殺戮された警官や一般人の恐怖たるや
大リーガーとしての彼の大ファンだった惨蔵にしても彼が再び暴走族に堕ちた事は残念だったらしく、上述の様に戦いを通して野球に対する愛をあの手この手で取り戻させようとしていた。
作者曰く
「野球無経験から大リーグの本塁打王にのしあがった怪物」「劇中での行動は現実で言えば大谷が50-50を達成する打席直前に失踪して帝都高暴走に参加したようなモノ」。
なお聖華天残党の中でも最大の人生の成功者であった逢魔賀が暴走に参加するのは殺島も流石に予想外だったのか、最初は
「テメーいいのか!?大リーグのスターだろ!?」と素で驚愕していた。
その他構成員
「忍者!!!忍者だと!!?」
「20年前ッ 聖華天を半殺しの憂き目に遭わせた忍者!!!」
「オレの“親友”を惨殺した!!」「アケミを…っ オレの“女”を殺した忍者!!」
「てめーコラあの日のこと忘れねーゾ!?」
「尻穴に“釘打棒”刺したらああ!!!」
全世界に散らばった5万人にも及ぶ聖華天残党達。武装は釘バット、鉄パイプ、メリケンサック、長ドスなど。
再結成後は、
自分達が過去にしでかした悪行三昧を棚に上げて、現役時代に彼女や親友を惨殺した帝都八忍に対する怒りと怨み節を叫ぶ者も多くいた。
解散後はαやΣのように落ちぶれた者だけでなく、結婚し家庭と子供を得た者、
コンビニの店長、会社役員、サラリーマン、探検家(自然保護員?)としてそれなりに成功した者もいたようである。
そして殺島の召集を受けて参加し『地獄への回数券』をキメて暴走と殺戮の限りを尽くしたが、立ちはだかった帝都八忍の手で
すれ違いざまに首を落とされたり、暴走中に
抵抗できない眠気に襲われ帝都高の外壁や分離帯の餌食になったりして一方的に殺戮され、大半の者は自分の身に何が起きたか判断する間も無いまま一人残らず全殺しとなった。
だが彼らにとっては今の地位以上に、殺島と共に駆け抜けた「
黄金時代」が眩し過ぎたのだろう…。
聖華天残党の一人。下っ端ではあるが最初期から聖華天に居た古参メンバー。
極道新聞に聖華天現役時のエピソードで構成された実録小説『実録日本暴走族列伝~聖なる華咲く天の下~』を連載中。
本編には登場していないが、恐らく聖華天再結成に参加して忍者に殺されたのだろう。
現役時代の聖華天古参幹部の一人。
「マブの武羅神」と呼ばれていたので、たぶん相当な友達なのか美人レディースなのだろう。
一度殺島を逆ナンしたことがあったが、後に敵対組織の集会で捕らわれてリンチされそうになった時に単身乗り込んで来た殺島に救われ、以後聖華天傘下に加わった。
幹部ではあるが本編に登場していないので、聖華天が忍者に「半殺し」された時に殺戮されたと思われる。
【聖華天青春の語録抜粋】
- 二重唄
- 強請
- お願シャス
- 「よう 神だぜ」
- 虚無い
- 悪童
- 心
- 「“幻想”じゃねえよな…!?」「還って来る…オレ達の“黄金時代”が還って来る!!」「すぐ“帰国”するッ…!!」
- 暴走
- God speed you
- 「全てブッ破壊せ」
- 釘打棒
- 「早漏るなオメーラ…!!」
- 「暴走族神の神託だ 極めし技術其れ即ち”極道技巧“也!!!」
- 官憲車
- 「いざ尋常に特攻む!!」
- 死亡上等
- 警察
- 頭蓋骨複雑骨折
- 「虚像だろ!!?」
- 暴走る
- 絶頂え
- 「あまりに美麗くて」
- 感激的
- 「オウ若えのッ!!テメー中々いい殺人っぷりじゃねーの!!」
- 「オレ達ゃふたりで力で合わせて殺ってっかんな!!」
- 「オメーにも“親友”…いるかい?」
- 非現実ェ
【劇中での活躍】
暴走は────…暴走族にとって“夢”でした
日々のつらさや退屈をすべてブッ飛ばしてくれる“夢の世界”────
聖華天はそれを……忍者に奪われた…!!
仲間達に────あの時止まった“暴走”の続きを見せてやりてえ
子供の頃の“暴走”を忘れられず…… “大人”に苦しむ悪童に救済を!!!
そして忍者に復讐を!!!
決戦は聖地“帝都高”!!! 蘇りし暴走族が忍者共を天に召す!!!
初期の頃から姿を見せ、ガムテと共に陽日にとどめを刺すなど暗躍していたが、『第三章:情愛大暴葬』で破壊の八極道の2番手として本格的に行動を開始。
「大人」であろうとするため社会の荒波に揉まれながら現代社会に身を潜めねばならない仲間達の在り方を憂い、全世界に散らばった聖華天メンバーたちを呼び寄せて再び大規模な暴走行為を目論み、世界中に散らばった残党5万人に連絡をすることで2日で5万人全員を東京に招集する。
今宵オレらは“子供”に還る… !!!
忘れちまえ!!“大人”の厳しさなんてよ……!!!
棄てちまえ!!“大人”の退屈なんてよぉ……!!!
神が“暴走”を魅せてやる…!!
“黄金時代”の“暴走”の続きを魅せてやる!!!
暴走せよ!!!“神”が赦そう!!
殺害せよ!!!“神”が赦そう!!
「“殺害”!!! おお暴走族神 我らに何を殺害せよと!!?」
オレらの“暴走” 邪魔する“全部”だ
『暴走族神!!! 暴走族神!!! 暴走族神!!! 暴走族神!!!』
ぞくがみっ!! ぞくがみっ!!
わ~お バカ洗脳完了
更に
極道が用意した改造極道車3万台と『地獄への回数券』を利用して集った仲間達を扇動。
帝都高の外縁部にあたる蒲田・川口・松戸・市川の4都市から解散前と同じ手口で暴走を開始し、帝都高環状線に逆走で侵入、破壊と殺戮の限りを尽くし地獄絵図に変えた。
しかし帝都八忍の活躍により配下は全滅。自身も暴走の最中主人公・
忍者と対峙、極道技巧を駆使して翻弄し、両足を撃ち抜いて圧倒的優位に立った…と思いきや、
忍者に自身の技をパクられ、驚異の身体能力で逆襲を受けた結果窮地に陥る。
そんな中、自身の右手首に飾られたブレスレットが光り…
パパ……花奈のお願い
ママとずっとずっと…仲良くしてね
実はこの殺島、なんと結婚していた。
そして、娘もいたのである。
上記の通り中学生の時、殺島は最愛の母が病気で死去する形で『家族』を失う。
その保険金と、母がやっていた『生花店』の売却金を元手に殺島は同級生だった有羽(α)と詩隈(Σ)、自分を慕ういじめられっ子だった逢魔賀(Ω)らを暴走族の道に誘う。
母を失った殺島、ネグレクトや暴行を家族から受けていた有羽と詩隈、小学生で壮絶ないじめを受けていた逢魔賀。
彼らは拠り所の無い者同士で支えあって助け合う『家族』であり、そこから四人は『暴走師団 聖華天』を立ち上げるのであった。
この時はただ、『家族』が欲しかっただけだったのだが、やがて殺島の預かり知らぬ間に持ち上げられ、
単に気合い入れる為のあだ名というだけだった筈の『暴走族神』として持て囃されるようになっていった。
そして聖華天は最終的に10万人のメンバーを有する文字通りの『暴走師団』となり、全国統一を果たすのであった。
聖華天の解散後、暴走族を卒業して長沢組に就職すると、持ち前の気質で25歳の若さで組の本部長にまで出世する順風満帆な人生を送る。
そんな中、取り巻きだった女性の一人、ノリカと結婚。
やがて娘の花奈が誕生。
…そう。『花奈』という女性は、彼の実の娘の事だったのである。
なんでだろう…!? 涙が…涙が止まらなかった!!
オレの“生命”を受けた“家族”が…!!
そう思ったらよ…
涙が…涙が…!!!
この『花奈』こそ最愛の母と並ぶ殺島の『家族愛』、そのもう一つの根源。
この時の彼は大変な子煩悩であり、娘の為ならキツい育児も債務者を足蹴にしての取り立ても全く平気であった。
極道が夢澤に送った『孤独の歌』に二重奏できたのも、おそらく娘の影響だろう。
やり方こそ間違えども、「神」などではなく、普通の「父親」であり、この時の彼は間違いなく「“大人”」であった。
だがある日を境に、だんだんと妻のノリカとそりが合わなくなっていき、喧嘩が絶えなくなっていく。
喧嘩の内容は娘を芸能界に入れるか否か、仕事の帰りが遅いなど色々あったようだが、殺島自身あまり覚えてはいない。
それでも一番強く覚えていたのは、ノリカが最後に言った言葉……
ノリカがどういう状況でこの言葉を発したか、詳細は不明。
だが、この言葉は、殺島の心に決定的にこびり付く事となってしまった…。
そしてそのまま離婚し、しばらくしてノリカは再婚。
再婚相手はよりにもよって上司である長沢組の組長であり、娘とは引き裂かれ、娘の親権も奪われてしまった。
だが、月に一度だけ会う事は許された為、殺島はそれだけでも幸せだった。娘が幸せに成長するのを見守れる、それだけでも充分だった。
ある日、長沢組の事務所に忍者が襲撃をかける。
駆けつけた殺島の見たものは…
その時、ノリカと花奈は何故か家でなく組の事務所におり、巻き込まれた娘は組員が撃った流れ弾を受け、治療の甲斐なく死亡してしまったという。(この際にノリカと組長も死亡)
愛する娘の死に動揺する殺島の脳内で、あの言葉が響く。
原因を作った忍者は憎いが、花奈を直接手にかけたわけではない。
花奈を危険に晒した組長とノリカも、死んだ事でケジメを付けた。
だが、殺島は許せなかった。
何より、娘を守れなかった、自分自身が許せなかった。
その
トラウマから、殺島は組からも家からも飛び出し失踪。
毎日浴びるように酒を飲み、冬は路上で寝て凍死寸前になった事もあったなど、一時期は廃人同然の世捨て人にまで落ちぶれた。
「大人」という概念に強いコンプレックスを抱えたのも、この時期からである。
なんともなかった“大人”の日々が、酷く退屈に思えた
“大人”の日々が、ただただ……つらかった
そんな無気力な日々を送りながらも黄金時代への郷愁に思いを馳せるある日、極道と出会う。
君に何が起きたか…聞かせてもらった
全部忍者が悪い
さあ────…共に忍者をブッ殺そう…!!
こうして極道の悪魔の囁きを受け再起。
その後は極道のバックアップを受けながら、長沢組若頭の座までのし上がった。
殺島が右手首にぶら下げているブレスレットは、娘の花奈が大好きだった『フラッシュ☆プリンセス』のおもちゃのブレスレットである。
…そして、現在。
忍者に左腕を丸ごと斬り落とされ、自分と仲間達を「大人として生きていく中での困難から目を背けて、暴走という夢に逃げ、人に迷惑を掛けなければ生きられない負け犬」と自嘲し、「そんな仲間を少しだけでも肯定してやりたかった」という本音を吐露する。
そして右手に持った拳銃で自決する素振りを見せ、奥の手「世界の終わり」を繰り出すが、目の奥にある殺意までは隠せなかったことで見破られ、完全に敗北。
「負け犬の眼じゃなかった」という奥の手を見破られた理由を聞いて納得し、自嘲の笑みを浮かべながら暗刃により斬首された。
死後、殺島は気がつけば、不思議な場所に辿り着いていた。
そこは、「上」へ登る階段か、「下」に降りる階段だけの場所。
ふと、殺島の耳に、「上」から懐かしい声が聞こえる。
それは、何よりも愛したはずの娘が呼びかけてくる声。
……そう。そこは、あの世への入り口。
そこで殺島は、仲間達が待つであろう「下(地獄)」に行くか、心から愛していた愛娘が待つ「上(天国)」に行くか。
この究極の2択を突きつけられた。
彼にとっては、最後の「チャンス」が与えられたのである。
思わず、愛娘の待つ上への階段に向かいそうになる殺島。その顔には、笑顔さえ浮かんでいた。
…だが。
彼は、その笑顔を、苦笑で塗り潰した。
殺島は、悩んだ末に「悪いことしたら責任取んねーと」という理由から、自ら「下」への道を選択したのだ。
或いは、それは、殺島飛露鬼という男に与えられた残酷な罰であり、唯一無二の贖罪の機会であったのかもしれない。
ここで花奈のいる方に行くのは簡単だ。だがそれは、自分が散々やってきた数多の殺人、暴走行為を正当化する行いだ。
自分は悪くない、何で殺すのがダメなんだ、と、それこそ子供のように開き直るだけの行いだ。
それは、大人のやることでは断じてない。
そんなものが許されるのは、幼稚な子供だけなのだ。
そして、もう、彼は子供ではない。そこまで開き直れるほど、子供ではなかったのだ。
だからこそ、彼には、最初から地獄に堕ちる道しか選びようがなかったのだ。
たとえ、誰よりも愛し、その死によって心が砕け、仇討のためにもう一度ガキに戻るほど大切だった愛娘の呼び声に背中を向け、もう二度と会えない場所に逝く羽目になろうとも。
その結果、天国の花奈を悲しませ、泣かせる羽目になろうとも。
彼は今度こそ、ほかの誰でもない自分の意志で、花奈を切り捨てるしかなかったのだ。
散々殺人や放火、暴走に手を染めておきながら、のうのうと天国に行きたいと思えるほど、幼稚な子供ではなかったから。
……これは、そういう風に、大人としての”筋”のために大事なものを切り捨てる選択をさせられる刑罰であったのかもしれない。
そして彼は、死んだ10万人の仲間達と共に笑顔で地獄の果てと突っ走った。
久々の暴走ッ 心底でよォ〜絶頂かったぜ!!暴走族神ィィ!!!
さあ……!行こうや!!暴走族神ッ!!!
どこまでも貴方に付いていきます!!暴走族神… !!!
ッッしゃぁああオメーラァ!!! これが最後だ!!! ビッと気合入れろやァァァァ!!!
暴走師団聖華天!!! 地獄の底まで“出発”だァ!!!
こいつも…誰かの為に、笑って、逝きやがった……
外道なのによ、ちょっぴり格好良ェじゃねーか……
だが、ブッ殺した……!!!
【余談】
単行本で明かされた犠牲者の数は20万人以上。
殺島の登場から本作の人気も上向きになってきたらしく、作者から「感謝に尽きない」と評された名悪役であった。
また殺島が本格的に登場する第3章から各話のタイトルに楽曲名が用いられるようになっており、そういった意味でもターニングポイントとなった。
なお3章では『THEE MICHELLE GUN ELEPHANT』を中心に『
凛として時雨』や『ROSSO』などといった邦楽のロックバンドで占められている。
ちなみに、作者のTwitterの落書きでは、その後地獄の底に辿り着いたらしく、刑罰に服しながらも閻魔様に『忍者と極道』の電子書籍の購入を薦めたりしてるなど、持ち前の要領の良さで彼等なりに地獄生活をエンジョイしているようである。
ちなみに、そこにはどこかで見たような人々も…
殺島「p〇x〇vコミックストアでマンガ買うと10ポイント投票できるシリアルナンバー貰えるッスよ〜」
閻魔様「まじで〜?」
あと、直後の番外編にて、『聖華天』立ち上げの際に貰ったアダ名と同じ疵を胸に彫ったα、顔に彫ったΣ・Ωに対して自身のお宝に『暴走族神』の文字を彫ったことが明かされる。そしてご近所のおばちゃんにそれをガン見されてる。
誰が言ったか、『暴走族亀』。サイズもでかいらしい。
…殺島さん、マジ偉大ェッス…
なお殺島が聖華天残党を招集する際の見開きページはかなり汎用性が高いためか、昔の古い作品がリメイクや復刻などする度にコラ画像にされたりコマを切り抜きとしてリアクションに利用されたりと、割とネットミームになりつつある。
本作を知らなくても
『その"神のひと声”は瞬く間に 全世界の悪童共の"心”に火を付けた!!!』
「“幻想”じゃねえよな…!?」「還って来る…オレ達の“黄金時代”が還って来る!!」
という文言で号泣するサラリーマンのコマは見たことがある人がいるかもしれない。
「“幻想”じゃねえよな…!?」
「還って来る…オレ達の“追記時代”が還って来る!!」
「すぐ“修正”するッ…!!」
殺島の死後、嘆き悲しむガムテを諫めつつ、極道もまた、最後まで仲間への想いに殉じ、仲間の夢を叶え、孤独な者達の存在を世界に刻み付けた殺島の生き方を賞賛し、ヤンキラーにたとえて「ドブネズミのように美しい…!!!」と褒め讃えた。
実際、壊滅時惨めにも忍者に情けをかけられて『半殺し』にされた仲間の仇を討てず生き延びさせられてしまったメンバーを殺島は再び召集。
そこで暴走を行うことで忍者に『あの時全殺しにしておかなかったから多くの民が犠牲になった=忍者の采配ミスで民を殺したようなもの』という屈辱を命と引き換えに聖華天は忍者に与え、暴走の限りを尽くし最後まで走り抜いた。
つまり、民を極道の手から守ることを存在意義とする忍者に対しては聖華天が復活して暴走を行い黄金時代に帰ることができた時点で殺島とその聖華天は忍者に完全勝利できていたのである。
とはいえ『戦略』や『理念』の観点から見れば勝利かもしれないが『戦術』の観点から見れば、忍者との抗争として紛れもない敗北。
忍者を1人殺すことに成功してはいるのだが、殺ったのは聖華天と関係ない
ガムテの個人技である。
この結果を
極道は
「善き教訓」と定めた。
如何に麻薬で肉体を強化しようとも
忍者には数では勝てぬ 現役退いた“素人”5万人では相手にならぬ…!!
忍者殺るには君達のような──……!?
大丈夫…極道さん オレ達は…“玄人”だ
- 極道陣営の例に漏れず倫理観は終わってるけど、すごく切ないキャラだと思う。 -- 名無しさん (2021-01-14 19:27:55)
- ちょうど彼の登場時から見始めたのですごく印象に残ってる -- 名無しさん (2021-01-14 19:52:13)
- 共感できちゃうんだよね。「大人」ってのは疲れるもんだ。 -- 名無しさん (2021-01-14 20:12:42)
- まあ共感できるけどやってることは結局暴走族で、それも大犯罪っていうね -- 名無しさん (2021-01-14 20:27:14)
- 今人気投票やっても1位獲れそう -- 名無しさん (2021-01-14 21:18:22)
- なんで主人公2人より先に立ってんねん。いやもう出番無いからだろうけど。 -- 名無しさん (2021-01-14 23:26:47)
- なお、某閻魔大王補佐をPRに招聘したせいで「目の前で大切な人を焼かれ続ける」放火魔の煽動家用の地獄墜ちが実質内定… -- 名無しさん (2021-01-15 10:54:53)
- やっぱり最後が素敵だよなこの人 悪い事したから自分から地獄に行くって大人の責任を果たしたのが偉い -- 名無しさん (2021-01-15 17:39:01)
- 「大人になってよ」って言われてから決定的に壊れちゃったのに、死後も地獄で子供なままの奴らを引っ張る大人であり続けないといけないってのが暴走族神(ゾクガミ)にとっての最大の罰なんだよな… -- 名無しさん (2021-01-18 09:44:22)
- 39歳っていうのが絶妙な現代のコドモオトナの年齢だと思う -- 名無しさん (2021-01-20 13:03:35)
- オメガくんの闇堕ちって、ブライアンくんの死亡もそうだけど、その後のチームメイトの「コミックじゃあるまいしホームラン打っても病気治らんだろ……【大人】になれよ」も大きいと思うわ -- 名無しさん (2021-01-20 22:44:49)
- ↑大リーガーやスポーツ選手って、多かれ少なかれファンに「夢」と「希望」を与えてナンボだからな。同僚も悪気はなかったにせよ、失意の中でそんな事言われちゃ今までの自分を全否定されたようなもんだ…。 -- 名無しさん (2021-02-10 17:45:15)
- シグマ退社のコマでこの漫画知って、ゾクガミ召集の見開きで興味もって読んだらめちゃくちゃ面白かった。心底有難ッス…!!殺島さん過去から最期まで徹頭徹尾偉大ェ -- 名無しさん (2021-04-06 19:30:49)
- 彼だけはっきり「心が割れる」描写がえがかれていて、のちのグラチルの示唆になってるのが細かいよね。本当に子供時代(チューボー)で時が止まっていたのかもしれない。あと、作者言うところの「族のアタマって説明不可なほどに色っぽい人がいる」というのもすごい。実体験なんだ・・・って思った -- 名無しさん (2021-05-25 23:36:06)
- ゾクガミの極道技巧がキワミさんに、そんで -- 名無しさん (2021-06-17 03:25:35)
- 形を変えてしのはくんにも受け継がれてるのエモくてすきら -- 名無しさん (2021-06-17 03:26:23)
- Ωは心救われて助かるのかな?とかちょっとだけ考えてしまった。この漫画にそんな救いあるわけないよね…。 -- 名無しさん (2021-07-01 12:29:29)
- ↑その前に人も殺してしまってるからね。その償いの為に最期は神賽の一撃をわざと食らってるし、あの世でも敢えて下を選んだ。結局、彼の心根はシャバ僧だった頃と変わってなかったんだよ。あまりにも純粋で優し過ぎた。 -- 名無しさん (2021-07-01 19:51:16)
- このコロナ禍で、人を集めるということ自体悪/我慢のできない子供的発想という文脈に通じて象徴的だな。対して色姐が「仕方ない仕方ない」「諦め続けるのが大人」といって諦観してったのもなんかコロナ禍の時代を感じる -- 名無しさん (2021-07-11 19:19:17)
- あの大人嫌いのガムテが尊敬し、死んだときはガチ泣きするあたりカリスマ性高いよなこいつ -- 名無しさん (2021-07-11 19:40:57)
- ↑×2 でも次には大事なのは「心が折れない事が大事」と色姐は言っていたからねぇ…… -- 名無しさん (2021-07-21 21:45:00)
- 今の大谷みたいな活躍を肌で感じた後だと、惨蔵の「そこにお前のファンおるぞ」「なんでこんなことしでかした」の重みがめちゃくちゃデカいな……。 -- 名無しさん (2021-07-28 21:18:12)
- 野球で大成したけどつまんね~無差別殺人しよ~←どこに同情の余地があんだよ草 -- 名無しさん (2021-08-11 20:05:29)
- Ωの血走りって、普通に消えてから再度描かれてたりするし雰囲気で消しただけで、素の能力で戦ってたわけじゃねえだろ。口から取られたって、あの薬舌に当てるだけで90分は持つんですけど? -- 名無しさん (2021-08-11 20:36:46)
- ↑堕ちる原因になった出来事のこと書いてるのに見えてないのか -- 名無しさん (2021-10-17 19:51:22)
- ゾクガミも悪童達も極道の例に漏れず所業はクソほど邪悪なんだけど、夢澤さん達と違って無茶苦茶な暴れぶりも熱狂じみた台詞回しも圧倒的に面白いから凄いよよ -- 名無しさん (2021-11-14 20:26:27)
- やってることは迷惑この上ないけど最終的に自分から地獄逝き選んでるから憎めない -- 名無しさん (2022-04-18 15:43:35)
- 自分がクズだと認識しているだけで大分マシに見える(同情するとは言ってない) -- 名無しさん (2022-05-25 01:01:24)
- カバー裏であったが、聖華天メンバーのノンフィクション小説だと、ヤンキー漫画よろしく「かつて倒した敵の族が味方にやってくる」というお約束展開があったようだ。それで『出発前の景気づけに目の前の民家に放火した』とサラッっと一文が書いてあって草生える -- 名無しさん (2022-06-02 09:24:02)
- ↑一回逆ナンしてきた女を救うためだけに格上相手にケンカを売る仁義と、景気付けにテキトーな民家に放火するというこの倫理観のジェットコースターよ… -- 名無しさん (2022-06-02 13:02:12)
- 女房が再婚相手に組長選んだ事からしても、極道に未練あるのは女房の方だったとは思う。殺島→「花奈を芸能界に入れるならいずれ足枷になるから極道を辞める」女房→「極道のコネを最大限利用して花奈に活躍してもらう」と言う風な意見の違いで大喧嘩したんじゃないだろうかな。殺島の才覚なら、極道辞めてもかつての仲間と会社立ち上げたりとかして十分やっていけたかもしれないと考えると、ほんと悲しい。 -- 名無しさん (2022-06-23 20:24:23)
- 極道はクズとしか思わないけど、この人と夢澤の兄貴だけは何か違う。多分それは、ふたりとも「被害者ヅラ」をしていなかった、またはやめたからなんだろうな。夢澤の兄貴はカタギには手を出さない主義=カタギや世の中を逆恨みしたり一方的に哀れんで見下し殺してやろうとかはしなかったし、殺島は分かれ道で「自分は被害者だ! だから自分も天国にいっていいんだ!」とはならなかった。忍者が悪いカタギが世の中が悪いだから天国にいく権利が俺にもある! と自己正当化してぶん投げることだけはしなかった。 -- 名無しさん (2022-10-12 01:02:35)
- ↑完全同意だし夢島の兄貴も選択肢あったら迷うことなく下を選ぶだろうけど一応オレオレ詐欺とか普通にやってる人ではあるから… -- 名無しさん (2022-12-04 13:55:36)
- 「“幻想”じゃねえよな…!?」「還って来る…オレ達の“黄金時代”が還って来る!!」「すぐ“帰国”する…!!」は忍者と極道無関係のところでも頻繁に使われる -- 名無しさん (2022-12-09 21:27:07)
- AC開発決定に血沸き肉踊る悪童共 -- 名無しさん (2022-12-09 23:36:00)
- 忍者と極道の名前を知らなかった時から『暴走族神(ゾクガミ)』の名前だけは広告のおかげで知ってた。ぶっちゃけ主役二人を差し置いて知名度があるでしょこの人 -- 名無しさん (2022-12-22 20:49:39)
- 一般極道だったら何処までも純粋(厚顔無恥)に自分は社会に爪弾きにされた被害者!天国に行っていいんだ!ってなるだろうしね、八極道は殺島と同じ状況で同じ選択しそうなイメージ -- 名無しさん (2023-01-12 19:11:06)
- 花奈が娘の名前だってのは記事の最後まで伏せたほうがいいだろうし、プロフィールの好きなもの欄「"娘の"花奈」ってわざわざ書かなくて良いのでは -- 名無しさん (2023-05-18 18:20:53)
- しかしノリカにだけは圧倒的カリスマと男気が通じなかったのはなぜだろう。男女の難しさと言えばそれまでだが。 -- 名無しさん (2023-07-27 02:19:45)
- ↑ゾクガミのカリスマは自分を神(教祖)、他者を信者とするものだから、夫婦という対等な関係にあるあ -- 名無しさん (2023-07-27 07:55:14)
- 途中送信 対等な関係にある相手には良くも悪くもカリスマが通じなかったという説を今考えた -- 名無しさん (2023-07-27 07:56:12)
- ぶっちゃけ例の開きのページ見たときはマガジンあたりの往年暴走族漫画のエピローグかな?って思ってた。 -- 名無しさん (2023-08-17 20:07:02)
- シグマでナイト…ハドラー親衛騎団のイケメン人身馬頭騎士かな? あっちの武器は槍だけど -- 名無しさん (2024-03-31 08:08:48)
- 黄金の旋風に「荒木先生に謝れ」のツッコミ吹いた。しかもそっちの方だとゲーム版の方のタイトルとモロ被りなんだよっwww -- 名無しさん (2024-06-30 22:14:27)
- 何故半殺しで済ませたってちょいちょい言われるけど本編の時間軸だとゾクガミ以外の構成員全員、アルファやシグマといった幹部勢含めて極道辞めて更生してるって言ってもいい状態と言えなくもなかったりする。逆に何があってもゾクガミは殺さないとダメだったって話かもしれないが -- 名無しさん (2024-07-14 14:51:33)
- 殺島の後に聖華天引き継いだ人ってどんな人間だったんだろうな。 -- 名無しさん (2024-08-11 11:58:19)
- あの世の描写は言わば蜘蛛の糸みたいなもので、身の程知らずにも娘の元へ逝こうとしたら地獄で天下取りなんて言ってる余裕もない滅茶苦茶悲惨な罰が待ってたのではないか、と今思いついた -- 名無しさん (2024-08-12 19:35:20)
- 広告やらネットミームやらで間違いなく八極の中で1番知名度はあるんだろうけど、読み進めると2番手のボスキャラなんで割と常識寄りなのが分かっていくという絶妙な匙加減。孔富姐さんにある真実暴露された時は夢澤さん共々驚愕してるし、麻薬鯨の時は実行時点で微妙にビビって震えてたり。 -- 名無しさん (2024-08-28 01:05:47)
- ある意味極道の中で1番冷めてた人 -- 名無しさん (2024-09-01 16:27:16)
- Ωに対して「大谷翔平が突如失踪し、なぜか都心で罪なき人々や凶行を止めようと阻止しようとする警察官への無差別殺戮を起こしているようなもの」という例えが野球全く知らない身ですらピンと来すぎてなあ…… -- 名無しさん (2024-09-25 06:03:37)
- ↑冗談抜きに社会的影響がでかすぎるんだよな…国会襲撃したグラチルといい勝負だろ -- 名無しさん (2024-12-08 12:09:56)
- ↑2 あの人も(別の意味で)「大人になれ」って言われてたな… -- 名無しさん (2024-12-08 12:17:22)
- 基本的にずっとアンニュイな顔してるから、地獄行った後にだけ見せた仲間たちへの満面の笑みが良い意味で印象的 -- 名無しさん (2024-12-08 16:10:00)
- 「ヤンキー物ってどんなにイキってたキャラも卒業間近になると真っ当に就活し始めるよな」っていうあるあるネタに対する真っ当な就活しなかった例とも言える -- 名無しさん (2024-12-22 19:51:54)
- 極道に堕ちる前の花屋の名前って、苗字+生花店だろうから。「殺島生花店」というかなりイカしたネーミングの店だったんだな -- 名無しさん (2025-01-19 00:08:49)
- 堕ちる原因になった出来事のこと書いてるのに見えてないのか -- 名無しさん (2025-02-24 19:15:53)
- 堕ちる原因になった出来事のこと書いてるのに見えてないのか -- 名無しさん (2025-02-24 19:16:24)
- ↑1↑2 ミス連投申し訳ない 「〜書いてるのに見えてないのか」みたいにキツい物言いで指摘するのは勘弁して欲しいな。なんか指摘する側もやけにキツい物言いや煽る物言いする人がSNSに多いのは何故だろう?SNSは口調強くなりやすいのかな? -- 名無しさん (2025-02-24 19:19:00)
最終更新:2025年03月20日 18:31