ウルトラマンネオス

登録日:2010/02/20 Sat 18:51:04
更新日:2024/12/18 Wed 21:43:29
所要時間:約 11 分で読めます







ネオォォォォォォォォス!!


画像出典:ウルトラマンネオス(2000年11月22日~2001年5月5日)
第1話「ネオス誕生」より
©円谷プロ、バップ


ウルトラマンネオスは円谷プロダクション制作の特撮作品『ウルトラマンネオス』に登場するウルトラ戦士。


【プロフィール】

出身:M78星雲・光の国
身長:58メートル
体重:5万9千トン
人間体:カグラ・ゲンキ
演:高槻純
CV:八塚竜也(『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』)


【概要】

宇宙警備隊のエリート集団「勇士司令部」に所属するウルトラマン。
ウルトラセブンの父傘下のエリート戦士である。
外見は初代ウルトラマンゾフィージャックといったシルバー系の王道顔であり、額に「ブラウスポット」と呼ばれるクリスタルがあるのが特徴。
年齢は本編の時点で8900歳と5ケタに届いておらず、ウルトラ戦士の中では若手の部類。
設定上は5900歳のウルトラマンゼロが高校生くらいなので、当時のネオスは人間換算だと20歳代前半の若者だったことになる。

仲間の身代わりに宇宙に投げ出されてしまったHEART所属の青年カグラ・ゲンキの勇敢さにゾフィーが目を付け、彼と一体化して地球を守ることになる。
カグラがエストレーラーと呼ばれるアイテムを使用することでネオスへと変身。怪獣や宇宙人を相手に戦う。

スピーディな動きが特徴。
またキックを多用しており、パイロット版では「鋼鉄をも突き破るパンチ力」というナレーションをバックにザム星人の顔面を蹴ってから連続回し蹴り、本編でもザム星人やシーゴリアン等を蹴って蹴って蹴りまくった。

体内の光エネルギーを物質化させる「ウルトラ・メタモルフォース」と呼ばれる能力を持つ。

同作品に登場するウルトラセブン21とは、盟友の間柄。
ウルトラマングレートウルトラマンネクサスと同じく、防衛隊に攻撃された経験を持つ。

掛け声は甲高いのだが、本人が喋ると意外と声が野太い。 

デザイン・スーツの変遷

ウルトラマン画報 下巻』によると、顔のデザインは幻の企画『ウルトラマン -遥かなる夢幻境へ翔べ-』に登場予定だったウルトラマンの流用。
初代ウルトラマンに似た外見なのはこの名残。この事が後に彼の運命を決めることに……。

ネオスの造形はパイロット版とビデオ版では異なっている。
パイロット版ではマスクの形状やスーツの筋肉表現等、初代マンのCタイプを意識した作りとなっていたが、
ビデオ版では完全新造形となり、マスクは初代マンのBタイプを思わせる精悍な顔付きに、スーツのラインはよりシャープになり、ウルトラマンガイアのようなハイレグスタイルになった。

また手袋とブーツも、初代マンを踏襲した繋ぎ目をテープで巻いて塗装する方式から、ウルトラマンティガ以降のスーツの袖の中に入れる方式に変わっている。

そのほか、ネオスのぐんぐんカットのパース人形はガイアのものを改造した物らしい。

パイロット版では驚いたと思われる場面で目の大きさが変わるなどの特徴があったが、OV版では非採用。


【能力】

ネオマグニウム光線
ネオスの必殺光線。
両腕を十字に組んで発射する。
なお、バッカクーン戦で使用したのはスペシウム光線である(ポーズは同じだが溜めモーションがなく、手刀から発射されたので見分けがつく)。
映画『新世紀ウルトラマン伝説』ではウルトラ戦士は最初にスぺシウム光線を体得するという設定があるが、これに従うならネオスもスぺシウム光線を体得してからネオマグ二ウム光線に発展させたという事になる。

マグニウム光線
OV版でボツを食らった、パイロット版限定の必殺光線。
両腕をスペシウム光線とは左右逆にした状態に握り拳で構えた後、X字に組み替えて発射する。
ただし、他の戦士の使うX字状と違って上のVの字部分だけから出る点が特徴(つまりX状の光線ではなく、V字状の光線である)。
『大いなる陰謀』ではルーゴサイト相手にこちらの技も使用している。

ネオスラッシュ
早い話が八つ裂き光輪
あんまり決まっていない不遇気味の技だったが……(後述)

ウルトラライトソード
腕から伸ばした光の刃で怪獣をぶった切る。
一度しか使われなかったが、中々かっこいい。

ウルトラ・エディビーム
握り拳から発射する光線。ウルトラアタック光線みたいなもの。

ウルトラ・マルチビーム
額のブロウスポットから発射する光線。見た目はまんまエメリウム光線
熱戦や麻痺など様々な効果を使い分けられる。

ウルトラ・ライト・バリアー
OV版では使われなかった、パイロット版限定の技。
指先から発生させたエネルギーで光のを作り、敵の攻撃を防ぐ。
パイロット版では逃げ遅れた人を攻撃から守った。


ちなみに能力スペックはあのガイアを走行速度以外上回っているという高スペック。




【実情】

上記のように華々しい設定を持つネオスだが、実際のところ彼の歩んできた道のりは多難の一語に尽きる。

◆誕生

彼は本来『ウルトラマン80』終了後、休止していたTVシリーズ復活のために企画されたウルトラマンである。
それにあたり、まずは「イベントや出版物上でしか見られないウルトラマン」としてショーイベントや雑誌企画で知名度を上げてからの放送が予定されていた。

1995年にパイロット版として数分の格闘シーンが作られ、ソフビやガシャポン等の商品化も既に行われていたが、諸事情(TBSの拒否とか)で頓挫。
結局平成最初のウルトラマンTVシリーズは『ウルトラマンティガ』となってしまった。

その後、2000年~2001年にかけて『平成ウルトラセブン』の座組によって、オリジナルビデオ作品『ウルトラマンネオス』(以下OV版)が作られ、ようやく陽の目を見ることとなった。

……が、企画そのものはそこで終了。
TVシリーズを目指したにしてはいまいちパッとしないまま、ネオスは「過去のウルトラマン」となっていった……。

ちなみにOV版『ネオス』とアニメ『遊戯王デュエルモンスターズGX』は脚本家が同じ武上氏だったりする。
そのおかげか、主人公の切り札のカード名がこんなのな上に、外見もどう見てもM78星雲出身のヒーローという明らかにアレな代物に。
もっとも、特撮ファンの間でも正直微妙なネオスの知名度は、このカードのお陰で遊戯王プレイヤーの間でのみ異常に高かった。


◆下積み

そんな中、『ウルトラマンコスモス』にて(決して喜ばしいものとは言い難いが)奇跡は起きた。
春野ムサシ隊員(演:杉浦太陽)のピンチである。

ある不祥事によりムサシ隊員をTV画面に映せない中、円谷は代わりにOV『ネオス』の放送を決定。
こうして子供にも広く認知されて一件落着……と思いきや、ムサシ隊員が復活。
『コスモス』再開によって『ネオス』の放送は数回で打ち切られることとなった。
しかし、後に深夜枠で全話放送された(何の告知も無かったので気づかなかった人も多いと思うが)。
また、地方によっては『コスモス』終了後に全話放送されたようだ。


その後も、これといって活躍の機会は無かった。

何せ「初代のそっくりさん」であるのがネオスの個性の一つだが、初代ウルトラマンを出したいなら素直に初代ウルトラマンを出せばいいので、わざわざネオスをフィーチャーする理由が無いのである。
とはいえ、スーツが無事なのでどっかの仮面ライダーのように出したくても出られないということが起きず、
M78星雲出身なので世界観をいじらずとも出せるのは利点ではあった。


一方で1990年代にガシャポンとの連動企画で推し進められていた漫画作品『ウルトラマン超闘士激伝』では、21共々終盤の事実上の主役となり、
新章においても闘士メビウスの先輩として八面六臂の大暴れを行う。グレート&パワードといい、どうしてこうならないんだ!

2009年には映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で、久々に特撮作品に登場。
光の国に襲来したウルトラマンベリアルを他のウルトラ戦士達と迎え撃つも、コテンパンにされた上に光の国の凍結に巻き込まれてラストまで凍っていた。
まあこの映画で不遇なのはゲストウルトラマン全員に言えると言えばいえるので、ネオスに限ったことではないが。
次回作『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』では『ウルトラ銀河伝説』の続きでありながら何故かセブン21共々ハブられた。

なお、『ネオス』OVとM78ワールドの正史が繋がらないため、ネオスの別宇宙での活躍を描いたものがOV版の物語とも解釈できる。
パイロット版は同一世界観設定だったためこちらの可能性も否定できない。この辺の無駄なややこしさも使いづらさに拍車をかけているのでは?

また『ウルトラマンマックス』に『ネオス』の世界の戦闘機が登場(戦闘機としてではないけど)した事から「マックスが守った地球とネオスが守った地球が同じ世界観なのでは」という説もある。
『マックス』という作品は設定上、毎話世界観がリセットされているため、可能性自体はは十分にあるが果たして。



……という状況が10年以上も続いていた、シリーズの中でも不遇のウルトラ戦士であるネオス。
しかし天は彼を見放さず、ついに転機が訪れる。


◆DON'T GIVE UP!OH ネオス!

不安定な経営を延々と続けていた円谷プロは2010年パチンコメーカーであるフィールズの子会社になる。
ああウルトラ戦士たちはパチンコのネタとして余生を過ごすのかと嘆いたファンも多かったが、
後に多くのアニメ・特撮のスポンサードを手がけるフィールズの資金援助の元、円谷プロは次々と改革を打ち立てる。
その中に、長年の懸念事項であったウルトラマンのアジア方面への展開……すなわちチャイヨー問題があった。

裁判の末にウルトラマンの海外展開の権利を取り戻した円谷プロはゼロを筆頭に凄まじい人気を得ることに成功するが、全ての権利を得たわけではなかった。
詳細は割愛するが、端的にいうと平成10年以前に登場したウルトラマンは海外展開する場合、バンダイが関わらなければならない

子供向けならばたいていバンダイが玩具展開も行うため、問題はない。
初代もタロウエックスオーブも自由に出演できる。

だが今やウルトラマンは子供だけのヒーローではない。
ウルトラセブンがコーヒーのCMで舘ひろし氏や萩本欽一氏と雀卓を囲み、ウルトラの母がママさん向けのオシャレを紹介する時代である。

多くの海外企業も世界的に有名なウルトラマンを宣伝に使いたいが、契約上バンダイが絡まずに円谷プロ単独で海外と契約を結べるウルトラマンは、平成11年以降に登場したものになる。
なおかつそれらの仕事は誰もがウルトラマンとわかるシンプルなスタイルのウルトラマンが求められる。



平成11年以降に誕生した、新しいウルトラマン。
それでいて、初代に近いオーソドックスなウルトラマン。

もうおわかりだろう。


そう、我らが銀色のヒーロー、ウルトラマンネオスが輝くときが来たのだ


2014年3月、アメリカの大手保険会社であるステートファーム社のイメージキャラクターに大抜擢され、初めての海外進出を果たす!
自動車事故を起こしてしまった親子のために折れた道路標識をパワーで直すも、保険金の相談をされて困り果てる。
そこで空を飛んで(昼食中の)保険のお兄さんを連れてきて解決。
最後はお兄さんとネオマグニウム光線のポーズを決めた。ちなみにこのCMのネオスは人間サイズである。

さらに2017年3月には、迫る東京オリンピックに向けて作成された「東京ブランド(TOKYO BRAND)」第2弾PVにも登場!
その勇姿で日本を代表するヒーローとして、東京を世界にアピールした。


さらにさらに台湾のロックバンド・五月天の最新MVにも彼が登場!
台湾を舞台に、あの最強のバルタン星人ダークバルタン」と戦うネオスと一人の少年の物語が描かれる。

デザイナーの丸山浩氏にすら(ネタ気味に)「なぜネオスなのか」と言われてしまったが、
カビキラーとのコラボ以上に凝った特撮と良曲に加えてそれの歌詞に合わせたネオスと少年の物語は一見の価値あり。
現代の技術によるネオ・スラッシュやネオマグニウム光線も必見と言える。
なお特撮を担当したのは『X』、『オーブ』の監督である田口清隆氏だと自身のツイートで明かしている。演出が完全に田口監督だから最初からわかってたは禁句


不遇の時代を経て、ネオスは今や海外担当の日本代表ウルトラマンとして頑張っていると言える。海外ウルトラマン勢も頑張っています
そして2018年3月7日に待望のブルーレイBOXが発売
パイロット版やそれに纏わる映像も特典として収録されているため、これまでOV版を未見だった方も、この機会に触れてみてはいかがだろうか。


◆そして現在……

2018年、上述の海外展開におけるウルトラマンの権利関係の裁判に全ての決着がつき、円谷プロは海外権利訴訟で勝訴。
初代ウルトラマンを含む昭和ウルトラシリーズなどの平成10年以前のウルトラマン達は、やっと何の障壁もなしに円谷プロだけのGOサインで海外で活躍できる機会が訪れたのだ。

そして、初代マンが表立って海外活動ができるようになった以上、それまで代役として活躍していたネオスは早速お役御免に……


……ならなかった。


パイロット版から25年経った2020年、『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』で久方ぶりに日本の映像作品への登場を果たす。
この作品ではなかなか出番のもらえなかったセブン21と久しぶりに組み、ウルトラマン80と共にルーゴサイトと戦った。
この戦いではピンチに陥るが、彼らを助けたのはコスモスとウルトラマンジャスティスであった。

ネオスの今後の活躍にも期待してみよう!




追記・修正は誰にも負けない銀色のヒーローがお願いします。


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最終更新:2024年12月18日 21:43
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