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*ワールドヒーローズ 【わーるどひーろーず】 |ジャンル|対戦格闘|~| |対応機種|アーケード(MVS)|~| |販売・開発元|アルファ電子|~| |稼働開始日|1992年|~| |プレイ人数|1~2人(同時プレイ)|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2007年9月28日/926ポイント&br;アーケードアーカイブス&br;【PS4】2017年1月26日/823円(税8%込)&br;【Xbox One】2017年2月23日/823円(税8%込)&br;【Switch】2017年11月30日/823円(税8%込)&br;|~| |判定|なし|~| |ポイント|ネオジオ格ゲーの二番手&br()露骨にストIIを意識した作り&br()対戦バランスはかなり悪い&br()キャラはバカゲーテイスト|~| |>|CENTER:&color(black){ワールドヒーローズ(WH)シリーズ}&br()''&color(black){WH}'' / [[WH2>ワールドヒーローズ2]] / [[WH2 JET>ワールドヒーローズ2JET]] / [[WHパーフェクト>ワールドヒーローズパーフェクト]]|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -『[[餓狼伝説 宿命の闘い]]』に次いでネオジオにリリースされた対戦格闘ゲーム。開発はネオジオと縁の深いアルファ電子であり、アルファ電子名義の最後のゲームでもある(次の『[[ワールドヒーローズ2]]』からはADKと社名変更になったため)。 -「世界の歴史上の人物の中で最も強い英雄は誰か?」という目的にて、タイムマシンにて招待された8人の人物達がバトルを繰り広げるという、なんかよくわからない設定のゲームである。開催者はブラウン・シュガー博士。『[[ニンジャコマンドー]]』にも登場しているが、関連性は無いとのこと。((『痛快GANGAN行進曲』では姿は出ないものの、フウマ使用時にラストに出てくるキサラ・ウェストフィールドの友人としてブラウン博士の名前が対戦前の会話に出てくる)) --使用キャラクターは8名で、「歴史上、著名な人物(特筆すべき人物。例としては、教科書に出るような)」だけではない。また、モデルには漫画のキャラクターも存在する。 ---ハンゾウ…主人公。伊賀忍者・服部半蔵がモデル。無敵対空、飛び道具、突進技を持つ、リュウのような没個性な平均的キャラクター。 ---フウマ…ハンゾウの(自称)ライバル。風魔忍者・風魔小太郎がモデル。絵的には『花の慶次』で歌舞伎役者に化けていた時のもの。ハンゾウのコンパチなうえ、CPUだと対空技を連発する、ケンのようなキャラクター。 ---ドラゴン…中国の格闘家(以後の作品では韓国ステージに変更。似せすぎてマズいのか?)。ブルース・リーがモデル。春麗やフェイロンのようにスピード重視で足技が得意なキャラクター。百烈拳はパンチボタン連打。 ---ジャンヌ…甲冑を纏い、剣を使う女性。フランス人で、ジャンヌ・ダルクがモデルで、サムライスピリッツのシャルロットと同系統のヨーロッパ女剣士。ガイルと同じく、溜め必殺技がメイン。ジャンプ中に出せる下突きは、鷹爪脚と同じレバー下。 //1のジャンヌの必殺技はオーラバードとフラッシュソード。Fソードは連続技用で対空には使えない。対空技は2で増えたジャスティスソード。 ---ラスプーチン…ロシアの怪僧グリゴリー・ラスプーチンがモデル。同シリーズで1、2を争うイロモノ。空中から飛び道具を撃てる、この時期では珍しいキャラクター。削り技「アクセルスピン」では下着(ステテコ)が見える(嬉しくもなんともないが)。 ---マッスルパワー…アメリカのプロレスラー。モデルはハルク・ホーガン(似せすぎてマズいのか、以後の作品ではヒゲを剃っている)。気絶の際(後述)、唯一「ナンバーワン!」とキャラクター名以外で呼ばれる。必殺技はレバー1回転(スクリューコマンド)。本名はクリス・ハンガー。 ---J・カーン…モンゴル帝国のチンギス・ハーンがモデル。…のはずだが、ウイグル獄長(『北斗の拳』)に顔が似ている(もちろん性格は異なる)。ただし「蒙虎覇極道」というショルダータックルの必殺技は使う(微妙に字は変えているが)。 ---ブロッケン…ナチスドイツのサイボーグ軍人。『キン肉マン』のブロッケンJr.及び『ジョジョの奇妙な冒険』第2部のルドル・フォン・シュトロハイムに似ている(『マジンガーZ』のシュトロハイム・ハインリッヒ博士ではない)。手足がダルシムの様に伸びる。電撃を放ち、ミサイルを発射する上、空中飛行も可能。後にミサイルは足にも装備され、さらにロケットパンチや自爆が追加されている。 --以上のメンバーが、「濃い目」のデザインで描かれている。派手な色の忍者(ハンゾウが青、フウマが赤)や、手足の伸びるサイボーグ軍人、高笑いを連発して下着を見せて戦うヒゲヅラ男などの画面からは、イロモノ(バカゲー)の要素が感じられる。 **主なルール -ジャンプやガードといった基本的な操作は、現状の格ゲーと大体同じなので割愛させて頂く。 -Aボタンでパンチ、Bボタンでキック、相手に近づいてCボタンで投げを行う。AとBは短く押すと弱攻撃、長く押すと強攻撃となる。また、敵に近づいてレバー前か後ろでAボタン長押し(キャラクターによってはBボタン長押しも可)でも投げが可能である。 -ゲームモードはノーマルとデスマッチがあり、ノーマルはごく普通の試合形式で、デスマッチは何か特殊なトラップが発動しているリング場で戦う事となる。 --「髪切りデスマッチ」だけは何のトラップもないリングだが、その名から想像が付くように、''負けたキャラクターは髪を切られる''。通常負け顔の頭髪をハゲにしただけだが、とてもシュール。 --「オイルデスマッチ」もダメージを食らうトラップは無いが、床がツルツル滑って足場が悪くなる。しかも一部のステージは「床がオイルで両端にダメージを食らうトラップがある」という厄介なものになっている。 -ノーマル、デスマッチ共に、使用キャラクター以外のプレイヤーキャラクター7人とラストボスの計8試合をクリアすれば、使用キャラクターのエンディングが流れてゲーム終了である。 --途中、ボーナスステージがあるのも『[[ストリートファイターII]]』と同じ。 ---ボーナスステージの内、「岩を削って彫刻を作る」ステージは、連打必殺技を持つドラゴンorブロッケンなら3秒でクリア可能。両者が協力した場合、1秒でクリアできる。 --気絶した際は、どこからか(リング外?)声援が送られる(例:ジャーンヌ、ジャーンヌ)。大抵は2連呼が1セットだが、ブロッケン、マッスルは1回の繰り返し(前者は「ブロッケン、チャチャチャ」、後者は名前ではなく「ナンバーワン」)。((ちなみにコンティニュー待ちの曲が流れてる時もバックで各キャラクターごとに声援が送られるという仕様。)) //-詳しい事は[[バーチャルコンソール公式サイト>http://game.snkplaymore.co.jp/event/virtual-console/worldheroes/index_worldheroes_j.html]]を確認されたし。 //公式サイト(?)とはいえ、説明の一部を外部サイトに丸投げするような形のはさすがにどうなのでしょうか?もっとも、私は未プレイなので追記は出来ませんが… ---- **評価点 -『ストII』に非常に似たスタンスの内容だったので、ネオジオ初の対人戦の需要も持っていた格ゲーといえる存在だった。 --前年の『餓狼伝説』はCPU戦を楽しむ事を重視した作りであり、対人戦はほとんど盛り上がらなかった。そういう意味ではネオジオでストIIライクな格ゲーを楽しめるのは、ネオジオゲーマーにとっては嬉しい事であった。 --もっとも、これをプレイする位なら本家の『ストII』をプレイした方がいいや、というプレイヤーも多かったのだが…。当時は『ストII』の順番待ち(置きコイン)がとても多く、余程たくさんの台を入れていない限りプレイの順番を待つのは日常茶飯事であった。言葉は悪いが、『ストII』の「代用品」としての価値もあった。 -ネオジオ格ゲーとしては始めて連続技が採用されたゲームであり、思う存分コンボを決める事が可能となった。『餓狼伝説』及びその続編の『[[餓狼伝説2>餓狼伝説2 新たなる闘い]]』には連続技の概念がなかったので、コンボを決める楽しみが一切無かった。 -レバー操作については、忍者であるハンゾウ、フウマは2段ジャンプが可能(これは格ゲーでは初)。また、ドラゴンは「三角飛び」が可能だった(三角飛びは、既に『ストII』で採用されており、すぐ後の『[[龍虎の拳]]』でも採用。またハンゾウとフウマは不可)。 -非常に細かい点だが、ハンゾウ、フウマには「ダブル烈光斬(ダブル烈風斬)」が実装されていた。これは「2626+弱P」コマンドで、「(弱飛び道具が)縦に2つ並んでいる」ものを発射する技であり、スライディングでくぐられない性質を持っていた。 -各キャラクターに個別のエンディングが用意されているので、キャラクター分のクリアを目指す楽しみがあった。餓狼1はどのキャラクターでも同じエンディングだったので、物足りなさを感じたプレイヤーも多かった。 --ただし、ブロッケンのエンディングはアッサリしすぎており、達成感が無い。 **賛否両論点 -髪切りデスマッチのCPU担当がジャンヌ。 --「女性の剃髪ネタ」というそれだけで苦手な人もいる要素だけに、このステージを嫌がり、ノーマルモードを選ぶプレイヤーも。 --女性だからこそデスマッチといえる要素でもあるのだが対人戦ならともかく、CPU戦では勝った方が罰ゲームをさせられてる気分になる可能性もある。 -ラストボスであるギガスの設定。 --彼は変身によって姿を変える性能を持つのだが、単体では一切の行動はせず、変身しても選択キャラクター8人の誰かにコピーするだけであり、彼ならではの個性が皆無。これではラストボスとして物足りない敵である。 **問題点 -対戦バランスはかなり悪く、ハメ技かそれに近いものが多く存在する。 --ジャンヌは必殺技のフラッシュソードが「無敵時間長い、リーチも長い、隙が少ない」と壊れ気味の性能で、これを振り回しているだけでも脅威的な存在。対戦相手がマッスルパワーだった場合はすべての行動を封印する事すら可能だった。 ---フラッシュソードのタメ(下溜め)を維持したまま移動できるので、「しゃがみ→前進」と言うカクカクした移動をしてくるジャンヌは脅威だった。 --J・カーンは蒙虎覇極道という技を相手にガードさせると先にJ・カーン側が動けるのを利用し、「覇極道をガードさせてその隙に相手を投げる」といったハメ技(覇極道ハメ)が成立する。 ---次回作では間合いが離れるようになり、ハメられなくなった。 --ブロッケンは相手に近づいてしゃがみ弱パンチを連打してるだけでお手軽な永久連続技が成立する。相手気絶後にもさらに再気絶へと持って行ける有様。オイルデスマッチなどだと開幕3秒で勝負が決まってしまうことも。 ---ちなみに、本作には前期と後期の2バージョンがあるが、最も調整を受けたのがこのブロッケンである。前期Verでは他にも「スパークサンダーをガードさせると20回程度削れる」「しゃがみ弱キックの威力がおかしい((異常に攻撃力のランダム幅が広く、最大攻撃力が出るとしゃがみ弱K1発で4分の1近い体力を奪えたりした。筆者は96カウント残してCPUをKOした経験がある。))」などかなり無茶な性能をしていた。 --デスマッチモードの一部ステージは、画面両端に触れただけ(ガード不可)でダメージとダウンをもらうトラップが存在する。それを利用すれば相手を端に追い込んでハメパターンに追い込めてしまい、いささか公平性に欠けるバトルに陥りやすかった。 -同キャラ対戦はできない。一応はハンゾウとフウマが同性能キャラなので、そういう意味では同性能キャラ対戦はできるが、それ以外のキャラクターは一切不可能だった。 --本作の次にリリースされた『龍虎の拳』以降のすべてのネオジオ格ゲーには同キャラ選択が導入される事となる。 -プロ声優を雇っていない為、必殺技ボイスが棒読みで、中にはリストラされたボイスもある(フウマの「えんりゅうは↓(棒)」、「はい↓(棒)」はCD(BGM集)に収録されているが、作中では未使用)。 --ボイスの種類も貧弱で、技名以外のバリエーションが少ない。「おあーっ!」とか「やぁっ!」などの叫び声がほとんど。 --ジャンヌもアルファの女性社員がアテており、「別室で収録し、かなりムリをしていた」と攻略本で明かされていた。((ちなみに会社の屋上にプレバブがあり、キャラのボイスはもちろん前述の声援もそこで収録していたとのこと)) -モロに『ストII』な部分 --使用キャラクター数は8人、同キャラ対戦不可、ハンゾウ・フウマ=リュウ・ケンはもとより、ドラゴン=春麗、ジャンヌ=ガイル、ブロッケン=ダルシム、マッスルパワー=ザンギエフなど。~ ブロッケンに対空技が有る、マッスルパワーにはダブルラリアットが無い代わりに突進技があるなど一部の必殺技の有無があったり、通常技や特殊技は結構違うので動かせばわりと違う。 --当時『ストII』が大ブームだったとはいえ、流石にこのオリジナリティの無さはどうなのか。 //パッと見はともかく実際にプレイしてみるとキャラクター性能はまるで違うぞ //酷似しているのは事実なのでその部分だけにしてみた。消したら総評とトーンが合わない。 //コマンドはかなり違う。たとえば烈光斬は26+Pだし光龍破は613+P。ハリケーンアームは263+Pで逆に「ヴァンパイア」のミッドナイトプレジャーコマンドを先取りしている。溜め技に関してはそりゃ同じだが。というかスト2にコマンドが類似してない格ゲーなんてほぼないんだからそれを問題点にしたらカプコン製格ゲー以外全ての格ゲーにコマンド類似を問題点として追記しなきゃならなくなるだろ ---- **総評 当時のゲーセンに旋風を巻き起こしていた『ストII』を露骨なまでに意識したゲームなので、「アルファ電子、及びネオジオにはプライドがないのか?」という批判も一部ではあったが、『餓狼伝説』のヒットで賑わいを見せていたネオジオにリリースされた影響も相まって、それなりに人気があった。~ 現在でこそ格闘ゲーム=他のプレイヤーと対戦の構図が定着しているが、当時のゲーセンでは対面型の乱入対戦台がまださほど定着しておらず、一人でCPU戦を遊ぶプレイヤーのほうが多い状況であり、CPU戦が楽しめるゲームはそれはそれとして評価される時代だった。~ ~ タイムマシンでわざわざ「世界の歴史上の人物の中で最も強い英雄は誰か?」を決めるというぶっ飛んだ設定と超個性的なキャラクター陣のおかげで、おバカゲーとしても評価されている。 ---- **その後の展開 -続編の『[[2>ワールドヒーローズ2]]』は本作以上に人気を博し、その後も『[[2 JET>ワールドヒーローズ2JET]]』『[[パーフェクト>ワールドヒーローズパーフェクト]]』と計4作のシリーズ化がされる程のロングランになる事を考えると、有象無象が粗製乱造されていた当時の格ゲー業界の中で、成功を収めたシリーズであると言えるだろう。 -登場キャラクターの1人・フウマはいつの間にか現代社会に順応してサラリーマン生活を送り、猿軍団と共にナンパに精を出すというキャラクター性が人気を博したゆえか、後に『痛快GANGAN行進曲』にも友情出演していた。 ---- **家庭用移植 -ネオジオROM版(1992年9月11日発売、アルファ電子) --クレジット制限以外はMVS版と同等。 ---ROM版はバーチャルコンソールでもプレイ可能。 -スーパーファミコン版(1993年8月12日発売、サン電子) --操作をアーケード版の3ボタン制か、パンチとキックの各二種類と投げを割り当てた5ボタン制のどちらかを選べるようになった。また、同キャラ対戦が可能となっている。 --BGMはパペパプー音源でお察し。ボイスの方は基本的にネオジオ版からの流用だが、フウマの『烈風斬』等の棒読み気味だったボイスにメスが入り若干マシになった。 --ステージ背景のギミックも動かなくなったorアニメが簡略されたり、ボーナスステージも壺壊しがカットされ石像作りに統一されていたりするが、当時のスーファミ向けネオジオ作品群の中では頑張ってる部類の移植度ではある。 -ネオジオCD版(1995年3月17日発売、ADK) --ネオジオCD故にロード時間が長いが、実は一番最初に一括でデータをロードするため、プレイ中はロード時間は皆無。 --先に3作目の『2 JET』がネオジオCDでリリースされた関係でアーケードの稼働から大幅に遅れた1995年に発売された為か、初期ネオジオ作品の移植にもかかわらずBGMは全曲アレンジ音源になっている((同じく初期のネオジオでリリースされた対戦格闘の『餓狼伝説 宿命の戦い』『龍虎の拳』の場合はBGMがアレンジされておらず、アレンジ音源でゲームをプレーするには2000年代後期に発売されたPS2『ネオジオオンラインコレクション』シリーズへの収録を待たなければならなかった。))。 ---ちなみに、ネオジオCDで発売されたゲームの多くはイメージアルバムのアレンジ音源を流用しているが、ワーヒーシリーズのCD版の音源はイメージアルバム版とは全く異なるアレンジの音源で統一されているのが特徴。 -ジェネシス(海外メガドライブ)版 --ボイス数の減少やBGMの半分がカット、個別EDの代わりにプレイヤーキャラクターの銅像が写るだけ…と、見た目こそはACに忠実なものの全体的に残念な出来。 --ちなみに日本未発売だが、この仕様で日本でも発売するつもりだったらしい。 -他にもカップリング移植としてプレイステーション2の『ワールドヒーローズゴージャス』、及びプレイステーション・ポータブルの『SNK Arcade Classics Vol.1』にも収録されている。 ---- **余談 -パクリネタ --ラストボスのギガスは水銀のような素材で構成されており、自在に形状を変化させる姿はどこからどうみても本作の前年に大ヒットを飛ばした映画『ターミネーター2』に登場するT-1000そのものである。この映画の中でT-1000が全くの別人に化けるシーンがあったため、そこから着想を得たのであろう。 --続編でも漫画や映画の人気キャラクターを露骨にパク…もといモチーフにしたキャラクターがラストボスとして配置されており、本シリーズのお約束となった。
*ワールドヒーローズ 【わーるどひーろーず】 |ジャンル|対戦格闘|~| |対応機種|アーケード(MVS)|~| |販売・開発元|アルファ電子|~| |稼働開始日|1992年|~| |プレイ人数|1~2人(同時プレイ)|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2007年9月28日/926ポイント&br;アーケードアーカイブス&br;【PS4】2017年1月26日/823円(税8%込)&br;【Xbox One】2017年2月23日/823円(税8%込)&br;【Switch】2017年11月30日/823円(税8%込)&br;|~| |判定|なし|~| |ポイント|ネオジオ格ゲーの二番手&br()露骨にストIIを意識した作り&br()対戦バランスはかなり悪い&br()キャラはバカゲーテイスト|~| |>|CENTER:&color(black){ワールドヒーローズ(WH)シリーズ}&br()''&color(black){WH}'' / [[WH2>ワールドヒーローズ2]] / [[WH2 JET>ワールドヒーローズ2JET]] / [[WHパーフェクト>ワールドヒーローズパーフェクト]]|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -『[[餓狼伝説 宿命の闘い]]』に次いでネオジオにリリースされた対戦格闘ゲーム。開発はネオジオと縁の深いアルファ電子であり、アルファ電子名義の最後のゲームでもある(次の『[[ワールドヒーローズ2]]』からはADKと社名変更になったため)。 -「世界の歴史上の人物の中で最も強い英雄は誰か?」という目的にて、タイムマシンにて招待された8人の人物達がバトルを繰り広げるという、なんかよくわからない設定のゲームである。開催者はブラウン・シュガー博士。『[[ニンジャコマンドー]]』にも登場しているが、関連性は無いとのこと。((『痛快GANGAN行進曲』では姿は出ないものの、フウマ使用時にラストに出てくるキサラ・ウェストフィールドの友人としてブラウン博士の名前が対戦前の会話に出てくる)) --使用キャラクターは8名で、「歴史上、著名な人物(特筆すべき人物。例としては、教科書に出るような)」だけではない。また、モデルには漫画のキャラクターも存在する。 ---ハンゾウ…主人公。伊賀忍者・服部半蔵がモデル。無敵対空、飛び道具、突進技を持つ、リュウのような没個性な平均的キャラクター。 ---フウマ…ハンゾウの(自称)ライバル。風魔忍者・風魔小太郎がモデル。絵的には『花の慶次』で歌舞伎役者に化けていた時のもの。ハンゾウのコンパチなうえ、CPUだと対空技を連発する、ケンのようなキャラクター。 ---ドラゴン…中国の格闘家(以後の作品では韓国ステージに変更。似せすぎてマズいのか?)。ブルース・リーがモデル。春麗のようにスピード重視で足技が得意なキャラクター。百烈拳はパンチボタン連打。 ---ジャンヌ…甲冑を纏い、剣を使う女性。フランス人で、ジャンヌ・ダルクがモデルで、後の『[[サムライスピリッツ]]』のシャルロットと同系統のヨーロッパ女剣士。ガイルと同じく、溜め必殺技がメイン。ジャンプ中に出せる下突きは、鷹爪脚と同じレバー下。 //1のジャンヌの必殺技はオーラバードとフラッシュソード。Fソードは連続技用で対空には使えない。対空技は2で増えたジャスティスソード。 ---ラスプーチン…ロシアの怪僧グリゴリー・ラスプーチンがモデル。同シリーズで1、2を争うイロモノ。空中から飛び道具を撃てる、この時期では珍しいキャラクター。削り技「アクセルスピン」では下着(ステテコ)が見える(嬉しくもなんともないが)。 ---マッスルパワー…アメリカのプロレスラー。モデルはハルク・ホーガン(似せすぎてマズいのか、以後の作品ではヒゲを剃っている)。気絶の際(後述)、唯一「ナンバーワン!」とキャラクター名以外で呼ばれる。必殺技はレバー1回転(スクリューコマンド)。本名はクリス・ハンガー。 ---J・カーン…モンゴル帝国のチンギス・ハーンがモデル。…のはずだが、ウイグル獄長(『北斗の拳』)に顔が似ている(もちろん性格は異なる)。ただし「蒙虎覇極道」というショルダータックルの必殺技は使う(微妙に字は変えているが)。 ---ブロッケン…ナチスドイツのサイボーグ軍人。『キン肉マン』のブロッケンJr.及び『ジョジョの奇妙な冒険』第2部のルドル・フォン・シュトロハイムに似ている(『マジンガーZ』のシュトロハイム・ハインリッヒ博士ではない)。手足がダルシムの様に伸びる。電撃を放ち、ミサイルを発射する上、空中飛行も可能。後にミサイルは足にも装備され、さらにロケットパンチや自爆が追加されている。 --以上のメンバーが、「濃い目」のデザインで描かれている。派手な色の忍者(ハンゾウが青、フウマが赤)や、手足の伸びるサイボーグ軍人、高笑いを連発して下着を見せて戦うヒゲヅラ男などの画面からは、イロモノ(バカゲー)の要素が感じられる。 **主なルール -ジャンプやガードといった基本的な操作は、現状の格ゲーと大体同じなので割愛させて頂く。 -Aボタンでパンチ、Bボタンでキック、相手に近づいてCボタンで投げを行う。AとBは短く押すと弱攻撃、長く押すと強攻撃となる。また、敵に近づいてレバー前か後ろでAボタン長押し(キャラクターによってはBボタン長押しも可)でも投げが可能である。 -ゲームモードはノーマルとデスマッチがあり、ノーマルはごく普通の試合形式で、デスマッチは何か特殊なトラップが発動しているリング場で戦う事となる。 --「髪切りデスマッチ」だけは何のトラップもないリングだが、その名から想像が付くように、''負けたキャラクターは髪を切られる''。通常負け顔の頭髪をハゲにしただけだが、とてもシュール。 --「オイルデスマッチ」もダメージを食らうトラップは無いが、床がツルツル滑って足場が悪くなる。しかも一部のステージは「床がオイルで両端にダメージを食らうトラップがある」という厄介なものになっている。 -ノーマル、デスマッチ共に、使用キャラクター以外のプレイヤーキャラクター7人とラストボスの計8試合をクリアすれば、使用キャラクターのエンディングが流れてゲーム終了である。 --途中、ボーナスステージがあるのも『[[ストリートファイターII]]』と同じ。 ---ボーナスステージの内、「岩を削って彫刻を作る」ステージは、連打必殺技を持つドラゴンorブロッケンなら3秒でクリア可能。両者が協力した場合、1秒でクリアできる。 --気絶した際は、どこからか(リング外?)声援が送られる(例:ジャーンヌ、ジャーンヌ)。大抵は2連呼が1セットだが、ブロッケン、マッスルは1回の繰り返し(前者は「ブロッケン、チャチャチャ」、後者は名前ではなく「ナンバーワン」)。((ちなみにコンティニュー待ちの曲が流れてる時もバックで各キャラクターごとに声援が送られるという仕様。)) //-詳しい事は[[バーチャルコンソール公式サイト>http://game.snkplaymore.co.jp/event/virtual-console/worldheroes/index_worldheroes_j.html]]を確認されたし。 //公式サイト(?)とはいえ、説明の一部を外部サイトに丸投げするような形のはさすがにどうなのでしょうか?もっとも、私は未プレイなので追記は出来ませんが… ---- **評価点 -『ストII』に非常に似たスタンスの内容だったので、ネオジオ初の対人戦の需要も持っていた格ゲーといえる存在だった。 --前年の『餓狼伝説』はCPU戦を楽しむ事を重視した作りであり、対人戦はほとんど盛り上がらなかった。そういう意味ではネオジオでストIIライクな格ゲーを楽しめるのは、ネオジオゲーマーにとっては嬉しい事であった。 --もっとも、これをプレイする位なら本家の『ストII』をプレイした方がいいや、というプレイヤーも多かったのだが…。当時は『ストII』の順番待ち(置きコイン)がとても多く、余程たくさんの台を入れていない限りプレイの順番を待つのは日常茶飯事であった。言葉は悪いが、『ストII』の「代用品」としての価値もあった。 -ネオジオ格ゲーとしては始めて連続技が採用されたゲームであり、思う存分コンボを決める事が可能となった。『餓狼伝説』及びその続編の『[[餓狼伝説2>餓狼伝説2 新たなる闘い]]』には連続技の概念がなかったので、コンボを決める楽しみが一切無かった。 -レバー操作については、忍者であるハンゾウ、フウマは2段ジャンプが可能(これは格ゲーでは初)。また、ドラゴンは「三角飛び」が可能だった(三角飛びは、既に『ストII』で採用されており、すぐ後の『[[龍虎の拳]]』でも採用。またハンゾウとフウマは不可)。 -非常に細かい点だが、ハンゾウ、フウマには「ダブル烈光斬(ダブル烈風斬)」が実装されていた。これは「2626+弱P」コマンドで、「(弱飛び道具が)縦に2つ並んでいる」ものを発射する技であり、スライディングでくぐられない性質を持っていた。 -各キャラクターに個別のエンディングが用意されているので、キャラクター分のクリアを目指す楽しみがあった。餓狼1はどのキャラクターでも同じエンディングだったので、物足りなさを感じたプレイヤーも多かった。 --ただし、ブロッケンのエンディングはアッサリしすぎており、達成感が無い。 **賛否両論点 -髪切りデスマッチのCPU担当がジャンヌ。 --「女性の剃髪ネタ」というそれだけで苦手な人もいる要素だけに、このステージを嫌がり、ノーマルモードを選ぶプレイヤーも。 --女性だからこそデスマッチといえる要素でもあるのだが対人戦ならともかく、CPU戦では勝った方が罰ゲームをさせられてる気分になる可能性もある。 -ラストボスであるギガスの設定。 --彼は変身によって姿を変える性能を持つのだが、単体では一切の行動はせず、変身しても選択キャラクター8人の誰かにコピーするだけであり、彼ならではの個性が皆無。これではラストボスとして物足りない敵である。 **問題点 -対戦バランスはかなり悪く、ハメ技かそれに近いものが多く存在する。 --ジャンヌは必殺技のフラッシュソードが「無敵時間長い、リーチも長い、隙が少ない」と壊れ気味の性能で、これを振り回しているだけでも脅威的な存在。対戦相手がマッスルパワーだった場合はすべての行動を封印する事すら可能だった。 ---フラッシュソードのタメ(下溜め)を維持したまま移動できるので、「しゃがみ→前進」と言うカクカクした移動をしてくるジャンヌは脅威だった。 --J・カーンは蒙虎覇極道という技を相手にガードさせると先にJ・カーン側が動けるのを利用し、「覇極道をガードさせてその隙に相手を投げる」といったハメ技(覇極道ハメ)が成立する。 ---次回作では間合いが離れるようになり、ハメられなくなった。 --ブロッケンは相手に近づいてしゃがみ弱パンチを連打してるだけでお手軽な永久連続技が成立する。相手気絶後にもさらに再気絶へと持って行ける有様。オイルデスマッチなどだと開幕3秒で勝負が決まってしまうことも。 ---ちなみに、本作には前期と後期の2バージョンがあるが、最も調整を受けたのがこのブロッケンである。前期Verでは他にも「スパークサンダーをガードさせると20回程度削れる」「しゃがみ弱キックの威力がおかしい((異常に攻撃力のランダム幅が広く、最大攻撃力が出るとしゃがみ弱K1発で4分の1近い体力を奪えたりした。筆者は96カウント残してCPUをKOした経験がある。))」などかなり無茶な性能をしていた。 --デスマッチモードの一部ステージは、画面両端に触れただけ(ガード不可)でダメージとダウンをもらうトラップが存在する。それを利用すれば相手を端に追い込んでハメパターンに追い込めてしまい、いささか公平性に欠けるバトルに陥りやすかった。 -同キャラ対戦はできない。一応はハンゾウとフウマが同性能キャラなので、そういう意味では同性能キャラ対戦はできるが、それ以外のキャラクターは一切不可能だった。 --本作の次にリリースされた『龍虎の拳』以降のすべてのネオジオ格ゲーには同キャラ選択が導入される事となる。 -プロ声優を雇っていない為、必殺技ボイスが棒読みで、中にはリストラされたボイスもある(フウマの「えんりゅうは↓(棒)」、「はい↓(棒)」はCD(BGM集)に収録されているが、作中では未使用)。 --ボイスの種類も貧弱で、技名以外のバリエーションが少ない。「おあーっ!」とか「やぁっ!」などの叫び声がほとんど。 --ジャンヌもアルファの女性社員がアテており、「別室で収録し、かなりムリをしていた」と攻略本で明かされていた。((ちなみに会社の屋上にプレバブがあり、キャラクターのボイスはもちろん前述の声援もそこで収録していたとのこと)) -モロに『ストII』な部分 --使用キャラクター数は8人、同キャラ対戦不可、ハンゾウ・フウマ=リュウ・ケンはもとより、ドラゴン=春麗、ジャンヌ=ガイル、ブロッケン=ダルシム、マッスルパワー=ザンギエフなど。~ ブロッケンに対空技が有る、マッスルパワーにはダブルラリアットが無い代わりに突進技があるなど一部の必殺技の有無があったり、通常技や特殊技は結構違うので動かせばわりと違う。 --当時『ストII』が大ブームだったとはいえ、流石にこのオリジナリティの無さはどうなのか。 //パッと見はともかく実際にプレイしてみるとキャラクター性能はまるで違うぞ //酷似しているのは事実なのでその部分だけにしてみた。消したら総評とトーンが合わない。 //コマンドはかなり違う。たとえば烈光斬は26+Pだし光龍破は613+P。ハリケーンアームは263+Pで逆に「ヴァンパイア」のミッドナイトプレジャーコマンドを先取りしている。溜め技に関してはそりゃ同じだが。というかスト2にコマンドが類似してない格ゲーなんてほぼないんだからそれを問題点にしたらカプコン製格ゲー以外全ての格ゲーにコマンド類似を問題点として追記しなきゃならなくなるだろ ---- **総評 当時のゲーセンに旋風を巻き起こしていた『ストII』を露骨なまでに意識したゲームなので、「アルファ電子、及びネオジオにはプライドがないのか?」という批判も一部ではあったが、『餓狼伝説』のヒットで賑わいを見せていたネオジオにリリースされた影響も相まって、それなりに人気があった。~ 現在でこそ格闘ゲーム=他のプレイヤーと対戦の構図が定着しているが、当時のゲーセンでは対面型の乱入対戦台がまださほど定着しておらず、一人でCPU戦を遊ぶプレイヤーのほうが多い状況であり、CPU戦が楽しめるゲームはそれはそれとして評価される時代だった。~ ~ タイムマシンでわざわざ「世界の歴史上の人物の中で最も強い英雄は誰か?」を決めるというぶっ飛んだ設定と超個性的なキャラクター陣のおかげで、おバカゲーとしても評価されている。 ---- **その後の展開 -続編の『[[2>ワールドヒーローズ2]]』は本作以上に人気を博し、その後も『[[2 JET>ワールドヒーローズ2JET]]』『[[パーフェクト>ワールドヒーローズパーフェクト]]』と計4作のシリーズ化がされる程のロングランになる事を考えると、有象無象が粗製乱造されていた当時の格ゲー業界の中で、成功を収めたシリーズであると言えるだろう。 -登場キャラクターの1人・フウマはいつの間にか現代社会に順応してサラリーマン生活を送り、猿軍団と共にナンパに精を出すというキャラクター性が人気を博したゆえか、後に『痛快GANGAN行進曲』にも友情出演していた。 ---- **家庭用移植 -ネオジオROM版(1992年9月11日発売、アルファ電子) --クレジット制限以外はMVS版と同等。 ---ROM版はバーチャルコンソールでもプレイ可能。 -スーパーファミコン版(1993年8月12日発売、サン電子) --操作をアーケード版の3ボタン制か、パンチとキックの各二種類と投げを割り当てた5ボタン制のどちらかを選べるようになった。また、同キャラ対戦が可能となっている。 --BGMはパペパプー音源でお察し。ボイスの方は基本的にネオジオ版からの流用だが、フウマの『烈風斬』等の棒読み気味だったボイスにメスが入り若干マシになった。 --ステージ背景のギミックも動かなくなったorアニメが簡略されたり、ボーナスステージも壺壊しがカットされ石像作りに統一されていたりするが、当時のスーファミ向けネオジオ作品群の中では頑張ってる部類の移植度ではある。 -ネオジオCD版(1995年3月17日発売、ADK) --ネオジオCD故にロード時間が長いが、実は一番最初に一括でデータをロードするため、プレイ中はロード時間は皆無。 --先に3作目の『2 JET』がネオジオCDでリリースされた関係でアーケードの稼働から大幅に遅れた1995年に発売された為か、初期ネオジオ作品の移植にもかかわらずBGMは全曲アレンジ音源になっている((同じく初期のネオジオでリリースされた対戦格闘の『餓狼伝説 宿命の戦い』『龍虎の拳』の場合はBGMがアレンジされておらず、アレンジ音源でゲームをプレーするには2000年代後期に発売されたPS2『ネオジオオンラインコレクション』シリーズへの収録を待たなければならなかった。))。 ---ちなみに、ネオジオCDで発売されたゲームの多くはイメージアルバムのアレンジ音源を流用しているが、ワーヒーシリーズのCD版の音源はイメージアルバム版とは全く異なるアレンジの音源で統一されているのが特徴。 -ジェネシス(海外メガドライブ)版 --ボイス数の減少やBGMの半分がカット、個別EDの代わりにプレイヤーキャラクターの銅像が写るだけ…と、見た目こそはACに忠実なものの全体的に残念な出来。 --ちなみに日本未発売だが、この仕様で日本でも発売するつもりだったらしい。 -他にもカップリング移植としてプレイステーション2の『ワールドヒーローズゴージャス』、及びプレイステーション・ポータブルの『SNK Arcade Classics Vol.1』にも収録されている。 ---- **余談 -パクリネタ --ラストボスのギガスは水銀のような素材で構成されており、自在に形状を変化させる姿はどこからどうみても本作の前年に大ヒットを飛ばした映画『ターミネーター2』に登場するT-1000そのものである。この映画の中でT-1000が全くの別人に化けるシーンがあったため、そこから着想を得たのであろう。 --続編でも漫画や映画の人気キャラクターを露骨にパク…もといモチーフにしたキャラクターがラストボスとして配置されており、本シリーズのお約束となった。

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