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*ウルトラ警備隊 MONSTER ATTACK 【うるとらけいびたい もんすたーあたっく】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B0002ER6AG)| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |メディア|64MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|ロケットカンパニー|~| |発売日|2004年8月5日|~| |定価|5040円(税込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|珍しく防衛軍が主役のお手軽SRPG&br()むしろ自衛隊&ウルトラマンが邪魔&br;''帰ってくれウルトラマン''&br()それも踏まえて原作アレンジは秀逸|~| |>|>|CENTER:''[[ウルトラマンゲーム・リンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/928.html]]''| **概要 -登場するヒーローは「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「ウルトラマンジャック(帰ってきたウルトラマン)」+1の4体。 -ジャンルはシミュレーションゲーム。ウルトラシリーズのゲームというと大抵が格闘アクションであり、シミュレーションは珍しい。 -今作の主役はウルトラマンでは無く、なんと&bold(){防衛チーム}である。冒頭で「科学特捜隊」「ウルトラ警備隊」「MAT」のいずれかを選び、それによってシナリオが変化する仕組みを取っている。作品をまたいで怪獣が登場するのはご愛敬。 --実は1992年には「ウルトラマン地球来訪前の科学特捜隊の活躍を描く((原作でも本編より20年前から怪獣と戦っていたとの話がある))」と言う設定の『ウルトラ作戦 科特隊出撃せよ!』(PC-9801)と言うゲームが存在した。設定故にウルトラマンは登場しないうえ、マイナーゲームだが。 --更には1996年には『[[ウルトラ警備隊 空想特撮ゲーム]]』というシューティングゲームが出ているが、こちらはシューティングゲーム故に原作再現性は乏しかった。 **特徴 -システムはほぼ「スーパーロボット大戦」と同様。もちろん今作独自の要素もある。 --前後左右の方向によって攻撃の範囲が変わる。 --背後から攻撃すれば敵の死角になるため反撃されない。 -「予算」や「支持率」を巡るユニークな駆け引き。 --本作には''経験値の概念がなく''、機体の能力を上げるには予算を使って改造する。 --予算は''支持率''によって増減する。支持率は町の被害や自衛隊への救援要請の有無によって変化する為、機体能力を上げたければプレイングによって町への被害や自衛隊の出動を抑える必要がある。 --市街地で施設を破壊された場合、被害金を請求されたりもする。妙にリアル。 -メカはビートルやウルトラホーク、マットアロー等お馴染みのものに加え、マグマライザーや特殊潜航艇S号といった、ややマイナーな地底・海中メカも登場する。MATからはアローとジャイロしか登場しないが。 --改造=強化が可能なのは兵器のみで、隊員本人のステータスを上げる手段はない。 -ウルトラマンはなんとNPC扱い((原作ではほぼ全ての作品において防衛軍の隊員が変身し、変身後も隊員とウルトラマン両方の意識があったはずなのだが。セブンにいたっては地球人の体を借りているのではなく、地球人に変身している本人である。))。プレイヤーが直接操作することはできず、独特の緊張感を生んでいる。 --間接的に命令をすることは可能。「あの敵を倒せ」「あの町を守れ」「そこに行け」の三つから選ぶ事ができる。 -ウルトラマンだけなく、救援要請によって自衛隊も呼ぶことができる。こちらはプレイヤーが操作でき、更に補給可能なユニットを持っている。 --評価は「防衛チームが倒す>ウルトラマン含むその他のユニットが倒す」となっている為、可能な限り防衛チームで倒した方が望ましい。 **長所 -防衛チームに視点をおいたゲーム性。 --背後が死角になっていることもあり、互いの向きや射程を考えて攻撃する必要がある。スパロボのような反撃中心の殲滅戦は困難でなかなかにシビア。 --ただ単に怪獣を倒す楽しさだけではなく、如何にして被害を最小限に抑えて予算を確保するかを追及する楽しみもある。 -作品間のクロスオーバーステージもあり、それぞれの防衛チームが手を組んで戦うストーリーもある。 -ウルトラマンに命令をすることはできる為難易度を調整することができる。 -怪獣や戦闘の演出など、グラフィックはかなり頑張っている。 --戦闘機などがフィールド1マス分のサイズなのに対し、ウルトラマンや怪獣は4マス分の大きさを占有し巨大感を演出している。 --地上にいる怪獣より小さいユニットは、怪獣が移動するだけで即死する。スケール感をうまく表現できている。 -ドラマパートでは当時の実写を取り込むなどしていて、原作の雰囲気がよく出ている。 -ステージ数も多く、巨大メカの活躍する屋外ステージの他に、等身大の隊員だけで戦う屋内ステージもある。 -シナリオは原作を大切にしつつ、2つの話が上手にクロスオーバーしている。 --冒頭では物語の説明があり、原作を見ていなくてもわかりやすい。 --「地底人はノンマルトの先祖」「ゴモラとレッドキングを復活させるジェロニモン((原作でも脚本上はこうなのだが、予算の関係によりドラコとテレスドンになったらしい))」など、原作を強引にアレンジした内容の数々はそれなりに笑える。 --ちなみに、初代+セブン、セブン+ジャックの話は複数あるが、初代+ジャックの話は1つしかない。 -怪獣も恐竜戦車やヤメタランス、アイロス星人等なかなかマニアックな怪獣が多い。 -BGMやSEは原作のものを使っていて、これまた雰囲気を盛り上げている。容量の関係上強引な使い方も散見されるが、プレイ意欲を十分に煽ってくれる。 //--グドンがツインテールを圧倒するなど、よほどのマニアでないとわからない原作再現すらある。 //「グドンが幼生ツインテールを捕食する」ってのは公式もネタにするレベルの、割とメジャーなネタなのでは? 一旦CO //調べてみたが、ツインテールは水中でならグドンを圧倒できるって設定は6年後の「メビウス」を待たなきゃならんみたいだし…詳しい方、追記頼む。 **短所 -''あまりに低い''難易度。 --支持率や予算などを気にしなければ、''ウルトラマンにまかせるだけ''でも大半の怪獣はさくっと倒せる。いや、まあ原作でもそうなんだけれども。 --攻略パターンが単調な為、多少SLGに慣れていれば簡単に攻略可能。 ---普段ゲームに触らないであろうウルトラシリーズファンが遊ぶという事を考えれば、一概に問題点と言えない部分はあるのだが…。 -''ウルトラマンの存在が邪魔。'' --ウルトラマンが介入することによるメリットが全くないため、防衛チームだけで怪獣を倒せるようになると邪魔なだけになる。 --変身したら何も考えずに町のど真ん中に着地して、町を踏み潰しながら歩き回る。もちろんウルトラマンが壊した町の被害はこちらに請求される。 --前述した通りウルトラマンたちは非常に火力が高いため、2~3発程度の攻撃((色違いのHPが半分しかない雑魚バージョンの怪獣なら1撃で倒せる。))で怪獣を倒せてしまう。止めを刺されると予算も支持率ももらえず、何もいいことがない。これではさすがにウルトラマンたちの意味がなさすぎる。 --このため何もさせないために「そこに行け」でマップ端の僻地へ飛んでもらうこともしばしば。''帰ってくれウルトラマン''。 -自衛隊の存在意義。 --自衛隊のユニットは基本的に強化できず、呼ぶだけで支持率も下がってしまう。 ---ウルトラマンと違って補給能力以外は貧弱なので、ますます使いづらい。 ---ただし他ユニットへの補給能力があるのは自衛隊のユニットだけである。 -何故か科学特捜隊とMATのクロスオーバーは1つしかない。 -戦闘シーンの演出が、科特隊とそれ以外とで力の入れ方にムラがある。 -メカに乗る隊員が誰であろうと、攻撃力や命中率等に変化がない。 -隊員は各チーム1種類で全員同じグラフィック((主役だろうと女性隊員だろうと一律同じ。))。 -改造費がかなり高く、フル改造するには最低3周はかかる。 -ラスボスは大して強くもなく、エンディングがあっさりしすぎている。 -原作再現に違和感が感じられる。 --レッドキングが露骨に不遇((最初のステージでいきなりウルトラマンのかませ犬になったり、原作ステージでは何故かテレスドンのほうが強いうえにテレスドンの前座のような扱いになっている、などなど他の怪獣に比べ異様に扱いが悪い。))。 --一部鳴き声がおかしい怪獣がいる((シーモンスの鳴き声が何故か悲鳴である。))。 --雑魚バージョンの怪獣の存在。本作には雑魚ユニットに相当するユニットが少ないせいか、いくつかの怪獣は色違いでHPが半分に下がった雑魚バージョンが存在する。雑魚バージョンは倒しても図鑑にのらない。~こいつらはなぜか色のチョイスがとても変で、特に紫のエレキングは不気味である。 **総評 キャラゲーとしては良質で、マニアックな再現性やこだわりが光る。純粋にゲームとして評価しても、いくつかの粗こそ目立つが十分に楽しめる作り。~ 単なる「スパロボのパクリ」では終わっていない、密かな傑作と呼んでいいだろう。~ **余談 -初回特典として科学特捜隊の「流星バッジ」が同梱された。「ウルトラマン」の作中で用いられていたあのバッジが、完全レプリカとして忠実に再現されている。