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&bold(){このページでは、『Marchen Veil I』及びその続編である『Marchen Veil II』(いずれも判定は「不安定」)を取り扱う。} ~ &bold(){(※正式タイトル内に機種依存文字が含まれているため、アルファベットで表記を代用しています)} ---- #contents(fromhere) ---- *Marchen Veil I 【めるへんう゛ぇーる わん】 |ジャンル|アクションRPG|#image(https://www.suruga-ya.jp/pics/boxart_m/126000250m.jpg)|&Amazon(B00ENDAYU6)| |対応機種|PC-8801,PC-8801mkIISR,PC-9801,&br()FM-7,X1,MZ-2500,MSX,MSX2,&br()ファミリーコンピュータディスクシステム|~|~| |メディア|フロッピーディスク、1MbitROMカートリッジ(MSX)、&br()ディスクカード(FCD)|~|~| |開発元|システムサコム|~|~| |発売元|システムサコム、ソニー(MSX2)、サン電子(FCD)|~|~| |発売日|1985年8月|~|~| |定価|7,900円,5,800円(MSX),3,200円(FCD)|~|~| |プレイ人数 |1人|~|~| |配信|[[プロジェクトEGG>https://www.amusement-center.com/project/egg/]]&br()【PC-8801】2020年2月4日/無料&br()【PC-9801】2006年6月23日/1,500円((『II』とのセットのみ。))&br()【MSX】 2015年12月8日/700円&br()【FM-7】 2021年1月12日/500円(全て税抜)|~|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|~| **概要 PC黎明期に発売されたアクションRPG。~ 童話的な世界観とストーリー重視の構成で、同社の「ノベルウェア」シリーズの源流ともいえる作品。 **ストーリー >フェリクスの森の国の王女の花婿選びが行われ、湖の国の王子と美しい若者に姿を変えた魔法使いの2人が最後に残りました。~ 王女は湖の国の王子に心を奪われますが、それを知った魔法使いは自分が王子に成り代わり王女を手に入れようと企みました。~ 魔法でフェリクスの国の果てへと飛ばされた王子は、目を覚ました時、醜き魔物『ヴェール』の姿になっていたのです。~ 王女から貰った魔法の腕輪「アルミラ」があれば自分を本物だとわかってくれると信じ、~ 王子は風によって運ばれてきた愛用の魔剣アキナケスを手に帰り道を知るという海の神ネプトゥーヌスに会う冒険に出かけます。 ---- **システム -ゲームの進行は基本的にシーン開始時にビジュアルシーンが流れて状況説明を終えた後、アクションシーンが開始。~ クリア条件を満たすことによってシーンクリアとなり、次のシーンへ進むことになる。 --ビジュアルシーンには次のシーンの行動指針と謎の手掛かりが提示されているので、それを手掛かりに進めていくことも重要になる。 -アクションシーンでの攻撃手段は剣から発射される魔法弾。入手した武器により攻撃力と連射力が変化する。 -なお、主人公は攻撃をしていないときは腕輪の魔力により正面からの飛び道具攻撃を防御可能。攻撃時には主人公の左側からの飛び道具攻撃を防御可能((このシステムについては開発者自らがドルアーガ方式と明言している。))。 --フィールドには崖がいたるところに存在し、転落してもダメージはないが2秒以内にスペースキーを6回押さないと落下して即死となる。 --また、一部には侵入すると本当に即死するトラップも存在する。 --道中で得られたアイテムはキャンプモードで確認可能だが、キャンプモードは決められた地点でのみ実行可能。 -敵を倒すとスコアが得られるほか、パワー(HP)の最大値がアップしていく。 **評価点 -秀逸なシナリオ。 --作りこまれたメルヘンチックな世界観と西欧神話風の切なく悲しい物語は当時のプレイヤーをつかんで離さず、女性受けもかなり良かった。 -当時としては非常に美麗なグラフィック。 --絵本調の色使いのゲームグラフィックはどれも非常に美麗。童話的で親しみやすく、女性ファンも多く獲得している。 ---PC版のソフトウェアパッケージのイラストも本作及び続編双方ともに気品ある独創的なデザインが印象的で、本作の神秘性をより高めている。 --シーンクリアごとに入るビジュアルシーンも非常に美麗で、まるで絵本を見ているかのような感覚を呼び起こしてくれる。 -秀逸なBGM --BGMはクラシックのアレンジが多いが、どの曲も本作の雰囲気に非常にマッチしており、音色の美しさも相まって非常に評価が高い。 **問題点 -アクションシーンの難易度が非常に高い。 --主人公の移動速度は非常に遅く、歩くだけでも相当にストレスがたまり、ゲームのテンポはあまりよくない。 --攻撃も4方向に行えるとはいえ射程は画面端まで届くというわけでもなく、敵は斜め方向にも容赦なく攻撃を仕掛けてくるために防御も困難。また、剣から出る弾はプレイヤーの中心部分の大きさしかなく、しっかり真正面にラインを合わせないと当たらない。 --フィールドの道も細い箇所が多く、崖の落下判定もわかりにくいうえに移動速度があまりにも遅いためにキーを押しすぎて崖からの転落をしばしば引き起こしていた。 --回復はアイテムの取得もしくはシーンクリアのタイミングでしか行えず、回復アイテムも有限かつ回復量も多くないため、基本的にはかつかつの状態が続く((シーンクリア時も最大まで回復しない。))。 -アイテムの確認、セーブの実行も特定のポイントでしかできず、この点でも非常に厳しい。 --セーブには消費アイテムが必要なうえに一度に1つしか持てないため、この点でも余計にハードルを上げてしまっている。 **総評 絵本の中にアクションシーンを組み込んだ構成は当時としてはかなり斬新で、開発者がシナリオを見せるためにとビジュアルシーンに凝ったゲーム構成はのちのゲーム制作に大きな影響を与えた点は評価できる。~ ただ、当時のゲームの風潮で高難易度ほど良いという風潮があったがために肝心の難易度が対象のターゲットにマッチしておらず、万人向けの作品に仕上がっていないという批判は免れない作品となってしまった。~ もう少し難易度調整がうまくいっていれば万人向けの作品となっていたと思われるだけに惜しい作品である。 **機種ごとの違い -PC88版 --基本となる版。メッセージはカタカナのみ。 --なお、88版についてはSR専用版のみFM音源でサウンドが出力される。 -PC98版(1985年10月発売) --メッセージは漢字かな交じりの文で構成。グラフィックは640x400の高解像度ですべての移植版の中でも最高峰の美麗さ。 --サウンドは当時の標準構成のPC98ではBEEP音のみだが、システムサコムが発売していた音源ボードAMD-98((SSG音源6音とアタリ仕様のジョイスティックポートを2つ装備した拡張カード(ただし80286以降のCPUが搭載されているPC98では利用不可)。対応ソフトには本シリーズをはじめとしたシステムサコムのPC98初期作品のほか、レリクスなど他社ソフトにも対応ソフトが存在していた。))に対応しており装着することでサウンドを出力することが可能。 -MZ-2500版(1987年発売) --メッセージは漢字かな交じりの文で構成((ただしスタートメニューやシーン表記には半角カタカナが使われている))。グラフィックはPC98版に次ぐ美麗さ。 -MSX版(1987年発売) --メッセージはひらがなカタカナ表記。全機種中唯一ROMカートリッジでの供給のためパスワードコンティニュー制。 --グラフィック能力が低いためビジュアルシーンが他機種に比べ貧弱で、しかもハードウェアスクロール機能がないのに画面移動時にスクロールさせるため、画面切り替えが途方もなく遅い(2分近くかかってしまう事も…)。また、他機種に比べ主人公の機動力は幾分向上しているものの敵の動きがそれ以上に高速化しているため難易度は高い。ただし回復アイテムは無限に取得可能((ゲーム再開手段がパスワード制になった兼ね合いと思われる。))。 -MSX2版(1987年発売) --メッセージはひらがなカタカナ表記。 --MSX版に比べグラフィックは著しい向上を見せているが((SCREEN8モードを利用していると思われる))、MSX版同様ハードウェアスクロール機能がないため画面切り替えが非常に遅い((MSX版よりは幾分高速だが焼け石に水といったレベル。))。機動力関連の問題もMSX版同様なうえにMSX版では無限に取得できた回復アイテムが有限となったためMSX版より難易度は高い。 -FCD版(1987年3月3日発売) --メッセージはひらがなカタカナ表記((ただし一部で8x8ドットで表現できる漢字を作成して使用している))。セーブがアイテムなしでも可能でセーブスロットは3つ。主人公のアクション動作にジャンプが付加されており、機動力の高さからゲーム性はそれなりに向上しているが、やはり難易度は高め。 //単体でも見てもそれなりに難易度が高いという評価をよく見るため、表現を変更。 --マップ構成は他機種版とは異なる点が多く、ビジュアルシーンはハードウェアの表現の都合上、キャラクターの操演で行われる。 --一部のシーンではIIのBGMも使用されている。 ---- *Marchen Veil II 【めるへんう゛ぇーる つー】 |ジャンル|アクションRPG|#image(https://www.suruga-ya.jp/pics/boxart_m/125001975m.jpg)| |対応機種|PC-9801|~| |メディア|フロッピーディスク|~| |発売・開発元|システムサコム|~| |発売日|1986年6月14日|~| |定価|7,900円|~| |プレイ人数 |1人|~| |配信|[[プロジェクトEGG>https://www.amusement-center.com/project/egg/]]&br()【PC-9801】2002年2月25日/600円(税抜)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~| ---- **概要(II) 前作のストーリーからの完結編((ビジュアルシーンのナンバリングは前作からの続きとなっている。))。~ 前作で世界の果てから帰還した王子のフェリクスでの冒険を描く。~ なお、前作のデータを読み込むことによって少しだけ有利になるアイテムが手に入る特典があった。 **システム(II) アクションシーンの基本的な操作については前作と同様のシステムではあるが、目立ったシステムの差異は以下の通り。 -敵は本作では無限に沸くことはなくなり、小型敵は4回、中型敵は1回倒すと再発生しなくなる。 -シーンの構成はスクロール画面で構成される地上フィールドと画面切り替え方式で構成されるダンジョンの2方式が用意された。 --崖などの即死系のトラップについては廃止された。 -装備品の変更の概念が追加。アイテムメニュー画面もフィールド画面で自由に参照可能になった。 --セーブもメニューが開ける場所であれば任意に行えるようになった。 -各シーンに大型のボス敵が配置された。また、ボス戦においては魔法を使用することが可能。 --ただし、魔法は一度使うと条件を満たさない限り再使用することはできない。 -パワー(HP)の上限は固定。また、スコアの概念は廃止された。 **評価点(II) -主人公の移動レスポンスの改善によるアクションゲームとしての質の向上。 --前作は非常に移動速度が遅かったものの、本作は大きく改善されており一般的なアクションRPGに近い感覚で楽しめる。 -マップが広くなっており、ゲーム的なボリュームが増量。 --総シーン数も増えており隠しシーンもあるなどやりこみ要素もあり、加えてシーンの攻略自由度も上がっている。 --大型のボス敵の追加により、アクションゲームとしてのメリハリも追加された。 -前作に引き続きBGMの完成度は高い。 --前作同様クラシックからのアレンジは多いが、どの曲も雰囲気にマッチしており好評。 --前作で対応していたAMD-98音源に加え、NEC標準のFM音源ボードにも対応。 **賛否両論点(II) -グラフィックのモードが変わったことによる変化 --前作のPC98版は640x400の高精細モードで描かれていたグラフィックが本作ではスクロールを実現するために解像度を640x200に落としているため、前作に比べて童話的な雰囲気が薄れてしまった感がある。 --全般的にキャラのサイズが大きくなったために状況判断がしやすくなったという側面もあるため。アクションゲームとしては一概に欠点とはいいがたい。 **問題点(II) -前作以上に上昇した難易度 --主人公の機動力は上がったものの敵の攻撃はそれ以上にいやらしさを増しており、アクションシーンの難易度の高さは前作以上に厳しい。 ---序盤はストーリーの都合上、盾に相当するアイテムが初期段階で使えないのも地味に痛い。 --シーンのフィールド構成やシーン間のつながりが前作よりも複雑化しており、後半のシーンは見えない壁や落とし穴が多いため一筋縄ではいかない。 --村人からの情報収集といった要素も皆無のため((ゲーム中に情報を入手できる方法もあるにはあるのだが、ダメージを受けるリスクがある。))、攻略情報の糸口をつかむのも難しい。 ---クリアに必須な重要アイテムもほぼノーヒントの状態で探し出さなければならないため、攻略は困難を極める。 -ビジュアルシーンの大幅な削減 --攻略自由度が上がったのと引き換えだと思われるが、前作で好評を博したゲーム中のビジュアルシーンが中盤に1つだけになってしまった。~ これによりシナリオ内の状況説明が難しくなり、シナリオ的な盛り上がりが前作に比べ弱くなってしまっている。 --ビジュアルシーンは攻略の手掛かりとなる情報も盛り込まれている構成のゲームであっただけに、情報収集の面でもつらい。 **総評(II) 前作でやや弱かったアクションゲームとしての完成度を向上させ、ゲーム的なボリュームも増したコンセプトで作られた作品。~ だが難易度が主人公の機動力向上に合わせて前作以上に高難度化してしまった上に前作の大きな売りであったビジュアルシーンの削減が厳しく、前作の良さがスポイルされている面は否めない。~ ゲームの基本的な完成度は上がっているだけに、もう少し前作の良さを追求してほしかったところである。 ---- **余談 //販売形態・経路に関してはゲーム自体の問題点ではないのでこちらに移動。 -『I』は多くの機種で発売されたが、『II』は発売されたハードが当時ビジネス系の16bit高級機であったPC98のみであるため、真の結末を見れたユーザーは極わずかとなってしまった。 --真の結末に触れられる機会の登場は後のProjectEggでの配信を待つこととなる。 -徳間書店が発売していた漫画雑誌『わんぱっくコミック』にてFCD版のコミカライズ作品が1987年に連載されていた。作画はFCD版のキャラクターデザイン・イメージイラストを担当したもりけん氏。 -勁文社よりゲームブック化作品として『メルヘンヴェール 妖怪バーニバオの謎』が1987年に発売されていた。ストーリー的にはFCD版の続編的な位置づけだが原作との関連性は薄い。 -IIの発売後にもIII,IVまでの続編の構想があったが、残念ながら実現することはなかった。 -ProjectEggより本シリーズのPC88版((『I』の全楽曲のほか、『II』の楽曲を収録したソフト『Marchen Veil JUKEBOX』からも収録。)),PC98版((AMD-98音源,FM音源の両方を収録))の楽曲全てを収録したサウンドトラック『Marchen Veil MemorialCollection』が2011年2月23日に発売された。 --500枚限定ということもあり現在は凄まじいプレミアがついている。 //メルヘンヴェール メルヘンベール めるへんべーる //検索用ワードにつき、消さないでください。
&bold(){このページでは、『Marchen Veil I』及びその続編である『Marchen Veil II』(いずれも判定は「不安定」)を取り扱う。} ~ &bold(){(※正式タイトル内に機種依存文字が含まれているため、アルファベットで表記を代用しています)} ---- #contents(fromhere) ---- *Marchen Veil I 【めるへんう゛ぇーる わん】 |ジャンル|アクションRPG|#image(https://www.suruga-ya.jp/pics/boxart_m/126000250m.jpg)|&Amazon(B00ENDAYU6)| |対応機種|PC-8801,PC-8801mkIISR,PC-9801,&br()FM-7,X1,MZ-2500,MSX,MSX2,&br()ファミリーコンピュータディスクシステム,&br()Nintendo Switch|~|~| |メディア|フロッピーディスク、1MbitROMカートリッジ(MSX)、&br()ディスクカード(FCD)|~|~| |開発元|システムサコム|~|~| |発売元|システムサコム、ソニー(MSX2)、サン電子(FCD)|~|~| |発売日|1985年8月|~|~| |定価|7,900円,5,800円(MSX),3,200円(FCD)|~|~| |プレイ人数 |1人|~|~| |配信|[[プロジェクトEGG>https://www.amusement-center.com/project/egg/]]&br()【PC-8801】2020年2月4日/無料&br()【PC-9801】2006年6月23日/1,500円((『II』とのセットのみ。))(税抜)&br()【MSX】 2015年12月8日/700円(税抜)&br()【FM-7】 2021年1月12日/500円(税抜)&br()【Switch】 2024年1月11日/880円(税10%込)|~|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|~| |備考|Switch版のタイトルは『EGGコンソール メルヘンヴェール PC-8801mkIISR』|~|~| **概要 PC黎明期に発売されたアクションRPG。~ 童話的な世界観とストーリー重視の構成で、同社の「ノベルウェア」シリーズの源流ともいえる作品。 **ストーリー >フェリクスの森の国の王女の花婿選びが行われ、湖の国の王子と美しい若者に姿を変えた魔法使いの2人が最後に残りました。~ 王女は湖の国の王子に心を奪われますが、それを知った魔法使いは自分が王子に成り代わり王女を手に入れようと企みました。~ 魔法でフェリクスの国の果てへと飛ばされた王子は、目を覚ました時、醜き魔物『ヴェール』の姿になっていたのです。~ 王女から貰った魔法の腕輪「アルミラ」があれば自分を本物だとわかってくれると信じ、~ 王子は風によって運ばれてきた愛用の魔剣アキナケスを手に帰り道を知るという海の神ネプトゥーヌスに会う冒険に出かけます。 ---- **システム -ゲームの進行は基本的にシーン開始時にビジュアルシーンが流れて状況説明を終えた後、アクションシーンが開始。~ クリア条件を満たすことによってシーンクリアとなり、次のシーンへ進むことになる。 --ビジュアルシーンには次のシーンの行動指針と謎の手掛かりが提示されているので、それを手掛かりに進めていくことも重要になる。 -アクションシーンでの攻撃手段は剣から発射される魔法弾。入手した武器により攻撃力と連射力が変化する。 -なお、主人公は攻撃をしていないときは腕輪の魔力により正面からの飛び道具攻撃を防御可能。攻撃時には主人公の左側からの飛び道具攻撃を防御可能((このシステムについては開発者自らがドルアーガ方式と明言している。))。 --フィールドには崖がいたるところに存在し、転落してもダメージはないが2秒以内にスペースキーを6回押さないと落下して即死となる。 --また、一部には侵入すると本当に即死するトラップも存在する。 --道中で得られたアイテムはキャンプモードで確認可能だが、キャンプモードは決められた地点でのみ実行可能。 -敵を倒すとスコアが得られるほか、パワー(HP)の最大値がアップしていく。 **評価点 -秀逸なシナリオ。 --作りこまれたメルヘンチックな世界観と西欧神話風の切なく悲しい物語は当時のプレイヤーをつかんで離さず、女性受けもかなり良かった。 -当時としては非常に美麗なグラフィック。 --絵本調の色使いのゲームグラフィックはどれも非常に美麗。童話的で親しみやすく、女性ファンも多く獲得している。 ---PC版のソフトウェアパッケージのイラストも本作及び続編双方ともに気品ある独創的なデザインが印象的で、本作の神秘性をより高めている。 --シーンクリアごとに入るビジュアルシーンも非常に美麗で、まるで絵本を見ているかのような感覚を呼び起こしてくれる。 -秀逸なBGM --BGMはクラシックのアレンジが多いが、どの曲も本作の雰囲気に非常にマッチしており、音色の美しさも相まって非常に評価が高い。 **問題点 -アクションシーンの難易度が非常に高い。 --主人公の移動速度は非常に遅く、歩くだけでも相当にストレスがたまり、ゲームのテンポはあまりよくない。 --攻撃も4方向に行えるとはいえ射程は画面端まで届くというわけでもなく、敵は斜め方向にも容赦なく攻撃を仕掛けてくるために防御も困難。また、剣から出る弾はプレイヤーの中心部分の大きさしかなく、しっかり真正面にラインを合わせないと当たらない。 --フィールドの道も細い箇所が多く、崖の落下判定もわかりにくいうえに移動速度があまりにも遅いためにキーを押しすぎて崖からの転落をしばしば引き起こしていた。 --回復はアイテムの取得もしくはシーンクリアのタイミングでしか行えず、回復アイテムも有限かつ回復量も多くないため、基本的にはかつかつの状態が続く((シーンクリア時も最大まで回復しない。))。 -アイテムの確認、セーブの実行も特定のポイントでしかできず、この点でも非常に厳しい。 --セーブには消費アイテムが必要なうえに一度に1つしか持てないため、この点でも余計にハードルを上げてしまっている。 **総評 絵本の中にアクションシーンを組み込んだ構成は当時としてはかなり斬新で、開発者がシナリオを見せるためにとビジュアルシーンに凝ったゲーム構成はのちのゲーム制作に大きな影響を与えた点は評価できる。~ ただ、当時のゲームの風潮で高難易度ほど良いという風潮があったがために肝心の難易度が対象のターゲットにマッチしておらず、万人向けの作品に仕上がっていないという批判は免れない作品となってしまった。~ もう少し難易度調整がうまくいっていれば万人向けの作品となっていたと思われるだけに惜しい作品である。 **機種ごとの違い -PC88版 --基本となる版。メッセージはカタカナのみ。 --なお、88版についてはSR専用版のみFM音源でサウンドが出力される。 -PC98版(1985年10月発売) --メッセージは漢字かな交じりの文で構成。グラフィックは640x400の高解像度ですべての移植版の中でも最高峰の美麗さ。 --サウンドは当時の標準構成のPC98ではBEEP音のみだが、システムサコムが発売していた音源ボードAMD-98((SSG音源6音とアタリ仕様のジョイスティックポートを2つ装備した拡張カード(ただし80286以降のCPUが搭載されているPC98では利用不可)。対応ソフトには本シリーズをはじめとしたシステムサコムのPC98初期作品のほか、レリクスなど他社ソフトにも対応ソフトが存在していた。))に対応しており装着することでサウンドを出力することが可能。 -MZ-2500版(1987年発売) --メッセージは漢字かな交じりの文で構成((ただしスタートメニューやシーン表記には半角カタカナが使われている))。グラフィックはPC98版に次ぐ美麗さ。 -MSX版(1987年発売) --メッセージはひらがなカタカナ表記。全機種中唯一ROMカートリッジでの供給のためパスワードコンティニュー制。 --グラフィック能力が低いためビジュアルシーンが他機種に比べ貧弱で、しかもハードウェアスクロール機能がないのに画面移動時にスクロールさせるため、画面切り替えが途方もなく遅い(2分近くかかってしまう事も…)。また、他機種に比べ主人公の機動力は幾分向上しているものの敵の動きがそれ以上に高速化しているため難易度は高い。ただし回復アイテムは無限に取得可能((ゲーム再開手段がパスワード制になった兼ね合いと思われる。))。 -MSX2版(1987年発売) --メッセージはひらがなカタカナ表記。 --MSX版に比べグラフィックは著しい向上を見せているが((SCREEN8モードを利用していると思われる))、MSX版同様ハードウェアスクロール機能がないため画面切り替えが非常に遅い((MSX版よりは幾分高速だが焼け石に水といったレベル。))。機動力関連の問題もMSX版同様なうえにMSX版では無限に取得できた回復アイテムが有限となったためMSX版より難易度は高い。 -FCD版(1987年3月3日発売) --メッセージはひらがなカタカナ表記((ただし一部で8x8ドットで表現できる漢字を作成して使用している))。セーブがアイテムなしでも可能でセーブスロットは3つ。主人公のアクション動作にジャンプが付加されており、機動力の高さからゲーム性はそれなりに向上しているが、やはり難易度は高め。 //単体でも見てもそれなりに難易度が高いという評価をよく見るため、表現を変更。 --マップ構成は他機種版とは異なる点が多く、ビジュアルシーンはハードウェアの表現の都合上、キャラクターの操演で行われる。 --一部のシーンではIIのBGMも使用されている。 ---- *Marchen Veil II 【めるへんう゛ぇーる つー】 |ジャンル|アクションRPG|#image(https://www.suruga-ya.jp/pics/boxart_m/125001975m.jpg)| |対応機種|PC-9801|~| |メディア|フロッピーディスク|~| |発売・開発元|システムサコム|~| |発売日|1986年6月14日|~| |定価|7,900円|~| |プレイ人数 |1人|~| |配信|[[プロジェクトEGG>https://www.amusement-center.com/project/egg/]]&br()【PC-9801】2002年2月25日/600円(税抜)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~| ---- **概要(II) 前作のストーリーからの完結編((ビジュアルシーンのナンバリングは前作からの続きとなっている。))。~ 前作で世界の果てから帰還した王子のフェリクスでの冒険を描く。~ なお、前作のデータを読み込むことによって少しだけ有利になるアイテムが手に入る特典があった。 **システム(II) アクションシーンの基本的な操作については前作と同様のシステムではあるが、目立ったシステムの差異は以下の通り。 -敵は本作では無限に沸くことはなくなり、小型敵は4回、中型敵は1回倒すと再発生しなくなる。 -シーンの構成はスクロール画面で構成される地上フィールドと画面切り替え方式で構成されるダンジョンの2方式が用意された。 --崖などの即死系のトラップについては廃止された。 -装備品の変更の概念が追加。アイテムメニュー画面もフィールド画面で自由に参照可能になった。 --セーブもメニューが開ける場所であれば任意に行えるようになった。 -各シーンに大型のボス敵が配置された。また、ボス戦においては魔法を使用することが可能。 --ただし、魔法は一度使うと条件を満たさない限り再使用することはできない。 -パワー(HP)の上限は固定。また、スコアの概念は廃止された。 **評価点(II) -主人公の移動レスポンスの改善によるアクションゲームとしての質の向上。 --前作は非常に移動速度が遅かったものの、本作は大きく改善されており一般的なアクションRPGに近い感覚で楽しめる。 -マップが広くなっており、ゲーム的なボリュームが増量。 --総シーン数も増えており隠しシーンもあるなどやりこみ要素もあり、加えてシーンの攻略自由度も上がっている。 --大型のボス敵の追加により、アクションゲームとしてのメリハリも追加された。 -前作に引き続きBGMの完成度は高い。 --前作同様クラシックからのアレンジは多いが、どの曲も雰囲気にマッチしており好評。 --前作で対応していたAMD-98音源に加え、NEC標準のFM音源ボードにも対応。 **賛否両論点(II) -グラフィックのモードが変わったことによる変化 --前作のPC98版は640x400の高精細モードで描かれていたグラフィックが本作ではスクロールを実現するために解像度を640x200に落としているため、前作に比べて童話的な雰囲気が薄れてしまった感がある。 --全般的にキャラのサイズが大きくなったために状況判断がしやすくなったという側面もあるため。アクションゲームとしては一概に欠点とはいいがたい。 **問題点(II) -前作以上に上昇した難易度 --主人公の機動力は上がったものの敵の攻撃はそれ以上にいやらしさを増しており、アクションシーンの難易度の高さは前作以上に厳しい。 ---序盤はストーリーの都合上、盾に相当するアイテムが初期段階で使えないのも地味に痛い。 --シーンのフィールド構成やシーン間のつながりが前作よりも複雑化しており、後半のシーンは見えない壁や落とし穴が多いため一筋縄ではいかない。 --村人からの情報収集といった要素も皆無のため((ゲーム中に情報を入手できる方法もあるにはあるのだが、ダメージを受けるリスクがある。))、攻略情報の糸口をつかむのも難しい。 ---クリアに必須な重要アイテムもほぼノーヒントの状態で探し出さなければならないため、攻略は困難を極める。 -ビジュアルシーンの大幅な削減 --攻略自由度が上がったのと引き換えだと思われるが、前作で好評を博したゲーム中のビジュアルシーンが中盤に1つだけになってしまった。~ これによりシナリオ内の状況説明が難しくなり、シナリオ的な盛り上がりが前作に比べ弱くなってしまっている。 --ビジュアルシーンは攻略の手掛かりとなる情報も盛り込まれている構成のゲームであっただけに、情報収集の面でもつらい。 **総評(II) 前作でやや弱かったアクションゲームとしての完成度を向上させ、ゲーム的なボリュームも増したコンセプトで作られた作品。~ だが難易度が主人公の機動力向上に合わせて前作以上に高難度化してしまった上に前作の大きな売りであったビジュアルシーンの削減が厳しく、前作の良さがスポイルされている面は否めない。~ ゲームの基本的な完成度は上がっているだけに、もう少し前作の良さを追求してほしかったところである。 ---- **余談 //販売形態・経路に関してはゲーム自体の問題点ではないのでこちらに移動。 -『I』は多くの機種で発売されたが、『II』は発売されたハードが当時ビジネス系の16bit高級機であったPC98のみであるため、真の結末を見れたユーザーは極わずかとなってしまった。 --真の結末に触れられる機会の登場は後のProjectEggでの配信を待つこととなる。 -徳間書店が発売していた漫画雑誌『わんぱっくコミック』にてFCD版のコミカライズ作品が1987年に連載されていた。作画はFCD版のキャラクターデザイン・イメージイラストを担当したもりけん氏。 -勁文社よりゲームブック化作品として『メルヘンヴェール 妖怪バーニバオの謎』が1987年に発売されていた。ストーリー的にはFCD版の続編的な位置づけだが原作との関連性は薄い。 -IIの発売後にもIII,IVまでの続編の構想があったが、残念ながら実現することはなかった。 -ProjectEggより本シリーズのPC88版((『I』の全楽曲のほか、『II』の楽曲を収録したソフト『Marchen Veil JUKEBOX』からも収録。)),PC98版((AMD-98音源,FM音源の両方を収録))の楽曲全てを収録したサウンドトラック『Marchen Veil MemorialCollection』が2011年2月23日に発売された。 --500枚限定ということもあり現在は凄まじいプレミアがついている。 //メルヘンヴェール メルヘンベール めるへんべーる //検索用ワードにつき、消さないでください。

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