Port Royale 3
【ぽーと ろいやる すりー】
ジャンル
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リアルタイムストラテジー
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対応機種
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Windows Xp/Vista/7
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開発元
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Gaming Minds Studios
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発売元
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Kalypso Media Digital
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発売日
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Steam:2012年5月5日 パッケージ版(欧米):2012年8月9日
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価格
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1,480円
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プレイ人数
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1人
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判定
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なし
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ポイント
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カリブの
海賊王に俺はなる!
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概要
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前作『Port Royale 2』から8年後に発売された。
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『Port Royale 2』の後に発売された『Tortuga: Pirates of the New World』が日本ではカプコムから『ポートロイヤル-カリブ海戦記-』として発売されている。
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『Tortuga: Pirates of the New World』は同じくカリブ海を舞台にした海賊が主人公のAADVである。
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その8年の間に、前作を制作した Ascaron Entertainment は Kalypso Media Digital に買収されて Gaming Minds Studios の一部に再編された。
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買収後、先に同じ交易シミュレーションの『Patrician IV』が発売されている。
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本作の交易の基本部分のシステムは『Patrician IV』と全く同じである。
舞台
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カリブ海を舞台にした交易シミュレーション
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Port Royaleはジャマイカにあった街。
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1692年6月7日の地震で大半が水没して放棄された。
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映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」の舞台となった街である。
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シナリオにも依るが、チュートリアルは1574年から始まる。
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スペイン、イギリス、フランス、オランダの4国が割拠している。
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通貨はなぜか共通である。
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細かいことを言うと1574年はもっとスペインが幅を利かせていた頃であるはずである。
ゲーム内ではグアドループが英国領となっていることから、史実では1759年~1763年もしくは1810年~1816年となるが、ポート・ロイヤルがスペインから英国の手に渡ったのは1655年なので、このゲームの開始時点のような勢力図だった時期は無い。
システム
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交易品
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計20品目有る。
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品目は『Patrician IV』とは異なり、気候が寒い北ヨーロッパでは得にくいがカリブ海ではどこでも作れる"塩"がない。
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畑を作るだけで作れる小麦、綿、サトウキビなどの一次産品、サトウキビと木材から作るラム酒、小麦とサトウキビ(何故?)から作るパンなどの加工品、とうもろこしを飼料にする肉などがある。
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コーヒーとカカオは生産に"金属器具"を消費し、畑を作るだけでは穫れない。
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街
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港街しか存在せず、内陸の街は描写されない。その代り、積出港のニューオーリンズなどは生産量や人口が大きい。
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船には喫水のパラメーターが有るものの、『Patrician IV』の様に川を遡上したところにある街やパナマ運河もまだない時代なので、意味のない設定となっている。
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ドックにて交易品および武器を売買できる。
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武器はプレイヤーは生産できない。また、価格は変動しないので武器で儲けることは出来ない。
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武器にも在庫の増減があるが、儲けが出ない品なのに誰が何のために運んでいるのかとか考えると、少しモヤっとする。
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造船所にて船の修理ができる。
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大きな造船所では中古の船が買える。
DLCなしでは船を建造できないため、欲しいタイプの船が売り出されるまで待たされることもある。
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街には住民がいるが、その住民を増やすためには他の街から水夫として運んできて目的の街で解雇すると増えるという斬新なシステム。
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住民がいなければ生産施設が動かないため、生産施設を新設する際はどこかから住民を強制移住させる必要がある。
住民はどこでどんなシフトで働いているというパラメータがあり、勤務時間になると労働する。この辺りは『トロピコ』っぽい作り込みとなっている。が、さすがに『トロピコ』のように性格などまでは設定されていない。
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疫病イベントで住民が減ることがある。ハリケーンで死ぬこともある。食糧不足で死ぬことも有る。そうなれば、新たな住民を連れてくる必要がある。
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支持率
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ドックで交易品を売ることで交易品の価格が下がると住民からの支持率が上昇する。
逆に、交易品を買い占めて価格が上がると支持率が下がる。
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街に管理者がいる場合、管理者からのお願いが出ている場合があり、これをこなすと住民の支持率が +5%される。さらに国からの評価も +5ptされる。
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住民からの支持は、何もしないと時間と共に徐々に下がってゆく。
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街に知事がいる場合、知事からのお願いが出る場合がある。これをこなすと国からの評価が +10ptされるが、住民の支持率は上がらない。
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酒場
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酒場にいる客から各種技能をお金を払って学べる。
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ランクが上がると、行方不明の家族の捜索を頼まれることが有る。報酬は宝の地図の破片である。
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宝の地図を売っている客もいる。
宝の地図の破片は9枚揃うと宝のありかが示される。9枚未満でも宝のありかは推理可能な場合もあるが、9枚揃うまではシステム的に宝が出現しないので、9枚揃える必要がある。
宝箱を回収すると、金貨や大量の交易品が入手できる。
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海賊の隠れ家の情報を売ろうとする客や、海賊の隠れ家を教えるから攻撃してほしいと退役軍人から頼まれたりする。
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建築許可
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街に倉庫を建てるには建築許可証が必要。
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その街の所属する国の、国からの評価が25pt以上、かつ、街の住民からの支持が規定以上(最初は30%)でなければ建築許可証は発行されない。また、建築許可証の発行には、最初の街で10,000のお金が必要。
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2つ目の街で建築許可証をもらうには街の住民からの支持が35%以上必要となり、徐々にハードルが上がる。また許可証の発行費用も徐々に値上がりする。
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倉庫
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建築許可を買って街に倉庫を建てると、倉庫は設定した価格で街の市場と物品を自動で売買する。
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海賊の隠れ家
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隠れ家なので、付近を通っただけでは発見できないし、酒場などで情報を得ていてもそれだけでは見つからない。
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隠れ家を見つける唯一の方法は、海賊の船が隠れ家から出入りする瞬間を目撃することだけである。ひたすら待つしか無い。
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戦闘
船団のうち戦闘に参加できるのは最大3隻までである。事前に3隻を設定しておく必要がある。
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海戦
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こちらから攻撃する場合は、相手の船団を選んで攻撃を指示する。
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相手からの攻撃は勝手にふっかけられる。
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単純に砲台の数が戦力の差となる。1つの砲台に5人の水夫が付いている場合が攻撃効率が最大となる。
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敵の船に横付けして白兵戦を挑むことも出来るが、砲台が多い船はそれを活かすためにたくさんの水夫が載っているため、砲台数の戦力差を覆す決定的な手段とはなり難い。
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海賊の隠れ家
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海賊の隠れ家を選択して攻撃を指示する。隠れ家の周囲に敵の哨戒部隊がいると海戦となる。いない場合は上陸戦となる。
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上陸戦
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水夫が上陸して敵部隊と戦闘を行う。
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あらかじめ上陸戦用に、刀や銃を買っておくべきではある。
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NPC間の戦闘
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NPCの商船を海賊が襲うのは当然(?)だが、国間が対立して、イギリス艦隊とオランダ艦隊が海戦をしたりもする。
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国対国で戦争状態になった場合、一方の国とは友好ポイントが高くて、他方の国とは友好ポイントが低い場合、友好ポイントの低い国から敵認定されて攻撃を受けることもある。
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各種維持費用
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船の維持費は船の種類毎に決まっており、船が動いていようが泊まっていようが維持費は掛かり続ける。
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同様に船の水夫の給料も、船が停泊していても掛かり続ける。
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製造設備も動いているときは当然ながら、原料不足で止まっていても同額の維持費(労働者への給与?)が掛かる。
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維持費とは別に、船を使っていると、戦闘すれば当然傷つくが、普段遣いでも徐々に痛むため、修復費用がかかる。
評価点
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プレイの幅は広い
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『Patrician IV』の交易システムをほぼ流用しているため、交易ゲームとしても十分に仕上がっている。
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どこか国の勢力下について街の住民の支持を得ても良いいし、侵略者として街を攻撃して占領してもよい。
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街と街との距離が近く、交易ゲームにしてはテンポが良い
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ただし、勢力を拡大して敵味方が入り乱れてくると戦闘が増えて煩雑すぎる局面に陥ることがある。
問題点
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UIの問題
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UIのグラフィックデザインが全体的に古風で、購入前にプレイ中のスクリーンショットを見てしまったなら間違いなく「古臭いゲーム」というマイナスなイメージしか持たないであろう。
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UIで出来ることは『Patrician IV』と大差ないのに、どうしてさらにデザイン性が落ちたのか不思議でならない。
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そもそもゲーム中に開く、売買や情報のウインドウサイズが『Patrician IV』と比して狭く、結果、表示できる情報量が少なくなっているため、プレイヤーが画面を上下にスクロールする回数が増えることになっている。
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物品の購入、売却のスライダーバーが、売買量が大きくなるほど1目盛あたりの増減量が大きくなるのだが、これが操作を面倒にしている。
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1~10までは1刻みで増加するが、10からは2刻みとなり、10の次は12となる。
このため、11売買したい場合、一旦、10で売買を確定した後、再度1単位の売買を行わなければならない。
99売る場合は、手前の目盛は88で次は104であるため、一旦88売って確定後、残りの11のうち、さらに10だけを売って確定した後、1つだけを売買するという手間になる。
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なおこの仕様は『Patrician IV』と全く同じであり、制作側は不便とは思っていないようである。
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実は攻略法は限られている
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服は (綿→)布 + 染料 で作るが、染料を産するのはフロリダ半島のフランス領の街だけである。
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このため、序盤にこれらの街の何処かを手に入れないと、服が安定供給できなくなる。
賛否両論点
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BGM
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BGMは海域毎に異なり、ニューオーリンズなどのフロリダ半島付近はジャズ、トリニダード島の東周辺はタンブー・バンブーを使った民族音楽、トリニダード島南部はスチールドラム(スチールパン)を使った曲が使用されており、一部のワールドミュージックマニアだけはニヤリとするかもしれない。
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しかし、ゲームの舞台となっている時代にはいずれもまだ存在していないジャンルや楽器である。
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様々なジャンルの曲を使っているため、当然統一感がない。
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しかも、いずれもBGMとしては質が低い。
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交易品の売買のシステム
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交易品の売買のUIの使い難さについては問題点で述べた通りである。
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売値と買値にスプリットがなく同額であり、買い過ぎ、売り過ぎのミスをペナルティ無しで即座にリカバーできる。
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1回の売買において、交易品の単価は固定ではなく、大量の商品を買おうとすると単価が吊り上がって行き、大量に売ろうとすると単価が下がってゆく。
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このため、同じ街で交易品の価格操作によって儲けることは出来なくなっている。
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つまり、市場操作で儲けることも損をすることもないわけで、公正であるけれども、物足りない感もある。
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街のmapの描写
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グラフィックは『Patrician IV』よりマシである。
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それでも『Patrician IV』と同様に街からスラム感が漂う。
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同じカリブ海が舞台の同社製品『トロピコ』に比べるとトロピカル感が足りない。
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各街のMapは全て異なっている。滝があったり、ワニがうろついていたり無駄に凝っている。
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ハリケーンが来ているときは、街内のmapでも激しく雨が降る。
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街の施設が木陰にあったりするなど、どうでもいいものがごちゃごちゃと存在するせいで、ひと目で街を把握できるようになっていない。
総評
ただの船乗りから、最終的にはイギリス軍を蹴散らしてカリブ海を支配するという、想像を絶する立身出世物語である。
アイテム売買のUIの不便さや、それ以外の部分のデザインも見やすさを優先したものではないなど、決定的に使いにくとまではいかないまでも、プレイにややストレスを感じる場面がある。
後の展開
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同年12月に、PS3とXBOX360に移植されている。
DLC
3つのDLCが販売されている
Port Royale 3: New Adventures DLC
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5本のチャレンジシナリオ集
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Port Royale 3: Dawn of Pirates DLC
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街ではなく隠れ家からスタートする海賊プレイが可能。
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Port Royale 3: Harbour Master DLC
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庭木や外壁などのオブジェクト集。船を建造できるようになる。
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最終更新:2021年08月25日 20:17