「――なんでオレが前線に立たなきゃいけないんだよ?」
「“こういうの”は君が得意なんだろう?扱いを知らん者が管理するわけにもいかない、そういうことだ」
「……ま、ごもっとも、なんだけどさあ」
始まりは、ある時ある場所で交わされた、そんな会話から。
「『フォーチュンドール』?」
「最近学校で流行ってるみたいなんです。持っていれば願いを叶える助けをしてくれるとか…」
若者の間で流行し始めた、小さな少女の人形に託す『おまじない』。
「どーも裏があるっぽいのよなー」
「最近、未成年の補導事件が増えてるのは知ってるか?彼らは皆一様にその人形を持っている」
「……関連がありそう、と?」
「可能性は高い、と見ている」
「人形が教えてくれる」「どうすればいいのか」
「人形が教えてくれる」「どうすれば強くなれるのか」
「人形が教えてくれる」「――壊せばいいと」
「おいおいおい、こりゃあ正気の沙汰じゃねえぞ…?」
「……分からない」
徐々に狂い、広がり始める、波紋。
「っと、ごめんなさい…!?」
(――金髪に青い目…?)
「アンタも信じてるのか?おまじない」
「まさか。……あんたは?」
「……さて、どうかな?ただ…あんまり好きじゃないのは確かだよ」
「ほんとに叶えたい願いなんて、こんなのに頼ったって叶わないものさ」
「そう、だから」
「だから、嫌なんだ。こんなことをするのも」
黒く赤いセカイの中で、女は呟く。
浮かべる笑みは――狂ったように、諦めたように、悲しそうに。
「ええ、『監視』は続行しておりますよ」
人形は、フェイク
「こんなのくだらないじゃん。人形なんかで」
本質は中に込められた「薬」
「わたくしの可愛い子達の方がずーっといいですわ!」
それに感化されたものは精神を少しずつ狂わせ
「……寝かせてください」
己の欲望に忠実になるようになる
「お土産買ってきてくれたの!?わあい!」
―――そう、まるで、疾患者のように
「……やっぱりあんたらの仕業か。『
コンビナート』」
「やれ、ご苦労なことで。ああ、そう警戒しないで。私はこの件には一切関与してないんですから」
「ですが、この先に行くのでしたら、一応お気をつけてと言っておきましょう」
「あのお嬢さんは、少々じゃじゃ馬ですから」
そして事件は終幕へ。
歪んだ願いを、断ち切るために。
「っ、
レグルス!
ルーシー嬢!?」
「心配するな、眠ってもらっただけだ。流石に3対1じゃあ、分が悪い」
―――それは、月が綺麗な夜の事だった。
「さて。お相手願うぜ、探偵さん?―――アンタはオレの罪を、どう裁いてくれるのかな?」
妖艶に笑う女の背中で、黒い手と赤い炎が、まるで歓喜するかのように舞いあがった。
「東都探偵倶楽部事件簿:Another 《ガール・ドール・ミスフォーチュン》 (※嘘予告)」
『探偵』と『マフィア』。
相対する者として物語に立ち、のちに奇妙な縁で繋がることになる2人の―――これが、始まりの物語。
(続かない)
最終更新:2016年01月11日 22:22