- 銀さんとさいのリレーストーリーです。
- アカネちゃんと田中さんが夢の島へ行くかもしれなかったり行かなかったり、全然関係ない事してたりするかもしれなかったりするお話。
時間にして数十分。立ち止まって悩んだ挙句に、彼はその手紙をパン屋の郵便受けに投函した。
そこで彼女は住み込みでアルバイトをしていると、ステラ学院の購買のオバちゃんから噂話に聞いていたからだ。
電子レンジの爆発で死んだ父の過去について、もう何十年も彼はその犯人を捜していた。
いくつかの出来事から『モラトリアム』という犯罪組織が関与している可能性はあるというところまでは掴んでいた。
だが、『モラトリアム』が父に手を下したという確証もなければ、
父がむしろ組織に加担していた故に別の何者かに殺されたのかも今だにわからない。
何しろ、父が死んだ頃に『モラトリアム』が存在していたという記録すらないのだ。
現在、その真相に近づくために『モラトリアム』に所属して、
現状は下っ端よろしく日々の他愛ないイタズラのようなテロ行為の片棒を担ぎつつ過ごしているわけだが、
その件に関しては今のところ特に何か捗ったことはなかった。
そんな折、近所の商店街で福引をしていた田中は、運の無駄遣い気味に3等賞を手に入れる。
――都立夢の島熱帯植物館 ペアチケット2枚。
「夢の島……公園、だと? ゴミで埋め立てて何れ土地にするという計画は記憶にあったが……完成していたのか」
「行ってらっしゃい。きっと、楽しいと思いますよ」
ニッコリと微笑みかける福引係の言葉に、何か引っかかって振り返るが彼の姿はもうなかった。
考えすぎだろうか。だが、「夢の島」という言葉はそう……似ていないか。『ネヴァーランド』に。
2枚のチケットをしばらく眺め、ざっと、ここ最近の知り合いの顔を頭に浮かべ、少し考えてみた。
最初に浮かんで、一度取り消して、最後にもう一度浮かんだのが彼女だった。
―葵殿へと書かれた封書の中身。縦書きの便箋に同封された熱帯植物館のチケット1枚。
前略
探し物が得意な貴殿に折り入って頼みたいことがある。
もし都合が良いようなら来週の土曜日あたり、ここへ同行願えないだろうか。
後略
田中(電話番号 XXX-XXXX-XXXX)
学校から帰ってくれば、彼女はおそらくそれを目にすることになるかもしれない。
そのまま捨てられても普通なような気もする、夢の島への招待状であった。
最終更新:2016年01月15日 18:47