(※ネタかぶりしたけど
嘘予告だからいいよね!勿体ないから置いておく!羽乃さんの嘘予告がきっとハッピーエンドコース!)
――深夜。探偵事務所。 探偵は腕を伸ばして小さく震える端末を取り上げる。
「……はい、こちら東都探偵事務所……は?火事?……オイオイ、うちはいつから消防署になったんだ?」
『燃えているのがあの店だとしてもそんなとぼけた口がきけるかい?』
「あの店って一体……まさか」
*
夜の街を駆け消防のサイレンと赤い回転灯が集まってくる。
遠巻きに取り囲む人々は一様に絶望の表情を浮かべていた。
「はな、せっ!! 離せよ!!」
「駄目、店長……」
「無理ですよ!!あんなとこ飛びこんだら死にます!!」
「俺の、俺の店……!!おやっさん、おかみさん……!!」
普段は温厚なリスを思わせる小柄なその店の店主は、
アルバイトの少年と少女が二人がかりで身体を押さえつけているにもかかわらず、
燃え盛る店へ飛び込もうと足掻くのをやめない。
小さく舌打ちをして、葵はやむなく店主の首筋へと腕を伸ばし、やがてくたりと倒れ込むその体を抱えて再び店を見やる。
彼にとっては命より大切な店――ハコラが炎の渦に沈んでいく……。
(このあたりの酸素濃度を下げれば……駄目だ、火は消えるかもしれないけど、皆死ぬ……)
「踊原サンがいないな……」
パン屋の2階に葵と同じく間借りしていた絵描きの男の姿は見えない。
*
「パン屋が? 馬鹿な。絶対不可侵領域のはずだろう。Этого не может быть」
そんな筈はない、とヘルの言葉に
フレデリックは肩をすくめる。
「いいえ、確かです」
「……ヒゲに伝えろよ。暇してんだろ。俺は忙しい」
「それが、何度コールをしても出ません」
*
ハコラの火事の報に集まった群衆の中に一人の赤い髪の少女の姿。
火事の報を聞き着のみ着のまま駆けつけたようだが、
やはり茫然と消火作業に抗いいまだ燃え盛る炎を見上げている。
「……近づかないほうがいい。家に帰りなさい」
声をかけられて振り向くとそこには見たこともない外国人の男性。口元のヒゲと黒ずくめの衣装が印象的だ。
「心配いらない。建物はともかく住人は無事のようだ。先程全員救出されたらしい」
見知らぬ男の言葉に不思議な顔をしつつも一旦はその場を立ち去りかける天音。
ぽつり、とそう呟いてその後姿を見送る
ギルテの顔をてらす炎が瞬時、炙りだす。
いつも以上に表情の落ちた彼の瞳と、口髭の下に渦巻く赤く刻まれた印を。
*
「っとっと!!待てよ!
ハーメルンはこの件にゃ、一切無関係だぜ!誰がハコラに火をつけるもんか!」
「寿司屋の営業に邪魔になると思ったんだろう? 残念だが、人は寿司のみでは生きられん」
やれ、と片手をあげたヴァレンタインのこめかみに、冷たい銃口が押し当てられる。
「……リーダーを解放しろ。蛇の頭でもハコラに手を出す馬鹿なんてそうそういないコトくらいわかるだろうが」
押し殺した声で、
ルフェウスはそう言った。
*
「……貴方
ミサコなんでしょ?そうなんでしょ?」
火事の時に、炎に近寄るなと言ったあの外国人の男
痴漢に襲われた時にハダカオドリで割り込んできた守衛のおっちゃん
そして、今、背後から迫りくる
コンビナートだかなんだかの黒服たちから、
今私を庇って走っている、体中ピアスだらけのチンピラ。
「ばかにしないで。 わかるんだから」
「ごめんね、アーネちゃん。俺、死んじゃった」
「ばかにしないでよ」
泣きながら両手を広げる彼女。
「謝る前に、とっとと帰ってきなさい。ばか」
*
「還るべきところのある者は幸いである」
よくとおる凛とした声で、ティッシュを配る宗教家の娘がそう冬の空に告げた。
「……次は、寿司屋だな。あったかいスープの前に立ちはだかるものは俺が全て……」
手に纏った炎をくるりと腕を回して消して、男は雑踏の中に消えて行った……
*
(イズサン来ないかなな何かEND(←)
最終更新:2016年01月15日 20:32