呂布(りょふ、ピンイン: Lu Bu(リュイ ブゥ)、生年不詳 - 198年)は、後漢末の武将。
字(あざな)は奉先(ほうせん、Fengxian(フォンシェン)。五原郡九原県(現在の内蒙古自治区包頭県西部)の出身。
後漢末の戦乱における群雄の一人であり、
稀代の名馬とされる赤兎馬と共に
「人中に呂布あり、馬中に赤兎あり」
と称された勇将。
また古代中国の名将・李広になぞらえて「飛将軍」と称されてもいる。
特に小説『三国志演義』における活躍から、個人の戦闘力に限定すると
「三国志最強の男」
と呼ばれている。
正史『三国志』によれば、腕力は並み外れ、弓術・馬術を得意とし、
キレた董卓が投げつけた手戟を避ける敏捷性を備えるなどかなりの豪傑。
また騎馬の運用に優れており、その軍団は他の群雄から恐れられていた。
その一方、思慮に欠け、目の前の利益に弱く、反覆常ならぬ性質であり、
正史の編者・陳寿は「英奇の略無し(英雄と呼べるだけの知謀が無い)」と断じている。
但し、大局的な眼は持っていないという点においての異説はあまり見られないものの、
戦場において敵の罠や弱点を見抜くことには長けていたとする説もあり、武力一辺倒の人物ではなかったのかもしれない。
尤も曹操や陳親子の誘引の計や離間にあっさり引っ掛かるわ、
劉備の伏兵で増援を阻止された挙句、郭嘉の水計で城ごと水浸しにされるわ、
果てには更には目の前にいる曹操に気付かず曹操の馬の色を教えられ、
それを探して曹操に逃げられるという大ポカを犯していたりと基本的に 頭は悪い。
上司であった丁原を殺して董卓に仕え、また董卓をも殺してその部下に逐われ、
袁術・袁紹・張楊などを頼りながら中華を転々とし、後に張邈・陳宮らと兵を挙げて曹操を襲撃するが破れ、
また劉備を頼るも、隙をついてその土地を奪い独立。
しかしとうとう曹操・劉備により捕らえられた。
人材コレクターとして有名な曹操は能力があれば多少の悪人でも許して配下にしており、呂布にも興味を示していたが、
劉備と夏侯惇の「呂布を抱えた者達の末路」を聞かされ結局処刑している。
『三国志演義』では、正史における豪傑ぶりがさらに誇張され、派手で無敵な美丈夫として位置づけられている。
虎牢関の戦いにおいては、主人公サイドである 張飛と互角に打ち合い、加勢した 関羽・劉備をもあしらう余裕を見せ、
下邳の戦いでは、曹操軍の猛将である 夏侯惇・ 夏侯淵・ 許褚・ 典韋・曹仁・曹洪・ 徐晃を相手に打ち合い、退けている。
こうした武勇に加え、天下の名馬・赤兔馬と天下の美女・貂蝉を手中にする優遇ぶりからも、彼の人気がうかがえよう。
なお、彼の武器といえば「方天画戟(西洋のハルバードや 日本の十文字槍のようなもの)」が有名であるが、
これは『演義』の創作であって、後漢末にこのような武器は無い。
また、知名度の高さの割に 関羽=ヒゲ、孔明=美形というようなこれといった外見的イメージが伝わっていないため、
綸子(りんず。京劇用の長い雉の尾で出来た頭飾り)=呂布というのが最近では定番になっている。
後世の三国志作品では『正史』『演義』の影響を受け、天下無双の武人だが知謀はまるっきりの 馬鹿という描かれ方が多い。
一方で、北方謙三の小説『三国志』のように「男の誇り」と愛する女に忠実で、
それらを守ることこそが全てに優先するという、いかにもハードボイルド小説といったキャラ付けがなされることもある。
まぁ正史でも演義でも基本的に馬鹿なので、むしろ稀有なキャラ付けと言えるのだが、
下記の『無双』シリーズや『SD三國伝』の呂布 トールギスなど、最近の作品では北方三国志の呂布のイメージが人気が高い。
コーエー(現:コーエーテクモゲームス)の『 真・三國無双』シリーズでも、概ね『演義』や北方三国志を踏襲した設定がなされている。
高攻撃力・長いリーチ・全方位カバーの広範囲…の攻撃に加え、足も速いわ弓も強いわと、
あらゆる面で「最強」としか言いようがない性能を誇り、プレイヤーに恐れられつつも親しまれている。
しかも出番が基本的に三国志の初期にあたる「虎牢関の戦い」である都合上、
キャラによっては1~ 2ステージ目でこの強敵を相手に戦わなければならなかったりする。
さらに、大体戦場に同道している貂蝉(美女連環の計で董卓と呂布に擦り寄って仲違いさせた絶世の美女。恋姫ではムッキムキのCV若本)を、
うっかり倒してしまうと強化された上に暴走し、無双乱舞の一撃で撤退に追いやられることもしばしば……。
同シリーズの クロスオーバー作品である『無双OROCHI』シリーズでは、 戦国最強との最強対決が話題となった。
ただ、頭飾りの綸子が触角にしか見えないことからファンからは「 ゴキブリ」という酷いニックネームをもらっており、
さらに5以降北方三国志の影響か全身黒尽くめの鎧を身に纏うようになったため、ますますゴキブリっぽくなった。
6におけるプレイヤーとの会話で「その羽飾りが似合う」と言うと上機嫌になるため、どうやらお気に入りらしい。
『7猛将伝』からは、正室である「厳氏」との間に生まれた娘「呂玲綺(史実における実名は不明)」が新規参戦し、
同作のPV2弾ラストでは親バカっぷりを見せている。
この他、 とあるRPGでも登場しているが、ストーリーの関係上で途中まで名前が判明しない。
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しかしながら |
…所持する武器と特徴的過ぎる頭飾り「綸子」のせいで、ちっとも名前が伏せられていない状態だった。
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余談だが呂布が平然と裏切りを繰り返す人物だったことに関して、
彼が中原の文化すなわち中国の 儒教文化と違う価値観に生きていたからではないかとも考えられている。
呂布の出身地は北方の騎馬民族の影響力の強い地域であり、呂布の身体能力や騎兵を指揮する技量から、
漢民族ではなかったのではないかという説も存在し、一概に「悪」と決めつけることが出来ないのが彼の魅力かもしれない。
ただし割と トンデモ説の一つであることには違いないので注意。
カプコンのベルトスクロールアクションにもなった漫画『天地を喰らう』だと西洋人とのハーフだとしている。
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