ジャック・ザ・リッパー



「ウシャシャシャシャー!!」

  • コピー:闇の舞踏士
  • 出身地:イギリス
  • 身長:218cm
  • 体重:68kg
  • 生年月日:1880年 12月24日
  • 年齢:28歳
  • 血液型:O型
  • 職業:切り裂き魔
  • 格闘技:スラッシュアーツ
  • 趣味:人間で遊ぶこと
  • 好きな物:血・闇・月光・刃物
  • 嫌いな物:太陽・オイル
  • 知能指数:うひょひょひょひょ~っ
  • 宝物:地下室・飼っている九官鳥
ワールドヒーローズ』シリーズのキャラクター。『2JET』より呂布と共に参戦した。
2JETのラスボスであるゼウスによりタイムマシンで現代に呼び出された、イギリスの殺人鬼。
本当なら部下として英雄的偉人が呼び出される筈だったらしいが、これはタイムマシーンで「HERO」を呼ぶ際に、
間違って「HEEL」(悪役)と入力してしまったためである。
ちなみに英語辞書で確認していただくと分かるが、同じ悪役でも「villain」(ヴィラン)と違って「heel」は口語で「卑劣漢・ろくでなし」というような意味で、
感心しちゃうような大悪漢などは普通heelと呼ばないので、ゼウスの目論見はここで既に失敗していた
プロレスのヒールは本来反則などを使って戦うのが「heel」だったらしい)。

かくして呼ばれたのはこのノリノリのモヒカンと、『三国志演義』等で見られる裏切り常習犯のイメージがあんまり見られない武人だった。

+ 漫画版のジャック
男と戦うよりは、泣いて恐がって痛がってくれる女の子相手に楽して血見るのがすきなんだ 俺
出番があるのは雑君保プ氏のゲーメスト版のみ。髪型は同じくモヒカン
だが全身を黒ずくめのマントと帽子で固め、口元も黒い布で完全に覆っている(口元は最後まで明かされることは無かった)。
その中身はトゲをあしらったパンクスーツで、露出した肌はすべて包帯でミイラのように固められていた。
武器も体に仕込んではおらず、爪・ナイフ・鎖付きの刃など、実に多彩であった。

いちいち細かいことが気になるお茶目な性格で、ギャグテイストもやや強めであった
(敵陣に攻めようとした所で、アジトの電気が点けっぱなしかどうか、あと洗濯物が気になって、再びアジトに戻ったり)。
しかしハンゾウ出雲良子と3度に渡る激戦を繰り広げてもなお余裕を見せた戦闘能力は本物であった。
どうかな? 自分の戦い方ができないまま 切り刻んでいくのは……「怒り?」「焦り?」「口惜しさ?」
全てひっくるめて「絶望」になったとき ゆっくりとトドメをさしてあげるよ
そして猟奇性もまさしく本物。
ギャグテイストで読者をズッコケさせていたかと思うと──
さて 充分 絶望 して もらえた頃かな?
それじゃあおやすみ~~~~~!!
やっぱり切り裂きジャックそのもの。
「策あり」って顔だね でも女の子の表情で一番グッとくるのは「絶望」の表情さ 笑顔なんてクソだ
また見せてよ こないだみたいな君の「絶望」…グッとくるやつをさ!!

全身に約28~32本にも及ぶ様々な種類のナイフを体に仕込んでいる。
よく勘違いされがちなのだが、ナイフを隠し持っているわけではないので注意。いやたまたま隠し持っている時もあるのだろうけど。
カギ爪は取り外し可能らしいのだが、約32本のナイフは確実に体の中から飛び出す仕組みになっている。
具体的に書くと
ミキサークラッシュ
ジャンプしてカギ爪でガリガリ攻撃する技。勘違いされやすい「回転して地面をスライドする技」はただの通常技
アイアンクロール
両手を縦回転させて地面を掘りながら水平に進む技。どうやって…と聞いたら負け?
地面に設置されたレール上を進む巨大な丸ノコギリのイメージ。
ニースマッシャー
「YEAH!」と叫びながらヒザに仕込んでいたナイフを突き出して水平にロケットジャンプする技。どうして水平に飛べるのかは全く不明。

この他にもMUGENでは滅多に見られないが、地面を彫って潜って追いかける「ジョーズアタック」などがある。
マジキチさはシリーズ通して健在。『WHP』で追加された超必殺技「ライトニングロッド」は頭からナイフを避雷針っぽく伸ばしている。
ちなみに口から火も噴くことも可能。ただしこれは挑発限定で攻撃に使用しない。もうやだこの英国人。

英雄達の極上の血に不自由しないのでゼウスには感謝していて「一生ついていく」と言い切っており、
ゼウスを裏切ろうとする呂布よりはゼウスに忠誠心があるのだが、
その猟奇的な危険思考馬鹿っぷりから「役立たず」呼ばわりされている
『2JET』の隠しEDでは、負けて落ち込むゼウスをジャックが慰める微笑ましい場面が見られる。

「ボス!! そんなに落ちこんじゃあだめっすよ!! だいじょぶだって!」


…が、その忠誠心も『ADKワールド』において、
金属野郎にはフイをつかれただけさ。やっぱボスが一番よ!…でも念のためネオディオとも仲良くしとこうかな」
…などとのたまってるあたり、かなり怪しい。

対戦相手が女性のリョウコジャンヌだと、

戦闘前の字幕で、
「きもちよくしてやるぜ」
「おしえてやるぜぇ!」

勝利時の字幕は、
もうイッたのかぁ?
「イッちまったのかぁ?」

さらに勝利メッセージでは、

「ケヘヘッヘェ、処女の血はうめぇぜぇ!!」

と、色んな意味でヤバい台詞を吐く。

嫌いなものがオイルなのは、恐らくブロッケンの血がオイルだったためだろうか。
他にもまずい血にラスプーチンマッドマンを挙げている。
変態ってのは血まで変な味がするんだな。これだから変態はいやんなるぜ。ケーッケッケ!」とのことだが、
『WHP』ではジャック本人が相手でもこの2人と同じセリフを言っている
なお、この変態3人衆のキャラクターデザインは同じ人である。

また、魔法関係や超常現象にも意外と(?)苦手意識があるらしい。本人の地中潜行能力も超常現象の類だが…。
ラスプーチンが炎や雷や氷を使いこなしてるのを「気持ち悪い」。マッドマンの精霊達も得体の知れないものとして呆れ不気味がっている。
サイボーグのブロッケンは……嫌いな物が「オイル」とある以上、やはり戦っていて楽しくはなかったのだろう。
「おりょりょ?話に聞いてた相手と違うじゃねえか」
「いくら戦うとしても、さすがにああいったキチ○イは勘弁してほしいなあ」
『WH2JET』のムックではジャックは以上のように告白している。
それを聞いたゼウスから「お前もだ」とすかさずツッコミが入っていたが。

シャオシャオ、変態だって!?ケヘヘヘ…照れるぜ!」

+ 元ネタの殺人鬼について
モデルは1888~1891年にイギリスで実際に起きた
「ホワイトチャペル殺人事件(娼婦連続惨殺事件)」の犯人とされる「ジャック・ザ・リッパー(Jack the Ripper、切り裂きジャック)」。
当時世界最高の警察組織と呼ばれたスコットランドヤード*1を以ってしても手掛かり一つ掴めずに迷宮入りさせた伝説の殺人鬼である。
ロンドンの貧民窟(スラム街)であるホワイトチャペル地域で次々と娼婦を残虐な手口で殺害し、犠牲者は最大で11人、確実に同一犯だろうと言われる犠牲者が5人、
警察や自警団、市民、マスメディアが血眼になって追跡したが、誰一人としてたどり着くこと無く、逃げ果せた。
そのため本名を含めた正体は全て不明であり、当時の通称も「ホワイトチャペルの殺人鬼」「レザーエプロン」など様々。
最も有名な「ジャック」と言う呼称も、犯人本人から来たかどうかも定かではない挑戦状に書かれたペンネームが由来とされる。
と言うか、この場合の「ジャック」とは日本で言う所の「名無しの権兵衛」と同義であり
「ザ・リッパー」の方も「切り裂き魔」と言う肩書であって苗字等ではない*2
中でも有名な手紙が三通あり、1通目と2通目はセントラル・ニュース・エージェンシー新聞社宛に届いた手紙とはがき、
そして3通目は当時のホワイトチャペル自警団長ジョージ・ラスクに届いた小包に同封された手紙となっている。

+ 親愛なるボスへ
親愛なるボスへ

警察が俺を捕まえたとか言ってるらしいが、俺はまだ捕まっちゃいない。
連中がとても賢そうに捜査は順調に進んでいるとか話してて、思わず笑っちまった。
だけど"レザーエプロン"なんて冗談は本当に腹が立つ。
俺は娼婦どもに夢中で、腰が抜けるまで女どもを引き裂くのをやめる気はないぜ。
最後の仕事は大仕事だった。俺はあの女にわめく暇も与えなかった。なのにどうやったら捕まるってんだ?
俺はこの仕事が大好きで、まだまだやるつもりだ。あんたもすぐに俺の面白いゲームの結果を聞くだろうよ。
最後の仕事でジンジャーエールの瓶に血を貯めておいたんだが、膠みたいに固まっちまったんで、赤インクで書く事にする。
次の仕事じゃあ、お嬢さんの耳を切り取って警察に送ってやるよ。その時までこの手紙はしまっておいてくれ。
俺のナイフは切れ味抜群だから、チャンスがあればすぐにでも仕事に取り掛かるよ。
幸運を祈る。

ジャック・ザ・リッパー

屋号で書くけど良いよな?

追伸:これを送る前に手についた赤インクを洗ったよ。ついてないぜ。まるで医者だ。ハハハ(笑)

+ 生意気なジャッキー
親愛なるボス、前に送った手紙は別にあんたをからかう冗談ってわけじゃあない。
明日は生意気なジャッキーの仕事について聞くことになるだろうよ。
今回はダブルイベントだ。
けど一人目がちょっと騒いだんで、すぐに終わらなくてな。
警察に耳を送る暇がなかったよ。
それと俺が次の仕事をやるまで、こないだの手紙を取っといてくれてありがとな。

ジャック・ザ・リッパー

+ 地獄より
地獄より
ラスク氏へ

拝啓 
私がある女性から頂戴した腎臓の半分をあなたに進呈する。
これはあなたのために取っておいたものだ。
残りの半分は私が揚げて食べたが、とても美味だった。
もう少しお待ち頂ければ、腎臓を取り出した時の血塗れのナイフもお送りしよう。
敬具

捕まえられるものならば捕まえてみるが良い、ミスターラスク

このうち一通目と二通目は新聞社による売上狙いの捏造だということを当時から警察や新聞記者が主張しており、
今日の研究家のあいだでもこれは偽物だろうと言われているが、「切り裂きジャック」の由来となったことで今でも注目度が高い。
そして三通目「地獄より」に関しては前二通と筆跡や文体が違う事に加え、同封されていたのが「本物の人間の腎臓である」ため、
これは真実、切り裂きジャック本人が書いた手紙なのではないか……とまことしやかに囁かれている。
無論、医学生のイタズラだろうとする説もあるが……今となっては真偽の程は定かではない。

現代に至るまで諸説紛々で、もはや当時事件現場近くに来れてアリバイが無い者は全て容疑者と言えるぐらいであり、
連続殺人事件が起きている最中だと言うのに被害者達が無防備に殺され続けていたため、
子供など無害そうに見える外見なのでは」「そもそもジャック(=男性)ではなかったのでは」等と言われている。
そのため『黒執事』では妙齢の女性医師(主人公の叔母)、
『名探偵コナン』劇場版では「高齢の医者」「女装した美男子」の両方の説が採用され、
『Fate』シリーズだと『Fate/Apocrypha』『Fate/Grand Order』では小柄な少女、
『Fate/strange Fake』では警察官から腕時計にまで変幻自在の存在など、この仮説に基づき女性の姿で描かれるゲームやアニメも多く作られている。
ただし『strange Fake』版は本物のジャック・ザ・リッパーではなく、多数の仮説を基に実体化した存在である
(故に仮説の数と同じだけの姿を持つ。腕時計姿も呪いのアイテム説から。
 この特性のため、子供に化けようとすると『Apocrypha』版の姿になる。自身の願いも「ジャック・ザ・リッパー(本物)の正体を知る」である)。
他にも「簡単に信用を得られる立場の人物なのでは」「警察が手を出せない地位の人物なのでは(王家ゆかりの人物説まである)」等の説があり、
『黒執事』版は名門貴族なのでこちらの説も兼ねている(『黒執事』の主人公は、貴族の犯罪者を秘密裏に(公になる前に)処分するのが御役目)。
まぁ『黒執事』『Fate』共に超常現象を使い不可能犯罪を可能とする連中なので、普通の警察では解決出来なくて当然とも言えよう
変わった所では漫画『ジャバウォッキー』および『ノブナガン』では事件に深くナイチンゲールが関わっているという解釈がされたり、
ドラキュラがヘルシング教授に勝利した世界」を舞台にした架空史小説『ドラキュラ紀元』では、驚くべき真犯人が導き出されていたりと、
史実のみならずフィクションでも多くの容疑者、切り裂きジャックが描かれている。

ウォッチメン』のライターとして知られるアラン・ムーア氏とスコットランドのコミック作家エディ・キャンベル氏の合作『フロム・ヘル』は、
切り裂きジャック事件を忠実に追いかけることで「19世紀から20世紀」そのものを描いた壮大なグラフィック・ノベルとして知られる。
本作では王室の醜聞を抹消するためにある娼婦の殺害を命じられた御典医ウィリアム・ガル博士が、
偽装工作と称して次々と娼婦を惨殺することで魔術的儀式を執り行い自らを不滅の存在にせんと目論み、
これをアバーライン警部と幻視者ロバート・リーズが追跡する、史実に基づきつつも神秘主義や魔術に満ちた暗い物語となっている。
ジョニー・デップ主演で映画版も作られたが、原作の壮大さと難解さはバッサリ削られ、単なる切り裂きジャックを追跡するミステリとなってしまい、
アバーライン警部とメアリ・ケリーのラブロマンスが中心の物語が描かれる。
例によって例のごとくアラン・ムーア氏はキレ……る以前に脚本打診をガン無視してスルーした

元ネタについては上記折り畳みの通りだが、この『ワーヒー』のジャックは19世紀のイギリスにあるまじきド派手なパンクルックに身を包み、
両手の鉤爪で白昼堂々誰彼構わず襲い掛かるヒャッハー!なモヒカン野郎である。
さらに『WHP』の勝利ポーズでは「ポーゥ!」と連続でシャウトする。
なおこれに関しては設定画に「マイケル・ジャクソンのノリで」と書いてあるので、正真正銘のパクリオマージュである。
ボタン押しっぱなしで勝利ポーズを高速化出来る『WHP』では、物凄い勢いで体を左右に振りながら「ポポポポポポーゥ!」なんて光景もよく見られた。
即職務質問だろこんなん。
尤も、このジャックは自由に地面に潜れる能力があり
入り口が無くジャック以外には出入り不可能な秘密の地下室を隠れ家にしているため、決して捕まることは無かったという。

血を愛飲し太陽を嫌う所と全身からナイフが飛び出す点は、『ジョジョの奇妙な冒険第一部に登場した、
吸血鬼ディオ・ブランドーにその腕を見込まれて屍生人ゾンビ)にされ配下となった、
同じく「切り裂きジャック」の正体の男の部分も取り入れられていると思われる。
だがこちらは髭面で大柄でマッチョだし髪型もモヒカンじゃないし、
人前では頼りがいのありそうなマッチョダンディーを演じている(だから女性に近付けた)など、外見は大きく異なる。

キャラクターの構想は初代『WH』の時点であったのだが、ヒーローではないという理由でこの時は没になっている。
外見は謎の殺人鬼らしい不気味な姿をしており、腰の懐中時計と靴の爪先にナイフを仕込んでいる所のみ受け継がれている。
また『2JET』の未使用画像には、何故か妙に精悍でイケメンなジャックの絵が存在する。
旧設定画
2JET未使用画像


原作での性能

 正面から上空からと突進系の技が搭載されており、間合いを一気に詰めることが出来る。
 超必殺技なども範囲が広く、性能が高い。しかも三角飛びも備える。
 しかし必殺技は癖が強く、使い所が難しいものが多い。
 武器持ちらしく爪や隠しナイフの先には喰らい判定が存在しないので、
 ジャックの基本スタイルは通常技を上手く振って立ち回りで勝つことになる。

 
 


MUGENにおけるジャック・ザ・リッパー

2体存在し、いずれも『WHP』をベースにしたアレンジ仕様となっている。

+ Most Unbalance氏製作
  • Most Unbalance氏製作
基本的に原作再現だが、一部アレンジが加えれらている。
  • アレンジされた部分
    • MAX超必殺技の追加・超必殺技の暗転エフェクトが『KOF2003』仕様。
    • 一部技コマンドの変更(これにより、原作では非常に長い時間を必要としたためロマン技だったライトニングロッドが格段に使いやすくなった)。

ほしおでん氏(旧名・おでん氏)による本体同梱のAIが存在し、現在はhamer氏によって代理公開されている。
ニコニコでの活躍はこの動画のように原作通り通り魔として登場し、一話で退場する雑魚扱いがほとんどだったが、
AIが作られてからは大会への出演回数も増え始め、タッグではアッパー調整されたライトニングロッドが広範囲に届くため、
こちらの大会のように嵌れば優秀な後衛として活躍している。
特に遠距離ではライトニングロッドを連発するため、視聴者からは切り裂きジャックをもじって、
「切り裂けジャック」と呼ばれることも。

+ ですからー氏製作
  • ですからー氏製作
2022年7月30日公開。
字幕や勝利画面、ヒーローゲージ等、『WHP』の仕様が一通り再現されている。
また、付属テキストに「原作(ワーフェクト)仕様ではありますが、原作再現ではありません」とある通り、
『WHP』の技に加えて原作には無いガードキャンセルが搭載されている他、
GBの『熱闘ワールドヒーローズ2JET』のみの技である「ジーザススラッシャー」も使用可能。
ただし、Most Unbalance氏のジャックに搭載されていた「ジョーズアタック」が未搭載であるなど、全部入りというわけではない。
勝利ポーズはMUGENではボタン押しっぱなしで高速化するのが再現できないためか、デフォルトで高速状態になっている。
AIは11段階に調節可能なものがデフォルトで搭載されており、中々の強さを見せてくれる。
プレイヤー操作

出場大会

+ 一覧
更新停止中
凍結
削除済み

出演ストーリー

プレイヤー操作

実況付きP操作 Tarie配信(343キャラ目操作キャラ、ですからー氏製)


*1
ただし「当時」の警察機構は極めて未熟で、今日のそれとは大きくレベルが異なるものであった事を理解する必要がある。
そもそもスコットランドヤードことロンドン警視庁が設置されたのが1829年。
イギリス人はフランス革命政府が秘密警察で弾圧やってたのを対岸から見てたせいで警察嫌いの傾向が強く、
民間組織に過ぎない自警団で治安維持を行ってきていたのだが、折からの社会不安から治安悪化、テロや暴動の頻発という事態に際して、
政府はようやく首都警察法を制定し、ロンドン警視庁を設置。警官達も薄給で市民達の猜疑心に晒されながら、警棒一つで奮闘。
こうした強い使命感によってスコットランドヤードは高いモラルを持った警察官であるという評判を獲得したのだが、
切り裂きジャック事件発生した1888年はまだ創設から60年ほどであり、ようやく警察が市民に受け入れられ始めた頃であった。

そのためロンドン警視庁の捜査方法というのも現行犯逮捕、状況証拠と目撃証言から目星を付けた容疑者の自白頼み、
つまり「聞き取り」や「足で稼ぐ」といったもので、目撃者がおらず貧民窟故に不審者しか居ないホワイトチャペル地区での捜査は難航。
加えて当時「科学捜査」などという考えは存在しておらず、現場に残された落書きなどの証拠品はあっさり消されてしまったり、
様々な遺留品も野次馬などによって記念品として持ち去られてしまったりといった事態が発生していた。
更には「劇場型の連続猟奇殺人事件」というのは切り裂きジャック事件がおよそ有史以来最初と言っても過言ではなく、
スコットランドヤードの警官達は、全く未知の状況で、手探りで捜査を行わなければならなかった。
切り裂きジャックを捕まえられなかったのはロンドン警視庁の不手際ではあるものの、時代を考えると致し方なかった面も大きい。

小説『シャーロック・ホームズ』のホームズが名探偵として脚光を浴びたのは、こうした時代背景から、
スコットランドヤードの警官達が持ち得ない「物証に基づく科学捜査」という説得力があったからこそなのである。
なお、ホームズ自身は切り裂きジャック事件当時『バスカヴィル家の犬』事件の調査で数日ほどロンドンを離れていたため、
残念ながら「シャーロック・ホームズvs切り裂きジャック」という夢の対決は実現しなかった
(なお作者であるコナン・ドイル氏は「犯人は女性(切り裂きジル)」「服が血で汚れていても怪しまれない助産婦辺り」説を唱えていた。
 余談だがドイル氏は『名探偵コナン』の名前の由来であり、主人公の工藤新一江戸川コナンはシャーロキアン(ホームズ研究科)という設定)。

ただこの『バスカヴィル家の犬』事件中、ホームズは「他の事件で忙しくて手が回らない」という理由でワトソンに先に現地へ向かってもらっているため、
ワトソンが見ていない場面でホームズ対切り裂きジャックが繰り広げられたか、少なくとも調査していたのでは……と考えるファンも多く、
後年になって数々のパスティーシュ(二次創作)が描かれることになり、劇場版『名探偵コナン』でもこの説が採用されている。
そしてシャーロキアンのベアリング・グルード氏によるホームズの伝記『ガス燈に浮かぶその生涯』では、
ホームズが女装して囮捜査を行うもジャックに襲われ昏倒、すかさずワトソンが割って入ってジャックを取り押さえたが、
その正体がホームズとワトソンもよく知る警察関係者であったので、あえて真相を公表すること無く事件を闇に葬った……とされている。
『四つの書名』事件後登場しなくなったからってこれはどうなんだ
一方で「切り裂きジャックには医学(人体解剖)の知識がある」とされる事から(『コナン』や『黒執事』で正体が医者だったのもこの為)、
正体はホームズの親友であるワトソン医師(故に真相を公表すること無く事件を闇に葬った)とする説も存在する。

*2
実際ジャック・ザ・リッパーの前にも、
跳躍力の凄いいたずら者が事件を起こして「ばね足ジャック(Spring Heeled Jack)」と呼ばれ、
1964~1965年に再び娼婦連続殺人事件が発生した際も犯人は「剥ぎ取りジャック(Jack the Stripper)」と呼ばれていた。
似たような扱いの名前としては、ジョンスミスヨハン・シュミット(尤も、この二名は同じ名前を英語読みするか独語読みするかの違いでしかないが)、
現代では一周廻って珍しい名前扱いだが山田太郎や日本太郎等も知られる。
他にも身元不明の遺体に使われるジョン・ドゥもある。

まあ「切り裂き太郎」や「切り裂き権兵衛」では格好がつかないので、「切り裂きジャック」という翻訳で問題は無いだろう。


最終更新:2025年04月13日 13:24