地球侵略を企むゴース星人 *1が連れてきた怪獣。左右の嘴状の口から吐く高熱火炎が武器。
数々の異星人との激闘で体が限界近くまで傷付き、衰弱したモロボシ・ダン= ウルトラセブンの前にタイミング悪く出現。
エメリウム光線が届かず途中で止まってしまうほどエネルギー不足のセブンを苦しめ、
側頭部へのフックでダンになっても残るほどの重傷を与えるが、起死回生の手持ちアイスラッガーによる斬撃により、左手と右足を斬られて倒される。
…が、斬り落とされた片手足を残し、パンドンの姿は忽然と消えるのだった。
後編では切断された個所を機械化した改造パンドンが登場。体重は1万7000トンに増えている。
体調が更に悪化し、もはや死にかけと言っても過言ではないほど衰弱したセブンを苦戦させ、
アイスラッガーを右手でキャッチするという離れ業を見せてそのまま投げ返そうとするが、
宇宙ステーションV3のクラタ隊長による、ウルトラ史に残る名アシストで投げ返すタイミングを狂わされてセブンに余裕を与えてしまい、
投げ返したアイスラッガーの軌道を変えられ、首を切り落とされて倒された。
名前に「改造」と付いてはいるが、実際には単に機械製の義手と義足を装着しただけで、しかも満足に動かせていない。
恐らく、取り敢えず動かせる程度に修繕(というか治療?)しただけだと思われる。
一応アイスラッガーをキャッチできるくらいの頑丈さは手に入れているが、キャッチしたのは上の画像のように生身の右手だったりする。
シリーズ前作のラスボス怪獣と違って目立った武器も特殊能力も持たない上に、
戦った時のセブンが過労で死ぬ寸前のような状態であったため、セブンが万全ならすぐに倒せた怪獣だとか言われている。
とはいえ、実際ゴース星人の切り札はパンドンではなく世界各地を攻撃できる地底ミサイルであり、
これによりパリやモスクワなどといった世界の首都が壊滅的な被害を受けることになる。
つまり、パンドンは地底ミサイルがあるゴース星人の地下基地の護衛かつ迎撃用の怪獣であったため、そこまで強い怪獣ではなかった可能性もある。
敗北後、改造パンドンにされたのも万が一のための保険であったが、セブンと対峙した時には 既に地下基地は破壊されゴース星人は全滅した後だった。
一峰大二による漫画版『ウルトラセブン』では、セブンの あらゆる攻撃による傷を瞬時に回復するという、
ラスボス怪獣に相応しい能力を持っていた。また、見た目も「双頭」であることがやや分かり易くなっている。
TV版同様に命尽きようとしていたセブンを圧倒するも、土壇場で 光の国から送られたエネルギーによって回復したセブンに逆転勝利を決められてしまい、
その直後にゴース星人も基地ごと壊滅させられてしまった。
なお、 劇中では一切名前を呼ばれておらず、本に載せる際に「 バンドン」という名前が設定されたのだが、
誤植で「 パンドン」になってしまい、それがそのまま公式設定になったという逸話がある。
ちなみに『ウルトラセブン』の主題歌中に 「倒せ 火を吐く大怪獣」というのがあるが、
実際に作中に出てきた 「怪獣」の中で火を吐くのはこいつだけだったりする。
また初期のデザインでは同じ双頭でも 首が二つに分かれている分かりやすいデザインであり、実際にそのようなスーツも作られていたのだが、
最終的に当時の技術で二つの首を同時に動かすのは難しいと判断されたために現在のデザインになったという
(首から下が岩肌やウロコのような質感なのに対して頭だけが棘のような物で覆われているのも、後から改造した箇所をカバーするため)。
どうもデザインを担当した池谷氏には無断だったらしく、後年のインタビューでは改修後の造形は気に入らなかったと述べている。
カラータイマーの件といいスペル星人の件といい、デザイナーと現場が対立するのは昭和ウルトラにはよくある出来事であった。
平成ウルトラセブンの最終作『“EVOLUTION”5部作』では、この初期デザインを元にした「ネオパンドン」が登場。
こちらの別名は「双頭合成獣」。身長:60メートル、体重:6万4千トン。身長は1.5倍だが体重は4倍以上に増えた。どうなってるんだ。
初代パンドンの遺伝子から作られた怪獣で、一度は半殺しにされパンドンにトラウマを持つ対セブン用に黒幕であるガルト星人が投入した。
初代と同じように双頭から炎を吐き、アイスラッガーを受け止める反射神経と頑丈さを持つ。
狙い通りセブンを苦しめるも、悪意に反応してパンドンの戦闘能力を増幅させるコントローラーが、
悪意を持たない生命体の手に渡ったことで大幅に弱体化し、その隙を突かれて新技「ウルトラクロスアタッカー」で倒された。
映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』では、同じく初期デザインが元の 「キングパンドン」が登場する。
身長:63メートル、体重:6万8千トン。こちらの別名は初代と同じ「双頭怪獣」。
ぱっと見はネオパンドンと同じように見えるのだが、顔やトゲの数などが若干違っている。
スーパーヒッポリト星人によって『超8兄弟』世界の横浜に送り込まれ、本来の世界からこの世界に渡っていた ウルトラマンメビウスと交戦。
口から吐く火炎弾と光線の猛烈な 弾幕で激闘を繰り広げ敗れるが、
その目的はスーパーヒッポリト星人がメビウスをヒッポリトカプセルでブロンズ像にするための囮であり、本来の目的自体は完遂した。
余談だがキングパンドンが現れた時、 ダイゴはほぼ即座にその怪獣がパンドンだと見抜いていた。
明らかにあの赤トンカツと似てないのに何故分かったのかは不明である。あれか、体か?
もしくは『超8兄弟』の世界のウルトラセブンでは、パンドンは赤トンカツじゃなくこっちだったか。
ダイゴが没デザインを知っていたという可能性は…無くはないけどちょっと苦しいか。
まぁ所謂 映像補正の可能性もある。 初代ウルトラマンだって顔が2回変わってるし。
と言うかウルトラマンと ニセウルトラマンが同じに見える世界なら同じに見えても不思議ではない。
後年のメビウスのサコミズ隊長はゾフィー補正があるのでノーカン
映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、ウルトラマンベリアルに操られる怪獣の一体としてキングパンドンが登場。
セブンとも戦いを繰り広げたが、最後は ウルトラマンゼロに倒された。
なお、初代パンドンやネオパンドンも百体怪獣ベリュドラを構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
『ウルトラマン列伝』39話では、 バット星人率いる怪獣兵器の一体としてキングパンドンが登場。
ハイパーゼットンの体内から放出された スフィアから生み出され、ウルトラセブンと戦っている。
スフィアの名残やパイプの追加など気ぐるみに改修が行われている。
この怪獣兵器のシーンは元々映画『ウルトラマンサーガ』のNGシーンだったが、
テレビ放映で同映画との連動企画という形で無事日の目を見ることとなった。
この話、怪獣兵器対ウルトラ兄弟のシーンが短いので繋ぎとして、元になった怪獣達の強さを振り返るという内容だったのだが、
パンドンだけ強い怪獣だというフォローが無かった……。
『 ウルトラマンオーブ』では 火ノ魔王獣・マガパンドンが登場したほか、
マガオロチの尾をベースに、ゼットンとパンドンの力を融合させた 合体魔王獣ゼッパンドンも登場
(勘違いされがちだが、ゼットン共々合体しているのは魔王獣ではなく原種の方)。
オーブのライバル・ジャグラーが一体化して操ることで狡猾な戦い方をも身に付けており、直前の戦いでサンダーブレスターの力を持て余した挙句、
救うべき相手を傷付けるという大失態を演じたためにメンタルの面で絶不調にあったオーブを畳みかけるように苦しめた。
そしてオーブの真の姿、オーブ・オリジン復活の糧となって華々しく散った。ジャグラーェ…
劇場版『ウルトラマンオーブ 絆の力、お借りします!』ではパンドン自体は登場しなかったものの、
ジャグラーがオーブを助けるべくゼッパンドンにフュージョンアップする際、初代パンドンが演出として登場。
オーブのフュージョンアップを模した演出もあり、ジャグラーの動きに合わせてポーズを取るパンドン(とゼットン)はかなりシリアスな笑いを演出していた。
『ウルトラマンタイガ』では50年以上ぶりに原種のパンドンが登場。
マガパンドンの改造のためか、オリジナルとややディテールが異なっている。
こちらでもゴース星人が連れてきていた。
『 ウルトラマンデッカー』では映像作品で初となる幼体の姿が登場。
当初は「スピニー」と呼ばれていたが、成長した姿を見たリュウモンがパンドンの名前を知っていたため過去にも出現例があったと思われる。
かつてパンドンを使役するはずだった宇宙人により地中に幼体とパワーアップ用の鉱石がリザーブされていたものが、
スフィア事変で手付かずのまま放置されていた所で地震の影響により図らずも覚醒したらしい。
発見直後から捕獲作戦が試みられたもののそれを巧みに回避し、やがて危険を察知すると嘴から火炎を放って攻撃するようになったため、
危険と判断されて駆除作戦に移行されるが、地層の裂け目に落ちた後、ゴースド鉱石の影響で成体と化した。
裂け目から漏れ出るゴースド鉱石のエネルギーでパワーアップし、炎の竜巻を起こす新技でデッカーの左腕を負傷させるが、
ダイナミックタイプに変身したデッカーのウルトラデュアルソードとデッカーシールドカリバーによる連撃で倒された。
ただし、この個体は危険度こそ高かったが侵略の意図はなく、幼体の頃から追い回される目に遭ったため地球人を敵視するに至ったのであり、
ある意味パンドンにとっても覚醒したことは不幸な事故であったと言える。
加えて、この時のパンドンの境遇と態度にカナタはアガムスと重なるものを感じて、リュウモン達とのやり取りで多少は気を取り直したものの、
未来でアガムスとバズド星人の身に起きたという「悲劇」について、しばらく漠然とした不安感を引きずることになった。
漫画『ウルトラ忍法帖』の作者、御堂カズヒコ氏のお気に入り怪獣でもある。
漫画内では、ご飯の上に食パン乗せた料理「パン丼」を料理屋に作らせるなど、意味不明の悪事を働いていた。
だが、パンドン登場エピソードは実質的に「カラータイマーが鳴り始めてしまったウルトラマンをどうするのか」という内容の話 *2なので、
パンドン本人の戦闘描写も無く、むしろ何とかウルトラマンのカラータイマーを止めるべく奮闘する良い人ポジションだったりする。
当然、ウルトラセブンとの絡みも特に無し。善人として登場したのはある意味印象深いが、愛されてるのかいないのか微妙な立ち位置である。
この時死ななかった(戦わなかった)ために後に再登場するが、冒頭に2色カラーページをもらった回で、
自身は赤い体色なのに登場は白黒ページのみということで「打ち合わせではカラーページに出られるって話だった」と落ち込んでおり、
冥府羅州烈風斎によって塗り絵企画になっていた(ちなみに本当に読者から塗られた絵が送られてきた)。
今回は爆発するパンを投げて普通に戦っていたが、やはり根が善人なのか冥府羅州が薬を盛って赤ん坊にしたマンとレオに攻撃できず、
最後は自身も薬入りジュースを浴びせられて赤ん坊になった。
ちなみにこの漫画では怪獣の名前は全て漢字表記だが、パンドンは 「犯゜鈍」と、漢字に半濁点という凄まじくシュールな表現になっている。
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