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フロド・バギンズ


"I will take the Ring to Mordor! Though…I do not know the way."

(僕が指輪を捨てに行く。でも道が分からない)

+ 日本語吹替声優
大滝進矢
『指輪物語』(ソフト版)
池水通洋
『指輪物語』(劇場公開版)
浪川大輔
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ

ややこしいので解説するとこの『指輪物語』は1978年に制作されたアニメ映画版で、
『ロード・オブ・ザ・リング』は2001年から制作された実写映画版である。
アニメ映画版の英語声優は英国で俳優兼ミュージシャンとして活動しているクリストファー・ガードで、
大滝・池水両名はその吹き替えを担当した形になる。

大滝氏は『クレヨンしんちゃん』の劇中劇『カンタム・ロボ』の主人公兼主役ロボのカンタムの声優といえばピンと来やすいだろう。
他には富野由悠季監督のロボットアニメ『戦闘メカ ザブングル』の主人公メロンジロン・アモス役(当時は旧芸名の「小滝進」名義)等が比較的有名か。
あと『ガンダムΖΖ』のハゲことアリアス・モマとか、『テッカマンブレード』の真空管ハゲことコルベット長官とか

浪川氏は『テニスの王子様』の鳳長太郎や『ハイキュー!!』の及川徹、
『わがまま☆フェアリー ミルモでポン! ちゃあみんぐ』の結木摂、
ルパン三世』の石川五ェ門(アニメ初代作の大塚周夫氏、2作目以降の井上真樹夫氏に次ぐ三代目の担当)等の声優だが、
吹替分野でも『ターミネーター2』のジョン・コナーや、
『スター・ウォーズ』シリーズでは青年時代のアナキン・スカイウォーカーを担当したり等、
浪川氏といえば本作を含めた吹替声優としての方が著名かもしれない事だろう。

J・R・R・トールキンの小説『指輪物語』の主人公。
「ホビット」*1という小人種族で、指輪の仲間の一人。
一つの指輪の重荷を担い、火山にある裂け目「滅びの罅裂」を目指した指輪所持者。

『ホビットの冒険』の主人公「ビルボ・バギンズ」の養子で、『指輪物語』開始時に33歳、旅立ちの時に51歳。
ホビットは人間(マン。現実世界の我々とほぼ同じ種族)よりも寿命が長く(約2倍)老化もゆっくりのため、
33歳時点では成人したての若者であり、51歳は人間の30代くらいの感覚。
ビルボとの年齢差は78歳。

ビルボとの関係は厳密には「伯父と甥」ではなく「養父と養子」、遠縁の親戚である。
「フロドの母の、母方のいとこがビルボ、また、フロドの父の父方の再従兄弟がビルボ」ということになる。
『ホビットの冒険』を経てホビット庄に帰郷し、袋小路屋敷の主という地元の名士になったビルボは、
両親を事故で亡くした幼いフロドを哀れに思い、自身の後継者として引き取ると、実の親子か兄弟のように仲良く過ごした。
そして111歳の誕生日に姿を消したビルボから袋小路屋敷の財産と共に、彼が前の冒険で手に入れた魔法の短剣「つらぬき丸」*2と「ミスリルの胴着」と、
やはりその冒険で手に入れた姿を隠す魔法を秘めた「魔法の指輪」を相続する事になる。
やがて魔法使い・ガンダルフによってその指輪が冥王サウロンの失われた「一つの指輪」(平たく言うと「呪われたアイテム」)であることが明らかになると、
指輪を破壊する必要が分かったが、並大抵の方法では破壊不能の指輪を唯一溶かせる火山の火口に投棄するためホビット庄から友人達と共に旅立ち、
やがて「旅の仲間」達と共に指輪廃滅の冒険へ挑む。

性格は非常に聡明であり、若かりし頃のビルボと違ってしっかりとした責任感のある人物。
元ホビットのストゥア族・ゴクリ(ゴラム)の一件では、ガンダルフから伝えられた慈悲の心を示すと共に威厳あるいかめしい姿も見せた。
ビルボからはエルフ語を教わると共に、エルフとの交友方法などを学んだエルフの友であり、
エルフ語の一つである「クウェンヤ」など、上古の知識にも一部通じている。

指輪戦争の終結後、ビルボから西境の赤表紙本を引き継いで、指輪戦争の記録を主に執筆すると共に伝承集編纂の仕上げをする。
だが、指輪破壊の任務で受けた傷は中つ国では癒えることがなく、
旅の仲間であるホビットの一人であるサムワイズ・ギャムジー(以下「サム」)に全ての財産を遺すと、第三紀の終わりに西方へと去っていった*3
その後ビルボ、フロドから引き継いだ赤表紙本をサムもまた子孫へと継承していき、
長い歳月の果てにトールキンの手によって人間の言葉に翻訳された赤表紙本こそ、我々の手に届いた『指輪物語』なのである。

+ 実写映画版を中心とした指輪廃棄の旅路
映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ及び『ホビット 思いがけない冒険』に登場。
実写映画シリーズでの演者はイライジャ・ウッド氏。

原作ではビルボの別れの宴からフロドがホビット庄を旅立つまで18年が経過しており、
フロドの年齢も51歳の中年であるが、映画ではこの18年が短縮されており年齢設定も青年であるという大きな違いがある。
そのためか、原作にあった年功者として自主性を発揮する場面のほとんどが割愛されており、
受け身の主人公との印象が強くなっているが、それでもやはり主人公として指輪を所持しての旅が描かれている。

『旅の仲間』ではビルボが111歳の誕生日に姿を消すと共に、ガンダルフに促されて指輪を持って急遽旅立つ事になる。
従者のサム、友人のメリーとピピンといったホビットの仲間と共にエルフの暮らす"裂け谷"を目指す事になるが、
その道中ではあまり危機感がなく、旅の同行者となった"馳夫"アラゴルンの助けがなければあわや全滅という場面もしばしば。
追手として放たれたサウロンの下僕の内で最も強力な存在、いにしえの指輪の王の亡霊であるナズグル達には全く抵抗できず、
風見が丘では無抵抗に刺されており、裂け谷の南西にあるブルイネンの浅瀬では傷のせいで前後不覚となったフロドに代わり、
半エルフの女性アルウェンが川を挟んで対峙しているなど、実質ほぼ巻き込まれ主人公。

しかし裂け谷に辿り着き、そこで指輪の正体、どうにかして破壊しなければならない事などを知らされると、
指輪の処遇を巡った会議の参加者が口論する中で、自ら指輪廃棄の旅に名乗りを上げる。
サウロンの項目でも解説されているが、指輪の魔力というのは人類最高の勇者ですら容易く絡め取るほど恐ろしいものであり、
それに屈することなく裂け谷まで辿り着いたばかりか、さらに滅びの山まで旅する事を誓う姿には、
エルフ王エルロンドですら「ホビットとは見上げた種族だ」と称するほどであった。

その後、ビルボから改めてつらぬき丸、そして彼がかつて五軍の合戦で着用したエルフの王子の鎖帷子を受け継ぎ、
裂け谷で結成された「旅の仲間」と共に、サウロンの本拠地であり唯一指輪を滅ぼせるモルドールの滅びの山を目指して出発。
モリアの地下道でドワーフ氏族(『ホビットの冒険』でビルボと共に戦ったドワーフも含まれている)を滅ぼしたオークの襲撃を受け、
その激しい戦いの中でガンダルフが落命。
さらに信頼し尊敬し親身になって面倒を見てくれていたボロミアが指輪の魔力に屈する様を目撃、大いにショックを受ける。
戸田奈津子女史による無茶苦茶な字幕でボロミアが私欲で裏切ってフロドがキレたように改悪されちゃったので日本語字幕担当者交代騒動が起きた
ボロミアが辛うじて自我を取り戻し、敵の襲撃から命を捨てて自分を助けてくれた事で生きながらえたフロドだが、
これ以上他の誰かを巻き込むわけにはいかないと、サムと共に二人で滅びの山を目指すため、旅の仲間と別れる。
一方残された旅の仲間のリーダーとなったアラゴルンは、フロドとサムから敵の目を逸らすため、
英雄的な活躍をして陽動することでサウロンの気を引く事を決意する。

『二つの塔』では、モルドールを目指して旅をする中でかつての指輪所持者ゴラム(ゴクリ)と遭遇。
モルドールの地理に明るい彼を従者とするが、原作と違ってゴラムに威厳をもって接する姿は描かれておらず、
むしろ哀れに思い慈悲深く手を差し伸べる人物としての姿が強調されている。
ゴラムの案内で危険な死者の沼を通り抜けるルートを選んでモルドールの国境である黒門を目指すも、
道中でモルドールを偵察しにきたゴンドールの騎士にしてボロミアの弟であるファラミアに発見されてしまい、
指輪を廃棄せずサウロンに対抗するために使うべきと考える彼によって、城塞都市オスギリアスへ連行される。
そこでナズグルに襲われ、指輪の魔力に屈しそうになりながらも必死になって抗う姿を見せたことで、
ファラミアはフロドの事を認めて彼らを解放、モルドールへと送り出される。

『王の帰還』ではとうとう指輪の魅力に屈して邪悪な心の蘇ったゴラムが仲間割れを画策した事により、
エルフの携行保存食・レンバスを食い尽くされ、その食べかすをつけられたサムに失望するという独自の展開になる。
サムはゴラムを疑い、一方でフロドはゴラムを庇ったため結局彼らは仲違いし、フロドは一人で滅びの山へ向かう事に。
その道中でオーク、そして邪悪な蜘蛛シェロブの襲撃を受けて瀕死の重傷を負ってしまい、
後を追ってきたサムに救われた事で二人は和解、サムに背負われる形で再び二人で滅びの山を目指す。

しかし滅びの山の山頂に辿り着いた時、ついに衰弱したフロドは指輪の魔力に敗れて「指輪は僕のものだ!」と叫んでしまう。
だが次の瞬間、指輪を付け狙うゴラムによって左手の人差し指を食いちぎられて指輪を奪われ、
ゴラムから取り返そうともみ合っている内にはずみでゴラムと指輪が火口へ落下。
フロドも危うく落ちかけるが、サムによって引き上げられ、九死に一生を得る。
結果的にゴラムというホビットによって一つの指輪は滅ぼされる形になり、
かつてゴラムを殺さなかったビルボ、そしてゴラムを殺さずに共に歩んできたフロドの慈悲の心こそが、
冥王サウロンを滅ぼすに至ったのである。

原作ではその後、見る影もなく落ちぶれた魔法使いサルマンの一派がホビット庄を襲撃して占領する事件があり、
これを辛うじて帰還したフロド達が退ける一幕が描かれるが、映画版ではこの展開はカットされたため、
懐かしの故郷に帰って数年の余生を過ごした後、仲間達に見送られて西の海へと旅立っていった。

『ホビット 思いがけない冒険』は前日譚であるため、基本的には登場しないのだが、
作中でビルボの111歳の誕生日の日、袋小路屋敷からガンダルフを迎えに出て行く場面が描かれており、
『ロード・オブ・ザ・リング』第1作の冒頭と繋がるようになっている。
そして最終作『ホビット 決戦のゆくえ』ではガンダルフがビルボの元を訪れる場面で幕を下ろし、
物語は『ロード・オブ・ザ・リング』へと続いていくのであった。

(以上、中つ国wikiより引用・改変)


ゲームにおけるフロド・バギンズ

軍人将棋のようなボードゲーム『指環物語 対決(Lord of the Rings The Confrontation)』においては、
主人公だけあって「取られたら自軍が負け」という無茶苦茶重要なポジションを与えられている。
このゲームは原作通りにフロドが火口に指輪を捨てれば(フロドの駒がサウロン軍の拠点の火口マスに突入)サウロンの負け、
逆にフロドを倒し指輪を奪い返したらサウロンの勝ちというルール
(後述の理由でサウロン軍の詰み防止に「サウロン軍拠点から見て一番向こうのホビット庄に自軍が3名突入するとフロドがどこにいようがサウロンの勝ち」
 というものもある)。
そして本作は駒によって強さが設定されているのだが、フロドは「1」と下から2番目タイの弱さ。
だが、フロドには指輪の透明化能力があるので「攻撃されると戦闘を始める前に横のマスに回避」ができ、本作では一部の駒を除き斜め前にしか進めないので、
「一部の駒を除き自力でフロドは倒せず、さらに攻撃後一部を除きその駒はフロドの方に進めないので実質無力化」という超凶悪な能力を持っている
(フロドを逃がさず攻撃する方法は「フロド側が先に攻撃してくる」「左右をサウロン軍の駒で包囲」「横移動が禁止の霜降り山脈通過中を攻撃」
 「相手の能力を無効化するワーグで攻撃」のいずれか)。
他にもフロド自身の能力ではないが、
「サム(強さ2)はフロドと一緒(本作は味方なら同じマスに2つの駒が入れる)の時のみ強さが5に上昇し、
 敵はフロドの駒を攻撃対象に選べなくなる(サム撃破後にフロド攻撃はできる)」
という、原作で仲間のサムがフロドを守ってくれた描写の再現なども本作には存在する。

格闘ゲームにおいては、映画『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』をベースにした怪しげな海賊版ゲームに参戦している。
正確にはカプコンのベルトアクションゲーム『天地を喰らう2』をベースにした海賊版格闘ゲームのそのまたハックソフトであり、
ベースとなっているのは同作の趙雲。……というか、ぶっちゃけフロドの皮を被った趙雲
つらぬき丸らしき短剣(というにはデカすぎる気もするが)を装備しており、
衝撃波を蹴り放つ飛び道具や、趙雲譲りの昇龍拳チックな対空斬りといった必殺技
まんま趙雲のメガクラッシュ高速で剣を振り回す超必殺技を持つ。
あと、元ゲー由来なのか妙にテンションが高く、対空斬りでは「ヒョオォォォーーウッ!」
超必殺技では「ウオ↑リヤアアァァァァ!!」と甲高い声でシャウトするのでちょっと怖い。ホビットじゃなくて別の種族かもしれない
プレイ動画(13:23~)


MUGENにおけるフロド・バギンズ

The Magic Toaster氏による前述の海賊版ゲームのドットを用いたものが存在。
操作方法はシンプルな2ボタン方式で、原作ゲームの技や演出を一通り搭載している他、
ステージ内のランダムな位置にアイテムが出現し、敵味方問わず拾って回復可能という特殊システムも再現されている。

全体的に火力が高く、特に超必殺技はフルヒットで約4.5割、発生も早くコンボに組み込めるので非常に強力。
通常技を1回振るごとに0.25ゲージ溜まるという異様なゲージ回収力と相まって、かなり恐ろしい技と化している。
……が、真に恐るべきは画面端に追い込んで連発するとヒットバックが無くなり、お手軽永久が完成する立ち強攻撃だったりする。
AIは搭載されていない。


"I'm glad to be with you, Samwise Gamgee,
 here at the end of all things."

(お前がいてくれて良かったよ、サム。全てが終わりを告げる、今)

出場大会

  • 「[大会] [フロド・バギンズ]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
本作オリジナルの種族(エルフやドワーフも本作オリジナルと言って良いレベルだが、ホビットとは違い名称自体は昔から存在していた)。
由来は「home」+「rabbit」という説が広まっているものの、トールキン本人は否定している。
ドラゴンクエスト』シリーズだと、ファミコン時代は容量の関係で「ワ」が使えなかった事から、
ドワーフをホビットと名付けられていた。
現在はトールキン財団の版権管理が厳しくなったためか、後の新作やリメイクではドワーフに改められている他、
VI』初登場のモンスター「ダークホビット」も『タクト』以降は「ダークポックル」に改名されている。
同様の理由で他作品でも、
  • ハーフリング
    (『D&D』。英語で「(人間と比べて背丈が)半分の人」という意味で『指輪物語』でもホビットの別名(和訳:小さい人)としても使われていた)
  • グラスランナー
    (『ロードス島戦記』。英語で「草原を駆ける者」。
         D&Dルールを使っていた時代はハーフリングであり、「ハーフリング、ハーフリング、ヤホー、ヤホー」(CMソングの替え歌)なんて歌っていた)
  • パルゥム族
    (『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』。初版ではホビット族だったが、改名された)
  • ボビット
    (『ウルティマ』。綴りはBobbit。『ウルティマ4』から人間以外の種族はPCからいなくなり、存在はほぼ消えた)
  • ホブやホビー
    (『ウィザードリィ』。2000年代までは「ホビット」をそのまま使っていたのだが、流石に近年は改名された。ハーフリング名義の作品もある。
         だがゲーム中では略語として英字表記の頭文字3文字(HOBBIT→HOB)で表記される場合が多く、「HOB」表記だけは意地でも守り抜いている。
         流石はこちらも老舗の伝統)
  • 圃人(レーア)ほびとみたいなアレって事スか(『ブレイド&バスタード』。『ゴブリンスレイヤー』合わせ)
といった形で様々な名前が設定されており、製作者達の苦心が窺える。
こうした諸々から『ダンジョン飯』では「ハーフフット族にも固有の種族名はあるけど人族の言葉では口にするのが憚られる単語だった」とネタにされる始末。
まぁ『D&D』のハーフリングも言葉の由来からして「共通語(人間語)」だと思われるので「ハーフリング語」による種族名があるはずである
(『指輪物語』のホビットは人間の事を逆に「大きい人」と呼んでいる。
 またこの手のネタとして「ハーフエルフはエルフ語だとハーフヒューマン」
 「ドワーフがハーフエルフと呼んでいる相手と会ってみたら、ドワーフとエルフのハーフだった」なんてのがある)。

*2
『ホビットの冒険』にてトロルの洞穴で発見されたエルフ作りの名剣。
後のガンダルフの佩剣「グラムドリング」、同じくドワーフ王トーリンの佩剣となった「オルクリスト」という、名だたる名剣と共に発見され、
長剣だった前二つと異なり短剣であり、ホビット族のビルボが振るうには最適だったため彼の佩剣となる。
他二振りと異なり元は無銘の短剣だったが、闇の森で蜘蛛を撃退した時に「つらぬき丸(原語版では「Sting」)」と命名された。
老いたビルボの力でも木の梁に深々と突き刺せる程の鋭さを持ち、『指輪物語』でも再び大蜘蛛討伐に活躍するなど、度々その刃の冴えを披露した。
更に、オークの接近を感知すると青く光って警告する魔法の力も秘めている。

なお「つらぬき丸」という名前は、トールキンが各語版に翻訳する際「エルフ語以外はその国の平易な言葉で翻訳して欲しい」という意向を伝えていたため。
なのでなっちを擁護するわけじゃないが「Strider(アメンボのような長足で野を馳せる者)」を「韋駄天」と訳したのも誤訳じゃないのである。他が酷すぎたけど
前述の二振りの宝剣も、エルフ語の銘とは別に他種族から付けられた異名をそれぞれ持っており、
グラムドリング(敵を打ち砕くもの)は「なぐり丸(Beater)」、オルクリスト(ゴブリンを引き裂くもの)は「かみつき丸(Biter)」の別名を持つ。
ガンダルフが金属バット持ってガンと「!?」飛ばしてるヤンキー爺みたいになる噴飯ものの異名だが、原作者の意向なので…ええ…

映画版の『ロード・オブ・ザ・リング』では、前日譚の『ホビット』時点では彫られていなかったエルフ語の言葉が刀身に刻まれており、
Maegnas aen estar nín - dagnir in yngyl im(マイグナス アエン エスタール ニーン - ダグニル イン インギル イム)
即ち「マイグナス(貫くもの)と呼ばれし、我は蜘蛛殺し」と、ビルボの冒険を経て、正式にエルフ語の銘が与えられている。
「何者でもなかったホビットの若者が、自らの意思で何者かになっていく」という『ホビットの冒険』のテーマの一つを踏まえると、
忘れ去られた無名の短剣が、指輪戦争を通して比類なき活躍を見せ、歴史に名を残す名剣となっていった事は、特筆すべきポイントである。

*3
中つ国の西方の海の彼方には、エルフと神々の住まう安息の地、不滅の至福の国「アマン」が存在しており、
この世でやるべき事を終えた人々は、比喩ではなく物理的に西方へと船出していく場面が見られた。
所謂「西方浄土」「補陀落渡海」を西洋ファンタジー的に翻案したような独特の世界観である。

またサムもフロドの従者、そして庭師という立場および田舎者っぽい口調に翻訳されたため誤解されがちだが
バギンズ家(袋小路屋敷)の内外の管理を一手に担ったいわば執事、使用人頭といった重要な役職に近い人物。
さらにフロドの旅に最初から最後まで同行し、終盤ではフロドに変わって一時的に指輪保有者になるなどの活躍を見せ、
「勇者サムワイズがいなければ自分の旅は続かなかった」と太鼓判を押されるほどの、もう一人の主人公である。


最終更新:2026年06月30日 13:15