ドリッズト・ドゥアーデン


世界初のRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(厳密には『アドバンスドD&D』。ただし2000年以降は無印が『クラシック』、アドバンスドが無印になっている)
の背景世界の一つ「フォーゴトン・レルム」を舞台にしたファンタジー小説『ダークエルフ物語』(R・A・サルバトーレ著)の主人公。
ちょっと言い辛いが「ドリッズド」ではなく「ドリッズト」である。もしかしませんからね、Google先生。


略歴

「アンダーダーク」と呼ばれる地下世界で、邪悪なる女神ロルスを信奉するダークエルフの分家・ドゥアーデン家の三男として生まれる。
しかしそのような邪悪な一族において、むしろ善良な心に育った彼は裏切りと覇権闘争を繰り返す同族に嫌気が差し、
故郷メンゾベランザンを出奔するが、離反者を許さぬ一族からは執拗に刺客が送られ、孤独な逃亡の日々を余儀なくされていく。
追っ手を撃退しつつもやがて地上世界にたどり着くが、
アンダーダークでも悪名高いダークエルフは、地上においてはもはや魔物の類としか見られず排斥されながらも、
更なる逃亡の末に北方の辺境アイスウィンド・デールへと落ち延びる。
そこで失明した野伏モントリオの元に身を潜めつつ、レンジャーの技術を身に着けていった。
やがて偏見から来る誤解も乗り越え蛮人ウルフガー、ドワーフの戦士ブルーノーらなどと仲間として絆を結び、彼らと共に冒険へ旅立っていく。

シミターをで使いこなす剣術の腕に加え、魔術も会得している魔法戦士。
しかし同族との戦いには苦悩しており、
刺客の中には実の父で剣術の師匠でもあるザクネイフィン(しかも生ける死者と化した)もいたとなれば、
その苦悩も推して知るべしであろう。

作者サルバトーレのお気に入りキャラであり、同時にD&Dの最大人気キャラ。
ゲーム本編でのクラスとしてのレンジャーにも彼の影響が色濃く見える。*1
『ダークエルフ物語』は続編にあたる『アイスウィンド・サーガ』も含め日本でも何作か翻訳されている。

+ダークエルフについて。Wikipediaより一部加除
特殊なエルフの種族としてダークエルフ(闇エルフ)を登場させている物語やRPGは少なくない。
そのような作品では、普通のエルフは光や善、秩序の体現者、ダークエルフは闇や悪、混沌の体現者と定義されていることが多い。
容姿については、ほぼエルフと同じだが肌の色だけが漆黒(あるいは褐色など)であるとするのが典型的であり、
性におおらかでエルフより豊満な肉体で描かれることも多い(特に女性が顕著で「貧乳のエルフ」と「グンバツのダークエルフ」と描き分けられる)。
そして大抵は、普通のエルフと強く敵対する存在だが、エルフと同等の能力や洗練された文化を持つものとされる。

このようなダークエルフの起源は、恐らくはTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』であると思われる。
このゲームに登場するダークエルフは「ドラウ・エルフ(堕落したエルフ)」とも呼ばれ、ほぼ先に述べた通りの存在とされている。

ダンジョンズ&ドラゴンズを世界背景に採用した小説「アイスウィンド・サーガ」「ダークエルフ物語」では、
ダークエルフとしては例外的に善良な心を持つキャラクターが主人公として登場。
「ドラゴンランス」シリーズや「ソード・ワールドRPG」シリーズなどにも同様のダークエルフが登場し、
やはり暗殺者や悪しき魔術師、ライバルのパートナー等、敵側の存在として描かれている。

なお現代では、ファンタジー作品に「悪の存在」として肌の黒いダークエルフを登場させることは、
現実世界における有色人種差別を連想させるものとして批判されることもある
そのため、昔と比べると肌の色が青や白(白人の肌の色(実際は血が透けて薄紅色)ではなく、正真正銘の白)なダークエルフが登場する作品が多い。
古い(勿論『D&D』よりは新しい)日本製TRPG『光と闇のレジェンド』(少女マンガ誌発のTRPGなのでマイナー作品だが)では、
「光の一族こそ日に焼けて真っ黒」「闇の一族は日に焼けず病的に青白い」と言うのがあったが、
ダークエルフの新しい肌の色に青や白が選ばれたのは同じ考えなのだろうか?
(ただし『光と闇のレジェンド』での闇の一族はひきこもり陰気ではあっても邪悪ではない)

また、近代ファンタジーの祖である『指輪物語』にもダークエルフがいるが、こちらは別段邪悪でも何でもない。
これは作中で太陽の無かった時代、「至福の国」へ旅をして「輝く木」を見たものが光の下(地上)に住み、
見なかったものは太陽が生まれた後も暗闇(地下)に住むようになった。
要するに、住んでいる場所による区別だったりする。トロールは日の光を浴びると石化するが
ついでに言うと指輪世界でのオークの起源は、邪悪な存在により堕落させられたエルフである。
先述のドラウ・エルフとの類似を感じさせる設定で、ダークエルフの亜種(?)とも言えなくもない。

変わった例として、PS2のRPG『ラジアータストーリー』のダークエルフは人間とライトエルフのハーフを始祖としており、
つまりは一般的にはハーフエルフと呼ばれる種族に近い設定となっている。
こうした出自のため、人間を排斥しようとする傾向にあるライトエルフよりは話の分かる者が多かったり、
村を治める長老がライトエルフだったりと、他のファンタジー作品のダークエルフと大分毛色の違うものになっている。

なおドリッズトの影響を受けたプレイヤー達は、当然のように彼に憧れ、同じように善なるダークエルフのPCを作って遊ぶようになった。
また時流として「ダークエルフという種族そのものを邪悪とするのは如何なものか」という風潮もあったのだろうが、
そうした英雄志願者たるPCダークエルフ達の存在は、公式が無視するにはあまりにも多すぎたのだろう。
結果、『D&D』の舞台となる幾つかの次元では、徐々に「ダークエルフの帝国から離れた善良なるダークエルフ」が世界観に組み込まれるようになった。
邪悪なのはダークエルフの「帝国」であって、そうではないダークエルフも確かに存在するのだと、世界の人々は知りつつある。
たった一人の英雄の戦いが、種族の在り方そのものを変えたのだ。
その点において、ドリッズトが偉大な英雄であることに、間違いはないと言えよう。


MUGENにおけるドリッズト・ドゥアーデン

スラッシュを改変したと思しきLord Skiff氏製作のものが存在していた。
現在はDL先のデータが消失しており正規入手不可。
そこそこ戦えるAIがデフォルトで搭載されている。
必殺技で画面のフラッシュを多用する技があり少々目に悪い。

出場大会



*1
日本のRPGで「レンジャー」というとスーパー戦隊ロビン・フッドやウィリアム・テルみたいな「森の弓使い」と言ったイメージだが、
『D&D』第3版までは飛び道具に特化するどころか近接で二刀流がデフォであった。
しかし二刀流は逆手の攻撃力がいまひとつ小さいのはともかくとして、レンジャーの防具は通常皮鎧に限られており(D&Dではたびびとのふくに防御力は無い)、
ルール簡略化の為に回避力と貫通判定(『D&D』の鎧は攻撃を100%弾くか100%貫かれるかの二択であり、ダメージ軽減効果は無い)が一纏めにされた結果、
重装備の方が回避力が高くなると言う「回避力重視の軽戦士」の作成は不可能なルールの為、軽装なレンジャーが前衛で戦うのは危険が危ない
(一応、盗賊や魔術師とは違って金属鎧の装備自体は可能だが、その間は二刀流を含めた肉体系レンジャー技能を使えなくなるため、結局は劣化戦士でしかない)。
と言った感じで当時は不遇クラスの一つとも言われていた。
後に開発スタッフの一人が「レンジャーは弓だろ…常識的に考えて」とばかりに自サイトで公開していたハウスルールが流布するようになって、
本家でもルール改定後の3.5版からは飛び道具に特化できるようになった。勿論、二刀流の選択肢も残されている。

一応、レベルが高くなると初歩的な信仰呪文(クレリックの呪文)を使えるようになると言う特典はある。
細かく言うと自然崇拝のドルイド系呪文(なので金属鎧を着ると使えなくなる)であって、神に仕えるクレリックとは呪文が微妙に異なる。
え、ドルイドにだって仕える神はいるって?あくまでも『D&D』(と同作の影響を受けた創作物)における設定だから気にするな!
(ぶっちゃければ「キリスト教徒からはそう見えた」と言うだけの話であり、日本の「八百万の神」信仰も同じ扱いを受ける事がある)


最終更新:2021年10月18日 13:35
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