牡牛座のアルデバラン


「勝手にこの金牛宮をとおりぬけることはゆるさん!
 この牡牛座のアルデバランがな!!」

「フッ、たかが青銅聖衣を相手に露骨なファイティングポーズをとる必要もあるまい。
 このままでも十分おまえをたおせるわ!」

+ 担当声優
玄田哲章
作品全般
小山力也
『LEGEND of SANCTUARY』

『週刊少年ジャンプ』で連載されていた車田正美氏の漫画『聖闘士星矢(セイントセイヤ)』の登場人物。
「牡牛座」は「タウラス」と読む。
ちなみに、アルデバランは牡牛座の中で一番明るい恒星が由来で、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のリゲル、ぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のポルックス、
こいぬ座のプロキオンを結んで作られる冬のダイヤモンド(冬の大六角形)の一角でもある。
250年前を描いた外伝『ロストキャンバス』では牡牛座のハスガードの異名だと語られたが、彼にも本名が別にあるのかは不明。

金のロングヘアーをオールバックにした(アニメ版では黒髪で短髪。ほとんどの場合ヘルメットをかぶっているので髪型がよく分からなかったのだろう)
聖域十二宮の第二の宮「金牛宮」を守護する牡牛座の黄金聖闘士(ゴールドセイント)
聖闘士の中でも並ぶ者無しの剛を誇り、「黄金の野牛」の異名を持つ。
野武士のような顔付きと頑丈な身体を持つパワーファイターで、
あらゆる物を粉砕する拳、並の攻撃をわけなく跳ね返すごつい肉体、加えて光速拳など黄金聖闘士としての俊敏さも併せ持っている。
でかいガタイが注目されがちだが一番の売りは鍛え上げられた筋力と小宇宙から練られたスピード。
ちなみにグレートホーンの抜き拳の速度は黄金聖闘士の中でもトップ。
速さが売りであるアイオリアのライトニングボルトやミロのスカーレットニードルをも超える。

他の黄金聖闘士のような美形キャラでは無いが、豪放で良い兄貴分である。
聖域十二宮中最初の白羊宮を守護するはずの牡羊座(アリエス)のムウが普段は地元に居り不在なので、平常時は事実上最初の門番を務める事になる
(ムウには「聖衣の修復」と言う仕事があるためか、白羊宮に常駐していなくても許されていた模様)。
金牛宮の一つ後ろにある双児宮を守るはずの双子座(ジェミニ)のサガが13年前から不在とされていたにも拘らず、
双児宮から感じる小宇宙(コスモ)によって、彼の存在をある程度感じ取っていた。
十二宮戦以前から教皇に不審な噂が立っている事は知っていたが、教皇の正義を信じて忠誠を誓っていた。

星矢達が真の女神(アテナ)である城戸沙織に率いられて偽教皇を討つべく十二宮に攻め込んで来た時は、
ムウが天秤座(ライブラ)の童虎と共に静観を決め込んでいたため*1、教皇側の黄金聖闘士としては最初に星矢達の前に立ちはだかり、
小宇宙を極めた第七感(セブンセンシズ)や光速の攻撃を見せて圧倒する。
戦いの中で増大していく星矢の小宇宙には「自分達黄金聖闘士の良き後継者に育つかも知れない」と期待をかける等、
星矢達が正義である可能性も鑑みて死ぬほどの攻撃は仕掛けないでおくという冷静さも見せた
(ムウ曰く、アルデバランが本気だったら物の数秒で金牛宮は血の海になっていた)。
それでも「もしも教皇の言うとおり星矢達が邪悪であれば大変な強敵に育つ事になる」と攻撃をかけるが、
小宇宙がビッグバンを起こす程に成長した星矢が黄金聖衣の角を折る*2という奇跡的な攻撃を放ったのを見て星矢を認め、
金牛宮より先に向かう事を許した。
最終的に十二宮での戦いは星矢達の勝利に終わり、アルデバランは他の生き残った黄金聖闘士達と共に、真の女神である城戸沙織に再び忠誠を誓った。

……だが。
「黄金聖闘士の(事実上)一番手」「見た目に強そうな大男(まあ実際に強いんだが)」「美形キャラでは無い」などの条件を揃えたアルデバランは、
以降十二宮に攻め込んでくる敵軍の強さを表現するための恰好のかませとして真っ先に血祭りに上げられる「かませ牛」たる役割に終始し、
黄金聖闘士達の活躍度によって読者の誕生星座の階級が決まってしまう「 星座カースト制度 」の下層階級に追いやられてしまった。
まぁ底辺といえる程に悲惨な扱いな黄金聖闘士も居るのだが、十二宮編で死亡しているので出番が無い。
逆に死亡済みでも牡牛座より扱いが良いとされるキャラも居るが…

海皇ポセイドン編では海魔女(セイレーン)ソレントによる精神攻撃で瞬殺され*3
(一応、催眠音波による先制攻撃で弱体化させていなければ自分の方が一撃で倒されていたと、ソレント自身がフォローしている)、
後に作者が殺した事を忘れてまた出しちゃったと言う酷い理由により、辛くも生存した事になるも、
冥王ハーデス編では地暗星ディープのニオベとの戦いで画面に映った時にはもう殺されていたという0コマで最期を遂げる*4
(一応、相手にも致命傷を与えてはいた)。
他にアニメオリジナルのアスガルド編や、アニメ映画でもほぼ同様のかませ扱いであった。
その後、ハーデス編の終盤にて、死んでいった黄金聖闘士達が魂だけの状態だが冥界で復活・集合し、全員の力を合わせて嘆きの壁を破壊して消滅していった。

このような悲惨な扱いが長年続いていったが、現実世界の年月を経て、不遇な聖闘士達にも活躍の機会が与えられるようになり、
外伝作品などで「本当はこれぐらい強かったのだ」という勇姿を披露している。
冥王ハーデス編のOVA版では、顛末こそ原作と同じだが、流石に扱いが悪いと思ったのか過去の出来事が絡む場面が追加。
名もなき少女から貰った花を微笑ましく愛でていた所、それが萎れた事でニオベの接近に気付くも時既に遅く、
ディープフレグランスにより意識を失いつつも「グレートホーン」を放った。
webアニメ『黄金魂(ソウルオブゴールド)』では冥界で散っていったはずの黄金聖闘士達がアスガルドの地で謎の復活を遂げ、
神闘士(ゴッドウォーリアー)との戦いを経て神聖衣(ゴッドクロス)を発現し、邪神ロキを打ち破った。
神聖衣を装着した黄金聖闘士12人の総攻撃を受けたロキは全作品で最も悲惨な人物ではないだろうか

本編の前日譚に当たる『Episode G』にも当然登場する。
作者である岡田芽武氏の作風により、厳ついとは言え彼も(こいつに似た)美形キャラである(アイオリアに至っては女顔だし……)。
一方で癖が強い(車田絵に似せる気のない)岡田氏の作風故に、連載初期は旧来ファンからの非難轟轟で車田氏からも心配されたとか
漆黒のヒュペリオンとの戦闘後にアイオリアの黄金聖衣が破損した後に本格的に登場。聖衣修復のためにムウの居住地のジャミールへアイオリアを案内した。
この時、同じくついてきたアイオリアの義妹リトスにお土産を買ってあげようしたり、
戦闘で怪我を負ったムウに代わり、崩壊した彼の居住区を修繕するなど、面倒見の良い姿を見せている。
その後はしばらくジャミールに滞在していたようだが、ティターン神族に襲撃される聖域を救援すべく参戦
(教皇の勅令で他の黄金聖闘士は動けなかったが、ジャミールにいた事により勅命を受けていない彼のみは自由に動けた)。
グレートホーンの一撃により、正義の女神デミスと地母神レアに苦戦するアイオリアとシュラの救出に成功する。
この後は最終盤まで出番は無かったが、攫われたリトス救出のために、シュラと共にクロノスの召喚した三巨神の一柱である翡翠の鎧(ネフリティス ホプリスマ)と対峙する。
ホプリスマの猛攻を威風激穿(グレートホーン)で防ぎ切り、その間に極限まで小宇宙を燃やしたシュラの聖剣抜刃(エクスカリバー)により撃破した。

『Episopde G アサシン』にもやはり登場。
黄金聖闘士が敵味方に分かれている本作だが、アルデバランは味方サイドで登場する。
冥府から蘇った時に同時に現れた別次元のアテナであるヨシノ(なお赤子姿)の義理の父となっている。
なので年齢は30代後半。ちなみに義理の母はシャイナ。
アテナの宿命の迷うヨシノに「お前はお前のなりたいお前になればいい」と諭すなど優しい父の姿を見せている。
長らく黄金聖衣は無かったが、モルドレッドの強襲の際に命の危機となった時、ヨシノの願いにより出現。
長くヨシノを守り磨き抜かれた金剛不壊の一撃、「栄光乃角(グロリアスホーン)」の一撃でモルドレッドを撃破した。
以降はヨシノの父を務めつつも黄金聖闘士の座に復帰した模様。

実はアルデバランが敗れる時は「まず能力低下攻撃を先に仕掛けて本来の力量を発揮させない」「二人がかりによる不意打ち」
などの手段が講じられており、真っ向からパワーで彼を打ち破った者は一人も居ないという事、
それによってムウが彼を評した「黄金聖闘士の中でも並ぶ者の無い剛を誇る」という言葉は決して嘘では無かった事なども、
改めて評価される流れが出来てきている。

アルデバラン以外の牡牛座の黄金聖闘士も約一名を除き良い扱いをしてもらえる事が増えており、
外伝『ロストキャンバス』で彼の前任(前世?)にあたる牡牛座の聖闘士ハスガードが、
鳳凰星座の一輝(フェニックス イッキ)(本編主役陣の一人)の前世と思しき冥闘士(スペクター)・ベヌウの輝火(かがほ)と対決した時は、
全読者が「ああ、また牡牛座はかませか」と悲劇を覚悟したが、なんと大激戦の末に片目失明など負傷するも輝火を撃退。
ちなみにこの輝火、冥界三巨頭並みの実力者だったりする。
人格的にも優れており、聖闘士の修行が辛くて脱走しようとした3人の弟子達に対し、
「聖闘士になりたくないのならならなくてもいい、ただ誇りだけは忘れないで生きてほしい」と説いており、
聖域に残って後に牡牛座を継承した弟子のテネオや、孤独に戦う事だけが生きる全てであった輝火の心に大きな影響を残す事になった。
番外編では彼の弟子であったテネオが聖戦の生き残りである牡羊座のシオンに師事して牡牛座の黄金聖衣を継承し、
独自の必殺技まで生み出すという活躍も見せている。オックスさんもこれぐらい活躍してくださいよ

また、アニメオリジナルの続編『Ω』のハービンジャーは、
1年目は悪役として登場したものの(ただしバトルマニアであるが故に弱い者いじめには興味が無い)、
2年目からは味方側となり、最終的に「地位に未練が無い」「良くも悪くも世間擦れしている」「良くも悪くも平等主義」な事を評価されて、
正式に教皇の座を押し付けられたに就く事になった。多分沙織さんとしては星矢が教皇として多忙になるのが嫌だったんだろうな


MUGENにおける牡牛座のアルデバラン

+ Tonos氏製
  • Tonos氏製
現在はMu氏をはじめとする製作チームサイト「Sanctuary Soldiers:MUGEN Saint Seiya」にて代理公開されている。
ドットは『KOF』風の手描きグラフィック。
操作方法は6ボタン方式で、グレートホーン等原作で披露していた技が一通り揃っている。
一方で黄金聖闘士である以上は動きは遅くないはずだが、流石に大男が速く動いたらゲームバランスが崩れるためか、全体的に技の発生が遅い
(本来グレートホーンは神速の居合である)。

+ Oscar123氏製
  • Oscar123氏製
MUGEN1.0以降専用。
3Dモデルを使用して製作されている。
海外の製作者による作品だが日本語ボイスで喋る。…が、イントロに登場する城戸沙織は何故かイタリア語。
火力はやや低いが原作の力強い動きが再現されており、技の多くで画面端まで弾き飛ばす効果を持つ。
必殺技は突進の他、非常に広範囲を攻撃する光速拳を持ち、かなりの迫力。
また、UnoShe氏の「Uno tag system」にも対応している。
AIはデフォルトで搭載済み。
紹介動画


「なに、流星が変化した? ま……まさか!?
 まさかこれは…… BIG BANG(ビッグバン)!?」

「星矢は黄金聖衣十二人しか体得していない小宇宙の究極……
 セブンセンシズにめざめはじめたというのか……」

出場大会

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出演ストーリー

温泉女王と温泉に(第七話、邂逅表)


*1
当時の黄金聖闘士の中でも童虎とムウだけは偽教皇の事を疑っていたのだが(童虎は教皇と250年来の友であり、ムウは教皇の直弟子である)、
この時の童虎は来るべき聖戦に備えて「教皇ごときに負けるような女神は偽物と変わらん」としてムウに対して静観するように指示していた。

*2
黄金聖衣は多少は破損した事はあっても、完全に破壊された事は無いとされている。
しかし後に「死を司る神タナトス」の一撃で5着(5領?)の黄金聖衣が一度に破壊されてしまった。
それは「人間の範疇では無敵に近い黄金聖衣ですら、神の力の前ではたやすく破壊されてしまう」という絶望的な戦力差を見せ付けた場面であった。
ニオベの登場シーンで木っ端微塵に砕けたように見えたが、嘆きの壁では何事も無かったかのように登場しているのでイメージ映像か何かだった模様

なお星矢達を通した後のアルデバランに対しムウが「修復してさしあげましょうか」と尋ねたが、
アルデバランは直答はせず、より重大な教皇への疑念の話題に切り替えていった。
十二宮での戦いの後に聖衣を修復する時間はいくらでもあったはずだが、やはり修復は為されていない。
星矢の奮闘を讃えてか、自身の油断を戒めるためか、あえてそのままにしておいたのかも知れない。
『Ω』でハービンジャーが継承した後も角が折れたままだが、タナトスによって粉々に砕かれてしまったはずの5着は無事修復されているので、
角が折れた状態が伝統になってしまったようだ。

*3
音波による催眠を防ぐため自身の鼓膜を破るという覚悟をも見せたが、精神に直接作用する攻撃だったために通用しなかった。
また、外伝『ロストキャンバス』では彼の前任(前世?)にあたる牡牛座の聖闘士ハスガードが冥闘士から似たような攻撃を受け、
この時は鼓膜を破って敵の攻撃を無効化して撃退できたという過去が語られた。一度は成功したはずの方法だったのである。

*4
本編の過去『ネクストディメンジョン』では彼の前任(前世?)にあたる牡牛座の聖闘士オックスが同様にあっさり立ち往生を遂げ、
「またかませ牛扱いかよ」と牡牛座生まれの読者を嘆かせたが、なんとか生きていた模様。そもそも名前からして弱そうだし
あと牡牛座の黄金聖衣が氷柱で蜂の巣状態にされて「神話の時代から破壊された事は無かったはずじゃ……」と読者を惑わせたが、
これも黄金聖衣は無傷のまま本人がやられただけだった模様。

余談だが、車田正美作品では伝統的に「主人公は小柄で、巨漢は敵も味方もかませ扱い」だったため
(本作でも序盤からカシオス(天馬座の候補生)と大熊座の檄が星矢のかませ扱いされている)、
アルデバランの扱いもファンからはある意味お約束扱いされていた。


最終更新:2024年01月07日 16:54