「ワタシノ…復活ヲ…サマタゲル者ハ…
何人タリトモ…許シテハ…オカナイ!
行クゾ……非カナル者ドモヨ……!」
スクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたSRPG『ファイナルファンタジータクティクス』の
ラスボス。
悪魔「ルカヴィ」の主たる存在で、「血塗られた聖天使」の異名を持つ。
ルカヴィが現世に復活する際は、各々に対応した聖石と融合先となる人間が必要だが、
アルテマはそのような手順を踏まずとも自由に現世への復活を可能とする力を持つ。
世界の支配を目的とするルカヴィ達は、イヴァリース国において大きな力を持つグレバドス教会を裏で操り、アルテマの復活を企む。
その始まりは、本編からはるか昔の時代、約1200年前のグレバドス教の始祖である聖アジョラことアジョラ・グレバドスに遡る。
ちなみに男である。
彼は混迷した世界を救うため神の国から遣わされた神の子とされ、
小国ランベリーの王により召喚された魔神に対し、12個の聖石を集めてゾディアックブレイブを結成、魔神を打ち倒した。
最後は弟子の裏切りにより神聖ユードラ帝国に反逆者として捕らえられ、ゴルゴラルダで処刑された。
その直後、帝国で大きな勢力を持っていたファラ教の本拠地ミュロンドが天変地異により海中に沈み、
この出来事を聖アジョラの奇跡と信じた弟子たちにより、現在のグレバドス教が成立したとされる。
しかし、実の所聖アジョラは神の子ではなく、新興宗教の教祖であり帝国と敵対する国のスパイでもあるただの人間であった。
さらにゾディアックブレイブや魔神の討伐の話は、教会が聖アジョラを神格化するためのでっち上げである可能性が高いことが、とある書物に記されている。
その表向きの半生から明らかに元ネタはアレなのに、実はでっち上げのスパイだったというあまりにヤバ過ぎる設定である
恐らくゴルゴラルダで処刑される際に聖石ヴァルゴの力により
人間をやめてアルテマとの融合・転生を果たしたが、
最終的にデジョンの魔法で
次元の狭間に隔離された死都ミュロンドにて主人公
ラムザ・ベオルブの先祖によって討ち取られたと考えられる。
以降、朽ちた飛空艇の墓場で聖天使アルテマの魂のみの状態で漂っていた。
一方で融合していたアジョラの魂は再び人間として現世に転生していた。
アルテマの復活には、死都への移動手段や、聖石や融合先の人間に加えて、数多くの犠牲者による血が必要であった。
そこで教会は跡継ぎ争いの最中であるイヴァリース王国に目をつけ、
対立する2人の公爵を唆して内乱「獅子戦争」を引き起こし
*1、戦争による犠牲者の血をアルテマ復活の糧とした。
王家が王女と共にオーボンヌ修道院に預けていた聖石ヴァルゴ、融合先となるラムザの妹でありアジョラの転生体であるアルマ、
死都へと繋がるデジョンの魔法陣、デジョンの呪文が記されたゲルモニーク聖典、
そしてルカヴィのリーダー格である統制者ハシュマリムの命を最後の生贄として、復活を果たした。
だがアルマの抵抗によりアルテマはアルマから分離され、再融合を果たすべくラムザ達に襲いかかるのであった。
第一形態の姿は、
真っ赤なハイレグの女性というラスボスとしてはかなり
エロい姿。
レオタードではなくハイレグゆえ太ももが露出しており、
ドット絵ながら体のラインがくっきりして実に
エロい。
90年代のスクウェア作品には
雑魚・
ボス問わず
エロい女性の敵がよく出てきたもので、彼女も負けず劣らず
エロい。
先述の通り、かつての融合先であるアジョラは男であるのだが、
このような姿になったのは女性であるアルマが融合先であることが影響しているのだろうか。
アルテマの印象があまりに強いためか、世界観を共有し『FFT』の遥かな過去を描く『FF12』では聖アジョラは「聖
女アジョラ」として解説されている。
*2
第一形態を倒すと、真の姿である「聖大天使アルテマ」へと変身するのだが……。
「負ケヌ…私ハ……負ケヌ……」
「貴様タチヲ…殺シテヤル!!」
その姿は全身が骸骨の悪魔めいた姿で、第一形態の面影は背中の翼ぐらいしかない。
ルカヴィとしてはこれが真の姿であると思われるが、誰もが「なぜ変身した」と思ったことだろう。
最終的にラムザ達により倒されたが、今際の際に空間全体を巻き込んだ大爆発を巻き起こす。
その場にいた全員が巻き込まれ、世間では行方不明とされた。
ラムザとアルマの兄妹も例外ではないが、
エンディングで二人がチョコボに乗っている所が目撃されており、生還した可能性を残して物語は幕を閉じる。
実際、
死んでたらヤバいヤツが一人いるし。
しかし死亡説が有力視されてしまい、シナリオライターが後に火消しのために生還後のラムザ達の設定を発表する羽目になり、
さらに死亡説を推したファンのために『FF14』で「ラムザ達が負けたif」でパラレルストーリーまで書き起こしたのは別の話
ゲーム上の性能
一言でいえば両形態共に弱い。
その弱さは、FFシリーズの弱いラスボスとしてよく名が挙がり、Googleの検索候補に「聖天使アルテマ 弱い」と表示されるほど。
第一形態は、様々なステータス異常を与える「グランドクロス」がそれなりに厄介であり、
ムーブアビリティ「ダテレポ」でマップを自由に移動できるため狙いづらい。
実質厄介な点はそれぐらいしか無い。
全体的にステータスが低く、特にHPは1300程度と連戦前提とはいえ少し前のボスより低い。
自身の名を冠した「究極魔法アルテマ」も派手なエフェクトの割にはそこまで高い威力ではない。
さらに、再融合のためかNPCとして参加しているアルマを最優先に狙うため、
こまめに回復させれば注意を逸らさせて隙ができる。
なお、アルマが戦闘不能になっても別にゲームオーバーにはならない。
挙句に移動以外の行動ができない状態異常「ドンアクト」が効いてしまうため、
こうなると何も行動ができず逃げ回るだけの情けないラスボスとなる。
ちなみに「究極魔法アルテマ」は範囲内にいれば使用者であるアルテマ自身も食らうので、
ターゲット指定されたキャラは発動前に動けるのであればアルテマに近付くことで巻き込めるため、
「トドメが自分自身の放ったアルテマによる自滅」などというシュールな光景が拝めることも。
第二形態では、低かったステータスが全体的に上がり、特にHPは3000程度とゲーム内でも最大クラスに。
アルテマは「完全アルテマ」となり威力も上昇、第一形態では効いていたドンアクトも無効。
しかし、アルマを最優先して狙う思考は相変わらずで、
マバリアが掛かっている相手にデスペジャを唱えて無効化するため、大きな隙を晒すこととなる。
さらに第一形態にはなかった聖属性が弱点となっており、ホーリーなどの聖属性魔法で大ダメージを与えられる。
更には他のルカヴィらと同様に割合ダメージのグラビデも有効で、4発当てるだけで倒せてしまう。
ついでに確かにドンアクは効かなくなったが、移動ができなくなる状態異常「ドンムーブ」が効くようになってしまうので今度は逃げる事すらできなくなる。
結果として、強くはなったが体感的には弱いままという、第一形態の名誉を挽回するには至らない強さであった。
オルランドゥとかいう必ず加入するチート仲間がいる以上どうしようもないけど
- 登場作品の稼働・発売が同じ年(しかも1ヵ月程度の差)
- ラスボスにしては弱い
- とあるルートでの復活の経緯が同じ(復活のために大規模な戦いを利用、最後の一押しに幹部が命を捧げる)
という妙な共通点がある。
MUGENにおける聖天使アルテマ
原作ドットを用いて製作されたものと、手描きで製作されたものの2種類が存在する。
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hakase氏製作 原作ドット |
FFTのドット絵を使用したもの。Nameは「ultimate-high-legs」。
原作のひ弱なイメージを払拭したとのことで、原作の雰囲気を残しつつもアグレッシブな動きが可能。
通常攻撃が1ボタンのみ、必殺技に当たる技が移動技の「ダテレポ」以外存在しない、
超必殺技は全てワンボタンで出せるなど、操作系統はシンプルにまとめられている。
前ダッシュが フェリシアや ガロンのような山なりのジャンプとなっており、
発生の早いジャンプ通常攻撃で差し込むのが基本戦法。
通常技は発生と判定に優れている反面、DEFが70と低く無敵のある攻撃技が無いため防御面は脆い。
超必殺技は3種類。
アルテマの代名詞である「アルテマ」は前方全てに攻撃判定のある投げ技となっているが、
FC版『FF2』仕様とのことで *3、ダメージが100固定と威力がしょっぱい。
ただし発動する度にレベルが上がり(ラウンド間で引き継ぐ)、16回目の「アルテマ16」になると9999ダメージの即死技となる。
「グランドクロス」はガード不可かつ 全画面判定の投げ技で、
相手に「毒」(通常攻撃に削りダメージ追加)「暗闇」(1/3の確率でガード時のノックバックがなくなる)
「沈黙」(技ゲージが0になる)「睡眠」(1度攻撃を当てるまで攻撃力が1.5倍)の効果を与える。
ダメージは無いため一見地味だが、毒の削りダメージは地味ながら強力。
「聖大天使アルテマ」では、聖大天使の姿に変身する。もどして
変身後はゲージが自動で減少し、0になると元に戻る。
この状態では常時アーマーで、前方の広範囲を薙ぎ払うレーザーを自動で発射する。
レーザーは削りダメージ付きで頻度も高く、起き上がりにレーザーを重ねられ抜け出せないことも。
ただし足元が安置になっているため、懐に潜り込めば無傷で切り抜けられる。
AIはデフォルトで搭載されており、しゃがみ攻撃またはジャンプ攻撃を駆使して積極的に攻め、ゲージ技もしっかりと使う。
聖大天使への変身は3ラウンド目のみ行うため、劣勢からの逆転も有り得る。
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みたらしだんご氏製作 手描きドット |
高頭身の レミリアなどを製作した氏による手描きのもの。Nameは「Ultima」。
Readmeにおっぱい(あるてま) とある通り、原作のドット絵と比べておっぱいが2倍ほどサイズアップしている。
必殺と超必が全て魔法で構成されており、原作では使わないホーリーやフレアが使用可能。
レーザーのように放つ飛び道具「ホーリー」と 設置型飛び道具「ホーリーライト」の使い勝手が良く、遠距離戦に強い。
代名詞である「アルテマ」は3ゲージ消費の超必となっており、ガード可能だが確実に相手に当たる。
強化版の「完全アルテマ」も存在。こちらは9ゲージ消費だが、999ダメージかつガード不可と消費量に見合った性能となっている。
なお、こちらは聖大天使としての姿は一切見せない。
AIは未搭載だが、koyu@TWINT氏によるAIパッチが公開されている。
「ホーリー」と「ホーリーライト」による 砲台戦法を主体としており、ハマれば相手を一方的に攻撃できる。
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出場大会
プレイヤー操作
*1
獅子戦争を実際に引き起こしたのは、ルカヴィではないグレバドス教の教皇マリッジ・フューネラル5世。
彼は伝説のゾディアックブレイブを再現して民衆の支持を集め、
さらに獅子戦争の調停役を務めることで教会の権力を高めようとした。
だがゾディアックブレイブのリーダーであるヴォルマルフ・ティンジェルは既にルカヴィに転生していた。
教会はルカヴィの野望のために利用され、フューネラル自身も用済みとなるやあっさり殺されるという自業自得な最期を迎えている。
*2
『FF12』では
「聖女アジョラ」と記載されているため、聖アジョラは女性だったが後世に男性として伝わったのではないかと考察するファンもいるが、
松野氏はTwitter(現・X)にて、
「聖アジョラのオリジナルは男性ですね。FFTでは女性に転生していたという設定です。
FF12における聖アジョラについては私は関知しておりませんので回答を控えさせていただきます。」
と回答しており、実際『FFT』作中においても、
アジョラと面識があるゲルモニークが書いた「ゲルモニーク聖典」の中で(古代語を作中の登場人物が翻訳したという設定ではあるが)
「彼」と書かれている。
よって男性設定である事に間違いはなく、聖女アジョラという記載は執筆した『FF12』スタッフが設定を勘違いしていた可能性もある。
*3
FC版FF2における魔法のアルテマは、使い手の能力や魔法レベルに関わらず威力が一定という仕様である。
どれだけ弱いキャラでも100前後のダメージを与えられる半面、
いくら魔法レベルを上げても威力が変化せず、消費MPだけが増えていくという、
究極魔法とは名ばかりの残念な魔法であった。
さらに、習得イベントでは仲間キャラのミンウが自らの命と引き換えに封印を解くという悲劇的な展開のため、
微妙な魔法のために命を落としたミンウが浮かばれない。
『マル勝ファミコン』の座談会で当時の開発者が語った話によると、
社内でも威力を上方修正しようとする動きはあったものの、
プログラマーの一人がそれらを突っぱねた挙句弱い理由を力説した事に腹を立て
(「伝説の存在なんて所詮は過去の遺物、今の目で見れば見劣りするのが当たり前」という旨の発言があったらしい)、
強硬手段に出ようとした所、件のプログラマーがソースを暗号化して手も足も出なくされてしまい、
あのような形で世に出さざるを得なくなったとのことである。
WSC以降は、他の魔法や武器の熟練度に応じて威力が上がる仕様になり、頑張れば『FF2』最強の威力となりうる。
移植作によっては、ラスボスの
悪の皇帝にも4桁ダメージが与えられるほどの威力になる。
最終更新:2024年06月17日 19:16