登録日:2014/02/14 (金) 20:34:10
更新日:2025/05/28 Wed 18:59:13
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特撮を愛する同志諸君の中には、どのヒーローが一番強いんだろう?と日々想像をたくましくする者もいることだろう。
が、
反物質化光線(名称不明)とは、
ウルトラマンガイアに登場するもう一人のウルトラマン、アグルが第14話「反宇宙からの挑戦」で使用した技。
名称不明なのは、公式がまだ名前を付けていないから名称不明なのだ。
ティガの「ティガ電撃チョップ」とされていた技も「ウルトラライトナックル」に変わったし、この項目名も後々変わるかもしれない。
概要
さて、
反物質とは何か。
とりあえず
この項目に目を通してもらいたい。
もう
この項目を暗記してください。
暗記できましたね。要するに、ぶっしつとぶつかるとすげえばくはつが起きる物質である。
専門的なことはともかく、ぶつかると爆発して危いことが分かるだろう?
さて、では何故、これほども物騒な技を使わなくてはならなかったのだろう。
発端は、反物質の世界からやって来た
反物質怪獣アンチマターが
地球に迫ったことから始まる。
XIGは、バリオン数を反転させるビーム砲を開発して迎撃するが、アンチマターは体を
シールドで包み、
ビームを
無効化する。
バリオン数とは何か?
ああ、まあ要するに、これが反転すれば物質から
反物質に、
反物質から物質になるんだと理解してくれればそれで良いんだ。うん。
地球に降り立つアンチマター。しかし、危惧されていた大爆発は起きなかった。
とりあえず地球が無事であることに安心するXIGだったが、アンチマターは前述のシールドを拡げ、町を覆っていく謎の行動に出る。
シールドによって外部の物質と内部の
反物質の接触を断ちながら、シールド内部ではアンチマターは着実に物質を反転させて
反物質としていく。
アンチマターは、今の宇宙を
反物質の爆発で
消滅させ、二分の一の確率に賭けて
反物質の宇宙を創生したいというのだ。
話のスケールが大きすぎるがこれはまだ14話。大丈夫か子供達。
宇宙を作り直そうとするアンチマターの真意に反発して「そんなこと!」と
変身アイテムを構える我夢だが、
「
ウルトラマンの質量を考えろ」という藤宮の至極真っ当な指摘を受け、変身を中断する。
つーかおい、仮にも科学者。変身してどうするつもりだった。
ここで藤宮が、ついに恐ろしいことを口にする。
「アグルのパワーでガイアのバリオン数を反転させれば、反物質ウルトラマンになれる!」
よく「一回どっかで試したのか、その上で言っているのか」と無粋な事を言う人もいるが、それだけ藤宮には自信があったという事だろう。
「もし俺が気紛れを起こしてお前を元に戻さなければお前は
反物質の世界に留まるしかなくなる」と続け、不敵に笑う藤宮。
しかし
ウルトラマンガイアだけの力では地球や宇宙の消滅を防ぐ術はない。
覚悟は決まった。
変身しようとする我夢に、藤宮は忠告する。
「反物質化したら
すぐにシールド内にワープしろ」
しかしガイア側からしたら「今自分は
反物質になったぞ!」ってのは分かるもんなのかね?
かくして、二人は初のダブル変身。
アンチマターのシールド上空で、アグルがガイアにこの光線を浴びせる。
ちなみにこの時、アグルもガイアも周辺の空間を真空にも
絶対零度にもしていない。
大気と反応しちゃうんじゃ…。アッハイ、突っ込んじゃダメなんですね。
光線を受けたガイアは、色彩がアンチマターと同質のものに変化し、大気と反応する前にシールド内へワープし、アンチマターと戦う。
この間、アンチマターの体の一部が吹き飛び、シールドを割って大気中に出てしまうアクシデントが発生するが、
XIGファイターが到着、破片を物質化させることに成功する。
この時、アグルはディメンショナルクローサーという「破れたシールドの穴を塞ぐ光線」でシールドを元に戻している。
若干、
反物質化した大気が漏れていたように見えたが気にするな!
敗北を悟ったアンチマターのシールドが揺らぎ始める。たとえアンチマターに勝っても、シールドがなくなったらアウトだ。
ガイアはアンチマターを持ち上げ、シールドごと宇宙へ輸送する。
この時、
反物質化していた町が何故かシールドから解放されるだけで物質に戻っているが、まあ何だ。
このシールドはアグルの光線と同様、バリオン数を反転させるだけのものなんだろう。多分だが。
それなら最初からシールドに突入すればよかったんじゃとか言っちゃいけない。
ワームホールからアンチマターを
反物質世界へ帰すガイア。
アグルは、アグルシールディングという「ワームホールを閉じる光線」で完全に
反物質世界をシャットアウトする。
アグルに関しては、この話限定のえらく使用目的がピンポイントな技が三つも登場してしまったが、
その後も「
地底怪獣を覚醒させるパンチ」を出しているので、普段使わないだけでレパートリーは多いに違いない。
ガイアも「壁に一時的に穴を開けてすぐ修復する光線」とか出してるし。
戻ってきたガイアは物質に戻るために、アグルへ「さ、ビームを!」と懇願する。
アグルは、一瞬「どうしよっかな」的なリアクションを取る(この時点ではまだガイアの敵だったため)が結局は物質化光線を浴びせ、元に戻してあげるのだった。
芸コマなことに、
反物質化光線と物質化光線で色が違う。
検証
さて、ガイアを一時的に
反物質化したアグルだが、この時のガイアはどれほど危険だったのだろう。
計算するには、エネルギー=質量×光速の二乗だ。
この時、質量はgに直される。
ガイアの体重は4万2千t。だから420億gとなる筈だ。
対して光速の二乗は900億。
つまり、
反物質化したガイアが万が一物質と接触してしまった際に対消滅するエネルギー量は、420億×900億=3.75×10の20乗J、
すなわち
3垓7800京J(378エクサJ)ということになる。
まず京だけでも日常生活じゃお目にかからないってのに垓て。
てかエクサってなんやねん。
名護さんじゃないんだから。それは
イクサか。
ピンと来ないだろう。私もそうだ。
何せこのエネルギー、
TNT火薬換算で904億t(9万メガトン=900ギガトン)分の一斉爆発に匹敵するのだ。
3780兆tの岩を粉みじんにするクラスのエネルギーであり、
コンクリートで例えれば、
45km×100㎞×100㎞のコンクリ塊を木端微塵に出来る威力だ。
現実に即して考えれば、110階建ての貿易センタービルを
216億9600万棟破壊可能なのである。
……そんな
コンクリートや高層ビル群ない…
仕方がない、もっとわかりやすい例で比較しよう。そうだ、広島型原爆はどうだろうか。
こちらはTNT火薬15キロトン=1万5千t分の破壊力とされており、J換算して5,5×10の13乗。つまり55兆J。
反物質ガイアの爆発力は、広島型原爆の約687万2727倍となる。
何、でかすぎて全然わからん? 私もそう思う。よし、ではもっと大きいデータと比較してみよう。
分かりやすく架空の事例も入れてみたぞ。
- 『暴れん坊将軍』の8㎞四方を壊滅させる享保彗星の衝突(120兆J)315万個分
- 『銀河英雄伝説』イゼルローン要塞のトールハンマー(914兆J)38万発分
- 2013年ロシア・チェリャビンスク隕石(2100兆J)18万個分
- 『仮面ライダーBLACK RX』のグランザイラスの自爆(1メガトン/4184兆J)9万0400体分
- 兵庫県南部地震=阪神・淡路大震災(5623兆J)6万7224回分
- 『魔法少女リリカルなのは THE MOVIE 1st』終盤で高町なのはが放ったスターライトブレイカー(6930兆J)5万0126発分
- 映画『20世紀少年 第1章』にて東京を壊滅させた爆発(9600兆J)3万9375回分
- 『空想科学大戦4』にて「半径50㎞の建物が被害を受ける」とされた1万tの隕石(5メガトン/2京J)1万8900個分
- 関東大震災(4京5000兆J)8400回分
- ビキニ水爆(15メガトン/6京J)6300発分
- 富士山を破壊する威力(8京1000兆J)の『ミラーマン』に登場した怪獣ザイラスの突撃4666回分
- 重量20万tの隕石の衝突(9京5000兆J)3947回分
- 世界最強の水爆『ツァーリ・ボンバ』(70メガトン/21京J)1800発分
- 『セブンスドラゴン2020』の帝竜の電磁レーザー(80メガトン/33京4400兆J)1130発分
- 東京を地図から消すとされた『レディ・ジャスティス』自律兵器ピーサーの自爆(100メガトン/42京J)900体分
- 雲仙普賢岳大噴火(50京J)756回分
- ツングーツカ大爆発(55京J)687回分
- 『風の谷のナウシカ』の巨神兵のビーム(90京J)420体での一斉発射
- 『機動戦士ガンダム』のソーラ・レイ(100京J)378発分
- 富士山宝永大噴火(120京J)315回分
- 黒部ダムの水を一滴残らず蒸発させるエネルギー(125京4000兆J)の301倍
- 『天空の城ラピュタ』のラピュタの雷(168京J)225回分
- 東北地方太平洋沖地震(200京J)189回分
- 日本の総発電量(395京J)95年半分
- 全世界の核兵器の一斉起爆(400京J)94回分
- 360㎞先まで雲を消し飛ばした『小林さんちのメイドラゴン』のトールの閃光(414京J)91発分
- 半径100㎞を消し飛ばすとされた『ウルトラマンメビウス』のボガールの自爆(1900メガトン/795京J)47体分
- 琵琶湖の水を1滴残らず蒸発させるエネルギー(943京J)の40倍
- 20世紀最大の噴火と言われた、1991年のフィリピン・ピナツボ火山大噴火(1000京J)37回分
- チリ地震(1120京J)33回分
- 半径120㎞の陸地を海に変えるとされた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の使徒の落下(1320京J)28回分
- 月に巨大なクレーターを作った『創聖のアクエリオン』の無限拳(1440京J)26発分
- 『ジャイアントロボ』のギロチン帝王の自爆(3900京J)9.6人分
- シドニーを500㎞に渡って湖に変えた『機動戦士ガンダム』のコロニー落とし(6万メガトン/2垓J)1.5回分
- 深海5000mから地上に届くランターンの発光(1700無量大数×100J)10恒河沙分の45秒分
宇宙はともかく、地球ヤバい。ヤバいなんてもんじゃない。
ウルトラマンジャックの
スペシウム光線が「水爆よりも強力」という設定だったのを考えると、
空を埋め尽くす幾千ものウルトラマンが一斉にスペシウム光線を発射したり、世界中に隕石が落下したり、
全世界で巨大地震が一斉に発生したり、地球全土で核爆弾を炸裂させるよりもっとヤバい、ということだ。
もうこりゃどうにもならん、と思った人は正しい。
勿論月や地球を木端微塵にするには全く足りない(もしこれで足りていたら、この1386倍の威力がある6500万年前の
恐竜を絶滅させた巨大隕石衝突の際に地球は消滅している)が、
人類を全滅させて御釣りが来るレベルである。
日本列島は間違いなく吹き飛ぶぞ。
ただしこれは、あくまでガイア一人に絞っての数値であり、実際には同じ量の物質も対消滅するわけだから、爆発力はこの計算の二倍になる。
すげえ爆発力だ、なんてレベルではない。
おまけに通常の反粒子ビーム(陽電子砲とか)と違い、大気中だろうが構わず使える。
さあここからが本題だ。
冒頭で、破壊力だけなら最強と申し上げたが、それは単純に、
反物質の爆発力が大きいからというわけではない。
考えてみよう。
ウルトラマンアグルは理論上、
敵が物質で構成されている限り、確実に対消滅させることができるのだ。
防御?関係ない。
反物質に変えちまえば瞬時に対消滅させられる。
回避?無駄だ。爆風や衝撃波だけでもとんでもない。
それ以前に防御や回避する術が無い。
どうだ。アグルは少なくとも、ウルトラヒーローの中では最強クラスじゃないか!
だが、ガイアですら広島型原爆の687万2727倍×2の爆発が起きるのだ。
それ以上に質量のある怪獣を
反物質に変えれば、対消滅の爆発力はとんでもないものだろう。馬鹿でかい。
人類も守る後期アグルは勿論のこと、地球しか守らない前期アグルにとってもこの破壊力は脅威だったと思われ、
ウルトラマンガイアとの決戦でさえ二度と使われることはなかった。
設定上アグルの技は全部使えるガイアV2は言わずもがな。
ところで、アグルが圧倒された
ブリッツブロッツやゼブブを
反物質に変えれば消滅させられたんじゃないか?
と一瞬思ったのだが、両方とも
6万6千tだった。
対消滅で地球ヤバかった。
でもいいんだ。理論上とはいえアグルの本気が垣間見えたから。
これから毎日追記、修正しようZE
最終更新:2025年05月28日 18:59