イフリート(中東の伝承)

登録日:2020/3/24 (火曜日) 21:06:00
更新日:2024/01/08 Mon 05:37:52
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『イフリート』とは主に中東の伝承に登場するジンという精霊の一種である。
主に千夜一夜物語に登場し、その中の物語の一つであるアラジンと魔法のランプに登場することで有名。
一言でいうならばランプを擦ると出てくるアレである。
後述するようにジンと言っても強大さごとに様々な種類が存在するのだが、
当項目では項目名にもなっており、尚且つもっとも有名なイフリートを優先する。


概要

元々はイスラム教が勃興する以前のアラブに伝わる土着の精霊的な存在だったとされ、
イスラム教が勃興してからは唯一神によってから作られた存在として取り込まれた。
一言でジンと言っても多くの種類が存在しマリード、イフリート、シャイターン、ジン、ジャーンの5つの種類が存在、
右に行くにつれて下級となっていくのでマリードがもっとも強大でジャーンが最も下級とされている。
彼らは人間と同じように全員が悪というわけではなく、悪い者もいれば善の者も存在
善の者に憑りつかれれば聖者となり、大成すると言われるが悪い者に憑りつかれてしまうと狂人となってしまうという。
千夜一夜物語の一つであるアラジンに登場したときのどんな願いも3つまで叶えてくれる存在というイメージが強いが
実は原典においてはそのようなルールは存在していなかったりする。
また、中東の伝承に登場する食人鬼グールもジンの一種、或いは邪悪なジンが死体に憑りついたものとされることもある。

イフリートはそんなジンの中でもマリードに次ぐ強大かつ凶悪なもの
善人も存在するジンと違ってどちらかといえば邪悪な性格の持ち主であり、悪役として出ることが多いが余り頭はよくないらしく、
封印から解いてくれた者を憂さ晴らしに殺そうとするが、とんちで丸め込まれて再び封印されてしまう…という間抜けな一面を見せる伝承が存在するほど。
勘違いされやすいが、実は原典においては火から生まれたという伝承があるだけでイフリートそのものは炎の魔人ではない
ジンら魔人たちに共通して女性も存在しており、イフリータ、ジーニャなどと呼ばれる。


創作におけるイフリート

今日においてはランプの魔人として有名な彼らだが、何度も述べている通りランプなどの中に封印されていたり召喚した者の願いを叶えるという伝承から
ファンタジー系作品、特に中東風の世界観だと高確率で登場する。
わかりやすい例でいえば「クシャミしたらツボから出てくる某有名アニメの大王」、あれをイメージしていただければよい。
ジンは下半身が煙となっている不定形な姿(だいたいオッサン)、イフリートは先述の伝承から炎属性を持った筋骨隆々の角の生えた魔人として描かれることが多い。
また、稀に女性が登場することもあり、その時はフェイスベールを着けたベリーダンサーの様なエキゾチックかつセクシーなデザインになることも。


イフリートが登場する作品

千夜一夜物語の一つである「アラジンと魔法のランプ」をアニメ映画化した作品で、ジーニーという魔人が登場。
願いを3つまでは叶えてくれるが伝承に登場するジンと違い、ジーニー本人の趣向の問題で殺人や死者の蘇生は不可能となっている。
ちなみに吹き替えを担当したのは山寺宏一氏であり、その怪演は必見。
終盤や続編では別の人物がジーニーになるが、こちらは溶岩が流れる場所で戦うなど炎の魔神のイメージに近い。

当作品自体が千夜一夜物語をモチーフにしている為、当然数多くのジンが登場する。
ウーゴくんを始め、アリババの眷属器に宿るアモン等、他にも数え切れぬほど存在している。
中でも白瑛の使役するパイモンは巨乳に加えて乳首ピアスというどう見てもアウトな姿なのにもかかわらず、
アニメでもほとんど修正されなかったのでちょっとした話題になったとか……。

31話にてマミュームという名の風のレジェンズとして登場、シロンと戦うが破れる。
今作においても下半身が煙のようになっているが何故か眼鏡を着用している。
また、名前やデザインを見る限りミイラもモチーフになっていると思われる。

  • FINAL FANTASYシリーズ
FF3以降に登場する幻獣。
シリーズによって姿は異なるが、大抵の場合は筋骨隆々で角が生えた魔人の姿でイメージ通り強大な炎属性を操る。

  • ブラッド オブ バハムート
巨獣の一体。筋骨隆々の体躯に巨大な両角が生えた魔人、という原典に近い姿をしている。
剛腕を使った格闘戦や炎属性の攻撃を使用する他、腰に引っ掛けた爆弾も使用する。

悪魔系の最上位モンスターとして登場。フルフルと並ぶみんなのトラウマ
最強の火法術「火の鳥」を開幕からぶっ放してパーティーに大損害を与えてくる。
このゲームの最大HPが999(しかも相当に鍛えてようやくそこまで行く)なのに、火の鳥一発で600~700程度のダメージが全体に飛ぶと言えばどれくらいヤバいかは想像に難くないだろう。敏捷も高めなので鈍足のパーティでは容赦なく先手を取ってくる。
冷属性で即死する、アクアマリン・火神防御輪で完封できるなどそれなりに穴はあるが、前述の通り素早さが足りず耐性装備もなしに詰むケースが大変多い。
なおディレクターの河津神によると「これでも開発中よりは弱体化している」らしい。あれで?


地底冥府インフェルシア冥府十神に属する一人。ゲームなどのイメージに沿った「炎の魔人」属性。
詳しくはこちらを。

主人公であるゴクドーがきったねぇ魔石を転がしたため魔界から出現した。作中では一貫してジンとしか呼ばれない。
生真面目な性格で、魔族なのにゴクドーよりも人間が出来ている。
主に変身魔法を得意としており、美女やドラゴンに化けることができるほか、ペガサスを筋肉マンに変身させたりした。
中盤で虎族の美女・ナーニャと結婚して寿退職した(ゴクドーからは「作者がキャラが増え過ぎたんでリストラした」とぶっちゃけられた)。

  • バーティミアスシリーズ
ジンである主人公バーティミアスを筆頭に数多くのジンが人間と関わりつつメインとして活躍したり暴れたりしていく作品。
この作品でのジンは妖霊とよばれ四元素(火、水、空気、土)で出来た異世界の住民であり、人間の世界に実体化するのは苦痛を伴う。金属、特に銀などは天敵。
また元々は不定形なので色んな姿に変身できるが、ジン達の個性によりある程度特定の姿を好んで変身するものが多い。
ジン達は人間に呼び出されて使い魔にされており、奴隷のような悲惨な待遇を受けるため
ジンたちは隙あらば呼び出した主人を殺し帰還することを企てている関係性でもある。
そのため基本的には傲慢な人間をジン達は嫌っており、作中この一方的な関係性が原因で大きなトラブルが発生したりも……。
この世界でのジン達のランク付けはマリッド(マリード)、アフリート(イフリート)、ジン、フォリオット、インプの順に高くなりオリジナルの要素も含まれている。
しかし中にはマリッドを超えたとんでもない化け物も存在するが、このクラスになると人間では制御しにくく滅多に召喚されないが、稀に召喚されては世界的な大惨事を引き起こす。

フォーセリア世界では多くの精霊たちが存在しており、中でも風の精霊王ジン、炎の精霊王イフリート、大地の精霊王ベヒモス、水の精霊王クラーケンが四大精霊王とされている。
またロードス島に住む砂漠の民は、ジンとイフリートを部族の守護神として崇めている。

その他ランプの魔神が登場する作品の例

「一発ネタ」として便利なのか、ギャグでよく登場する。
その場合は誰が望みをかなえるかでケンカになった末に一番しょうもない願いが叶ってしまう、というオチが多い。

ランプのけむりオバケ」や「魔神のいない魔法のランプ」などがイフリートをモデルにしている。
前者は力づくで願いをかなえさせるわ、後者は人間をイフリートにしてしまうわ、ロクな道具ではないが…。
また『ザ☆ドラえもんズ』のドラメッドⅢ世はランプの魔神がモデルになっている。

がアラビアの大王から貰ったプレゼントのランプを擦ったことで現れた老ジン。
3つの願いのうち2つをすぐ聞き届け(「水をくれ」「これっぽっちかよもっとドバーッと」)、
「巌流島に向かう」という武蔵の願いを聞いて巨大化し一行を掌に載せて鳥取砂丘から巌流島まで向かってくれた。
その後は空飛ぶ絨毯に乗ってアラビアに帰った。

「審判」のスタンドがランプの魔神に化けている。
擦った相手の願いを聞くことで、その願い通りの物体を土から作り出し、相手を襲う。
色々ネタにされがちなSFC版では「レベルアップしたいのか」と勝手に解釈し、勝手に承太郎の偽物を3体も嗾け、斃すとホル=ホースの偽物を繰り出してくる。

四皇ビッグ・マムの3男であるダウンタウン松本シャーロット・ダイフクホヤホヤの実の能力で召喚する。
「ホヤ」とは「火屋(ランプ)」の和訳で、ダイフクは腹をランプのように擦ることで召喚する。
また『ONE PIECE BLUE』収録の4コマではビビがランプを拾ったが…。

ランプの魔人ジンが登場するが、バンドーラ一味の策略により悪のモンスター「ドーラジン」に変えられてしまう。

富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダのワンダーライドブック『ランプドアランジーナ』は『アラジン』がモデルであり、ランプの魔神が一体化する。
上記の通りイフリート=炎というわけでは無いので、本作では雷の魔神という設定である。
メタ的に言うと雷属性っぽい童話が思いつかなかったのであろう

余談

FFシリーズに限らず、様々な作品で炎の魔人として描かれているイフリートだが、先述のとおり原典においては炎の魔人ではない。
では何故こうした解釈がされるようになったのかと言えば、TRPGとして有名なダンジョンズ&ドラゴンズにおいて炎の魔人として登場したのがきっかけである。


追記・修正はランプを擦って召喚し、願いを頼んでからお願いします。

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最終更新:2024年01月08日 05:37