破壊神マグちゃん

登録日:2020/08/07 Fri 22:42:51
更新日:2025/01/13 Mon 20:58:35
所要時間:約 16 分で読めます




『破壊神マグちゃん』とは、2020年6月から2022年2月まで週刊少年ジャンプで連載されていた漫画。全77話。
作者は、ポケモンユナイトどうぶつの森メトロイドドレッドを我慢して執筆に励む上木敬。



概要

ジャンルは日常マンガ。クトゥルフ神話の邪神モチーフのと同居する人間が主要キャラクターを務める。
新人の初連載作品だが、ストーリーの構成能力やキャラの描写が新人とは思えないほど。
作中描写も細かく、小ネタもきっちり再利用を試みるなどのレベルの高さで、早々にファンを獲得するに至っている
どうやら荒木飛呂彦氏のアシスタントを務めていたらしい。

ちなみに、どっかのフリーダム邪神と違い、擬人化されてない。タコとかヒトデとか海洋生物をデフォルメした外見をしている。
だが可愛い
別にキューティな外見になっているわけではない。むしろ淡々と特徴を挙げたら化け物に属する。
物言いは仰々しく、人間を下等生物と言ってはばからないなどフレンドリーでもない。読者受けを狙った様子もない。
だが可愛いのである。大事なことなので二回言いました。何ならもう一回言ってもいい。
邪神だけじゃなく、ヒロインやヤドカリも可愛い(注:ヤドカリは一応普通のヤドカリです)。

総合してほんわかストーリーに終始しており、心に優しい漫画。大体のキャラへの好感度が高い。
その為、安寧をかき乱すキャラに対してはちょっと拒絶反応が起こりがち。


登場人物

人類

  • 宮薙流々
明るい性格の女子中学生(第一話時点で2年生)。やや能天気で、破壊神も割と速攻で受け入れた。うほほい。初対面のキャラの悉くに頭が悪い印象を抱かれている。
一方、幼い頃に父が他界し、母も「海の向こう」へ出稼ぎしているため母子家庭かつ普段は一人暮らし。食費を浮かせるために潮干狩りに精を出したりなど慎ましい生活をしている。だからあんな慎ましいのか。
普段はそんな身の上を感じさせない朗らかさだが、「母が出稼ぎしてまで働くようになったのは自分がいるせい」と考えている節があり、時折自己否定にも似た暗さをうかがわせる。

マグちゃんのことを幼馴染の姉弟に躊躇なく破壊神ですと紹介するなど、物騒な肩書を一切気にかけない。最初は一つ目タコというインパクトでぶん殴ったけど。
攻撃的な破壊しか求められなかった破壊神マグ=メヌエクの権能を専ら人のために使っていたが、それ以外の求め方=自分のために使うエゴを発揮したことで認められる。
マグちゃんとの関係は対等だが、ドジをやらかしたマグちゃんを引っ叩いて釣るしたり潮干狩り勝負でマイルールを強制したりなど、結構アレな扱いが目立つ。破壊神にそんな対応ができる時点でだいぶ凄いのだが。
一人暮らしで寂しいのもあるのか、マグちゃんを家族のようなものと認識しており、いなくなるととても心配する。

外見はぼさぼさで短めの髪、慎ましボディ、太めの眉毛と萌え・美少女というには向かない外見。だが可愛い。不思議。

マグちゃんらのモチーフがクトゥルフ神話であるため、名前の元ネタはおそらくクトゥルフが眠るとされる土地「ルルイエ」。
母親の名前は「宮薙涙依(るい)」であり、こちらも同じ由来だろう。


  • 藤沢錬
流々の幼馴染の同級生。実家は定食屋で、姉がいる。
難儀な生活をしている流々を気にかけているが、実際は好意によるもの。でも言えない。だって思春期だもの。
なお、現在のとこ、うまくいく可能性は0%
姉からは脈がないと言い切られるわぽっと出の余所者が思いの外親しくなっているわ勝ち目のない戦いを挑む姿に萌えるウーネラスに気に入られるわ何ならマグちゃんの方が異性扱いされているわと、どうあがいても絶望。
そして特別編にて、ご丁寧に未来を観測してきた第二柱により、何もしないでいたら他の人に伴侶の座を持ってかれてしまうことが判明した。ちなみに、そのまま独身END。

常識人であり、破壊神と聞いて警戒心を見せる。しかし、無闇に物騒な存在ではないとは把握しており、手を貸すこともある。
マグちゃんに学生服を借りられたりパクられたりする率が高く、「藤沢」と書かれた制服で暴れるマグちゃんのせいで「メタルバンドに天啓をもたらした単眼の宇宙人ふじさわ」だの「目からビームを放つ無敗の番長ふじさわ」だのと勝手に伝説が付加され、本人のあずかり知らぬところで崇拝されている恐るべき中学生。

少女漫画を読んで思春期男子の恋慕を学んだマグちゃんによって速攻で恋心を看破され、それを流々に教えないという「願い」のために破滅使徒血盟の書(プロフィール帳)に名を刻むことを余儀なくされた。
ナプタークとは、ゴミ箱を漁る害獣みたいな扱いだったが、色々縁あって同居生活中。頓狂な行動をたしなめることもあるが、割と相棒みたいな関係になっている。
イズマへ日本の常識や学校の勉強を教えており、なんだかんだ仲良くやっている。

名前の由来はおそらく、クトゥルフ神話に登場する架空の土地「レン高原」。


  • イズマ・キサラギ
マグちゃんを封印した騎士の末裔。イケメンだが、頭が残念。ネーミングセンスは致死レベル。
山籠もりをしていたため、世間とのずれが激しい。突然立ち止まってポーズを決めつつ独り言を呟いた挙句、煽り文に「中二心をくすぐる設定」とか書かれた。
手から聖剣を出現させ、雷を放ち、衝撃波を飛ばすなどバトル畑のキャラだが、マグちゃんには及ばないのでそうそうバトル展開にはならない。
彼の描写は妙にバトルマンガっぽく描かれるが、聖剣は警察に没収されてしまった(ごねずに素直に渡した模様)。代わりに渡された団扇を大事にしており、破損してしまったときは心底落ち込んでいた。

マグちゃん討伐が急務でないことを理解した後は、流々とマグちゃんの監視をするため高校生相当の年齢(16歳)なのに流々達の通う中学に転校してきた。そしてずっと騎士団の職務に励んでいたせいで普通にバカだった(錬によれば地頭は悪くない)ことが発覚。基本的に戦闘力以外は役に立たないが根は生真面目で純粋な良い子。
前述の通り、剣圧で離れた物を斬る、周囲を凍らせる、電気を発生させるといった魔術が自然に使えるため、理科系の問題である「燃焼させるには酸素が必要」といった理屈がどういうものかピンと来ないのが原因らしい。*1
ただし単純すぎるせいで精神攻撃には滅法弱い。
実はセンスのダサさなど客観的な残念要素は気にしており、七夕では短冊に「ネーミングセンスが欲しい」と書いている。



  • 愛倉町の人々
本作の主な舞台の住人。一つ目メンダコ・二足歩行するヒトデ・空飛ぶクリオネetcに普通に接する人たち
そりゃクトゥルーさんも呆気にとられるわ。


混沌の邪神

邪神たちは、それぞれ体のどこかしらの部位を起点として権能を発動する。
権能名もその部位に倣ったものとなっている。
また、体のどこかに序列を示すシンボルマークがある。

  • 序列第一位 『破滅』のマグ=メヌエク
「破滅」の権能を司る序列第一位の邪神。象徴する部位は「目」。
流々が名前すべてが言いづらいのと覚えられなかったので「マグちゃん」という呼称で呼ぶようになった。
破壊を司る神であり、『破滅』と呼ばれる権能を持ち、非常に高い破壊能力を有する。シンボルマークはI(瞳)。
また、不滅らしく、そのでかい目ごと真っ二つにされた時もこともなげに速攻で回復した。
52話にて本来は『存在』を司る神であることがミュスカーによって語られている。

その能力は争いで求められることが常であり、大昔にいあいあと唱える邪教団によって召喚されるも、騎士団に封印の宝珠で封印された。
時を経て封印が敗れて復活するも大幅に弱体化。熊手でアサリも掘れなくなった。
封印前は単眼と翼を持った異形の人型だったが、復活後はでかい単眼がついたメンダコのような姿。ビームを放つときはメガシンカしてちょっとかつての姿に近くなる。
人間に見下ろされるのを嫌い、よく流々の頭に乗っている。可愛い。
太ると尻になる。


人間を下等生物と言い切る尊大な性格。しかし、破壊神というが別に破壊や殺戮が好きな訳でもなければ破壊しかできないという訳でもない。そもそも破壊神と名乗ったことは一度もない
無論、手段として破壊を優先したがるが、方法を示せばそれに従い、自分で破壊以外の手段も考えて試み、何なら人間の文化・文明にも適応する。使いこなせるかは別問題だが。
話を聞かないとか人間の機微が分からないとかもなく、むしろ話をよく聞いて空気を読むことも多い。
また、供物の代価として何か願われれば基本的にそれを叶えるべく行動し、信徒の獲得を目指しているが力任せに言うことを聞かせるような真似はしない*2
知能を持ったとはいえ、ヤドカリにすら礼儀を払うなど、かなり真摯な性格。時折ドジでおっちょこちょい。
下等生物という認識も、破壊の力を争いのためにしか扱わない人間の愚かさに呆れているが故であり、邪神・悪神などと恐れられるような神ではないのが実態である。
一方、神としての矜持は強く、目に見えていようがいまいが神という概念へのあたりは強い。
また、行動基準が「力を取り戻す」「信徒から畏敬の念を集める」以外あまりなく、それ以外の頼まれないことに関しては基本的にやらない。
信仰を集めるという目的から、人々から強い関心を集めているものに関しては興味を示す。

また、仕草が色々可愛い。
アサリ両手に持って掲げたり、(自分を祀るものと勘違いしてだが)祭りにウキウキで臨んだり、プリン2つ食ってプリン型になったり、言葉で非常に伝えづらいがトニカクカワイイのである。
あと、色々食べるのが好き。時折食べたものに合わせて変形してしまうことも。ただし、食レポはかなりまずそう。

口の中は広大な異空間につながっており、いわゆる四次元ポケットのように大量の物をしまっておける。
供物として捧げられた金銀財宝があり、コンビニで支払いを求められた際はこれを大量に取り出して支払った(購入物品:プリン4個)。
性格よし・器量よし・外見よし(?)・財産あり、ともはやただの優良物件である。

破滅使徒血盟の書という名のプロフィール帳をもらい、信徒の証としてここに名前を刻ませようとする。
同じくダーク系の神であるナプタークからは魔導書の類ではと疑われているが、実際はただのファンシィィィ(効果音)なプロフ帳である。
読者である我々は刻むことができないので、単行本を代わりとしよう。
とか言っていたら、単行本には話の間に各キャラのプロフ帳のページが掲載された。


  • 序列第五位 『狂乱』のナプターク
「狂乱」の権能を司る序列第五位の邪神。象徴する部位は「口」。愛称は「ナプタくん」
他者の精神を支配できる危険な権能の持ち主…なのだが、やはり同じように長期にわたって封印され大きく弱体化。潮干狩りもできないレベルとなった。外見は二足歩行するヒトデ、といった風体で、『スポンジボブ』のパトリックから目だけをなくしたような感じ。
シンボルマークは☆。
とはいえ、マグちゃん同様不滅なのか、そのビームを直撃してもちょっと焦げてヤムチャする程度でそのうち復活する。

尊大な口調の小悪党タイプながら義理堅く真面目な気質で、「智将」を自称するが、考えが浅く調子に乗りやすいのも相まってドジを踏むことが多い。
眷属となったヤドカリにもちゃんと餌を分けたり基本的にサボることなく仕事に励んだりしている。
むしろホームレス生活を経てから加速度的に人類の生活に馴染み、鍋洗いを含めて非常に前向きに仕事に取り組んでおり最近は料理に興味津々。料理を教えることを対価として力を貸すほど。
そして、実際に教えてもらった結果、見事にドはまりした。かつて飢えていた時にヤドカリたちにもらったプリンを超えるプリンを作って恩を返すべく腕を磨いており、いずれは料理の力で支配を広げることを目論むことを目標に掲げるようになった。
よくよく考えると、こいつが権能をフルに使っていたら世界を掌握するなんて楽勝なわけで、絶対この気質のせいで無駄な(人間にとっては好都合な)行動にかまけてたと思われる。
また、尊大に見えて割と寛容であり、自分を役立たずのゴミとして火にくべたヤドカリたちに対し、激怒したりするようなこともなくちゃんと説明を試みている。
加えて基本的にアホではあるが学習するタイプなので同じ失敗はせず、実は脅威としては相当やばいレベルだったりする。


マグちゃんとの初戦に敗れ、力を失ってからはヤドカリを連れての放浪生活を始めた。
藤沢家が面倒を見るという流れになることもなく、邪神からゴミ漁りして食い繋ぐホームレスにまで転落するという散々な日々を過ごしているが読者を含めて誰も心配してない。当時の通称は「役立たずのゴミ」。
その後は錬の姉に見込まれ、雑用として彼の家に住み込みで働くことになった。
彼的に報酬のメインはまかないで、そのついでにくれる謎の金属片や紙切れの価値を知る由もなく、ウーネラスに渡せばちょっと頼みを聞いてくれるもの程度に認識していた。
その後、金の意味と価値を知り一時はギャンブルにはまってしまうも、痛い目を見たためきっちり更生してギャンブルはやめ、以後は家計簿まで付けるように。
きっちり更生してギャンブルはやめ、以後は家計簿まで付けるように。
きっちり更生してギャンブルはやめ、以後は家計簿まで付けるように。
とてもとても大事なことなので、強調付きで3回言いました。
今はきちんと給料が支払われて、休みがもらえるアルバイトの有難みを嚙み締めている。
経験を積んで一人で買いだしもできるようになり、プリンの作り方を教わる、揚場を任される、店長の許可があれば作成した料理を客に出すことも認められる、と着実にステップアップしていっている。
すっかり一人前のアルバイターである。
現在の目標は、自分の店を持つこと。
アルバイターとなり落ち着いた現在でも時折調子に乗り暴走することがあり、その様を「ナプってる」と評された。暴走すると痛い目を見るのもお約束。


マグちゃんとの潮干狩り勝負で敗北した際、破滅使徒血盟の書(プロフィール帳)に名を刻まされたため、本を魔導書と勘違いしているらしく、これを焼却して契約破棄することを目的としていた。
現在はそんなことを気にしてる素振りは皆無。

人を惑わす権能・名前のニュアンス・外見・人と同じ立場に堕ちてるとフルボッコなどから、かのニャルラトホテプがモチーフと思われる。
因みに「ヤドカリマスター・ナプターク。生ゴミをあさるコトで復活を目論む恐るべき邪神(7話の紹介文)。」を皮切りに、登場する度に如何に恐ろしい邪神であるかを示すナレーション(通称「恐るべき邪神構文」)が度々入るようになった。


一見するとただのネタ要素だが、よく考えると権能抜きで人間社会に馴染んでいっている進捗報告であり、元々結構厄介な邪神であることも踏まえると普通に恐ろしい話である。
というか、封印が解けてからの短期間で社会規範、文字、貨幣、商売、料理、建築を身に着け、作成した料理は人間が食べて十分美味しいレベルにすら到達した。
もともと支配下の下僕を相手にするのみで人間社会の知識ゼロの状態、諸々の要素は存在すら知らかなったことを考えると恐ろしいまでの学習速度である。
……その代償というべきか、もはや完全に善良な料理人と化しており、(忘れられがちだが一応)敵対しているマグちゃんを笑わせようと自作の唐揚げを取り出し、「うまい料理を食えば自然と笑顔になる」とのたまった際には「お前もう『狂乱』名乗るな」という至極もっともな返しをされている。
『狂乱』の定義を狂わす恐るべき邪神

また、他の邪神にない利点として、人間が開発した文明の利器を利用できる点がある。
最悪なことに、放送設備越しでも権能が有効である。YouTuberデビューしたら世界が終わる。
生活に必須な「音」を媒介とするため完全なシャットアウトは困難であり、人間が進歩するごとにできることが拡張していくのと同義であるため、とてつもなくヤバい。
現状インターネットを含む情報インフラに触れる機会はあまりないようだが、気づいた時、彼はどうするのだろうか……。まあ、多分何もしない。やったとしても食堂の宣伝くらい。うほほい。

全体的にポンコツ感が凄まじいが、地道にコツコツ頑張って進歩していっている様子や過去の失敗を糧とする様子は読者から好感触。
また、他の邪神からも、ウーネラスはイズマと相性が悪いと徹底的に交戦が避けられ、マグちゃんは破壊以外の策を弄してまで無力化された上でなお一切の隙も許さない監視対象とされるなど、実は周囲から超警戒されている
前述した通り、どれだけ信者を稼いでもこいつが介入しただけで瓦解しかねないので、当然と言えば当然である。
さらに、バトル最強の邪神ミュスカーに対して唯一真正面から対抗できるという、ジョーカー的ポジション。普段の扱いはババだけどな。


  • 序列第四位 『摂理』のウーネラス
「摂理」の権能を司る序列第四位の邪神。象徴する部位は「心」。愛称は「ウネさん」
「魔術の神」と例えられ、聖騎士団に手を貸して他の邪神封印のきっかけを作った裏切者。外見はクリオネだがなんか全体的にエロい
胴体部のハートとメカクレほんのり笑顔が特徴的。シンボルマークは+。
600年前かつて無力ながらも懸命に自分を討伐しようとする聖騎士団の人間に萌えの天啓を見出して以来、彼らに肩入れするようになった。本人曰く「箱推し」
本体は聖騎士団本部に拘束されて聖騎士団に協力しつつ悠々自適なニート生活を送っており、イズマにくっついているのは分体。
食事方法は暗闇に隠れていたため不明だが、クリオネモチーフなので多分例のあれ。開く音は「パグァ…」。
胴体のハートは、本体だと逆さに引っ付いた巨大でかなりリアルな心臓となっている。
イズマと行動を共にしているが本人のノリは完全な日本観光であり、登場するたびに何かしらのコスプレを披露している。


かなり俗っぽい性格で好きなように生きる自由気ままな趣味人。ついでにオカン気質のオタク。とどめに愉快犯
他の邪神らからも何を考えているか分からないと思われているが、本人は何故なのか分かっていない。
人間世界に触れた結果、寄りにもよってオタク文化に染まってしまい、今では金を使ってグッズを買うほどに(多分通販だが)。
道具を作って聖騎士団に提供するものの、彼らが苦労する姿を見るのも大好きという迷惑な人。でも、基本的に悪意はない。悪気とうっかりはあるけど
イズマに対しては母親感覚で面倒を見ており、彼の右往左往する姿や成長していく姿を好んでいる。
一方で、雰囲気重視であり、雑な調査で臨んで期待外れな結果に直面すると流石にがっくりする。

「魔術の神」の称号は伊達ではなく、権能による魔道具作成のほか、身体強化や物体投射、使い魔の操作などをこともなげに複数同時に繰り出し、肉体の液状化及びそこからの復元すら独力でやってのける。作中の描写を見るにこれらの行使に本体からの支援はほぼ無いようであり、そもそも作中で上記の能力をふるっているのはすべて小さな分身(分体)であることを加えればその底知れなさに拍車がかかる。
また、本体は自己封印状態とはいえ現在登場した上位存在の中で最大の力を保持したままとなっている。彼女が人類にときめいたままであることは、間違いなく人類にとって幸運なのだ。現状オモチャ兼推しにされてる聖騎士団はぜひとも頑張ってほしい。


  • 序列第三位 『運命』のミュスカー
「運命」の権能を司る序列第三位の邪神。象徴する部位は「耳」。
過去に何かあったらしく、現在混沌教団を率いて愚かな人間を統制しようと目論んでいる。そのためにマグちゃんを引き込もうと、無位の存在を解放したりなど暗躍していた。
他の邪神と異なり、少年の姿をとっていた。モチーフはイカ。シンボルマークは△。
その権能により力が続く限りバトルにおいては無敵を誇っており、マグちゃんですら正面衝突では分が悪い。
しかし、そこはうほほい時空ことこの漫画、ろくすっぽバトル展開に突入しないので策略もいっしょに割と持て余し気味。

マグちゃんを腑抜けにした元凶として、流々を敵視しているものの、うほほいの彼女には毎回ペースを乱される。

性格は非常に生真面目ないわゆる学級委員長タイプ。今作では貴重なツッコミ役をこなせる期待の新星。
呑気に人間社会に適応している同胞たちに呆れており、一人真面目に暗躍するのだが部下が若干アホなのもあって徒労に終わること多数。
なお、マグちゃんへの執着は個人的な感情もあるらしく、マグちゃんと同じように振る舞うゴーレム(ウネさん謹製)が自身の隠れ家にやってきた時は本物だと思って大いに喜んだ。
1週間ほどして偽物だと気づくも、結局は手元に置いている。


流々からの愛称は「ミュッさま」
当初はミュスカくんと呼ばれていたが、教団員に様を付けろと言われた結果、このような呼び方に。
当人は一切承認していないが、聞く気なし。

マグちゃんとの決戦により肉体を限界まで消耗したところを、ウネさんの策略により再度弱体化封印を施され、3頭身のマスコット的な形状まで弱体化させられた。*3
現在は力を取り戻すため、ボロアパートにて地道に栄養摂取する日々を送っている。
なお、権能と共に感知能力まで低下したらしく、同じ屋敷の中でも物体の輪郭程度しかわからないレベルになっている。
おかげで変なポーズをとっていた小深山とグ=ラを一塊に認識し、謎の生命体と思い込んでおびえていた。負けたらギャグ要員である。

作者いわく「たぶん素の運がものすごく悪い」


  • 序列第六位 『夢幻』のノス=コシュ
「夢幻」を司る序列第六位の邪神。象徴する部位は「鼻」。また、それに合わせて香りの源の1つである「花」もモチーフ。
愛称はノス子。のじゃロリ。
シンボルマークは*。
非常に怠惰な性質で、必要がない限りは常時微睡んでいる。多少雑に扱われても惰眠をむさぼることを優先するほどのやる気のない邪神。
活動させるにはエナジードリンクなどの目覚ましが必要で、それでもなお最低限の活動にとどめようとしている節がある。嗜好品としてもコーヒーを嗜む。
モチーフはおそらくウミユリ。普段は閉じた蕾かミノムシのような胴体から頭だけだしており、頭部(髪の毛?)の先端の触手を使って食事その他を行っている。

とはいえ、曲がりなりにも高位の邪神。ミュスカーの要求で権能を行使した際には街一つを容易く眠りに沈めている。
また夢の中こそ本来の領域らしく、内部では胴体の蕾が開き、夢の世界を自在に作り替えマグちゃんすら容易く無力化していた。

騒動の後は燐に従業員兼枕として雇われている
本人的にも枕になっている際に見る燐の夢を好んでおり、騒動を起こすこともなくまったりしている。






無位の存在(モノ)

神の域には到達していないが故に序列に加えられていない存在。序列組が外なる神ならばこっちは旧支配者と捉えれば分かりやすい。
現在登場している存在を見るに、人間にとって崇める意味が皆無なのも無位たる所以と考えられる。

  • 暗澹(あんたん)』のゾンゼ=ゲ
作中初の無位の存在。ビジュアルは単眼のウニ。愛称は「ウニ助」
ひたすら臆病で卑屈、そして内向的な超ネガティブな性格な陰鬱の塊。
おまけに権能の関係で人の心の機微に非常に敏感なせいで、例え陽キャラに優しくされても「気を遣って優しく接してくれるのが伝わり過ぎて辛いー!」という理由で暴走するめんどくさい問題児。
一応本人には一切悪気はなく、ゾンゼ=ゲ自身気質は善良な部類に位置するため、人類を見下すような真似は一切しない穏健な存在。ただ、下等生物呼ばわりではある。


300年前に聖騎士団に封印されるも何者かの手で復活させられると学校に迷い込み持前の性格から短時間で学校を機能不全に陥れ、恐惶した結果流々にすら手を出そうとしたことで一時はマグちゃんに討伐されかかる。
……が、良くも悪くも裏表のない純真なワルガキ故に自身の権能を無条件で無効化する尾瀬唯歌と出逢い、裏表の無い性格の持ち主という今まで出逢ったことの無かった人種に感動。
以後部室の水槽で生活することを決め、その後も彼女にくっついて行動している。


  • 『金剛』のグ=ラ
無位の存在その2。ビジュアルはカニ。愛称は「グラッシー」
ナプターク以上に口が悪くキレやすい暴力的な性格だが、実態は邪神系ではぶっちぎりのアホの子。
非常に単純で脳筋。おまけに煽てに滅法弱く、簡単に口車に乗る。
自分の力を何より絶対と信じて他人の評価を気にするタイプで、自分が序列に加わっていないことを不満に思い、自分がバカにされていると思い込んでいた。


街の近所の海を縄張りとしてマグちゃんに勝負を挑もうとしていたが悉くあしらわれたり自らアホを露呈したことで和やかムードになったことに耐え切れずキレて暴力行使をしようとしたが、小深山に正体を暴かれ呆気なく敗北。
しかし小深山に慰められ、同情の無い真摯な共感を知ったことで彼女の元に居つくようになった。
なおその後は手をハサミに変形させお菓子の袋を開封するなどの権能の生かし方を見出し新たな生活を快適に生きている。
なお、権能ありきとはいえ身体能力は作中でもトップクラス。木材程度なら容易に切り分け、崩落に埋まってもびくともしない。


邪神の眷属

  • ヤドカリ
ナプタくんに支配されたヤドカリ100匹。通称「狂乱の軍勢」。細かいことに、全て貝殻のデザインが違う。歩く時の効果音が「カリカリ」。
支配された影響か知能が上昇しているらしく、ナプタくんを「りーだー」と崇める。ひもじいりーだーに食べ物を持ってきたりなど、献身的な眷属。実は結構起用。
ただし、仕方ないとはいえ頭はよろしくなく、ナプタくんを役立たずのゴミとして焼却してしまったことも。*7
マグちゃんと違い、ほぼデフォルメなしのただのヤドカリだが、舌足らずで素直な所とかが可愛い。
流石に100匹まとめて行動はせず、シフト制で何匹かがナプタくんのそばにいるスタンス。
また、この他にも「海原の覇者」というでかい鮫も眷属となっているが、ナプタくんはトラウマになってしまっていて近づこうとしない。
鮫の方も割と無邪気な性格になっており、近寄ろうともしない主を引き続き慕っている。

  • チヌ
マグちゃんの眷属的なもの。子犬。もちろん可愛い
実は飼い犬なのだが、迷子になっていたところをマグちゃんに拾われた。同胞2人(ナプタくん、ウネさん)が眷属を持っていることを密かに気にしていたマグちゃんによって「血濡れし漆黒の猟犬」と名付けられ育てられる。「チヌ」は「長いし可愛くない、ワンちゃんっぽい呼びやすいのがいい」という流々の提案によって付けられた略称。
最終的には飼い主が見つかったことで返還されるも、迷子になっていた間にしつけがちゃんとなされていたため、散歩をさせてもらったりなど円満な関係が続いている。名前に関しても、飼い主が名前を決める前に迷い犬になった・チヌ自身名前を気に入っているようだった……という理由で正式に「チヌ」となった。
散歩の際はマグちゃんの触手が首輪代わりに巻かれている。

  • 白翼の運び手
伝書とかをやっているウネさんの眷属の白鳩。多分メス。
ただしメンタリティは聖騎士団側であり、ウネさん以外の邪神に敵意を抱いている。くっころ枠
理屈を通せば邪神サイドでも話を聞いてくれるタイプ。


うほほい

何かというと、流々ちゃんが知性を感じられないポーズで描かれた際に書かれた擬態語。
何とも知性を感じさせない語感から、彼女のキャラを示す際に使われる。

で、それが何かというと、このうほほい、とても凶悪なのである。
宿敵やライバル登場によるバトルの予感も、人類を敵視する上位邪神によるシリアスの雰囲気も、イケメンのちょっとドキッとしそうなラブの気配も、うほほいの前ではすべて無に帰る
フラグは立った瞬間に彼方へと消えるし、各キャラは思考回路がうほほいへと感化されていくという、恐るべき逆フラグブレイカー。
いかなる展開もうほほいへと収束する道を逃れられない有様は、他作品の呼称を借りるなら「二重の(意味で)AFO」「知能限定の却本作り」「非ボケ天然ボーボボ
一部では権能扱いすらされている。

回避するためには流々を曇らせる以外ないが、そんなことを口にすると過激派から人体に優しいランチャーでズドンされるので天命に身を任せるしかない。
でも彼女の泣き顔で何かに目覚める信徒もちらほら。


余談

上記のように高い構成力と不快感の無いキャラたちによって展開する笑いありほっこりありの内容となっているのだが、狙ってか狙ってないのか、あまりに陰惨な展開が続く『チェンソーマン』のすぐ後に掲載されていることが多く、傷を負った読者の心を癒すメンタルケア邪神マンガというなかなか珍しいポジションを獲得している。チェンソーマンの連載終了後も、色々メンタルダメージが巻き起こる本誌の中で回復役を務めている。



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最終更新:2025年01月13日 20:58

*1 問題の内容は不明だが彼の書いた答えは「ファイア・エレメント」だった。

*2 流々に吊るされて、彼女から敬意が感じられないと考えた時も、自分が神としての威厳を示しきれてないからという結論に至っている。

*3 ウーネラス「二度とシリアス出来ない身体にしてやったわ…」

*4 ミュスカーの元ネタと思われるハスターの更に元ネタが登場する「羊飼いハイタ」に登場する羊飼いの少年ハイタがモチーフか

*5 邪神に与して厄災を齎したと誤解を受け迫害され、少年の言葉と共に意味深な大きな石が描かれている

*6 そもそも、本作の邪神は序列が上になればなるほど価値観が俗世のそれとズレていく傾向にある

*7 「マグ=メクエヌの手先と成り下がった役立たずのゴミを火に焼べろ!」と命令した際、マグちゃんのプロフィール帳にナプタが名前を書いた→マグちゃんの手先。何もせずに命令するだけ→役立たず。ゴミ箱に入って食料を漁る→ゴミ。と認識してしまったため