地球連邦軍(宇宙世紀)

登録日:2025/09/22 (月) 21:26:52
更新日:2025/09/23 Tue 00:01:59NEW!
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E.F.S.F.
EARTH FEDERATION
SPACE FORCE


『地球連邦軍』は宇宙世紀ガンダム作品に登場する組織。


概要

英名はEarth Federation Force(略称はE.F.F.)
特に宇宙軍を表すE.F.S.F.(Earth Federation Space Force)のマークはガンプラのデカール等でよく見る。

宇宙世紀世界における、最大にして最も長期に渡り活動した人類統一国家・地球連邦の軍事組織。
西暦末期の連邦政府発足と同時期に、旧アメリカ合衆国軍を母体に連邦加盟国の保有軍を合併し、部隊の再編や装備品の規格統一をする事で創設された。

宇宙世紀0079年頃〜0087年までは南米のジャブローに参謀本部(総司令部)を置いていた。それ以前は不明。

徴兵制が敷かれている描写は無いため、おそらく志願制。
ただし、ホワイトベースのクルーは成り行きで軍属にされているなど、一年戦争時は少年兵も多かった。
これは、当時ジオンの虐殺で人口の半分が死亡したことが原因。「全人類の半分が死亡」ということは、矢面に立った連邦軍人は半分どころか大半が戦死したということであり、とにかく人手を集める必要があったからである。
小説版では「慢性的な人手不足のため、パイロットが整備士とともに機体を調整するなど、一人の人間が複数役を兼務するのは当たり前」と言及される。『逆シャア』のチェーン・アギも、整備士ながら機銃の操作からMSの操縦まで一通りこなせた。
また、士官学校卒でないと佐官以上に昇格出来ない。
と言っても、現実の現代軍隊なら士官学校を出ずに尉官になることすら難しいのでおかしなことではないが。*1

その活動範囲は地球圏全域とされ、地球のみならず、月並びに7つのサイドにまで駐留軍を置く。
ただし、0058年になされたサイド3による独立宣言後は、0100年まで主権の及ばない”外国”が存在した。
また、火星アステロイドベルト木星までは未だカバーしきれていないようであり、そのためか、地球圏を追われたジオン残党やティターンズの逃亡先にもなっている。

第1作機動戦士ガンダムでは、主人公であるアムロ・レイやホワイトベース乗員…の中の民間人が(やむなく)属することになった軍隊として登場。
レビル将軍などアムロ達に期待する軍人が居る一方、ゴップら参謀本部の将官など、WB隊を「永遠の厄介者」扱いする者も居た。

しかし、戦況膠着で軍規が緩み荒んだ兵卒が出てきたり総じて堅物で融通のきかない硬直した官僚機構である描写はあれど、地球連邦軍は一貫してジオン公国軍との戦争に対処する主人公サイドの後続の作品群に比べれば割と真っ当な軍隊として描写された。

だが、『機動戦士ガンダム(小説版)』そして、『機動戦士Ζガンダム』以降、この軍隊及び連邦政府は「腐敗」していることが幾度となく言及されるようになる。

軍閥台頭、条約違反の核兵器配備、毒ガスによる虐殺、内戦、人体実験、出動すべき戦争に参加しない、前線で戦っている部隊に無礼極まりない事を言う、金塊で懐柔されての隕石の売却、巨大企業との癒着、人狩りなどなど、未来の統一国家というよりは途上国の軍隊かのような愚行*2が度々描写され、宿敵であるジオンとその継承組織とともに宇宙世紀を混迷の闇に陥れた。
そして、0100年にジオン共和国の自治権が消滅すると、その堕落と慢心ぶりをますます加速させていった。

ただし、虐殺が国是だったジオン公国や過激派のみで構成されている残党組織などとは異なり蛮行はあくまでも一部の暴走であり、問題が起きれば何かと事態の鎮圧を図ってもいる。
また、危険すぎる団体についてはどれだけ強大でも明確に敵対する元一般人の主人公達も連邦の腐敗を嘆くことはあれど敵視している者はほぼいないこともそんな危険な組織ではない証左と言えるだろう。
また、これらの主人公達でも連邦を褒めるなどの発言は全くと言って良いほどないため、少なくとも連邦側は思想誘導などを行っていないことがうかがえるクリーンっぷり。
そういった反動もないので「連邦相手なら何をしても良い」なんてのは本当に一握りのやばい人らの思想である。

身も蓋もない事を言えば、「初代の時点で連邦が強すぎた」と言うのが、この辺りの腐敗のメタ的な原因とも取れる。
いくらジオンに国力がないとは言え、1月のルウム戦役の時点で地球連邦軍艦隊は50%以上を喪失しているにもかかわらず、凄まじい速度で再編成が行われ、4月頭のV作戦承認から半年経たない9月にはガンダムが出撃、11月にはジムが量産され実戦配備されている。アナハイムの暗躍が有ったと言えど、この辺りは兵器開発ペースとしては異常。
それを実現する国力が連邦に有ったと言う事であり、連邦が強すぎて腐敗していないと話が始まらないと言う作劇の都合が大きいと思われる。
そもそも初代の時点ではこんなに長く続ける予定はなかったので、仕方のない事ではあろうが。

0123年のコスモ・バビロニア戦争では初期の対処に失敗。
戦艦ラー・グスタ隊が驚くべき練度を見せつつ参戦したり、月からの援軍艦隊が出動した一方で、ストアスト長官なる政府高官に至っては「酔っ払い同士の喧嘩みたいなもの」と言い放つ始末。
結果的にフロンティア・サイドの住民は半ばクロスボーン・バンガードの生贄として捧げられた扱いで、宇宙に対する興味を連邦が失ったことが、後の宇宙戦国時代を招くことになる。

…そもそも宇宙戦国時代開幕の発端は、スペースノイドの高度な自治と一年戦争のころから強く主張されてきた思想が形はどうであれどいざ実現したわけだが、やってみたら思ったよりもうまく行かないし大変だし*3、連邦に頼るにしても連邦軍も連邦政府も地球環境自体も何もかもガタガタなんだよ!念願の自治独立だろう?治安維持くらい自力でやれ!!」として放置されたという、スペースノイドの長年の理想が達成された結果の末路、という事態に陥った。
理想自体には一定の理論こそあったが、その道筋やその後の見通しの甘さは、厳密には違うが結論としては典型的な無政府主義の結末のようなものだったと言える。

そして0153年のザンスカール戦争に至っては、対ベスパ主戦力は民間のレジスタンスであるリガ・ミリティアという有様であった。
ちなみに、リガ・ミリティアは連邦軍が動かない事を予期した上でMSの開発に乗り出している辺り、当時の連邦軍の覇気の無さが窺える。
ただしこの時にも、有志が募って形成されたバグレ隊や連邦軍に属するムバラク艦隊などが参戦し、事態解決に大きく貢献していた。
「このムバラク艦隊の合流がなければ、リガ・ミリティアはザンスカール帝国には勝てなかった」とも言われており、劇中でも合流後はムバラク大将が連合艦隊の主導者となっていた。

0200年代に入ると警察機構の特殊部隊であるマハの権勢に押され、軍の統帥権すら彼らに握られていた。
事態の深刻さに気が付いた連邦政府は反連邦組織のメタトロンとの裏取引によって独自行動を開始したマハ勢力を壊滅させ、メタトロンを連邦軍に吸収する。
しかし、この事実は本来は単なる警察機構に好き放題された末に内部の問題の解決を反連邦勢力に頼ったことになり、連邦の致命的な弱体化と規律の無さを表しているとも言える。

そして0217年、連邦軍はサイド制圧に乗り出した事で激しい抵抗に遭い、地球連邦政府共々組織が崩壊する。
しかし、連邦軍はそのままセツルメント国家議会軍として再編された。
また母体のセツルメント国家議会も、親連邦派の各サイドが連邦と合流する形で成立しており、「連邦政府と連邦軍による安定を求める人たち」も大勢いた模様。実はセツルメント国家議会に合流した勢力はかつて激しい独立運動が勃発したサイドで構成されていたりする。かつての独立運動とは何だったのか
また、セツルメント国家議会の中では連邦の復活を望んでいる者もおり、セツルメント国家議会の解散とセツルメント国家議会に合流しなかった勢力の新連邦への吸収を目指し、世界各地で食糧危機などを煽るために工作活動に励んでいる。

一方でGQuuuuuuX版では主力兵器をジオンに奪われたためMS開発が停滞し結果的に敗戦。国家こそ存続しているものの宇宙の支配権はおろか地球の一部地域をジオン支配下にされ本編でも全くと言って言っていいほどスポットライトが当たらない始末に終わっている。
なおジオンのタカ派もなんだかんだで一掃されているが、この世界の未来がどうなるかは現状不明である。内輪揉めからの際限なき内紛なんてガンダムシリーズではいつものことだし

余談だが、澤野弘之氏が作曲したガンダムUCのBGM「E.F.S.F」は、どう聴いても正義の味方のテーマとは思えない重苦しい重厚で尊大なサウンドで構成されている。

軍政・軍令・指揮系統

地球連邦軍は四つの軍種(陸軍海軍空軍及び宇宙軍)で構成され、劇中でクローズアップされるのは主に宇宙軍である。
連邦宇宙軍は設立が意外と遅く、U.C.0060年代の「60年代軍備増強計画」でやっと発足した。これは0058年にジオン・ズム・ダイクンの独立宣言があったためである。
61式戦車の存在や、それ以前の戦車としての43式戦車の設定から、地上軍は以前から活動していたようだ。

従来の設定資料集等によれば、連邦政府には軍政機関として陸海空軍を束ねる地球軍省と宇宙軍を所管する宇宙軍省があり、その上級組織として最高幕僚会議や連邦安全保障会議が存在する。
また、参謀本部であるジャブローは軍令機構としての側面から地球軍と宇宙軍を統括しているようである。
ほか、情報部や軍法会議の存在も確認されている。

ジャブロー又は参謀本部については、度々現場の連邦軍人達から「現場を知らない快適なオフィスで派閥政治を繰り広げる」「ジャブローのモグラ」の巣窟のように揶揄される*4
もっとも、このジャブローで艦隊再建に尽力していたマクファティ・ティアンム提督や、兵站の維持に奔走したゴップ大将など、実際には彼らの貢献も大きいものであるのだが。

ティターンズの謀略で核爆発した後は拠点機能をニューギニア基地等に移したらしいが、0093年にはラサに本部を置いている。
隕石が落ちた時には高官が真っ先に逃亡して本部は吹き飛んだが。

陸軍は『08小隊』で登場するが、海空軍は取り上げられる機会が少ない。
精々地球に於ける軍高官の勢力争いが描かれている『オレら連邦愚連隊』にて、地球軍の将軍とそのお供数名が登場した程度。
これに関しては、敵対勢力が大規模な海軍や空軍を持たないから、というのが原因な模様。
MSV-R ジョニー・ライデンの帰還によれば、存在意義を失わないよう、ジオン残党を秘密裏に海軍が支援しているという相変わらず碌でもない描写がある。
『UC』小説版でも反連邦勢力と地球軍が実は癒着しており、軍事予算を確保できるようにわざわざ予算審議の時期を狙って限定テロを起こしているという描写がされている。そんなことしていたら予算が不足するのも当然では…?
因みに『閃光のハサウェイ』に登場するダバオ基地は空軍の管轄である。
また、連邦首都が月に移った後は陸海空軍は更に冷遇され、地球軍に纏められてしまう。

『THE ORIGIN』アニメ版においては、一年戦争開戦前の時点でゴップが統合参謀本部議長であるとの描写がなされ、原作後期には元帥に昇格しており、彼が当時の連邦軍最高位の軍人であるとの設定が追加された。近年のゴップageがすごい。

0083』劇中ではジーン・コリニー提督の派閥が軍内で隠然たる影響力を発揮しており、彼が宇宙軍のトップであった可能性は高い。だが、腹心の部下であるジャミトフ・ハイマンティターンズを創設して以降の動向は不明である。

『Ζ』劇中では、あくまで連邦の一特殊部隊であるティターンズの指揮下に連邦軍が収められる法案が可決されるという異常事態が起こっている。
また、ティターンズとエゥーゴの抗争激化に伴い、ティターンズはジャブローを核爆発させて拠点を放棄。以後はラサに移ったとみられる。

ZZ』ではそもそも第一次ネオ・ジオン抗争に殆ど参戦せず、かつては反乱軍であったエゥーゴとカラバ*5にその対処を任せる体たらくぶりのため、指揮系統には不明な点が多い。
連邦なりの宥和政策だったらしいが、ティターンズ壊滅から1年も経過していない内にえらい揺り戻しである。

ただ、ニューディサイズによるぺズンの反乱時には部隊を送り込むなどの対処してはいる。
また第一次ネオジオン抗争末期には、連邦艦隊がアクシズに攻め込んだ。ハマーンとグレミーの内紛を察し、消耗を待っていたとも考えられる。

逆襲のシャア』ではアデナウアー・パラヤ参謀次官が新生ネオ・ジオンとの交渉のために宇宙へ上がる。が、元々参謀とは軍令機関のため、その次官が文官らしいアデナウアーというのがよく分からない…。

UC』ではラプラスの箱に纏わるゴタゴタを片付けるべく、参謀本部がゼネラル・レビルを友軍であるはずのネェル・アーガマに差し向ける。そこにはビスト財団のマーサ・ビスト・カーバインの意向が反映されており、今作の連邦軍はトリントン基地やダカールの防衛隊等地方基地部隊は除いてほぼマーサの私兵である。

NT』では参謀本部のマウリ・レホ中将がルオ商会のミシェル・ルオにシンギュラリティ・ワンに関わる資料を提供している。ゼネラル・レビルは撃沈された。

『閃光のハサウェイ』ではメジナウム・グッゲンハイムという人物が宇宙幕僚長官として登場するが、当職が宇宙軍最高位の役職かは不明。

F91』や『V』などの時代は、もはや参謀本部どころか現場の部隊の描写しか無いため、どのような指揮系統で運用されているのか不明である。
サイド2駐留軍に至っては、サナリィ・サイド2支社共々ザンスカール帝国の軍事部門であるベスパの母体になっており、本部の指令が届いていたのかも怪しい。
ただ『F91』のわずか三年前である『F90』では、参謀本部主導のもと火星までの大規模遠征計画が組まれ、『F91』では月からの援軍艦隊が出動したりと、120年代まではちょくちょく真面目に動いている描写がある。

また『V』ではムバラク・スターン大将の艦隊が参戦。
このムバラク艦隊、ムバラク大将自身が指揮する艦隊のほか、義勇兵のような形で各地の連邦軍将兵が参加したものであったらしい。
連邦軍内部の「主流派」は矢面に立つことを嫌がり、そうした主流派の停滞ぶりを見限った連邦軍内部の有志=非主流派が集まって「ムバラク艦隊」を構成したという。
軍閥化とも言えるほど成立過程はひどいものだが、彼らは「連邦軍人」という意識でもって動き出し、リガ・ミリティアと協力して戦ったのであり、この150年時点でも連邦軍の実力はいまだ健在ではあった。

ちなみに非常に不思議なことであるが、部隊員同士の結束は非常に硬い。
主人公達の所属する善良な部隊は愚か、チンピラめいた奴らでも仲間同士の相性は悪くなく、仲違いの様子もそれほど多くはない*6
他方、別部隊同士となると手柄の取り合いや連携ミスの類も少なくなく、MS隊に戦果を取られたくない戦闘機部隊が先行して基地を爆撃するも反撃を食らって全滅するという失態もあったりする。

【特殊部隊】

地球連邦軍には様々な特殊部隊が存在するが、中でも代表的な部隊を一例として示す。

ティターンズ

デラーズ紛争の結果、ジャミトフ・ハイマンによって創設されたジオン残党狩りの特殊部隊。あまりにも色々やり過ぎて最終的に反連邦組織に認定された挙句、グリプス戦役をもって壊滅した。

生き残りはエゥーゴに寝返った者や離脱した者はアナハイムの重役の娘と結婚したり、ロンド・ベルに配属、または偽名で地方の基地配属と幸運な道を辿ったが、そうではない大半の構成員は本来なら、狩るべきネオ・ジオンやジオン残党に機体ごと加入、または残党化してロンド・ベルに狩られたり、軍事裁判で死刑判決を言い渡されたり、退役して民間軍事会社に就職、月面都市で暮らしたり、オーストラリア方面に逃げてジオン残党に装備を売る武器商人及び傭兵になる、火星に逃げてジオンのゴタゴタに介入したりと実に様々。
ジャミトフはとある目的を遂行するためにティターンズを組織したのだが、シロッコが断片的に語ったのみでその真実がTV版や劇場版で明確に語られてはいない。
また、ジャミトフはラプラスの箱を探していたようだが…。

BGST

正式名称「連邦軍対破壊工作特殊捜査旅団」。連邦宇宙軍による対テロリスト専門部隊であり、軍警察としての機能も持っている。
創設者一族のツルギ家の影響が非常に強く、ツルギ家が日系人の一族であることからメンバーには日本文化に影響を受けた者が多い。シン・フェデラルとの抗争の後に衰退した。

地球連邦軍教導団

0085年に設立された、連邦軍のMSの戦闘技術の開発や研究を担当している特殊なMS部隊。小惑星ペズンに駐留している。
構成員はエリートが選ばれているが地球至上主義や選民意識を持った者が多く、後に連邦が親エゥーゴになったことに将兵達が反感を抱く。
やがて連邦政府に従う上層部の方針に反発する将兵がペズンで武力蜂起を起こし、「ニューディサイズ」を結成する事件「ニューディサイズの反乱」が勃発した。
一応後年でも同じ系統の組織が活動している。そして、特殊なガンダム絡みの騒動にまたもや巻き込まれる。

ロンド・ベル

ブライト・ノア大佐を司令とする特定の管轄を持たない独立部隊。アムロ・レイも所属する。
ティターンズ暴走の反省を受けて、その規模は一個艦隊程度と、あちらと比べてかなり小さい。ただし運用設備については最新鋭機材が配備されている。
危険な武力行使の恐れがある反連邦勢力に対処するために創設され、そのために単なる戦闘部隊ではなくコロニーに対して独立捜査権を与えられているが、設立当初からティターンズの再来として警戒されており、結局シャアの行方を掴む事は出来なかった。ジョン・バウアー*7なる良識的な兵站担当の参謀の後押しで創設された。
前述したロンド・ベルの独立捜査権はシャアの反乱では身を結ばなかったが後に意外な形で結果を出すことになる。

ECOAS(エコーズ)

Earth,COlony and ASteroidbeltの略。「地球・コロニー・小惑星帯」、転じて「活動場所を選ばず」の意味。
参謀本部直轄の特殊部隊であり、文字通り地球圏のあらゆる領域を活動範囲とする。
マン・ハンターという蔑称もあるが、前述の警察組織とは全く別系統の組織で特に関係ない。
汚れ仕事をさせられた結果、忌み嫌われているマン・ハンター呼ばわりされている。

その他関連組織】

FSS

Federation Survey Service。
地球連邦軍の外郭団体。一年戦争終結後、ジオン脅威のメカニズムの調査を目的に設置された兵器群調査委員会を母体とする。

シン・フェデラル

デラーズ紛争の記録抹消に反発したカネサダ・ツルギによって設立された反連邦組織。
反連邦組織ではあるが、デラーズ紛争における連邦軍関係者や教導団ネメシスに所属していた者が参加しており、後述のエゥーゴのように連邦宇宙軍の軍閥という扱いである。
サイド1やアナハイムといった勢力と関係性を築いて拡大し、ティターンズやBGSTと対立した。
最終的に対立するBGSTのスポンサーでもあった連邦欧州商工会議長のリチャード・グレイソンによる事実上の組織の乗っ取りが行われた末に壊滅する。

エゥーゴ

軍人でありながら連邦議会議員の資格も持つブレックス・フォーラ准将が率いる、反ティターンズの連邦軍人やジオン残党員を中心に構成している反連邦組織。
反連邦組織という体裁なので勘違いしやすいが、一応は地球連邦軍内の一派閥、もしくは結社という組織。
グリプス戦役でティターンズを反連邦組織扱いに追い込んで勝利し、戦後の連邦軍の主導権を握った。
しかし、その勝利と引き換えに指導者層の消失で組織としては大きく弱体化し、最終的にはロンド・ベル隊への発展や過激派のジオン系構成員の離脱などで消滅した。
軍閥ではあるが政治家も参加していたようで、エンゲイスト・ロナはエゥーゴ派のサイド2議員として頭角を現した。

キュクロープス

ザンスカール戦争後の宇宙戦国時代の最中に頭角を現し始めた連邦軍内の軍閥。
サイド1に存在する宇宙要塞「ティターノ・マキア」を拠点に地球圏の治安維持を掲げて活動しており、ティターンズの末裔を自称する。
独自開発したMSを保有しているが、その内情は時代遅れなティターンズ製MSの改修品や既存の主力量産機の劣化品が大半で宇宙戦国時代激化の悪影響を受けている。


マンハンター

地球連邦政府内に存在する警察機構。
地球に滞在する不法居住者の摘発を行っており、その理念だけならば間違ってもいないのだが、多くの人間を無差別的に拉致し、遊び半分で人を殺害する行為すらも厭わないことから多数の被害者を生み出し続けた。
宇宙世紀100年代後半には後継的組織「マハ」が設立されている。

メタトロン

シャア・アズナブルを慕うグループが立ち上げた、ジオンの名前やシャアの思想を利用する組織。
宇宙世紀0100年代後半から反連邦政府組織としてマハと対立しており、後にシャアのクローンとされるアフランシ・シャアを組織に迎える。
マハの勢力拡大に不信感を抱いた連邦政府と長年の活動やアフランシへの失望から疲弊した上層部の利害が一致し、連邦政府はアフランシの抹殺や軍事力の吸収を条件にメタトロンを連邦軍の傘下に迎えることになった。

【連邦軍の兵器】

一年戦争序盤までは宇宙戦艦戦闘機を主体とする艦隊を主力戦力としていた。
ただしジオンからの亡命者や諜報活動によりジオンがモビルスーツという人型の兵器を運用しているということ自体は掴んでおり
それにどう対抗するか、同じものを作れるのかという研究自体は一年戦争の前から行なっていた模様。
開戦でジオン公国の開発したモビルスーツと、電子兵装を使用不可能に陥らせるミノフスキー粒子の効果を体感してその研究を加速させたために連邦軍の戦術と兵器体系はMSを主体に塗り替えられた。

一年戦争中は、驚異的戦果を挙げたRX-78-2ガンダム、そして、その量産型であるRGM-79ジムを起点に、様々なバリエーション機を開発。
戦後はジオン系企業を買収したアナハイム・エレクトロニクス社と共に、連邦軍再編に合わせてガンダム開発計画を始動させるも、デラーズ紛争の結果、計画は闇へと葬られた。

ただ、星の屑作戦が引き起こされるまで、宇宙軍内ではMSではなく戦艦中心の編成が未だ主流だったようである。
「MS運用を前提とした巡洋艦」アレキサンドリア級重巡の開発も「星の屑作戦」前の時期から行われており、「戦艦・空母・MSの三種類の兵科を組み合わせた艦隊思想」を理想とした説もある。

その後勃興したティターンズはアナハイムや旧ジオン系企業を締め出した独自のMS開発を推進。
ガンダムMk-Ⅱのほか、ジム・クゥエルを起点とした兵器体系であるTR計画においても数々の成果を挙げた。え?最終成果のTR-6が他の機体共々火星で量産された挙げ句にジオンの内輪揉めに使われてるって?

ティターンズ壊滅後のMS開発はAE社に殆ど依存しており、本来はエゥーゴへ供給するためのMS開発プロジェクトとして立案されたZ計画の系列機は、第一次ネオ・ジオン戦争以降、連邦軍の戦力として運用され、更にその発展機も連邦の主戦力として供給される。

また、0100年という節目のため、連邦軍はドゴス・ギア級2番艦「ゼネラル・レビル」を象徴として再編計画を進め、再編の要となるフラグシップMS開発計画「UC計画」をAE社に委託した。こいつらいつも再編してんな。

しかし、大型化と複雑化が進むMSとそれに伴う整備費の高騰から、連邦軍は次期主力MSに不安を覚え、これに対して海軍戦略研究所、通称サナリィがモビルスーツの小型化を提案。
これを受けてAE社によりヘビーガンが生み出され一応は採用されるも、連邦もサナリィも満足させられない程度のMSであったため、
サナリィはフォーミュラ計画を始動させ、小型化された高性能機F90を開発する一方、AE社は挽回のためヴェイガン製と言われた方がしっくりくるデザインのMSA-0120をお出しするが、コンペでサナリィに負ける。

以後、サナリィはF91などの傑作機を連邦軍に供給していくが、アナハイム社との"付きあい"が深い連邦高官の意向もあってアナハイム製のMSも採用され続けた。

0119年には、ヘビーガンの後継機のジェムズガンが連邦軍の主力MSとして採用され、宇宙仕様であるジャベリン共々、30年後のザンスカール戦争でも使われているが、精強なザンスカール軍の前では流石に心もとない性能と言わざるを得なかった。クロボンに出てきた量産型F91と133式ボールどこ行った

ザンスカール戦争以後の宇宙戦国時代では流石の連邦軍も地球圏の混乱に巻き込まれ、ジェムズガンをデチューンして使わざるを得ない状況にまで落ちぶれるも、過去の蓄積による豊富なデータや連邦軍の復権に意欲的な人物の意向もあり、最終的には一度途絶えてしまった様々な最先端技術の再現が可能な程度にまで回復している。

【連邦軍と財政難】

一年戦争では緒戦で大打撃を受けるも、すぐさま対抗策としてガンダムやジムをロールアウトし、壊滅した宇宙艦隊もジムの大量生産と合わせてあっという間に再建した地球連邦軍。
戦後も続々と新型機を開発・投入していることから資金は潤沢と思いきや、実際の所は結構な財政難である事が明かされている。
例えば旧ジオン軍のMSを接収しカスタマイズを施した上で運用したり、ガルバルディβのように再設計して量産が行われていたりする。

それでも新型機の配備は進められているが、ジオン残党軍との戦いの前線であった宇宙軍に比べて、地上軍への配備(特に重要拠点でない箇所)は遅れ気味。
例えばグリプス戦役の頃はジャブローでは未だにジム・スナイパーカスタム等の旧式機やセイバーフィッシュ等の航空機が現役であり、0091年頃の地上の後方支援隊ではジム改が現役で稼働しているし*8、ラプラス事変の頃のトリントン基地には、グリプス戦役の機体であるジムⅡやネモ、ガンキャノン・ディテクター、果ては一年戦争のアクア・ジムやガンタンクⅡが未だに主力機として配備されていた。一部にはリジーナやセイバーフィッシュ、プチモビやホバートラックみたいな骨董品レベルの物まで使われていた*9

0100年以降の小型モビルスーツ導入の方針も、そもそもはモビルスーツ含めた軍の運用コストの削減の為*10
しかし破滅主義的な勢力は当然として、そんな事もわからない敵対勢力やよりにもよって環境指向を標榜する勢力ですら昔から地球環境を汚染するような作戦ばかり取るものなので、時代が進むにつれて連邦軍・連邦政府はますます財政難に苦しんでいったと思われる。

ただし財政難である一方で兵士達に対しての福利厚生はしっかりしているらしく、兵士たちがジャブローに訪れた際にはできる限り面談をしたり、ルナツーに入港する軍艦にはレクリエーションサービス班が用意されたりと、いろいろと気を揉んでいた。
特に食事に関しては十分な量が供給されていたらしく、とある人物は「少なくとも前線で飢えた事はない」と証言したり、戦艦が避難民を乗せて尚且つ敵の攻撃を受けるまで、流石に平時より量は減らされていたようだが食材に不足しなかったというも存在している。
またとある基地では「人参は要らない」と好き嫌いする士官逆に大量にふるまったという事実すらある。この士官は後にも人参チャレンジを行っている。
笑い話ではあるがこの事を考えると一人に決められた食事量以上を与えられる余裕があるという証拠とも言える。
他、極東方面と言った激戦地に置いても食事の配給は忘れずに行われていた形跡もある。
ただし味に関しての感想は不思議な程無いのでもしかしたら本当に「飢えないだけ」だったのかもしれないが、少なくともブライト・ノアハンバーガーを気に入っておりしょっちゅう食べていた。
後に、こういった兵站面に関してはレビルの盟友であったゴップの働きが大きかった事が語られている。

他にも人員に余裕があるためか作戦においても大規模な人員投入や入念な整備、相談が行われている節がある。
面白い描写として「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」に登場する特殊部隊であるホワイトディンゴ隊は、隊長のレイヤーが「我々は24時間いつでも出撃可能がモットー」という覚悟はありながらも、夜中に叩き起こされて任務に就くことは稀と説明されている。
要するに各部隊の穴埋めの為にオーストラリアを転々とする彼らにもよほどの事がない限り十分な休息を取らせていることを考えると、案外ホワイトなのかもしれない。
時系列を追えばわかるがホワイト・ディンゴの設立準備や訓練期間を抜いた「実戦」は40日程度で終戦を迎えており、当該発言も約1ヶ月後のことなので夜中に突然起こされる事態が1ヶ月に複数なかったというのは理解できる範囲である。
また小説版FGとこの「コロ落ち」では、一般的な連邦軍ではMS一機につきパイロットが最低三人は用意され、ローテーションを組んで24時間体制を維持する旨の記述がある。
アムロやレイヤーたちはいずれも特殊部隊なので一機につき一人という変則的・過労気味な状態になっているが、本来はそれぐらいが基準とのこと。
しかし同作や小説版「ジオニックフロント」*11の中でもジオン側では「MS一機につきパイロット一人」というのが一般的であり、少なくとも「疲労の分散」と言う点では連邦側はより重視していたようだ。

ちなみにジオン側の同じオースラリア方面軍のエースパイロット「ヴィッシュ・ドナヒュー」は休みもなくオーストラリア全土に派遣されていることを愚痴っているシーンがあり「人手に余裕のある勢力と余裕のない勢力の対比」とも見て取れる。

【ガンダム神話】



一年戦争序盤、ジオン公国に壊滅的な大敗北を喫した地球連邦軍は、レビル将軍が提唱した「V作戦」でジオンのザクⅡ*を超えるワンオフの実験機を開発。

これに偶然乗り込んだアムロ・レイが驚異的な戦果を上げたことで、2本のツノとデュアルアイを持つガンダムタイプは、ジオン根絶の象徴であり、連邦技術の結晶という象徴性を持つようになった。

0083年ガンダム開発計画を筆頭に、最新技術を盛り込んだ「ガンダムタイプ」を建造。
ガンダムMk-Ⅱを強奪したカミーユ・ビダンとエゥーゴが、ΖガンダムΖΖガンダムを用いてネオ・ジオンを壊滅させたことで、ジオンは自らの勢力を打ち破ってきた「ガンダム」を敵視し、強化人間を無意識下で憎悪するようにプログラムしたりするなど、その存在自体が戦略的なプロパガンダ性を持つようになる。

なお、連邦上層部は自軍の象徴であるガンダムタイプが、ニュータイプ能力を最も顕現していた事実を否定するため、ロンド・ベル発足時にはZガンダムやZZガンダムを隠匿*12
CCA時点のZやZZはアムロ*13の趣味に合わず、「前線での運用には耐えられない」ため、リ・ガズィが配備されるまでディジェを乗り回していたが、νガンダムが引き起こしたアクシズショックが発生*14

妄執じみたニュータイプ根絶とガンダム神話が結実したUC計画が立案されるのであった。

その後、ガンダムタイプの存在は忘れられていたらしいが、F91のデザインはガンダム顔が採用され、ヴィクトリーガンダムは抵抗運動の象徴となるよう「ガンダム」として造られた。


だが、連邦はともかく、作品世界にとって「ガンダム」とは何だったのか。それはΞガンダムを見たブライト・ノアの台詞に集約されていると思われる。

「そうでもないさ。歴代のガンダムは、連邦軍にいても、いつも反骨精神をもった者がのっていたな。そして、ガンダムの最後は、いつもこうだ。首がなくなったり、機体が焼かれたり、バラバラになったり……。しかし、反骨精神は、ガンダムがなくなったあとでも、健在だったものだ」




追記・修正は連邦軍所属のWiki篭りにお願いします。


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最終更新:2025年09月23日 00:01

*1 例えば旧日本軍は普通の大学卒の士官も相当数存在したが、士官学校→陸軍・海軍大学校を出なければ最高位である大将にはなれず、大卒士官は中将が最高位だった。更に言うと大卒士官は軍医や科学者・技術者のような専門職や其処から在外公館の武官に昇格する者の比率が高く、その場の士官が全滅でもしない限り戦闘部隊の指揮権は与えられなかった。

*2 ちなみにジオン公国とその残党組織など反連邦勢力も大体似たような事をしている。

*3 歴史上では、ジオン公国が最初に独立した国だったがジェガンやヘビーガン等のマイナーチェンジで精一杯だったこの時代のコロニーとは異なりむしろ、ア・バオア・クーやキャリフォルニアベース、オデッサ、ソロモン等の拠点を複数所有し更に比べ物にならないほどの量産機、試作機、MAを作っている。

*4 現実世界での「市ヶ谷」や「ペンタゴン」と言ったところか。

*5 ただしエゥーゴやカラバはこの時点では正規軍である。

*6 流石に全部隊がそうとは言わず、年少兵ごと敵を打つ奴もいないことはないが。

*7 彼についても謎が多い。逆襲のシャアと閃光のハサウェイの構想時期が近い事や、物資補給に優れた手腕を持つ連邦軍高官という共通項から、クワック・サルヴァーの正体説もあったりする。

*8 『ジョニー・ライデンの帰還』では宇宙軍では既にジェガンの配備が始まって2年が経過しているにもかかわらず、地上軍所属の軍人がジェガンタイプを初めて見たと漏らすシーンがある。

*9 ただし連邦首都であるダカールも同時期にはジムⅡやジムⅢやネモが配備され、新型機であるジェガンへの更新が遅れていたのだが。

*10 モビルスーツが小型化すれば、それを運用する艦船の運用・整備コストも下がる。

*11 小説版の作者は「コロニーの落ちた地で…」と同じ林譲治氏。

*12 『審判のメイス』ではガンダムが配備された「デルフォイ」が作戦に失敗するように仕向けている。

*13 「大パワーと多様な変形機能の一方でシステムが煩雑」という特徴がアムロ肝いりのνガンダムの真逆に位置するため。

*14 アムロ(更に言えばブライト)が革命をもたらす“英雄”になることを危惧しており、そのキーワードとなるのがニュータイプでありガンダムだった。