袖付き

登録日:2021/08/10 Tue 00:59:10
更新日:2024/02/22 Thu 13:28:05
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我々は、そちらが定義するところのテロリストだ。

軍と認められず、国際法の適応も期待できないとなれば臆病にもなる。



袖付きとは、『機動戦士ガンダムUC』などのガンダムシリーズ作品に登場する組織。
作中内の経歴から、ネオ・ジオンと呼称される場合もある。


【概要】

宇宙世紀0090年代におけるジオン系の反地球連邦組織。組織の最高指導者はミネバ・ラオ・ザビ
しかし、ミネバはあくまでも形式上の指導者と言う側面もあり、実際に組織を運営しているのは「シャアの再来」と呼ばれるフル・フロンタル
組織の拠点はサイド6に所属する民間の鉱物資源衛星のパラオ。この衛星の住民の多くはジオン系の人間であり、総督のペペ・メンゲナンがジオンの信奉者である。

反地球連邦組織としてはジオン残党の一つで、シャア・アズナブルが設立した新生ネオ・ジオンをルーツに持つ所謂「新生ネオ・ジオン残党」。
後述するが、様々なジオン残党勢力や反地球連邦勢力が集結したという「ジオンのオールスター」的な武装勢力と化している。
自治権返還が迫るジオン共和国からも秘密裏に厚い支援を受けており、ジオン共和国の右翼系の人材と深い関係にある。

袖付きの名称の由来は、この組織が所有するモビルスーツの前腕部に施されたエングレービングを袖に例えた連邦軍側の命名。
独特なモビルスーツの装飾は組織の結束力を少しでも高めるための工夫だったのだが、構成員は連邦側の蔑称である「袖付き」と呼ばれることを嫌うようになり、ネオ・ジオンを自称するパターンが目立つ。
しかし、ジオン共和国のシンパの若年層はこの名前に憧れる者も少なからず存在し、一概に蔑称と呼べる名前でもなくなっている。

法的にも規模的にも「反乱勢力」「軍隊」とは認識されておらず、あくまでも「テロリスト」と認識されている。
そのため、歴代ネオ・ジオンと違って国際法が適用されず、連邦軍に捕まった構成員は「捕虜」ではなく「犯罪者」として扱われる。
構成員は歴代ネオ・ジオンと同様の反体制軍を自称している(テロリストの典型的な詭弁とも言う)が、少なくとも投降した場合の実際の扱いは認識している模様。

組織の活動内容としては、連邦政府を転覆させるとの噂を持つ最高機密「ラプラスの箱」の獲得を目的としている。
ラプラスの箱の獲得を狙った目的の真意は、ジオン共和国が中心となる「サイド共栄圏」構想の実現だった。

アナハイム・エレクトロニクス社と新生ネオ・ジオン時代から継続して契約関係にあり、モビルスーツを発注している。
連邦軍側には袖付きによる強奪に見せかけた試作機の提供と言う回りくどいやり方もした疑惑もある。
一方で新生ネオ・ジオンよりも貧乏な経済事情が影響して簡単に依頼ができないらしく、アナハイム製の最新機種でもOSやパーツの面で旧式の流用が目立ち、追加生産予定なしの余剰品のパーツを使うなどの苦労が見られる。
結果的に袖付きでは非アナハイム産の一年戦争グリプス戦役時代の機体が多く運用される事態になっており、運用兵器でアナハイム製が主要シェアを独占することはなかった。


【構成員】

新生ネオ・ジオンの残存勢力が母体になっているが、ミネバを抱えたことでシャアに同意しなかった旧ネオ・ジオン派閥やジオン残党を取り込んだことが特徴。
シャアの反乱に参加しなかった地球圏における古株のジオン残党や反連邦組織や拠点としているパラオの志願兵も参加し、上述したように深い関係にあるジオン共和国の人材も組織内にいる。
フロンタルのカリスマ性やジオンの思想に共感した歴代のジオンの戦争を経験していない新規の世代もいるらしい。
結果だけ見ればジオンの各派閥や反連邦勢力が一つの勢力として団結しており、特定派閥に偏っていたジオン残党系にしては珍しく多様性がある。

見方を変えれば、ジオン残党恒例の派閥争いで揉める程度には賑やかだった人材の数や精神的な余裕が無くなってきたとも解釈できる。
現に派閥を超えて各勢力を集めているのにもかかわらず、ダイクン派に偏っていると見られる新生ネオ・ジオンよりも総合的な規模は小さいらしい。
その設定の割には新生ネオ・ジオンよりは明確に大きな勢力に見えるという声もあるが、メタ的に見ると単発映画と連続物の小説・OVAという媒体の違いもある。

また、『機動戦士ガンダムF90 FastestFormula』で語られたところによると、エグムから通じるエゥーゴ系のシャア・ダイクン派の一部はフロンタル主導のザビ家との糾合を拒み、袖付きに合流せずにエグムとして独自に活動を続ける事になった。
そのため、袖付きはシャアに同意しなかったジオン残党を取り込めた一方で一部のダイクン派は取り逃していることになり、新生ネオ・ジオンとは異なって反ザビ家ではなくなった弊害やシャアのカリスマを利用したフロンタルに靡かなかったシャアの信奉者も存在していたことが読み取れる。

派閥の混在は兵士の質も兵器の種類も雑多という状況を生み出し、戦闘集団として色々な面で安定していないという問題点を生んでいた。
組織内も簡単に意思統一が出来ていた訳ではなく、派閥的な偏りが薄いフロンタルの力で何とか致命的な対立を防いでいたとも考えられる。


【略歴】

◇設立

アクシズ・ショック」の発生とそれに伴う総帥のシャアの行方不明によって新生ネオ・ジオンは完全敗北、敗走を余儀なくされる。
敗走した勢力は各地に分散する事態となり、スペースノイドの支持を集めていたシャアの消失や単純な残党勢力の数の低下でジオン残党は更に勢いが衰えた。
新生ネオ・ジオンの残党は資源衛星のパラオなどで逃亡生活を送りながら朽ち果てていくと思われた。

しかし、衰退するネオ・ジオン勢力に対して、ジオン共和国の国防大臣であるモナハン・バハロがフロンタルを仕向ける。
フロンタルはシャアに似た容姿や操縦技術を活かしたカリスマ性でジオン残党の士気を高め、再びネオ・ジオンを軍事集団としてまとめ上げていく。
更にシャアの反乱の時期までは逃亡生活を送っていたザビ家の遺児であるミネバが姿を現し、袖付きのシンボルとしてザビ家派閥及び旧ネオ・ジオン派閥を取り込んでいった。

シャアの反乱から3年が経過した宇宙世紀0096年、袖付きは一定の勢力を持つテロ集団として勢力を伸ばすことになった。

◇ラプラス事変

前当主の意思を考慮したビスト財団の当主であるカーディアス・ビストは、ラプラスの箱の鍵であるユニコーンガンダムを袖付きへ譲渡しようと試みる。
それを良しとしないマーサ・ビスト・カーバインが取引に介入し、色々と混乱が起こった末にユニコーンガンダムはガーディアスの妾の息子であるバナージ・リンクスの手元に渡る。
取引に介入してきた地球連邦軍や袖付きは交戦状態に突入、これが後に「ラプラス事変(第三次ネオ・ジオン抗争)」と呼ばれる騒動の始まりだった。

各地で連邦軍や袖付きを中心としたジオン残党勢力による交戦が散発的に発生するが、ベテランの奮闘も虚しくジオン残党は撃破されていくことになる。
しかし、巨大モビルアーマーを使ったダカール襲撃作戦などは地域に混乱を巻き起こし、民間人や連邦の関連施設に激しい被害を与えることになった。
ラプラスの箱の中身、箱の中身のヒントとされるユニコーンガンダムシリーズの動き、ビスト財団や袖付き内部の事情など、様々な思惑が重なる各地での戦闘は混迷を極めた。

やがてフロンタルへの反発心で袖付きからミネバは離脱し、箱の正体を把握した彼女は全世界の放送をジャックして箱の真実を公表。
袖付きの勢力はメガラニカ周辺宙域を舞台とした箱の争奪騒動における最終決戦を開始するが、フロンタルの戦死や多数の戦力を失ったことで敗北が決定付けられた。
ミネバの動きは事実上連邦に投降するという形でもあり、袖付きは指導者を完全に消失したのだった。

◇組織の崩壊とその後

持てる限りの戦力を費やした決戦において、兵器も人材も使い果たした袖付きは完全に壊滅するという結果に終わった。
ミネバはラプラス宣言後、連邦軍と共同でサイコフレームに関する協定を締結すると同時にジオン共和国の協力を得て表舞台から姿を消した。
箱の解放及びラプラス宣言も時代の流れ的に世論に大きな一手となることはなく、ワイドショーのネタとして消費される程度の扱いに終わった。

ラプラス事変終結から翌年、ユニコーンガンダム3号機"フェネクス"に関する騒動「不死鳥狩り」にて袖付きの残党らしき勢力が姿を現す。
しかし、実際には袖付きの残党部隊を装ったジオン共和国軍の活動だった。

ラプラス事変の結末とジオン共和国の自治権返還に伴ってジオン残党の活動は急速に衰えていき、袖付きの存在も忘れ去られていった。
宇宙世紀0100年代のジオン残党の反乱でも袖付きの存在を示す証が極めて少ない*1というのが、後の世における袖付きへの評価や存在感だろう。
実際はメタな事情の話であり、袖付き関連やラプラス事変自体が後付けなので『UC』展開以前に描かれた宇宙世紀0100年代以降の作品にどうやっても袖付きの要素が出てこれるはずがないというのが真相である

袖付きが消滅した後の宇宙世紀の世界において、大規模なジオン残党勢力は火星独立ジオン軍を残すのみとなった*2


【メカニック】

第二次ネオ・ジオン抗争以前のモビルスーツは、カラーリングや装飾などの外観が変更されている。
一部の機体は補修などによってオリジナルと微妙に仕様や性能が違う。

□モビルスーツ


□モビルアーマー


□艦船


□その他



【主な所属人物】

◯上層部


◯フル・フロンタル親衛隊

  • アンジェロ・ザウパー
  • セルジ・ヘルファー
  • キュアロン・マスカ
  • バト・パンセリノス
  • ゼクスト・アーデ
  • ヒル・ドーソン

◯ガランシェール隊

  • スベロア・ジンネマン
  • マリーダ・クルス
  • ギルボア・サント
  • フラスト・スコール
  • サボア
  • トムラ

◯その他構成員

  • テニスン・バゲット
  • ザミュ・サミュ
  • ビランチャ・ベーア
  • アヴリル・ゼック
  • ワークラッハ・バナム

◯ジオン残党軍

※袖付きと協力関係ではあるが、構成員として属している訳ではない。一応、袖付きの構成員と同格の存在として本項に記載。
  • ヨンム・カークス
  • キャンドル
  • ヤス・トクミツ
  • ロニ・ガーベイ
  • マハディ・ガーベイ
  • アッバス・ガーベイ
  • ワリード・ガーベイ


【余談】

ガンプラ

『特定の派閥に関わらず集まったジオン残党』『前腕部や胸部に袖付きのエングレービングをつければ袖付き傘下の機体になる』という二点は、数多のジオン軍MSをプラモ化するのにうってつけの理由となった。
HGUCで未発売の機体はこの恩恵にあずかる事となり、ドライセンやドーベンウルフなどの人気機体が次々と発売。前後する形で原作版も追従する形になった。
逆に既にHGUCで発売している機体は、一部パーツを袖付き仕様にしてプレバン限定発売にするというのも恒常的な流れになっていた。
ヤクト・ドーガは劇中再現をするには、プレバン限定のRe/100のクェス機と一般発売のMGギラ・ドーガのミキシングが必須だったり、袖付き仕様のズサがΖΖ版だけプレバン仕様で新規パーツがエングレービング隠し用の上乗せパーツズサん杜撰な事をしたりと、多々例外はあった。

また袖付き機体のエングレービングは、素組派や塗装初心者には難所として知れ渡っており、付属シールで補填か頑張って塗り分けるかをしなくてはならなかった。
MGのシナンジュでさえパーツ分けできなかったので仕方ない……と思われていたが、RGのシナンジュでパーツ分割が遂に達成され、バンダイの変態的技術の一端を垣間見る事となった。




編集する義務は無い。だが我々は、『アニヲタWiki(仮)』の情報を欲している。
管理人様のことがあるから、追記・修正をしているのだということは憶えておいた方がいい。

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最終更新:2024年02月22日 13:28

*1 一応、ジオン共和国や110年代のジオン残党、宇宙戦国時代で袖付きの主力機であるギラ・ズールが使われていたり、同機のパーツが用いられた機体が制作・運用されていた程度

*2 一応、新生ネオ・ジオンやダイクン派ジオン残党をルーツにしていると見られる機関「ズィー・ジオン・オーガニゼーション」も活動しているが、この集団はあくまでも「シャアの信仰集団」として動いており、組織の活動に新生ネオ・ジオンや袖付きやジオン残党との関連性を持たせる意図はない。