フグ田マスオ

登録日:2023/04/02 Sun 16:58:00
更新日:2024/04/19 Fri 11:06:53NEW!
所要時間:約 10 分で読めるのかい!?





エェーッ!?これが僕の項目だって本当かい!?




フグ田 マスオとは、漫画・テレビアニメ『サザエさん』の登場人物。


●目次


【概要】

主人公・フグ田サザエの夫でタラオの父。カツオワカメにとっては義兄で、波平とフネの娘婿にあたる。
誕生年は原作で大正6年と設定されているが、アニメでは設定されていない。また、年齢は原作では32歳、アニメでは28歳とされている。血液型はB型。

その控えめな性格からあまり表立たないものの、実はサザエをはじめ磯野家の面々に負けず劣らずの変わり者でもあり、妙な趣味や特技を持っている。(後述)

一人称は「僕」。二人称は、妻のことは呼び捨てか「お前」、息子や義理のきょうだい及びノリスケには「くん・ちゃん」付けし、舅・姑のことは「お義父さん」「お義母さん」と呼ぶ。
サザエからは「マスオさん」または「あなた」、波平からは「マスオくん」、フネからは「マスオさん」、カツオやワカメからは「(マスオ)兄さん」、タラオからは「パパ」と呼ばれている。

ちなみに、アニメ初期では常に敬語を使っていたが、現在では家庭内では義親にあたる波平・フネに対してのみ使っている。
その他、サザエや目下と話すときの語尾には「〜かい」と付くことが少なくない。


【外見】

髪型はオールバックで丸眼鏡をかけている。顔は面長。

初期のアニメ版では波平と同じく家で和服を着て過ごす描写が多かったが、現在は洋服を着る機会が圧倒的に増え、正月など特別な時期を除き和服を着ることはなくなっている。


【人物】

大阪府住吉区出身。住吉大社近くの住宅地に生まれる。しかし大阪人ながら関西弁を話すシーンはほとんど無い。

実家の家族構成は母・兄(サケオ)夫婦と甥(ノリオ)。父は水没事故により故人となっている*1

学歴は原作では二浪した後に私立大学へ入学、アニメ版では同じく二浪後早稲田大学商学部に入学したという設定。なかなかの高学歴である。
ちなみに野球部に所属していたが補欠だった。

卒業後、東証一部上場の総合商社「海山商事」に就職。営業課に配属され32歳で係長に昇進した。現在まで同僚の穴子たちと共に働いている。
新人時代は小さなミスを繰り返し上司に注意されてばかりいたが、根が真面目な上にお人好しなので周囲からの信頼は厚い。

原作では2巻でサザエと出会いスピード婚。
初めて会った時から彼女の「綺麗な髪」が印象に残っていたと後に語っており、「サザエの全てに惚れ込んだ」のが結婚を決める動機となった。
その後誕生した息子・タラオと3人で磯野家の実家付近にある借家で暮らしていた……が、大家とのトラブルが原因で追い出される。
ちなみにそのトラブルとは、マスオが大家に無断で借家の木塀を薪代わりにしようと切り落としてしまったこと。
それを見た大家と当然揉め事に発展*2。直後「家が売れたから出てくれ」と言われたサザエが熱り立って大家に怪我を負わせてしまい、
その後磯野家に同居することになった……というインパクトのある背景を持つ。

好きな食べ物はカレーライス天ぷら。苦手なものはネズミ*3、乗馬*4、帽子、年上の女性の相手をすることなど。つまりフネのことも内心では苦手としているのだろうか……?


◆性格

非常に温厚な性格。誰にでも優しく、子供たちからも大いに慕われている。
お人好しな反面頼りない部分もあるが、磯野家の面々や仕事関係者、ご近所さんとも良好な関係を築いている。

義父である波平とは同じサラリーマン同士気が合うらしく、よく仕事帰りに会った時など2人で呑みに行く。そして仲良く泥酔したまま深夜に帰宅し、各々恐妻に絞られるまでがテンプレ。
また自宅でも波平の囲碁の対局相手を務めることも。
ただ、原作ではこのような仲の良さはあまり描かれておらず、波平の方がマスオから距離を取るかのような微妙な関係だが。

(人柄の良さから悪目立ちこそしないが)太鼓持ちかつゴマすり気質も持ち併せており、主に波平に対しての言動に気を遣うことが多い。
かの迷エピソード『父さん発明の母』で波平が買ってきた「全自動タマゴ割機」を絶賛することで終始彼のご機嫌を取っていた様子がまさにその最たる例と言える。(本心の可能性ももちろんあるが)
そこまで露骨に家主へ媚びねばならないほど肩身の狭い思いはしていないようだが、義家族と同居している以上は磯野家における立場というものがあるのだろう。

○マスオさん、怒る

サザエや波平とは異なり控えめで、滅多なことでは怒らないイメージを持たれているマスオ。
……しかし、2022年9月25日放送のエピソード『マスオさん、怒る』で、その印象を覆す大事件が起きた。

ある露店で購入したピストル型のライターで、常務の葉巻に火を点けようとしたマスオ。
ところがライターは見た目がそっくりな水鉄砲にいつの間にか置き換わっており、常務をびしょ濡れにさせてしまう
犯人がカツオだと知ったマスオは、帰宅後すぐさま彼のいる部屋へ向かい……。

イタズラのつもりだろうけど、やっていい事と悪い事があるぞ!

普段の温厚な人柄からは想像もつかない凄まじい剣幕で、カツオを叱りつけたのだ。これにはワカメも「(怒るところは)初めて見た」と驚く。
その激怒っぷりは、磯野兄妹のみならず全国の視聴者を驚愕させた。
なにせ「怒る」という、人間なら誰もが持って当たり前の感情がそのままサブタイにされている辺り、いかにマスオという人間が「怒り」というイメージと結びつかないかを物語っている。
とはいえ当該エピソードの場合、カツオのイタズラのせいで常務に迷惑をかけてしまったので、
今後の会社での立場に影響が出かねないから……というのも激怒の理由かもしれないが。
事実、勤勉家でもある彼は家族以外の人物にも厳しい姿勢を取り、勤務態度に問題のある女子社員を教育係として怒鳴りつけたこともある(堪り兼ねた彼女が辞表を出してきたため負い目を感じていた)*5

なお、アニメ版では別のエピソードでもカツオを追いかける形で叱るシーンはある。

ちなみに、原作でも何度かカツオを叱る描写が見られる。
例えばカツオの担任が病欠につき、その日の授業が自習時間になったことを彼が喜んだ際には、しばらく部屋で反省するよう激しく怒鳴りつけたことがある*6


◆趣味・特技・苦手なこと

アニメ版では磯野・フグ田家で唯一普通自動車免許を所持している*7。しかし電車・バス通勤であることから、車を運転する機会は少ない。
また、磯野家の敷地に車庫や駐車スペースが無いことから、レジャーなどでは専らレンタカーを借りている。
2008年5月4日放送の『マスオ風を切る』では、電車通勤の不便さからバイク通勤を始めようと大型二輪免許の取得を検討したことがあるが、最終的には諦めた*8

ゴルフから楽器演奏、絵画まであらゆる趣味を持っている……が、実力は下手の横好きといったところで、いずれも得意とは言えない。
特にバイオリン*9は「学生時代によくやっていた」と語っており、腕には自信を持っているものの、非常に下手*10
手先があまり器用ではないことも理由の一つらしく、日曜大工に挑んでは決まって失敗に終わるのがお約束と化している*11
だが、バイオリン演奏と同様下手だという自覚が全く無いという困った部分もある。
更に読書家でもあるが、一度本を読み始めると周囲が見えなくなるほど夢中になりがち。

また献血を同日に複数回行う趣味を持っており、目が半開きになった虚ろな表情で帰宅直後、倒れてサザエに呆れられていたことも。

かつてはタバコ*12も嗜んでいたが、アニメ版では喫煙描写自体の規制が次第に厳格化していった事情もあってか、そのような描写は無くなっていった。

その他、変わった特技をいくつも持っている。例を挙げると、
フライパンでホットケーキをひっくり返しながら宙返りをする
贈り物の箱を振るだけで中身を当てる
饅頭の中身を食べずに的中させる
足裏で耳を塞ぐ
等々がある。何気に凄いが一体どこで覚えたんだろうか?
中でも「バック宙ホットケーキ」は、アニメ版(EDのショートアニメも含む)でも何度か披露しているインパクトある特技なので、特に有名だろう。

宙返りができたり体が柔らかかったりすることから、運動神経は抜群のように思えるが、実はカナヅチで全く泳ぐことができない。


◆人物関係

波平の甥で、マスオからは義理のいとこに当たる。年下であるためマスオは彼を「ノリスケ君」と呼んでいる。
原作では新聞社、アニメでは出版社勤務で、マスオとは職場が異なるものの、
所在地が近いのか帰りの駅前で彼や波平とばったり出会う機会が多く、その流れで飲みに誘うなど付き合いもそれなりに多い。
波平にはそのちゃっかりした性格を良く思われておらず、度々出入り禁止令も下されているが、
マスオとの関係は比較的良好であり、原作では2人してイタズラを企んだこともある。

マスオの同僚。デスクも隣同士。
仕事以外でも付き合いが多く、一緒に飲んだり遊びに行ったりもする仲で、妻の尻に敷かれているという立ち位置まで共通している。
かつて放映されていたJAバンク「マイカーローン」のCMにもコンビで出演していた。
その老け顔や渋い声質からはまるで想像もつかないが、年齢は27歳マスオより1つ年下である。

脇役でありながら知名度の高いサザエさんファミリーの一人だが、原作には登場しないアニメオリジナルキャラクターである。
ただし、原作漫画には彼と風貌の似たマスオの同僚が登場している。


【声優・俳優】

アニメ版では、放送開始から1978年6月4日まで近石真介がマスオの声を演じた。

その後、1978年6月11日から増岡弘が2代目となり、以降2019年8月18日まで約41年に渡りマスオ役を担当。ちなみに増岡は、1971年2月28日に放送された「たのしき哉一杯」でモブ役として既に「サザエさん」に出演していた。
オーディションを行わずに近石から直接役を引き継いだ経緯から、「自分がますお(・・・)か』だから選ばれたのでは」と考えていたらしい。
また、マスオを象徴する「エェー!?」などの言い回しは増岡のアドリブから生まれたという。

2019年8月25日放送分より、田中秀幸が増岡の後任としてマスオ役を引き継いだ。
なお、田中も増岡と同様、マスオ役引継以前から早川の父役として本編に出演していた。
長期に渡り親しまれてきた独特の抑揚とハスキーボイスが特徴的な増岡演じるマスオと、本来の温厚さに加えクールで爽やかな印象を与える田中演じるマスオとのギャップは、交代当時多くの視聴者を困惑させたと同時にネット上で大いに話題となった。

日清食品・カップヌードルのCMシリーズ「HUNGRY DAYS」第3弾「サザエさん篇」では島﨑信長がマスオの声を演じた。

実写版では、小泉博(江利チエミ舞台版)、小野田勇(高杉妙子版)、川崎敬三(江利チエミドラマ版)、江藤博利(榊原郁恵版)、小野寺昭(星野知子版)、宅麻伸(浅野温子版)、筒井道隆(観月ありさ版)、葛山信吾(舞台版)、西島秀俊(磯野家の人々〜20年後のサザエさん〜)らがマスオを演じた。東屋トン子がサザエを演じた1948年の映画にはマスオが登場しない。


【余談】

  • マスオの容姿のモデルは、作者の義弟*13が元になっているという。
  • (現代では珍しいものではなくなったが)「マスオさん」は「婿入りという形を取らずに妻の実家に暮らす夫」の代名詞にもなった。
    本作の知名度も相まって、彼の名前を出せばそういった立場の男性だということが一言で伝わるだろう。
    このことは「夫が妻の実家で婿入りせずに同居すること」を「マスオさん状態*14」と呼ぶようになっていることからも窺える。
    なお、その立ち位置から時々勘違いされがちだが、彼は婿養子」ではない
    現に姓は『フグ田』であって『磯野』ではないことからも判るように、ただ妻一家と同居しているだけである
    余談だが、読売新聞の朝刊で連載されている4コマ漫画『コボちゃん』の主人公の父も同じ立ち位置である*15
  • 増岡版のマスオの声は、その独特な口調から『サザエさん』キャラの中ではタラオや穴子などと並ぶモノマネの定番にもなっている。
    持ちネタとするお笑い芸人も少なからず存在するほか、「エェーッ!?○○かい!?」の言い回しもネット上でネタに使われることが多い。
  • SNSなどで「マスオには〈「潮吹アワビ」という不倫相手がおり、子供も身籠っている〉という裏設定がある」というのが、たびたび囁かれている。
    証拠画像付き故に信憑性がありそうだが、これは完全なるガセネタである。そんな設定は、そもそも公式に存在しない
    また、証拠として上げられる画像も、昭和末期に販売された「サザエさんふりかけ」のおまけのシールのキャラクターの画像を加工したものである。
    というより、「初出は過去の某ネット掲示板」という時点で、鵜呑みにすればどうなるかは容易に想像がつくだろう。


追記・修正は、宙返りしながらホットケーキをひっくり返してからお願いします。


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最終更新:2024年04月19日 11:06

*1 原作では父の法事のため大阪に帰省するエピソードがある。

*2 マスオはまさか大家本人がいるとは思っていなかったようで、「何になさるのです」という質問にうっかり「薪にしようと思って」と言ってしまっている。

*3 原作でネズミを見て悲鳴を上げ震え上がるシーンがある。

*4 幼少期にに蹴飛ばされたことがトラウマになっているため。

*5 作品No.6651『オジヤがこわい』。

*6 その剣幕にはタラオも泣き出してしまったほど。

*7 原作ではサザエも車を運転するシーンが見られる。

*8 サザエが「事故の危険性」を理由に猛反対していたことや、本人が「会社まで道のりが遠いため毎日バイク通勤を続けるのは億劫になった」ため。

*9 話の内容によってはビオラ。

*10 ジャイアンリサイタルの如く一家が嫌々な顔をする描写もあることから、相当なものであることが窺える。ちなみに、隣人の伊佐坂難物から「鋸の音」と勘違いされたこともある。

*11 例えば「棚の修理をしてもすぐ壊れる」など。

*12 銘柄は不明。

*13 妹の旦那。若くして亡くなったらしい。

*14 もしくは「マスオさん現象」

*15 磯野家ほど大所帯ではない。