フォトン・スラッシャー(遊戯王OCG)

登録日:2024/02/16 Sun 16:46:29
更新日:2025/05/16 Fri 20:53:49
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《フォトン・スラッシャー》とは、遊戯王OCGに存在するカードの1つである。
略称(通称)は「フォトスラ」で、初出は第7期第7弾「ORDER OF CHAOS」。

+ 目次


《フォトン・スラッシャー》
特殊召喚・効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻2100/守 0
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドにモンスターが存在しない場合に特殊召喚できる。
(1):自分フィールドにこのカード以外のモンスターが存在する場合、このカードは攻撃できない。


解説

下級モンスターでありながら攻撃力2000を超え、更に自分フィールドにモンスターが居なければ自己特殊召喚できる効果を持つ。

似たような特殊召喚条件の《サイバー・ドラゴン》と比較すると、あちらよりも条件が緩くなっている。
特に相手フィールド上の指定が無い分、自分の先攻1ターン目でも使える点が大きく、先攻で腐らないどころか積極的に使用できる。
またこのカードは「~しか特殊召喚できない」制約も無いため、各種素材に安心して使用できる。

一方で既にモンスターが場に居るときには特殊召喚ができないため、中盤以降で引くと条件を満たせない恐れがある。
特にこのカードは特殊召喚モンスターなので通常召喚ができず腐る点も痛い。

通常召喚ができない影響は他にもあり、《フォッシル・ダイナ パキケファロ》等の特殊召喚メタモンスターが居ると出てこれなくなる。
仮に通常召喚が可能であれば、そのまま攻撃して殴り倒すこともできるためこの違いは大きい。

もう一つのデメリットとして、自分フィールドに他のモンスターがいると、このカードは攻撃ができなくなる
とはいえ、このカードを含めて2体以上モンスターを並べられる状況であれば、それを素材にEXモンスターを出した方が基本的に有用ではある。
「攻撃できない」効果は永続効果なので、《スキルドレイン》や《禁じられた聖杯》などで効果を無効にすれば、他のモンスターがいても攻撃することができる。


評価

フォトン】【ギャラクシー

自身が属する【フォトン】(及び密接な関係がある【ギャラクシー】)での使い勝手はそこそこ。
緩い条件で場に出せ、攻撃力も2000を超える「フォトン」モンスターなので、《フォトン・バニッシャー》《銀河騎士》の運用条件を補助したり、《銀河眼の光子竜》の特殊召喚コストになれる。
他のカードの条件達成を支援し、リリースコストか素材として消費する所まで展開の起点として活躍が見込める。
先の《フォトン・バニッシャー》も含め、レベル4以下の「フォトン」戦士族モンスターが複数いることから、《増援》を自然に採用できる点も嬉しい。

一方で特殊召喚モンスターであるが故の融通の利かなさもあり、例えば《銀河光子竜》でサーチしても場にモンスターが残っていれば特殊召喚が行えない。
なお一度自身の効果で特殊召喚した(=蘇生制限を満たした)後であれば《銀河の召喚師》《銀河零式》等で蘇生はできる。


その他のデッキ

《フォトン・スラッシャー》の登場当時は、後述する汎用性の高さで評価されていた。
登場時期のデッキでいうと、ランク4の展開も可能な戦士族デッキの【HEROビート】や、《ライオウ》を突破でき光属性でカオスを出せる点に着目されて【甲虫装機】に採用したレシピが結果を残したこともある。
そのデッキを選ばない汎用性を示す逸話として、《フォトン・スラッシャー》を投入しただけで【フォトン】を名乗れるというネタもあった程。

概要欄の話と重複するが、評価のポイントは以下の通り。
  • 戦士族なので《増援》でサーチでき、光属性なので「カオス」などのコストになれる。
  • 緩い条件で召喚権を使わず特殊召喚できるので、S召喚X召喚の素材として活用しやすい。
    特に当時はランク4Xモンスターに飛び抜けて有用なカードが多かったため、その素材にしやすい点も評価されていた。
  • 自前の召喚条件が相手に依存せず、《増援》対応も合わせて先攻1ターン目でも使用できる。
  • 自前で攻撃力2100もあるため、いざとなればアタッカー役にもなれる。
    当時それなりに見かけた攻撃力1900の《ライオウ》や《E・HERO アナザー・ネオス》を一方的に倒せ、《サイバー・ドラゴン》とも相打ちが取れる。
    特に《ライオウ》の効果では特殊召喚は無効にされても実質的に相打ちとなる。
  • 初出はレア、再録版はノーマルとレアリティが低く比較的簡単に集められたのでデッキの空いた枠にとりあえず入れる事ができた。
    そのため、初心者から上級者まで多くのプレイヤーが試すことができた。

第9期以降のインフレ(先攻1ターン目から展開し制圧する動き)にも順応し、強力なランク4を並べる動きにも貢献していた。
とはいえ、この時期になると《H・C 強襲のハルベルト》などの競合先も増えてはいたが、特殊召喚条件や属性などの点で差別化は十分に可能であった。

第12期以降になると、全盛期とは異なり「緩い条件で自己特殊召喚+自分のカード・アドバンテージを稼ぐ効果」を両立したモンスターが増加したため、【フォトン】【ランク4】以外での採用は難しい状況にある。
場の状況を問わず特殊召喚できる《黒魔女ディアベルスター》や類似の特殊召喚効果を持つ「クシャトリラ」など、優秀な効果とステータスを併せ持つモンスターすら珍しくなくなり、
またそもそもとして毎ターンのようにエース級モンスターを複数展開できるのが当然の環境になったことで、下級アタッカー・デメリットアタッカーという概念自体が形骸化している。
また、ランク4の優位性も往年からは格段に落ち、また自身を特殊召喚できるレベル4モンスターという競合先も《エクス・ライゼオル》といった、フィールドに左右されない条件で特殊召喚可能なモンスターが増えている。

とはいえ、「チェーンブロックを組まずに特殊召喚できる」「レベル4・光属性・戦士族」が故の強みはある程度健在であり、そうした強みに価値を見出すのであれば、現在でも採用の余地はある。
具体的な例として、《増殖するG》や《マルチャミー・プルリア》をチェーンされること無く自己特殊召喚ができ、少ない手数でEXデッキのモンスターに触れることができる。
そしてレベル4なので妥協展開の筆頭格《No.41 泥睡魔獣バグースカ》のX召喚が可能であり、相手ターンをより安全にやり過ごすチャンスが生まれる。

アニメでの活躍

アニメ遊戯王ZEXALでは、天城カイトがこのカードを多用している。
ただしその用途は専ら《銀河眼の光子竜》の特殊召喚コストであり、他には《輝光帝ギャラクシオン》のX素材に一度なったくらいである。
放映当時は攻撃力も評価されていた《フォトン・スラッシャー》だが、攻撃することは一度もなかった。

なおアニメ版の《フォトン・スラッシャー》は通常召喚が可能だったため手痛い弱体化を受けているが、デメリットの無い下級モンスターの最大攻撃力が2000であることを鑑みれば当然の措置だろう。

ZEXAL放送終了から暫く出番はなかったが、アニメ遊戯王VRAINSでは久々に登場。
使用したのは【サイバース族】を入手する前の藤木遊作(名義はUnknown)。
自身の効果で特殊召喚した後、《切り込み隊長》《イグザリオン・ユニバース》と共に《電影の騎士ガイアセイバー》のL素材となった。
これらのカードから当時の遊作のデッキは「STARTER DECK(2017)」に近いものと思われる。
この時、ZEXALと同様の召喚演出(剣で暗闇を切り裂き登場)で登場するという粋な計らいが見られる。


余談

フォトスラ条件

「自分のフィールドにモンスターが居ないことを条件に、自身を手札から特殊召喚できる」モンスターの総称として、「フォトスラ条件」という言葉が用いられる。
言わずもがな由来は《フォトン・スラッシャー》だが、これも《フォトン・スラッシャー》の影響力を物語っている。
細かい話をすると一口に特殊召喚と言っても「発動を伴う効果の特殊召喚」「発動を伴わない効果の特殊召喚」「効果ではなく特殊召喚モンスターの召喚条件」に細分化される。
基本的に「フォトスラ条件」と呼ぶ場合は、この辺は区別せず、単に「自分のフィールドにモンスターが居なければ特殊召喚できる」条件・効果を指す。
フォトスラ効果」と言われることもあるが、《フォトン・スラッシャー》の特殊召喚は効果ではなく召喚条件であるため、厳密には誤りである。

ただし実は《フォトン・スラッシャー》よりも前に、「フォトスラ条件」を持ったモンスターが登場している
それが《E-HERO ヘル・ブラット》《インヴェルズの魔細胞》《ジャンク・フォアード》の3体。
開祖にあたる《E-HERO ヘル・ブラット》は《フォトン・スラッシャー》の4年前(2007年10月)の発売であり、時期で言えば「第5期」にあたる。
先駆者を差し置いて「フォトスラ条件」という通称が浸透したのも、それだけ全盛期の活躍が目覚ましかったというわけだろう。

なお2025年2月現在、「フォトスラ条件」を持った禁止カードは《BF-朧影のゴウフウ》《クシャトリラ・フェンリル》の2枚。
「規制経験があるカード」まで含めると《SRベイゴマックス》《クシャトリラ・ユニコーン》も該当する。
いずれも「緩い条件で自己特殊召喚+自分のカード・アドバンテージを稼ぐ効果」を両立したモンスターであり、環境のインフレが窺える。


追記・修正は、自分のフィールドにモンスターが居ないときにお願いします。

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最終更新:2025年05月16日 20:53