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*絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode 【ぜったいぜつぼうしょうじょ だんがんろんぱ あなざー えぴそーど】 |ジャンル|コトダマアクション(TPS)|&amazon(B00N1SAA12)| |対応機種|プレイステーション・ヴィータ|~| |発売・開発元|スパイク・チュンソフト|~| |発売日|2014年9月25日|~| |定価|パッケージ版:6,500円、DL版:5,850円|~| |レーティング|CERO:D(17歳以上対象)|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''ダンガンロンパシリーズ'' - [[1>ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生]] / [[2>スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園]] / ''絶対絶望少女''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -緊迫した舞台設定と魅力的なキャラ、巧みな伏線からの多数のサプライズで評価を得ている『ダンガンロンパ』シリーズの外伝作品。 --外伝だがストーリー内容としてはシリーズ作と繋がっており、『1』『2』共にプレイが推奨される。&font(red){特に『1』に関しては大きなネタバレもあるので、事前プレイを強く推奨。} -公称ジャンルは「コトダマアクション」となっており、シリーズ本編とはジャンルが異なる。 --いわゆるサード・パーソン・シューティング(TPS)にあたり、主人公を操作して敵を倒し進んでいくアクションゲームである。 --主人公は『1』の主人公・苗木誠の妹「苗木こまる」と、『1』での苗木のクラスメイトの1人として登場した「腐川冬子」。 -シリーズを通してのデザインテーマである「サイコポップ」は本作でも健在。 -ナンバリング作品同様、公式で第2章以降のプレイ動画配信が禁止されている。 --公式サイトでは、従来作のようなマスコットキャラ「モノクマ」からのお願いではなく、作中の「希望の戦士」との「ヤクソク」という形が取られている。 ---- **ストーリー &font(red){第一作『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』のネタバレを若干含んでいます。} #region(ストーリー) どこにでもいるような普通の女子高校生・苗木こまる。~ 彼女は家族とも離れ離れになり、マンションの一室のような部屋に閉じ込められた軟禁生活を余儀なくされていた。~ 食物や最低限の娯楽は提供されるが、外とは完全に隔離された日々が長く続いていた。 しかし一年半もの監禁は、突如部屋に侵入してきた「モノクマ」によって急遽終わりを告げる。~ 鋭い爪によって殺されそうになり命からがら部屋から逃げだすこまるだったが、~ そこで彼女が見たものは、至る所で「モノクマ」が人々を惨殺する地獄絵図であった。~ そこに現れた男・十神白夜から、モノクマへの対抗手段として「拡声器型ハッキング銃」を手渡されるが、~ 凄惨な状況におびえるこまるは町中を逃げ惑うばかりである。~ 頼みの綱であった救援もモノクマに殺されてしまい、結局捕縛されてしまうこまる。~ 目覚めたこまるを待ち構えていたのは、「希望の戦士」を自称する5人の幼い子供たちだった。~ 「大人を殺す」という残虐な計画を嬉々として語る「希望の戦士」に、こまるは「狩りの対象」として街に再び放される。~ そのこまるの前に、殺人鬼「ジェノサイダー翔」の人格を持つ二重人格の女学生・腐川冬子が現れた。~ #endregion ---- **特徴 ***システム 従来作とは全く異なるジャンルであり、アクション部分とADV部分はナンバリング作品のように明確には分離していない。~ 一方、章建てで進行する点はナンバリング作品と変わらない。~ ''ADVパート'' -過去のナンバリング作品と異なり、キャラクターは3Dグラフィックで操作する。 --イベントシーン内では、従来作と同様2Dの立ち絵も表示される。 --モブキャラはムービーシーンを除き、ほとんどは『[[かまいたちの夜]]』のようなサウンドノベルの如くシルエットだけで描かれている。 -また、アニメムービーも初めて導入されている。 --アニメ作画を担当しているのは、『1』のテレビアニメ化、及び後にテレビアニメ化作品『3』の製作を行った岸誠二監督及びラルケ。 --アニメムービーはそれなりに数が多く、オープニングやエンディング以外にも重要シーンで流れる。 -ストーリーを追う都合上もあって基本的に章ごとに進める場所は決まっており、次の章に進むと前の章で進んだ場所に戻ることはほぼできない。 --ただ、ナンバリング作品と同様に、特定の章からのやり直しは容易である。 ''アクションパート'' -道中では主人公のこまるを動かし、持っている「拡声器型ハッキング銃」で至る所にいる量産モノクマを攻撃する。 --章の最後にはボス戦があり、ロボットマシンを操作する「希望の戦士」と直接対決する。 -銃の弾丸となる「コトダマ」は8種類存在し、ボタンで切り替えられる。戦闘用のものは5種((「ツナガレ」は戦闘にも使えるが、主な用途は戦闘ではないため外した。))で、そのほかはゲーム進行や謎解きに使われる。~ コトダマは倒したモノクマが落とすほか、後述のモノックマンルームなどで一定数補給できる。 --自発破壊(コワレロ)……通常弾。特徴はあまりないが、手に入りやすく気軽に使える。 --連撃燃焼(モエロ)……炎の弾。威力は弱いが、装填数や入手量が多く連射性能も高め。通常のTPSの武器で例えるならばサブマシンガンに近い。 --送電麻痺(シビレロ)……電撃の弾。ある程度の攻撃範囲がありながら威力もやや高め。水場では水を伝わらせて複数の敵に一度にダメージを与えることもできるが、自分も水場に入っている状態だと自分諸共感電してしまう。 --逆流噴射(フキトベ)……当たった敵を吹き飛ばす弾。威力は弱いが、爆弾を持つボンバーモノクマを自爆させるなど特定の敵に有効。通常のTPSの武器で例えるならばショットガンに近い。 --操作舞踊(オドレ)……モノクマをその場で踊らせる足止め用の弾。サイレンモノクマに対して使うと、踊っているサイレンモノクマに周りのモノクマが誘き寄せられる。 --回路接続(ツナガレ)……モノクマに接続する弾。当たるとモノクマを主観視点で操作できるが、モノクマの操作中はこまるが無防備な状態になるため注意が必要。 --強制作動(ウゴケ)……攻撃には使わない謎解き用の弾。「モノックマン」を中心とした機械類を作動させる。 --透明観察(カンサツ)……攻撃には使わない謎解き用の弾。隠された文字の発見や、コレクション要素である「カクレキッズ」の獲得に使用する。 -コトダマにはそれぞれ「デコダマ」と呼ばれる強化パーツを2つまで装備することで、威力や連射速度、装填数を補強可能。 --デコダマは道中の店で購入できる。購入資金となるモノクマメダルは、倒したモノクマからの拾得や章クリア報酬で入手する。 --デコダマの名称は「美しく」「情熱的に」などの修飾句となっており、特定のデコダマ2つをセットで装備すると効力がアップする。 -モノクマは通常のモノクマの他にも、爆弾を投げる「ボンバーモノクマ」や盾を持った「ガードモノクマ」など、様々な種類が登場する。 --全てのモノクマは赤い左目が弱点となっており、ここに自発破壊(コワレロ)を当てると威力が大幅にアップする。 -道中では「モノックマンルーム」と呼ばれる部屋を複数通るようになっており、一種の謎解き要素になっている。 --部屋の中にはモノクマが複数おり、基本的に全て倒さないと先へ進むことはできない。 --部屋の入り口にはアーケードゲーム機%%([[パックマン]])%%型の機械「モノックマン」が置いてあり、この機械を起動させることで必要なコトダマと、部屋の内部構造を俯瞰で確認できる。 --ノーダメージで一切のモノクマに気づかれず、かつ指定されたコトダマのみを使ってモノクマを倒せばクリアとなり、章ごとの評価が上昇する。 ---クリアのためには、部屋の仕掛けや特定のコトダマ、特定のモノクマの習性を利用することが鍵となる。 ---強引に力押しでモノクマを倒すことも可能だが、その場合評価が下がり、弾薬の消費も激しくなる。 -時間経過で溜まる「バッテリーゲージ」がある程度ある場合、任意のタイミングで操作キャラを「ジェノサイダー翔」にバトンタッチできる。 --ジェノサイダーはダメージの概念が存在しない無敵キャラで、お助けキャラの立ち位置にある。武器はハサミなので、弾薬も不要。 --攻撃すると「フィーバーゲージ」が溜まり、ゲージを消費することで必殺技「チョッキンフィーバー」が即時発動。必中で威力も高い。 --ジェノサイダー使用中時間経過で減る「バッテリーゲージ」が無くなるか、もう一度ボタンを押すことで元のこまるに交代する。 --セコい手だが、攻撃に当たりそうな際に一瞬だけジェノサイダーに交代してダメージを回避するなどの使い方も可能。 --欠点としてはダメージが無いだけでのけ反りや行動妨害などはしっかり受ける点と、必殺技以外で遠距離攻撃ができない点があるが、それを差し引いても強力。 -こまるが瀕死の状態でモノクマの攻撃を受けると、ゲームオーバー回避を賭けた「ゼツボウタイム」に突入する。 --タイミングを表すゲージに合わせてボタンを押すイベントとなり、入力に成功すると腐川がこまるを助けに入りモノクマを撃退、モノクマに麻痺+ダメージを与えつつゲームオーバーを回避できる。 --ゲージは黄色と青の2色に分かれており、外側の黄色い部分で入力した場合は「バッテリーゲージ」を消費、内側の青いゾーンに入るように入力できれば「バッテリーゲージ」の消費は0で撃退できる。 ---「バッテリーゲージ」が無い場合でも腐川による撃退はできるが、必然的に青いゾーンでボタンを押さないと消費不能で失敗、ゲームオーバーとなる。 ''その他'' -カクレキッズ --透明観察(カンサツ)を使うことにより道中に隠れている希望の戦士達の絵が入手できる。 --『2』の隠れモノクマと同じ要素である。 -スクラップ --ノート、殺すリスト、本などが読めるようになる。今作の背景を把握できる --要救助民 --『1』の仲間の人質であった人間(一部動物、昆虫)。『1』の以外な人間関係を知ることができる。 -クリア特典 --要救助民の仲島花音と「1」の生き残りの葉隠の番外編が読めるようになる。 **評価点 -''丁寧に描かれたこまると腐川の友情と成長のシナリオ'' --最初は殺伐とした辛い環境からうじうじとした言動を繰り返すこまると十神のことしか考えない腐川。2人は協力をするものの、お互いに信頼はほぼ0の状態であった。 --だが徐々に試練や困難に打ち勝ち、徐々に2人は深い信頼で結ばれていくようになる。この描写はかなり丁寧に描かれていて高評価。具体的には、「ゼツボウタイム」の入力に成功した際のこまるを助ける腐川の台詞が、「しっかりしなさいよ!」から''「こまるに何すんのよ!」''に変化する。 --こまるは本編と負けず劣らずの絶望まで叩き落とされるが、腐川と共に立ち直りそこから這い上がる展開は『1』、『2』の最終部と負けず劣らず非常に熱い。 --腐川については、『1』のファンからは主人公こまるの相棒という立ち位置に首を傾げるユーザーもおり、『1』での腐川が十神以外にほとんど興味を抱かず、主人公の苗木にも冷たい態度を取ることも多かったこともあり、あまり良い印象を抱いていないというユーザーも多かったが、『1』のラストである意味蚊帳の外の状態であった彼女が絶望に立ち向かうだけの強さを手に入れたことが描かれたことで評価が変わったという意見も多い。 #region(『1』のネタバレを含むため閲覧注意) ---腐川の言動には、もう1つの人格であり殺人鬼である「ジェノサイダー翔」を自分と切り離して考えていると取れるものもあるため、「もう1人の自分が犯した理不尽な快楽殺人を棚に上げているように見える」という批判意見もあるが、今作での腐川はジェノサイダーの制御に挑んでおり、少なくともジェノサイダーを拒絶するばかりであった『1』の時点よりは格段に成長している。 #endregion -演出に抜かりが少なく、これまでの作品同様に力が入っている。 --ピンクを中心にした原色的な色遣いの多用や、シュールさの感じられる表現は非常にダンガンロンパらしい。 --過去作と同様、あるいはそれ以上に陰鬱な雰囲気であり、本作特有の空気を形成している。 ---モノクマでさえもコミカルなだけではなく、ホラーに片足突っ込んだような容姿の「ジャンクモノクマ」などはプレイヤーの胆を冷やした。 --道中の背景からメニュー画面の余白など、細かい点にも非常に描写が凝っている。 ---子供の落書きがあったり過去作のネタがあったりそれ以外のネタもあったりと、演出に単調さや流用は感じさせない。 -説明が丁寧かつ操作も難しくないので、アクション要素自体は万人向け。 --コトダマの切り替えはボタン+アナログパッドの各方向の簡単操作ででき、数が増えても選択に手間取らない。 --今作も難易度設定があり、最低の「ジェノサイダーモード」を選べば無敵のジェノサイダーがほぼ使い放題になるので、アクションが相当苦手でもクリアは十分可能。 --新しいコトダマや敵が登場した場合はチュートリアルが挟まれたり、一度通った箇所を戻る際はショートカットが設置されるのも親切。 -『2』以降の流れを引き継ぎ、クリア後のおまけややり込み要素も十分取り入れられている。 --サウンド・ムービーのギャラリー、ゲスト作家による小説といった『2』にもあったクリア後要素の一部が引き継がれている。 --作中のマップの方々には、漫画や小説などの読み物や作中の人物によるメモなどが落ちており、これを拾得することができる。 ---漫画や小説などの中身を読める訳ではないが、メモなどは内容が確認でき、その他こまると腐川の会話が挟まれたりする。 ---「何もない単なる行き止まり」がほぼないので、探索が無駄足にならない。 **賛否両論点 -伏線がシリーズ本編ほど秀逸ではない。 --過去作『1』『2』共に、終盤での展開のどんでん返しが特徴であり、序盤から張られた多重の伏線が作品の評価に大きく影響していた。 --本作でも「○○が実は○○だった」という展開は多数あるのだが、多くがある程度推測が付くか、キャラクターの評価に影響を与えないようなもの。 ---伏線として出来が悪いというほどではない。ただ、作品全体に影響するような驚きやインパクトを与えるかというとやや弱いものばかりである。 --シリーズ本編のような「主要キャラが章ごとに死んでいく」点からの話の見えなさもないため、ストーリー全体が推測を付けやすくなってしまっている。 --ストーリー自体は破綻もなく、形としてはまとまっている。 -ある意味シリーズ本編より悪趣味・グロテスクな内容。 --とにかく終始モブキャラ中心に人が死ぬ。人数だけで言えば、描写される人死にの量は本編とは比較にならない。 --ダンガンロンパ特有のピンク血や、前述のモブの描き方のためそこまでグロテスク感はないが、ゲーム全体に殺伐感が漂っている。 --これ自体は、本作の設定やストーリーを考えれば全く間違いではない。ただ、やはり人を選ぶ部分であるのは事実ではある。 -TPSとしては単純化された造り。 --戦闘に使える弾は実質5種類しかなく、それも順番に解放されていく形なので序盤は2~3種類しか使えない。 --物陰に隠れつつ撃ったり、撃つ以外の操作をしたりといった概念も一部のボス戦であるかないか程度で、ゲームの幅は広くない。 --代わりにモノックマンルームでの謎解き要素を入れたりと工夫はあるものの、難易度を置いてもアクション性にあまりシビアなものは求められない。 --本作にそこまで本格的なTPS作品が求められているわけではないので、このあたりの妥協点をどこに置くかはプレイヤー間で隔たりは見られる。 -モノクマの声は全て過去作のボイスからの流用。 --「ダンガンロンパと言えばモノクマ」と言って差支えないほどシリーズにおけるモノクマの立ち位置は大きいので、新規ボイスなしは寂しい。 --作中にはモノクマの左右半身をモデルとしたキャラ「シロクマ」「クロクマ」が登場するが、この二名のボイスはモノクマの大山のぶ代氏とは異なる。 --もっとも、後になって大山のぶ代氏が認知症を患っており、本作の時点でボイス収録は困難だったことが判明。これに関しては責められない。 ---氏は後に本シリーズ『2』の舞台化で声優活動に一度復帰しているが、本作に関して起用できたかどうかは別問題だろう。 -相変わらずの下ネタ・エロネタ。 --特に中盤で発生するこまるへの「開発」シーンは、『[[どきどき魔女神判!]]』ですか?と問いたくなるような露骨な内容。 --過去作の場合、単なるその場の会話や、スルー可能なイベント内でのシーンばかりだったのでサービスシーンとしてうまく機能していたのだが、こうも回避不能な形で入ったことには苦笑するファンも多かった。 --他にも「希望の戦士」の一人である空木言子のエロ発言など、悪ノリじみた下ネタがあるため好みは分かれる。 --またこまるのパンチラも多い。 -希望の戦士達 --希望の戦士として登場する子供たちは様々な「超小学生級の○○」と言った肩書きを持っているが、肩書きが生かされていない。せいぜい空木言子ぐらいか --こまる達の敵として登場してくる彼らだが、彼らが子供という事もあり、彼らと直接戦う事は無く彼が操作するロボットと戦い、倒すという展開である。そのため前作二作の黒幕を倒した爽快感には少々劣る。おそらく倫理的な問題で子供を殺害するのは避けられたのだろう。 --彼ら自身事件を引き起こした同情する余地は十分にあるものの、それでも加害者が罰を受けない展開に納得がいかないユーザーも多い。((前二作でも殺されかけた桑田や親の生死を知りたがる花村など同情の余地のある犯人がおしおきをきちんと受けたこともある)) --また、「希望の戦士」達の設定や言動など、子供に対して結構きつい描き方をしているのも気になるところ。 #region(ネタバレ) --おまけにEDで全員の生存が確定しており、ご都合主義感が否めない。ならば明確な描写は避けるべきだったのでは… #endregion **問題点 -ゲーム面 -アクションパートの操作性はあまり良くない。 --基本的には通常弾でモノクマの左目を狙うことになるが、照準が合わせづらく動くモノクマに当てるにはある程度「頑張る」必要がある。 --モノクマの同時出現数は大抵2~4体程度とあまり多くなく、大量に出る場合は何らかの対応策があるので、そこまで難易度自体は上がってはいないが。 ---ジェノサイダーに交代しても、攻撃範囲自体はそこそこ。救済用の無敵キャラなので強いことは強いが、爽快感はそこまで味わえない。 --カメラ操作もイマイチ。どうしてもこの手の作品を作り慣れているメーカーのものと比べると劣ってしまう。 -複数のバグ。 --「ギャラリーのムービー名とムービーの内容がズレている」ぐらいはまだプレイヤーもネタにできる類のものだったが、フリーズやハマりは流石に笑えない。 --幸いそこまで高頻度の遭遇率ではなく被害のなかったプレイヤーも多かったが、発生条件が不明だったため不安に思う声はよく見られた。 --程なくしてアップデート修正がされたので、現在は問題ない。%%ムービー名が直された際にはなぜか残念がる声が相次いだ。%% -メニュー画面を開く際やマップ移動などに、僅かなロードがある。 --どちらも1~2秒程度と単発ならまず気にならないであろう長さだが、メニュー画面にはマップ表示も含まれるので頻繁に使うし、マップ移動も多発するので気になるプレイヤーも少なくはない。 -シナリオ面 -ファンアイテムとしては微妙。 --ところどころに『1』や『2』に繋がる人物や動きが登場するが、シリーズ本編のキャラが直接出てくることは殆どない。 --主人公格である腐川を中心に過去作のキャラ登場は皆無ではないのだが、少なくともそれを目当てにして買うような作品とは言い難い。要救助民という『1』の身内が明らかになったが、どのような関係というのは判明してない。家族などは分かるが執事や猫はどんな関係だったのだろうか… --本作は『1』や『2』の間を埋める正史であり、ファンアイテムとして期待するユーザーも多いのだから期待に答えれないのは残念。 //--あくまで外伝である本作に、無理にファンが買わなければならないような要素が入ることがなく済んだという考え方もできる。 //外伝というマリオカートとかそう言うのを言うのでは?本作はシナリオが正史なのだから完全な外伝と言えてない。 -終盤の選択肢 #region(核心には触れないがネタバレに抵触するため閲覧注意) -終盤にこまるがとある重大な選択を決めなくてはいけないのだが、これが「一定回数同じ選択を選び続けなければバッドエンド」というものであり、一度にスキップすることができないため非常に鬱陶しくなっている。 #endregion -過去作にはあまりなかった「滑っている」と指摘されるシーンも多め。 --章終わりなどに挿入される腐川の妄想シーンや、拾得物関連の小ネタなど、明らかにウケを狙った割には反応に困るシーンが少なくない。 --ツッコミ役が少ない上に弱いため、ボケがそのまま放置されがちになっているのも一因か。 **総評 ジャンルを変えながらも、「ダンガンロンパらしさ」を変えないよう気を遣っていることがよくわかる作品。~ 外伝だからと言ってゲームの規模や作り込みを落とすことはなく、特に演出からはそれ以上の手間と予算が掛けられていることがわかる。~ ただ、シリーズの中核となる評価要素であるキャラクターや伏線からのサプライズ要素についてはどちらも本シリーズからはやや落ちる内容で、アクション要素も平凡。~ 単体では十分遊べるのだが、どうしてもシリーズとしては「繋ぎ」レベルの作品に落ち着いてしまった感は否めない。~ 端的に言えば「ストーリー」(キャラクター含む)と「演出」の二本柱に高い評価を得てきたシリーズだが、一方でその特異な設定は前者の作りを難しくしている。~ 本作はその辺りが垣間見えた作品だと言えるかもしれない。~
*絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode 【ぜったいぜつぼうしょうじょ だんがんろんぱ あなざー えぴそーど】 |ジャンル|コトダマアクション(TPS)|&amazon(B00N1SAA12)| |対応機種|プレイステーション・ヴィータ|~| |発売・開発元|スパイク・チュンソフト|~| |発売日|2014年9月25日|~| |定価|パッケージ版:6,500円、DL版:5,850円|~| |レーティング|CERO:D(17歳以上対象)|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''ダンガンロンパシリーズ'' - [[1>ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生]] / [[2>スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園]] / ''絶対絶望少女''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -緊迫した舞台設定と魅力的なキャラ、巧みな伏線からの多数のサプライズで評価を得ている『ダンガンロンパ』シリーズの外伝作品。 --外伝だがストーリー内容としてはシリーズ作と繋がっており、『1』『2』共にプレイが推奨される。&font(red){特に『1』に関しては大きなネタバレもあるので、事前プレイを強く推奨。} -公称ジャンルは「コトダマアクション」となっており、シリーズ本編とはジャンルが異なる。 --いわゆるサード・パーソン・シューティング(TPS)にあたり、主人公を操作して敵を倒し進んでいくアクションゲームである。 --主人公は『1』の主人公・苗木誠の妹「苗木こまる」と、『1』での苗木のクラスメイトの1人として登場した「腐川冬子」。 -シリーズを通してのデザインテーマである「サイコポップ」は本作でも健在。 -ナンバリング作品同様、公式で第2章以降のプレイ動画配信が禁止されている。 --公式サイトでは、従来作のようなマスコットキャラ「モノクマ」からのお願いではなく、作中の「希望の戦士」との「ヤクソク」という形が取られている。 ---- **ストーリー &font(red){第一作『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』のネタバレを若干含んでいます。} #region(ストーリー) どこにでもいるような普通の女子高校生・苗木こまる。~ 彼女は家族とも離れ離れになり、マンションの一室のような部屋に閉じ込められた軟禁生活を余儀なくされていた。~ 食物や最低限の娯楽は提供されるが、外とは完全に隔離された日々が長く続いていた。 しかし一年半もの監禁は、突如部屋に侵入してきた「モノクマ」によって急遽終わりを告げる。~ 鋭い爪によって殺されそうになり命からがら部屋から逃げだすこまるだったが、~ そこで彼女が見たものは、至る所で「モノクマ」が人々を惨殺する地獄絵図であった。~ そこに現れた男・十神白夜から、モノクマへの対抗手段として「拡声器型ハッキング銃」を手渡されるが、~ 凄惨な状況におびえるこまるは町中を逃げ惑うばかりである。~ 頼みの綱であった救援もモノクマに殺されてしまい、結局捕縛されてしまうこまる。~ 目覚めたこまるを待ち構えていたのは、「希望の戦士」を自称する5人の幼い子供たちだった。~ 「大人を殺す」という残虐な計画を嬉々として語る「希望の戦士」に、こまるは「狩りの対象」として街に再び放される。~ そのこまるの前に、殺人鬼「ジェノサイダー翔」の人格を持つ二重人格の女学生・腐川冬子が現れた。~ #endregion ---- **特徴 ***システム 従来作とは全く異なるジャンルであり、アクション部分とADV部分はナンバリング作品のように明確には分離していない。~ 一方、章建てで進行する点はナンバリング作品と変わらない。~ ''ADVパート'' -過去のナンバリング作品と異なり、キャラクターは3Dグラフィックで操作する。 --イベントシーン内では、従来作と同様2Dの立ち絵も表示される。 --モブキャラはムービーシーンを除き、ほとんどは『[[かまいたちの夜]]』のようなサウンドノベルの如くシルエットだけで描かれている。 -また、アニメムービーも初めて導入されている。 --アニメ作画を担当しているのは、『1』のテレビアニメ化、及び後にテレビアニメ化作品『3』の製作を行った岸誠二監督及びラルケ。 --アニメムービーはそれなりに数が多く、オープニングやエンディング以外にも重要シーンで流れる。 -ストーリーを追う都合上もあって基本的に章ごとに進める場所は決まっており、次の章に進むと前の章で進んだ場所に戻ることはほぼできない。 --ただ、ナンバリング作品と同様に、特定の章からのやり直しは容易である。 ''アクションパート'' -道中では主人公のこまるを動かし、持っている「拡声器型ハッキング銃」で至る所にいる量産モノクマを攻撃する。 --章の最後にはボス戦があり、ロボットマシンを操作する「希望の戦士」と直接対決する。 -銃の弾丸となる「コトダマ」は8種類存在し、ボタンで切り替えられる。戦闘用のものは5種((「ツナガレ」は戦闘にも使えるが、主な用途は戦闘ではないため外した。))で、そのほかはゲーム進行や謎解きに使われる。~ コトダマは倒したモノクマが落とすほか、後述のモノックマンルームなどで一定数補給できる。 --自発破壊(コワレロ)……通常弾。特徴はあまりないが、手に入りやすく気軽に使える。 --連撃燃焼(モエロ)……炎の弾。威力は弱いが、装填数や入手量が多く連射性能も高め。通常のTPSの武器で例えるならばサブマシンガンに近い。 --送電麻痺(シビレロ)……電撃の弾。ある程度の攻撃範囲がありながら威力もやや高め。水場では水を伝わらせて複数の敵に一度にダメージを与えることもできるが、自分も水場に入っている状態だと自分諸共感電してしまう。 --逆流噴射(フキトベ)……当たった敵を吹き飛ばす弾。威力は弱いが、爆弾を持つボンバーモノクマを自爆させるなど特定の敵に有効。通常のTPSの武器で例えるならばショットガンに近い。 --操作舞踊(オドレ)……モノクマをその場で踊らせる足止め用の弾。サイレンモノクマに対して使うと、踊っているサイレンモノクマに周りのモノクマが誘き寄せられる。 --回路接続(ツナガレ)……モノクマに接続する弾。当たるとモノクマを主観視点で操作できるが、モノクマの操作中はこまるが無防備な状態になるため注意が必要。 --強制作動(ウゴケ)……攻撃には使わない謎解き用の弾。「モノックマン」を中心とした機械類を作動させる。 --透明観察(カンサツ)……攻撃には使わない謎解き用の弾。隠された文字の発見や、コレクション要素である「カクレキッズ」の獲得に使用する。 -コトダマにはそれぞれ「デコダマ」と呼ばれる強化パーツを2つまで装備することで、威力や連射速度、装填数を補強可能。 --デコダマは道中の店で購入できる。購入資金となるモノクマメダルは、倒したモノクマからの拾得や章クリア報酬で入手する。 --デコダマの名称は「美しく」「情熱的に」などの修飾句となっており、特定のデコダマ2つをセットで装備すると効力がアップする。 -モノクマは通常のモノクマの他にも、爆弾を投げる「ボンバーモノクマ」や盾を持った「ガードモノクマ」など、様々な種類が登場する。 --全てのモノクマは赤い左目が弱点となっており、ここに自発破壊(コワレロ)を当てると威力が大幅にアップする。 -道中では「モノックマンルーム」と呼ばれる部屋を複数通るようになっており、一種の謎解き要素になっている。 --部屋の中にはモノクマが複数おり、基本的に全て倒さないと先へ進むことはできない。 --部屋の入り口にはアーケードゲーム機%%([[パックマン]])%%型の機械「モノックマン」が置いてあり、この機械を起動させることで必要なコトダマと、部屋の内部構造を俯瞰で確認できる。 --ノーダメージで一切のモノクマに気づかれず、かつ指定されたコトダマのみを使ってモノクマを倒せばクリアとなり、章ごとの評価が上昇する。 ---クリアのためには、部屋の仕掛けや特定のコトダマ、特定のモノクマの習性を利用することが鍵となる。 ---強引に力押しでモノクマを倒すことも可能だが、その場合評価が下がり、弾薬の消費も激しくなる。 -時間経過で溜まる「バッテリーゲージ」がある程度ある場合、任意のタイミングで操作キャラを「ジェノサイダー翔」にバトンタッチできる。 --ジェノサイダーはダメージの概念が存在しない無敵キャラで、お助けキャラの立ち位置にある。武器はハサミなので、弾薬も不要。 --攻撃すると「フィーバーゲージ」が溜まり、ゲージを消費することで必殺技「チョッキンフィーバー」が即時発動。必中で威力も高い。 --ジェノサイダー使用中時間経過で減る「バッテリーゲージ」が無くなるか、もう一度ボタンを押すことで元のこまるに交代する。 --セコい手だが、攻撃に当たりそうな際に一瞬だけジェノサイダーに交代してダメージを回避するなどの使い方も可能。 --欠点としてはダメージが無いだけでのけ反りや行動妨害などはしっかり受ける点と、必殺技以外で遠距離攻撃ができない点があるが、それを差し引いても強力。 -こまるが瀕死の状態でモノクマの攻撃を受けると、ゲームオーバー回避を賭けた「ゼツボウタイム」に突入する。 --タイミングを表すゲージに合わせてボタンを押すイベントとなり、入力に成功すると腐川がこまるを助けに入りモノクマを撃退、モノクマに麻痺+ダメージを与えつつゲームオーバーを回避できる。 --ゲージは黄色と青の2色に分かれており、外側の黄色い部分で入力した場合は「バッテリーゲージ」を消費、内側の青いゾーンに入るように入力できれば「バッテリーゲージ」の消費は0で撃退できる。 ---「バッテリーゲージ」が無い場合でも腐川による撃退はできるが、必然的に青いゾーンでボタンを押さないと消費不能で失敗、ゲームオーバーとなる。 ''その他'' -カクレキッズ --透明観察(カンサツ)を使うことにより道中に隠れている希望の戦士達の絵が入手できる。 --『2』の隠れモノクマと同じ要素である。 -スクラップ --ノート、殺すリスト、本などが読めるようになる。今作の背景を把握できる --要救助民 --『1』の仲間の人質であった人間(一部動物、昆虫)。『1』の以外な人間関係を知ることができる。 -クリア特典 --要救助民の仲島花音と「1」の生き残りの葉隠の番外編が読めるようになる。 **評価点 -''丁寧に描かれたこまると腐川の友情と成長のシナリオ'' --最初は殺伐とした辛い環境からうじうじとした言動を繰り返すこまると十神のことしか考えない腐川。2人は協力をするものの、お互いに信頼はほぼ0の状態であった。 --だが様々な試練や困難に打ち勝ち、徐々に2人は深い信頼で結ばれていくようになる。この描写はかなり丁寧に描かれていて高評価。具体的には、「ゼツボウタイム」の入力に成功した際のこまるを助ける腐川の台詞が、「しっかりしなさいよ!」から''「こまるに何すんのよ!」''に変化する。 --こまるは本編と負けず劣らずの絶望まで叩き落とされるが、腐川と共に立ち直りそこから這い上がる展開は『1』、『2』の最終部と負けず劣らず非常に熱い。 --腐川については、『1』のファンからは主人公こまるの相棒という立ち位置に首を傾げるユーザーもおり、『1』での腐川が十神以外にほとんど興味を抱かず、主人公の苗木にも冷たい態度を取ることも多かったこともあり、あまり良い印象を抱いていないというユーザーも多かったが、『1』のラストである意味蚊帳の外の状態であった彼女が絶望に立ち向かうだけの強さを手に入れたことが描かれたことで評価が変わったという意見も多い。 #region(『1』のネタバレを含むため閲覧注意) ---腐川の言動には、もう1つの人格であり殺人鬼である「ジェノサイダー翔」を自分と切り離して考えていると取れるものもあるため、「もう1人の自分が犯した理不尽な快楽殺人を棚に上げているように見える」という批判意見もあるが、今作での腐川はジェノサイダーの制御に挑んでおり、少なくともジェノサイダーを拒絶するばかりであった『1』の時点よりは格段に成長している。 #endregion -演出に抜かりが少なく、これまでの作品同様に力が入っている。 --ピンクを中心にした原色的な色遣いの多用や、シュールさの感じられる表現は非常にダンガンロンパらしい。 --過去作と同様、あるいはそれ以上に陰鬱な雰囲気であり、本作特有の空気を形成している。 ---モノクマでさえもコミカルなだけではなく、ホラーに片足突っ込んだような容姿の「ジャンクモノクマ」などはプレイヤーの胆を冷やした。 --道中の背景からメニュー画面の余白など、細かい点にも非常に描写が凝っている。 ---子供の落書きがあったり過去作のネタがあったりそれ以外のネタもあったりと、演出に単調さや流用は感じさせない。 -説明が丁寧かつ操作も難しくないので、アクション要素自体は万人向け。 --コトダマの切り替えはボタン+アナログパッドの各方向の簡単操作ででき、数が増えても選択に手間取らない。 --今作も難易度設定があり、最低の「ジェノサイダーモード」を選べば無敵のジェノサイダーがほぼ使い放題になるので、アクションが相当苦手でもクリアは十分可能。 --新しいコトダマや敵が登場した場合はチュートリアルが挟まれたり、一度通った箇所を戻る際はショートカットが設置されるのも親切。 -『2』以降の流れを引き継ぎ、クリア後のおまけややり込み要素も十分取り入れられている。 --サウンド・ムービーのギャラリー、ゲスト作家による小説といった『2』にもあったクリア後要素の一部が引き継がれている。 --作中のマップの方々には、漫画や小説などの読み物や作中の人物によるメモなどが落ちており、これを拾得することができる。 ---漫画や小説などの中身を読める訳ではないが、メモなどは内容が確認でき、その他こまると腐川の会話が挟まれたりする。 ---「何もない単なる行き止まり」がほぼないので、探索が無駄足にならない。 **賛否両論点 -伏線がシリーズ本編ほど秀逸ではない。 --過去作『1』『2』共に、終盤での展開のどんでん返しが特徴であり、序盤から張られた多重の伏線が作品の評価に大きく影響していた。 --本作でも「○○が実は○○だった」という展開は多数あるのだが、多くがある程度推測が付くか、キャラクターの評価に影響を与えないようなもの。 ---伏線として出来が悪いというほどではない。ただ、作品全体に影響するような驚きやインパクトを与えるかというとやや弱いものばかりである。 --シリーズ本編のような「主要キャラが章ごとに死んでいく」点からの話の見えなさもないため、ストーリー全体が推測を付けやすくなってしまっている。 --ストーリー自体は破綻もなく、形としてはまとまっている。 -ある意味シリーズ本編より悪趣味・グロテスクな内容。 --とにかく終始モブキャラ中心に人が死ぬ。人数だけで言えば、描写される人死にの量は本編とは比較にならない。 --ダンガンロンパ特有のピンク血や、前述のモブの描き方のためそこまでグロテスク感はないが、ゲーム全体に殺伐感が漂っている。 --これ自体は、本作の設定やストーリーを考えれば全く間違いではない。ただ、やはり人を選ぶ部分であるのは事実ではある。 -TPSとしては単純化された造り。 --戦闘に使える弾は実質5種類しかなく、それも順番に解放されていく形なので序盤は2~3種類しか使えない。 --物陰に隠れつつ撃ったり、撃つ以外の操作をしたりといった概念も一部のボス戦であるかないか程度で、ゲームの幅は広くない。 --代わりにモノックマンルームでの謎解き要素を入れたりと工夫はあるものの、難易度を置いてもアクション性にあまりシビアなものは求められない。 --本作にそこまで本格的なTPS作品が求められているわけではないので、このあたりの妥協点をどこに置くかはプレイヤー間で隔たりは見られる。 -モノクマの声は全て過去作のボイスからの流用。 --「ダンガンロンパと言えばモノクマ」と言って差支えないほどシリーズにおけるモノクマの立ち位置は大きいので、新規ボイスなしは寂しい。 --作中にはモノクマの左右半身をモデルとしたキャラ「シロクマ」「クロクマ」が登場するが、この二名のボイスはモノクマの大山のぶ代氏とは異なる。 --もっとも、後になって大山のぶ代氏が認知症を患っており、本作の時点でボイス収録は困難だったことが判明。これに関しては責められない。 ---氏は後に本シリーズ『2』の舞台化で声優活動に一度復帰しているが、本作に関して起用できたかどうかは別問題だろう。 -相変わらずの下ネタ・エロネタ。 --特に中盤で発生するこまるへの「開発」シーンは、『[[どきどき魔女神判!]]』ですか?と問いたくなるような露骨な内容。 --過去作の場合、単なるその場の会話や、スルー可能なイベント内でのシーンばかりだったのでサービスシーンとしてうまく機能していたのだが、こうも回避不能な形で入ったことには苦笑するファンも多かった。 --他にも「希望の戦士」の一人である空木言子のエロ発言など、悪ノリじみた下ネタがあるため好みは分かれる。 --またこまるのパンチラも多い。 -希望の戦士達 --希望の戦士として登場する子供たちは様々な「超小学生級の○○」と言った肩書きを持っているが、肩書きが生かされていない。せいぜい空木言子ぐらいか --こまる達の敵として登場してくる彼らだが、彼らが子供という事もあり、彼らと直接戦う事は無く彼が操作するロボットと戦い、倒すという展開である。そのため前作二作の黒幕を倒した爽快感には少々劣る。おそらく倫理的な問題で子供を殺害するのは避けられたのだろう。 --彼ら自身事件を引き起こした同情する余地は十分にあるものの、それでも加害者が罰を受けない展開に納得がいかないユーザーも多い。((前二作でも殺されかけた桑田や親の生死を知りたがる花村など同情の余地のある犯人がおしおきをきちんと受けたこともある)) --また、「希望の戦士」達の設定や言動など、子供に対して結構きつい描き方をしているのも気になるところ。 #region(ネタバレ) --おまけにEDで全員の生存が確定しており、ご都合主義感が否めない。ならば明確な描写は避けるべきだったのでは… #endregion -幽霊が存在する --ある場面でこまる達が幽霊に話を聞き、情報を得るという展開がある。 --だがダンガンロンパの世界観で幽霊を出させると今まで死亡したキャラが茶番になるという意見がある。 **問題点 -ゲーム面 -アクションパートの操作性はあまり良くない。 --基本的には通常弾でモノクマの左目を狙うことになるが、照準が合わせづらく動くモノクマに当てるにはある程度「頑張る」必要がある。 --モノクマの同時出現数は大抵2~4体程度とあまり多くなく、大量に出る場合は何らかの対応策があるので、そこまで難易度自体は上がってはいないが。 ---ジェノサイダーに交代しても、攻撃範囲自体はそこそこ。救済用の無敵キャラなので強いことは強いが、爽快感はそこまで味わえない。 --カメラ操作もイマイチ。どうしてもこの手の作品を作り慣れているメーカーのものと比べると劣ってしまう。 -複数のバグ。 --「ギャラリーのムービー名とムービーの内容がズレている」ぐらいはまだプレイヤーもネタにできる類のものだったが、フリーズやハマりは流石に笑えない。 --幸いそこまで高頻度の遭遇率ではなく被害のなかったプレイヤーも多かったが、発生条件が不明だったため不安に思う声はよく見られた。 --程なくしてアップデート修正がされたので、現在は問題ない。%%ムービー名が直された際にはなぜか残念がる声が相次いだ。%% -メニュー画面を開く際やマップ移動などに、僅かなロードがある。 --どちらも1~2秒程度と単発ならまず気にならないであろう長さだが、メニュー画面にはマップ表示も含まれるので頻繁に使うし、マップ移動も多発するので気になるプレイヤーも少なくはない。 -シナリオ面 -ファンアイテムとしては微妙。 --ところどころに『1』や『2』に繋がる人物や動きが登場するが、シリーズ本編のキャラが直接出てくることは殆どない。 --主人公格である腐川を中心に過去作のキャラ登場は皆無ではないのだが、少なくともそれを目当てにして買うような作品とは言い難い。要救助民という『1』の身内が明らかになったが、どのような関係というのは判明してない。家族などは分かるが執事や猫はどんな関係だったのだろうか… --本作は『1』や『2』の間を埋める正史であり、ファンアイテムとして期待するユーザーも多いのだから期待に答えれないのは残念。 //--あくまで外伝である本作に、無理にファンが買わなければならないような要素が入ることがなく済んだという考え方もできる。 //外伝というマリオカートとかそう言うのを言うのでは?本作はシナリオが正史なのだから完全な外伝と言えてない。 -終盤の選択肢 #region(核心には触れないがネタバレに抵触するため閲覧注意) -終盤にこまるがとある重大な選択を決めなくてはいけないのだが、これが「一定回数同じ選択を選び続けなければバッドエンド」というものであり、一度にスキップすることができないため非常に鬱陶しくなっている。 #endregion -過去作にはあまりなかった「滑っている」と指摘されるシーンも多め。 --章終わりなどに挿入される腐川の妄想シーンや、拾得物関連の小ネタなど、明らかにウケを狙った割には反応に困るシーンが少なくない。 --ツッコミ役が少ない上に弱いため、ボケがそのまま放置されがちになっているのも一因か。 **総評 ジャンルを変えながらも、「ダンガンロンパらしさ」を変えないよう気を遣っていることがよくわかる作品。~ 外伝だからと言ってゲームの規模や作り込みを落とすことはなく、特に演出からはそれ以上の手間と予算が掛けられていることがわかる。~ ただ、シリーズの中核となる評価要素であるキャラクターや伏線からのサプライズ要素についてはどちらも本シリーズからはやや落ちる内容で、アクション要素も平凡。~ 単体では十分遊べるのだが、どうしてもシリーズとしては「繋ぎ」レベルの作品に落ち着いてしまった感は否めない。~ 端的に言えば「ストーリー」(キャラクター含む)と「演出」の二本柱に高い評価を得てきたシリーズだが、一方でその特異な設定は前者の作りを難しくしている。~ 本作はその辺りが垣間見えた作品だと言えるかもしれない。~

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