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スーパーロボット大戦EX - (2021/06/22 (火) 20:51:16) のソース

本項ではスーパーファミコン版『スーパーロボット大戦EX』について解説する。~
プレイステーション移植版は『[[スーパーロボット大戦コンプリートボックス]]』を参照。

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*スーパーロボット大戦EX
【すーぱーろぼっとたいせんいーえっくす】
|ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B000068HOT)&image(srwex_play.jpg,http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3571&file=srwex_play.jpg,width=160)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|12MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|バンプレスト|~|
|開発元|ウィンキーソフト|~|
|発売日|1994年3月25日|~|
|定価|9,800円(税抜)|~|
|周辺機器|スーパーファミコンマウス対応|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[スーパーロボット大戦シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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~
#center(){{
 &big(){''見極めねばならない……この戦いの真実の姿を。''}
 }}
~
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**概要
『スーパーロボット大戦』シリーズの4作目にあたるが、タイトルに「第○次」が入っていない外伝的作品。時系列としては『[[第3次>第3次スーパーロボット大戦]]』と『[[第4次>第4次スーパーロボット大戦]]』の間にあたる。~
舞台はバンプレストオリジナルの『魔装機神』の世界である「ラ・ギアス」。「地上人召喚事件」とそれに伴う戦乱「春秋戦争」を描いた作品。~
スパロボシリーズにおいては現在でも珍しい、バンプレストオリジナルの異世界を舞台とした作品で、類似する要素を持つのは『[[スーパーロボット大戦X]]』くらいである((似たような名称だが、ストーリーにおける関連はない。))。

マルチシナリオ制で、難易度が易しく初心者向け((当時のSLGやSRPGというジャンルはハードルが高く、大人向けの難易度が高いものばかりだった。))の「マサキの章」、多少難易度が上がっている「リューネの章」、そして「チュートリアル」の3種類から選べる。~
「マサキの章」か「リューネの章」をクリアすると、難易度の高い「シュウの章」が選べるようになる。ただし「チュートリアル」が選択できなくなる。~
本作最大の特徴であるISSについては下記別項にて解説する。

#region(参戦作品一覧)
★マークは新規参戦作品。
-マジンガーZ
-グレートマジンガー
-UFOロボ グレンダイザー
-ゲッターロボ
-ゲッターロボG
-機動戦士ガンダム
-機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
-機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
-機動戦士Ζガンダム
-機動戦士ガンダムΖΖ
-機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
-機動戦士ガンダムF91
-★聖戦士ダンバイン
-★戦国魔神ゴーショーグン
-バンプレストオリジナル(魔装機神)
#endregion

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**システムの変更・追加点
-''武器の射程の複雑化''
--『第3次』ではすべての遠距離武器が「移動後使用不可能」、「1~Xまでが範囲」だったが今作から最低射程が1とは限らなくなった。また、遠距離武器でありながら移動後に攻撃できるP武器が追加された。

-''武器改造の追加''
--前作『第3次』でも機体の改造はできたが、武器の改造は本作から。個別改造方式であり、必殺武器を鍛えるのもよく使う武器を鍛えるのも自由。

-''武器の使用条件の追加''
--本作では武器の使用条件にパイロットの直感が一定以上必要なものがある。
---具体的にはサザビーのファンネルが95、それ以外のファンネルが100、フィンファンネルとハイパーオーラ斬りが120といった具合。


-''サブパイロットの精神コマンド''
--本作からは、メインパイロット以外のサブパイロット(例えばゴーショーグンのキリーやレミー)も精神コマンドを持っており、自由に使えるようになった。
---前作では、ゲッターロボのような「3形態あってメインパイロットが切り替わる」機体は形態を変形させることで各自の精神コマンドが使えたが、例えばコン・バトラーVのような「5人乗りで1形態の機体を操作」というタイプの場合はメインパイロットしか精神コマンドを使えなかった。
---なお、本作でも『ダンバイン』の妖精は精神使用不可。次の『第4次』から使用可能になった。

-''命令の個別化''
--前作同様、敵に攻撃された時は大まかな「命令」に沿ってAIが反撃方法を選択するが、『第3次』では全機体で一括指示だったのに対し、本作では命令を機体ごとに設定できるようになった。これにより、回避力が高く被弾の可能性が低いキャラにだけ反撃させ、他のキャラは回避や防御といった細かい命令を出せる。

-''ダメージ計算の簡略化''
--本作には「パイロットの攻撃力」「ユニットの地形適応」というパラメータが存在しない。
--そのため、攻撃側は武器の攻撃力、パイロットの気力、武器の地形適応という3つの要素しか計算式に入らず、防御側も装甲+気力しか計算式に入らない。計算が非常に楽で、予測が立てやすい。

-''ダメージは最大で9999''
--前作同様、1回の攻撃における最大ダメージは9999まで。精神コマンド「熱血(ダメージ2倍)」を使おうがクリティカルが出ようが9999を超える事はない。
---詳しくは「問題点」の項目を参照されたし。

***ISS(インタラクティブ・シナリオ・システム)
-本作のみの要素として、このISSがある。簡単に言うと、''最初のプレイで選んだ選択肢が次のプレイに影響する''モノ。ザッピングといえば伝わりやすいだろうか。
--一例を挙げると、マサキの章とリューネの章では途中のシナリオ分岐により『ダンバイン』のグラン・ガランとゴラオンのどちらかが自軍の母艦となる。~
マサキの章でゴラオンを仲間にしてゲームをクリアし、そのクリアデータを使ってリューネの章を始めると、「マサキの章でゴラオンを選んだ」ことが参照されるため、自動でグラン・ガランがリューネ側に加入する選択肢が選ばれる。
--この選択肢を上手く組み合わせると、魔装機神が4体揃い踏みする特殊シナリオや、リューネ側からシュウと戦うシナリオに行ける。後のZシリーズのifルートの先駆けとも言えるだろう。
--シュウの章である裏技を用いると、主役機体のグランゾンが超強力なネオ・グランゾンに変化する。シナリオ分岐でリューネ達と対峙するシナリオに進めるが、彼女側に付いているアムロやカミーユなどのエースも簡単に一蹴することができる。~
一方、そうやってクリアしたデータをISSに反映させてリューネの章を始めると、特定のシナリオで敵として出てくるグランゾンが当然ネオ・グランゾンに変化している。事前に周到な準備をしておかないと、今度はこちらがネオ・グランゾンに蹂躙されてしまうだろう。

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**評価点
-''シナリオ''
--本作はスパロボオリジナルの『魔装機神』と、サイバスターが所属する魔法とロボットのファンタジー世界「ラ・ギアス」で繰り広げられる。
--各参戦作品のキャラたちは、自分たちの世界とは違う場所に呼び込まれた異邦人。そのため、お話の中心になるのはスパロボオリジナルのメンバーとなる。
--ラ・ギアスの国家群の外交や政治、オリジナルキャラクターたちの複雑な人間模様などがしっかりと描かれている。参戦作品の原作エピソードを散発的に出しては戦うだけという本編のシナリオとは全く別の、深みのある物語が楽しめる。
#region(その内容について、ネタバレ注意)
--マサキ、リューネのシナリオのラスボス(フェイル、カークス)は共に「運命の行き違いで敵対してしまった正義」という物で、それまで味方として共に共闘していた事と怨恨や因縁と言った物がなくお互いの信念をぶつけ合うような形の決戦である為に、悲劇的な戦いになる。
---フェイルはマサキ達にとっては恩人ともいえる人物で、残された余命で取った行動故の敵対である。カークスはリューネの父(『[[第2次>第2次スーパーロボット大戦]]』のラスボスであるビアン博士)と同じ様な経路を得て敵対する。
---どちらも自らの取るべき行動の為にあえて道を踏み外して倒されることを望んでいた様な描写があり、自分達の都合で地上人たちを召喚した事に責任を感じてお互い敵対関係でありながらも共同で地上人を元の世界に返す為の用意をしていた事もあってやるせない終わり方になる。
--反面シュウの章においては、仲間になるキャラに各原作のライバルや敵が多く、その他にも自らの意思でシュウと共に行動する事を選んだ王子や別の敵に囚われていた王女がいるなどやや異質。また最後は''今作で暗躍していたルオゾールと邪神を裏切って倒し、シュウ自身の過去に決着をつけるとともに邪神から解放され真の自由を手にする''という、今作の主人公の中で唯一ハッピーエンド(?)とも言える内容で、スパロボでも類を見ないシナリオ。
---シュウは「邪神復活」という目的の為に行動しているのだが、オリジナルキャラ(特にチカ、サフィーネ、モニカ)がコメディリリーフ的な役割を担っている為、シナリオ上の暗さが軽減されている。またモニカやサフィーネは、(やってきた事を考えれば当然だが)多くのキャラクターから終始敵視・警戒されていたシュウに対して純粋(?)に好意を持っている事もあって、シュウのこれまで見られなかった一面が見られるようになりシュウの魅力も引き立たせている。
---ちなみに本作のシュウは蘇生の影響で記憶を一部喪失しているが、これは新規プレイヤーに設定を理解してもらう為の考慮も含まれていると思われる。
#endregion

--スパロボで初めてチュートリアルが搭載された。現在からするとかなり簡素な物だが、チュートリアルはおろかゲーム中マニュアルすら碌になかったのが当たり前だった当時を考えるとむしろ親切な部類に入る。
---新キャラクターのミオに対しマサキが実践形式も交えてシステムを説明していくのだが、かなり投げやりかつ前作ネタが飛びかい、挙句ミオから「適当な内容」と言われるなど、お互いのキャラの特徴を引き立てた会話内容となっており、見るだけでもある程度は楽しめる。
--これまでコメディリリーフ的な役割も担っていたマサキや甲児がミオを成長させる先達のようなポジションになったり、子供(プルやプルツー)を戦わせる事に倫理的な観点から反発するゲンナジーに対して「これまで共に戦いをくぐり抜けてきた」と反論するアムロ等、これまでの戦いの軌跡や成長を思わせる描写が描かれ、それが版権、オリジナルキャラの両方の個性を極力引き立たせるようになっている。

-''ゲームバランス''
--ウィンキーソフト開発時代のスパロボの中ではかなり難易度が低い。特にマサキの章はスパロボ全体で見ても非常に簡単な部類で、強力なユニットが多数加入しMAP兵器持ちも多い、それでいて要所要所で強敵が出現するので適当なプレイやゴリ押しでは苦戦する絶妙なバランスになっている。
---敵の武器の射程を味方側が上回る場面が非常に多く、ラスボスの「デュラクシール」も適当なオトリ+射程外攻撃で余裕で完封出来るくらい簡単。相手の最大射程と移動力や特殊能力の確認、反撃命令のこまめな変更を心がければクリア出来、自ずとユニットの動かし方もわかっていく。 
--リューネの章やシュウの章は流石にそこまで簡単ではないが、それでも低難易度。少なくとも、前作の『第3次』よりはもちろん『第2次』『第4次』と比べてもかなり易しい。
--難易度の低下には色々な意見があるだろうが、若い世代への間口を広げる姿勢を見せたことについては一定の評価をするべきだろう。
--命中率が全体的に高くスーパーロボット系でも攻撃を当てていける。攻撃力も高めに調整されているためにリアル系より使い勝手がよくなっている。
---中でも圧巻なのはゲッタードラゴンとグランゾンの最強技の基礎攻撃力8000という数値。使用条件の気力130を満たした時点でダメージ9999がほぼ確定してしまう(したがって、装甲2500のネオ・グランゾンと戦うのでないかぎり武器改造する必要性は皆無)。その他主力の必殺技も基礎攻撃力5000前後と非常に高い数値に設定されている。これは今作ではパイロットの攻撃力が設定されていないからと推測される。
---反面リアル系はこの修正のために若干不利に。特にΖ、ΖΖガンダムは最強武器がビーム属性のためにビーム吸収能力を持つラスボス級の敵との戦いでは無力になりがち((ちなみにこのことは「100倍楽しむ本」に掲載されたコミックでこんな感じでネタにされていた。→ジュドー「応援に来たぞ(ビーム兵器ばかりのΖΖ)」シーブック「ホントに応援に来ただけなんですね(ヴェスバーが何故か非ビーム兵器のF91)」。))。
---パイロットに攻撃力が設定されていないので、誰を乗せても敵に与えるダメージが変わらないため、乗り換えできるガンダム・マジンガー系は主役のアムロや甲児を主力ユニットから降ろして、「幸運」を使えるファやマリアなどのサブキャラが主力となる事も多かった。
--難易度調整の一環なのか、敵軍ユニットの武装に大きな穴が空いていることが多いのも本作の特徴。強力だが対地あるいは対空専用の武装、高火力だが移動後に使用出来ない射程1の武装、高火力だがIフィールドやオーラバリアで無効化される武装など。また超高火力近接武器とバルカン並の遠距離武器しか持っていないユニットや、逆に隣接されると最弱武器しか使えなくなるユニットも存在し、結構な頻度で登場する。
---どの難易度でもちょくちょく登場するボスユニット「移動要塞」が良い例で、最強武器はリアル系ユニットをオーバーキル出来る威力があるため迂闊に攻撃を仕掛けられない…が、その武器はビーム兵器なのでオーラバリア等に弾かれてしまう。また2番目の武装は隣接マスに攻撃出来ず、3番目の武器は対空専用。そのためオーラバトラーやνガンダムを地上から隣接させてやると、最も弱い武器しか使えなくなりぐっと戦いが楽になる。

-''戦闘アニメーション''
--シリーズで初めて選択した武器を装備する演出が加えられた。前作まではビームサーベルを持ったままビームライフルの弾のみ発射されるといったような戦闘アニメーションだったが、本作ではほとんどのユニットが通常は武器を持たない立ちグラフィックになり、戦闘時に各武器グラフィックが表示されるようになった。これによって視覚的にも何の武器で攻撃しているのかがわかりやすくなった。ビルバインのオーラビームソードはライフル装備後にソード部分のエフェクトが表示されるこだわりようである。ごく一部の武器はクリティカル専用の演出もある。本作にてスパロボ戦闘シーンのベースができたとも言える。
--ファンネル系の武器を回避する動きもあるため、前作より違和感はない。
--また、変形アニメーションも中間形態を何段階かに連続かつ高速に表示させることでさも変形しているように見せようとする努力は感じられる。
//なぜ戦闘アニメーションをゲームバランスに含むのか理解不能。アニメーションの何がゲームバランスの評価点なのか説明できるなら削除してください。

-''意外性のある仲間、ユニット''
--元々敵役であったシュウの章に顕著だが、各参戦作品の主人公のライバルたちを自軍で使えるというのは目新しさにあふれていた。
--マサキの章では最初に襲ってくる山賊(オリジナル)を選択肢次第で仲間にでき、0083のガトーがコウとニナと共に加入、ヤザンやラカン(所属はカークス軍)と共闘するステージがあり、1ステージのみだが''ラスボスが味方修正((ボスクラスの元敵ユニットは味方になった時には大抵弱体化されている。))なしで参戦する''。リューネの章では『機動戦士ガンダム』の''黒い三連星''が、シュウの章では『Ζガンダム』のジェリド、ライラ、カクリコンや『ダンバイン』のバーン・バニングスを仲間に出来るなど、普段のスパロボとは一味違うということを見せつけた。
--自軍側で使える機体も敵側のモビルスーツを中心に増加していて、ハンブラビ、バウンド・ドック、ズサ、カプール、ドライセン、ザクIII改、ドーベンウルフなどが味方側で使える珍しいスパロボとなっている。
---大抵のユニットははっきり言って投げやりな調整であり、ほぼ戦力外といってもいい能力だが射程の長い武器を持ち攻撃力もそこそこあるドーベンウルフに関しては結構使える。
--また現在では定番のボスボロットの補給装置が今作で始めて装備された。しかもゲームバランス的な理由ではなく、シナリオ上で正式に搭載されている。搭載理由は「敵に一旦接収された際に、ボロットには使い道がないので補給機にされたから」だそうで…。
--しかし、何といっても目玉となるのは裏技で使える「''ネオ・グランゾン''」だろう。隠し要素とはいえ、元(そして旧シリーズ恒例となる)隠しボスがプレイアブルユニット(しかも主人公機)として使えるというのは画期的だった。
---その能力値は凄まじく、ネオ・グランゾン1機でシュウの章は大半がクリア出来る((とある計画の為にシュウが出撃できず、他のメンバーが時間稼ぎのために戦闘を行うシナリオもあるため、そのシナリオのみ苦戦するがあくまで時間稼ぎなので逃げ回ってもクリア可能。一応全滅させると強力なユニットが手に入るがネオ・グランゾンの場合仲間に頼る必要性が皆無である為に問題ない。))。その中でも最強武器の「縮退砲」は''攻撃力18000、クリティカル率+30、射程12、弾数制で20発撃てる、地形適応全部A''とヤケクソじみており、もはや笑うしかない((いくら裏技とは言え少しやり過ぎではないか、という意見もある。尤も今作の仕様上与えるダメージの上限が9999なので攻撃力やクリティカル率は完全にお飾りである。))。
---「縮退砲」等の高威力武器に目がくらみがちだがMAP兵器も「ビッグバンウェーブ(弾数制、4発)」の追加、「グラビトロンカノン(弾数制 5発)」の威力上昇で大幅に強化されている。今作では戦闘デモを飛ばせない事とシュウが序盤で幸運を覚える事もあって「ネオ・グランゾンを囮にして敵をおびき出す」→「MAP兵器乱発で皆殺し」と言う戦法を駆使して各MAPを速攻で終わらせることも可能。

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**賛否両論点
-''一周が短い''
--本作は全3章合わせて一本の作りになっており、最も長いマサキの章でも最長で24話、リューネの章で最長21話、シュウの章に至っては15話と一周の話数としてはスパロボとしてはかなり短い((イベントや会話だけのシナリオが2話あるので実際に操作できるシナリオは更に少なくなる。))。
---全ての章、分岐シナリオを含めた合計では67と結構な量があるのは確かだが、資金やレベルは別の章には引き継げない。特にシュウの章が短く、普段仲間に出来ないキャラが殆どのため、もっと長く使いたかったと残念がる声も多い。
---ただしシナリオが冗長すぎない事で、ふと思い出したようにプレイしたり好きなユニットで無双したり、違う分岐に進んだりそれをISSに使ったりできるので一概に短所とは呼べないところも。またシナリオ自体は短くともシステム面での足枷(ユニット移動、アニメスキップ未実装等)があるのでプレイ時間自体はそこそこ長くなる。

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**問題点
-''ISS''
--1つのシナリオで選んだ選択肢を他のシナリオにも影響させるというシステム自体は意欲的であったものの、それが面白さに直結したかという意味では疑問の声もある。
---そもそもISSというシステムについての説明がマニュアルを含めてざっくりと簡単にしか説明されておらず、使ったら具体的にどうなるのか?を理解しづらい。
---魔装機神4体集結シナリオに向かうには、リューネの章とシュウの章で選択肢を間違えずに進める必要がある。壮大なフラグ管理というより、単に面倒なだけという意見も。
---また、戦艦選択の際に不都合が生じることも。例えば、ゴラオンを仲間にしたISS使用のリューネの章のデータが存在する状態でマサキの章をプレイすると、第4話クリア後のルート分岐が無くなり、強制的にグランガランが仲間になるルートに行ってしまう。

-''シナリオ''
--マサキの章とシュウの章は、ラ・ギアスを知っている前提で話が進んでしまう((序盤のメンバーを考えると当然。))そのため、前知識なしで理解するのが極めて困難((シュウの章は初期はプレイできないので大した問題ではないが。))。
--というのも''ラ・ギアスの設定ついて本格的に登場したのが本作である。''一応、シナリオ上の状況等は把握可能な範囲ではあるが細かい設定については当時は発売された攻略本などでしか知る事ができないものが殆どであった。
---ただし『ヒーロー戦記』をやっていれば世界観を理解しやすかった。スーパーロボット大戦シリーズではないものの、『第2次』と『第3次』の間にあたる時期にマサキが『ヒーロー戦記』の世界に迷いこんでいた設定になっており、マサキがラ・ギアスに関する説明をしていてここが初出の設定も多かった。
--版権キャラ達も突然召喚されたために状況が飲み込めないものが殆どで剣鉄也の「俺たちには何がなんだかさっぱり判らん(彼らの参入はシナリオ中盤)」という台詞は的を射ている。

-''ユニットの扱い''
--本作が初参戦の『戦国魔神ゴーショーグン』は、''各主人公のシナリオ全てでスポット参戦''((シュウの章では顔見せ程度でユニットとしては使えないが、この出会いが次の『第4次』のシナリオの重要な伏線になっていた。))ばかりで、まともに最後まで使えるのはリューネの章通常ルートのみ(マサキの章でもルート次第で最終戦に合流してくれるが)''((といっても16マップ中4マップと短いのだが))''という扱いになっている。
---シナリオ面では重要な役割があり、また各シナリオに定住せず一時的に顔を出すという立場はOVA『時の異邦人』を踏まえると納得できなくもないのだが、自軍の一角として腰を据えてじっくり使えないのは残念である。
---性能自体は無改造でも悪くなくパイロットが3人居るので精神コマンドも充実している。…が離脱が激しい為にLVが上昇しにくく((加入MAP毎に修正されるのではなく一定LV加算される方式。 今作はシナリオが短い分敵のLV上昇が激しいので積極的にユニットを仕留めないと味方メンバー中最低LVであることもザラ。))精神コマンドの覚えが悪いことが多い、最強武器の「ゴーフラッシャー」が射程が微妙な間接攻撃ということもあって(今作では)使いづらい印象もある。
---登場ユニット・パイロットは、ゴーショーグンとそのパイロット3人、そしてドクーガ3悪とブンドル艦のみ。トライスリー・母艦グッドサンダー・ケン太、OVA・司令官のサバラス・ネオネロス等は一切登場しない。
---敵にあたるドクーガの3幹部も、ブンドルはブンドル艦が登場するものの、他の2人はカットナル艦とケルナグール艦すらなく、なんと量産型の魔装機や移動要塞に乗る始末。扱いがぞんざいで、「ブンドル出したかっただけじゃないか?」と突っ込みたくなる(一応、3キャラともそれなりにキャラは立ってはいるが…)。
---ちなみに、次作『第4次』でもゴーショーグンは加入が遅かったが、『第4次S』では加入が早められた。そして、早めた理由をシナリオ担当の阪田氏が「前回遅かったのと、''ゴーショーグンが仲間になって出ていくっていうのが、EXの時に問題になりまして…。''」と攻略本掲載のスタッフ座談会で発言している。
--同じく初参戦の『ダンバイン』のオーラバトラーはユニットとしては優遇され、回避・攻撃力・燃費の良さが秀でており、バリアと分身持ちで装甲も厚いという死角無しの強さを発揮していた。ショウ・ザマのハイパーオーラ斬り無双が可能。ストーリー面でもルート次第でトッドと共闘したり、バーンやドレイクとの戦いが1シナリオだが用意されている。
---ただしビルバイン以外のオーラバトラーは間接攻撃が貧弱(何も持たないという例も)で、ハイパーオーラ斬りは「直感と気力が低いと使用できない」うえに「気合」を持つのがショウのみ(しかも覚えるのはLv30と後半)。ショウの直感値は初期値が99でハイパーオーラ斬りの解禁はLv21、2回行動はLv31という数値で、次に強いオーラ斬りも敵を1機撃破する等して気力を105に上げる必要がありそこからオーラ斬りで4機倒してようやく気力125になってハイパーオーラ斬り解禁という流れになるため、他にも強いユニットの多い本作では発売当時その強さに気付いた人は少なかったらしく、次回作の『第4次』ではさらに強化された結果、今度は「強すぎる」と批判を受ける結果になってしまった。
---『第4次S』以降は、燃費や装甲、宇宙適応の面などで次第に弱体化が図られ、格闘系リアルユニットとしての地位を確立することになった。
--反面MSはゲームバランスの項で述べられている通りメインになりうるビーム系武器が無効、吸収される、今まで長射程が売りだったサイコミュ系武器もオリジナル系ユニットが多数所持する「リニアレールガン((機体によりマチマチだが大抵の機体射程は10、弾数も多めで無効、吸収されない。 さらに使用条件もない。))」に完全にお株を奪われている。
---サイコミュ系やヴェスバーなどはビーム兵器扱いではなく、低いレベルで2回行動可能になるパイロットが多い事もあって結構活躍する。
--「リューネの章」の主人公機・ヴァルシオーネは主人公機としては癖が強い。
---原因は手数(弾数)不足で、主力となる「サイコブラスター」「ハイパービームキャノン」「クロスマッシャー」のいずれも''強力だが実用回数が極端に少ない''タイプな事。ハイパービームキャノンがビーム属性かつEN消費型のためサイコブラスターと両立しにくく、結局のところサイコブラスター+クロスマッシャー3発でお役御免となってしまう(もっとも、サイバスターも、EN100消費の「サイフラッシュ」と50消費の「アカシックバスター」の両立が困難で、あとは弾数1の「コスモノヴァ」を撃ったら、もう「ハイファミリア」しかなくなるので、実用回数の少なさは似たり寄ったりである)
---特に面食らうのが味方ユニットの少ない序盤で、ザコをいなすにも配分に相当頭を悩ませる事になる。逆にシナリオが進むと味方ユニットが増えて手数をカバーできる他、ENの改造や補給によってサイコブラスターの連射が可能になり、要所で長射程攻撃も活きる有力ユニットに変化していく。
---しかし、リューネの章では、途中で仲間になる可能性のあるシーラを除き、&bold(){精神コマンド「補給」を覚えるパイロットが1人もいない}。そのため、戦艦搭載以外に補給の手段無し。マサキ・シュウの章では、レベル的に到達困難な者も含めれば「補給」使いが何人もいるのに、リューネの章だけ0は、あまりにもバランスが悪い。
--「シュウの章」のグランゾンは、MAP兵器の「グラビトロンカノン」が移動後に使えないため、サイバスターやヴァルシオーネより使いにくい部分がある。
--マサキの章・リューネの章でキャラとユニットが割れてしまい、原作にもない搭乗で参加する場合もある。『ポケットの中の戦争』のクリスに至っては何故か本来の乗機であるNT-1アレックスが未登場なため、ティターンズカラーのガンダムMkIIに乗って登場する。
--攻撃を100%回避する精神コマンド「ひらめき」の使い手が、ゴーショーグンを除けば各章3人ずつしかいない。ちょっと少ないのでは?
--マサキの章の終盤でデュラクシールを1シナリオだけ味方として使える。MAP兵器もあるのだが、ビーム兵器扱い。しかし、敵のヴォルクルスはビーム吸収能力持ちなので、何の役にも立たない。何て無意味なことを…。

-''反撃の仕様''
--『第3次』と同様に設定した命令に基づいて反撃を行うのだが、特定条件で反撃・防御(ダメージ半減)・回避(命中率半減)というものである。「積極的に」(自分が撃破されそうでない限り反撃)、「効率よく」(敵が格上ならHPを削るため反撃)、ともに反撃条件なのに射程外から攻撃されると、反撃なしなのに防御や回避もしないという非効率な対応をとる。
---今作ではユニット毎に設定できるようになったため柔軟な対応は可能だが面倒。
--今作では命中が全体的に高くクリティカルも多発しやすいため、回避率がよほど高いユニット以外は、防御や回避をとる「反撃するな」を選択しなければバランスが悪い。
---「反撃するな」を使えば、敵の攻撃を回避しまくりというバランスになる。

-''その他''
--武器の攻撃力が前作から劇的に上がったのだが、前作同様与えられる最大ダメージが9999であるため、いくつかの不都合が発生している。
---例えばゲッタードラゴンのシャインスパークは初期攻撃力が8000だが、必要気力が130であるため、使用可能になった時点での攻撃力は10400。相手の地形効果や装甲はあれど殆どの敵に9999のダメージを与えられる。故にこの武器には改造や精神コマンド「熱血」の必要がない。以上の理屈に気付かなければ資金や精神ポイントを無駄に費やしてしまう可能性が高い。これは高威力武器を持つ他ユニットも同様である。
---隠し機体のネオ・グランゾンはブラックホールクラスター(9800)と縮退砲(18000)という2つの強力な武器を持つが、最大ダメージが9999で固定される今作の仕様上、縮退砲が無駄の多い武器となってしまった。射程が2長い、EN、弾数制の違いがあるとはいえ、必要気力の少ないブラックホールクラスターの方が使いやすい。~
ついでにこの2つの武器は戦闘アニメが使い回されている。『第3次』ではハード性能・容量の限界がありながらアニメの差別化がされていたのに…
---ただし、ネオ・グランゾンと戦う場合は縮退砲を撃たれてもHPが5000以上なら防御すれば生き残れるためこの仕様が生きる。
--バグ
---ゴーショーグンには加入フラグ反転のバグがあり、加入ステージで離脱する・離脱ステージで加入するという一長一短な不具合が発生する。上手くやればマサキの章で長期間最後までゴーショーグンを使えるので影響は大きいのだが。
---「限界反応」の問題。バグにより機体性能の1つである限界反応が機能しておらず、この数値がいくつであれど命中/回避に全く支障がない。ちなみに限界反応関係の問題は今に始まった事ではなく、『第3次』『第4次』『F/F完結編』『64』にも何かしら限界反応の問題点が存在している。
--BGMに前作の使い回しが多い。
---新規曲は今作初参戦するダンバインとゴーショーグンのメインテーマの曲とマップで使用される味方フェイズ曲と敵フェイズ曲2曲ずつ、合わせて6曲のみである。なおエンディングの曲も前作と同じだが尺の都合で最後まで聴けない上にサウンドテストでも聴く事が出来ない。いくら外伝的作品とは言えこれは寂しすぎるのではないだろうか。
---BGMの質自体は決して悪いものではないし、新規のBGMも良質ではあるだけに惜しい。

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**総評
『スーパーロボット大戦』というゲームに新たな風を吹き込んだ意欲作。~
スパロボオリジナルというだけでは片付かない魔装機神たちとラ・ギアスの世界観は、以後のスピンオフ作品『[[スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL]]』へと繋がり、オリジナルキャラを中心にする方式は『スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION』シリーズへの道を開く礎となった。

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**余談
-『[[第2次スーパーロボット大戦OG]]』で本作のシナリオが再現された(流石にISSは存在しない)事で、本作の知名度が上昇した。同作では諸事情からシュウの章が収録されなかったが、後日『[[スーパーロボット大戦OG ダークプリズン]]』で補完されることとなった。

-アムロは前作とほぼ同じ顔グラフィック(一年戦争時に酷似)でありながらプルに「アムロおじさん」と呼ばれて面食らうシーンがある。一応設定上月日が経過しているとはいえ違和感がある。
--PS版リメイクでは『逆襲のシャア』をベースにしたグラフィック(『F』と同じもの)に変更されているため、違和感は払拭されている((ちなみに『第3次』は『Ζガンダム』準拠のグラフィックが使用された。))。

-本作では『機動戦士ガンダム0083』に登場する人気の敵役アナベル・ガトーが、特に条件を要さずに乗機のGP-02Aと一緒に仲間になる。『0083』の主人公コウ・ウラキも乗機のGP-01Fbと一緒に仲間になる。異世界への転移という非常事態のため大したいざこざもおこさず協力しあうことになる((やはりコウよりもガトーの方がイベント・能力面で優遇されており、マサキが偵察を行う際は偵察メンバーに加わっている。コウは候補対象に選ばれもしなければガトーに対抗して名乗り出るようなこともない…不憫。))。
--しかしGP-02Aのマップ兵器はアトミックバズーカではなくプラズマリーダー((ガトーの親友ケリィ・レズナーの愛機ヴァル・ヴァロの搭載武器。))に変更されている。ガトーいわく「これは普段は使うものじゃない」ということで、装備していなかったためである。
--またラ・ギアスは、調和の結界という「古代にかけられた魔術により核分裂が抑制されて、核兵器が使えない」という設定((ガンダムSEEDのニュートロンジャマーのようなもの。そのため核融合で稼働するモビルスーツは問題なく作動できる。))の為でもある。無条件で最強クラスのMAP兵器をぶっぱなせてはまずいというバランス調整意図も含まれていると思われる。
--『機動戦士ガンダム0083』の厳密な設定ではGP-02Aに搭載されてるMk82核弾頭は「レーザー照射型水爆」で核分裂反応の原爆は使っていないそうだが、本作でガトーとマサキの会話があり、ガトー「ほう、核を防ぐことができるのか?」とあるのでそういう意図であろう。
---なお、原理説明が減速材と制御材を勘違いしてしまっている。マサキの説明通りだと核分裂は逆に促進されてしまう事に。

-本作発売の翌年の1995年1月12日、スパロボ風SLGの『スーパーエレクト大戦S・EX』というPC-98用の成年向ゲームが発売されている。
--タイトルロゴもスパロボに酷似したこの作品は、永井豪氏の漫画プロダクション・ダイナミックプロが販売元で、参戦作品も当然、永井作品オンリーである。ただしロボット物は少ない。ちなみに開発はSM専門ブランド「PIL」で一世を風靡したストーンヘッズ。

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**リメイク
-1999年にプレイステーションで『[[スーパーロボット大戦コンプリートボックス]]』として『[[第2次>第2次スーパーロボット大戦]]』『[[第3次>第3次スーパーロボット大戦]]』と共にリメイク。詳細は別項参照。
--システムは『[[F>スーパーロボット大戦F]]』基準だが、ゲームバランスはさらに悪化してしまっている。 
--翌2000年には獲得資金増の調整を施した単品版も発売された。2011年にはゲームアーカイブスでも配信。

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