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終ノ空 - (2020/04/11 (土) 11:11:17) のソース

*終ノ空
【ついのそら】
|ジャンル|アドベンチャー|CENTER:&amazon(B00CJOFICK)|&amazon(B00009ELHS)|
|対応機種|Windows 95/98|~|~|
|発売・開発元|ケロQ|~|~|
|発売日|1999年8月27日|~|~|
|定価|8,800円(税別)|~|~|
|レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|~|
|廉価版|メモリアルセレクション&br;2001年6月15日/3,800円(税別)|~|~|
|判定|BGCOLOR(MistyRose):''怪作''|~|~|
|ポイント|電波ゲーの代表格&br;『[[素晴らしき日々>素晴らしき日々~不連続存在~]]』発売により再評価|~|~|

#center{&big{''ぼくはきみにおとぎばなしをしよう''}}
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#contents(fromhere)
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**概要
ケロQ(ケロキュウ)の処女作。~
三大電波ゲーの一つとされるほど、電波ゲーとして有名である。

**ストーリー
 突然のクラスメートの死。
 それは、世界の終わりをくい止めるための儀式だったという。
 世界の終わり?
 そんな事が、ありうるのだろうか?
 しかし、本当であるか否かなど、そんな事は関係ない…。
 学校という閉ざされた<場>の中で、その予言は<真>なるものとして受けいられていく。
 そんな中、一人の少年が、世界の終わりを宣言する。
 それは、<始まり>でも<終わり>でもない世界の到来の兆しだと彼は言う。
 それこそは『終ノ空』(ツイノソラ)。
 狂気に飲み込まれる、学園、あたかも、聖書の記述にある、
 悪霊に憑かれた豚の群が湖に飛び込んで溺死する話のように、自ら破滅に向かっていく。
 しかし、それは本当に破滅なのか?それとも…。
 世界の終わりは、世界の非連続性に。狂気は、人間の認識の可能性に、
 徐々に事件は、その意味を変えていく。
 水上行人、若槻琴美、高島ざくろ、間宮卓司、
 それぞれ違った認識から『終ノ空』に関わっていく、
 はたして、『終ノ空』とはなんなのか?
 人々の不安が生み出した妄想なのか、それとも…。 (公式サイトより抜粋)

**主要人物
-水上 行人
--理性的な少年。倫理観も普通。
--琴美とは幼馴染みで仲が良い。

-若槻 琴美
--元気な少女。
--正義感が強いがゆえに、事件に巻き込まれることになる。

-高島 ざくろ
--いじめの被害者。
--序盤で屋上から飛び降りる少女。

-間宮 卓司
--本作の電波ゲーたる所以。
--悟りに到達した怪しげな発言を繰り返す少年。

**特徴
-オルタナティブエモーションシステム
--目の前のキャラのセリフはテキストウインドウに表示される。主人公の心情などは画面全体に表示される。

-マルチビュー
--同じ時間軸の一つの事件を複数の視点で閲覧する。
--初めは「行人」の目線で事件を追い、次は「琴美」の視点で同じ事件を観る……という流れ。
--4人の目線で一つの事件を追うことでゲームは進行する。

**評価点・怪作要素
-特異な演出
--ゲームの合間に画面中央に''目玉が表示される。''
---目玉は開いたり閉じたりを繰り返す。ルートによっては完全に開く。
--日付は「20日-〇日=?」の形式で表示される。

-哲学・クトゥルフ要素
--「イマヌエル・カント」など哲学要素の引用が随所に見られる。
--「ナイアルラトホテップ」などクトゥルフの要素も含む。
---これらに関する知識があればより楽しめる。本作をきっかけに興味を持った人も。

-複数視点を生かした事件
--突然のクラスメートの死をきっかけに、不穏な空気がまとわりつく。
--一般人である行人、琴美の目線からでは分からないことが多い。
--しかし、事件の中核に近いざくろ・卓司の目線ではまったく違ったものが見えており、複数視点を生かせていると評価が高い。

-間宮 卓司
--彼の目線では幻聴、幻覚が見えている。
--画面上を覆う「りりりりりりりりりりり」の文字、人に見えないものから悪口を言われる。不気味な目玉に見つめられるなど彼の目線で見えるものは特に奇異。

***鬱要素
#region(軽いネタバレ)
-間宮はいじめられっ子だが、ざくろの死をきっかけにおかしなものが見え始めるようになる。
--覚醒した間宮は身体は弱いままだが、一種のカリスマ性を持ってしまい、周囲を巻き込んだ集団自殺へと向かうことになる……

#endregion

**賛否両論点
-上述のように癖の強い作品のため、合わない人にはとことん合わない。

-不明瞭な部分が多い。
--ただし考察を楽しむ人もいる。「不明瞭だからこそ不気味で良い」とする意見もある。

**問題点
-ボリューム不足
--プレイ時間はさほど長くない。

-時代を考慮しても貧弱なシステム
--強制フルスクリーン、バックログはない。
--オプションは、強制スキップ、テキスト非表示、音の有無のみ。
--ゲーム終了もオプションから行う必要がある。
--強制終了バグも発生。
---これは1999年9月10日配信のパッチ、廉価版で解決。
--1999年発売を考慮しても、悪い部類である。
--短めの作品なのは、ある意味で幸いか。

**総評
哲学要素を含んだ、電波ゆんゆんのシナリオはカルト的な人気を得ている。~
「人それぞれ見えているものが違う」と言うことが伝わる、ゲームならではの手法も評価すべきポイント。

**余談
-2020年4月11日の[[フロントウイング×枕×ライアーソフト代表座談会>https://www.famitsu.com/news/202004/11193500.html?page=2]]において、ケロQブランド設立の切っ掛け等が語られている。
--とある作品が嫌いで、それのアンチテーゼとして『終ノ空』が作られたそうな。

-原画には「みさくらなんこつ」が関わっている。
--案の定と言うべきか、ヒロインの一人は半陰陽である。

-エロアニメOVAが発売されている。
--約30分間でまとめることが出来ておらず、エロゲ版とは別物である。
--''(悪い意味で)電波シナリオ、作画崩壊、棒読み''と単体作品としても出来が悪い。
--あまりの酷さにファンからはネタ扱いされている。

-『[[さよならを教えて ~comment te dire adieu~]]』『ジサツのための101の方法』と並んで三大電波ゲームと呼ばれることもある。

-『終ノ空-remake-』版が制作されていたが、下記の『素晴らしき日々』に姿を変えたことで企画が消滅した。
--2019年になって開発中だった未公開CGが公開された。([[参考リンク>https://www.keromakura.net/event/chara1/spring_2019/]])

-2010年3月26日に『[[素晴らしき日々~不連続存在~]]』が発売。
--本作との類似点が多く、「間宮 卓司」などは同名で登場する。
--リメイクではない点に注意。ライター曰く、「終ノ空との決別」。
--『素晴らしき日々』が高評価を得たため、本作が注目された。
--原案とも言える『終ノ空』を欲する人が増え、現在では『終ノ空』はプレミア化。廉価版も入手困難。

-2003年1月31日に発売されたケロQの『[[モエかん]]』に本作の''目玉''がゲスト出演している。