【おとめりろんとそのしゅうへん えこーる ど ぱり】
ジャンル | 恋愛ADV | ![]() |
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対応機種 | Windows XP~7 | ||
発売・開発元 | Navel | ||
発売日 |
Limited Edition:2013年7月26日 Standard Edition:2014年2月28日 |
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定価 | 10,290円(税込) | ||
レーティング | アダルトゲーム | ||
配信 | FANZA:2014年9月12日/8,424円 | ||
判定 | 良作 | ||
Navel作品リンク |
Navelの『月に寄りそう乙女の作法』が予想以上の好評を博したことにより製作されたスピンオフの続編。略称は『乙りろ』
前作バッドエンドの流れから東京からパリへ舞台を移すという、プレイすると話の筋が通っていることが分かるものの大胆な設定の作品である。
続編であると同時にパラレルストーリーでもあり、前作を含めて正史扱いのルートはないと公式が言及している。
本作は前作で重要な立ち位置ながらも深く掘り下げられることのなかった主人公の異母兄妹にしてサブキャラクターだった『りそな』がメインヒロインになっている。
前作はタイトル通り主従関係が特に重視されていたが、本作も前作のイメージを引き継ぎつつタイトル通り『乙女(朝日orりそな)とその周辺』にスポットを当てた話である。
前作をプレイしておいた方が望ましいが、未プレイでも楽しめるようにある程度は配慮されている。
ちなみに『Limited Edition』が初回版で『Standard Edition』が通常版である。
DMMダウンロード版は『FullVoice Edition』となっており、小倉朝日がフルボイス。
主人公の「大蔵遊星」は日本の財界を代表する"華麗なる一族"大蔵家の望まぬ子として生まれ、悲惨な境遇ながらも前向きに生きてきた。
その後、異母兄妹の「大蔵りそな」の提案で自身の夢の為に性別を偽って旧家の末女である「桜小路ルナ」のメイドになり、
主人やその友人達と充実した日々を送りつつも、服飾専修機関「フィリア女学院日本校」の生徒として真摯に学び、
パターン作成(*1)や縫製(ソーイング)の腕前を認められて自信もつけつつあった。
そんなある日、とあるミスから女装がばれて居場所を失い失意のどん底にあったところを畏怖している兄「大蔵衣遠」に拾われる。
本作はそこから始まり、兄専属の調理師をしつつ徐々に立ち直りつつあった頃にりそなと再会し、
「フィリア女学院パリ校」の開校日が近く、そちらに留学を望んでいるので一緒について来て欲しいとお願いされる(*2)。
遊星はりそなの意思を確認した上でそのお願いを受け入れ、パリへの移住を決断する。
そして友人となる少女達との出会い、芸術の都故の厳しさ、遊星とりそなに降りかかる困難、大蔵家の複雑な事情等の苦難と希望とが絡み合う生活が始まる。
前作と同様に本作も実在の金融機関が各キャラクターの名前の元ネタとなっている。
また、前作から引き続き登場するキャラクターは前作バッドエンド時点の設定を引き継いでいる。
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前作の評判の高さから製作決定された作品で、雰囲気の違いなどはあれど魅力的なキャラクターとシナリオが描けている作品である。
思い切った設定などから中だるみもほとんどすることなく、始まりから終わりまで楽しめるゲームになっている。
その一方で価格は確実に初回特典のアペンドディスク込みのものであることと、エッテシナリオは描写に矛盾がないということくらいしか評価出来ない。
これらの事情が多少尾を引いている作品だが、決して凡作ではなく、この手のゲーム(*34)が好きな層なら安心してお勧め出来る作品である。
*1 パターンとは型紙のことでこれを作る者はパタンナーと呼ばれている。作中での読みは「パターン」が多いが表記は「型紙」が多い。
*2 この提案はりそなは日本校の開校日時点では未成年だったがこの時点では成人していること。フィリア女学院には特別編成クラスという多額の寄付をすると入試をパスしてメイド共々生徒になれる制度があること。また、遊星の夢とりそなの意向が合致している等々の理由がある。
*3 前作でメイドを始めた頃はほぼ完璧な仕事ぶりを見せる一方で、失態もやや多かった。
*4 家から出たくないと言うことが多い。
*5 ちなみにパリに移住する際にネトゲを引退した。
*6 何も無いと自身で評する程だがそこでの生活に不満は全く感じていない。
*7 パターンの一種で習得が難しい技法。ボディに布を当ててそこから形を作ることで型紙を作る。ドレーピングと呼ばれているものだが作中では立体裁断という日本語表記が多い。
*8 家の繋がりがあるだけで本編序盤に初めて出会う
*9 ただし、これはエッテにも問題が多く有る為、お互い様と言える。
*10 服飾の知識と経験両方ともに無いため。
*11 リリアが立派な服飾デザイナーになることを信じているのと、デザイン能力を求められている訳ではないのでという考え。
*12 ただし、全ては衣装の為なので出来栄えによって物腰が違う。素人そのものの縫製だったエッテやリンデにはもはや罵倒の域だったが、りそなの様に作業が丁寧で小さなミスだった人には柔らかい物言いになっている。
*13 これらは祖父の教えやゲームによるものが多い。
*14 ただ、今の日本については無知で彼女の日本観は旧態依然のもの。日本語も習得しようとしたが難しかったので諦めている。
*15 フィリア女学院である理由は女性らしさに欠けているので服飾の一つでも学びなさいという意向と母がスタンレーのファンだった為。
*16 態度は軟化するもののりそなは元来人付き合いをあまり好まない気難しい性格なのでグングン近づくリンデを苦手にしている。
*17 元々はリンデが嫌いなロシア人を好きに扱いたいからという理由で雇った為、鎖付きの首輪はその一環。
*18 審美眼や製作物の完成度が優れるだけでなく、リアリストで辛口な衣遠ですらひとすくい針を通したりディテールを少し付け足したり逆に引き締めたりするだけで作品の出来栄えが一変すると評する程の文字通りの天才。
*19 あくまで相手と同じ立場で接している。
*20 不景気で勤め先がなくなったとの話から、オートクチュールを作っていた時にスタンレーの会社に居たかは不明。
*21 この件については遊星の様な例をほいほい認めると家族の不和を深めたり大蔵家が弱体化しかねないので、彼の立場から考えると一概に悪いとは言えない。
*22 便宜上長男とされているが、上三人が戦争中に亡くなっているので正確には四男
*23 彼が自ずと惹かれていっただけで彼女が誘惑した訳ではない。また、彼女は貧乏だが体が弱くて働き口もなかったので生きるためにそれを受け入れたという事情があり、一方通行の関係に近い。
*24 ただし、大蔵家の正式な一員としては認められていない。
*25 フィリア女学院に遊星という男性をルナの付き人という立場で生徒にしていた為、ルナの責任問題になる。
*26 Navelの世界征服彼女に出てきた同じ苗字のいかつい男性キャラクターと声も同じというネタがある。
*27 前作と遊星への態度が違うように感じるかもしれないが、前作の時点で遊星に対して嫌っているだけではない複雑な感情を抱いていることが台詞の節々から読み取れる。
*28 前作も登場人物達と仲が良かったが、基本的に一日中メイドが仕事だったので立場が違ったり仕事している場面が多かった。今作は学校での体裁を除くとメイド業は趣味のようなものになっている。
*29 特にメリルとは趣味や考え方が同じで意気投合し、一緒に行動することも多い「良き隣人」と言うべきもので遊星にとって初めてとなる関係性になっている。
*30 途中までの流れはバッドエンドみたいなものだが、最後はそれなりに希望がある終わり方をしている。
*31 りそなは最初のうちから彼女の本性に気付いているがいくつかの事情から手出しを我慢している。
*32 特に共通部分は体験版だけでもかなりの長さになっている。
*33 たらればの話だがサブキャラ達のEDの方が印象的なので、そちらの方が素直に面白い展開にしやすかったのではないかと思われる。場合によってはエッテルートがバッドルート扱いされている場合すらある。
*34 女装物好き・シナリオ重視・キャラゲー好き・設定好きなどのユーザー