萌え萌え大戦争げんだいばーん++

【もえもえだいせんそうげんだいばーんぷらすぷらす】

ジャンル 萌え燃え戦略シミュレーション+アドベンチャー

対応機種 プレイステーション3
プレイステーション・ヴィータ
発売・開発元 システムソフト・アルファー
発売日 【PS3】2012年3月8日
【PSV】2012年8月2日
定価 【PS3】7,140円
【PSV】6,090円(各税5%込)
判定 なし
ポイント 相変わらずのトンデモ戦史ゲー
大戦略シリーズ


概要

システムソフト・アルファーの鬼っ子萌え戦争シリーズの現代戦版。これまでとは違い、第二次世界大戦終了後を舞台にし史実を大胆にアレンジしながら進むウォーシミュレーション。
同社の『現代大戦略』シリーズとは異なり、あくまで「現代戦」即ち冷戦下となっており各国の枠組みを超えて鋼の乙女が戦場を駆け回ることになる。
PCで出た無印に追加要素を加えたPSP版『ぷらす』に、更に追加要素を加えたいわば完全版。

特徴

  • 舞台設定は『萌え2次』から続く世界観
    • 「鋼の乙女」は当時から継続して研究が続いていることになっており、ダメージで服だけが破れたりするのも同じく。パーシングのエイミー*1が「近代化改修したが実戦を離れている」となっているなど、過去作との繋がりも含まれている。
    • 過去作でドイツが少数だけ製造に成功した「量産型鋼の乙女」も実用化され、敵側の兵器として登場する。ただし特殊な装備や設定はなく「廉価版」という扱いである。
    • シナリオは無印から継続の「中東戦線」「欧州戦線」「極東戦線<IF>」に加えてプラスの「ベトナム戦線」と物語を締めくくる本作オリジナルシナリオ「第三次世界大戦<IF>」の五章となり、Vita版ではそこにDLCシナリオパックが追加される。
  • SLGパートが『現代大戦略』準拠に
    • ヘックス制を廃した3Dマップになっており、またAP制になった為戦略性が重要になった。
  • ミニゲームの増加
    • 砲撃だけでなくパズルなどが追加。
  • 相変わらずのお色気
    • 服が破れるのは勿論、露出度も無印から段階的に増加(若干減ったキャラもいるが)。またvita版では脱衣画面表示時に背面タッチで胸や尻が揺れる。見た感じ揺れるほど無い娘も、実際ちゃんと揺れるからご安心を。

問題点

  • 一部シナリオ
    • 無印の時点の極東戦線シナリオは最終シナリオであるにもかかわらず出来が悪かったが*2、それ以上に本作で追加された第三次世界大戦シナリオは評価が低い。
    • ぷらすのベトナム戦線編は「タイムスリップして1960年代のベトナムに行ってきました」という話なのだが、帰ってきた時点で(それまでの)戦争は終結し平和が訪れてENDだった。
    • しかし何故か「SOLEN」*3が活動中で戦争が続行中、というもう一段階のちゃぶ台返しとなっているのである。
    • また極東戦線で捕らえたウラジミールが偽物だったのはまだしも、死亡した鋼の乙女たちまで全て偽物だったということにされてしまうという意味不明ぶり。「極東戦線の続き」としてみれば繋がりは取れているが…。
  • 相変わらずシステムのUIが粗い
    • 「周回プレイ前提であるにもかかわらずテキストスキップが遅い」「戦闘突入まで長すぎてやり直しが面倒」と、無印どころか初代『萌え2次』からさんざん言われている部分が改善されていない。

賛否両論点

  • 一部のバランスブレイカー
    • 具体的に言うと日本の碧。元の性能も高いが追加武器が明らかにブッ飛んでおり、カスタマイズで「敵撃墜でEN回復」するスキルを付与すると冗談ではなく「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」状態になる。
    • ちなみにその追加武装は射程5で全地形対応、消費AP30、与ダメージの半分自HP回復、「駆動部異常(移動力低下)」の状態異常付与、と完全に独り勝ちの性能を持つ。
    • もちろん日本が出ていない場面では使えないが。
  • 主人公の存在
    • 過去作でも「上官」はいたが、本作は鋼の乙女たちではなく男性主人公の視点でメインシナリオが進んでいく。個別のエンディングなどが無いためか、この男は鋼の乙女ほぼ全員から超高好感度を保ち続けるといううらやまけしからん状態を貫くこととなる。
    • 言ってしまえば「ハーレムラブコメの鈍感主人公」そのものであり、ゲームとしての雰囲気もそのせいでだいぶ変わっている。とは言えあまり目立つわけでもないが…。
    • なお彼「士官学校主席卒業」「曲がったことが嫌いな堅物真面目」「髪がツンツン」とどこぞの少尉さんを思わせるキャラクターである。狙ったのだろうか。
  • DLC追加シナリオについて
    • Vita版のみの要素だが、テキストメインでSLG部分は本当にオマケ程度。一本500円の価値を見出せるかどうかは人によるだろう。
    • 過去作の鋼の乙女が使えるなど魅力的な要素はあるが、何故かやまとが戦死した扱いになっているなどかみ合わない点もある。
      • 『萌え2次』本編シナリオではやまとは死亡していない。アメリカ軍視点の太平洋戦史シナリオでは日本の鋼の乙女はほぼ全滅しているが、あくまでIFである。

評価点

  • 上記以外のシナリオは過去作と同じく出来が良い
    • イランイラク戦争を描いた中東編は、既存の冷戦作品に比べてイラクを悪としては看做さない史実に近い出来。その分アメリカが悪人のような雰囲気になっているが。
    • 冷戦下という重くなりがちな時代設定*4を、「年頃の女の子」としてよく言えば闊達悪く言えばKYに鋼の乙女たちがどったんばったん大騒ぎする事で見事に明るく描いている。
    • 序盤から少しずつ明かされていくリオンとエストの関係や各国の関係性、また過去作との繋がりも良好に描かれている。これで結末が良ければ…。
  • カスタマイズ要素
    • 本作ではスキルや能力をボーナスポイントでカスタマイズ可能になっており、レベルを最大まで上げてからが育成の本番といえる。
    • また縛りプレイ用の弱体化スキルも存在し、それは見事にメリットが一切無い。トロフィーくらいかもしれない。
    • 逆にひたすら楽に勝とうとスキルを盛りまくれば、周回時はハードモードさえイージーと化す。そこまでするかはプレイヤーの自由である。

総評

萌え戦争シリーズの新たな形態、現代版の集大成。完全版ということで購入するならオリジナルやぷらすよりもこちら…と言いたいが、ラストシナリオに関して色々と粗が多いのが残念。
ベトナム戦争で終わったぷらすが一番トゲの無い終わり方だが、それでは物足りない方や過去作との関連も含めて楽しみたいという方にオススメ。

最終更新:2021年02月06日 00:59

*1 『萌え2次』連合国側で登場した鋼の乙女。日本軍から鹵獲されたチハと、確執を経て友情(やや百合)を育むツンデレ系。

*2 「ソビエトが来るなら北海道から侵攻してくる」という仮想戦略さえわかっていないと大不評。

*3 Social Organization Liberal Extremist Nationalismの略称、実質的なソビエト連邦の継承。

*4 世界を二分する状態でありながら「どちらが悪なのか」という明確な区切りをつけられず、ジリジリと各国がにらみ合ったまま消耗していくという辛い時代だった。そのせいか当時日本でも終末論など悲劇的な流行があった。