ブラックソーン 復讐の黒き棘
【ぶらっくそーん ふくしゅうのくろきとげ】
ジャンル
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ACT
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対応機種
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スーパーファミコン
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開発元
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BLIZZARD Entertainment
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発売元
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ケムコ
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発売日
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1995年8月11日
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定価
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9,400円(税抜)
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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記録方式
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パスワード4桁
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ポイント
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『The Lost Vikings』ばりの硬派アクション
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概要
後に『Diablo』シリーズや『Warcraft』シリーズなどで知られる、BLIZZARDによる『BLACKTHORNE』の日本版。
プリンスオブペルシャ型のアクションゲームであり、世界観も難易度もハードボイルドに仕上がっている。
SFC版はケムコから日本語ローカライズ版が発売された。
特徴
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過去にBLIZZARDが手掛けた『バイキングの大迷惑』『ロックンロールレーシング』同様、凶悪な難易度に仕上がっている。
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ルールはバイキングよろしく難所を超えて地点到達であるが、ストーリー性はシリアスものとなっている。
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チュートリアル仕様、ステージは完全独立、ギミックも爆弾などでコンピューターを破壊したり、ハシゴ、エレベーターでの昇降、落下ダメージ有り、制限時間無し、4桁のパスワード、コンティニューは無制限かつペナルティ無し、など共通点が多い。
ストーリー
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主人公カイルは、20年の時を経てトゥールの平和を取り戻すべくサーラックの要塞に立ち向かう。
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道中では凶悪な敵やトラップもあるが、アンドロシー国の同士達もおり、主人公に助言をしたり、回復アイテムをくれたり、時には雑魚敵との共闘も行う。
ゲーム内容
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PRACTICEモードが用意され、ルールに慣れていけるようになっている。
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基本仕様
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エリアは洞窟、ジャングル、採石場、城内部の大きく4つに分類される。
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各ステージではギミックを攻略してエレベーターへ乗るのがクリア条件。1ステージは長く、計算されつくしたギミックや敵が容赦なく牙を剥くので厳しい。踏み外したり、遅れたり、手順を間違えても詰むためリトライ前提となっている。
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各ステージは完全独立であり他のステージとのつながりは一切ない。
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パスワード仕様
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1ステージ毎に4桁のパスワードが用意されている。4文字から見て取れる通り、記録されるのは到達エリアのみであり、リトライ回数のペナルティーの類は一切ないし、道中の人物を助けたか否かも一切影響しない。
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基本動作
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主人公カイルは歩行、ダッシュ、拳銃などの基本動作が用意されている。
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高所から落下するとダメージを受けるが、高すぎると即死する。
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戦闘
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本作では敵との交戦にも重点を置かれている。相手も武器を持っており危険を伴うが他に道はない。
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基本的に地形に隠れながらの銃撃戦になる。
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各ステージでは敵だけでなくトラップもあり、パズル要素も強く、限られたアイテムを計画的に使わないと詰んでしまう。
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アイテム
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ポーション
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ホバーボム
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レビテイター
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地面において使う足場アイテム。使うとある程度垂直へ伸びていき、高所への移動に使える。
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アベルが落下してきた際は衝撃を吸収する事はないので即死する。
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はしのカギ
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リモートボム
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空飛ぶ爆弾を操作する。速度は遅いが狭いところに潜り込ませて狙った設備をピンポイント爆破が可能。ある程度敵の銃弾を弾く判定もある。
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ファイヤーボム
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ほとんどが消耗品であり持ち越しは出来ない。各ステージでは限られたアイテムを駆使し戦闘と謎解きの両方をこなしていかなければならない。
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ギブアップ
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詰んだらギブアップが用意されている。本作はリトライ前提でありペナルティは一切ない。
評価点
ゲーム性
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チュートリアルが用意されている
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序盤のステージは難易度控えめなので基礎から慣れていける。
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更にタイトル画面で待っていると色々なステージでのデモプレイが用意されている。
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計算されつくしたギミック
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各ステージでは敵との交戦や多くのギミックを複合させた謎解きがふんだんに用意されており、1ステージではスムーズに進行しても3分以上かかる長さであり厳しいが、その分クリアした際の達成感はかなりのもの。
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パスワードもクリアした際は勿論、ゲームオーバーの際も表示されるので見落とす事はまずない。
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ゲームオーバーになってもパスワード項目を選ぶと4文字セットされているのは親切。
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多彩な動作
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カイルの歩く、走る、銃の装着、など動作は滑らかに作り込まれている。地形の縁では『ムーンクリスタル』のようにぶら下がりよじ上がる動作など細部まで作り込まれて妥協を知らない。
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銃は弾数無制限で撃ったら即着弾。
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敵側も力が入っておりカイルに攻撃を当てた際は笑う動作も用意。
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アイテムが床に落ちた際に背景に紛れてしまう事があるが、通過した際はそのアイテムが分かりやすく表示されるようになっており、見落とすことがない。
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随所にはデモが挿入される
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オープニングでは演出を交えて状況が語られるが、作中でも敵の親玉と部下のやりとりがたびたび表現される。
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一枚絵が多く、アニメーションも行われている。
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また、クリア条件はステージ最後のエレベータに乗るだけだが、各世界の最後には重要な人物が待っており、こちらもストーリー性を引き立てる。これは後述する素材の評価点にも当てはまる。
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このあたりは、後の『バイキング2』にも色々と引き継がれたと思われる。
素材が非常に良い
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キャラクターの動作や地形グラフィックは緻密に作り込まれており、更に背景やエフェクトも併用されており更に品質を向上している。
賛否両論点
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世界観がハード
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バイキングとは違って、目の前で人が殺されたり悲惨な事が多い。難易度以前に人を選ぶ。
問題点
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ゲーム内容
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エリア毎にグラフィックの見た目、登場する敵は大きく変わるのだが、謎解き要素に関しては組み合わせの複雑さで難易度を上げており、エリア特有のギミックはない。
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最後のコンピューター破壊については、リモートボムと思わせておいて、実はエレベーターに乗りながら銃を撃つというもので非常にわかりづらい。
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フォントの品質が低い
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文章がファミコンレベルであり、濁点も1スペース使っているので更に安っぽい。
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一応、原作でもアルファベットは大文字のみであったので大きな問題ではないのだが、本作の素材が非常に良質に仕上がっているだけにフォントの安っぽさが余計に目立ってしまう事になっている。
総評
ハードボイルドな世界観があらゆる意味で高いレベルで集約された逸品に仕上がっている。
非常に硬派な作品であり、とても万人受けするものではないが腕に覚えがあるなら挑んでみると良いだろう。
余談
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海外ではSNES版とPC(MS-DOS)版発売後、Classic MacOS、SEGA32X、GBAへの移植版が発売された。また、欧州では『Blackhawk』のタイトルで発売されている。2013年にはBLIZZARDが運営しているBattle.netにてPC(MS-DOS)版が無料配布された。
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PS/SS版の発売も計画されていたがこちらはキャンセルされた。一方、3DO版も1995年のE3でInterplayのブースに出展はされていたが発売そのものが立ち消えとなった。
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本作のSEGA32X版に登場するシークレットエリアに『The Lost Vikings』の主人公3人がカメオ出演している。
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ブリザードの創立30周年を記念して、2021年2月20日にDL配信でリリースされた『Blizzard Arcade Collection』に本作と『The Lost Vikings』、『ROCK N' ROLL RACING』の3本がセットで復刻されている。
最終更新:2021年05月16日 20:43