本ページではスーパーファミコンソフト、『バイキングの大迷惑』(判定:良作/バカゲー)およびSNES版『THE LOST VIKINGS II』(判定:良作/バカゲー)について記述する。



バイキングの大迷惑

【ばいきんぐのだいめいわく】

ジャンル アクションパズルゲーム
対応機種 スーパーファミコン
発売元 T&E SOFT
開発元 Silicon & Synapse(現:Blizzard Entertainment)
発売日 1993年10月8日
定価 8,800円
プレイ人数 1~2人
記録 パスワード方式
判定 良作
バカゲー
ポイント 頭を使うゲーム
パッケージとのギャップ
プレーヤーによって判定は異なる
ライトユーザーにとっては本当に大迷惑

概要(SFC版)

本作は個性豊かな3人のバイキングをEXITへ到達させるアクションパズルゲームである。パッケージからは想像も付かないような凶悪さゆえにプレーヤーを選ぶゲームになっている。
元はSNESで発売された『The Lost Vikings』の日本ローカライズ版*1
見事、ファミコン通信ではシルバー殿堂入り*2を果たした作品の一つである。

ストーリー・登場人物(SFC版)

  • 村でいつも通りの生活をしていた3人はある日突然、宇宙人「トマトール」によってさらわれてしまう。銀河動物園で見世物にされそうになった3人は力を合わせ、無事に故郷の村に帰還する事が出来るだろうか。
  • 3人の主人公
エリック
  • 俊足のエリック。最高の機動力を誇り、ダッシュとジャンプが使えるのは彼のみである。更には、石頭は突進をしながらブロックを破壊する事も可能で敵に対して攻撃判定もある。ただし、当たった際はバランスを崩し無防備になるので注意。
    • 2人プレイで試してみると分かるのだが、歩行速度も他の仲間たちよりも若干速い事が分かる。
バリオグ
  • 猛烈のバリオグ。唯一の武器持ちで扱いに長けており無制限に使える弓矢とブロード・ソードを得意とする。弓は攻撃以外にもスイッチに当てる使い道がある。
    • 実は、分かり辛くクリアに必須ではないためあまり知られていないが、エリア2の終盤の錠前を壊す事も出来る。
オラフ
  • 頑丈のオラフ。攻撃手段は持ち合わせてはいないが、仲間たちを敵の攻撃から守る壁役であり、その大きな盾は敵のビームや炎や突進などあらゆる攻撃を一切受け付けない。更に盾を上に構える事でエリックの足場にもなったり上から降りて来るブロックを支えたりも可能。
    • 盾は守るだけではなく他にも空気抵抗を利用してパラシュートのようにゆっくり斜め降下などの彼独自の動作もある。
トマトール
  • 3人をさらった張本人。人々から聞いた話によるとクルトニアンのリーダーをしている緑の怪物で、命のコレクションが趣味という事くらいである。
  • 他にも道中には友好的なエイリアンがヒントをしてくれたり色々なキャラクターが登場する。

ゲーム内容(SFC版)

基本仕様

  • ルール
    • 本作はサイドビューアクションゲームとなっておりステージクリア型で1MAP完結仕様であり、クリア条件は3人のバイキング:エリック、バリオグ、オラフをスタート地点からEXITまで到達させる事である。制限時間は一切ない。
    • 独自性がかなり強く、アクションゲームでキャラが一度に3人いるというのは珍しい。
  • 3人の操作はLRボタンで切り替えていく事になる。
    • キャラ単独だけではなくチームワークの概念もあり、例えばオラフが盾を構えてバリオグが後方から弓を撃ったり、オラフが盾を上に構えてエリックを乗せてそこから更に高くジャンプさせたり、バリオグとエリックによるスクロール狙撃などがある。
    • 敵の仕様について気になるがパッケージ通りに大挙して来ることはなく基本的に簡素なルーチンワークばかりでオラフが盾を構えているだけで大抵はどうにかなる。むしろ、本作のメインはアクションを複合した仕掛けと謎解きにある。
    • また画面外では敵との交戦はなくダメージも発生する事も無いのでプレーヤーの操作が忙しいという事にはならない。ただし、ステージのギミックの判定はしっかり行われるためごまかしは一切できない。
  • アイテム
    • ステージにはカギや爆弾やHP回復などが配置されている。所持数は1人4個まで、また近くの仲間とアイテムの受け渡しが可能。
    • 手に入れたアイテムはそのステージ内に限り有効。例えば余った回復アイテムを次のステージへ持ち越す事は出来ない仕様である。
  • HP
    • 3人のキャラクターのHPは赤い玉が3個で表示、残りの1箇所には青い丸となっている。
      • 青い丸は、盾のアイテムの事であり持っていると1度だけ敵の攻撃や落下ダメージを自動的に防いでくれるというもの。
    • HPが0になるとアウトであり所持しているアイテムも消失する。この時点で詰みは確定してしまうが引き続きプレイは可能ではあり、残った人数でEXITへ到達してたらゲームオーバー画面に移行。ただしコンティニューは無制限でペナルティも一切ない。
  • チュートリアル仕様
    • 最初のうちは丁寧にルールから覚えていけるように構成されている。[?]ブロックにはヒントもありより分かり易い。
  • バカゲー要素
    • 本作の世界観はアメリカンジョークの塊みたいなものである。まず、わけのわからないまま巨大宇宙船が現れて連れ去られる展開から始まり、ザコ敵を倒すと墓のオブジェが立つ、こちらがやられた際は即座に白骨化、ステージクリア後の会話はコントやメタ話ばかり、オラフは盾で滑空したり、ハシゴでは上り下りする際に半ケツを出したり、エリックは石頭でブロックを壊した後はへたり込む、落下し続けると慌てふためく表情、食べ物で回復する際はゲップなど色々と表現されている。

難解なギミック

  • パッケージ裏にはトラップ満載とある通り、各ステージには、エレベーター、反重力、高圧電流など色々なギミックで構成されている。ボタンやスイッチやエレベーター、アイテムなどを駆使しそれらをどう乗り越えていくのかが容赦なく問われる。
    • 死にゲー
      • 誰かが倒されてもアウト、デストラップにハマってもアウト、踏み外したらアウト、手順を間違えて詰んでもアウト、必須アイテムを取り忘れたらアウト………とにかく色々と何度もやられて死んで覚えろという仕様であり、リトライ前提でコンティニューは無制限でありペナルティはなく、何度もコンティニューをすると色々な会話も表示されるのが細かい。
      • 例えば、ここに家でも建てたらどうだ、もっと慎重になれ。などがあり15回目になるとトール神から説教される文章まで色々と用意されている。ヒントにはならないがこれまたバイキングの個性が出ている。
    • パスワードは各ステージ毎に用意されており4文字で構成。
      • スタートボタンでギブアップを選ぶことが出来るようになっており、その際はパスワードも表示されているので改めて出直して来られるようにはなっている。また、コンティニュー回数で文章は用意されていると言ったがペナルティーは勿論なくパスワードに悪影響が出るという事も一切ないので、安心してリトライを重ねる事が出来る。

協力型2人プレイ同時操作モード採用

  • 2人プレイにも対応している、ただし片方が失敗すると詰んでしまうので腕前があるプレーヤー同士に限る。なお、LRボタン同時押しでスクロール画面をプレーヤー1からプレーヤー2へ切り替える事が可能。
    • 腕前に自信が無い人も、一緒になって解法を考えたりプレーヤーに手順を教えるなどのアドバイスでそちらもまた協力プレイと言える。

評価点(SFC版)

日本語への移植

  • 本家「THE LOST VIKINGS」の作品が良質なのもさることながら、ゲーム性は勿論、ストーリーやキャラクターも全く変わりはなく忠実に移植されている。
    • タイトル画面は原作の画像ではなく、パッケージのイラストをゲーム内の一枚絵として用意している。また、作中の台詞も全て和訳されており手間を惜しまない。
    • ライトユーザーに大迷惑をかけたという面はあるが、洋ゲーを日本に上陸させたというのも確かと言える。

チュートリアル仕様

  • 序盤の方は簡単な構成に加え更に[?]ブロックが点在しておりヒントを示してくれるようになっている。このため独自性が強いにもかかわらず、いきなりゲームを始めても少しずつルールを覚えられるように配慮されている。

全6エリア・37ステージ

  • 色々な世界観
    • 巨大な宇宙船内部から始まり、原始時代、エジプト、工場、お菓子の国など実に多彩。見栄えもさることながら、恐竜やミイラやロボットなどが襲ってきたり、ギミックも工場のクレーンやお菓子のポンプなどそのエリアならではの個性が反映されている。
    • BGMもエリア毎に用意されており、世界観に合っていてプレーヤーを楽しませてくれる。
  • 非常に練り込まれたギミック
    • 各ステージには難解な仕掛けで構成されているのだが計算しつくされた構成となっており、クリアした際の達成感はかなりのものである。
    • 使い回しも殆どなく、新しい世界に応じて新しい仕掛けが登場。突拍子も説明も無い仕掛けが適宜加わることによりマンネリを感じさせないようになっている。
    • 坂道も使われておりありがちな45°は勿論、急勾配から緩い勾配まで用意されており表現力が良い。

多彩なグラフィックパターン

  • 本家「THE LOST VIKINGS」にも当てはまるのだが、素材はギミックの多彩さに応じて緻密に作り込まれている。
  • マップのドット絵の描き込みは素晴らしく、アイテムはアイコンまで用意されている。
  • また、各エリアの最後のワープでは銀河が表現されていたが、SFCの性能を活かした回転拡大縮小機能の活用によって演出が大幅に強化されている。このため従来から比較してリメイクと言えるくらいになっている。

表情豊かなキャラクターアクション

  • 3人のチームワーク
    • エリックは単身でギミックに挑む切り込み隊長。オラフが盾でガードして、その後方からバリオグが弓で攻撃など役割が分担されて個性が表現されている。
    • キャラクターの動作も作り込まれており色々な動作が滑らかな挙動で用意されている。歩行グラ、ハシゴの昇降、落下した際の表情、クレーン操作の際も表情が使い回しではなく専用のグラまで用意されておりオラフが得意気に歯をくいしばる表情が印象的。更には死に方も感電死、圧死、溺死、風船トゲ破裂など多彩。
  • 会話
    • ステージクリア毎に3人の会話が用意されており、簡素ながらも個性が伝わって来るので愛着がわきやすい。
    • 更に台詞の生地の色も異なる仕様となっており、燕のエリックは赤文字、頑丈オラフは茶色、猛烈バリオグは緑色となっている。
  • 音声も用意されている
    • ダメージをくらった際の痛がり、物を食べた際のゲップなどがあり、BGMにも音声が併用されている。
  • ゲームオーバーの際は、3人分の一枚絵やリトライ回数に応じたセリフが用意されているのが良い。

賛否両論点(SFC版)

  • 下品な表現
    • オラフがハシゴを丁度登り切る際に半ケツを出したり、食べ物で回復する際も音声付きでゲップなどをするので悪い意味で印象に残り易い。
  • 難易度が非常に高い
    • 序盤こそチュートリアル仕様で易しいものの先へ進むほど難易度が上がっていくようになっており終盤では順調にこなして1ステージで3分以上はかかる。
    • 回復アイテムも限られており、HPも最初から最後まで3となっているので厳しい。
      • ダメージも意外と連続で食らいやすく、炎を吐くギミックの前では盾を持たないエリック、バリオグは為す術がなくHPを持って行かれる。
    • ヒントこそあるものの初歩的な事ばかりで難しいのは自力で気付かなければならない。また、初見殺しも多く何度も死ぬことが前提であり、3人のうち誰か一人でも踏み外したり手順を間違えたらゲームオーバー確定という事もザラで、まさに地獄と言える。中間ポイントでもあればまた違ったかも知れないのは惜しいところである。
      • スタートボタンでいつでも最初からやり直せるのが唯一の良心か。
      • このためステージ毎にパスワードが用意されており、ゲームオーバーの際にも見れるようになっている。
    • スクロール狙撃
      • これも自力で気付かなければならない。画面外では当たり判定が行われないと言ったが、例えば遠くのボタンをバリオグの弓で狙うなら普通に撃つだけではだめで、予め他のキャラがボタンの近くに移動しておいてからバリオグが弓を放った際に即座にLRボタンで他の仲間のところへ画面をスクロールさせるという発想が必要。裏技でもなんでもなく必須レベルとなっている。
    • 終盤の半重力地帯を降下する個所については、普通に歩いて落ちても上に押し返される、かといって序盤では重力ブーツがあったがそれはいくら探しても無いため途方に暮れたプレーヤーもいたが、正解は上にジャンプしてから落下慣性を付けて降下するというものである。
    • 本作は一本道であり、謎解き、アクションいずれかが欠けてもそこでゲームは詰んでしまうので厳しい。

問題点(SFC版)

  • フィールド全体を自由に見渡せない
    • 現実的と言えば現実的かもしれないが、詰めパズル要素が強いこのゲームでは致命的*3
    • これと中間地点なしの仕様のおかげでリトライの手間が余計に増している。
  • 初めて出くわすアイテムやギミックの一部に説明がない物がある
    • 前述の重力ブーツや画面全体の敵を一掃するアイテムなどが該当する。どちらもチュートリアルステージで出てくるが、こちらの方は[?]ブロックによるヒントはない。
    • どちらも「効果は状況を見て察せ」とばかりに置いてあるが、一つのミスがゲームオーバーに繋がり、同じ場面を再現するのに手間のかかるこのゲームでは不安を煽る要素となる。
    • 敵一掃アイテムの名前は「強力爆弾」。壁は壊せないものの複数の敵を確実に倒すので名前通りに強力である。尚、海外版では「SMART BOMBS」でありその続編のIIでは[?]ブロックにも解説が出るようになっている。

パッケージとのギャップ

  • 白基調のパッケージにはアニメ調のイラストで見た目は賑やかで楽しそうに見えるが、まさかここから最難関を突き付けられるとは思わなかっただろう。
    • タイトル画面で表示される画像もパッケージデザインをそのままゲーム画面にして作り替えられている。
      • タイトルが面こそライトユーザー向けになっているが、ゲーム内容についてはライトユーザー向けの調整は全くなされていない。
      • 仮に、ライトユーザー向けにHPの増量、中間地点の設置、ヒントを更に増やすなりすれば続編を日本語版で発売する事もあり得た話だと思われる。
    • これらにより、初心者には気軽に楽しめる、上級者には大したことが無いという全くもって真逆の印象を与えてしまった。実際にプレーしてから難易度のギャップに驚愕したプレーヤーも多数。
    • 世界最強(?)はオレたちだ!・世界最凶(!)もオレたちだ!!とあるが、それは嘘でも冗談でもハッタリでもなく本当に最強クラスの難易度になっているので、黒基調で初心者お断り仕様でやった方が良かった。
    • 軽い気持ちで本作に手を出してしまったプレーヤーの殆どが凶悪な難易度を前に何でこんな目に あわないかんのじゃ~と遁走する羽目になったのは、ある意味バイキングの大迷惑というタイトル通りと言えるのかも知れない。

その他

  • 文章の表示
    • フォントの仕様は平仮名とカタカナばかりでファミコンレベルである。海外でも大文字のみで小文字が無かった。
    • 更に贅沢を言えば、文章の色でキャラを区別しているがどうせなら文章の左側に顔グラも併せて表示すれば更に良かったと言える。
  • オラフの盾とハシゴ
    • オラフがハシゴから飛び降りる際に盾を上に向けて滑空するか横に構えて攻撃を防ぐかの動作を、ハシゴを登っている際に決める事は出来ない。ハシゴに登る前の盾の向きで決まる。
    • 些細な問題に思えるが、本作ではデストラップの上のハシゴを次々と渡って行かなければならない箇所もあるので命取りになる事も多い。
  • 爆弾とリフトの位置関係
    • リフトの上に爆弾を乗せた後にリフトが上昇すると爆弾がすり抜けてしまうバグがある。エリア1のステージ2の最初のエレベータで簡単に検証出来るが、爆弾は有限であるためエレベータの上で無駄遣いする理由も無かったのであまり問題にはならなかった。

総評(SFC版)

パッケージのデザインと凶悪難易度のミスマッチは大迷惑をもたらしてしまったものの、内容についてはゲーム性グラフィックともに高く評価されており知る人ぞ知る名作とされている、海外で人気だった『The Lost Vikings』が日本版でも遊べるようになった事は良質なパズルアクションを求めるプレーヤーからは大いに歓迎された。
ただし、難易度が非常に高いアクションパズルゲームなのでそこは覚悟されたし。

余談(SFC版)

  • 爆弾とEXIT
    • 3人全員で到達しないと失敗と言ったが、実はEXITで爆弾を使って2人を白骨化させても消失する前にあと1人が到達すればクリア扱いになってしまう。意図的にやらない限りはこうはならないが、白骨化状態で普通に会話をするのは意外とシュールである。
  • 第二章の最後の洞窟でオリに入っている女性
    • 最初に登っていくと女性が囚われているが、助ける方法が非常に分かり辛く、バリオグの弓か剣が錠前に効く事は誰も教えてくれない。そして、助けた後はステージの炎を止めてくれるのだが炎は止まっても壊した壁の中から雑魚敵が出て来るので、結局はオラフの盾が必要になり有難味が薄い。しかも、助けたかどうかでステージクリア後のパスワードが変わる事もないので意味も薄い。
    • また、助ける方法を知らないプレーヤーはわだかまりを抱えたまま先へ進むしかなかった。
  • エジプトでオラフが盾を滑空して梯子を渡るステージ
    • 実はエリックで行く事も可能ではある。ステージクリアの際のセリフに変わりはなく、オラフの滑空をほめるセリフとなっている。
    • 難易度は非常に高いが、余裕があれば挑戦するのも面白い。
  • 本作から年をまたいだ2か月後の1994年1月にナムコから『ロックンロールレーシング』が発売されているが、とある裏技でオラフがプレイアブルキャラとして使えるようになっている。
  • Interplayが1994年にSNES等で発売した『Blackthorne*4も凶悪なアクションパズルゲームとなっており相場も難易度も非常に高い作品である。
    • なお、『Blackthorne』のSEGA32X*5版のシークレットエリアにてオラフ達3人がカメオ出演している。
  • そして、Blizzardの代表作でもあるMMORPG『World Of Warcraft』にも彼ら3人は登場している。あるクエストシナリオではプレイヤーと共に戦ってくれたりもする。また、同社のMOBAである『Heroes of the Storm』ではプレイアブルキャラとして参戦している*6
  • ブリザードの創立30周年を記念して、本作と『Blackthorne』、『ROCK N' ROLL RACING』の3本がセットで復刻された『Blizzard Arcade Collection』が2021年2月20日にDL配信でリリースされた。プラットフォームはPC/PS4&PS5/XboxOne&XboxSeriesX/Switch。尚、PC版のみBattle.netのみでの配信且つ『Blizzard 30th セレブレーション・コレクション』内の1コンテンツとしての提供となり単品配信はされていない(PC版以外は『~Arcade Collection』単体で配信されている)。
    • 2021年4月14日のアップデートで下記の『Lost Vikings 2』と『ROCK N' ROLL RACING』の前身となる『RPM Racing』が追加された(両方とも日本語未対応)。

THE LOST VIKINGS II

【ざろすとばいきんぐすつー】

ジャンル アクションパズルゲーム ASINが有効ではありません。
対応機種 Super Nintendo Entertainment System
発売元 Interplay
開発元 Blizzard Entertainment
発売日 1997年2月27日
プレイ人数 1~2人
記録 パスワード方式
判定 良作
バカゲー
ポイント 日本未発売
骨子は前作踏襲
前作から色々な意味でパワーアップ
新キャラ登場

概要(SNES版II)

本作は『バイキングの大迷惑』の元となったSNES版『THE LOST VIKINGS』の続編にあたる作品である。
3人のバイキングはパワーアップを遂げて更に2人の新キャラも増えて、色々と進化した作品でもある。SFC後期に発売されただけあって全体的に高品質に仕上がっている。

ストーリー(SNES版II)

  • 前作の戦いの後、エリック、バリオグ、オラフは海賊ライフを送っていたが、またしてもある日いきなり転送されてしまう。そして最新鋭の装備を着けた者に追い詰められてしまうが、3人のバイキングは一瞬のスキを見逃さず機転を利かし装備を奪い取り大幅にパワーアップを遂げる………

登場人物

  • 3人のバイキング
ERIK(エリック)
  • ターボブーツを手に入れて機動力が更に向上。猛スピードのダッシュや上昇によりブロックを破壊は勿論健在であり、更に彼だけが水中に適応しており溺死しなくなったどころかアクティブに活動できる独壇場と言える。
  • また、ノーダメージで落下出来る高さは他のキャラよりも優れている。
BALEOG(バリオグ)
  • 弓は捨てたがバイオニックアームを取得、中距離まで伸びるハンドは敵を攻撃したりスイッチを押したりアイテムを取ったり自由自在、更には宝石ブロックに引っ掛けるアクションも出来るようになっている。新しい剣も攻撃範囲が広くて便利である。
OLAF(オラフ)
  • このTITANIUM DWARFING SHIELDで、君らの攻撃は防ぐぞ。
  • 盾を掲げてのグライダー滑空は健在であり更にはGASを放出してその反動で上空へのベクトルが発生させ小ジャンプや飛距離の向上につながっており、床のブロックも壊せるようになった。しかも何故か縮小して狭い所へ入り込めるようになった。
TOMATOR(トマトール)
  • 前作の戦いで宇宙の迷子になっていたはずだが何事も無かったかのように復活。プロローグでは最新鋭の装備を3人のバイキングに逆に奪われるものの、それでも前作では考えられなかったような凶悪なギミックで本格的に猛威を振るって来る。
  • 最後の最後で意外な正体が判明する。
  • 新キャラ登場
    • いずれも共に活躍してくれる。
FANG(ファング)
  • エリア1で閉じ込められていた。高い敏捷性を持つキャラで爪で攻撃したり、壁を登っていく事が可能であり場所によってはエリック以上の高さに到達する事も出来る。
SCORCH(スコッチ)
  • エリア2で閉じ込められていた。炎を放つ事が出来て敵への攻撃は勿論、特定のボタンを作用させる働きもある。背中の翼も伊達ではなくオラフのように滑空したりする事が出来る。
  • その他
KID
  • キャンディーを持っている事以外謎に包まれた少年。あらゆるところで出会う。
  • 近くでバイキングがやられると笑った際の台詞も用意。
  • 他にも色々なキャラクターが登場する

ゲーム内容(SNES版II)

  • 前作同様ルールに大きな変更はなく1つのMAPで3人のキャラクターをEXITへ向かわせる事に変わりはない。
    • 今回はステージの最後に人物がおりタイムマシンを発動させるために3つのアイテムを持って行く条件が追加されている。
    • 参加キャラもエリック・バリオグ・オラフの3人組を基本にしているが、ステージに応じてファングやスコッチが代わりに参加する形で固定するという事も多い。
      • キャラクターがいない際は何かで代用しなくてはならない。例えばエリックがいない際は爆弾でブロックを壊すなどがある。
  • ギミックも色々と追加
    • 天秤リフト
      • 両脇のリフトが滑車で繋がっており重い方が下がっていくと言うもの。上段、中段、下段の3段階あり例えば両サイドに1人ずつ乗ると中段で釣り合う。1人のキャラを上段まで上げるにはもう片方に2人乗せる必要が出て来る。
      • ちなみに、オラフの盾の上に乗っているキャラの質量は0という扱いになっている。流石はSF技術の盾といったところか。
  • DARK AREAS
    • 特定の領域へ行くと画面が真っ暗になり何も見えなくなってしまう。地形は勿論敵も味方も一切見えなくなるので初見では慌てる事は必至。
    • これはTORCHを持っている若しくは持っているキャラが近くにいる事で無効化出来るようになっている。
    • ステージによってはダークエリアが2か所あるのに対しTORCHが1つしかない状況もあり難しくなっている。

評価点(SNES版II)

ゲーム性が進化

  • チュートリアル
    • 前作から更に丁寧に構成されており序盤の方から[?]ブロックのヒントとともに新しい装備などに慣れていけるようになっているので、前作をクリアして久しい方でも安心である。
      • 意外と忘れられがちだったアイテムの受け渡しも頻繁に使うように設計されている。これが終盤では深い意味を持ってくる。ちなみに、別な仲間との距離が短ければジャンプ中だろうと一見無理そうな壁越しだろうと渡す事が可能。
  • アクションも強化
    • プロローグの新型装備により水中エリア、宝石ブロックによるグラップ、狭い個所など活動範囲が広がり、更には2人の新キャラも滑空や壁ジャンプなど独自のアクションを持ち合わせており機動力が更に向上したと言える。
  • ギミックも強化
    • 転送装置、ブロック壁、高圧電流、反重力装置などは健在であり本作では更に水平ロープ、天秤リフト、DARK AREAS、再生植物、制限付きのワープ機械など新しい要素が盛り込まれている。
    • 前作ではなかった組み合わせ方も登場しており、例えば1人を残して交代で2人だけで進ませたり戻らせたりするなどより複雑化しているものも用意。
  • 敵キャラも進化
    • 魔法を撃って来るウィザードや浮遊タイプのメカはリモートボムを放ってくるなど戦闘面も力が入っている。敵によっては必須アイテムを落とすようになっているので強いからとやり過ごす事は出来ないようになっている。
  • ゲームの舞台もシルバニア、ギリシア、海賊船、古代遺跡、荒廃したSF世界など多岐に渡る。
    • 更なる進化を遂げて更に新しい仲間を得たバイキングたちとともに、更に凶悪化したギミックに立ち向かって欲しい。

グラフィックも進化

  • 前作でも高く評価されていたグラフィックに更に磨きがかかっており、マップは緻密に描き上げられており、キャラクターの動作もまた細部までこだわり抜かれている。しかも、橋を渡った際はたわむようになっていたり、水中のコースティクスが表現されているなど妥協を知らない。
  • HP表示の盾の部分は青い丸だったのが盾のアイコンになっており分かり易くなっている。

その他

  • パスワードも健在
    • 「STRT」「ST3W」など分かり易いものばかりで構成されている。
  • ステージの最後はEXITではなく人物が待つ
    • ただのEXITから人物にする事でストーリー性が強くなっている。勿論、クリア時の会話も1つ1つ用意されている。
    • また本作では5人の仲間は野郎ばかりだが、各ステージにはウィッチやジプシーなどの女性がいると華があるとしたものだ。
  • パッケージの仕様
    • 黒基調にごつい男達が登場するデザインとなっており、初心者が軽い気持ちで手を出す事がないようになっている。
  • 2人プレイ
    • 本作ではオラフの後ろに回り込んだり攻撃をして来る敵がいたり、仕掛けの都合上素早く別な仲間に切り替えなくてはならない場面があるので2Pプレイが有利に働く個所も多くなっている。ただし、腕前が無いとかえって足手まといになるのに注意。
  • EXITと爆弾のバグは直されている
    • 本作ではEXITで爆弾で2人を白骨化させた直後に1人をゴールさせてもクリアにはならず白骨化が消失してからゲームオーバー画面に移行するように改善されている。

賛否両論点(SNES版II)

  • 難易度は非常に高い
    • バイキングが最新鋭の装備を奪い取って大幅にパワーアップしたと言ったが、トマトールのギミックも大幅に強化されておりやはり厳しいのは相変わらず。
    • HPの方は全く強化されておらず最初から最後まで3である。本作も中間地点などという甘いものはなく、通しで乗り越えなくてはならず、1箇所でも出来ない箇所があるとそこで断念するというのは厳しすぎる。
  • 下品な表現
    • 全キャラは食べ物を食べるとゲップをするし、オラフがハシゴを登り切る際に半ケツを出すのも相変わらずであり更に本作ではオナラを多用するようになり下品さも度合いを増している。
  • 日本では未発売
    • さしずめ『バイキングの大迷惑2』という形で日本に上陸する考えもあったかも知れない。そうなると、凶悪難易度の再来により大迷惑のダブルパンチになっていたと思われる。

問題点(SNES版II)

  • 文章
    • アルファベットの文字は大文字のみである。
  • カメラワーク
    • 今作でもPAUSE中にスクロールする事は出来ない。
    • スイッチやボタンを作動させると仕掛けが連動するのだがその際に画面外の仕掛けがどう作動したのか非常に分かり辛い。
  • ダークエリアと松明の表現について
    • 松明を持って行けば無効化出来るのは良いのだが、普通の明るさなのか松明でダークエリアを無効化しているかの違いが分からない。一応、松明持たせてダークエリアに入ったキャラにLRボタンで仲間に切り替えをすれば僅かに暗くなるくらいの違いは見えるがやはりわかりづらい。
  • 爆弾とリフトの位置関係
    • リフトの上に爆弾を乗せた後にリフトが上昇すると爆弾がすり抜けて落ちてしまうバグがあったが本作でも直されていない。この手のバグは普通のゲームなら軽く触れて笑って済ますところであるが、本作ではとある遺跡ステージの終盤ではリフトの上で爆弾を爆発させなくてはならないところがあるのだが、ここまで来るまでの手順が長くこのような事で爆弾を無駄にすると詰んでしまい労力を棒に振ってしまう。
  • 終盤の(B4DD)
    • ファングとスコッチがボスを倒すステージであるが、倒した後にブロックに押しつぶされそうになりオラフの行動が問われるが分かり辛い。結局どうして良いか分からず実際に押しつぶされたケースも多い。ボスを倒した直後にこれではあんまりである。
    • これまでのクリア条件が全て全員でEXITへ向かうというものであり、ゴールの段差も1マスと見た目は行けそうなので何とかゴールへ辿り着きオラフの盾で防ごうと試行錯誤したプレーヤーもいた。
    • 状況が状況だけにプレーヤーが慌てて判断力が落ちるのも仕方のない所である。
+ 正解
  • オラフが仲間に近付いてアイテムを渡す。
    • 知ってさえいれば非常に簡単ではあるが、これまで全員でEXITへ向かう仕様だったのでかえって見落とし易くなっている。
    • ちなみに、本当に極めて稀ではあるがブロックが落ちて来る僅かなズレで先のブロックを押して即死を回避できる。しかし、そのブロックの向こうにいるので距離が離れてしまいアイテムを渡す事は出来ずに結局は詰んでしまう。

総評(SNES版II)

ゲーム性、グラフィック演出ともに前作から更に磨きがかかり機動性が大幅に向上した逸品となっている。
ただし、難易度も非常に高いので本作に挑む事が出来るのは、あらゆる総合力が高いゲーマーに限る。

余談(SNES版II)

  • 本作にはサブタイトルが付いておりフルで書くと『THE LOST VIKINGS II:Norse by Norse West』というのが本来のタイトルになる。*7
  • 本作はその後、MS-DOS、Windows、SS、PS版への移植版も発売された*8。移植はオーストラリアのBeam Softwareが手掛けている。但し、タイトルがSS版とDOS版はSNES版と同じであるのに対し、Windows版とPS版は『Norse by Norse West:The Return of the Lost Vikings』とサブタイトルの方がメインという形に変更されている。*9
    • 32bit機を含むプラットフォームへの移植とあって、ゲーム画面では3Dプリレンダグラフィックが多く使われ、他にもムービーやCD音源のBGM、声優による主人公3人のボイスが追加されているのが主な特徴。
最終更新:2023年12月15日 15:04

*1 海外ではSNES版発売後、MS-DOS、GENESIS、AMIGA、GBAなどでも発売されている。ちなみにSNES版は1993年4月末に発売された。

*2 当時のゲーム雑誌のクロスレビューで40点中での32点

*3 ちなみに会社が違うが、本作と原作の間に発売されたアクションパズルゲームの『マリオとワリオ』ではスタート前とポーズ中にフィールド全体を見渡せられる仕様であった

*4 日本版は1995年に『ブラックソーン 復讐の黒き棘』のタイトルでSFC版がコトブキシステムから発売されている。

*5 スーパー32Xの北米仕様版

*6 但し、「3人まとめて1キャラ」という扱いではあるが。

*7 SNES版のパッケージにもちゃんとサブタイトルが書いてある

*8 これらも日本では未発売

*9 ゲーム内容自体は同じ。