Diablo
【でぃあぶろ】
| ジャンル | アクションRPG |  
  
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| 対応機種 | Windows Macintosh
 プレイステーション
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| 発売元 | Blizzard Entertainment 【PS】Electronic Arts
 【PS日本版】Electronic Arts Square
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| 開発元 | Blizzard North | 
| 発売日 | 1997年 【PS日本版】1998年7月9日
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| 定価 |  | 
| 判定 | 良作 | 
| Diabloシリーズ Diablo / Hellfire / Diablo2 / Diablo2 LoD
 Diablo3 / Diablo3 RoS / Diablo4
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概要
アメリカの「Blizzard Entertainment」(以下ブリザード社)が開発、販売したMORPGの祖先となるアクションRPG。
ネットワーク接続による通信プレイを早期に実現し、世界中で大ヒットを記録した。
ストーリー
天界に住まう天使達と地獄に巣くう悪魔達が、世界の覇権を賭けて争う世界。
この戦争は膠着状態に陥っていたが、地獄で起きたクーデターの隙を突いて
攻勢をかけた天使達によって、悪魔達の指導者「3魔王」達が地上界にて封印され、戦いは一時終結。
しばしの安息が訪れた。
しかし、そんな平和な時もそう長くは続かなかった。
カンデュラスの地に封印されていた3魔王の一人「恐怖の王ディアブロ」が復活したのだ。
ディアブロは地下深くから思念を送り、カンデュラスの国王や大司教を洗脳。
平和だった国は崩壊し、カンデュラスは怨嗟の声に満ちていた。
さらにディアブロは悪魔を召喚して軍勢を整え、カンデュラスを地上侵攻の拠点にしようとする。
そんな中、幾人かの旅人がカンデュラスの首都トリストラムに戻ってきた。
カンデュラスを襲った悲劇を聞いた彼らは、誰に頼まれるでもなく、各々の得物を持って
町はずれの寺院跡を目指すのであった。寺院地下に巣くう魔王ディアブロを打ち倒すために。
特徴
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クラスは3種類
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魔法はからきしだが肉弾戦最強の「ウォリアー」と、弓の扱いに長け、魔法もそこそこ使える「ローグ」に加え、脆弱だがそれを補って余りある強大な攻撃魔法を使える「ソーサラー」の中から1キャラを選ぶ。
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各クラスはステータス上限、モーション速度(武器を振る速度や呪文の詠唱速度)、固有スキルなどで差別化されている。
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レベルアップ時にステータスをSTR(筋力)、DEX(器用さ)、MAG(魔力)、VIT(体力)の4種類に自由に割り振ることができ、同じクラスでも育て方でキャラに幅が出る。
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ただし、ゲーム後半ではステータスを上げるドーピングアイテムが比較的簡単に手に入るようになる。
 
 
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ゲームを作成する度にダンジョンの形が変わる「ランダムダンジョン生成」を搭載。
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『DOOM』のような「リアルタイムアクション戦闘」を実装。
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「ランダムアイテム生成」
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ランダムな能力が付与されるマジックアイテムと、固定の能力が付くユニークアイテムがある。
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マジックアイテムとはベースとなるアイテムにランダムで形容詞(prefix〈接頭辞〉やsuffix〈接尾辞〉)がつくことでアイテムの性能が変わる。
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ユニークアイテムとはマジックアイテムでは付かない特殊な能力が固定でついており、固有の名前を持ち、中には固有のグラフィックを持つものもある。
 
 
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最大のウリである「通信プレイ」
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インターネット接続環境を整えれば、自社サーバーの「バトルネット」を介した通信プレイが遊べる(もちろんオフラインでも遊べる)。
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バトルネットを使用することによる手数料発生はない。
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ロビーで仲間を募り、冒険時は最大4人でプレイをすることができる。
 
 
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クエストが豊富なシングルモードと、通信プレイが可能なマルチモードが選べる。
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セーブデータは完全に独立しており、シングルモードで育成したキャラでは通信プレイはできない。
 
評価点
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当時としては珍しいシステム
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「ランダムダンジョン生成」はローグライク系のゲームとしては古くからある手法だが、グラフィックを伴ったゲームへの導入は珍しかった。
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また「リアルタイムアクション戦闘」も当時のRPGでは珍しいものだった。
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製作者インタビューによると、実は初期の企画段階では、まさしくローグライクのようなターン制のゲームを予定していたという。しかし専用の処理エンジンを開発することにより、血湧き肉踊るモンスターとの戦闘が実現することとなった。
 
 
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良品を求めての狩り(トレハン)がかなり熱い。
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自分にとって不要なアイテムでも他人が欲しがる場合があるため、トレードも活発に行われている。
 
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本作最大の評価点とも言える通信プレイ
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「家にいながら世界中のプレイヤー達と共闘(もしくは対戦)できる」という、ゲーマーや開発者共に描いていた夢がついに現実となった。
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とことんはまってしまったあげく、月の電話代請求が数万円を超える者も続出。
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当時の日本では定額制の常時接続サービスが「深夜のみ定額」の『テレホーダイ』しかなかった。そのためテレホーダイの時間はいつも混み混みでラグが酷く、かといって混雑を避けて昼間に遊ぼうとすると従量制の電話料金に悩まされることになる。
 
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バージョンアップによるゲームバランス&不具合調整が何度か行われ、ブリザード社のサポート対応も良好。プレイヤーの支持を集める一因になった。
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バトルネット使用による手数料が発生しないのも嬉しい点。
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後発のオンラインゲームには月額課金が必須だったり、基本プレイが無料でもゲーム内の特殊なアイテムが有料だったりする形がほとんどである。維持管理費などを考えるとビジネス的にはむしろそちらで当然である。
 
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通信プレイには世界中から様々なプレイヤーが集まり1つの社会、世界といったものを形成していた。
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初心者を育成する導き手となった英雄的存在や、アイテム売買で財をなした者、他プレイヤーを罠にかけて殺し装備や耳を奪う悪党、そんな悪党を狩る賞金稼ぎのようなキャラ、ひたすら強さを求めデュエルを繰り返す者…と、プレイヤーの数だけドラマが生まれる、といっても決して過言ではなかった。その思想・楽しみ方のスタイルは大変に先進的で、後発のオンラインゲームにも脈々と受け継がれており、影響を受けていないものは「ない」と言い切って良い。
 
 
賛否両論点
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最終的にどのキャラも全魔法習得のスーパーキャラになってしまい、個性が薄れてしまう。一方で取り返しのつかない「キャラ育成の失敗」が発生しにくく、ある程度レベルが高ければそれなりの活躍が期待できた。
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『2』ではクラスごとに取得可能なスキルが固定され、その中から習得したいものを選ぶ形式になった。同じクラスでもスキルの振り方で全く異なるキャラになるなど、個性が出しやすくなった。一方で効率の悪い割り振り方によって、レベルが高くても弱いキャラなど「キャラ育成の失敗」が発生するようになった。
 
問題点
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チート対策が取られていない
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キャラクターデータがローカル(プレイヤー側のPC)に保管されていたため、チートし放題となり、対戦プレイ時に特に問題となった。
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チートプログラムも進化する一方で、最終的にはどんな攻撃でも傷つかない無敵のキャラが最強魔法である「アポカリプス」を連打しまくりながらノンチートキャラを虐殺しまくる様に。そのため続編の2では対策が取られた。
 
 
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ダンジョンの形状および敵の配置如何によっては、対処がかなり困難になる可能性が存在する。
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「開けた場所で敵の大群とカチあう」、「『砲台』と呼ばれる敵集団に出会ってしまう」が有名かつ典型的な死亡フラグ。
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死ぬとその場で装備品をぶちまけてしまい、取りに行くハメになる。しかし素っ裸のキャラが敵集団に向かっていっても勝てるはずはないわけで…。
 
 
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リカバリー不能なトラップや攻撃がある。
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Life(HP)の最大値を減らす攻撃をしてくる敵や、Mana(MP)の最大値を減らすトラップがある。注意深くプレイしていれば回避できるものの、うっかり受けてしまった場合、最大値が下がった状態が嫌であればキャラクターを新規に作り直す他ない。
 
総評
MOの元祖にして、RPGの歴史に残る傑作の1つ。
このゲームが後RPG(特にネットゲームやハック&スラッシュ型のRPG)に与えた影響はあまりにも大きく、このゲームの画面構成やシステムを模倣した作品は「Diabloライク」と呼ばれるようになった。
マウスとキーボードで多彩なアクションが可能な優れた操作性と、周回プレイを飽きさせないよう工夫されたシステム、発売後も継続されたサポート体制など、大半の要素はすでに初代『Diablo』で完成されていたのだ。
余談
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シリーズ最新作となる『Diablo III: Reaper of Souls』にて、2017年1月にシリーズ生誕20周年を記念し、本作のダンジョンを再現したアニバーサリーダンジョンおよびイベントとして「トリストラムの闇 (The Darkening of Tristram)」がPC版はもちろんのこと、PS4/One版(※海外のみ発売)の『Diablo III Reaper of Souls Ultimate Evil Edition』にも配信されている。
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このダンジョン内に限りグラフィックが本作に近いやや粗いものになるほか、このダンジョンおよびイベントでしか入手できないアイテムなどが用意されており、一例としてダンジョン最奥部で「ダーク・ロード」(ディアブロ)を撃破することで、本作のエンディングになぞらえて兜に装着できる宝石(レッド・ソウル・シャード)を入手できる。
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このイベントは初出の2017年1月以降、毎年1月中のみ解放されるイベントとなることが公式に発表されており、2018年1月もこのイベントが発生したが、その際にバグによりイベントの一部要素が解放できないことなどが報告されていた。こちらは後のアップデートパッチにより修正済みとなっている。
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2018年12月にSwitch向けに『Diablo III Eternal Collection』
が発売され、2019年1月のこのイベントはもちろんプレイが可能となっていた。
 
 
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このゲームを作るにあたり大きく影響を受けた作品として、『Diablo』製作者はローグライクゲームの*bandを挙げている。
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あまりメジャーなタイトルでは無いが、両者を知っている人は実際に多くの共通点が見つけられるだろう。
 
その後の展開
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1997年末にシエラオンラインから拡張ディスク『Hellfire』が発売された。3つの新クラス増加やアイテム追加などのバランス調整が施されているが、Hellfireはネットワークプレイ非対応。
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初代『Diablo』で唯一の拡張パックであったが、公式からは一切のサポートがなされず、クラスの一部は隠し要素など、完成度はあまり高くなかったようだ。
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その後も有志の手により制作が続けられ、現在では『Diablo:the Hell』という名で無料MODとして配布されている。『Hellfire』自体が、現在では様々な作品上で多彩に展開されているMODという概念のはしりであったといえる。
 
 
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1998年にプレイステーションの移植版が北米・欧州・日本(日本語版)で発売された。PS版のパブリッシャーはエレクトロニック・アーツ。
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ハードの性能限界からか、「オンラインプレイ非対応(画面共有の2人同時プレイは可能)」「ロード時間がものすごく長い」「バルログ系の削除をはじめとした容量削減のための仕様変更」「元となったバージョンは1.05ベースで、そこまでのいくつかの不具合が残っている」「Hellfireの追加要素も入っていない」などの問題点があるため、PC版経験者からの評価は高くない。
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一方、PS版のみの利点として「操作をPSパッドに最適化」「インベントリ欄のポーションをベルトに入れなくても直接飲めるコマンドの追加」「クオリティの高い完全和訳及びべテラン声優によるフルボイス化」「倍速モード搭載」といったものがある。また、PC版では正式な日本語版が出ていないため、(プレイ環境が整っていれば)『Diablo』の世界を知るための入門編としてPS版をプレイするのも悪くない選択肢である。
 
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PC版は著作権の権利保護の都合から多言語化が困難な仕様であったため、日本語版は発売されなかった。
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開発の遅れを間に合わすための急場しのぎによって言語ファイルを分ける措置を取ってなかったことによる。
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ただし、ネットプレイではチャット機能を日本語に対応させた非公式パッチも存在する。BAN対象ではあるが…。
 
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ラスボスであるDiabloの声はプロデューサーのビル・ローパー氏が担当している。
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本作エンディングはDiabloを倒したプレイヤーキャラが新たなDiabloになってしまうという鬱END。
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本作におけるウォーリアの背景設定は発狂した王による隣国侵攻から帰ってきた遠征軍の兵士だが、続編においては兵士たちと共に帰国した遠征軍の指揮官だったエイダン王子が正史上のウォーリアであり、Dialbloを倒して上記のエンディングを迎えたことになっている。
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エイダン王子は地下3階のスケルトンキングと化した国王の長男で、ラスボスのDiabloが復活のために体を乗っ取った王子(末っ子)の兄である。
 
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そして2000年6月29日、待望の『Diablo2』が発売されることとなった。
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2021年2月現在、ダウンロード販売サイトGOG.comで『Hellfire』とのセットが$9.99で購入可能である。
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本セットはWindows 10およびHD解像度といった現行PC環境への対応が行われており、今からプレイするならこれを購入するのが恐らく一番無難であろう。
 
最終更新:2023年07月19日 23:26