新宿のアヴェンジャー


相互理解など不可能。此処に居るのは、憎悪を撒き散らす獣なり。

iOS&Android用アプリ『Fate/Grand Order』に登場するキャラクター。1部クリア後のエピソードである、1.5部 亜種特異点I『悪性隔絶魔境 新宿』で登場。
CVは 竹内良太 氏。
数多くいるサーヴァントの中でも狼に乗った首無し騎士というぶっちぎりで奇怪な外見をしている。
彼に限らず、1.5部のサーヴァントの一部は従来のFateシリーズ同様に、真名がゲームをある程度進めるまで隠されているのだが、
新宿のアヴェンジャーに関しては「首無し騎士と狼」という「どの神話・伝説にも該当しない奇妙な組み合わせ」から、真名の推測が困難を極めた。
イスカンダルやランサーのアルトリアなど愛馬が一緒に召喚されたり、アン&メアリーのように二人で一騎のサーヴァントも存在するが、
「首無し騎士と狼は別々のサーヴァントで、騎乗する事で一騎のふりをしているのではないか」という考察もあった。
それでも、首無し騎士はともかく巨大な狼は候補が多過ぎて絞り込むのが難しく、ダ・ヴィンチちゃんが珍しく弱気になったほど。

セイバー」「アーチャー」「ランサー」等はともかく「アヴェンジャー」というクラスについては、
Fateシリーズに詳しくない人にはあまり聞き慣れない話かもしれないが、元々は原典である『Fate/stay night』のファンディスクにして番外編作品である、
『Fate/hollow atalaxia』から登場したサーヴァントのクラスであり、型月界隈においては「アヴェンジャー」と言うと、
その最初のアヴェンジャーとなった英霊を指していた。
現在『Fate/Grand Order』にてそこそこ増えていっている該当クラスである。件の元祖アヴェンジャーは三番目に実装された
基準は明確に語られていないが「正当な復讐の権利がある」タイプの英霊がそれとして召喚される様子。
「アヴェンジャー」は通常の聖杯戦争のラインナップから外れたエクストラクラスであり、
このサーヴァントも本来は「ライダー」として召喚されていたのだが、ストーリー中盤で行ったある行動をきっかけに、
「アヴェンジャー」へとクラスチェンジしている。

+ その正体(『悪性隔絶魔境 新宿』一部ネタバレ注意)
最初に人間を噛み砕いた時、奇妙なまでに晴れやかな気分があった。

真名は「ヘシアン・ロボ」
1部の敵の残党である魔神バアルが、幻霊の融合技術を用いて生みだした「複合型サーヴァント」。
「幻霊」とは、本来英霊になるほどの知名度や霊基強度のない歴史の人物や伝説的存在を指す。
FGO主人公への復讐に燃えるバアルは、主人公を殺すために1部の黒幕とは別の方向から攻める方法を模索しており、
その過程で幻霊同士を融合させる事で、礼装の様に英霊の強化手段として扱う手法を確立。
幻霊を英霊並みの霊基に向上させる事に成功したのである。

新宿のアヴェンジャーに使われたのは「狼王ロボ」と「首無し騎士ヘシアン」。
前者は『シートン動物記』で知られる、悪魔のように知恵が回ると恐れられた狼であり、
後者は、アメリカの民間伝承を基にした小説『スリーピー・ホロウの伝説』で知られる死神的存在。映画化もされているので興味が沸いた人は観てみよう。
ヘシアンとはドイツのヘッセン公国から来た傭兵で、アメリカ独立戦争にてイギリス側に雇われ「スリーピー・ホロウ」という土地で
戦闘中に砲撃で頭を吹き飛ばされ、自分が死んだ事を自覚せぬまま彷徨っていると言い伝えられている。
『スリーピー・ホロウの伝説』における首無し騎士の描写はムゼーウスの『ドイツ民話』における山の精リューベツァールの第五伝説がモデルと言われている。
また、劇中では途中で『透明人間』の主人公「ジャック・グリフィン博士」の幻霊も融合させられている。
このためか絆を深めると公開されるプロフィールでは性別項にて「雄・男性・男性」とも書かれており、
立ち絵やバトルキャラにはまったくその気配すらないが、透明化したグリフィン博士も共にいるらしい。
ロボは「かつて人だったモノ」を背に乗せて戦う事に嫌悪感があるようだが、
基本的にはヘシアンが無言で補佐に回る事に専念している(=自動的に周囲の人間を攻撃してくれる)ためになんとか受け入れられている様子。

「アヴェンジャー」のクラスなのは妻のブランカを人間に殺され、人間という種族そのものを憎悪しているロボの方が本体だからである。
ヘシアンは自分から意思疎通をする事は少ないが、ある場面では自発的にロボを庇っており、決して自我が無いわけではない。
一見すると全く共通点のない存在同士に見えるが、『新宿』のエピソードでは彼らが共通して「望郷」の願望を持っていた事が読み取れる。
ロボが生きた時代は人間の開発によって狼が住処を追われた時代であり、
ヘシアンは本来アメリカ独立戦争敗北後、様々な事情で故郷であるドイツへ帰れず合衆国に留まっていたイギリスの傭兵の呼称だからである。
また、後に公開された設定によればヘシアンの死は味方の裏切りによる物であり、彼自身も「復讐」という概念には相応の縁があるとの事。

+ 宝具
突進───閃光あるいは弾丸のように

斬撃───それこそ死神そのもの

即ち『遥かなる者への斬罪』……!

遥かなる者への斬罪(フリーレン・シャルフリヒター)
ランク:C
種別:対人宝具
レンジ:1~5
最大捕捉:1人

二人の復讐心を形にした宝具。
因果を逆転するほどの力は持たないものの、宝具のレンジ内で微妙に世界への偏差を加える事により、
「首を刈りやすくする」状況を作る因果律操作系の宝具で、その状態でヘシアンが手放した死神の鎌の様な剣をロボが咥え、
同時にヘシアンだ外套を無数の刃に変化させて首を刈り取る。

そんな彼がカルデアの召喚に応じて主人公に協力するのは子孫のため。
ロボは妻との間に子を残していたので世界が滅びると子孫まで滅びる可能性があるため、
人間である主人公にも協力しているのである。
もっとも、ハイイロオオカミは70年代に絶滅寸前になっているため、ロボの血縁が残っているかというと限りなく可能性は低いのだが、
「可能性は0ではない」という一点でロボは人間である主人公に助力する価値があると認めている。
霊基再臨3段階、絆Lv5で解放される幕間ではロボの視点から主人公について語られる場面があり、
普段は咆哮で判断するしかないロボの心情がいかなるものか、幕間を見る前と後でかなり印象が変わるため一見の価値あり。

また、アナスタシアの幕間で夢の世界にダイブした際に一時的にヘシアンと意思疎通可能な状態になったのだが、
見た目からは想像もつかない割と陽気な人物(?)であったことが発覚した。

考察スレでは「狼が本体で騎士は操り人形」という仮説があったり、
「狼じゃなくて巨大な犬なのでは?」という意見から西郷隆盛等の愛犬家ではないかという考察もされており、
中には『フランダースの犬』のネロとパトラッシュも候補に挙がっていた。
確かに『天才バカボン』とのクロスオーバーではキャラ崩壊レベルのアヴェンジャーになってたが…

誰も俺を邪魔できぬ。誰も俺を邪魔させはせぬ。
復讐する度に、きっと自分は昔に戻っていくのだと。
またいつか、仲間と共に歩んだ大地に還るのだと。
そう思っていたのに。───なのに、どうして。

ああ、人間(かいぶつ)がいる。殺さなければならない。そうすれば、きっと……。
きっと……。あれ?おれは、なにを、ねがったんだっけ?

ファンからの愛称…というか真名はネタバレになるので便宜的な呼称は主に「新宿のわんこ」。命知らずかよ
舞台が新宿という事もあり「アヴェ公」「ハチ公オルタ」なんて言われてもいる。駅前にこんなんとか保健所か猟友会沙汰だろ
その後、期間限定イベントで狼に警察帽、首のない人にパトランプを載せて「警察犬」扱いなんて事もされた。
(その際の飼い主にはまったく懐かず噛み殺しかけたりしていたが)
個別に呼び分ける場合は「下の狼(わんこ)」「上の人・背中の人」等。厳密に言うともう一人いるのだが…

その見た目から愛犬家やモフモフキャラ大好きのプレイヤー(あと上の人が中二病・人間の死体系化け物大好きの方に)には人気が高いが、
「復讐者のクラスの狼」を狼モチーフのキャラのさだめとはいえ犬扱いというのも、存外彼らのガチのファンには難色を示す人もいる。
また、言葉は話せずとも身振り手振りである程度の意思疎通はできる首無し騎士はともかく、
狼の方はガチで人類全体に殺意と憎悪を抱いているタイプのキャラであるため、
絆レベルを上限まで上げきっても主人公に対し比較的穏やかに吠えるようになるだけであり、決して人類を許してはいない。
サーヴァント(英霊)や神霊に対しては「最早ヒトではないモノ」と正確に認識しており通常の人間との区別もついているが、
それでも人の匂い(要素)が消えている訳では無いので警戒自体を解くという事はない。
新宿のアーチャー、新宿のアサシンに対しても「利害の一致で一時的に協力しただけ」であり、
狼の方がわずかに警戒を緩める例外は泥から作られたエルキドゥや御伽話が顕現したナーサリー・ライム、
チェイテ城の守護神像を改造する事で誕生したメカエリチャン及び二号機のような人外、曲亭馬琴の使い魔犬である八犬士程度である。
幕間等でもナーサリーやエルキドゥが通訳や代弁者として同行している事が多いが、
カルデアに召喚された場合、日常においては霊体化などで他者との接触を極力避けているようだ。

疾駆する

上記の曲亭馬琴が登場するイベント『南溟弓張八犬伝』では珍しく主要キャラとして活躍。
ある理由から本来の候補だった牛若丸に代わって意図せず岡田以蔵共々レイシフトしてしまい、
犬士達の不遇に腹を立てていたこともあり(暴走は最低限まで上の人が抑えていた)積極的に他のサーヴァントと共に協力した。
なお、結果論だが以蔵と彼がいなければ主人公はかなり厳しい戦いを強いられていた可能性が高い。
また、騒動終了後に以蔵に対して「自分はともかくなんでお前同行に引っ張られたの?」という目で見ながら付き纏うという、
彼にしては珍しい光景もあった。

『108人のハロウィン・リベリオン!〜小竜娘水滸演義〜』でも登場し、
出番は多くはないが天草や黄飛虎と共に四奸六賊が用意した罠を突破して聖杯を奪取する重要な役を担った。
特に彼は罠を見抜く重要なポジションとして活躍し、当人としてはシーフ役はかなり不本意で主人公の説得で渋々働いたようだが、
東洋西洋問わず物理も魔術もごちゃまぜな罠の数々を全て見抜くという、生前の逸話に違わない慧眼により事態の解決に大きく貢献した。

+ Fateシリーズとは無関係な余談
1.5部配信とほぼ同時期に放送された2017年のプリキュアシリーズ『キラキラ☆プリキュアアラモード』にて、
ラスボスの眷属として登場した「ディアブル」というキャラクターが冷暗色の禍々しい狼型の怪物声の担当が竹内良太氏と、
新宿のアヴェンジャーと絶妙なシンクロをしていたため、大きなお友達からネタにされたりした。
舞台となる町に合わせて誰が呼んだかいちご坂のアヴェンジャー」
その後、ディアブルは別の敵幹部に意思を奪われてのりものにされ、ニコイチのキャラになっている。
尤も、ディアブルは完全にラスボスの分身・手駒であり、人間を憎悪しているものの復讐心とは全く異なる理由によるもので、
復讐心こそ持ち合わせているが、過去に自分を封印し肉体を奪ったプリキュアへの逆恨みというものであるから、
まず正当な復讐の権利を有しているとは言えず、仮に英霊とされてもアヴェンジャーのクラスにはなり得ないと思われるが。


原作での性能

ゲーム中でも珍しい「復讐者(アヴェンジャー)」のクラスを持ち、耐性に優れた「ルーラー」のクラスに対して相性で有利。
代わりに「ムーンキャンサー」には弱いが、このクラスの雑魚エネミーはおらず、
該当サーヴァントも出る機会は数える程しか無いのであまり気にしなくてもよい。ルーラーにも言えることだが
実質「バーサーカーのクラス(どのクラスが相手でも大ダメージを与えられる反面、こちらも大ダメージを受けてしまう)が弱点と言っていいだろう。
ただし「悪」「男性」「人型」「獣」等、該当属性がかなり多く、それぞれの特攻スキル、宝具を持つ英霊には割と食いこまれる大ダメージを受けがち。

カード構成はクリティカルを発生させやすいクイック型。クラススキル「忘却補正」もクリティカルと相性が良い。
また、NP回収率を高める「復讐者」「自己回復(魔力)」のおかげで宝具を発動させやすい。
特筆すべき部分は戦闘時に使用できるスキルのうち、スター集中率と防御力を高める「堕天の魔」。
クイック主体の新宿のアヴェンジャーの要となるスキルであり、ただ単にダメージソースとして使用するだけでなく、
アーツに星を乗せる事でクリティカルを誘発して、クラススキルと合わせてNPを回収率を底上げするのにも使える。
また、強化を剥がす「死を纏う者」も強敵であるほど使用する機会が多い。
どの戦闘スキルもレベル10にすればCT5となり、短いサイクルで使用可能になる。

宝具は単体攻撃「遥かなる者への斬罪(フリーレン・シャルフリヒター)」。
自身に必中状態を付与し、相手に大ダメージかつ中確率の即死攻撃を与える。
幕間をクリアすると宝具が強化され、発動と同時に3ターンのクリティカル威力アップの強化が付与されるようになった。
即死の確率はスキルマの「死を纏う者」と宝具レベル2以上でようやく雑魚に安定して発動する程度であり、
かつ新宿のアヴェンジャーの様な単体宝具持ちはどちらかといえば即死耐性の高いシャドウサーヴァントや大型エネミーに宝具を使う事が多く、
ロベスピエールのような例外もいるが
即死は発動したらラッキー程度の認識で、寧ろ宝具カードでクイックチェインを発動し、
次のターンで「堕天の魔」でスターを回収して攻撃するのが望ましい。

総評して、アタッカーとしてもサポート役としても使用できる器用な性能を持つ。
本来クイック型はクリティカルを高めるスターをサーヴァント同士で奪い合ってしまう事が多いが、
アヴェンジャーのクラスはクラス補整でスター回収率が低いため、あえて「堕天の魔」を使わない事でスターを他に回し、
仲間のクリティカル率を高めるサポート要員にもなれるのである。
メインアタッカーとして使用する場合は、上記の性能を活用して「堕天の魔」によるクリティカルと宝具を交互に使用する動かし方が基本になる。
このため、礼装はNP回収率を高めるものか、もしくはスター発生率を高めるものを使用したい。
宝具中心の場合は「堕天の魔」によるクリティカルをNP回収に利用して、
クリティカル中心の場合は、宝具がクイックである事を利用してクイックチェインを狙おう。

また、絆レベルをMAXにする事で専用礼装「彼方の荒野」を入手できる。
新宿のアヴェンジャーがフィールドにいる間、味方全体のクイックとNP回収率を高めるもので、やはりクリティカルのパーティと相性が良い
沖田総司スカサハメドゥーサクー・フーリンなどが宝具を含めてクイック主体)。

特にストーリー中の「狼王リターン」で敵として登場するクエストは「SE.RA.PH.」と「英霊剣豪」を除く1.5部最難関と名高い。
ターン開始時に回避が1回分付与されるパッシブスキルを持ち、嫌でもバーサーカーの苦手な長期戦にもつれ込むため、
優位に立ち回れるムーンキャンサーが不在では苦戦を強いられる。
おまけに前述した必中&即死持ち宝具のおかげで回避状態が通じず、無敵で凌ごうとしても即死効果のおかげで何度も受けるのは危険であり、
さらにたまに強化剥がしで無敵は勿論、即死に有効なガッツすら無効化してしまう。
回避を貫通する礼装や、男性・悪属性などに特攻を持つサーヴァントで対抗したい。


MUGENにおける新宿のアヴェンジャー

湊丸氏の製作したキャラが存在。
氏のMUGEN引退に伴い公開を終了していたが、現在はコン氏によって代理公開されている。最終更新日は2017年12月7日。
チャールズ・バベッジに続いて『FGO』出身の男性サーヴァント二人目の参戦となった。
ちなみに、新宿のアヴェンジャーは氏が真っ先にレベル100にしたほどのお気に入りとの事。
そのためか、ネタ抜きで作ったらしい。スプライトは手書き。
原作を再現した攻撃だけではなく、歩きや「お手」の動作などのオリジナルの動作もある。やっぱり犬扱い!?
元ゲーにおける「霊基再臨」はモードチェンジのゲージ技として搭載されており、再臨すると性能・技が一部変化する。

しかし、最も印象的なのが『悪性隔絶魔境 新宿』に登場した白い犬「カヴァスII世」を呼び出す「カヴァスII世呼び出し」。
一見すると挑発技にしか見えないがカヴァスII世に攻撃したが最後、筋肉モリモリマッチョマンになったカヴァスII世の報復を受ける事になる。
ネタ抜きとは一体…
がっこうぐらしの犬といい、MUGENでは「犬がマッチョになる」のがお約束なのだろうか。
また、7Pでは開幕から第二再臨の状態となり、火力と防御力がそれぞれ1.35倍、
12Pでは火力と防御力がそれぞれ1.9倍に変化する。

Air氏による外部AIも存在し、現在はhamer氏によって本体同梱で代理公開中。
こちらには「カヴァスII世呼び出し」の使用条件が厳しくなる改変が施されている。


───瞼を開けば、そこは遥か彼方の荒野だった。

懐かしい土の感触、耳をくすぐるそよ風、
踊るように跳ねる、愛しき存在。
今はもうない、失ってしまった遠い思い出。
奪われたのではなく、捨ててしまったはずのもの。

連れてきてくれた何者かに、感謝を。
人と獣は分かり合えず、相対すれば殺し合う運命だ。
その運命を理解していながら、それでもなお。
それを良しとしなかった君へ伝えよう。

ここがわたしの、生きた場所なのだと。

出場大会



最終更新:2023年09月17日 10:06