オベロン




「僕はオベロン。妖精王オベロン。
 このとおり、おかざりの王様だけど場を和ませるのだけは得意でね。
 微力ながら君の力になってみるよ。
 ───よろしくね?」


 真名:オベロン
 身長:174cm(人間時)、17cm(妖精時)
 体重:56kg(人間時)、6kg(妖精時)
 地域:欧州
 属性:混沌・悪
 時代:13世紀前半以降

オベロンとは欧州、特にイギリスの伝承において妖精達のリーダー「妖精王」の二つ名で知られる存在で、
特にシェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』の主要登場人物として知られる妖精だが、
本項目ではiOS&Android用アプリ『Fate/Grand Order』(FGO)に登場する上記の存在モチーフにしたキャラについて紹介する。
担当声優は 豊永利行 氏。デザイン担当は漫画家の羽海野千力羽海野チカ女史。

第2部6章『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ星の生まれる刻』にてアルトリア・キャスターと並ぶキーパーソンとして登場。
カルデアの来訪より前に、妖精が人を統べる世界である妖精國ブリテンに召喚され、ウェールズの森を本拠地としながら、
モルガン打倒という目的を同じとする主人公達のナビゲーターを買って出て、
そして主人公とアルトリア・キャスターとカルデア一行の巡礼の旅を時に別行動して裏方に回りつつサポートする。
妖精國は汎人類史の人の英霊は原則召喚できないが、オベロンは妖精故に例外だったのである。
表向きはヘラヘラした人当たりは良くフランクだがノリが軽く、一方で妖精らしく面白い事を好む享楽的な性格の青年で、
あまり戦闘に参加することはないが、その巧みな話術で妖精國で様々なコネクションを築き上げて主人公達の旅路に大きく貢献した。
一方、目的のためなら非情だが合理的な判断をしたり、仲間にも黙秘して計画を進めたり詭弁も忌憚しない王らしいリアリストで冷徹な一面も持っている。
例として、劇中では主人公の敵であるコヤンスカヤと「アルビオンの竜の在処を教える代わりに女王軍を排除してもらう」という内密に取引をしていたが、
一方で完全に嘘ではなかったものの教えた場所に残っていたのは骨だけで、アルビオンを取り込むつもりだった彼女をまんまと出し抜いている。
アルトリアからは「雰囲気がマーリンに似ている」と度々指摘されているが、小事より大事を重んじる合理性や言動の胡散臭さは一致している。

やがてガレス、パーシヴァルの助力もあって敵の最大戦力の一角であったウッドワスを打倒し、森に帰還するが、
並行してモルガンに仕えるガウェインとランスロット2名の妖精騎士率いる別動隊によりウェールズの森は襲撃を受け、
なんとか女王軍を追い払うことには成功するものの、ウェールズの森は焼き払われそこに暮らしていた妖精達は全滅。
カイコガの妖精であるブランカ以外の仲間の妖精を全て失ってしまい、オベロンは仲間達の無念を胸に秘め、打倒モルガンの決意を新たにする。
その後、別行動を取っていた主人公達が交渉を取り付けていた、森襲撃の実行者である妖精騎士ガウェインと協力する際は、
実利的な面から彼女と共闘することを受け容れていたものの、やはりどこか不服な様子を見せた。
やがて仲間の犠牲を経ながらも全ての鐘を鳴らし終え、辿り着いたキャメロットでの最終決戦にて、
妖精騎士ガウェインは約束通り手出しをせず、モルガンがあっさり前線に出てきた絶好のチャンスを前に、死力を尽くして彼女を倒す事に成功する。
……が、倒したのはモルガンの分身にすぎず、他のモルガンの分身の攻撃からアルトリアを庇って攻撃を受けてしまい消滅。
決着を前にしてあまりにも呆気なく散ってしまった……。

実装前のゲストサーヴァントとして戦闘に登場するイベントではクエスト事にクラスが異なり、ライダー・アーチャー・キャスターとして戦闘に参加したが、
第2部6章完結記念ピックアップにて新たなエクストラクラス「プリテンダー」のユニットとして実装された。

+ ネタバレ注意
モルガン亡き後、連鎖的に発生した炎の厄災「アルビオン」、獣の厄災「バーゲスト」、そして最大の脅威であった呪いの厄災「祭神ケルヌンノス」。
これらの厄災を多くの犠牲を払いながらも全て調伏し終えたカルデア一行だが、ここで奇妙な疑念が起きる。
千里眼で彼らの様子を見ていたマーリンが「主人公は独り言が多い」と称した事、
主人公達に協力したクーフーリン・キャスターが自分が汎人類史から唯一召喚されたといった事、
何より、厄災を全て調伏も関わらず当初のトリスメギストスIIの予報通りにブリテン島が崩落を開始する。
皆が困惑する中、ストームボーダーの上に見慣れた人物が現れる。それはキャメロットで消滅したはずのオベロンだった。
だが、相棒であるブランカの死骸をゴミのように投げ捨てるなど、今までの彼には思えない行動を取り、
ここで初めてオベロンと接触したストームボーダー内からは、
「汎人類史に該当するデータは存在しない」「秒単位での霊基のクラスが変動する」「モニターにすら映らない」と不穏な連絡が通達される。
そして主人公達に「オベロン」と名乗っていた存在は気だるげにその正体を明かした。


「俺はおまえたち汎人類史が創りあげた空想、妖精王オベロンのカタチでこの姿になったもの。
 神秘の時代の終わりと共に、自らの破滅を望んだブリテン島の意思の具現。

 ────名をヴォーティガーン。

 オベロン・ヴォーティガーン。

   君たちと共に、妖精國を滅ぼした『奈落の虫』さ。」

彼の正体は、異聞帯の創世記の壁画の一番下に書かれていた「奈落の虫」にして、
汎人類史にてアーサー王とブリテン島の覇を競ってアーサー王が倒したとされる卑王「ヴォーティガーン」の同位体のアバター。
汎人類史と別の歴史を歩んでも妖精國でモルガン、アルトリア、パーシヴァル、ガレスなど円卓の騎士関係者の同位体が生まれたように、
ヴォーティガーンもまた汎人類史とは別の形で妖精國に生まれていたのである。
ただし共通していることが一つある。それは「ヴォーティガーンがブリテン島の『終末装置』*1」の役割を担わされていた事である。
だが、妖精國ではケルヌンノスは妖精國を罰し滅そうとする災厄であったと同時に、
自らの死骸をこの終末装置を封じ込める蓋にする存在として覚醒を防いでいたため、活動を制限されていた。
とはいえ、彼にも大本であるヴォーティガーンそのものは完全には消滅させられなかったため、
周期的に自分の化身であるアバターを地上に送り込んでは復活を画策。
かつてモルガンにより打ち払われたとされるモースの王も彼のアバターであり、
牙の氏族に呪いを残しバーゲストの誕生を仕込むなど、次の災厄への布石を打っていた。
そして本編の主人公到達より前に、モルガンが汎人類史から持ち込んだ「妖精王オベロン」の逸話の知識が混入し、
「妖精王オベロン」と「終末装置」の2つの在り方が混在した状態で顕現したのがこのアバターであった。

即ち真名は「オベロン・ヴォーティガーン」
疑似サーヴァントやデミサーヴァントのように別の器に英霊が顕現したわけでもなく、複合幻影魔人のように幻霊とサーヴァントを融合させたわけでもなく、
アルターエゴのように複数の神霊のエッセンスが融合して独自の自我を獲得したわけでもなく、
フォーリナーのように異なる次元の存在意思を身に宿した存在でもない、
「他人を騙り真名を偽装してオリジナルと遜色無い能力を使用できるが、それでも本質的にはその対象に成り済ました全く別の存在」である、
未知のエクストラクラスのサーヴァントであった

故に「詐称者(Pretender)」。シャーロック・ホームズから便宜上「役を羽織る者」として仮称されたそのクラス名に違わず、
彼はオベロンの人格と能力を備えたヴォーティガーンなのである。
とはいえ、ケルヌンノスに押さえ付けられていた大本のヴォーティガーンが解放されなければオベロン相応の能力しか発揮できない。
そこで主人公達やその他の妖精を利用してモルガンを打倒させ、ケルヌンノスも排除させることで、本来の力を取り戻したのである。
つまり、キリシュタリアが危険視し、ノウム・カルデアのトリスメギストスIIが予測した、ブリテン異聞帯消滅による地球崩落の真の元凶にして、
『妖精円卓領域』の真の黒幕とも言える存在である。

+ 宝具
  • 彼方にかざす夢の噺(ライ・ライム・グッドフェロー)
「僕に出来ることなんて、この程度さ。童心の君、夏の夜の後。
 恋は触らず、懐かしむもの──『彼方にかざす夢の噺』」

ランク:E、種別:対人宝具、レンジ:5~40人、最大捕捉:7人
「オベロン」としての宝具。
固有結界と似て非なる大魔術にして、彼自身が騙る見果てぬ(ありもしない)楽園の数え歌。
自身の背の羽根から発生した鱗粉で対象の肉体(霊基)を強制的に夢の世界の精神体に変化させる宝具で、
この夢の世界へと落ちた対象は、無敵性を与えられる代わりに現実世界での実行力を停止させられ、干渉が不可能になる。

  • 彼方とおちる夢の瞳(ライ・ライク・ヴォーティガーン)
「夜のとばり、朝のひばり──腐るような、夢のおわり。
 黄昏を喰らえ……! 『彼方とおちる夢の瞳』!!」

ランク:EX、種別:対界宝具、レンジ:無制限、最大捕捉:無制限
第三霊基以降で、上記に代わって使用可能な妖精國に生まれ落ちたオベロンの真の姿にして「ヴォーティガーン」の宝具。
ブリテン全土を飲み込み星を喰らう空洞の虫である魔竜ヴォーティガーンへとその体を変化させ、
全長1400km以上の空洞で対象を世界ごと飲み込み堕落させる。
この宝具は対象を殺す宝具ではなく、一切の光が届かぬ奈落へ繋がる「異界への道」であり、
飲み込まれた存在がどんなに強かろうと抜け出せない空洞としての性質を有し、
ヴォーティガーンを撃破したうえで奈落の虫そのものが破壊されない限り脱出できないが、
「オベロン」によってもたらされる落ちていく夢に囚われた状態で抗うのは不可能に近い。

そしてブリテンを滅ぼしたオベロン・ヴォーティガーンは今度は汎人類史を滅ぼすべく主人公達に襲い掛かった。
上述の通り終末装置、つまり滅亡の概念が形を持った存在であるため、オベロン・ヴォーティガーンはあらゆるものを本能的に嫌悪し、
幸福を感じることも無く、「自分が幸福になりたい」といった感情や周りの全てを貶めて不幸にしてそれを見て満たされるというエゴイズムさえ持っておらず、
ただ人が思考すること無くごく自然に呼吸するかのように「滅ぼしたい」という生理的欲求を抱え、その通りに行動する。
故に獣のような愛も無く、降臨者のような人類史に侵攻しようとする敵意も何も無く、
そして汎人類史の戯曲にも語られる「妖精王オベロン」が混ざり合って誕生した特異な存在である彼は、その目的も二面性を持ったまま実行しようとした。
即ち「ヴォーティガーン」の目的はあくまでブリテン島そのものの滅亡であったが、
「オベロン」の目的はそのような生温いものではなく汎人類史の根絶にこそあったのだ。

かくして彼の目論み通り、最大の障害であったモルガンを主人公達と潰し合わせた末に始末する事に成功。
三つの厄災との連戦で既に主人公達は満身創痍であり、数少ない召喚可能だった汎人類史の英霊も退去し、
対して上述した通り主人公達がケルヌンノスを排除した事により真の力が解放された万全の状態であるため、
もはやカルデア側にこの戦局を逆転させる手札は無いと勝ちを確信していたオベロン・ヴォーティガーンだったが、
先の戦いで死んだアルトリアが「妖精國の英霊アルトリア・アヴァロン」として召喚に応じたキャスターとカルデアの手によって敗北。
さらに既にカルデアに鎮められていたはずの「炎の厄災」が息を吹き返し、奈落の虫を攻撃したことで幽閉しかけていたカルデア一行の脱出を許してしまい、
致命傷を負ったまま、どこか穏やかな面持ちで自ら作り出した奈落へと落ちていった。

「ふん、あれが汎人類史の空か……

 まったく。吐き気がするほど、キレイじゃないか───」

しかし、後に他の英霊同様にサーヴァントとしてカルデアに召喚されることになった。
やれることを全てやった末に敗北したため燃え尽き症候群のようになっており、召喚前の記憶こそ維持しているものの、
もはや世界を滅ぼしたり主人公と対立する気は無く、基本的に無気力で誰に対しても涼やかな姿勢で皮肉を口走る。
彼自身はヴォーティガーンを特定の個人ではなく「ブリテンを終わらせる存在という役割のようなもの」と捉えており、
その使命や責任は感じていても、自身がヴォーティガーン本人であるという意識は薄く、どこか客観視している。
このため、正体はヴォーティガーンでも人格はオベロン寄りであり、
ティターニアやシェイクスピアに言及する一方、本来オベロンとは接点の薄い汎人類史の円卓にはあまり言及していない。
ちなみに、マイルームの台詞を見る限りウェールズの森の虫の妖精達も付属品のような形でくっついて来たらしい。

なお、ヴォーティガーンが被った英霊オベロンの殻は、シェイクスピアが書いた「すべて一夜の狂騒ならば」という性質を含むフィクションが反映され、
言動の全てが最終的に捻じ曲がる。
そのため一切の言動に信憑性が無く、どこまでが嘘でどこからが本当か判別する事が極めて困難な、根っからの大嘘つきな言動をとる。
例外として「もう覆らない過去」となった事実などは話せる他、そもそも口に出さず明言していない事は捻じ曲がりようがなく、
本当に大切なことに限ってはぐらかし、おまけに自分自身をも偽ってしまうため、真実は誰にも分からない。
全ての言葉が真偽ごちゃまぜで出力されるが故に、言葉によるコミュニケーションは困難を極める。
これは英霊としての性であり、オベロン自身にもどうする事もできず相当うんざりしている。
稀に心からの本心を口にすることもあるが、その場合「その発言を信憑性の無い嘘」にするために、
運命の方がオベロンの本心に反する形で確定されてしまう現象が起きる。

そして、第2部6章には全編通してオベロンに対し、
スキップ不可の「同意する、オベロンを信頼する」か「理由を聞く、オベロンを疑う」という選択肢が多数あり、
その殆どでオベロンの言葉を鵜呑みにしないか、詳細を知りたがる選択肢を選び続けていた場合、最後の戦いのストーリーで赤い選択肢が出現し、
「主人公がオベロンの正体と目的に勘付いていた上で行動を共にしていた」と判明するギミックがある。

+ 原作中の性能
プリテンダーのクラスは三騎士とアルターエゴに有利で、四騎士とフォーリナーに不利なクラス相性になっており、
長らく攻撃面だけは有利なバーサーカー以外で、はじめてアルターエゴに相性有利なサーヴァントとなった。

その性能は端的に言えば「超高性能だが超癖強捻くれサポーター寄りアタッカー」。
なぜならこいつはクラススキル、固有スキル、宝具にいずれも高性能だがデメリット持ちを備えているである。
まず、3ターン味方全体の宝具威力アップしつつNP20%配布する「夜のとばり(EX)」。
オベロンのスキルの中で唯一デメリットがなく、CTや効果共々優れものである。
次に味方単体にNPを最大50%与えてスター最大20個獲得する代わりに、ターン終了時にNP20%ダウンさせてしまう「朝のひばり(EX)」。
スキルを最大まで強化して「夜のとばり(EX)」と併用すれば最大で70%というサポーターの中でも屈指のNP配布役となれるのだが、
ターン終了後強化先のNPを減らしてしまうのは、後からNP供給するなどの方法でカバー可能なものの無視もできないデメリットで、
素のNPチャージ能力が皆無なことが多いBuster系の宝具ならまだしも、Arts宝具・Quick宝具アタッカーと組ませる際は、
宝具の攻撃でNPを稼いで連射するのに支障をきたす場合がある。

そして、オベロン最大の特徴と言えるのが「夢のおわり(EX)」。
このスキルは1ターンの間味方単体のバスター性能を最大で50%アップ、「宝具威力アップ」系強化を最大で100%ブースト状態を付与する代償に、
ターン終了時に全て強化解除、完全行動不能になる「永久睡眠」を付与、3ターンのターゲット集中状態を付与するという、
絶大なデメリットをも併せ持つスキルなのである。
宝具威力アップのブーストは概念礼装などによるものも対象に含まれるので「黒聖杯」を装備させた対象に使えば絶大な火力を発揮できるが、
この強化を受けたユニットは攻撃し終えた後で、永続かつ絶対に解除されない行動不能状態になり、
オーダーチェンジの対象にもできない置物と化してしまう。
一応ターゲット集中でガードベント的に味方を守る壁として活用はできるが、運が悪いと次以降のコマンドカードの選択に支障をきたすので、
原則トドメ専用の一撃として放つか、永久睡眠になったサーヴァントにはとっとと退場してもらう編成が望ましい。
このスキルをかけた同じターン内で自爆や生贄を伴う宝具を使い、対象に永久睡眠がかかる前に退場させるという方法もある。

宝具は再臨状態によって名前は変わるが効果は同じで、敵全体への強力な秩序属性特攻攻撃を放ち、
敵全体の攻撃強化状態を解除して睡眠状態という行動不能も付与するが、同時に敵に無敵状態を1ターン付加するというデメリットがある。
おかげでオベロンが宝具を撃った後は敵に攻撃が通じなくなる。
『FGO』では初手カード属性ボーナスは宝具カードには乗らないので例外を除き宝具カードは初手で放った方がよいのだが、
その数少ない例外の一つに当たるのがオベロンであり、彼の宝具は最後に撃つのが推奨される。
無敵貫通強化やコマンドカードがあれば攻撃は通るのだが、睡眠状態はスタンなどと異なり「ダメージを受けるまで続く特殊な行動不能状態」なので、
ダメージを与えてしまうと敵の睡眠状態が解除されてしまうためあまり得策ではない。
逆にダメージさえ与えなければ精神異常無効の無い相手をほぼ確定で1ターンの間行動不能にできるのは強みである。
更にその他の注意点として、クラススキル「対人理(D)」は自身が場にいる間はフォーリナー以外の味方全体の弱体付与成功率をアップさせるが、
マーリンの強化付与成功率をダウンさせるデメリットがあり、マーリンとの編成は悪手である。

複数のクラスの混成だったり最後尾にHPが高いな単体のエネミーがいる変則フリクエの周回や、
ワンパンKOで周回数を増やすことが求められるレイドバトル、高難易度クエストでは重宝するが、
諸葛孔明やスカサハ=スカディなどの一般的な高性能サポーターと比較すると、
これらのデメリットを把握してスキルの発動順番をきちんと考えて使用しなければ不利益をもたらしかねず、
しかもスキルは速攻戦向けなのに反して宝具の行動不能効果は高難易度や長期戦向けというちぐはぐさもあり、
初心者が扱うのはかなり難しいサーヴァントとなっている。
しかし、行動不能効果は無視してオベロンの宝具で1~2waveを一掃しつつ敵のボスを強化した主力でワンパンしたり、
「夢のおわり(EX)」をオベロン自身に使って邪魔なエネミーを一掃してからスキル使い切ったこいつに集中砲火させて退場させて交代するなど、
仕様をきちんと理解さえすれば周回でも高難易度でも大いに活躍してくれる頼もしいサーヴァントとなる。

第二部六章において一際存在感を放つ男性サーヴァントであり、キャラの濃さも相まって人気は高い。
特に『FGO』初出サーヴァントの中でも、同じく出番が多くキーパーソンたる巌窟王とは女性人気を二分すると言われる。
  • 一見童話の爽やかで優しい王子様(正確には歌劇の妖精の王だが)と見せかけた内面のギャップ
  • 「望むならティターニア(原典『夏の夜の夢』におけるオベロンの妃)に会いたい、空想だからいるわけないけど」
という所がいかにも「乙女ゲーにいそうな癖のある男性攻略対象」っぽいのも女性人気の主原因であろうか。やっぱきのこ心に乙女飼ってる

ちなみに、原典における妖精王オベロンは妖精達の王でありながら結構な癇癪持ちの暴君であり、
妖精女王ティターニアや彼女が助けようとした人間らにも魔術を使って嫌がらせをするなど大概な人物である
(この辺りの原典要素を知っているプレイヤーからは、初対面の時点で懐疑の眼を向けられていたとか)。
もっと言うと『ニーベルングの指環』に登場するドワーフの王アルベリヒとも同一扱いされている。
こちらも「世界を支配できる魔法の黄金」から指輪を造り上げ支配者となった代償に「愛を捨てた」哀しい男である。
『FGO』におけるアトラス院最後の院長ズェピア・エルトナム・アトラシアは院長に選ばれてアトラシアの名を襲名する前に、
オベローン」を名乗っており、その名の由来には本人のみが知るちょっとした小噺があるという。

なお、どうも「プリテンダー」というサーヴァントクラス自体のメタ的元ネタは、Official髭男dismの同名曲「Pretender」かららしい。
同曲は『Fate』シリーズ並びにTYPE-MOONとは無関係であるが、「君の運命のヒトは僕じゃない」の歌詞部分等が、
どう聴いてもオベロンのキャラ骨子の下地となったであろうことが匂わせられている。
坂本真綾氏の『レプリカ』から第一部六章を書き上げたきのこなのでまあいつも通りである

余談だが、キャラクターデザインを担当した羽海野チカ女史はゲーム記事ライターマフィア梶田氏づてに『FGO』に触れ、
本作の仕事で「女の子が描きたい」と希望したが回ってきたのはオベロンの仕事だった模様*2
……なお、同女史は虫が大の苦手である。嫌がらせかよそしてしっかり仕事を完遂した羽海野先生マジお疲れ様


MUGENにおけるオベロン

藍灯篭氏によるMUGEN1.1専用キャラが公開中。
外見は終盤のネタバレである真名の姿で、原作でも使用した攻撃や、虫の妖精を呼び出して攻撃する技で戦う。
固有システムとしてNPゲージを持つ他、スキルにアイコンが明るい時に使用可能な「夜のとばり」「朝のひばり」がある。
NPゲージが満タンの時のみ蝶必殺技……じゃなくて超必殺技「彼方とおちる夢の瞳」が使用可能になる。
AIもデフォルトで搭載されている。

この他、リグル・ナイトバグを改変し、オベロンを再現した凶悪キャラ「Wriggle_Vortigern」も存在する。


「朝のひばりも、夜のとばりも、君にはまだ不要なものだ。」
「じゃあね、カルデアのクソヤロウ!つまらない旅だったが、予想外の連続だった!」
「次もがんばって!君たちの健闘を、心の底から祈っているとも!」

出場大会

  • 「[大会] [オベロン]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
TYPE-MOON作品世界にて「世界を存続させていけるための世界の無意識的な生存欲求(リビドー)」から齎される抑止力(カウンターガーディアン)とは逆に、
「現在の世界にもう滅んでほしいという無意識的な自滅欲求(デストルドー)」の具現にして、行き詰った既存世界に終わりを齎し新たな時代の到来を促す「システム」。
主人公達が第2異聞帯で戦った北欧神話における巨人王「スルト」などもこれにあたり、
事実汎人類史でも卑王ヴォーティガーンはアーサー王に敗れこそしたが、ウーサーを殺害した上にブリテンに多大な被害をもたらし、
ブリテンの滅びの引き鉄を引いた存在であった
(原典ではウーサーの死因は病死とも毒殺とも言われており黒幕についても諸説あるが、『Fate/Zero アニメビジュアルガイド』や『FGO』の解説などから、
 型月世界ではヴォーティガーンによりウーサーは毒殺された説が採用されている)。

*2
ファミ通のFGO6周年記念インタビューにおける武内社長と菌糸類こと奈須きのこ氏の話によれば、
当初はオベロンだけでなく彼の配偶者のティターニアも出す案は出ていたらしいが、
羽海野女史はただでさえ多忙なのに物語に必須なオベロンだけでなくイベントCGも依頼していたため、
サーヴァント2騎も作業させるのはさすがに酷だと自粛したらしい(菌糸類としても断腸の思いだった模様)。


最終更新:2025年01月26日 19:02