デストルドス


「ハハハハハ!!来たかウルトラマンゼット…!
 お前には感謝してるぞ、私のゲームの駒として充分に働いてくれた!
 お陰で馬鹿な地球人にこぉんなにも素晴らしい兵器を造らせる事ができたァ!!」

「さあ、この『ゲーム』のクライマックスを飾るラスボスを紹介しよう…

   『死と破壊の王』、デストルドスだァァァーッ!!!」

円谷プロの特撮作品『ウルトラマンZ』に登場する怪獣で、同作のラスボス。『デスクリムゾン』のラスボスでは無い。
別名「殲滅機甲獣」。身長80m、体重6万t。
名前の由来は、精神分析学用語で「死へと向かおうとする欲動」を意味する「デストルドー」(これ旧劇場版で聞いた人も少なくないはず)という説がある。
元ストレイジメンバー・ナカシマ ヨウコの体を乗っ取った寄生生物セレブロ(この人の能力とは無関係)が、
防衛軍から強奪した兵器「ウルトロイドゼロ」に優れたレイオニクスであったウルトラマンベリアルのウルトラメダルの力を用いて、
世界各地にいた野生の怪獣やデビルスプリンターを用いて生産した大量の怪獣メダルの力を取り込ませ、
強引に融合する形で誕生させた怪獣である。
合体怪獣は強敵として登場する事が多いが、作品のボスを務めたのはジャンボキング以来となる。
元となったのが有人兵器のウルトロイドゼロのため、
ウルトラマンダイナ』のゼルガノイドと同じ「融合して敵となった、ウルトラマンを模した兵器」であり、
また、コクピットは原形を留めていないが、
(インナースペースから操るケースは何度か前例があったが)合体怪獣では初となる内側から操縦可能なロボット怪獣でもある。
ちなみにセレブロがウルトロイドゼロの通信をオープンにしたまま冒頭の名乗りを上げたため、
ストレイジ側にもしっかり名前を認識されている。

+ 寄生生物セレブロについて
「キエテ カレカレータ…(いい気分だ…)」

出身地不明の謎の寄生生命体。
非常に高い知能を持つ反面、肉体が脆弱な生物であるため、常に他の生命体に寄生する必要がある。
地球にやってきた際は、カブラギ・シンヤという青年を主な宿主としていた。
ジャグラスジャグラーによれば、幾つもの宇宙を渡り文明を滅ぼしてきたとの事で、M78バースの出身でない可能性もある。
本編開始以前にゲネガーグという怪獣に寄生して光の国を襲撃し、ゼットライザーとウルトラメダルを強奪
(運悪く同時期にデビルスプリンター災害が激化していた事に加えて、アブソリューティアンのタルタロスによるユリアン王女誘拐事件が起き、
 ただでさえザルな光の国の警備が普段より手薄になっていた)。
デビルスプリンターで製造した怪獣メダルを用いて暗躍していた。
劇中では怪獣を暴れさせたり、自らゼットライザーで怪獣に変身して破壊活動を繰り広げるなどしたが、
負けても悔しがる様子は無く、殆ど表舞台に出ず暗躍に徹し、ニュージェネ作品の黒幕の中でも特に目的が不明瞭な行動を取っていた。

終盤で明かされたその真意は、怪獣災害により舞台の星の住民に恐怖を植え付けて防衛のための戦力を作らせ、
それをエスカレートさせた末に生まれるであろう「現住人の母星をも滅ぼす力を持つ兵器」を奪い、その兵器で現住人の星を滅ぼす事。
セレブロはこれを「文明自滅ゲーム」と形容している。
本作の防衛チーム「ストレイジ」が運用する対怪獣ロボット「特空機」は、あるサイボーグ怪獣のデータを基に開発されたものだが、
その怪獣を送り込んできたのもセレブロであり、ストレイジは創設当初からセレブロに利用され続けてきた事になる*1
デストルドー(死へ向かう欲動)から取られたと思わしき「デストルドス」という名前も、
恐らく「文明を自滅させるゲームの締めくくり=文明が自ら死へと向かう」という意味合いで付けたものだと思われる。
無論、全てがセレブロの思惑通りというわけではなく、混乱に便乗して火事場泥棒に来たバロッサ星人や、
完全な偶然により出現したギルバリスやグリーザのようなイレギュラーも存在しており、
歴代のこの手の黒幕と比較して計画性に乏しく行き当たりばったりな部分が見られるが、
セレブロはこうしたイレギュラーもダイスロールでファンブルを出した程度の認識で楽しんでいた節が見受けられる。
流石にグリーザに関しては「このままじゃお前はゲームを続行できなくなるから、打倒のためにベリアルメダルをよこせ(要約)」という、
ジャグラーの脅しに屈し、ベリアルメダルをハルキに投げ渡している(そしてグリーザ勝利後も返さなかったため、借りパク野郎とキレた)。
実際にゼットやバラバといったセレブロが当初は想定していなかったであろう存在によりウルトロイドゼロは完成しており、
かなり無理矢理なやり方でセレブロがウルトロイドゼロを強奪した所を見ると、
これらのイレギュラーによって想定以上の速さで最終兵器が完成したため、
待ち切れずに当初の予定を前倒して強奪を実行に移した模様。
尤も劇中ではどこまで計画通りなのか詳しく言及されていないので視聴者の判断に委ねるところではある。

詰まる所このセレブロは綿密な計画性や手順を敢えて持たず、
あらゆるセッションにおいて裏でずっとシークレットダイスばかり続け、
最終局面でプレイヤーが収集して育てた装備やスキルを根こそぎ強奪して敵に回すという、
ただひたすら趣味の悪いTRPGのゲームマスターを気取っているような、悪意に満ちた存在である。

歴代の合体怪獣とは完全に異質な、敢えてツギハギ感を前面に押し出した、
フランケンシュタインの怪物を思わせる醜悪な印象を残す外見が特徴。
確認できるだけで、
これに前述のウルトロイドゼロと、ストレイジがヤプールの技術を用いて作った「D4レイ」が含まれる。
「ウルトロイドゼロ」はキングジョー・ストレイジカスタムからもたらされた技術と、
ウルトラマン(特にゼットが力を借りる機会の多かったウルトラマンゼロ)のデータをもとに作られた4号機で、頭の左側と首の右側に外装の一部が残っている
「D4レイ」はバラバの死骸から得られたデータをもとに作られた、
ヤプールやその配下の超獣達がデフォルトで備えている「次元の物理的な破壊」の現象を攻撃に転用し、
さらにゼットのゼスティウム光線を解析する事で制御運用を実現させた、敵を空間ごと破壊する光線兵器であり、
実験段階ですら周囲半径1キロ圏内を空間ごと消失させる強力な光線を放つ事を可能にしていた。
それがデストルドス化した事でさらに強化された「デストルドD4レイ」と化しており、
通常のD4レイを辛うじて相殺出来ていたゼットの「ゼスティウム光線」でさえも簡単に押し負ける程の威力を実現している他、
再チャージに若干の時間はかかるものの連発可能となっている。
加えて、両腕の鋭い鎌に青黒いエネルギーを溜めて、鋭い斬撃を飛ばす「デストルドリーパー」、
口から吐く赤黒い色の破壊光線「デストルドブレス」、全身から赤と青の強力な電撃を全方位に発射する「デストルドサンダーブラスト」、
目から乱射する対空砲「デストルドファランクス」、ダンカンの棘を誘導弾として射出する「デストルドヘルファイヤ」を備え、
デストルドD4レイを使用しなくても十分すぎるほど強い。
おまけにセレブロと同化後は機械部分を含めた再生能力まで見せており
(それ以前にも寄生対象が重傷を負おうが平気で動かしていた描写はあったため、恐らくセレブロの能力と思われる)、
デストルドD4レイ発射口を破壊したとしても数十秒程度で再生・再使用が可能になってしまう。
意外にも合体元の怪獣の能力はさほど使用しておらず、この辺りもジャンボキングに似ている。
なお、合体にベリアルメダルを使用しているものの、その維持にはレイオニクスの力は必要無いらしく、メダルは放置されている。

+ 劇中の活躍(ネタバレ注意)
初戦ではこれらの圧倒的戦闘能力に加え、セレブロがヨウコに寄生して操縦して事実上の人質としていた事もあり、
ゼットのウルトラフュージョンの攻撃を全く寄せ付けず、デストルドD4レイによって完勝した。
ガンマフューチャーのガンマスルーでコクピット侵入→ヨウコ救出&内側からの破壊で何とか倒せるんじゃね?とか言わない
これにより重篤なダメージを受けたハルキは「もはや変身は不可能」とゼットに言われるほどの状態となった。
加えて防衛チーム・ストレイジも防衛軍高官に寄生していたセレブロの陰謀で解散させられていた上、
「ストレイジ元メンバーは異星人のスパイなので射殺せよ」という命令を出す事でほぼ無力化する事にも成功していた。

一大反抗作戦を挑んだ世界各国の防衛隊を壊滅させた後に再度日本に襲撃するが、
ヨウコの救出及びデストルドスの打倒のため、事実上の反乱を起こして出撃したハルキが操縦するキングジョーSCと、
元ストレイジ隊長ヘビクラことジャグラスジャグラーが操縦するウインダムの迎撃を受ける。
この戦闘中に科学班のユカが中に居るヨウコを救出しようと解析を試みるも、あまりに雑多な形で怪獣が融合した影響でコクピットの位置を特定できず、
凄まじい戦闘力を持つデストルドスの前にキングジョーSCとウインダムは大苦戦。
遂にダウンした2機の特空機にデストルドD4レイを放とうとするが、
間一髪の所で退役していたセブンガーがイナバ・コジローの操縦の元で駆け付けて妨害したため仕留め損ね、
さらにその際に晒した隙を突かれてユカにコクピットの位置を特定されてしまう。
そのまま3機の特空機の巧みな連携により拘束され、セブンガーとウインダムは反撃で機能停止に追い込んだものの、
残るキングジョーSCに強引に組み付かれて空へと押し上げられ、
デストルドス自体の重量を利用してコクピットブロックを引き摺り出されてしまう。
さらにその最中にハルキの姿に刺激されたヨウコの意識が覚醒し、無理矢理寄生していたセレブロを引き剥がしてしまう。
だがセレブロは逃げるようにデストルドスと融合して直接操作し、
ハルキが自分の身体を度外視して変身を強行した事で現れたウルトラマンゼットと対峙する。

前回と異なり最強形態のデルタライズクローが相手だった事もあり、一進一退の攻防を繰り広げるが、
(デルタライズクローはベリアルメダルを使用した形態であり、ウルトロイドゼロのモデルも考えると皮肉な対決である)
セレブロの直接融合によって使用可能になった再生能力により発射口を修復し、デストルドD4レイで勝負を決めようとするも、
ベリアロクの捨て身の特攻により発射口を塞がれてデストルドD4レイが暴発し、大ダメージを負う。
しかし、その余波でゼットもダメージを受けてウルトラフュージョンが維持できなくなり、オリジナルに戻ってしまう。
対して、デストルドスはまたもセレブロの再生能力で発射口を修復し、弱体化したゼットに向かっていくが、
ここに来てストレイジの仲間達の声から生じた「光」の輝きを取り込み、
一切の武器もウルトラフュージョンも使わず、己の力のみで奮戦するゼットに圧倒される。

けたたましく鳴り響き危険を警告するカラータイマーを物ともせず攻撃を続けるゼット相手にどんどん劣勢に追い込まれ、
渾身のパンチにより転倒して生じた隙を突かれ、全霊を賭けたゼスティウム光線を放たれる。
これをデストルドD4レイで応戦して壮絶な光線同士の鍔迫り合いにもつれ込むが、
最終的に「Z」の文字の軌道から鎌首下げて獲物を襲う蛇の如く勢いを付けたゼスティウム光線に競り負けてしまい、
光線の直撃を受けて爆発四散してしまった。そして、ゼットは飛び去る途中で力尽き、頭から墜落するオチを付けてしまった。
ギリギリで分離したセレブロも、デストルドスのストレイジ強襲を予想して周辺地域の避難勧告を済ませていたため、
取り付く対象もおらず、ユカと正気を取り戻したカブラギに捕らえられ、モルモットとなる末路を辿った。
嬉々として解剖を宣告するユカの姿を見て、セレブロよりユカの方が怖いと感じた視聴者も多いとか

ストレイジのメンバー達や3機の特空機の存在はもちろんあとジャグラスジャグラーの介入
偶発的なベリアロクの誕生や、ボスラッシュによるゼットの成長など、
劇中のキャラの行動や数々の出来事が何一つ欠けていたとしてもデストルドスへの勝利は有り得ず、
実力的にも誕生経緯的にも、大団円を飾るに相応しいカタルシスを生んだ怪獣であった。

一方でハルキはこの戦いの後も分離せずにゼットと共に宇宙に旅立っており、
周囲には「今回のような脅威に苦しむ人々をゼットと共に助けたい」と説明していたが、
劇中で解説こそされていないが、もう持たないと言われたにも拘らず変身を強行し、何故か普通に生きていた事で、
昭和ウルトラシリーズの変身者のようにこの戦いでゼットと完全同化した(人間としては死亡した)という考察も存在していた。*2

+ その他の作品のデストルドス
ソーシャルゲーム『ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ』でも実装されている。
実装当時のラスボス怪獣という事もあり、チームに1体しか編成できない「レジェンド怪獣」という扱い。
固有スキル「文明自滅ゲームの終極」は、1ターン目開始時に敵全体のHPを小吸収する他、
敵チームの最も多い攻撃タイプ(射程の近・遠)に合わせて、対応防御力上昇とHP・SPの小吸収を行う。
ステータスは全体的に回避と運以外が高く、継承スキルも状態異常耐性などレジェンド特有の物を備える。
必殺技「デストルドD4レイ」は必殺技屈指の高威力な上に、上記スキルで対応した敵の攻撃力・防御力を超低下させる。
更に固有スキル覚醒を行うと、敵全体に対する混乱効果も付与される。

『ウルトラマントリガーエピソードZ』では脱走したセレブロが奥の手としてデストルドスの怪獣メダルで変身。
素体であるウルトロイドゼロが無い事やベリアルメダル及びデビルスプリンターを未使用なせいか、
D4レイを使えないなど大きく弱体化しているが、それでもアルファエッジのゼットやトリガーダーク相手にまともにやり合える程度には厄介な相手であった。


MUGENにおけるデストルドス

カーベィ氏の製作したキャラが公開中。
邓v东西氏の手掛けたスプライトを用いて作られている。
ボスだけあって常に投げ無効、アーマー持ち、ライフゲージ自動回復持ちという性能の持ち主だが、
ライフが1/3以下になると後者2つは無効化される。
近接戦も発生の早い「レッドキングテール」を中心にした奇襲が強力で、
重量感のある演出とは裏腹に、2段ジャンプが可能なため移動力も悪くない。
飛び道具も独特の軌道を描く「デストルドヘルファイヤ」や、
射出速度の速い「デストルドファランクス」などを備えており、
全体的に隙の無い高性能なオールラウンダーなキャラとなっている。
超必殺技は1ゲージ技がガード不能の「デストルドサンダーブラスト」、斬撃を放つ「デストルドリーパー」、
2ゲージ技に隙は大きいが超高威力な「デストルドD4レイ」がある。
なお、「デストルドD4レイ」は溜め中に攻撃されると潰されるので注意。
AIもデフォルトで搭載されており、前述した性能もあって狂中位下限相当の強さを持つ。
紹介動画

出場大会

  • 「[大会] [デストルドス]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
次回作『ウルトラマントリガー』の世界では、火星の開拓が進み、移住も可能になっているほど文明が進んでいるのだが、
防衛組織「GUTS-SELECT」でも、『Z』の地球から持ち込まれたキングジョー・SCを修理できず、
一方でハルキは、主人公のケンゴが火星在住で最近地球に来たばかりと言う説明自体を理解できていなかったため、
『Z』の地球は「文明自滅ゲーム」に必須の兵器開発技術だけ、異様に突出していた事が描写されている。

*2
そもそも第1話においてハルキが搭乗するセブンガーにゼット共々ゲネガーグのゲネバスターが直撃した時点で、
ゼットに若干他人事のように死亡を告げられ、その後命が届けられた描写も無かった。
だが『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』にて、人間キャラを出せない、
ゼット一人に声を二人当てるとややこしいなどの理由(実際エックスも大地役の高橋氏のみ)で、
「ハルキは惑星復興支援のために別行動している」という設定が用意され、分離できる(もしくは光の国で命を貰った?)事が発覚した。


最終更新:2024年04月10日 02:02