「見せてやろう…キリエル人の力を!キリエル人の怒りの姿を!!」
特撮番組『
ウルトラマンティガ』に登場する
怪獣、あるいは異次元人。別名「炎魔戦士」。
初出は第3話「悪魔の預言」。
精神生命体「キリエル人」(「きりえるびと」と読む)がティガと戦うために変身した姿。
キリエライトではないし、その他「キリエ」という名の人物が関係しているわけでもない
デザイン担当は丸山浩氏。担当声優は
佐藤正治
氏。
悪魔をモチーフとしつつ「平成の
バルタン星人」というコンセプトのもと、
神秘的でカッコイイという方向性でデザインされたらしい。
アンチヒーロー的な秀逸なデザインと、『ティガ』の劇中において度々登場して強い印象を残したことから、
関連作品においても
ゴルザに次いで登場回数が多く、高い人気と知名度を誇っている。
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キリエル人について |
「君がその巨大な姿を現すずっと前から、
この星の愚かな生き物達はキリエル人の導きを待っていたのだよ!」
超古代より地球に潜入していた精神生命体。別名「炎魔人」。
出身地は「不明」もしくは「超次元」「異次元」とされており、
ウルトラシリーズにおいて ヤプール人以来久々に登場した異次元人、もしくは魔人の類として扱われている。
精神生命体のため普段は実体を持たず、地球で活動している個体は本編時点で死亡している人間の姿で行動している
(変身元の人間が死者の中から無作為に選ばれたのか、キリエル人に姿を借りる目的で殺害されたのかは不明である)。
人間の精神を遠隔的に洗脳して操る力を持つ他、精神体の状態でも衝撃波を放って攻撃することが可能。
なお、キリエロイドはティガに対抗するために用意した戦闘用の形態(身長52m、体重42000t)であり、本来の姿というわけではない。
ちなみに本来の姿はこんな感じ。
地球人を愚かな種族と断じて、古くから人類に干渉して人類を導く救世主を気取っていたらしいが、
現代になって現れたティガを「自分達より後から地球に来た癖に、自分達のテリトリーで好き勝手している」
と見なして敵視し、排除しようとしている。 *1
公式からは明言されていないが、 脚本が小中千昭氏なのでクトゥルフ神話における「イスの偉大なる種族」が元ネタという説がある。
また、名前に関してはラテン語で「主よ」を意味する事から、恐らくはキリスト教における礼拝の一つでもある「キリエ」からと思われる
( 彼女の名や、 彼女の必殺技の一つも由来は同じと推測される)。
また元ネタかは不明だが、初登場話の展開や「アンチウルトラマン」的キャラクター造形も含め、 メフィラス星人を思わせる要素が多いのも特徴。
「最初は紳士ぶった態度を取っておきながら、思い通りにならないと身勝手な激情家の面を覗かせる」という辺りも実にメフィラス的
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今でこそゴルザと並ぶティガの代表怪獣だが、
脚本を担当した小中千昭氏は当初第3話で「怪獣を待つ少女」(マキーナ登場回)をやる構想だったらしく、
これに難色を示し「TVシリーズは久々だから序盤でウルトラマンのライバルになりそうな特徴のある敵を」(意訳)と主張した監督と大モメしたらしい。
劇中における活躍
第3話「悪魔の預言」では本編の3年前に死亡しているはずの男「イタハシ・ミツオ」の身体を借りた個体が登場。
GUTSのイルマ隊長がワイドショーでティガを「人類を導く者」と擁護したことに激怒し、
テレビ司会者の山田の精神を操り脅迫すると同時に(この際の演出はホラーとして名高い)連続爆破事件を決行。
「預言者」を名乗ってイルマの前に現れ、
全人類を代表してティガではなくキリエル人に敬意を示して頂きたいと迫ったが、
断られたため「預言」と称して町ごと燃やそうとした。
イルマは現れたティガに救出されるが、ティガを倒し自分達こそが救世主であると人類に認めさせるため、
キリエロイドに変身して対決に移る。
序盤は互角の勝負だったが、スカイタイプに変身されるや否やスピードの差で圧され、
手から放つ火炎「獄炎弾」の連射で挽回しようとするが、ティガフリーザーで氷漬けにされ、マルチタイプのゼペリオン光線で倒された。
第20話ではゴブニュ(ギガ)と事実上の相打ちになり、気を失ったダイゴの精神世界に現れて、彼を嘲笑した。
ただし、関連書籍ではこれはダイゴの見た幻に過ぎないとされている。
第25話「悪魔の審判」では、イタハシ・ミツオと同じ姿をした別個体と共にオオヌマ・ケイコという女性に憑依した「キリエルの巫女」が現れ、
「ティガこそが悪魔」と市民を扇動・洗脳しつつ、キリエル人の同胞を地上に呼び出すために「地獄の門」という巨大な扉を召喚(勿論
こちらとは無関係)。
地獄の門が開くのを止めるべくティガが姿を見せると、巫女も含めた数十体のキリエル人が合体し、
「キリエロイドII」へと変身してティガと対峙した。
以前の個体よりパワーアップしているだけでなく、ティガのようにタイプチェンジ能力を有しており、
バランス型の「格闘戦タイプ」、固い皮膚とエルボーカッター「キリエルカッター」を持つ「怪力戦タイプ」、
巨大な翼「キリエルウイング」を持ち、スカイタイプ以上の速度で飛行する「空中戦タイプ」を使い分け、
タイプチェンジの応酬において優位に立ち、一度はティガを昏倒させる。
しかし、イルマの呼びかけで人々の洗脳が解けた事や、イルマの息子のミウラ・トモキ
*2が近隣の建物のシステムを片っ端からハッキングし、
点灯して光源を作り出した事で、人々から無数の光を受けたティガが復活。
再度怪力戦タイプで応戦するが、今度はマルチタイプのティガに圧倒され、
一撃も与えられないまま地獄の門に叩き付けられた末に、ゼペリオン光線で門共々粉砕された。
最終話では
ガタノゾーアにカラータイマーを打ち抜かれ、石像と化して海中に没したダイゴの精神世界で、
巫女と預言者の姿のキリエル人が登場(こちらも人間態が前と同じだが別個体)。
「キリエルの神は地球を見捨てた。キリエルに従っておけばよかったものを」と負け惜しみの言葉を投げかけ、地球から逃亡した。
また、第25話のラストではキリエル人を崇める人々が未だ残っている描写がされており、
丸山氏は今後も再登場の機会があると想定したことで「キリエロイドIII」及び「IV」のデザインも起こしていた。
結局はお蔵入りとなったものの、これらは丸山氏の画集で目にすることができる。
余談だが、キリエル人が憑依したイタハシ・ミツオを演じたのは、『
ウルトラセブン』でペロリンガ星人を演じた高野浩幸氏である。
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他作品における活躍 |
- 1997年『ウルトラマンフェスティバル』ライブステージ
男女の預言者のキリエル人2人とキリエロイド1体が登場している。
第14話の「怪獣漫才」で、キリエロイドIIが ジャミラと「ジェネレーションギャップス」というコンビを組んで登場。
虓魔王編で幹部格「四鬼」の一人である炎鬼キリエロイドが登場。
マン達と戦う前に大勢の人の住む村を回りの野山、ペテロ族の村共に焼き払い大量虐殺を行い、
タロウとレオを殺害し、笹比羅(ササヒラー)にも致命傷を負わせるというギャグマンガにあるまじき非道を行うが、
笹比羅の命と引き換えの機転によって、酸素の無い真空状態にされ火炎が使用不能になった直後にマン達の総攻撃を受け、呆気ない最期を遂げた。
第19話「救世主の資格」で映像作品では久々に登場。
キリエロイドとして登場する前の第18話からキリエル人として顔を見せており、
ガゾードやデバンと並んでティガ本家から登場した怪獣となった。
なお、映像技術の進歩により、獄炎弾が非常に派手かつ見栄えがする技になっている。
特殊な宇宙線を用いて『トリガー』の登場人物達に幻を見せ、
無限のエネルギーを生み出すという「エタニティコア」を扱う資格があるかどうかを試していた。
唯一幻に翻弄されなかった「ユザレの末裔」ユナに「救世主の資格がある」と認めたものの、
ユナ以外の登場人物が幻に翻弄され、 闇の三巨人達も各自の幻からいがみ合いが発生、
市街地で巨大化して仲間割れを始めてしまう。闇の三巨人を止める為にマナカ・ケンゴがウルトラマントリガーに変身するも、
三巨人はトリガーの出現に共通の敵が現れたことで逆に纏まり、三対一になってしまう。
苦戦するトリガーに対してユナがユザレの力を行使。
トリガーへの加勢を「個人的な感情に支配された」「救世主失格」として、
トリガーが闇の三巨人との戦闘を終えたところにキリエロイドとなって襲撃。ユナ及びケンゴ(トリガー)を排除しようとする。
グリッター化したことで消耗しているトリガーを追い詰めるが、
ミツクニの中に残留していたティガの光(劇中の発言を見る限りガタノゾーア戦の時に同化していた1人だった模様)が、
ユナのユザレの力によってウルトラマンティガとして実体化したことで形成逆転。
タイプチェンジによる肉弾戦や空中戦で善戦するものの、二大ウルトラマンに敵う筈もなく倒された。
ティガを見た時に見知っているかのような狼狽ぶりを見せたことから、フロンティアスペースから移住した個体と思われるが公式から明言はされていない。
余談だが、このキリエル人の精神干渉により、グリッター登場以降から仲に歪みが発生していた三巨人の亀裂が決定的なものとなり、
後の 最終章で起こる動乱の間接的な要因となった。
娘太丸氏によってデザインされたキャラが存在。
恥ずかしがりやな性格で素顔を見られたくないからか、キリエロイドの顔を模したフード付きのパーカーを被っている。
一方で格闘技好きであり自身の戦闘力もそれなりに高いらしく、
小説版では組織「GIRLS」の戦闘部隊に属している彼女が謎の敵「シャドウ」の殲滅にあたっている。
- CGアニメ『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』
「DINO-TANK hunting」で ヒッポリト星人、 テンペラー星人と共にチームを組み 恐竜戦車マークIIのハンティングに挑戦していた。
凄い面子の筈だが、恐竜戦車の砲撃に怯んだ所を前足で押し潰され敢え無くリタイアしてしまった。
この他、ハンターステーションでも観客として観戦している別個体が確認された。
なお、同名ゲームのカードテキストでは、超古代からこの世界に潜入していると言われている正体不明の精神生命体ということになっている。
この他、脚本担当の小中千昭氏は短編集『深淵を歩くもの』に収録されている「キリエル人」にて、
自身がキリエル人と遭遇する様を実体験も交えながら描いている。
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ゲーム作品における活躍
- 『ウルトラマン Fighting Evolution REBIRTH』
基本的に手は一切使わず、キック技のみで戦うキャラとなっている。
また、本作オリジナルとして、キリエロイドが力を求めて自ら
カオスヘッダーと融合した姿「カオスキリエロイド」が登場している。
- 『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS NEO』
テンペラー星人、マグマ星人、ババルウ星人と共にカネゴンのバトルナイザーを奪おうとする個体が登場。
『ティガ』最終話に登場した個体と同一らしく、ギャラクシークライシスによって別の宇宙に迷い込んでしまった模様。
STAGE9「それぞれの正義、ぶつかり合う影」でキリエロイドIIとティガが登場。
主人公とヒロインの乗る電車をキリエロイドIIが襲ったところにティガも出現。そのままバトルに移行する。
主人公達はその間に線路上を歩いて逃げることに成功するが、その先でも
別種の脅威に遭遇することになる。
本作のエンディングで明かされる「巨影」の正体から考えると、このキリエロイドIIは本物のキリエル人ではなかった可能性が高い。
キリエロイドとキリエロイドIIが実装されている。
キリエロイドは運と回避以外の能力が高く、固有スキル「キリエル人の怒り」が強力。
デフォでは攻撃を受けた時2ターンの間相性「速」の味方のSP獲得率を中アップさせる効果があり、速属性統一パで重宝するが、
スキルを覚醒させると、攻撃を受けた時2ターンの間味方全体のSP獲得率が中アップ、攻撃力が小アップ、
発動時に味方全体のHPが小回復、攻撃した時に命中した相手を高確率で火傷状態を与え、5ターンの間攻撃力が中アップ、
という属性を問わずパーティ支援てんこ盛りのアタッカーと化す。
キリエロイドIIは原作のタイプチェンジ
*3を再現しており、
バトル中、全タイプ合わせて6回のみスキルボタンを使用してタイプチェンジできる固有スキル「変貌するキリエル」を持つ。
ちなみにスキルボタンシステム実装(≒能動的にスキルを発動させられる怪獣)第一号。
これにより各タイプごとに相性や必殺技「キリエルの審判」の追加効果、さらには固有スキルによる強化効果が変化し、多彩な立ち回りを実現できる。
統括プロデューサーや開発担当チーフ曰く、
「巨影都市の時に作った3Dモデルが流用できない、ティガ本編にアタックモーションにできそうな動きが少ないなどたいへん手がかかった」
MUGENにおけるキリエロイド
ビリビリ動画で活動しているBlackCat & Woz氏の製作したキャラが公開中。
WinMUGEN、
MUGEN1.0以降の両方で使用可能。
モーションや
必殺技は『Fighting Evolution REBIRTH』の挙動を参考にしているが、
手を使った攻撃や
飛び道具も搭載されており、格ゲーキャラとしてまとまった性能となっている。
また、必殺技として地獄の門を召喚して自分を強化する
ゲージ技が存在する。
AIもデフォルトで搭載されている。
「地球の守護神になるつもりかね?おこがましいとは思わないか?」
出場大会
*1
なお、ティガは他のウルトラ戦士と違い出自が不明なので、本当に「キリエル人より後から来た」のかは最後まではっきりしてない。
第1話の描写から「ティガは3000万年前に遺跡で眠りについた=既に地球にいた」のだけははっきりしているが。
*2
イルマは隊長に赴任する前の科学者時代に研究に没頭する余り家庭を顧みなかった時期があり、
息子のトモキを夫の実家に預けて生活させていた。
夫との仲もぎくしゃくした末に死別しており、その際に義母からは絶縁されてしまい、
戒めのためか夫の「ミウラ」姓でなく旧姓の「イルマ」を名乗っているため、息子と姓が異なる。
なお、キリエロイドII戦以降は義実家との関係は少しずつ改善し始めたようである。
*3
ちなみにこちらではそれぞれ「マルチタイプ対応」「パワータイプ対応」「スカイタイプ対応」表記となっている。
これは作中にキリエル人が自分の能力を紹介するようなセリフが無くキリキリしか言わないしな!、
公式媒体でもどうタイプ名をつけているか統一されていないため
(比較的高年齢層向けの本では「~タイプ対応」、児童向けの図鑑などでは「~戦タイプ」が採用されることが多いようだ)。
こちらも公式媒体で使われたことがある表記である。
最終更新:2023年11月16日 21:38