霊岳礼子視点で学ぶ報道用語・他用語集
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目次
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報道業界
イエロー・ジャーナリズム
霊岳礼子が避けているのかもしれないジャーナリズムのあり方のひとつ。元々は1890年代のニューヨークにおける熾烈な新聞発行部数競争を指して用いられた言葉。現代においても、当時とよく似た扇情的な手法を用いたり、正確さより速報性を優先したりといった、規範意識を欠いたジャーナリズムの姿勢を批判して言われることがある。ひどい場合には事実やインタビューそのものを捏造するケースも。
イエロー・ジャーナリズムにおいて好まれる報道のテーマとして、恋愛、暴力的な犯罪、大規模な災害、有名人のスキャンダルが挙げられることが多い。古今東西を問わず、新聞紙面で普遍的に人目を引き続けてきたものばかりである。
霊岳礼子がこの言葉を直接用いた例はないが、ヴァンダーマーへの取材が満足のいくものになるまでは彼に関する記事を濫造できないという姿勢を口にしたことがある。一方で、彼女が恋愛に関する記事の執筆を嫌がるのは、彼女の恋愛観によるものか、何らかの過去のトラウマによるものか、あるいは自身の報道姿勢が「イエロー・ジャーナリズム」になってしまうのを警戒しているためか、その辺りはいまだ不明である。
「センセーショナリズム」と呼ばれることも。
イエロー・ジャーナリズムにおいて好まれる報道のテーマとして、恋愛、暴力的な犯罪、大規模な災害、有名人のスキャンダルが挙げられることが多い。古今東西を問わず、新聞紙面で普遍的に人目を引き続けてきたものばかりである。
霊岳礼子がこの言葉を直接用いた例はないが、ヴァンダーマーへの取材が満足のいくものになるまでは彼に関する記事を濫造できないという姿勢を口にしたことがある。一方で、彼女が恋愛に関する記事の執筆を嫌がるのは、彼女の恋愛観によるものか、何らかの過去のトラウマによるものか、あるいは自身の報道姿勢が「イエロー・ジャーナリズム」になってしまうのを警戒しているためか、その辺りはいまだ不明である。
「センセーショナリズム」と呼ばれることも。
サツ回り
新人記者の多くが担当するポジションで、警察担当記者のこと。
警察関係者にネタになりそうな事件の情報について聞き回って取材をするのが主な仕事。現実のメディアにおいては、新人のうちに警察関係者とのつながりを作っておくのも「サツ回り」の目的のひとつとされる。
ちなみに、日本の大手メディアで若手が政治部に配属された場合、総理大臣を担当する「総理番記者」を任されることがある。これも、有力政治家や大物経済人と会う機会が多い総理大臣の一挙手一投足を追わせることで、将来情報源になり得る有力者とのつながりを作っておくことが目的のひとつ。
こういった取材は、ネタの確保や、記者たちの後々のキャリアへつながるコネクションを構築するための重要な仕事である。だが、やりすぎると警察や政治との「癒着」の原因になったり、事実の裏取りよりコネを生かした速報性ばかりを優先する報道姿勢につながったりしかねず、場合によっては報道倫理の観点から批判の対象になることもある。(あくまでも「やりすぎれば」の話であり、適切に距離感を保ちながら彼らの懐に入り込むのも、記者の重要な仕事の一部である。)
#17の配信では、突然この言葉が登場し、小者デヤンスら周囲の住人たちが「サツ回り……?」と困惑するシーンがある。中の人が四万十市観光大使を委嘱された件で新聞社に取材を受けた際、本職の記者から仕入れてきた知識らしい。
つまり、ガチの業界用語である。
警察関係者にネタになりそうな事件の情報について聞き回って取材をするのが主な仕事。現実のメディアにおいては、新人のうちに警察関係者とのつながりを作っておくのも「サツ回り」の目的のひとつとされる。
ちなみに、日本の大手メディアで若手が政治部に配属された場合、総理大臣を担当する「総理番記者」を任されることがある。これも、有力政治家や大物経済人と会う機会が多い総理大臣の一挙手一投足を追わせることで、将来情報源になり得る有力者とのつながりを作っておくことが目的のひとつ。
こういった取材は、ネタの確保や、記者たちの後々のキャリアへつながるコネクションを構築するための重要な仕事である。だが、やりすぎると警察や政治との「癒着」の原因になったり、事実の裏取りよりコネを生かした速報性ばかりを優先する報道姿勢につながったりしかねず、場合によっては報道倫理の観点から批判の対象になることもある。(あくまでも「やりすぎれば」の話であり、適切に距離感を保ちながら彼らの懐に入り込むのも、記者の重要な仕事の一部である。)
#17の配信では、突然この言葉が登場し、小者デヤンスら周囲の住人たちが「サツ回り……?」と困惑するシーンがある。中の人が四万十市観光大使を委嘱された件で新聞社に取材を受けた際、本職の記者から仕入れてきた知識らしい。
つまり、ガチの業界用語である。
取材源の秘匿
「取材の相手先を特定できる情報を外部に漏らしてはいけない」という、ジャーナリストの鉄則であり権利のこと。ジャーナリストの最高の倫理とされることもある重要な規範のひとつ。
アメリカには多くの州で「取材源秘匿権」を権利として認める法律がある。日本ではこれを直接擁護する明文化された法律はないが、民法上の「職業の秘密」として認められた判例がある。
霊岳礼子が警察宛てにヴァンダーマーの犯罪予告を匿名のメッセージとして電話で伝えた際、警察官の如月キャシーは予告の主が誰なのかを知りたがったが、礼子は明かさなかった。キャシーとしても礼子の事情をくんで深くは追及しなかったようである。
互いの権利や義務を尊重するこうしたやり取りの積み重ねが、犯罪者・警察関係者双方との信頼関係につながり、現在の霊岳礼子が中立の立場でいることを可能にしている。
アメリカには多くの州で「取材源秘匿権」を権利として認める法律がある。日本ではこれを直接擁護する明文化された法律はないが、民法上の「職業の秘密」として認められた判例がある。
霊岳礼子が警察宛てにヴァンダーマーの犯罪予告を匿名のメッセージとして電話で伝えた際、警察官の如月キャシーは予告の主が誰なのかを知りたがったが、礼子は明かさなかった。キャシーとしても礼子の事情をくんで深くは追及しなかったようである。
互いの権利や義務を尊重するこうしたやり取りの積み重ねが、犯罪者・警察関係者双方との信頼関係につながり、現在の霊岳礼子が中立の立場でいることを可能にしている。
知らないふり(インタビューの技術)
取材相手に質問をする際、あえて基本的な知識を「知らないふり」をして情報を請い、付随する新しい情報を引き出そうとするテクニックがある。ノウハウ本などで挙げられることも多い、インタビューの基本的な技術のひとつ。
二階堂マリアの有名な裁判について本人に取材した際の礼子が、まるで裁判の件を知らなかったかのような質問のしかたをするシーンがある。既に裁判について記事にしていた天草社長がたまたま横におり「俺の記事を読んでないじゃないか!」と憤慨するのだが、そんな彼に礼子は「初めて聞いた"ふり"をして質問してるの!」と言い返したのだった。礼子が本当に"ふり"をしていたのか、あるいは読んだはずの記事のことをすっかり忘れていたのか、真相は不明。
二階堂マリアの有名な裁判について本人に取材した際の礼子が、まるで裁判の件を知らなかったかのような質問のしかたをするシーンがある。既に裁判について記事にしていた天草社長がたまたま横におり「俺の記事を読んでないじゃないか!」と憤慨するのだが、そんな彼に礼子は「初めて聞いた"ふり"をして質問してるの!」と言い返したのだった。礼子が本当に"ふり"をしていたのか、あるいは読んだはずの記事のことをすっかり忘れていたのか、真相は不明。
フレーミング効果
同じ情報を伝える際にも、焦点の当て方を工夫することで人の行動に影響を与えうる効果や、その前提となる人の認知バイアスを指して言う。
霊岳礼子は、正義の味方を自称し、自身のヒーロー性について言葉巧みに語るマクドナルドの記事を執筆する前に、彼をどのように描写すべきか悩み続ける。礼子が彼の話を「信用はしていない」と本人に面と向かって伝えているところを見ると、そもそも彼の話を事実として認めていない節も感じられるが……。
もともとは行動経済学に由来する金融用語だが、心理学の用語として紹介されることもある。
霊岳礼子は、正義の味方を自称し、自身のヒーロー性について言葉巧みに語るマクドナルドの記事を執筆する前に、彼をどのように描写すべきか悩み続ける。礼子が彼の話を「信用はしていない」と本人に面と向かって伝えているところを見ると、そもそも彼の話を事実として認めていない節も感じられるが……。
もともとは行動経済学に由来する金融用語だが、心理学の用語として紹介されることもある。
その他の用語
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている
ヴァンダーマーへの好奇心から礼子の取材についてきた歌舞羅伎アマルに対し、ヴァンが突然語った言葉。元々はドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェが著書『善悪の彼岸』で書いたもの。「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。」という一続きの文の一部である。元FBI捜査官ロバート・K・レスラーが著書などで引用したことで、犯罪者研究の文脈では「ミイラ取りがミイラになるな」という意味合いで説明されるようになった。
ニーチェは、当時の既存の道徳的規範を痛烈に攻撃した哲学者として知られる。彼は、欲望は抑えるべき、抑えるべきと促す道徳的態度をむなしい嘘つきとみなし、欲望を誠実に肯定し、力として伸ばすべきだという態度を取った。
「あまり首を突っ込みすぎないほうが身のためだと思いますけど」「あんまり私と仲良くしすぎると……殺しますよ?」ヴァンはニーチェの言葉を引用した後、アマルへの警告の言葉を繰り返す。そんな二人のやりとりを聞きながら、礼子は手元の荷物の中をガソゴソと整理していた。ヴァンの心の奥底にわずかに残る人間性を信じる礼子。ヴァンダーマーの心を開くために用意した差し入れのカップケーキを、すぐに取り出せるようにである。
ニーチェは、当時の既存の道徳的規範を痛烈に攻撃した哲学者として知られる。彼は、欲望は抑えるべき、抑えるべきと促す道徳的態度をむなしい嘘つきとみなし、欲望を誠実に肯定し、力として伸ばすべきだという態度を取った。
「あまり首を突っ込みすぎないほうが身のためだと思いますけど」「あんまり私と仲良くしすぎると……殺しますよ?」ヴァンはニーチェの言葉を引用した後、アマルへの警告の言葉を繰り返す。そんな二人のやりとりを聞きながら、礼子は手元の荷物の中をガソゴソと整理していた。ヴァンの心の奥底にわずかに残る人間性を信じる礼子。ヴァンダーマーの心を開くために用意した差し入れのカップケーキを、すぐに取り出せるようにである。
モズのはやにえ
モズ(百舌)は、全長20センチ程度の肉食の小鳥。スズメ目モズ科モズ属。主に虫や昆虫、カエルなどを食べるが、獲った獲物を木の枝に串刺しにしておく「はやにえ」と呼ばれる習性で知られる。
「はやにえ」は、その多くが後できちんと食べに戻られている保存食だということが近年になって判明しているが、それまでは「串刺しにされたまま放置される」という俗説が広く信じられていた。
礼子がプリズンの面会室で最初に取材した時、自身が罪を犯す動機を問われたヴァンダーマーは、「あくまで衝動で、本能のままに振舞っているだけ」と主張し、それをモズのはやにえになぞらえた。後日、山本龍也が礼子に語ったところによると、ロスサントス北部の荒野で「MOZU」と名乗るギャングが台頭しつつあるという。ヴァンダーマーとの関連は不明。
上述のイメージからモズは不吉なイメージで語られ、モズの鳴く夜は死人が出るとも言われる。
「はやにえ」は、その多くが後できちんと食べに戻られている保存食だということが近年になって判明しているが、それまでは「串刺しにされたまま放置される」という俗説が広く信じられていた。
礼子がプリズンの面会室で最初に取材した時、自身が罪を犯す動機を問われたヴァンダーマーは、「あくまで衝動で、本能のままに振舞っているだけ」と主張し、それをモズのはやにえになぞらえた。後日、山本龍也が礼子に語ったところによると、ロスサントス北部の荒野で「MOZU」と名乗るギャングが台頭しつつあるという。ヴァンダーマーとの関連は不明。
上述のイメージからモズは不吉なイメージで語られ、モズの鳴く夜は死人が出るとも言われる。
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