接射

登録日:2012/02/27 Mon 00:05:39
更新日:2025/07/09 Wed 23:15:18
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接射とは、「銃口を人体(素肌)に(ほぼ)密着させての射撃」のことである。
その状態で発生する銃創を指す「接射創」から派生した言葉である。


(0M0)<この距離ならバリアは張れないな!

的な状態を指す言葉として扱う。

「ゼロ距離射撃」と呼ばれるものは、正しくはこの『接射』である…
というデマが一時期広まっていたが、「どちらが正しい」という訳ではない。
この手の単語の「正しさ」はいわゆる軍事関連の資料に載っていればなんでも正しい的な扱いをされており、
誰が書いたとか、認識を共有していたのかといった部分はまったく考慮されていないため。
そして接射は前述したように接射創の資料で使われた(だけの)単語である。
似たような例に「陣地変換」「陣地転換」「同軸」「水平射撃」などがあり、
いずれも各々の正しさの根拠の押し付け合いで余計な混乱の生じている不憫な単語だったりする。


誤解されたゼロ距離射撃についてだが、「榴散弾を発射直後に起爆させる射法」として使用されていた例がある。
だが、これは第二次大戦以前の話であって現在では榴散弾が使用されなくなったため死語と化している。
余談ながら、フィクションでは昔から近接距離の事を「ゼロ距離」と呼ぶケースがあり、どれも完全に間違いとは言えないのである。



さてさて、まず現実で接射をするとどうなるか、について話をしよう(グロ注意)。

銃口からは、実は銃弾以外にもいろんなものが発射されている。衝撃波とか、熱風とか、火薬の燃えそこないとか。

銃弾以外は銃口から出た直後、空気抵抗で霧散してしまうのだが、
接射をするとそうした銃弾以外のもろもろが相手に届くのだ。
熱線によるやけど、衝撃波による挫滅、火薬の侵入による入れ墨状態などが特徴。

よくよく調べればどんな感じに押し付けられていたかもよくわかるので、犯罪捜査で非常に重要。

ちなみに、ひざとか頭部とか、皮膚のすぐ下に骨がある場所を接射すると、
銃弾以外のもろもろが骨を貫通できずに皮膚を広範囲に傷つけて星形になる。


拳銃ですら50mも射程があるのに宝の持ち腐れじゃないか、
と思うところだが、現実だと結構出番があり、

捕虜の後頭部に銃を押し付けてズドン、とか、

口論の最中にカッとなってズドン、とか、

世の中が嫌になってこめかみに向けてズドン、とか、


しかし相手がCQCの名人だったりすると、すかさず銃を奪われて形成逆転、なんてことが現実にありえる。
なのでフィクションでよくある感じに、背中や胸に銃を押し付けて脅かす、なんてのはやめた方がいい。

それに自動拳銃だと、スライドが後退して動作不良を起こす。これもやめた方がいい。

ちなみに、相手が人体以外だった場合、例えば戦車同士とかで接射をしてしまうと、
砲弾の破片や衝撃波で自分までダメージを受ける。やっぱりやめた方がいい。
うっかり跳弾するとえらいことだしね。


現実の接射は大体、無力化済みの相手にとどめか、戦意のない相手に咄嗟の不意打ちか、出会いがしらおたがいパニック状態か、
そういう特殊な事情があるのだが、フィクションだと真っ当な戦術として、結構あちこちで使われている。

例えば、通常の射撃では傷一つつかないくらい硬い敵に、至近距離から接射することで大ダメージを与えたりとか、
銃弾を避けるほど高機動の相手に追い詰められ、一瞬の隙をついての接射で形勢逆転とか、



なんとも熱くロマンじゃないか。


そのため、フィクションでの銃火器を武器にするキャラクターには、必殺技や最後の手段として接射を用いる者も少なくない。

狙った場所に直接銃口を押し付けるため、当たり前のように銃弾をヒョイヒョイ避ける創作界だろうと狙いを外さないのも大きな利点だろう。

なお、信管その他に詳しく無い創作者が多いので前述の榴弾にミサイルやバズーカ、グレネード系でも普通にやらかす。
徹甲弾にしてもお前は跳弾が怖くないのかと思ってしまう。



【接射を行ったキャラクター・ロボット

【余談】
接射ってなんとなくエロい響きだが、そんな意味はない。

ガンダムvsシリーズでも古くから同名のテクニックが用いられており、シリーズを語る上で欠かせないものとなっている。
連邦vsジオン~エゥーゴvsティターンズでは、ステップで射撃の誘導を切ることはできたが銃口補正は切ることができなかったため、接射=必中攻撃ということを意味していた
着地取りと並ぶ攻撃を確定させられる手段であり、これを軸とした研究や読み合いが今日まで続くvsシリーズの根幹を作り上げたと言っても過言ではない。
連合vsザフト以降ではステップで銃口補正も切れるようになったため、ここを境に必中攻撃ではなくなり以前ほど強力なテクニックではなくなってしまった。
しかし、軸合わせという概念を組み合わせることで依然として回避の難しい攻撃を行うことは可能であり、作品によっては猛威を振るうこともある。
EXVSブランドに移って以降はこういうテクニックとしては廃れつつある代わり、一部の機体の格闘モーションで「銃を突き付けて接射する」ものが搭載されている。
性質上ほとんど動かないことが多いため、足が止まったところを撃ち抜く・斬るのが大前提のこのゲームとしては非常にハイリスクだが、多くは代わりに大ダメージが狙える。あとカッコいい(場合によっては出典作品本編の再現演出でもある)。
いわゆる主人公機体だとF91(格闘の射撃派生、ヴェスバーで撃ち抜く)などが持っている。
またなかば不具合・グリッチだが、一部の散弾系武装は「特定の距離で当てると非常に高いダメージが出る」という性質が発見されている。有名なのはサザビーの射撃CS(拡散した瞬間にヒットさせることができれば弾の判定1つ1つが全部当たるため。横格闘2段目のような打ち上げる格闘をCSキャンセルして狙うと比較的ではあるが決まりやすい)。
特定の距離で当てる、という意味では近いニュアンスもあるか。

FPS・TPSにおいて、スナイパーライフル類の狙撃武器をスコープを覗かずに接射する事を「竹槍」という。これは長い銃身をもつデザインのことが圧倒的に多いため、それを「本格的な槍じゃないけど突いて使える武器」=竹槍に見立てたもの。
作品によっては、こうやって使うことを主とする調整を行うために、わざわざスコープを覗かなくとも実用的な精度が得られるものを別に実装していることも。例としてはBORDER BREAKのバトルライフルシリーズなど*3

特にアクションゲームやシューティングゲームでは一度に画面内に出せる飛び道具の数が決まっていることが多く、
敵のダメージを受けた際の無敵時間が長くない場合には接射は危険と隣り合わせだがダメージ効率を大きく高める有効なテクニックになる。
フロントミッション ガンハザード」のアッパーバルカンが代表例。
2D対戦型格闘ゲームでは「手足よりさらに一歩リーチが長い」「攻撃判定が強い」「敵の手足を止め、攻め込む足がかりにする」などの理由で眼の前の敵に飛び道具技を撃つ事が珍しくない。波動拳が足払い合戦の間合いで撃たれるのは普通の事だし、ソル=バッドガイのガンフレイムはそのために編まれたような技である。

名探偵コナンのエピソード『小五郎の同窓会殺人事件』では拳銃自殺らしき遺体が発見されたが、接射によるやけどの跡がないことからそうでないということが事件のカギとなった。

この項目は主に銃器を扱っているが、「飛び道具(物理・魔法問わず)の使い手が思いがけずくらいの距離で戦う事になり、乱射なりいきなり撃ち込んだりで戦う」というのはフィクションではよく見られる光景。アルスラーン戦記では弓の名手が目の前の敵に矢を射ち込んで倒すシーンがあるし、ダイの大冒険ポップは本来魔法使いの仕事たる後方火力支援のみならず、魔法弾を用いた近接戦闘をすることがしょっちゅうである。
一般論としても、ポップのように「手をかざしてそっから直接撃つ」技を習得していれば、パンチの要領で超至近距離で撃つことを思いつくのはむしろ自然だろう。 


ふっ、いくら新項目の建ったアニヲタwikiと言えど、この至近距離からの追記・修正ならばひとたまりも…なにぃっ!?まさか…!?

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最終更新:2025年07月09日 23:15

*1 敵の至近距離で引き金を引くと頭や背中に接射する演出がなされる

*2 スティンガーミサイルでもなければ通用しない装甲を持つメタルギアRAYを相手に、5.7mm弾を撃つFN P90で接射を行ないなんと撃破してしまっている

*3 「ロックオンを誤魔化せる光学迷彩」という多人数TPSではどう考えても非常に強い装備を使えるのが狙撃兵装しかいなかったため、実装以前から竹槍戦術を使うプレイヤーが非常に多かったという事情もある。