ガッチャマン(実写映画)

登録日:2015/02/24 Tue 03:42:39
更新日:2024/11/23 Sat 21:46:09
所要時間:約 11 分で読めます






俺が見えるか、悪党ども
実体もなく忍び寄る白い影が


ガッチャマン(実写映画)とは、2013年8月24日に公開された日本映画である。

主演は松坂桃李で、監督は佐藤東弥。制作は日活、配給は東宝。
公開当時の同時上映は「劇場版 おはよう忍者隊ガッチャマン

日本中を熱狂した伝説のアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」が、40年の時を経て実写化された。

キャッチコピーは「その力は、正義か、破壊か―」


主題歌:虹を待つ人(歌:BUMP OF CHICKEN



【ストーリー】

21世紀初頭、ギャラクターを名乗る謎の侵略者が突如全世界に宣戦を布告した。
世界各地で侵攻を開始したギャラクター兵達は「ウイルスX」と呼ばれる未知の力で人類を圧倒。
シールドと呼ばれる力により、戦車など今までの人類が作り出してきた兵器が通用しないギャラクターを前にわずか17日間で地球の半分は占領され、ギャラクターの支配下に落ちたヨーロッパやアメリカから、東アジアへの移民が後を絶たなくなった。
その17年後、絶望の淵へと追い込まれた人類の最後の希望として、ISO(国際科学技術庁)に選ばれた5人が立ち上がる。

ギャラクターに唯一対抗できる不思議な結晶体<石>の力を自在に操る究極の兵器、その名もガッチャマン!

果たして彼らはギャラクターの魔の手から人類を救う事ができるのか――?




【登場人物】

  • 大鷲の健(演:松坂桃李)
「任務は絶対だ。それが俺たちの掟だ」

ISO東アジア支局のエージェント “ガッチャマン”のリーダー。本名:鷲尾健。
幼い頃から<石>の適合者として訓練を受け、高い能力を持つ。武器は鳥型のブーメラン「バードラン」。
人一倍責任感が強く、「任務は絶対」という掟を頑なに守る程の真面目な性格。…言い換えれば、融通が利かない堅物であり、
それがのちにジョーや竜の反発を招いてしまう。
火のモヂカラを受け継いだサムライではない。
本作で「ガッチャマン」は5人全体を指しているが、本来、アニメ版では彼個人の名称である。これは監督がアニメ版を知らなかったためである


  • コンドルのジョー(演:綾野剛
「ガキの頃から自由を奪われ、訓練に励み、それでも何もできない…こんな人生に何の意味があるんだ」

健の幼馴染であり、ISOヨーロッパから移籍してきた適合者である。本名:ジョージ浅倉。武器は羽根手裏剣。
5年前の中央アジアでの任務で恋人であるナオミにプロポーズした直後にギャラクターに襲撃され、幹部のイリヤに彼女を殺された挙句に自身と健も重傷を負った過去を持つ。
それ以降、ナオミを奪ったイリヤへの復讐を心に誓い、人生の全てを賭けてまでギャラクターと戦い続けている。
イリヤを討つためなら命令無視や仲間への妨害も辞さない等、下手な味方は凶悪な敵より厄介を地で行く人。
蜘蛛のオルフェノクでも成金に雇われた仮面の男でもない。また偶然ではあるが、アニメ版の声の人も綾野氏と同じく仮面ライダーに関わった事があった
中盤では、ある人物の手によってウイルスXに感染させられてしまい、その後、自我を保ちながらも徐々にギャラクター化してしまう。


  • 白鳥のジュン(演:剛力彩芽)
「やっとわかったの…! 私は死ぬ時まで健と一緒にいる…それが私の戦う理由」

ガッチャマンの紅一点。本名:大月ジュン。武器はヨーヨー
Gスーツが白とピンクのミニスカではなく、露出度が極端に低い紫の全身スーツという残念な仕様(笑)
物語後半ではそれを着ていた彼女自身が「醜いスーツ」と不満をぶちまけた。
9歳の時に目の前で両親をギャラクターに連れ去られて弟と共に孤児となったところを南部博士にスカウトされる形で適合者に選ばれた。
健に恋心を抱き、相手にしてもらえなくてもアタックし続けている。


「これぞ科学忍法・火の鳥!」

本名:大月甚平。ジュンの弟であり、5人の中では最年少のガッチャマン。武器はアメリカンクラッカー。
データ解析やハッキングなど、コンピュータを駆使する場面で能力を最大限に発揮する。
場を和ませるために子供っぽさを演じているが、実は大人びた少年。
決して怪物プリンスの友達ではないし、ジャンボットのパイロットでも多重人格な子役でもない。もちろんウルトラマンベリアルの息子でもない。


  • みみずくの竜(演:鈴木亮平)
「やかましいわ、サル。人を馬鹿にすっとバチが当たっど」

鹿児島弁の心優しい性格のパワーファイターであり、ムキムキで強靭な肉体の持ち主。本名:中西竜。
怪力を活かした戦闘が得意でガッチャマンの専用機「ゴッドフェニックス」の操縦も担当している。
15歳の頃はストリートチルドレンだったが、「適合者」という理由だけでISOに強制連行され、現在に至るまでガッチャマンになるための訓練を強いられてきた
甚平を弟分として可愛がっており、中盤で甚平がイリヤに殺されかけた際には結果的に任務を優先して甚平を見捨てようとした健に激怒していた。
パンティを被った正義のヒーローではない。鹿児島つながりの大河の主役でもない。


  • 南部博士(演:岸谷五朗)
「我々が触れてもただの石…しかし、ISOのエージェントが触れれば希望の光」

ISOの科学者であり、ガッチャマンの生みの親。
いち早くギャラクターの脅威に察知し、それに対抗すべく「適合者」を集め、ISOのエージェントとして育ててきた。
別の世界では九龍グループのヤクザだった。


  • カークランド博士(演:光石研)
「良かったな。君達はまもなく自由の身だ」

南部博士と同じくISOの科学者であるが、命令に忠実なガッチャマンを内心では「人形」と軽視しており、
ガッチャマン不要論を唱えて南部博士と対立する形で衛星兵器「モスコーン」を開発。
過去に妻をギャラクターに殺された恨みから、自らの手でギャラクターを殲滅する事にこだわっており、
モスコーンの制御装置を自身の肉体に埋め込んでいるが、過度な慢心やギャラクターに対する憎しみが災いし、最終的に墓穴を掘ってしまう。


  • イリヤ(演:中村獅童)
「いいか、ベルクカッツェは狂っている。殺らなければ、殺られるぞ」

ギャラクターのNo.2であったオールバックの男。
物語が開始する以前にべルクカッツェとの覇権争いに敗れ、ギャラクターを追放された。
その後、情報提供者としてISOに対して亡命を求めている。
実は5年前、健とジョーが愛した女性であるナオミを殺した張本人であり、彼女と結婚するはずだったジョーからは仇として憎まれている。
リンゴが大好物な死神ではない。
中盤で健達5人に保護されたイリヤの正体はウイルスXの力で変身したナオミであり、5年前に現れた本物のイリヤが現在どうなっているかについては不明だが、ノベライズ版によるとベルクカッツェとなったナオミの手で始末された事が明かされている。


  • ナオミ(演:初音映莉子)
「普通、こんな所でプロポーズする?」

実写版オリジナルキャラクター。健とジョーとは、共に幼い頃から「適合者」として訓練を受けていた。
やがてジョーのフィアンセとなるが、その直後にギャラクターの襲撃を受けて死亡した。
うずまきの呪いに巻き込まれた主人公ではない。
実は死亡しておらず、襲撃を受けた後にギャラクターに連行されてウイルスXの適合者に選ばれ、現在は3代目のベルクカッツェとなっている。本編では最終作戦「ラストスーサイド」を実現させるため、イリヤに化けてISOの潜入を画策していた。


  • ベルクカッツェ(演:???)
「人間の正義は無くても、ギャラクターの正義はある」

ギャラクターの長である統治者。
本編の冒頭から早くも登場しており、その姿は原作のベルクカッツェに近いデザイン。
ギャラクターの支配を完全なものにするために「ラストスーサイド」という計画の実行を企てている。
なお、ベルクカッツェという存在自体は世襲制であり、その使命の多くは次の世代のベルクカッツェを見つけることである。
ベルクカッツェの正体はウイルスXに感染した最初のギャラクターであり、通常のギャラクターと比べると高い能力を持つが、それと引き換えに寿命がかなり短い。現在はナオミが3代目のベルクカッツェとなっている。ちなみに3代目の外見がヤッターマンのドロンジョに近いデザインである。


  • ギルマン(演:新上博巳)
ギャラクターの幹部。
無数のパイプが接続された漆黒の装甲服を身にまとっている。
最終決戦で移動要塞「タートルキング」の内部に侵入してきた健と交戦するも、最期は健に敗れて消滅した。


  • マイクミラー(演:川本耕史)
ギャラクターの幹部。
ライオンのようなたてがみと白いアーマーが特徴。
最期はジョーに倒され、3人の幹部の中で唯一序盤で退場してしまった。


  • メイ(演:Yumiko)
ギャラクターの女幹部。
ツインテールにスカート等、全体的にガッチャマンクラウズの主人公を彷彿させるデザイン。
ギルマンと同様、最終決戦まで生き残るが、最期はジュンと竜の連携攻撃で倒された。
なお幹部たちの名前は劇中未登場。


  • ギャラクター兵
文字通り、ギャラクターの兵士達。
装甲服のようなスーツに一つ目のガスマスクをつけている。
ギャラクターの中では下位に位置する雑兵だが、地球上の全ての兵器を無効化できる赤いバリア「壁(シールド)」が標準装備されているおかげで、人類にとっては無敵モードでやりたい放題してくる、どうあがいても絶望な恐怖の存在」となっている。
手から火球やを出し攻撃する。




【登場メカ】

  • ゴッドフェニックス
南部博士が開発したガッチャマンの主力戦闘機。
開発されたばかりでまだテスト飛行すらしておらず、武装も現時点ではG粒子を応用した機関砲とBIRDミサイルのみである。
予告編で一応科学忍法・火の鳥を披露しているが……。
設定によると、システムの要として健達以外の適合者の脳髄が機体に組み込まれている。


  • モスコーン
地球の軌道上に建設された巨大な衛星兵器であり、ガッチャマンと同じく<石>が使われている。
搭載された<石>から供給されるG粒子ビームは大都市を一撃で消滅させるほどの威力を持つ。
ギャラクターを一気に殲滅するための切り札としてカークランド博士が極秘に開発していた。
実はゴッドフェニックスと同様、モスコーンにも適合者の脳髄が組み込まれている。


  • キャタローラー
序盤で登場したギャラクターの回転体装甲車。内部には時限爆弾を内蔵。
巨大なタイヤのような形をしており、一見するとメカのような兵器であるが、実はウイルスXを寄生させた人工生物を機械化した一種のサイボーグである。
その体内にはギャラクター兵が多数乗り込んでいる。

  • タートルキング
ギャラクターの巨大宇宙要塞。
大きさが4キロもあり、4本の首が生えた亀のような外観である。
こちらもキャタローラーと同様、ウイルスXを寄生させた人工生物を機械化したサイボーグ。




【用語解説】

石と言ってもただの石ではない。
西暦1718年、アフリカの古代遺跡で28個の結晶体が発見され、<石>と名付けられた。
<石>が発する光のエネルギー、通称「G粒子」こそがギャラクターの壁(シールド)を破壊し、ウイルスXを消滅させると共にギャラクターの活動を停止させることができる。


  • 適合者
強大な<石>の力を引き出せる人間。
その確率は800万人に1人しかいないという貴重な存在であり、ISOはその確保のために拉致まがいの手口で世界中から適合者を捜し出し、訓練を強制し、ギャラクターに対抗するための戦士として育て上げた。


  • ギャラクター
21世紀の初め、人類に宣戦布告して世界中を壊滅状態に追いやった謎の侵略者であり、自らを「進化した人類」と称している。
ギャラクター兵達のDNAは人間と99%一致するが、残りの1%はウイルスXである。
劇中で幹部たちがギャラクター語なるもので会話するシーンがあるが、詳細は不明。


  • ウイルスX
紀元前5世紀に宇宙よりもたらされた謎のウイルス。
感染した者はギャラクターとなり、超人的な力を持つようになる。
有史以来から既に感染者が地球上に存在していたらしく、ある場所ではゾンビ、またある場所では吸血鬼、時には悪魔と呼ばれ、古代の人々から恐れられていた。


  • ラストスーサイド
ギャラクターが企ている作戦の名称。
英語「最後の自殺という意味を冠しており、イリヤ曰く「東京ごとISOの科学者と要人を殲滅する」のが目的らしいが、詳細な内容を知っているのはベルクカッツェのみである。
真の狙いは人類がギャラクターを滅ぼすために作り出したモスコーンを奪取して、逆に人類の主要都市をモスコーンで一気に殲滅……つまり、自分達の兵器で自分達を殺すという文字通り“最後の自殺”である。





【総評】

豪華なキャスト陣や最新のVFXにより、原作を知らずとも興味津々に映画館に足を運んだ人もいたことだろう。
実際、公開初日の観客が9万318人であり、映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第6位となった。

しかしいざ映画が始まると、
  • ガッチャマンマシーンが登場しないなど、中途半端な原作再現
  • 世界各地が壊滅状態とナレーションされたはずなのに、何故か東京だけ無傷で日常と変わらず全く緊迫感のない状況(物資はどこから調達しているのだろうか?)
  • 侵略から17年も経っているのに、ギャラクターは未だに世界を完全に制圧できていない
  • 青臭い中二病的理屈な主人公達のセリフ回し
  • 色々と改悪された原作キャラ(特にジュンやベルクカッツェ)
  • ギャラクターには通用しないと判明しているのに、二度までも通常兵器で攻撃する人類(そして返り討ちに遭う)
  • スタッフロール後のオチ(どうも続編を狙っていたらしい)
……と、ツッコミどころありまくりな有様。

映画が終わってからは、原作ファンも人気若手俳優目当てで観にきていた客も幻滅していた。
最終的な興行収入は4億8000万円。

本作の脚本や登場人物に対する批判が目立つが、演じてるキャラのアクションやVFXの演出は本物であり、ヒーロー像を重点的に見れば自然と映画にのめり込めていた人も少なくはない。





追記・修正は<石>の適合者として選ばれてからお願いします。

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最終更新:2024年11月23日 21:46