機動戦士ガンダム 一年戦争(ゲーム)

登録日:2018/08/10 Fri 18:18:00
更新日:2025/02/01 Sat 14:42:10
所要時間:約 10 分で読めます





バンダイから2005年に発売されたPlayStation2専用ソフト。
今作はガンダムシリーズの版権を保有するバンダイがナムコに開発を依頼してガンダムゲームを販売する『PROJECT PEGASUS』の第一弾であった。


概要

その名の通り一年戦争をテーマとしたゲームであり、プレイヤーはアムロ・レイ視点でガンダムを操作して戦場を駆け抜けていく。

遊べるモードは開始時は機動戦士ガンダムを再現した全28ステージから成る『一年戦争モード』とトレーニングモードの2つ。
『一年戦争』モードでは基本的にガンダムしか使用できないが、あくまでアムロ視点なので原作と同じくガンキャノン*1ガンタンクに搭乗したり、ホワイトベースの機銃を操作したり、アムロ自身がホワイトベース内でジオン兵を拳銃で撃退するタイムクライシスのようなステージも存在する。

一年戦争モード中に設定された劇中シーンをCGで再現したメモリアルアクションというムービーをフルコンプリートすることで、ガンダム以外の連邦軍モビルスーツを一年戦争モードと同じステージで使える『フリーモード』が解禁される。

今作の一年戦争モードはガンダムの大気圏突入装備が異なる事やGファイターではなくコア・ブースターが登場する所からもわかるように、基本的には劇場版ベース(キャストも劇場版準拠)だが、劇場版では登場しないアッザムやギャンと戦うステージがあったり、ハードモードだとザクレロが登場する等一部TV版の要素も拾われている。


基本システム

VSシリーズと同じく、ガンダムゲーでは標準的なTPS(三人称視点)操作である。
一方当時としてはコマンド配置がかなり独特であり、以下の通りFPS的な操作性になっている。

L1ボタン ダッシュ
L2ボタン ジャンプ
R1ボタン 射撃攻撃(ビームライフル)
R2ボタン 近接攻撃(ビームサーベル)
×ボタン 視点戻し
△ボタン 第三武装攻撃
アナログスティック押し込み バルカン
左スティック 移動
右スティック 視点・照準


フリーミッションで使用可能なMS

  • ガンダム

以下は一年戦争モードの該当する全ステージでメモリアルアクションを発生させることで解禁

以下は一年戦争モードを難易度『HARD』クリアで解禁
  • ガンキャノンⅡ
  • ジム・トレーナー
  • ジム・ライトアーマー
  • アレックス

因みに一部の機体(フルアーマーガンダムとかガンキャノンとか)は△ボタンを押す事で特殊射撃を行う事が可能(弾数制限なし)。


評価・売上

さて、多くの人は本項目のタグを見てある程度察しが付いただろうが、
本作は発売当時ではガンダムゲーム史上ワーストクラスの失敗作クソゲーという見方が強かった。
実際当時のクソゲーオブザイヤーで準大賞にまで登り詰めている。

当時のバンダイはこのゲームで今までのプレステ2で最も売れたガンダムゲー『機動戦士Ζガンダム エゥーゴvsティターンズ』の売上90万本を超えるミリオンヒットを狙って本作を売り出したようである。
実際CMもかなり力が入っており、中でも「磯山さやかがサウナの中で夢中で本作をプレイする」という内容はかなりインパクトがあった。
しかし、後述の問題点(特に操作性)のせいでガンダムファンから総スカンを食らい、売上は初週15万本、総計33万本と目標の三分の一程度に留まる事に。
結果として『PROJECT PEGASUS』は本作を最後に無かったことにされてしまった


問題点

操作性について

  • 従来のものとは大きく異なる操作性
上述したように今作の操作性は2018年現在から見ればオーソドックスなFPS・TPSの操作体系なのだが、はっきり言ってしまうと2005年当時国内においてはそれら自体がマイナーもいいところなジャンルだった。
確かにこの操作性も慣れてしまえばどうということはなく一概に問題点とは言い難いが、仮にもヒット作のエゥティタを超えるという目標を設定しておいて、まだ万人向けではなかった操作方法を採用してしまうのはやはり正解とは言い難かったのだ。エウティタが直感的で解りやすいボタン配置だったのも相まって、尚の事槍玉に挙げられやすかったのもある。

  • ロックオン機能が弱い
本作は特定の視界内に敵が入り込むと自動でロックオンしてくれるシステムとなっている。しかし視界から外れると勝手にロックオンが外れる上にその頻度がかなり高い。
シャアランバ・ラルとの戦いが特に酷く、縦横無尽に激しく動き回るせいで視点変更を駆使しないと頻繁にロックオンが外れる。
これもまたFPS・TPSで言う所のエイムアシストの方が近く、慣れるとそこまで気にはならないものの先述した通りそれらの操作性は(ry

  • 格闘攻撃が貧弱
ビームサーベルでの攻撃は、ボタンを押してもロックオンした相手に近付くことは一切なく、その場でサーベルを最大3回まで振る。
結果かなり当て辛く、外れると隙を晒してしまう。
ブーストダッシュしながら格闘を振ると突き攻撃に変わり、こちらは非常に当てやすいものの、威力が低い上に硬直が大きいため即座に離脱しないと反撃を食らいやすい。
一応迎撃手段として考えると発生が早く判定も強めなので中々有用。

任意で防御することができない。
これはVSシリーズでも同様の仕様だったが、あちらはアーケードの対戦ゲームでありゲームバランスや操作性との兼ね合いもあったことは想像に難くない。
また、あちらは任意防御ができないだけで運良くシールド範囲に攻撃が当たった場合は防ぐことができた。
これもまたFPS・TPSでは普通の仕様であるのだが、それをガンダムに当てはめた結果このような結果になってしまった。

ゲームの難易度について

  • 水中ステージが鬼門
原作通りの設定だが、水中ではガンダムの機動力とビーム兵器の威力がガタ落ちする。
迂闊にジャンプすれば全く着地できずに魚雷で蜂の巣にされ、ズゴックに取り付かれると悲惨なことに。

  • メモリアルアクションの達成条件の大半がビームサーベルでのトドメとなっている。
格闘攻撃の弱さは前述の通りであり、ボス機体を格闘で倒すのは骨が折れる。
だがボス機体は大体体力が減るとこちらに突進してくるようになるため射撃で削り、突進してきた相手をカウンターするように意識すると結構楽。
特にランバ・ラル戦なんかはそれが顕著であり、要はどれだけアムロになりきれるかがポイント。
それでも動きが滅茶苦茶早いエルメスに当てるのは苦労するが。

  • ステージ24「ソロモン攻略戦」
ソロモンに侵入して大量のジオンMSを撃退し、ビグ・ザムの格納庫に到達するのが目標となるが、
終盤の
  • 狭い通路に設置されたメガ粒子砲を紙一重で何度も避ける
  • 高所にある格納庫まで段差伝いにジャンプ操作だけで登っていく(通称 階段登り)
の二つの場面がかなりの難所となっている。

  • 味方MSがほぼステージにいない
アニメでよく見られたガンキャノン、ガンタンクと共に戦うといったステージは殆ど存在せず、いても何もしてくれない。
いつものガンダムゲーじゃんとか言わない

ゲーム中の原作再現度・ボリュームについて

  • ボリュームがショボい
恐らく最も致命的な問題点である。この点は近年の再評価においてもまず指摘される問題で、致命的にボリュームが少ないのだ。
本作で遊べるモードは一年戦争モードとトレーニングモード、「ガンダム以外のMSを一年戦争モードと同じステージでプレイする」フリーモードのみであり、一年戦争以降の時期を取り扱ったモードは勿論、フリー対戦やジオン軍視点でのプレイモードなんてものは一切存在しない。
せっかくの一年戦争ゲーなんだから、ジオン視点ぐらいはあっても良かったのでは?との声もある。
加えて劇場版ベースというのもあるが『ククルス・ドアンの島』を初めとした、名エピソードがいくつか収録されていない点も指摘される。

  • ハイパー・バズーカを使用するステージが殆どない
ガンダムを代表する武装だがこのゲームでは終盤のステージ27『宇宙要塞・ア・バオア・クー』でしか使用できない。
実を言うとTV版でもそこまで出番のある武装ではなく、特にこのゲームの元になった劇場版三部作だとハイパー・バズーカを装備して出撃したエピソードがカットされたりしてダブルバズーカぐらいでしか出番がないため原作再現の弊害と言える。


評価点

ここまで散々に扱き下ろしたが、そんな本作でも評価できる点はしっかり存在する。

まずグラフィックがPS2では最高レベルに綺麗なことが挙げられる。
BGMやキャラクターのカットイン、フラウやセイラとの通信画面を始めとした演出もアニメの雰囲気を見事に再現しているので、システムの不自由さに慣れればCMと同じように夢中にプレイできる。
更にナレーションに至るまでほぼ全ての登場人物の声が(劇場版準拠の)オリジナルキャストというのもポイント。

つまり『一年戦争モード』単体の出来はかなりいい方であると言っていい。
MSV機体をフリーモードで使える点も評価できる。
ロールアウトverのガンダムがピックアップされたゲームは本作くらいしかないだろう。

また、難易度をハードにしてプレイすると敵MSが一部MSVのものに変化するという特徴もある。
中でも最終ステージのジオングがハードだとパーフェクトジオングになっていたり、アニメではかませ犬だったコンスコン艦隊のリック・ドムが、ハードモードで全員リック・ドムⅡになっていることに度肝を抜かれるプレイヤーも多いだろう。
更にハードだと一部ステージでジョニー・ライデンアナベル・ガトーといった派生作品のエースパイロット達が出現する(しかも声ありかつセリフは全て新録。)というファンには嬉しいサプライズもある。

何より2022年現在、本作が『機動戦士ガンダム』のアニメそのものを主題にした最後のゲームであるという点は見逃せない。

因みにクソゲーオブザイヤー準大賞についても、ヨンパチショック以前の作品なので良くも悪くもハードルが低く匙加減次第のものだった。
発売当時に下されてしまったクソゲーという評価についても、現在ではそこまで酷くもない、強いて言えば凡作・ガッカリゲーだろうという声も多い。
少なくともビジュアル・ゲーム性ともに笑えるほど酷い実写版ガンダムよりは遥かに出来がいいのは確か。

現在、本作は殆どのゲーム店で200円前後で売られているので入手がとても容易である。
気になった方は手にとって遊んでみてはいかがだろうか。


余談

発売当時に本作のカラーリングを再現したガンプラが数種類、マスターグレードで発売された。
ジオン系に分類されるMSは既存のキットのカラーバリエーション止まりであったが、
ガンダムは新規に「ver.O.Y.W 0079」バージョンでキット化され、当時のガンプラとしてはクオリティが高かった。
これの前のモデルのver.1.5で採用されていた多重インサート成形の脚部フレーム以外は全て新規であり、ゲーム内のデザインそのままにスタイリッシュに立体化されている。
肘は二重関節、肩の跳ね上げ、股関節の前後可動、敢えてコアファイターを廃することで胴体の可動域を確保するなど可動範囲は最新のものと比較しても決して劣るものではなく高い完成度を誇る。
当初はゲームでのカラーリングを再現したくすんだ配色の「ver.O.Y.W 0079」のみが発売されていたが、人気があったのか馴染みのあるアニメバージョンのカラーリングのものも発売されている。

またオシャカになってしまった『PROJECT PEGASUS』だが、これをきっかけとしてバンダイとナムコが経営統合されバンダイナムコゲームスが誕生した。
よってバンナムの歴史を語る際に本作は欠かせないものとなっている。


追記・修正はソロモンの階段登りを一発でクリアした人がお願いします。

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最終更新:2025年02月01日 14:42

*1 緊急出撃なので原作通りビームライフルは装備しておらず、使用は一切不可能となっている