邪神イレイザー

登録日:2022/01/22 Sat 14:42:25
更新日:2024/04/24 Wed 21:08:01NEW!
所要時間:約 5 分で読めます





邪神イレイザーとは『遊戯王OCG』のカード。

●目次

【テキスト】

星10/闇属性/悪魔族/攻?/守?
このカードは特殊召喚できない。
自分フィールドのモンスター3体をリリースした場合のみ通常召喚できる。
(1):このカードの攻撃力・守備力は、相手フィールドのカードの数×1000になる。
(2):自分メインフェイズに発動できる。このカードを破壊する。
(3):このカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。フィールドのカードを全て破壊する。


【概要】

三邪神の一体で、《オシリスの天空竜》と対を成す。
相手フィールド上のカードの数によってステータスが上昇する永続効果と、破壊され墓地に送られる時に場のカード全てを道連れに破壊する誘発効果、
そして誘発効果を発動するために自身を破壊する起動効果を持つ。

攻撃力と守備力が相手頼みになるため、専用のデッキ構築をしなければ安定しない。
自身の破壊をトリガーとする破壊効果は強力だが、第9期以降は定番となった「破壊しない除去」には対応していないので注意。

3体ものリリースと召喚権を使って得られるのが不安定なアタッカー+全体除去なので使い勝手は良くない。
場をリセットするモンスターとしては《励輝士 ヴェルズビュート》や《ブラック・ローズ・ドラゴン》の方が出しやすく、使い勝手は良い。
そもそも現在は《ブラック・ホール》や《サンダー・ボルト》、《ハーピィの羽根帚》といった強力な除去カードの使用制限も緩和されている。
さらに同シリーズに登場した《神獣王バルバロス》なら同じ3体リリースで3000止まりとはいえ安定した高攻撃力を得、生きたまま相手の場のみ全体除去できる。

反面、イレイザーはうまく相手の場を埋めれば3000以上の高い打点を得られる可能性はある。
また、《神の宣告》などで召喚を無効にされた場合でも、破壊さえされていれば効果が発動するという珍しいメリットがある。

ステータスの強化と全体除去の両方を上手く活かしたい場合、《心鎮壷》や《魔封じの芳香》で相手の魔法・罠を固定したり、《俊足のギラザウルス》+《地獄の暴走召喚》でお互いの場に3体のモンスターを揃える手もある。

変わった使い方として《炎王獣ヤクシャ》の効果で手札で破壊して効果を発揮するというものがあり、そちらの奇襲性は結構高い。
……というか、手間暇かけて3体のリリースを揃えなくて良い分、この用途で使った方が(ry

そして《邪神アバター》や《邪神ドレッド・ルート》がややこしい裁定で有名な中、三邪神の中では唯一のルール的にややこしい要素のないモンスターである。
…だが、悪名高き《ポールポジション》と組み合わせることで、ルールと特殊裁定を利用した意味のわからないロックを生成できる。


【特殊な裁定】

※以下の記述は2021年4月以前の裁定を参考にしています。

このロックを生み出す肝となるのが、《ポールポジション》の「ループが発生する状況下ではそのトリガーとなるカード及び効果は強制効果であっても発動できない」という特殊裁定。


詳細は個別項目にあるが、
フィールドのあるモンスターが「魔法カードの効果を受けると攻撃力が一番高い」が「元々の攻撃力は2番目以下」の場合、《ポールポジション》の対象が無限に入れ替わってしまう。
装備魔法というものを知っていれば誰でも思い浮かぶこのループを、コンマイがどう考えていたのかは永遠の謎。

これを防ぐため、無限ループのトリガーとなるようなステータスのモンスター(対象モンスターの「元々の攻撃力〜本来の攻撃力」のモンスター)の召喚ができない…という特殊裁定を利用したのが【ポルポジロック】である。

このロックの欠点は魔法罠に一切耐性が無い点なのだが、《邪神イレイザー》を組み合わせることで、その欠点を補ってしまえるのだ


まず前提として相手フィールドが空であるとする。
この状態で《邪神イレイザー》を自分フィールドに召喚すると攻撃力は0である。

そこに、《スケープ・ゴート》と《団結の力》を発動し、《ポールポジション》を発動してみよう。

この時、攻撃力が一番高いのは羊トークン(団結込みで4000)なので、《ポールポジション》が適用されて、攻撃力は全員0で横並びになって処理が終了する。


問題はここで相手がカードを場に出した場合。
この場合、相手がカードを出した瞬間、《邪神イレイザー》の攻撃力が1000になってしまう。


《ポールポジション》の対象が《邪神イレイザー》のみになる→羊トークン(団結装備)の攻撃力が4000になる
→《ポールポジション》の対象が羊トークンになる→強化が消えて羊トークンの攻撃力が0になる
→《ポールポジション》の対象がイレイザーのみになる→羊トークン(団結装備)の攻撃力が4000に……


このように「相手が場にカードを出す」という行為自体が無限ループのトリガーとなる。
で、遊戯王のルールでは魔法・罠カードも一度フィールドにカードを出して発動する(一部例外あり)。


……つまりどういうことだって?

攻撃力4000以下のモンスターは召喚もできず、カードをセットすることも魔法・罠カードを手札から発動することもできないロックが完成する

素で攻撃力4000を超えるモンスターならループを引き起こさないので召喚できるが、
フィールドを介さずにそのステータスのモンスターを召喚するのはどう考えても不可能である。

成立してしまえば、もはや相手は何もできずに盤面を眺めているしかなくなるのだ。

手札制限でキャシーブレスルマガジン?知らん、そんなことは俺の管轄外だ。
トークンの利用手段が増えたこともあってこの方法でロックを決める意義はかなり薄いが。


こいつ自身は特殊裁定とは無縁だが、やはり三邪神はいずれも特殊裁定と縁があるらしい……。


なお、現在はポールポジションとイレイザーのように攻撃力が変動するカードが同時に存在する場合の扱いについて、公式は「対戦相手と話し合うか、審判の判断に従って下さい」と事実上回答をぶん投げている。


【作中での活躍】

遊戯王R』に登場。

テキストは以下の通り
A god who erases another god.When Eraser is sent to the graveyard,all cards on the field go with it.Attack and defense points are 1000 timesthe cards on the opponent's field.
(日本語訳) 他の神を抹殺する神。イレイザーが墓地へ送られたとき、フィールド上の全てのカードはイレイザーと共に墓地へ行く。攻撃力と守備力の値は、相手フィールド上のカードの数の1000倍になる。

天馬夜行が自身のデッキに投入しているほか、死の淵から蘇ったキースに与えている。
キースの命を繋ぎ止めているのはこのカードの力らしい。

キースが肩慣らしとしてカード・プロフェッサーNo.1のリッチーとデュエル、イレイザーを召喚しダイジェストで済まされるほど圧勝。
トップの証であるブラックデュエルディスクと共に戦う権利を剝奪した。

その後は因縁の相手である城之内とデュエル。
基本的なデッキ構成は従来の【機械族】であり、漫画オリジナルの罠カード《スクラップ・ガレージ》で邪神の生け贄を揃えた。

遊戯vs夜行戦では《アルカナ ナイトジョーカー》を突破(Rでは素材は場に残るため攻撃力が素材で3000加算される)し、活躍したが、
最後は《軍神ガープ》のダイレクトアタックを通すために生け贄にされ、神の割に扱いはよくなかった。
Rでは「生け贄に捧げる→場の離れた時の効果発動→モンスターを生け贄召喚」という処理であり、OCGと順序が違うためにこの戦略は成立するようだ。

海馬やキースからは「人頼みな神」「無様なモンスター」など散々な評価。
能力の方向性がそれぞれ異なるとはいえ、OCGと同様概ねアバター>ドレッド・ルート>イレイザーという風に評価されているように見える。
特にキースは自分の主力モンスター用のサポートカードである《エンジンチューナー》が適用できないことも不満だったほか、リバースカードで対処しなければ城之内の《ハリケーン》であっさり攻撃力0にされるところだった。

ただ唯一遊戯に倒されておらず、物理的にも破られることがなかった三邪神だったりもする。
また海馬の評価もリセット効果を知る前のもので、リセット効果にはさすがに驚いていた。

ちなみにこのリセット効果はどんな形であれフィールドを離れる時に全てのカードを道連れにするというものであり*1、これが相手による破壊で発動した場合、黒い血の海でフィールド全てを覆い尽くし、お互いのプレイヤーの精神を死の闇に引きずり込むというとんでもない隠し処理が併存している。
こうなった場合、何とかして自力で正気を取り戻すか、精神が消滅して死亡する前に対戦を終わらせないと命はない。

キース戦では城之内によって破壊されたことでこれが発動し、キースと城之内を死の闇に引きずり込んだが、城之内がギリギリで正気を取り戻し、返しのターンでキースが敗北したことで闇が払われ事なきを得た。

夜行が使用した際には生け贄召喚のコストに使用されたことで発動したが、破壊ではなかったこと、邪神の眷属同然だった夜行が使用したためか、この時はプレイヤーへの影響はなかった。


攻撃名は「ダイジェスティブ・ブレス」
宣言時には「ダイジェスティブブレ―――ス!!」とテンション高く叫ぶのがお約束。


【余談】

三邪神はそれぞれが三幻神へのメタとしての役目を持たされているが、アバターがステータスを上回ることで、ドレッド・ルートが弱体化させることで殴り倒すのに対し、こいつは道連れにすることでその役目を果たす設計になっている。
キースが使用した際の「破壊するとフィールドのカード全てを墓地に送り、お互いのプレイヤーを闇に飲み込み抹殺する」という能力を合わせて考えると、
  • オシリスの天空竜:繰り出した瞬間に召雷弾で破壊→フィールド全てと相手プレイヤーを道連れ
  • オベリスクの巨神兵:ソウルエナジーMAXを喰らう→敗北するが相手プレイヤーを道連れ
  • ラーの翼神竜:攻撃なり不死鳥なりで消滅→ランクの関係でラーは無傷だが、ラーを操る相手プレイヤーを道連れ
という形で、神のカード絶対殺すマンと化している。

つまるところ、原作世界ではその低い評価とは裏腹に召喚されたこいつを破壊した時点で、(千年アイテムなどの闇の力を持たない限り)両者ともに死亡がほぼ確定するという「邪神」の名に恥じない恐怖のカードであり、同時にどんな方法であれ神のカードを止めるという役目にもっとも忠実なモンスターなのである。
ぶっちゃけほぼ自力で戻って来た城之内が異常。



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最終更新:2024年04月24日 21:08

*1 上記の通りOCGでは不可能。原作効果だと「アルカナフォースEX-THE DARK RULER」の逆位置効果(「カタストロフィー・ディストラクト」)が近いか。