非魔法族/魔法族(ハリー・ポッターシリーズ)

登録日:2024/05/26 Sun 12:47:53
更新日:2024/12/16 Mon 21:05:17
所要時間:約 30 分で読めます






The Noble and Most Ancient House of Black

〜Toujours Pur〜

高貴なる由緒正しきブラック家

〜純血よ 永遠なれ〜




ここでは、ハリー・ポッター・シリーズの魔法使い関連について解説する。

尚、作中で魔法が使えない…いわゆる「非魔法族」は一貫して「マグル」と呼称されている。
だが、これはイギリス魔法界での呼び方で、後述するよう他の国では別の呼ばれ方をしているなどの理由から、本項目名にも「マグル」は入れず「非魔法族」としている。


●目次


【概要】

『ハリー・ポッター』シリーズでは、魔法使いや魔女といった「魔法族」の起源は「人類と同じアフリカ生まれ」ということ以外不明とされる。
魔法を持つ人間である魔法族に対して、魔法を持たない人間は「非魔法族」「マグル」などと区別されて呼ばれる。

作中における魔法力は顕性遺伝であるが、まれに潜性遺伝子が顕在化し、魔法族の家に生まれながら魔法が使えない者が誕生することもある。
逆に、非魔法族の家から突然変異で魔法使いや魔女が生まれることもある(後述の「スクイブ」や「マグル生まれ」)。


【双方の対立の歴史】

かつては非魔法族と魔法族の婚姻や交流も行われており、10世紀頃にはマグルの王に取り入ってマグルの芸術品をコレクションしたり社交界にも参加する魔法族すらも存在していた。
だが、当時の魔法族はその魔力・魔術からマグルに恐れられ、迫害を受けていた*1
特に年齢の低い魔法族は魔力のコントロールが難しく、暴走してしまうことも多かった。
そうした問題に対して、イギリスでは後世ホグワーツ創設者と総称される、当時もっとも偉大な四人の魔法使い、ゴドリック・グリフィンドールヘルガ・ハッフルパフロウェナ・レイブンクローサラザール・スリザリンがイギリス全土から招き、保護するとともに魔法・魔術を指導していった(『ホグワーツ魔法魔術学校』の起源)。

この頃サラザール・スリザリンが後に純血主義と呼ばれる「魔法族(特に純血)の優越性」を主張していたが、世間の大半はそのような意見をまったく相手にせずに異常で誤ったものだと見なされ、ホグワーツにおいてはサラザールとゴドリック・グリフィンドールの決闘にまで発展し、最終的にサラザールはホグワーツを去っている。

しかし14世紀頃から始まった魔女狩りを契機に魔法族と非魔法族の関係は悪化し、非魔法族からの迫害を恐れた魔法族は自らの存在を隠しながら生活するようになる。
マグルとの全面抗戦を望む過激派とは対照的に、イギリスのラルストン・ポッターをはじめとする穏健派は魔法の存在を秘匿することで平和を維持しようと提案した。
その3年後の1692年、マグルの前で魔法を使うことの禁止を含む『国際魔法使い機密保持法』の制定・施行が世界各地の魔法省の下で始まり、ゴドリックの谷やオッタリー・セント・キャッチポールなどといった各地でのコミュニティの分離(マグルのコミュニティ内部に魔法族のコミュニティを隠匿する)対応が行われた。

ただし結婚など限定的かつ私的なマグルとの交際は法律施行後も認められており、家族やそれに準ずるマグルなどに魔法を見せても問題はないというのが一般的な考えである。

そして以前は大して力を持たなかった純血主義も保護法以降は一部でじわじわと広がりを見せ始め、「純血主義者」と呼ばれる魔法族たちは非魔法族への偏見・排他的な態度を見せるようになった。
これは彼らにとって非魔法族との交わりは忌避すべきことであり、自らの優位性や伝統を損ねる行為である。
そして後に「マグル生まれ」や「半純血」と呼ばれる非魔法族の血を引く者達は、純血主義において穢れた存在「穢れた血」とされ、純血主義者によって非魔法族と同等あるいはそれ以上に心ない差別を受けるようになり、1900年代後半にイギリスで猛威を振るった死喰い人(デス・イーター)はこのような差別意識を根幹に持った集団であった。

やがて1900年代になると当時の非魔法族側の時勢も相まって闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドの先鋭的かつ回帰的な思想は欧州でもかなり支持を得たが、アルバス・ダンブルドアによってグリンデルバルドが打ち倒されることでこの企みは砕かれた。
このグリンデルバルドの世界を巻き込んだ革命には初期の集会の頃から多くの純血、特に貴族階級とも称せる血筋の子息も参加し、結果としてその多くが命を落とした。
1900年代後半になると、融和・穏健路線が台頭したこともあってか、マグル界の社会情勢に影響を受けたか、公民権・社会福祉活動も盛んになり、とうとう白眼視されて実質的に排斥されるのみだったスクイブを支援する福祉法案も成立した。
純血主義者の暴力すらも伴う大々的な反対活動でもこれを阻止することは出来ず、純血主義者・貴族階級の弱体化が明白になった出来事でもある。

そうした情勢に対してやはり揺り戻しは起こるもので、ゲラートの思想をリバイバルさせたような考えを持つヴォルデモート卿が賛同者を集めて台頭するようになるなど、純血主義やその賛同者達による問題はなかなか解消されずにいる。


【非魔法族】

魔法を使えず魔法界とはかかわりもない一般人の総称。
作中では専ら「マグル」と呼ばれているが、これはあくまで英国魔法界での呼称であることは留意。
アメリカでは「No Magic」を略して「ノーマジ」、フランスでは「ノン・マジーク」と呼んでいる等、世界中に存在する各々の国の魔法界によって呼び方は異なる。

上記の通りかつては魔法族ともそれなりに交流があったが、機密保持法制定後は魔法族側がその力を秘匿するようになったことや非魔法族側の産業・科学技術の発達もあり、現在では魔法の存在はおとぎ話の中の存在とされるようになった。
但しハーマイオニー・グレンジャーの両親やダーズリー一族のように非魔法族家系ながら魔法族が生まれた場合あるいはそのような者が縁者にいる場合に限り、魔法の存在を知ることとなる。
そうした場合、グレンジャー夫婦のように素直に受け入れている事もあれば、ダーズリー一家のように魔法族をキチガイ扱いする者達もいる。

因みにマグル産まれとは呼ばれるものの、実はマグルからの突然変異という訳ではなく、祖先が魔法使いであり、そこから産まれたスクイブとマグルの子孫が先祖返りしたものである。
なので広義で言えば混血に辺りマグル産まれの
ハーマイオニー・グレンジャーも祖先は高名な魔法族であるヘクター・ダグワース=グレンジャーである可能性が示唆しされている(ハーマイオニー自身は確認する術を持ってないので違うんじゃないかと否定している)
ただし、これは裏設定に等しいものであり、作中人物の誰も、マグル産まれが何故産まれるのかは知らない。
純血主義者が「マグル産まれが魔法を盗んだ」と侮蔑混じりに揶揄するのも、その原理が不明なことや解明されたらそれはそれで厄介なことも含めて、深層心理で抱く恐れに起因するものでもある。

現代の魔法界では公式にはマグル出身者や半純血を差別することは禁止されており、恥ずべきこととしている。
サラザール・スリザリンを除くホグワーツ魔法魔術学校の創設者やダンブルドアは「マグル出身者でも魔力を示せば、魔法教育を受けられる」という考えを持ち、ダームストラング専門学校を除く全て魔法学校で学生が制度として差別されることはない。
しかし、サラザールの考えに賛同するような「純血主義」は未だスリザリン寮出身の者をはじめ根強く残っている。
もっとも、スリザリン寮は血統絶対主義で何でもかんでも排斥するという訳ではなく、マグル生まれや半純血、穏健派の純血生徒たちも少数ながら在籍している。

我々人間社会での偏見・差別の定番として無自覚で非積極的(非攻撃的)なパターンが一番メジャーであるという厄介な問題は魔法界の場合も同じらしく、ホラス・スラグホーンコーネリウス・ファッジのようにマグルやマグル生まれ等に対しても礼儀正しく、危害を加えることはないが、「普通ならマグルの血をひく魔法使いより純血のほうが優秀だ」という先入観をしばしば覗かせていた。


【魔法族】

魔法が使える人達(魔法使いや魔女)の総称。
マグル社会以上に貴族の影響力が強く、上記の通り血統重視の「純血主義」が蔓延し純血以外の者達を差別する風潮が根強いが、現代の魔法界では純血の方が圧倒的に少数派で、非魔法族の血を引く「純血」「半純血」「マグル生まれ」の方が多数派となっている

人口の設定は資料によってブレもあるが、世界全体としては人類総人口の1割が実は魔法族である、とされている。
ただし、ホグワーツ生徒数である1,000人前後がイギリス全土における11~17歳の子供の総人口であり、これをイギリスの人口比率に当て嵌めるとすれば、イギリス魔法界の人口は6,000人程。
山奥等に点在しているという設定ではあるが、相当に歪な居住地分布である。

ちなみにそのコミュニティの閉塞性から魔法族(特に純血)は非魔法族の文化に疎く、バスケットボールなどマグルにとって知っていて当然の事を知らないという描写がある。

◆純血

初代以降、非魔法族と婚姻を結ぶことなく純粋な魔法族のみで続いてきた家系や魔法族の両親から生まれた者達の総称。
マグル生まれや半純血が増えてきた魔法界では現在でこそ少数派閥となっているが、貴族社会の魔法界においては強い影響力を持ち、その優越性を主張する「純血主義」が広く蔓延しており、ただでさえ閉鎖的なコミュニティにおいて更に閉鎖的な者達としか交流しないため、差別意識はなかなか改善されず、純血以外の者達への差別が現代に至るまで根強く残っている。

最大の特徴として非魔法族の血を交えないように何世代にも渡って純血の魔法族同士で婚姻を続けてきていることで、作中に登場する純血の魔法族はみな姻戚関係にあり、複数の家系図を遡れば同じ人物にたどり着くなんてこともある。
しかも純血家系同士の婚姻はまだマシな方で、ゴーント家のように純血を維持するために近親婚を繰り返した結果、遺伝病が発生した家も存在する

但し全ての純血家系が純血主義だったり非魔法族への差別意識を持っているというわけではなく、ウィーズリー一族のように非魔法族に友好的で積極的に交流等を行ったりジェームズ・ポッターのように問題行動は多かったが特殊体質者にも偏見を持つことなく友情を築いた者達もいる。

さらに、「純血」と誇る者たちのなかにも、実は非魔法族の血が一切入っていない「完全な純血」は存在しない。
そもそも魔法力は顕性遺伝であり、魔法族から魔法が使えない者(スクイブ)が生まれてくることもあるため、非魔法族の血を完全に入れない・出さないというのはかなり難しい。
そのため、純血とされる家系ではスクイブや非魔法族との結婚者やマグル生まれ、半純血などを勘当などで家系図から徹底的に排除したり、「少なくとも何代までは家系を遡っても魔法族しか居ないから、君も純血」といった基準で認定することであたかも純血であると見せているに過ぎないのである。

また、ポッターモアによると純血主義というのは「自分に流れるマグルの血を否定し魔法族の部分だけを肯定する。また、マグルとは決別する」という決意表明の意味合いが強いらしい。
なのでドローレス・アンブリッジのような片方の親がマグルという混血であってもマグルの親を否定する人は純血となるし、実は純血主義には混血やマグル産まれも数多く存在する。

さらにマルフォイ家のように、閉鎖的な近親交配が遺伝的に危険であることを早期に把握していた純血魔法族も存在した。
そうした家系では、表向きは純血主義を掲げながらも、時にはひそかにマグルの両親をもつ魔女を妻として迎え入れ、そうしたマグル界出身者には家系図に工作して、あたかも魔法界出身であるかのように偽ってきた。

魔法界の純血名門のうち、唯一「限りなく完全に純血」といえそうなのは後述の「ゴーント家」のみと思われるが、ここでは何百年にもわたる近親婚(いとこ以内のみでの通婚)を繰り返して他家の血筋を一切入れなかったため、遺伝病を患っていた。
他の名門家系にはこのような遺伝病とおぼしき特徴は見られなかったため、マルフォイ家のほかにもほとんど全ての魔法族が、裏では非魔法族の血を入れてきたと思われる。

そうしたことも相まって、近年では純血を遵守し続けてマグルやマグル生まれとの混血を拒むと家の存続がますます危うくなること、あるいは実際には純潔を守ってなどいないことに気づく人々も増えており、自分達を純血と主張する家は減少傾向にある。

◆聖28一族

1930年代に匿名出版された「純血一族一覧」という本に記載された「間違いなく純血の血筋」とされるイギリスの魔法族の純血の名家の総称。
匿名出版とあるが、作者は自らの家系も聖28一族に入れたカンケンタラス・ノットとされる。

つまり、魔法省や国際魔法使い連盟によって公的に選出されたのではなく一個人による独断と偏見で選出されたに過ぎないため、選ばれなかった一族からの抗議の声も上がり、逆にウィーズリー家は選ばれたことに公然と不快感を示している。

なお勘違いされ易いが、この著書は「自身の血筋の高貴さを吹聴する」為のものではなく、1930年のグリデルバルドの宣戦布告と革命の開始を受けて「今後この高貴な血筋を守る為にマグルとの交流を一切断とう」と結束を呼びかける。上述の純血主義の解説にあるような、マグル社会に対する断交と宣戦布告といった政治的意図によって出版され宣言された概念である。

ウィーズリー家

ハリー・ポッターが作中で最も関わりを持った家族。
代々続く魔法使いの家系で、代々ホグワーツ魔法魔術学校に入学し、皆グリフィンドールに選ばれてきた。
劇中で組み分けの瞬間が明確に描写されたのはロンのみだが、それも決定はかなり早かった。

純血の一族の中では珍しく、一族全体的として純血の概念への執着が無く、特に現在家長のアーサーはマグル好きなのでその傾向が顕著。
『純血一族一覧』で聖28一族として選ばれたときには家を挙げて抗議し、興味深いマグルだった祖先たちとのつながりを誇った。
ちなみに魔法界全体としては聖28一族に選ばれなかったことに抗議した家のほうが多かった。この出来事によってウィーズリー家は純血主義者たちの反感を買い、「血を裏切るもの」という蔑称をつけられる。
ウィーズリー一族もそういった純血主義者を「馬鹿げてる」「古臭い」と評し、反目し合っている状態。
特に、いろいろな因縁が積み重なってマルフォイ家とは激しく対立している。

なお、
  • 燃えるような赤毛が一族のトレードマーク→グリフィンドールも赤毛
  • 代々グリフィンドール生となる
  • マグルに差別意識を持たない→グリフィンドールもマグル生まれの魔法使いの権利を尊重していた
等の理由から、ウィーズリー一族はゴドリック・グリフィンドールの直系なのではという噂もある
(※あくまでもファンの考察に過ぎないので注意)

マルフォイ家

「聖28一族」の一角……というよりも筆頭に挙げられるほどの、長い歴史と莫大な財産と広範な人脈を誇る、魔法界有数の実力派名門。

表向きは純血主義・反マグル主義を掲げているが、実際には投資などさまざまな面で権力を伸長してきた実業家一族の側面もある。更に裏では必要とあらばマグルの勢力とも癒着し、勢力を扶植していくという、狡猾を通り越して融通無碍な一面を持つ。
そうした資金力と実業家気質故に、マグル社会以上に旧家が強い魔法界では強大な権力を握っている。
魔法省にも先祖代々から多大な寄付を施しており、役職以上の影響力を誇る。

始祖はアーマンド・マルフォイ
1066年に征服王ウィリアム(1027~1087)*2がフランスからイギリスに進出した際、彼に仕えて渡英。魔法使いとして貢献したため、報酬としてウィルトシャーの豊かな土地を与えられた。以後、一族はここに本邸を置く。つまりマルフォイはマグルとして貴族でもあるのだ。これはいまのところ他のどの一族にもない特徴である。
その後は、一面では魔法族の純血至上主義を掲げて魔法界旧家の求心力を得ながら、一面ではマグル社会の貴族層にも食い込み続けていた。
ルシウス・マルフォイ一世はエリザベス一世(1533~1603)*3と結婚しようとして断られた過去があるという。
マグルの経済界にも進出しており、赤ワインを製造・販売していた。これは魔法界でもマグル界でも良質のブランド品として取引されたという。

しかし1692年に国際魔法機密保持法が可決されてからは、最初こそこの法案に反対していたが、すぐに受け入れると急速に立場を転換
これまでのマグル社会との関係をすべて断ち切り、エリザベス一世への婚姻政策などの歴史さえ否定した。
以後は魔法界旧家の雄として振る舞う。既に十分なまでの資産を持ち、さらに資産運用のノウハウまで待っていたため、そうした大転換も可能だったようだ。
意外にもマルフォイ家から魔法大臣が出たことはないが、自ら魔法大臣となるのではなく、資金と謀略を用いて自分好みの大臣を作り出して裏から操ることを好んだ。

実際数多くの暗躍を仕掛けたらしく、
  • 14世紀のニコラス・マルフォイは自身に不利益なマグルを黒死病に見せかけて殺した
  • 18世紀後半のセプティマス・マルフォイは魔法大臣アンクチュアス・オズバートを傀儡にした
  • アブラクサス・マルフォイ(ルシウスの父)は史上初のマグル出身の魔法大臣ノビー・リーチを1968年に病気にかけて退陣させた
……等と噂が立ったらしい。
いずれも証拠は出なかったようで裁かれたという記録もない。これを単なる陰謀論でしかなかったと見るか、歴史書風の暗喩と見るかは人それぞれだろう*4

純血主義を掲げる一方で、閉鎖的な近親交配が遺伝的に危険であることも知っていた。
そのため旧家社会の通婚のみならず、時にはひそかにマグルの両親をもつ魔女を妻として迎えてきたこともある。
そうしたマグル界出身者は家系図に工作してあたかも魔法界出身であるかのように偽ってきたという。
しかしそうしたことをしていながらも、純血主義を掲げて一族内の通婚を重視したブラック家、レストレンジ家、ゴーント家などとの関係も良好であった。

ブラック家

中世から続く魔法使いの家系で、純血主義を家訓とし、本項目冒頭の言葉もブラック家の家訓である。
ヴォルデモート卿の主張に賛同するものも多い。
時たま、純血主義に染まらない者やスクイブが生まれてくることがあるが、そのような者は家系図から消される

屋敷の所在地はロンドンのグリモールド・プレイス十二番地。マグルの住宅街にあるが、安全対策が万全に施されており、マグルには見つからないようになっている(知らない者が見ると、十一番地と十三番地が隣り合って見える)
長らく誰も住んでいなかった為、屋敷はかなり薄汚れ、没落貴族の様相を見せている。

基本的に純血としか結婚を許さない為、結婚相手も限られ、魔法界のあらゆる純血の家系と繋がりを持っており、英国魔法界で純血とされる一族は大体ブラック家と婚姻関係にあるので『ハリー・ポッターシリーズ』本編でブラック家出身であることが明言されている人物を挙げていくだけでも結構多くて苦労しそう
シリウス・ブラックは「モリーがアーサーと結婚で従姉弟関係になった」と発言しており原文のcousinは「(主に傍系の)親類全般」を指すため断定はできないが、実はモリーがフィニアス・ナイジェラス・ブラック(過去のホグワーツ校長であったシリウスの高祖父)の血を引いており、ハリーの子供達の世代はほぼ全員フィニアス・ナイジェラスの子孫に当たりブラック家の血を引いているのではないか?という考察もあったりする(リーマス・ルーピンとニンファドーラ・トンクスの息子テディ・ルーピンは母方の祖母アンドロメダが、ドラコ・マルフォイとアストリア・グリーングラスの息子スコーピウス・ヒュペリオン・マルフォイは父方の祖母ナルシッサがブラック家出身であるため確定)。
ゴーント家ほどではないが、はとこ婚などの近親婚も見られ(たまにあるぐらいで、全体がそうというわけでもないが)、人格に難のある人物が生まれやすい…かもしれない。

・その他の一族

  • アボット家
ハンナ・アボットの出身家系。

  • エイブリー家
死喰い人のエイブリーの出身家系で、2代続けて死喰い人を排出している。

  • オリバンダー家
ギャリック・オリバンダーの出身家系だが、ギャリックは半純血(母親がマグル生まれ)。
紀元前より代々杖作りに従事してきた家系とされる。

  • カロー家
死喰い人のアミカス・カローとアレクト・カロー兄妹の出身家系。

  • クラウチ家
バーテミウス・クラウチ・ジュニアの出身家系。
魔法界でも最古の魔法家系のひとつだったが、ジュニアの死により断絶した。

  • グリーングラス家
アステリア・グリーングラスの出身家系。
代々、血の呪いを引き継いでおり、かつては純血主義であったが、二度目の魔法戦争を経て軟化した。

  • ゴーント家
ヴォルデモートの母方の家系であり、サラザール・スリザリンやカドマス・ペベレルを先祖に持つ。
純血家系の中でも極度の純血主義であり、純血を保つために近親婚を繰り返してきた
その結果、精神異常や遺伝病が発生している他、全員が蛇語(パーセル)使い(マウス)である。
モーフィン・ゴーントの死により断絶した。

なお、十八世紀にはコービナス・ゴーントという人物がホグワーツの生徒として在籍していた。
当時ホグワーツ城では大規模な配水管工事が行われることが決まっており、「秘密の部屋」への抜け道もバレそうになった。
すでに「秘密の部屋」への道筋を知っていたコービナス・ゴーントは、慌てて「部屋」への抜け道をいじくり、発覚しないように工作した。
この、ヴォルデモートも調べるのに苦労したという「秘密の部屋」の発見、教師たちを出し抜いての工作などから、恐らくだが彼および1700年代のゴーント家には、二十世紀の子孫ほどの精神異常はさほど出ていなかったと思われる。

  • シャックルボルト家

  • シャフィク家
本編では出身者が登場しない。

  • スラグホーン家
ホラス・スラグホーンの出身家系。

  • セルウィン家
死喰い人のセルウィンの出身家系。
また、ドローレス・アンブリッジは自らをセルウィン家出身と詐称していた。

  • トラバース家
『黒い魔法使いの誕生』に登場するトーキル・トラバースの出身家系。

  • ノット家
「純血一族一覧」の著者であるカンタンケラス・ノットとセオドール・ノットの出身家系。

  • パーキンソン家
パンジー・パーキンソンの出身家系。

  • バーク家
カラクタカス・バークの出身家系。

  • フォウリー家
アプリ『魔法同盟』に登場するグリム・フォウリーの出身家系。

  • フリント家
マーカス・フリントの出身家系。

  • プルウェット家
モリー・ウィーズリーとミュリエル・プルウェットの出身家系。
男系の血筋はヴォルデモート陣営との戦いで断絶している。

  • ブルストロード家
ミリセント・ブルストロードの出身家系。

  • マクミラン家
アーニー・マクミランの出身家系。
少なくとも九代前から続いている模様。

  • ヤックスリー家
コーバン・ヤックスリーの出身家系。

  • レストレンジ家
ベラトリックス・レストレンジの嫁ぎ先で、リタ・レストレンジや死喰い人のロドルファス・レストレンジの出身家系。
フランス魔法界の旧家で、純血思想に加えて男尊女卑思想を持つ。作中の存在感はブラック家から嫁いできている嫁さんに食われてるけどね

  • ロウル家
ソーフィン・ロウルの出身家系。

  • ロジエール家
死喰い人のエバン・ロジエールおよび「ホグワーツの謎」に登場するフェリックス・ロジエールの出身家系。

  • ロングボトム家
ネビル・ロングボトムの出身家系。
魔法界でも最古の純血家系のひとつ。


【関連用語】

◆半純血

マグルの血が混ざっている魔法族。
「半純血」と呼ばれるものの、必ずしも魔法族とマグルの血を半分受け継いでいるということを意味しておらず、以下のパターンも存在する。

  • 純血の魔法族とマグル生まれの魔法族の間に生まれた魔法族
該当者はハリー・ポッターニンファドーラ・トンクス
実はダンブルドアも母親がマグル生まれの魔女のためここに該当する。

  • 純血の魔法族と非魔法族の間に生まれた魔法族
該当者はヴォルデモートやセブルス・スネイプ

  • 片親もしくは両親が半純血の魔法族
該当者はアルバス・セブルス・ポッターやテディ・ルーピン。

  • マグル生まれとマグルの間に生まれた魔法族
該当者は「ホグワーツの謎」に登場するヘイウッド姉妹。

◆マグル生まれ

マグルを両親に持つ魔法族。
突然変異*5で魔法力を有した存在のため、同じ親から生まれた兄弟姉妹であっても、ペチュニア・ダーズリーとリリー・ポッター姉妹のように魔法力を持つ者と持たない者が誕生するケースと、コリン・クリービーとデニス・クリービー兄弟のようにともに魔法力を有するケースがある。
純血主義者はマグルやマグル生まれの魔法族を「穢れた血」と呼び侮辱している。

◆スクイブ

マグル生まれとは逆に魔法族の両親から生まれながら魔法が使えない者達。
魔法界においてスクイブは杖の所持と魔法の使用を禁じられており、そのため魔法学校に入学することはできないが、魔法界ではスクイブ専用の教育・勤務機関がちゃんとあるため、決して冷遇されるわけではない(『ハリー・ポッター』シリーズ本編においては、アーガス・フィルチがスクイブではあるがハリーの時代のホグワーツ魔法魔術学校の管理人として就職しているのが確認できる)。

但し純血家系ではスクイブを「恥」として徹底的に冷遇されるケースが多く、その場合は家系図から抹消されるか迫害される。
またミュリエル・プルウェット(ロン・ウィーズリーの大叔母)は、「自分の時代にはスクイブはよく隠されていたもので、通常、マグルの学校に送られてマグルの社会に溶け込むように勧められる。魔法界では常に二流市民であり、なんとかして居場所を見つけてやるよりはそのほうが親切」と語っている。
モリーのはとこのスクイブが、マグル社会では株式仲買人という紛れもないエリート職に就けているのは教育の賜物だろう。それでも色眼鏡で見られがちだが…

それ故に「魔法界で魔法を使わない仕事」や「マグル界で魔法に関わる仕事」をしたり「マグルと変わらない生活を送る者」などが多いが、何かとトラブルになってしまうことがあり、ドローレス・アンブリッジは魔法使いの父と共にマグルの母やスクイブの弟と絶縁しており、ギルデロイ・ロックハートは魔法使いの母からスクイブの姉二人を差し置いて人格を歪めるレベルで溺愛をされた。
上記のフィルチも自身がスクイブであるための嫉妬や劣等感か「ムチや縄を体罰に使っていた時代を懐かしむ」など事あるごとに生徒に教育の度を超した苦痛が伴う苛烈な罰則を行いたがる人格面の問題点が描かれている。

また、魔法を扱う事は出来ないもののマグル避け魔法の対象にはならずに魔法界の物を確認したり扱えたり、マグルが見ることの出来ないゴーストを視認する等、マグルとは明確に違う事が示唆しれている。
また、フィルチは自身の飼い猫であるミセス・ノリスとの意志疎通が可能だったりと魔法に準じる何らかの特殊能力はある模様。

一方で魔法が使える魔法族であっても魔法の腕が芳しくない者に対して「スクイブ」という言葉が使われることがある。
ネビルが自身をスクイブと自嘲し、メローピー・ゴーントは家族にスクイブ扱いされていた(上記のゴーント家の行き過ぎた近親婚により揃って情緒不安定かつ粗暴な家族に日常的に虐待され、さらに浪費による没落・貧困により家庭環境も劣悪であり、そうした精神面の悪影響で魔法の才を発揮できなかったとされる)。

魔法学校

物語の舞台となるホグワーツ魔法魔術学校を含め、作中世界には国際魔法使い連盟によって登録済の魔法学校は11校存在し、ホグワーツとフランスのボーバトン魔法アカデミー、スカンジナビアのダームストラング専門学校は欧州における三大魔法学校と称される。

基本的にダームストラング専門学校を除く全ての魔法学校でマグル生まれや半純血の者達も入学でき、学生が制度として差別されることはない。
また連盟に登録されていない小規模で規制の甘い学校も世界には存在するらしい。

なお、魔法族は「学校で魔法を学ぶ」ということは実は割とマイナーで、世界的にはホームスクーリングや通信教育で学ぶ子供のほうが多いらしい。

作中で判明している魔法学校は以下の通り。

物語の主な舞台。
所在地はイギリス・スコットランド地方。全寮制の男女共学で修学年数は7年。
「魔法を教える機関」という役割と同じかそれ以上に「摩訶不思議な空間」が強い場所でもある。
一定時間で動く階段、喋って動く肖像画、様々なゴースト、テーブルから飛び出る食事、何が潜んでいるのかわからない危険な森etc……。
作中屈指の魔法使いにして知識人でもあるダンブルドア校長でさえ詳しく知らない部屋すら存在するとか。

  • ダームストラング専門学校
スカンディナヴィア(スウェーデンやノルウェー、デンマークを内包する半島)に存在する魔法魔術学校。
創設者のネリダ・ヴァルカノヴァが謎の死を遂げた後、ハーファング・マンターが後任の校長となってから、カリキュラムに決闘や戦闘魔術、闇の魔術の修得を導入した挙げ句、現在に至るまでマグル生まれの入学を認めておらず、元死喰い人のイゴール・カルカロフが校長に就いたことやゲラート・グリンデルバルドの出身校でもあることから、全魔法学校でもっとも悪い評判を呼んだとされる

ハリー・ポッター本編中では第四巻「炎のゴブレット」の三大魔法学校対抗試合にて登場。
登場生徒はみな丸刈り男子で、ホグワーツ入場の際にはゴリッゴリの武闘派なパフォーマンスを披露した。女子生徒の在籍は確認できていない。

ちなみにルシウス・マルフォイは当初息子をここに通わせたかったらしい。

  • ボーバトン魔法アカデミー
フランスのピレネー山脈に存在する魔法学校。

ハリー・ポッター本編中では第四巻「炎のゴブレット」の三大魔法学校対抗試合にて登場。
劇場版では、登場する生徒全員がセレストブルーの制服を着用しているため、お嬢様校っぽい印象を受けるが、れっきとした共学校。その証拠に、錬金術師のニコラス・フラメルはこの学校の出身である。

余談だが、ピレネー山脈は正確にはスペインとフランスの国境(およびアンドラ公国がある)にある山脈である。ボーバトンの現地語はフランス語で、生徒も大多数がフランス人であるということから、山脈の北側、つまりフランス側に存在していると思われる。
ただし、スペインやポルトガルなど多国籍の生徒を受け入れているとされており、そもそも国境線なんてマグルたちが魔法も伴わない玩具でドンパチやりあって引いたものであってマグルたちの国境線に魔法使いたちが従っているとも限らないので、作中の設定だけで位置を推測するのは難しい。

  • 魔法処(マホウトコロ)
日本の南硫黄島に存在する魔法学校で、全魔法学校のなかでもっとも生徒数が少ない。
ド田舎じゃねーか!*6校舎の外観は白亜のお城だとか。姫路城?
とはいえその建物があるのは魔法で隠されてるとはいえ標高916mにもなる南硫黄島の火山の最高到達点にある為、高所恐怖症の学生は後述の通学の件も含め相当辛い可能性も。
7歳から入学するが、入寮できるのは11歳からのため、それまでは(うっかり振り落とされないか心配になるが)ウミツバメに乗って通学するらしい。
このウミツバメは普通のウミツバメを何らかの方法で巨大化させ飼い慣らしてるのか、それとも魔法界に於けるウミツバメ的な生き物なのかは不明だが、仮に登校の為の出発点を東京とした場合は南硫黄島までは直線距離にして凡そ1290m、旅客機で片道約2時間40分程という途方も無い距離を飛ばねばならないので、何らかの魔法的な仕掛けは存在すると思われるが…

また、昔無謀にも箒で世界一周を目論むも、マホウトコロ周辺で遭難したホグワーツ生らを保護したことがある。その際に彼らからクィディッチを教わり、あっと言う間に強豪校へと成長したという。お陰で後にクィディッチを教えたそのホグワーツ生らは大いに後悔したとか
その理由としてすぐ近くにマグルの航空部隊(硫黄島航空基地の空自・海自)の基地があるので、鉢合わせしないように飛ぶ必要がある為に必然的に飛行技術が高くなり、加えて荒れ狂う嵐の日であろうともブラッジャー対策の練習をする程の熱心な姿勢の賜物であり、日本トップのクィディッチチーム「トヨハシ・テング」の中にも同校出身の選手が多い。
ここに所属する魔法使いは「成長に合わせてジャストサイズになり続けるローブ」を羽織っており、着用者の成長度合いや魔力の傾向に応じて桜色から少しずつ変色、最終的に成績優秀者となれば黄金色になるという。
ただし、日本の魔法世界の規定を犯してヨーロッパ圏における闇の魔術相当の違法性、危険性の高い魔術に手を出したり、国際魔法使い連盟の機密法を破る等といった犯罪行為をすれば真っ白に変わる為、日本の魔法世界において「白いローブを着ている魔法使い」は重罪人や危険人物の証とされ、学生の身分でこれになった場合は余程の事情が無い限り即退学、あまりに悪質な場合はそのまま裁判に掛けられるという。
加えてこの学校では桜の木で作られた杖の所持を許される事が最高の名誉とされる。
実際桜の木の杖はどんな芯材との組み合わせでも時には致命的な効果を発揮する程に極めて優秀、故に取り扱いにも慎重さが求められ、特にベストの組み合わせとされるドラゴンの心臓の琴線を芯材に用いた桜の木の杖は並外れた精神力と自制心を持つと認められた者しか所有を推奨されないという、強力なポテンシャルを秘めているのも理由の一つである。

  • ワガドゥー
ウガンダの月の山脈に存在する魔法学校。
全魔法学校のなかで最も大きく、卒業生はとくに天文学、錬金術、変身術に精通している。

  • カステロブルーショ
ブラジルの熱帯雨林奥地に存在する魔法学校。
卒業生は薬草学と魔法動物学に精通している。

  • イルヴァーモーニー魔法魔術学校
アメリカのグレイロック山山頂に存在する魔法学校。
創立者がサラザールの子孫であることもあり、ホグワーツ同様入学時に4つの寮(ワンプス、パクワジ、サンダーバード、角蛇)のいずれかに分けられるなど、ホグワーツからの影響が散見される。

  • Koldovstoretz
ロシアにある魔法学校。日本語訳は不明だが「コルドフストリーツ」あたりか。

その他3校の魔法学校の所在が不明だが、作者Xによると1校の所在はオーストラリアなようだ。


【余談】

ポッター家については、「ポッター」という姓がマグルにもありふれたものであるうえ、ハリーの曽祖父にあたるヘンリー・ポッターが第一次世界大戦期*7にマグルの保護を訴えて魔法省と対立したことにより純血のリストから除外されている。
しかし、ブラック家出身のドレア・ブラック(1920-1977)がポッター家のチャールズ(生没年不明)に嫁いだ際、ブラック家の家系図から抹消されなかったことから、ポッター家もまた純血であり、他の純血家系からも認知されていたと思われる。





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最終更新:2024年12月16日 21:05

*1 同時に魔法族もマグルを蔑視・差別する点もあったと思われる。

*2 元々は第7代ノルマンディー公のギヨーム2世だったが、世継ぎを残すことなく亡くなったウェセックス朝イングランド王国の第9代国王・エドワード懺悔王の後継者として名乗りを上げ、最終的に後継者争いに勝利してノルマン朝を開いた(この出来事を「ノルマン・コンクエスト」という)。彼が開いたこのノルマン朝が、現在のイギリス王室の祖。

*3 テューダー朝第5代(即位後僅か9日で廃位された上に後に処刑されたジェーン・グレイを含めるなら第6代)にして最後の君主。穏健な統治やスペイン無敵艦隊に対する勝利などでイングランドに安定期を齎し、「エリザベス朝」とも呼ばれるイングランドの黄金期を実現した。一方で生涯に渡って結婚しなかったことから「処女女王」とも呼ばれる。

*4 古い時代の者たちについては、マルフォイ家の歴史として当代の当主名と当該の噂が記載されているのみであるので

*5 なお、ポッターモアではマグル生まれの魔法族は必ず先祖のどこかに魔法族がいるものとして言及されており、どちらかといえば潜性遺伝に近いようだ。

*6 しかし、実際に数えるほどしか人間の上陸記録のない南硫黄島をわざわざ選んでいるあたりがそれらしいと言えばらしい。

*7 1914~1918。魔法省としては魔法族の介入禁止を発令したが、多くの魔法族が秘密裏または個人的に参戦した。なお「第一次魔法戦争」はヴォルデモート卿の最初の台頭期(1970~1981)を指し、別物。