可変機

登録日:2011/06/20(月) 22:57:42
更新日:2021/02/27 Sat 16:45:27
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爆炎と銃弾が飛び交う戦場。力に耐えられない機体が一機、また一機と墜ちていく。

……その時、一機の「戦闘機」が戦場に突撃する。たかが一機の戦闘機と侮る敵機体。
しかし、圧倒的機動力で近付く戦闘機は、瞬時に「ロボット」に変形してみせたのである。

このように戦闘機とロボット等、全く異なる形態を有する彼ら彼女らは、「可変機」と呼ばれる機体群である。
尚、この項目では「複数の形態への変形機構を有する機体」を、全て可変機として扱う。



■変形!

可変機の最大の特徴は、なんと言っても「変形」である。
どんな感じかと言うと、

頭がガシン!

腕がバキン!

脚がガコン!

背中がジャキン!

肩がバシン!

手首がベキョォ!

腰がメメタァ!

「変形完了」


……効果音はおかしいが、大体こんな感じである。
しかも、ものの数秒で複雑な変形を行うのである。早い物は一秒もかからない。この変形ギミックに心を奪われる者も少なくはない。
機体自体が格好悪くても変形ギミックが格好良い事により人気になる機体も居る。


■変形する意味

変形する姿は機体によって様々だが、複数の形態を有する事により様々な状況に対応する点では共通している。換装機とは違い、別に装備がなくても汎用性を持つことが出来る。
飛行形態、陸戦形態、水中形態等、様々な形態が存在し、パイロットはこれらを使い分けるのだが、
その使い分けによってそのパイロットの技量が垣間見えたりする。

また、冒頭の機体は「戦闘機」と「人型」の2形態だが、機体によっては「動物」と「人型」と「自動車」等、3形態以上の形態を有するロボットも居る。多くても7段変形くらいか。

中にはロボットというよりは宇宙人のような存在で、種族の特徴として他のものに擬態したり汎用性を高めたりする例も存在する。


さて、ここからスーパーロボットとリアルロボットに分けて説明する。

スーパーロボット

スーパーロボットの可変機は様々な状況に対応する為か、3形態以上の形態を有している事が多い。
その巨体が轟音を上げて変形する姿は圧巻である。

変形した姿も非常にユニークで、
飛行形態なら飛行機、ロケット、ヘリコプターUFO、鳥等。
陸戦形態なら、自動車、重機、戦車バイク、動物等。
水中形態なら、船、潜水艦、魚貝類、水生動物等。

中には、「そんな姿で大丈夫か?」と思うような姿の形態もあるが、「大丈夫だ。問題無い
さらに一部の機体は、「変形機構を有し、さらに合体する」と言うトンデモ仕様。まさしくスーパーロボットである。
また、スーパー戦隊シリーズに登場する巨大ロボもこういったパターンがあるが、サポートメカが登場、玩具として発売される度に敵組織とお父さん達が涙目になる。


リアルロボット

一方、リアルロボットだが、基本的にはスーパーロボットと変わらない。
モチーフも用途に合わせて意外と豊富である。

しかし、1対1の戦闘が多いスーパーロボットとは違い、複数対複数が多いリアルロボットは変形はしても複数の変形形態はあまり無い。多くて3形態ぐらいだろうか?

さらに量産を考えた場合、複雑な変形機構故に生産コストが高かったり、整備性の難しさ等、可変機である事が制約となってしまうことも少なくない。
その為、変形機構の簡略化パーツの共有化等でコストを抑える事もある。

また、変形した姿もスーパーロボット程はっちゃけていない場合が多い。

しかし、いくら変形機構を簡素にしても、エースパイロットでなければ両形態の特性を活かした変幻自在な戦法をとることが出来ず、結局可変機を量産してもパイロットが並では機能を持て余してしまいがちになる。



■変形した姿あれこれ

人型

主に基本・汎用形態になる姿。一部これが基本でない機体(ガンダムシリーズのアッシマーなどの可変MAやマクロスシリーズのVF全般など)も存在する。
しかし、逆に別の姿から人型に変形する事もある。
また、人型から別の人型に変形するロボットも存在する。(『トランスフォーマー ザ☆ヘッドマスターズ』の「ダブルスパイ」や『機動戦士ガンダム00』の「リボーンズガンダム/リボーンズキャノン」など)
大抵は近接格闘、手持ち携行武装使用形態というのがこの形態の存在理由。

飛行型

空中での活動時や高速移動をする際の形態。
スーパーロボットの項で上げたように非常にバリエーションが豊富。
中には、「これで空を飛べるの?」なんて物も……
基本は大気圏内用だが宇宙空間用の形態も兼ねてるケースが多い。
また、この形態と人型の中間の形態も少なくなく、マクロスシリーズ等でのガウォーク形態は有名だが、「ガウォーク」は一応スタジオぬえの登録商標でありぬえ関係者の創作作品以外では本来使えない事に注意。

陸戦型

地上を速く移動する時等に変形。
人型も地上戦は出来るのだが、人型では移動が難しい地形や特殊な状況等で変形したりする。
車やバイクなら高速移動、重機や戦車ならパワーを生かした攻撃等、使用用途が飛行型と比べて別れやすい。
上半身だけ人型に変形し、下半身は車両形態のままで高速走行することも可能な機体もあれば、上半身しか変形できない機体もある。

水中型

水中での活動時に変形。他形態(汎用形態でも強いペナルティが付く場合が多い)が苦手にするケースが多い水中での適応度が高い。
しかし、先述の2形態に比べて活躍出来る場が限られたり他環境では逆に強いペナルティが付く事が多い為、不遇。
そのせいか作品によっては他の型(主に飛行型)を兼ねてるパターンもある。

動物型

文字通り、動物に変形する。
某声優無法地帯のシリーズなどが有名だろう。
動物の種類によっては上記の飛行型、陸戦型、水中型の稼動領域最適化特性を兼ねている。
こちらも人型と同じく別種の動物に変形する事がある。
稀ではあるが、ロボットモードを持たず、動物から別の動物に変形するロボットも。

恐竜

動物型と似ているが、こちらはパワー重視の機体が多い。
トランスフォーマーのダイノボットなどが有名。

乗物型

勇者シリーズやトランスフォーマー等に多い。
文字通り自動車や鉄道車両、飛行機、艦船等に変形する。
コイツも動物型同様に飛行型や陸戦型、水中型等の稼動領域最適化特性を内包しているケースが多い。
ただし、乗物と人型とで機体サイズが大きく変わっていることがある。このことについて『銀河旋風ブライガー』では「ブライシンクロン理論」で理由づけられている。

収納形態

機体の整備時や収容時の際に変形する、可搬性向上や収納スペース削減のための形態。
収納形態で射出し、空中で稼働状態に変形するという演出も見られる。
ファンタジー系の派生には非運用時に力を溜めたり、暴走を防ぐ為に関節等をロックし動けないオブジェ状態になる「封印形態」が有ったりする。

基地形態

特に大型のスーパーロボットに多い。機体が即席の前線基地になる。戦艦形態と兼ねているものもある。
中身ががらんどうなのが多いから人型のときはどんな構造で動いているのか気になる。

武装・アイテム形態

一部の機体に存在する「自分自身を他者が使用する道具に変形させる」形態。
変形モチーフは武器であることが多く、この形態になると誰かに持ってもらわないと動けないというパターンも多い。
初代『トランスフォーマー』は悪の軍団のボスの変形先がこれという非常に珍しいパターン。
ちなみに、メカではなく妖怪だが、『幽☆遊☆白書』の戸愚呂(兄)に変形することが出来る。
武器以外だと初代TFの「サウンドウェーブ」(ラジカセ)や『魔進戦隊キラメイジャー』の「キラメイ魔進」(宝石)などがある。


■漫画・アニメの可変機


■ゲームの可変機

  • 可変PT、AM、特機(スーパーロボット大戦OGシリーズ)
  • ラッシュ(3以降のロックマンシリーズ)
  • メダチェンジ可能なメダロット(メダロットシリーズ)
  • バントライン(ゼノギアス)
  • ナインボール=セラフ、ホワイト・グリント(ACfA版)(ARMORED COREシリーズ)
  • テスラット・ザ・ヘッジロイド(ロックマンZXA)
  • ブラスティー(クルーズチェイサー・ブラスティー)
  • VF-9 グリフォン(HAMLET/スペースグリフォンVF-9/蒼鋼の騎兵-SPACE GRIFFON-)
  • ヘリオン(パワードギア&サイバーボッツ)
  • YF-37 ラファーガ(超鋼戦紀キカイオー)

■特撮の可変機




■立体化との関係

可変機は大抵の場合そのギミックを再現した玩具が発売される。
中には『トランスフォーマー』のように、子供向け、ハイエイジ向けなど多数のラインがあるが、そのほとんどに変形機構を備えたシリーズもある。
しかし、立体化するにあたってはギミックの複雑さゆえに困難が付き纏う事が多い。
部品差し替えの無い「完全変形」は理想とされるが、技術が進歩した現在でも強度やコストなどの面で実現が難しい。

一部差し替え式にする、完全変形であってもダミーパーツ*1を利用するなどの対応で「各形態を再現する」事がほとんど。
古いアニメなどでは変形プロセスまで再現した立体物は少なく、場合によっては変形を完全にオミットされる事もよくある。

実際、強度等に不安を抱えてしまうことも多く「変形にこだわって脆く(あるいは高価に)なるよりは…」という声があるのも事実である。
技術的に可能な範囲であれば買った側がその力量で完全変形を実現させている場合もあるが公式商品よりも強度や構造が弱いケースが多い。
『トランスフォーマーマスターピース』のように高額かつ変形工程の複雑化で完全変形とプロポーションや可動などを再現している例もあるにはある。

また、子供向け作品ではプレイバリューの問題から変形ギミックを用意するものが多い。
更に子供が多少乱暴に扱ってもパーツが破損しないことが求められるため、変形ギミックが単純で再現可能であってもディテールを犠牲にしていることが多い。
変形難度に関しても複雑だと子供だけで変形できないパターンもある。
そのため近年では変形プロセス自体が簡単なものになるなどの手法がとられていることもある。

立体化できる変形

近年のロボットアニメではメカデザインの段階から立体化に配慮することが増えており、
具体的な変形プロセスが練り込まれているものは立体化しやすい部類になる。

徹底したものだとブロックトイ等で試作品を作って可変機構を検証するといった例も。
また商業的な配慮とは別に「不自然な変形ってどうなの?」という制作者のこだわりから生まれた作品も存在する。

どちらかと言えば3DCGを使った作品に多い傾向にある。
これは3Dモデルを使う事で検証がしやすく、作画の影響も受けないため。
また3Dモデルを動かす骨組みを作る場合にも役立つとか。

立体化できない・しにくい変形

見映えを重視したり、「二次元の嘘」を使っている変形の場合、実際に立体化する場合に無理が来ることになる。
具体的には、各形態でパーツのサイズが微妙に変わっていたり、パーツの移動経路・収納スペースに無理がある…等々。

こうした場合、無理に再現しようとするとデザインが崩れたりするため、差し替えなどを利用してある程度妥協する必要が出てくる。



■現実の可変機

専用性より汎用性を重視して可変機構を備える機体は実在する。

現実において変形機構を持つ機体は、晴嵐やF/A-18のように、運転形態と収納形態に変形するというパターンが多い。
折り畳み式自転車やノートパソコンもこの範疇といえる。

漫画・アニメ・特撮に見られるような「稼働中に複数の形態を任意に使い分ける」というタイプの可変機は、ヘリコプタとプロペラ機に変形するV-22 オスプレイ等ごく少数である。
ただ、このオスプレイは絶対的な件数こそ非可変機と大差ないものの、墜落事故が変形中に集中しており、ロマンとリアルの間の壁を感じさせる。




追記・修正は変形しながらお願いします。

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最終更新:2021年02月27日 16:45

*1 例えばロボの肩にタイヤが来る、というデザインに対し、ビークルモードでのタイヤをそのまま使うのではなく、車内などに隠していた別のタイヤ型のパーツを使うなどの手法。