隠し部屋とは、貴族のプライベート空間。
貴族は、この部屋の中でしか自分の感情を見せないとされている。
概要
魔力によって空間を作り出すので、部屋の広さは作成時に注ぐ魔力量によって変えられる。
部屋の内部は魔力的に切り離された空間で、外の声もノックの音も聞こえず
オルドナンツも届かないが、
魔術具の手紙は届く。
基本的には、貴族の自室の奥側の壁に
魔石のはまった扉が設置されており、寝台の天幕で隠れる配置となっている。
部屋の主となる者は扉の魔石に魔力を登録して、内部の部屋を作成する。
部屋の主がいない間は扉だけが存在している状態となる。
白の建物を新しく建てた際などは、任意の場所に扉を設置するところから始める。
客室には設置できない。
入室制限と用途
扉を開くには登録された者の魔力が必要なため、魔力登録した部屋の主と、主が許可した者しか入れない。
扉が開いても、一定の魔力量以上を指定した入室制限をかける事もできる(制限解除は任意でいつでもできる)。
その機密性から、内密な会合部屋・説教部屋・工房代わり・自室代わり・避難場所などにも使用される。
部屋の主の死後は、主の魔石で開く事もできる。ただし入室条件に魔力量の制限を付けている場合は魔石だけでは入れない。
使用手順
扉の作成
赤い魔石を壁に埋め込むように押し当て、
シュタープを使って呪文を唱える。
赤い光が走って四角く扉を形作り、魔石へと戻って強く光ると、赤い魔石がはまった扉が作成される。
扉への魔力登録と部屋作成
扉の魔石に、魔術具の指輪で魔力を流し込むと扉に青白い光を放つ魔法陣が浮かび上がる。
続けて魔力を流し込むと青白い魔法陣の上を赤い光が走り始める。
同時に、扉の魔石を押さえる手首の辺りに赤い光が走り、複雑な模様と文字を描いていく。
登録が終わると隠し部屋が開く。
魔術具の作動や扉の開閉にのみ魔力が必要で、登録を消されない限り作製者の死後も存続し続ける。
親などと2人で登録する場合は、手を重ねて一緒に扉の魔石へと魔力を流す。
手を重ね、もう1人が魔力を流し込み始めると魔法陣を走る赤の光が強くなっていく。
入室制限の設定
シュタープの
スティロで魔法陣に触れると、赤い光で書かれた文字が消えたり増えたりしながら、踊るようにして動き始める。
魔法陣から飛び出した文字が弾けるように消え、シュタープの先で書かれた文字や図形と入れ替わって、書き換えられる。
この制限は作製者の死後も続き、作製者の死後隠し部屋に入る場合は「魔石を持っている+入ろうとする者が魔力制限に引っかからない」の条件をクリアしないと入れない。
開扉と入室
扉を開くには登録された者の魔力が必要。
扉に手をかざすと、青白く輝く魔法陣が浮かび上がり、指輪の宝石が赤く光る。
指輪の赤の光が魔法陣を一巡りすると光がおさまって、扉が開く。
入室して扉が閉まると、真っ暗な部屋にまるでシャッターが開くように窓が出現し、眩しい光が入りこむ。
扉が開いても入室制限に引っかかる者は弾かれる。
登録変更
必ず登録の解除及び新規登録が必要。引き継ぐ家具などがあっても中身を全て出して登録し直さなければ変更できない。
閉鎖
部屋の中を空にした上で、扉を閉め、扉に手を当てて魔力を通す。
扉の魔石が色を失い、部屋だった空間が消滅する。
登録を消さずに部屋の主が死亡した場合、他者が部屋に入れるかどうか(死亡者の魔石を使う等)は別として部屋そのものは存在し続ける。
部屋の中に物がある状態で登録を消すと、中の物は消滅するわけではなく部屋へのアクセス手段がなくなるため回収出来ないことになる。
部屋の中に人がいる状態で登録を消すと、中にいる人は部屋の外に出れないままそこで死ぬ。
文化
基本的に子供は親と魔力登録をするが、いつまでも親と使う物ではない。
貴族にとっては最も個人的な空間であり、助けが入れない場所なので、他人と二人きりで入室することは危険過ぎると認識される。
特に異性と二人きりでの入室は、現代日本的に言うと、家族に予定があり帰ってこないことが分かっている異性の部屋で二人きりになるような意味合いになる。
その為、10歳には異性の立入禁止、遅くとも婚約後には禁止で、婚約者のいる者が異性を隠し部屋に招くのは非常に外聞が悪い。
夫婦でもないのに二人だけで隠し部屋に入るなど、婚前交渉があったと思われても仕方がないくらいに破廉恥とされる。
- 関連項目
- 文化>男女交際
隠し部屋関連の魔術具
作中での呼称が様々な為、同じ物と思われる物を整理して記述する。
名称 |
作中名称 |
登場話 |
用途/説明 |
仮称:隠し部屋を開けるための魔術具 |
同左 |
第232話 |
入室制限がなくても隠し部屋の扉は魔力を使わないと開かないため、 平民の側仕えや下働きが扉を開ける時に使用する ギルに渡して小神殿の隠し部屋を整えてもらった |
仮称:入室認証の魔術具 |
魔石のブローチ |
第266話 |
魔力登録者の魔力で染めた魔石のブローチ 神殿長室の隠し部屋に入るためには絶対に必要で、入室制限に引っかかる側仕えなどに使わせた |
仮称:来訪を知らせる魔術具 |
連絡用の魔術具 |
第341話 |
外側の者が魔石を押すと、魔石が光って内側の者に来訪者の存在を知らせる 平民でも光らせられる様子 扉近くの壁(か、扉)に設置されている様子
第179話 モニカは用があれば(外から)扉の魔石を押して 第212話 中で休憩していると壁に取り付けられている魔石が光った 第213話 来訪者を教える魔石が光った 第341話 フランが連絡用の魔術具を光らせた |
魔石 |
第179話 他 |
仮称:小槌のような魔術具 |
同左 |
第229話 第237話 |
内側から外側へ合図を送る際に使われる これで室内の何か(?)を叩くと、外側の魔石が光る ブリギッテの衣装を仕立てる際にモニカが使用した
第237話 (モニカの合図で)隠し部屋の扉の辺りで魔石が光った |
仮称:室内に呼びかける魔術具 |
声をかけるための魔術具 |
第320話 |
外側の者が魔術具に触れると、魔術具が光って内側の者と話せる 外側から呼びかけるのに使用される
第320話 工房へと声をかけるための魔術具に視線を向ける 第320話 連絡をつけるための魔術具へ軽く触れて声をかけた「神官長、出てきてください」「……まだいたのか?」 第453話 エックハルト兄様はそう言って中に呼びかける魔術具を指差す 第632話 隠し部屋の外から連絡を入れるための魔術具がピカピカと光って、コルネリウス兄様の声が響いた 第632話 フェルディナンドは外の声を伝える魔術具に向かってそう言って会話を打ち切る |
連絡をつけるための魔術具 |
第320話 |
中に呼びかける魔術具 |
第453話 |
外から連絡を入れるための魔術具 |
第632話 |
外の声を伝える魔術具 |
第632話 |
作中で登場した主な隠し部屋
エーレンフェスト領
エーレンフェスト神殿
神官長室(主:フェルディナンド)
まるで大学の研究室のような部屋。工房・兼・説教部屋。
机や棚の上には巻物や羊皮紙の資料が散乱し、本が数冊積み上げられている。
理科の実験道具のようなものが棚に並ぶ。部屋の隅には長椅子があり、そこにも資料が散乱。
ごちゃごちゃと大量にテーブルの上にも実験道具が置かれている。
大きな机の上には変わった色合いの液体が入った瓶、研究成果をまとめた走り書きが散乱。
神殿長の出入りを防ぐ目的で、神殿長より多い魔力量を持つ者しか入室できないように設定していた。
祈念式前の打ち合わせを、
ジルヴェスターと隠し部屋でした際に、ジルヴェスターに道具と資料を色々といじられた為、ジルヴェスターより多い魔力量を持つ者しか入室できないように設定を変更した。
アーレンスバッハへの移動に伴い閉鎖、
ハルトムートに引継がれた。
8畳くらいの広さで、テーブルと椅子がある応接室。
許可さえあれば誰でも入れるので、主に下町との会合に使用。
03年までは(別空間ではあるが)
マルグリットが毎晩のようにフランを呼んで使用していた。
神殿長室(主:ローゼマイン、フェルディナンド)
ユレーヴェを使用する際は昏睡状態に陥る為、入室制限のある隠し部屋が必要になり設置。
結果的に
ローゼマインが2年間ユレーヴェで眠った。
その後もローゼマインの工房として使用。
カルステッドの館
エルヴィーラが整えてくれた自室に設置。
椅子2脚とテーブルだけを入れ、二人だけのお茶会をした。
フェルディナンドの館
フェルディナンドからの「大変結構」を聞く為に、三階の自室に設置した。
椅子だけを置き、録音の魔術具などが入った二重底の革袋を一時保管した。
その後、机や文房具を入れフェルディナンドとの手紙のやり取りなどに利用。
アーレンスバッハへの出陣前にフェルディナンドの名を奪った。
ダールドルフ子爵の冬の館
ハッセの小神殿
礼拝室(主:ローゼマイン)
ゲルラッハ子爵領の夏の館
魔術具が使いやすいようにきっちりと管理されていたが、その内の一つが粛清時にひどく荒れていた。
個人の隠し部屋(主:グラオザム)
血族である
マティアスでも入れなかったが、扉に引き千切られた銀の布が挟まっていた。
アーレンスバッハ領
城の西の離れ
王命で自室を与えられ、すぐに設置、すぐに工房化した。
一定の魔力量を持つ者しか入室不可。
一代限りの魔術具のグルトリスハイトを作成、コピペ事件が起きた。
エアヴェルミーンの枝を大胆に使った調合なども行う。
アレキサンドリア領
城の図書館の司書棟
ローゼマインの自室(主:ローゼマイン、フェルディナンド)
アレキサンドリアの下町にあるマインの自室に繋がる、
メスティオノーラの書でなければ使えない転移陣を設置した。
貴族院
エーレンフェスト寮
それまであまり使っていなかったが、13年冬~14年冬は
フェルディナンドとの手紙のやり取りに使用している。
中級貴族以下は、講義に必要な魔力の確保を優先する為、隠し部屋を設置しないが、
上級貴族や領主候補生は、ローゼマイン同様に、各寮の自室に設置していると思われる。
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最終更新:2024年10月10日 01:34