名前の初出(書籍版):第二部IV プロローグ
初出:第252話
声(ドラマCD第1弾):中原麻衣
声(ドラマCD第4弾/第7弾/第8弾):三瓶由布子
声(少女ゲオルギーネ/ドラマCD第8弾):衣川里佳
家族構成
叔母:
イルムヒルデ(先々代アウブ・エーレンフェストの第二夫人の娘)
容姿
髪の色:紫に近い青
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瞳の色:緑
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紫に近い青の髪に緑の瞳
彫りが深くて、くっきりはっきりとした目鼻立ちをしている美人
地位
階級:領主一族
職種:領主候補生→領主夫人(第三→第二→第一)
年齢と属性関連
- ローゼマインとの年齢差(夏時点):+24
- ローゼマインとの学年差:+25
- 誕生季:冬
影武者
ゲオルギーネと認識された影武者が複数存在する。
- エーレンフェスト神殿から転移陣で白の塔へ飛ばされた影武者
- エーレンフェストの城の秘密通路に侵入し、エーレンフェストの第一夫人に捕らえられた影武者
ゲオルギーネ視点の回
書籍第五部VIII エピローグ
作中での活躍
フルネームは「ゲオルギーネ・トータ・エーレンフェスト・リトゥン・アーレンスバッハ(アーレンスバッハの第三夫人、エーレンフェストの領主の娘、ゲオルギーネ)」から、第二夫人の処刑で「ゲオルギーネ・トータ・エーレンフェスト・アシス・アーレンスバッハ(アーレンスバッハの第二夫人、エーレンフェストの領主の娘、ゲオルギーネ)」となり、第一夫人の排除を経て「ゲオルギーネ・トータ・エーレンフェスト・フラオ・アーレンスバッハ(アーレンスバッハの第一夫人、エーレンフェストの領主の娘、ゲオルギーネ)」へと変化したと推測される。
ジルヴェスターの一番上の姉で、アウブ・アーレンスバッハの第一夫人。
努力家でプライドが高く、権力欲が強い。
エーレンフェストの領主になれなかったことを強く恨んでおり、陰謀を企む。彼女の陰謀が、ヴィルフリートの白の塔事件や、ローゼマインが毒を受け二年眠る事件、聖典の盗難事件などを引き起こし、さらには
旧ヴェローニカ派の一斉粛清や、本物のディッターへと繋がっていった。
エーレンフェストの領主候補生時代
ライゼガングの血を引く
カルステッドを次期
領主にさせたくないヴェローニカによって、
貴族院就学前からかなり厳しく教育されており、甘やかしてくれるのは叔父であり当時の神殿長である
ベーゼヴァンスくらいだった。
一つのミスも許されない酷い叱責と折檻を伴う辛い教育だったが、二人続けて女児を産んだことで肩身が狭い思いをしている母親を救うため、自らの高い自尊心も手伝い、泣きながら文字を覚える、声が嗄れるほど挨拶を繰り返す、何度も叩かれながら礼儀作法を身につけるなど、次期領主を目指して必死に努力していた。
母親から見放されているように見えたコンスタンツェに対し、母親から受けてきた通りの教育を善意で与えようとしたが、妹を心配すればするほどなぜか周囲の大人たちによって距離を取らされ、当時は理由が分からなかった(二人を引き離すだけで「厳しすぎる」と周囲の大人が止めなかったのは、実際に厳しい教育を受けていたからに違いないと考えている)。
また、カルステッドについては、リヒャルダから話を聞いていたこともあり、年上の男性だが前領主の孫であって現領主の息子でないカルステッドは、現領主にとっては代替の存在であり、カルステッドと女性だが実子のゲオルギーネはどちらが領主になってもおかしくなかった。そのためか、切磋琢磨する好敵手であると比較的好意的に捉えていた。
そのため、ジルヴェスターが生まれただけで、カルステッドが上級貴族に落とされたことに強い衝撃を受け、次は自分の番かもしれないと危惧したが、ヴェローニカの実子であるが故に排除されずに済み、安堵した。
今度はジルヴェスターが切磋琢磨の相手になるのだと思い、負けない決意をした矢先、洗礼式の直前に、物心つく前からの筆頭側仕えであり、第二の母親とも言える、実の母親より母のように慕い、実の母親より母親らしい愛情を注いでくれていた
リヒャルダを、ジルヴェスターの乳母としてヴェローニカに奪われた。
あまりのひどい裏切りに抗議したが、父親に似て病弱なジルヴェスターに信頼できる人物をつけるのは当然だと言う母親と、その言い分を認めた父親により、リヒャルダが正式に異動となった。
この時、ゲオルギーネは初めて
ジルヴェスターに殺意を覚えた。
健康になった弟が遊びと悪戯を繰り返し、目に余って叱ると母親に泣いて縋りつき、逆にゲオルギーネを強制的に謝らせる母親の後ろで舌を出したり、貴族院で側近にしようとしていた者の召し上げを彼のために禁じられたりしたことから、顔をあわせる度に殺意が積み重なっていったが、洗礼式後に始まった次期領主教育は続行されており、その内両親も目を覚ますだろうと考え、努力を続けていた。
前14年冬、貴族院入学を機に更にベーゼヴァンスとの交流も禁じられ、甘えられる人を失ったゲオルギーネは、ボニファティウスが手を差し伸べたいと思う位に荒れた。
そんな状況でも貴族院では
優秀者を取り続け、領主教育では貴族院の3年時点で成人後のジルヴェスターと同程度と思われる知識を身につけ、領主になる為の婚約もした。
その様子からリヒャルダや
エルヴィーラも、ゲオルギーネは努力家で頑張っていたと認めている。
しかし前12年冬の終わり、ジルヴェスターが
洗礼式を受けると同時に、
ヴェローニカが「次期領主の洗礼式だ」と吹聴したため、ゲオルギーネは次期領主から外されることとなり、ゲオルギーネに対する騙し討ちのような経緯で、ジルヴェスターが次期領主だと周知された。
両親からはボニファティウスのように領主の補佐として生きることを期待されたが、ジルヴェスターは脱走の常習犯の上、空気を読まない発言をするなど、それまでゲオルギーネが要求されていた努力を否定される形になったことに加え、次期領主から外されたことで婚約も破棄された。
それでも当初は、ゲオルギーネもその側近達も、領主夫妻の決定に従ってジルヴェスターを補佐しようとしていた。
まずはそれに値する人物になってもらおうと、自分がヴェローニカから受けた教育を施そうとしたが、ジルヴェスターには次期領主なんてどうでも良いと反発される。
本気で殺意を覚えながらも両親の決定を呑み込もうとしていたが、その様子を見ていた
グラオザムに、ジルヴェスターは補佐するに値せず、彼の愚かさとゲオルギーネの優秀さを貴族達に見せつけることで排除し、ヴェローニカを手本に、名捧げを活用して揺るがない立場と裏切れない味方を作り、邪魔者は排除すればよいと訴えられ、実行に移すことにした。
名捧げの対象者には、グラオザムが調べた、ゲオルギーネと同世代で寿命の関係からヴェローニカに名を捧げることをためらっている、ガブリエーレの側近の系譜を選んでいる。
成人までの間に、彼女に心酔した
ギーベ・ゲルラッハ夫妻や
ダールドルフ子爵夫人を始め、10人近くの者達から
名捧げを受けた。
名捧げの慣習は祖母であるガブリエーレがアーレンスバッハから持ち込み、母ヴェローニカが踏襲し、母から直接教わったものを引き継いでおり、忠誠を誓う部下は主に名捧げをするのが当然と考えている模様。
ただしこれは、コンスタンツェが次期領主争いをおりたこともあってヴェローニカとの二者択一の状況の中で行われたものであり、アーレンスバッハ出身者内での裏切り防止を目的に、実質家族ぐるみで強要されている側面もあった。
ダールドルフ子爵などは情勢から必要に迫られなくなったために
息子には名捧げの事自体話していない。また、元は他派閥だった者が疑り深いヴェローニカに信用される手段として秘密裏に名捧げしていたことも示唆されている。
ヴェローニカを手本にするため、貴族院4年生以降は領主候補生コースを適当にこなして時間を調整し、薬学を中心とした文官コースの講義を取ることにした。
文官コースを優先した所為か、在学期間が2年しか被っていない所為か、
フロレンツィアの貴族院時代の印象には残っていない。
同時に、水面下でヴェローニカ派内部に自身に名捧げする部下を増やすなど、ヴェローニカが脅威を抱くような派閥工作を行ったり、ジルヴェスターや領主夫妻に対する不信感を周囲に植え付けたりしていた。
それが発覚し、将来争いが起こることを危惧され、成人後には
アウブ・アーレンスバッハの第三夫人として嫁がされることとなる。
反発はしたが、次期領主教育の結果身についていた領地を重視する考えが邪魔をし、屈辱と苛立ちの中で受け入れた。
また、
フロレンツィアに一目惚れしたジルヴェスターの態度と利益の少ない婚姻を父親が許したことが許せず、領地を出されることが決まり自暴自棄な気分になっていたことも手伝って、初めて人に対して毒を使った。
ヴェローニカがいつも使っている毒を受けて倒れるジルヴェスターと、動揺する母親を見て胸がすく思いを得たが、致死には至らず、それを残念に思いながらアーレンスバッハに嫁いだ。
これらの経緯により、両親とジルヴェスターに対して強い恨みを抱いている。
なお、上記の経緯はあくまでゲオルギーネ本人の認識が主なものであり、コンスタンツェは姉の敵意が面倒と考え早々に次期領主競争を離脱したり、ジルヴェスターは成人してなお消化できないような「洗礼式後から長年に渡る虐め」をされたと捉え、同級生のユストクスにジルヴェスター誕生直後の段階で「次期領主となるために色々と企てては敵を陥れる」「敵を沈めるためには手段を選ばない」と評されるなど他者からの認識は大きく異なっているため、後述の動向からも彼女の言う切磋琢磨が実力勝負だけではなく敵への妨害工作すら含まれていたと考えられる。また、ヴェローニカが敵に毒を盛ることをゲオルギーネも看過し、毒殺などの犯罪行為を視野に入れて文官コースをとった節もあり上記の評価に加えてゲオルギーネの態度や性格に辟易したユストクスは仕える気が失せてしまい、その後(ジルヴェスターも含めて)仕えたいと思える要素がないとしてゲオルギーネに仕えない事を表明するや一方的に裏切り者と非難して嫌がらせを行うなど、様々な問題行動を自分勝手な思い込みなどで都合のいい様に正当化している可能性もある。実際、本人はジルヴェスターに対して「叱る」「自分が受けた教育を施す」という認識で、教育から逃げたり悪戯するジルヴェスターへのゲオルギーネの懲罰やゲオルギーネからジルヴェスターへの教育はゲオルギーネが受けたものに対して厳しくはなかったのでリヒャルダが叱ることはなかったという解説もある、一方でエルヴィーラには「異常な憎悪」「排斥するための執拗な嫌がらせ」と評され、幼少時からゲオルギーネを見ていたリヒャルダすら「虐め」「あまりにも酷い」と判断するレベルの内容もあったため、到底教育とは言えない仕打ちが相当数あった事が窺える。
ジルヴェスターの述懐では、ゲオルギーネ自身がジルヴェスターに対して直接行っていた教育的指導ないし虐めは、ジルヴェスターの洗礼前は月に一回程度会うたびに睨んで、アレができていない、こんなことでどうするの!と手や足をパシパシ叩くという本人が殺意を自覚する前から敵意が感じられるもので、洗礼後にされた事の例として、先述の毒殺騒動以外では勉強を逃げ出した際にシュタープの光の帯で首ごと縛り上げられて引きずられたり、ペットであるシュミルのブラウをさらわれて隠されたりしたことが挙げられた。ちなみに、エルヴィーラは「洗礼式を終えた直後の子供に向ける憎悪としては」という前提条件を付けていたが、毒殺騒動などの汚点ないし処罰につながる行為は知らなかった模様。
アーレンスバッハの第三夫人時代
しばらくの間は無気力に結婚生活を送り、アーレンスバッハで権力を握ることも考えたが熱意を抱けず、ただ退屈に過ごしていたと回想しているが、実際は自分は第三夫人なのに、妹のコンスタンツェはアウブ・フレーベルタークの第一夫人となることに嫉妬するなど権力には執着していた様子が散見される。
その後ふと、第一夫人になって領主会議でジルヴェスターの上に立てば楽しめるのではと思い付き、第一夫人になるための暗躍を始めた。
家族の中で唯一自分を可愛がってくれた叔父の
前神殿長を頼りにし、結婚後も文通による交流を続ける。
父が死去して03年春にジルヴェスターがアウブとなってからは、不仲のため援助も無くなったが、中央の政変によるアーレンスバッハ内の情勢変化(第二夫人の処刑など)を利用して、自身の派閥を強化。前神殿長に頼んだ小聖杯を使って旧ベルケシュトック貴族に恩を売って味方に引き入れるなど、辣腕を振るう。また、
ギーベ・ゲルラッハをはじめとする自分に名捧げした貴族(およびその身食い兵)にも魔力を捧げさせていた模様。
前神殿長には他にも
ビンデバルト伯爵の侵入の手引きを頼んだりしているが、これらは間接的に自身が恨む母をあてにした犯罪行為であり、母と叔父はこのことで08年春に断罪されることとなった。
アーレンスバッハの第一夫人時代(第三部)
08年頃、
アウブ・アーレンスバッハの第一夫人が死去し、自身が第一夫人となる。
大領地の第一夫人という、アウブ・エーレンフェストより上の立場になったことで、
前神殿長の死を理由に、09年夏に結婚後初めてエーレンフェストを訪問。ギーベ・ゲルラッハを筆頭に旧ヴェローニカ派を取り込み、エーレンフェスト内での派閥強化や陰謀に励む。
また、ヴェローニカが白の塔に幽閉されているのを見て、愉しそうに微笑む。
この訪問時に入手した前神殿長の遺した文書から、エーレンフェストの礎への入口が神殿図書室の本棚にある事、その鍵が
聖典の鍵である事を知り、ギーベ・ゲルラッハに相談の手紙を送付する。
これを受けた陰謀の結果が、ヴィルフリートの白の塔事件(ゲオルギーネが白の塔の存在や道順を教えた)や、ローゼマインが毒を受け二年眠る事件(ゲオルギーネが領主しか知らない抜け道を教え、
ジョイソターク子爵には
トルークが使われた)である。
一連の事件により、アーレンスバッハ貴族のエーレンフェスト訪問が禁止され、両領地間の溝が深まった。また、旧ヴェローニカ派は領主一族に害を為したとして苦しい立場へと追いやられた。
アーレンスバッハの第一夫人時代(第四部)
13年春の初め~
ランツェナーヴェの使者が訪れる夏にかけて、
表彰式強襲事件の調査で何度も訪問してきた
ラオブルートら中央騎士団に対応し、収穫の女神の加護があったと思えるほどの利を得た模様。
その春の領主会議では、自身の陰謀を次々と挫き、最大の邪魔者である(とゲオルギーネが思っている)
フェルディナンドをエーレンフェストから引き離すため、娘のディートリンデと婚約させる。
13年夏、2人の婚約式を理由にエーレンフェストを訪問。再び精力的な社交を行い、お茶会で”エーレンフェストに領主候補生を戻す”計画を口に出す。
アーレンスバッハからの火急の手紙で呼び戻された帰路、
ゲルラッハ子爵領の夏の館に密かに一泊し、エーレンフェスト内にいる自分に名捧げをした臣下達を集めた。
トルークを使用した秘密の会合で、エーレンフェストの
礎の魔術を手に入れられそうだと告げ、アウブ・アーレンスバッハの死後、自分がアウブ・エーレンフェストになると宣言する。
この際
マティアスの兄達から名を捧げられたが、グラオザムに教える許可を与えた魔力圧縮法で魔力を伸ばしている最中だというマティアスには、成人後の名捧げを約束させるにとどまった。
このように自身の魔力圧縮法を派閥強化に用いていたことが示唆されており、その内容はフェルディナンド同様、仕入れた情報を元に自分に馴染む形で独自に組み合わせた二段階式の魔力圧縮で、いつ頃から用いていたかは不明である。
アーレンスバッハに戻ると、本館から離宮へ住まいを移しつつ陰謀に勤しむ。
ギーベ・ゲルラッハと
ダールドルフ子爵夫人を手先とし、聖典の盗難事件を起こす。
ローゼマインたちの行動で、聖典は取り戻され、灰色神官は救出され、遅効性の毒の罠は解除される。しかし、聖典の鍵のすり替えは見破られず、この陰謀の最大の狙いは達成する。
ただしこれは、ローゼマインが後々
グルトリスハイトを得るまで気付けなかった秘匿性の高い事実ではあるものの、アーレンスバッハの聖典の鍵を敵に与える結果ともなっている。
アーレンスバッハの第一夫人時代(第五部)
13年秋から冬頃、
転移陣を使って
ランツェナーヴェの館とアダルジーザの離宮を自由に行き来するために、
ギーゼルフリートを毒殺する。
13年冬、城の貴族達に対しては夫を亡くした悲しみを嘆き社交にも出ることができず、離宮に閉じこもっている姿勢を見せていた。
しかし、冬の社交界が始まってすぐエーレンフェストの礎を奪還する計画があったことから、この時密かに離宮を抜け出しエーレンフェストに潜入し、
グラオザムらが神殿を制圧してすぐ礎に入って奪える体制をとっていた可能性が浮かび上がる(離宮にはアリバイ工作として自身の影武者を置いていた?)。
これまでの彼女の計画としては、邪魔者を引き離したエーレンフェストでは礎を奪ってアウブに返り咲き領主一族を殺害、アーレンスバッハでは
レティーツィアを排して
ベネディクタをディートリンデの養子として次期アウブにしようとしていたことが推察される。
ところが、自身が起こさせた白の塔事件などの陰謀によりヴェローニカ派の待遇が一気に悪くなり、ローゼマイン主導の懐柔案などもあって自身に名捧げした者の家族も含めて、自身の離反工作もあって名捧げを強制されなかったローゼマインと同世代の者がヴェローニカ派を離反したいと強く望むようになっていたことと秋の聖典盗難事件がきっかけとなり、旧ヴェローニカ派の名捧げ事情など重要情報の漏洩や領主一族に対する反逆計画の密告が起こり粛清の前倒しが行われた。
ゲオルギーネに名捧げした臣下達は脱出できた者以外は全て自爆もしくは処刑され、様々な犯罪行為も明るみに出ることとなり、派閥が解体される結果となった。
更に、一連の動きの中で
トルークや
銀の布という
ランツェナーヴェの切り札といえる道具などの存在が知られることにもなった。
エーレンフェスト側の手駒を失ったゲオルギーネは、自らが攻め入る礎奪取計画に傾注するようになった模様。
更に、この冬の貴族院の卒業式でディートリンデがツェント候補とされた事も計画に組み入れられたと思われる。
そんな中、元々の領主一族不足に加えてアウブの死も重なったアーレンスバッハの荒廃は放置され、荒れるに任されていた。
14年春の領主会議に代役として出席するなど、統治者としては中継ぎするべき立場のゲオルギーネだが、領内の困窮の打開策に目が向いていた様子は見られない。
自らロビー活動を行った神事についても実態は”進んでやってくれる”フェルディナンド任せであり、半年足らずで領内の内政を掌握されそうになっているなど、魔力面・政治面の真っ当な施策にはあまり関与していない様子が窺える。
ただ、旧ベルケシュトックの荒廃状況だけは自身の陰謀に組み込み済みであり、旧ベルケシュトックのギーベや騎士達をエーレンフェスト侵攻の手駒とした。
15年春、ついに大きく行動を起こす。
まずレオンツィオやディートリンデを手先とし、レティーツィアを操り、フェルディナンドの毒殺を狙う。半ば成功して瀕死にするも、ディートリンデは自分の失敗を隠蔽し、即死させたと虚偽の報告をする。
邪魔者の排除に成功したと思ったゲオルギーネは、ランツェナーヴェと共謀して侵攻を開始。自身は臣下を率いてエーレンフェストの礎を奪いに向かい、娘たちにはランツェナーヴェ勢と共に貴族院へグルトリスハイトとツェントの座を奪いに向かわせた。
しかし、フェルディナンドの危機を察知したローゼマインが、本物のディッターを名目にダンケルフェルガー勢を率いて急襲、瀕死のフェルディナンドを救出する。
この時、礎の間に魔法陣の罠を設けていたが回避され、アーレンスバッハの礎を奪われてしまう。アーレンスバッハ領内で暴れていたランツェナーヴェ兵も倒され、生き残ったアーレンスバッハ貴族たちは一連の凶行を承諾したゲオルギーネ一派を見限り、礎を奪ったローゼマインに恭順した。
エーレンフェストに侵攻したゲオルギーネは、配下を使って数か所に陽動を目的とした攻撃を仕掛ける。この際、グラオザムは地の利のあるゲルラッハで暴れ、(おそらくランツェナーヴェ勢から入手した)即死毒を敵味方関係なくばら撒くといった凶行まで行っている。
一連の戦闘で、ゲオルギーネとグラオザムには複数の影武者がいたことが確認されている。
最終的にゲオルギーネ(本物)は、エーレンフェストの神殿に秘密裏に潜入し、頃合いを見て礎の間に向かった。
礎の間に入る前に即死毒を撒き、中にいるであろうジルヴェスターを殺そうとする。しかし影武者などの小細工が裏目に出るという強運ぶりでジルヴェスターが毒を回避したので、礎の間で直接対決となってしまい、敗北。
捕らえられてもなお屈服せず、名捧げや従属契約した者たちがエーレンフェストを害すると言い続けたせいでとどめを刺され、確保された魔石と頭部を用いて記憶を調べられた。
ゲオルギーネの行動を振り返って……
ユストクス曰く「貴族女性としての立ち居振る舞いは完璧で、味方だと思った相手には甘い顔も見せる一方、激情家の面もあり、敵だと思った相手には容赦がない」。正確には、他領地などの接触が殆どない者に対しては貴族として問題なく振舞えるが、自身に従う者にはたとえ能力や素行に問題があろうと庇い、中立であろうと従わない者には一方的に敵視して様々な危害を加えようとし、敵と見做せば同腹の弟妹であろうと敵対心や嫉妬心を露にして、異常とも評される攻撃性を発揮する。ジルヴェスターはゲオルギーネを「自分には一度も心を開かなった(自分の望みを口にせず怒るだけだった)」と評し、ゲオルギーネの回想などからも両親に抗議はしてもジルヴェスターとは心を通わせる気が全くなく、虐めたり裏で陰謀を企み排斥を試みるといった攻撃を行うだけであった。
また、名捧げやトルークを用いて自分だけ安全を確保して、部下には命がけの暗殺やテロ行為を行わせていることから、たとえ部下や親しい家族でも、自身の利益や敵を苦しませる為なら躊躇なく利用する面があると言える。一番の忠臣であろうグラオザムさえ、ゲオルギーネが臣下の為に何か行動した事があるのかと問われた際に言葉に窮していることから、部下の扱いは実態として良いものではない事が窺える。このように礎奪取の為に自身には被害が及ばないよう動いていたが、犠牲になったグラオザムなどの忠臣を含めたヴェローニカ派はこれにより派閥としての力が一気に衰退して苦境へと追い込まれ、自身の所業で名捧げが強制されなくなったことと元々ヴェローニカ派が常習的に犯罪を行う集団なのも手伝い後にマティアスをはじめとした離反者の出現と粛正につながる事態を招いた。
娘ディートリンデの教育放棄も甚だしく、ディートリンデは母親に自分を見て欲しいと望んでおり、それが周囲の見えていない暴走の一因となっていると思われる。次期領主となり得る息子ばかり優先して娘を放置するやり方は、皮肉にも自分がヴェローニカにされた仕打ちと全く同じであった。他にも領地全体の利益よりも私利私欲を優先し、毒殺などの犯罪を実行したりと行動には類似点が多い。ちなみに、娘であるディートリンデも私利私欲を優先した行動の結果、協力者(ランツェナーヴェ勢やゲオルギーネ一派)の足を引っ張るという同様の行為をしている。
また、ギーゼルフリートも
ヴォルフラムが亡くなった後は、性格・能力が不安なディートリンデを中継ぎとしレティーツィアを養子にして次期領主とする事を決定するなど、ゲオルギーネの教育放棄は自身の地位や影響力を低下させる事態をも招いている。
自身の行動によって生んだ弟との不仲も、出身領からの援助打ち切りという結果に繋がっている。
小聖杯の魔力補充といった他者頼みの結果を自分のものとしたり、エーレンフェストとの関係悪化をエーレンフェスト側を悪者にして不満の矛先をそらし、
フラウレルムをマッチポンプの如き立ち回りで味方につけるなど、自身に都合のいいように情報操作をして取り繕ってはいたが、現実にはアーレンスバッハは衰退していくしかない状況であり、エーレンフェストやランツェナーヴェを当てにして(利用して)ユルゲンシュミットに反逆するしか選択の余地が無くなるほど、自らの状況を追い詰めていたとも言える。
そんな中で自ら引き寄せたフェルディナンドに内政をほぼ掌握されたことも、アーレンスバッハ貴族達が後にローゼマイン一派に恭順する布石となってしまっている。
また、彼女の陰謀は一般にはほぼ知られていないトルークを用いて洗脳したり、祖母や母の遺産ともいえる名捧げの習慣や従属契約で命を握った部下にテロを強要したり、ユルゲンシュミットでは未知の他国の発明物を活用するというものが多く、実態として智謀やカリスマといった本人の能力による要素が低い。
偏見に満ちたフラウレルムの情報提供をたしなめもせず、領主一族の周囲から排斥されたグラオザムなどの情報しか信じずに、他領にも高く評価されていたローゼマインの能力をフェルディナンドによるものだと断定していた節があり、情報収集という点でも後れをとっている。かつて「情報精度が低すぎて役に立たない」とユストクスを批判したが、正確な情報かどうかを客観的に判断する能力自体にも疑問が残る。
慎重に行われた陰謀の結果もラオブルートに看破されるが予定外の協力者となったおかげで中央からの嫌疑を逃れられたが、トルークや銀布・即死毒などの存在の露見に繋がっている。
それら既存の統治を脅かす危険物の情報をエーレンフェストから伝えられた王族が、ただの姉弟喧嘩と軽視してくれた幸運な状況があって礎争奪を実行できたとも言える。
ランツェナーヴェ勢はアーレンスバッハ貴族は圧倒できたが、エーレンフェストやダンケルフェルガーの者には対策を取られ、直接対決では不利な状態に陥った。結果的に、ゲオルギーネの暗躍による情報漏洩がエーレンフェストやダンケルフェルガーへの大きな助けとなり、協力者であるランツェナーヴェの足を引っ張る事となった。
礎争奪の計画そのものも、
中央騎士団長の加担はあったものの、ランツェナーヴェがグルトリスハイト入手に失敗した場合は外患誘致の罪で処刑は必至であったことや黒の武器を用いた魔力簒奪自体が犯罪であることを思うと、リスクの大きな賭けとなってしまっている。その計画に、教育を放棄したため彼女自身も手綱を握りきれているとは言い難いディートリンデを加えている点が、更にリスクを高めている。また、ランツェナーヴェを手引きしたことは、魔力不足とは別の意味でユルゲンシュミットの崩壊を招いていた可能性もあった。
自派閥以外のアーレンスバッハ貴族の虐殺を容認したり腹心のグラオザムが味方の被害も考えずに即死毒をまいたことからも、自分や
アルステーデ達による後の統治への苦労は考えていない事が窺える。深刻な魔力不足の時世であるにも関わらず、彼女の陰謀によってエーレンフェスト、アーレンスバッハ、旧ベルケシュトックから魔力豊富な領主候補生を含む多くの貴族が失われた。自身の血族も少なく、その状態で大領地アーレンスバッハと中領地エーレンフェストをどう魔力的に維持する計画だったのかも不明。
また、ローゼマインが懸念したような礎の魔力枯渇によるエーレンフェストの崩壊を行った場合も、エーレンフェストの人民や侵攻した旧ベルケシュトックに死者が多数出ることになり、白の建物崩壊で殆どの町は壊滅、復興に百年単位はかかるであろうことから、生き残った旧ベルケシュトックも入植できずに不満の温床となり、少なくとも自派閥を弱体化させることは必至である。
先述のようにヴェローニカやディートリンデと根本的な行動や性格が類似していることから、自分の願望しか頭になく、その願望を達成した後の内政や統治などは全く考えていなかった可能性が高いと思われる。
その後アーレンスバッハは未成年がアウブになり名をアレキサンドリアと改められたが、本来は反発されるようなこういった出来事も、ゲオルギーネ主導の凶行と困窮した内政を誰もが目に見える形で解決したローゼマインが熱狂的に支持されたため、ゲオルギーネの一族は完全に見放されることとなり、大きな混乱もなく受け入れられた。
皮肉にもアーレンスバッハの姫君ガブリエーレの血族がエーレンフェストに続いてアーレンスバッハにも混乱を巻き起こし、築き上げた歴史が終焉を迎えることになった。
経歴
前24年冬 |
エーレンフェストの領主候補生として生まれる |
前17年冬 |
洗礼式。次期領主教育が開始する |
前14年冬 |
貴族院入学 |
~前12年 |
貴族院で優秀者として表彰される(毎回取得) |
前12年冬 |
春を寿ぐ宴で、ジルヴェスターが次期領主としてお披露目される |
前11年冬 |
ザウスガースの領主候補生(第三夫人の息子)から婚約解消を要求される |
前11年冬頃 |
婚約解消と次期領主解任が決定する |
前10年 |
ゲオルギーネからすればジルヴェスターへの教育、ジルヴェスターにとっては、虐めが開始される |
前10年頃 |
名捧げを活用した味方作りとジルヴェスターのネガキャン活動を始める |
前09年冬 |
貴族院卒業 |
前08年春 or 前06年春 |
アウブ・アーレンスバッハの第三夫人として嫁入りする |
前08年冬 or 前06年冬~前04年 |
アルステーデを出産 |
前07(or 前05年)~前02年 |
ヴォルフラムを出産 |
前02年冬 |
ディートリンデを出産 |
04年頃 |
粛清で第二夫人が処刑され、繰り上がり第二夫人となる 上級貴族に落とされたブラージウスにアルステーデを嫁がせ元第二夫人の派閥を吸収して勢力を伸ばす |
08年 |
第一夫人が死亡し、繰り上がり第一夫人となる |
09年夏 |
エーレンフェスト訪問 エーレンフェストの礎への道を発見したがどうすれば良いか相談の手紙をグラオザムに送付 |
09年秋 |
グラオザムらが起こした白の塔事件を通じ、エーレンフェストに隙があるかどうかを様子見する |
09年冬 |
グラオザムにトルークを送付。ジョイソターク子爵に使用され、誘拐襲撃事件が起きる |
10年春 |
襲撃事件のせいで翌夏のエーレンフェスト再訪が中止となる |
11年冬 |
婚姻を始めとした領地としての関わりを断られる状況下、ディートリンデの婿にヴィルフリートを狙う |
12年春 |
領主会議でヴィルフリートとローゼマインの婚約が承認されてしまい、フロレンツィア相手に嫌味を言う アウレーリアとベティーナの婚姻をねじ込んだ事を自らの美談とする。2人には情報収集をさせようとする |
13年春 |
領主会議にてディートリンデとフェルディナンドの婚約を提案し一度は断られたものの、王命で得る |
13年夏 |
ディートリンデと共に婚約式のためエーレンフェスト訪問。領地から緊急の手紙が入り帰る。 帰路、ゲルラッハの夏の館に立ち寄り、名捧げした者達とトルークを用いて会合。夫の死後、必ずエーレンフェストに戻ると宣言する |
13年秋 |
エーレンフェストの聖典の鍵を入手する フェルディナンドを次期アウブ・アーレンスバッハの婿として迎え入れる |
13年冬 |
突如エーレンフェストで始まった粛清に自爆を偽装し逃亡してきたグラオザムを匿い側近とする |
14年春 |
成人したディートリンデに中継ぎアウブの事実を伝える。また、ツェントを目指すなら一年と期限を申し渡す 領主会議のお茶会にて神事の重要性を説きエーレンフェストの聖女を中央神殿に入れるロビー活動を展開する 領主会議後フェルディナンドに隠し部屋を与えよ、という王命を実行しようとしないディートリンデを説得する ランツェナーヴェを受け入れる |
15年春 |
供給の間にてフェルディナンドを害しエーレンフェストとアーレンスバッハの礎争奪戦と貴族院防衛戦を開戦する エーレンフェストの礎の間にてアウブ・エーレンフェストに討たれる |
作者コメント
【
2014年 09月13日 活動報告】
早速ゲオルギーネがいらっしゃいました。毒を含んでいそうなゴージャス系美女です。あの赤い唇を吊り上げて笑われたら、きっと怖いと思います。
【
2015年 07月20日 活動報告】
今回もゲオルギーネはごそごそと暗躍して帰りました。その影響が出てくるのは少し時間がたってから。ローゼマインがその名前から踏めば爆発する地雷だとすれば、ゲオルギーネは時限爆弾でしょうか。さりげなく置かれていて、その時までに撤去できなければ大爆発という感じですね。
【
2015年 09月30日 活動報告】
派手で豪華な顔立ちで、自分の味方には優しいけれど、敵には一切容赦しないタイプです。
【
2016年 07月06日 第588話「礎の魔術」あとがき】
実はゲオルギーネ様、神殿にアタックしようとしたことがありますが、ことごとく邪魔されてます。
意識外の部分でゲオルギーネ様の計画を潰しているローゼマイン。
【
2017年 05月31日 Twitter】
【
2017年 04月17日.06月20日 設定等まとめ Twitterこぼれ話】
>出番が少ない理由
ゲオルギーネはあまり出すと、ローゼマインの敵になりますからね。彼女はあくまでジルヴェスターと敵対する相手であって、ローゼマインの敵ではないのです。
【
2017年 06月08日 活動報告 2017/06/21 感想返し】
web版以上にゲオルギーネが、ジルヴェスター、ヴィルフリート、ヴェローニカにも悪意を向けていることが感じられたのであればよかったです。
ジルヴェスターとの挨拶のところは結構加筆したので。
(エピローグ)
礎の話を知ったのがこの時期なので、わかりやすく入れてみました。
(略)
この時はトルークを使っていません。この後、計画を聞いたゲオルギーネから送られてきます。
>策略はグラオザムでゲオルギーネ本人の能力は並レベル?
優秀さを出したところでアーレンスバッハの第一夫人がアウブ・エーレンフェストにはなれませんし、策略を立てるのは別にゲオルギーネの仕事ではありませんからね。
この時のゲオルギーネにとって大事なのは、言質を取らせずに自分の望む結果を得ることなのです。
>ヴィルのKY発言を読むと、兄妹弟の仲が悪くなる可能性もあったのでは……
(略)
ゲオルギーネの恨みや怒りが理解できたのであれば嬉しいですね。そういう意味でもヴィルフリートはミニジル様なので。
【
2017年 07月18日 Twitter】
>撫で方の絵
ゲオルギーネは時と場合と相手によってどっちも。
相手にとって効果的な方を選択するけれど、計算ずくで無意識に手が伸びることがない感じです。
【
2017年 10月11日 Twitter】
【
2017年 10月11日 活動報告】
>ウィンク考察
ゲオルギーネ:できるけれど、ウィンクというよりは目配せ。何かが始まる合図
【
2018年 02月21日 Twitter】
>キャラ設定
敵役のゲオルギーネやグラオザムも多い。
【
2020年 03月10日 活動報告 2020年 04月10日 感想返し】
自分に忠実な臣下を得るために母親から名捧げについて教えられたヴェローニカは、カルステッドを退けてゲオルギーネを次期領主にするために教えました。ですが、当然のことながらゲオルギーネに名捧げをした者はゲオルギーネに仕えます。自分の臣下を娘に奪われていき、自分の勢力が削られていくわけです。
そのため、ゲオルギーネがアーレンスバッハへ移動した後、ジルヴェスターには教えませんでした。
【
2022年 10月22日 Twitter】
【
2022年10月23日活動報告】
>ゲオルギーネの教育方針
ディートリンデの教育に関する意見があったので、何となく。
ゲオルギーネは子供が馬鹿になるように育てたわけではないし、完全に教育を放棄していたわけでもありません。まぁ、子供への愛情はあまりありませんでしたが、それはディートリンデだけではなく兄姉に対しても同じです。
ゲオルギーネ自身の経験から来ている彼女の子育ての根底が歪んでいますから。
「どれほど厳しい教育を受けて努力しても、親の都合と気分で望みが潰されるのが子供。ならば、最初から駒であることを疑問に思わないように育てるべき」という考え方なので、普通の親とは教育方針自体が違う。
ゲオルギーネにとっての母親の愛情はジルヴェスターに向けられるものしか認識できていないので、「母親の愛情=子供を甘やかして愚かにするもの」なんですよね。
子供3人の結果
アルステーデは母親の教育方針通りに育ち、ヴォルフラムは男児なので父親の教育が入って都合の良い駒ではなくなりました。
ディートリンデは基本的には教育方針通りだけれど、思い通りの結果を成す能力が足りていないので良い駒になれない。そういう意味では教育に失敗しています。
伝えたいこと
母親から厳しさと理不尽さを学んだゲオルギーネは子供を自分の駒として扱うように成長し、母親から溺愛されて姉の八つ当たりを受けたジルヴェスターはヴィルフリートを兄妹間の競争がない状況で育てました。
それぞれの経験やその時の状況によって姉弟でも子供の教育方針には違いが出ます。
物語の中のことなので、どのキャラの立場に立ってどのように感じるのも自由です。
それで現実を見直してみてください。
自分の教育がどういうものか、子供に愛情を注いでいるつもりでもそれが毒になっていないのか。
何かしら考える機会になれば、様々な親子の形を書いた甲斐があります。
ゲオルギーネ様の神殿アタック計画についての考察
第588話「礎の魔術」あとがきにて、
実はゲオルギーネ様、神殿にアタックしようとしたことがありますが、ことごとく邪魔されてます。
意識外の部分でゲオルギーネ様の計画を潰しているローゼマイン。
とある、この複数の神殿アタック計画について本編内やコメント等で「これがそうだ」と明示されたものは無い。どういう計画があって、それらをローゼマインがどう潰したのか、本ページコメント欄で読者から提案されたものをまとめる。
前提として、ゲオルギーネが「神殿から領地の礎に入って乗っ取れる」ことを知ったのが第254話「ゲオルギーネ様の見送りとハッセ」(直後時系列の書籍第三部IV エピローグより)のことなので、候補となる事件は第255話~第587話かその同時期のSSからとなる。
- ギーベ・ジョイソタークを利用してローゼマインを誘拐(第268話)
- 実行犯のギーベ・ゲルラッハは誘拐したローゼマインを生かして魔力を搾り取り(アーレンスバッハの旧ベルケシュトックに与える等?)利用したかったようだが、同時に神殿から神殿長が長期不在となるのでその隙に神殿に忍び込んで神殿長の聖典の鍵を盗み図書室入室手段を得て礎に近づける。
- ローゼマイン自身が防いだと言い難いかもしれないが、事前に自力でユレーヴェを用意済で神殿長室の隠し部屋にこもることになり、またフェルディナンドが許可のない貴族が神殿に近づくことを禁止したので不可能となった。
- しかし、そもそもこの一連の誘拐は最初はシャルロッテが標的だったのか、さらわれたシャルロッテをローゼマインが我が身を省みず追うという予想できない行動によるものであったため、そもそも神殿へのアタックとは何の関係もない可能性も十分ある。
- また、これによりゲオルギーネを含めたアーレンスバッハ貴族はエーレンフェストに入ることができなくなっただけでなく、旧ヴェローニカ派は領主一族に危害を与える危険分子とみなされ旗頭であったヴィルフリートですら白の塔事件もあり厳しい態度をとるようになるなど一気に権勢が衰退する大きな原因の一つとなり、むしろ神殿へのアタックの機会が減り自身の手駒が動きにくい状況となった。
- ランプレヒト&アウレーリアともう1組の「境界線上の結婚式」に向かう神殿一行の馬車を道中で襲撃(第366話)
- 馬車に積まれた神事道具の中から聖典の鍵を奪取、その次に神殿に忍び込んで礎に近づく前段階。
- ローゼマインが大きくした騎獣に荷物も側仕えもすべて載せて空を飛んでいったため未遂に終わる。
- アウレーリアが時を止める魔術具で持ち込んだはずの調理済アーレンスバッハ料理が、平民料理人には処理不能な魔魚を含む生の魚にすり替えられていた(第369話、第428話)
- アウレーリアに「あなたの素顔はエーレンフェストのライゼガング系貴族に忌み嫌われてますよ」とあえて直前に教えてベールを外せなくなったことで、嫁入り先の家のフロレンツィア派と距離をあけさせることに加えて、里心を料理で癒やす手段も奪い、旧ヴェローニカ派に混じるゲオルギーネ支持者に接近させる。夫を通じて騎士団の動向・領主一族の護衛計画などを入手して神殿に近づけるタイミングを探らせる。あるいはヴィルフリートとその側近をゲオルギーネの計画に沿って動かしやすいようにそそのかす。それらを総合的に利用して神殿にアタックできる隙を作る。
- アーレンスバッハ料理を作れる料理人としてゲオルギーネの配下の者をアウレーリアの家に送り込み神殿にアタックする手引きをさせるつもりだったのではないかという意見もある。
- 生魚の存在がローゼマインの興味を強く引き、ローゼマインの後押しでアウレーリアはフロレンツィア派に入ることとなった。また魔魚レーギッシュの鱗はローゼマインが作るお守りの素材となり、後にフェルディナンドを死から救った。
- グローリエが神殿に忍び込み、聖典と聖典の鍵をすり替えて奪う、また偽の聖典に毒をまぶす(第446話)
- 聖典の鍵を入手し、後で神殿に忍び込んで礎に近づく前段階。ローゼマインやフェルディナンド、側近達が偽聖典の毒に触れて死ぬあるいは体調が悪化する。聖典が失われることでエーレンフェスト神殿の権威失墜あるいは神殿長や神官長を務めるローゼマインやフェルディナンドの責任問題発生。アーレンスバッハの聖典の鍵を残すことで「エーレンフェストがアーレンスバッハの聖典の鍵を盗んだ」などと言いがかりをつけることを企てたのではと予想されている。ちなみに、毒殺計画に関してはフラウレルムも知っていたことからゲオルギーネが協力していたと考えられるが、一連の犯罪と異なり後述の襲撃計画においては不要な要素と考えられる。
- 聖典の鍵のすり替えは成功し、すり替えられたこと自体も第589話まで発覚しなかった。しかし聖典の盗難はローゼマインによって即座に見破られ、偽聖典の毒は誰を害することもなく、本物の聖典は取り戻され巻き込まれた灰色神官にも被害は無かった。そしてすり替えて置いてきたアーレンスバッハの聖典の鍵を使うことで、ローゼマインがアーレンスバッハの礎を奪うことが可能となった。また、領主一族の毒殺を企てダールドルフ子爵の一族や加担したグラオザムを処刑できる証拠や重要な情報も手に入れられる結果となり、後述の密告へとつながった。
- ギーベ・ゲルラッハやバルトルトの父達が神殿を制圧し、完了後ゲオルギーネ自身が事前に入手していた聖典の鍵で図書室から礎に入る(第456話、第462話、書籍第五部I 購入特典SS「胸に秘めた怒り」)
- web版からは粛清を前倒しして騎士団が貴族街の屋敷を急襲した際にギーベ・ゲルラッハ達の間で何が企まれていたのか明確ではなかったが、バルトルト視点の特典SSに「連日、見習いが貴族院への転移陣を使うためアウブ・エーレンフェストが城を離れられず、冬の社交界の始まりでローゼマインの成人側近も城に集まっているこの時を狙った」とあることから襲撃目標が神殿であったことが濃厚。またバルトルトがその計画の一部を聞かされた理由が「礎を奪い終えてゲオルギーネが新しいアウブとなった後で貴族院を統率する」ためともあるので、礎を奪うことと一体な計画であったと考えられる。このとき既にアーレンスバッハの城で執務と教育を始めていたフェルディナンド視点では、ゲオルギーネは夫を亡くした悲しみに伏して離宮に閉じこもっていると見えていたが、密かに離宮を出立して銀の布で魔力を遮りアーレンスバッハから境界を超えてエーレンフェストに入りすぐ神殿に向かえる場所で待っていた可能性がある。
- 聖典の鍵のすり替え時に毒殺や誘拐などを看破・阻止され、ローゼマインの周囲が明らかに警戒していることが見て取れたことで旧ヴェローニカ派が危機に瀕していることを察し、ローゼマインの今までの動向を見てきたマティアスとラウレンツが、自分が名を捧げて仕えたい主としてローゼマインを選び、計画の存在をローゼマインに伝えて粛清が前倒しされた。ゲオルギーネに名捧げしていたエーレンフェスト貴族は処刑されるか自爆し、計画は失敗した。なお、聖典の毒は遅効性であり、作中描写やフラウレルムの言動から数ヶ月以上の時間が経過しなければ死なないため、この襲撃計画においてはほぼ意味のない毒殺計画であり、アウブになってからの方が殺害する機会にも恵まれたであろうことからなぜこのようなことを実行したのかは不明。
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最終更新:2023年02月08日 21:29