バレンタイン2018 ~繁栄のチョコレートガーデンズ・オブ・バレンタイン~ 編集

No.718
邪悪教典 From 新宿のアーチャー
illust. 都島。
解説 新宿のアーチャーからの贈りもの。

悪に支配されるのではない。
悪を支配するのだ。

それでこそ、善良なる者の営みを守ることができる。
そして私は、そういうものであろうとする君を
信じているのだ。

……まあ、悪に走りたくなったら遠慮なく
申し出たまえ! 月々たったの300QPの
ご奉仕価格で指導を承ろう!

No.719
セーブ・ワイヤー From エミヤ〔オルタ〕
illust. 佐々木みどり
解説 エミヤ〔オルタ〕からの贈りもの。

―――上りたくなったらいつでも言え。
遠慮も呵責もなく、引っ張り上げてやる。

白鳥のような優雅さはなくとも、
その無様な必死さは何より人間らしいものだ。
そうだろう?

No.720
疾駆する From 新宿のアヴェンジャー
illust. 加藤たいら
解説 新宿のアヴェンジャーからの贈りもの。

ただ走りたかっただけ。
ただ、名も知れぬ草原を疾駆したかっただけ。

そしてまた、自分の上に誰が乗っていようが
どうでもいいことだ。

心地良い風を感じただろうか?
臓腑が跳ね上がりそうな感覚を味わっただろうか?
……楽しかっただろうか?

まあ、どうでもいいことなのだが。
あの強烈で痛烈な甘いだけの香りの返礼には、
なっただろう。

本当に、どうでもいいことなのだけど。
おまえの記憶に強く残ったのであれば、
それを少しだけ誇りに思う。

No.721
隕鉄扇 From 新宿のアサシン
illust. ---
解説 新宿のアサシンからの贈りもの。

叩いてよし、守ってよし、隠してよし。
何より優雅なのがいいだろう?

こいつを袖口に仕込んでおいてさ、
取り囲まれたときに袖口から飛び出した扇を
掴んではらりと広げる。

どうだい、武侠のロマンが詰まっているだろ?
まあ、ちっとばかり重いのは玉に瑕だが……。
そこらへんはほら、一緒に鍛えればいいってことさ!

No.722
マカロニグラタン From アーサー・ペンドラゴン
illust. ---
解説 アーサー・ペンドラゴンからのバレンタインのお返し。

湯気が立っている───
オーブンで焼き上げたばかりの、熱々のグラタンだ。

チーズとマカロニは出来合いだけれど、
ホワイトソースはなんと手作り。
ここに来てはじめて知る事実かもしれないが、
彼はそこそこの料理上手であるらしい。

何?

五世紀ブリテンにマカロニグラタンがあったのか?
それとも世界や聖杯による知識にレシピがあるか?

いいえ、いいえ。どちらも違う。
きっと、食べ終わる頃には教えて貰えるだろう。
異世界の聖杯戦争だとか、
例外的に引き継がれている記憶や知識だとか。

───だから、今は召し上がれ。
───出来立てのグラタンが冷めてしまう前に!

No.723
副長謹製の散薬 From 副長
illust. はよせな
解説 副長からのバレンタインのお返し。

新選組副長、土方歳三がかつて行商で売り歩いていた薬。
骨折、打ち身、捻挫や筋肉痛などに効用があるとされている。
若かりし頃、剣術修行の傍らでこの薬を背負い各地を行商していたが、新選組結成以降は売り歩くこともなくなった。
この薬はわざわざ土方がむしってきた牛革草で作ってくれたもの。ちなみに歳三謹製のものは特別苦い。

「――俺の許しもなく勝手に死ぬなんてのが通ると思うなよ」

No.724
日輪しるこ From いまをときめく茶々
illust.
解説 いまをときめく茶々からの贈り物。

醍醐の花見で振舞われたといわれる金粉をちらした甘くて美味しい豪華絢爛まろやか餡子なお汁粉。

茶々自らが拵えた珠玉の一品にして、茶々の大好物という一挙両得茶々大満足な甘味。
え? というかバレンタインなのにチョコじゃなくないって? 茶々も一緒に食べたいからノープロブレム!
バレンタインとはいえそろそろチョコに飽きた頃合いに餡子という、この茶々っとした心配りはマスターのハートにズギューンよね!

「……どうじゃ、うまいか? そうか、うまいか。ふふ……、それは本当に、――何よりじゃ」

No.725
甘い物語 From 不夜城のキャスター
illust. 佐々木みどり
解説 不夜城のキャスターからのバレンタインチョコ。

巻物風に形作られたチョコロールケーキ。
甘く優しい味が、まるで極上の物語のように
あなたを蕩けさせる。

「自身が生存している明日」だけを願い続けてきた彼女が、はじめて「それ以外の願い」を込めた贈り物―――
かもしれない。

No.726
高貴なる壺チョコ From 不夜城のアサシン
illust. 佐々木みどり
解説 不夜城のアサシンからのバレンタインチョコ。

「くっふっふー! これこそが、妾ならではの超高級
陶器と超高級ちょこれーとと超高級ふるーつを用いた
超高級ごーじゃす・ろいやる・ちょこれーとほんぢゅ、
ふぉんじゅ……ふぉん、でゅ、じゃ! 
……………。
なんじゃそのニヤケ面は。
噛んだ? か、噛んでなどおらーん! どうやら妾の手でじきじきに仕置きされたいようじゃな!」

No.727
トゲの生えたチョコ塊 From エルドラドのバーサーカー
illust. 青味ドリ
解説 エルドラドのバーサーカーからのバレンタインチョコ。

硬い! 痛い! 美味しい! と三拍子揃った鉄球型チョコレート。

女王の気遣いにより、これは戦士が陥るかもしれない
あらゆる窮地に対応できるよう作られている。

たとえば、魔獣の徘徊する無人島に取り残されたとき。
古今東西の達人が激突する闘技場に放り込まれたとき。
憎きギリシャ英雄が突然目の前に現れたとき。

いかなる想定外の事態に陥ろうとも、このカロリーと
破壊力は過不足なく君を救ってくれるだろう。
ちなみにピンクの部分はストロベリー味らしい。

No.728
スタンディング・ボイルドエッグ From レジスタンスのライダー
illust. 瓶すけ
解説 レジスタンスのライダーからのお返し。

整然と並んだゆで卵。
どれ一つ、底が潰れたりはしていない。
要したのはただ「諦めない事」。

君も含めて、彼に会ったものは一度はこう問う。
「あの卵のエピソードは本当なのか」と。
「潰して立てて何の意味があるんだよ?」と
普段なら呆れ顔で笑い飛ばすだけの彼が、
チョコレートのお返しとして、
特別にもっと具体的な否定の形を示してくれた。

大事なのは卵ではなく、
この光景に込められた彼の信念。
彼の信じる真理が確かに存在するという証拠。

どれだけ時間がかかっても。
何度失敗しても。
諦めずに努力し続けてさえいれば、
いつか必ず、夢は叶うものなのだと。

No.729
メルティ・ハート From メルトリリス
illust. はよせな
解説 メルトリリスからのバレンタインチョコ。

きらきらと水晶のように輝くチョコ。
硬いチョコ岩盤を切り裂いて作ったもの。
深夜の厨房では
「いくわよ、いくわよ、いくわよ……!」
妙に興奮した体でチョコ岩盤に踵を振るう
メルトリリスの姿があったとか。

口にいれるととても冷たく、
注意して噛まないと口の中を傷つける。
チョコの中の蜂蜜は身も心も溶かすメルトの毒だと
言うが、果たして―――?

No.730
殺生院特上おはぎ From 殺生院キアラ
illust. たわわ実
解説 殺生院キアラからのバレンタインチョコ。

高級和菓子おはぎ。なぜか神々しい。
億劫、ズボラな女に料理の覚えなどある筈もないが、
いざ行えば万事人並み以上の才を発揮するのが
魔性菩薩。その味は天上の甘露もかくや。

ひとたび口にすれば舌はかわき目はとろけ、
旨味に翻弄された心は荒波の中の小舟のように。
一つ目で終われば人の道へ。
二つ目に手を伸ばせば、さて―――

落ち行く先はバレンタイン。
和菓子となるのは果たして何か。

No.731
Pプリン・ア・ラ・モード From パッションリップ
illust. はよせな
解説 パッションリップからのバレンタインチョコ。

パッションプリン・ア・ラ・モード。
タマモキャットに相談し、一緒に準備した
スイーツメニュー。
リップは小さなキューブ状のサイコロチョコをいくつも作って皿に載せ、その他いろいろとキャットが盛りつけた。さくらんぼがアクセント。

リップにとってはマスターにチョコを渡す事も一大イベントなのだけど、友人と一緒にキッチンに立った事も、忘れられない大切なイベントになったのだった。

No.732
スイートデビルスロット From BB
illust. ---
解説 BBからのバレンタインチョコ。

BBスロットを10㎝ほどのチョコにしたもの。
チョコだがスロットは回る。
スロットのマークは「犬」「虫」「牛」の三種類。
不思議なBBパワーでプロテクトがかかっており、
一度スロットを回さないと食べられない仕様。

スロットを回した結果がどうなるかは、
まさに悪魔のみぞ知る。

No.733
プレミアム・スナック From 鈴鹿御前
illust. 秋田犬
解説 鈴鹿御前からのバレンタインチョコ。

いわゆる「地方限定お菓子」。
誰が、どの時代で作ったものかは定かではない。
気楽に食べられるが特別品でもある、という
鈴鹿の気配りが光る。

「一緒にポッキーゲームもできるっしょ!」

No.734
緋色の研究 From シャーロック・ホームズ
illust. M・S
解説 シャーロック・ホームズからのバレンタインのお返し。

是は我が起源ではない。
けれど、すべては此処から始まったとも言えるだろう。


いや、失礼。
私の活躍を小説として記した一連のシリーズにおける、
記念すべき最初の一冊だ。

英語版初版本。
読む時は、慎重にやりたまえ。壊さないようにね。

ジョン・H・ワトソンによる記録なのか───
またはサー・アーサー・コナン・ドイルの創作か。
或いはそのどちらでもあるのか。
それはまあ、想像にお任せしよう。

内容については……
私が過去に現実として“体験”した事件と
すべて同じとまでは言わないが、
概ねここで描かれたような出来事があったとも。
ちなみに、出版には適さない事実や描写などは
事前に削っている。私がね。

ん?

ああ、そうだよその通り。
“修正前の原稿”も世界の何処かにあるはずさ!

No.735
大好きなパンケーキ From ポール・バニヤン
illust. wogura
解説 ポール・バニヤンからのバレンタインの贈り物。

整地された大地のように平らなパンケーキの
上にそびえ立つ華やかなトッピングは、新世界を
征服した開拓者たちの繁栄を象徴するかのようだ。

言うまでもなく勝利の味は格別なのだ。

No.736
美しすぎる皇帝チョコ From ネロ(キャスター)
illust. 佐々木みどり
解説 ネロ(キャスター)からのバレンタインチョコ。

水辺の黄金劇場、そのビーナス像をモチーフにした
味もデザインも凝りに凝った逸品。
なぜビーナスで翼なのか? それはネロ本人にも
分からない。ビビッときたらしい。

「うむ。はじめは可愛いマスコットを作るつもり
 だったのだが、気がついたらこうなっていた! 
 余と思って愛でるがよい!」

No.737
イシュタル凱旋門おこし From イシュタル(ライダー)
illust. 青味ドリ
解説 イシュタル(ライダー)からのバレンタインチョコ。
技名のようでグッド。

夏のレースの途中、立ち寄った観光地のお菓子が気に入ったらしく、そちらを参考にして作られたイシュタルからのはじめての贈りもの。
唐辛子がビリッときいたレッドおこし、
甘味がビビッときいたカラメルおこし、
クールな味わいが夏らしいミントおこし、
の三種類からなる。一緒に食べさせっこができるよう気を配られているが、はたして上手くいくのやら。

No.738
英霊スティックチョコ From エレナ・ブラヴァツキー(アーチャー)
illust. wogura
解説 エレナ・ブラヴァツキー(アーチャー)
からのバレンタインチョコ。

サーヴァントたちをデフォルメしてかたどった
スティックチョコレート。
エジソン、ニコラ・テスラ、ホームズ、エレナの順に
仲良く並んでいる。

現代っ子向けのチョコレートはこれだ!

と、カルデアのアーカイブを閲覧している時に
思い至ったようである。
エレナ曰く「今風」。

後にホームズが確認してみたところ、
20世紀後半に於ける日本、特に昭和後期あたりに
この手のモノが流行していた事が判明したが、
彼女には言わない方がいいかもしれない。
あるいは───

「つまり今風ってコトよね?」

言ったとしても、
こんな風に返されるかもしれない。

No.739
スチームエレクトリカルチョコ From フランケンシュタイン(セイバー)
illust. 一橋真
解説 フランケンシュタイン(セイバー)からの
バレンタインチョコ。

がんばりました。
がんばっただけのできだとじふしています。

だから、ちゃんとたべてくれると
とってもうれしいです。

……もしかすると、たべてくれなくても
うれしいのかもしれません。

ふらんにとって、だれかにぷれぜんとすることは、
すごくたのしくて、すごくどきどきすることなのです。

No.740
チョコミントクールバレット From アルトリアオルタ(ライダー)
illust. 秋田犬
解説 アルトリアオルタ(ライダー)からの
バレンタインチョコ。

弾丸型のアイス(チョコミント)六発。
無論、メイドは料理を嗜むものではない為、
持ちうる最大のコネクションを駆使して
最高級ブランドとコラボ、この日、この時の為に
たった一つのオーダーメイドとして作らせたという。

No.741
バーニング是非もないチョコ From 世界のノッブ
illust. 一橋真
解説 世界のノッブからのバレンタインチョコ。

信長の背後に顕現する謎骸骨がフランベされて燃えている様をあらわした謎チョコ。いまだにこの骸骨が何なのかはっきりしないが、それはまあ今回もどうでもいい。

かの髑髏チョコをさらに一歩推し進めた珠玉の一品。割とかっこいいけど欲しくはない。

「イェーイ! 皆のものバレンタインっとるかのう!!
わしこそが戦国史上最もバーニングなバレンタインの雄、そうわしじゃ! で、これがわし特製のバーニング是非もないチョコ! 賞味期限はあと10秒! 急げ、人間50年! チョコのうちを食らぶれば! 甘き浮世の如くなり! 聞いてください、そんなわしとそなたの晴れ舞台。いざ本能寺へ届け、バレンタイン・ロックンロォーーーーーゥル!」

――あ、溶けた。

No.742
極上生チョコタルト From 源頼光(ランサー)
illust. ベップミツナカ
解説 源頼光(ランサー)からのバレンタインチョコ。

手作りの生チョコレートタルト。
上品な盛り付けで、高級そうなお皿の上に載っている。

彼女はよくお菓子を作る。
今までのバーサーカーの霊基では、
なんとはなしに和菓子ばかりを作っていたそうだが、
カルデアの風紀委員と化したランサーの霊基では
洋菓子を作りたくなったとの由。

「ふふ。影の風紀委員長としての、想いのかたちです」

なるほど?

なお、今回のチョコタルトは
ハート型ではないので風紀委員的にも問題ないらしい。

「ハート型はいけません。禁制です。いいですね?」

はい。

No.743
チョコレート From ニトクリス(アサシン)
illust. えいひ
解説 ニトクリス(アサシン)からのバレンタインチョコ。


お皿の上に

メジェド様たちが

立っている


タイトルに「チョコレート」と書いてあるからには
チョコレートに違いあるまいが、
しかしどうみてもただのメジェド様である。
そしてそのお皿を、
大きめのメジェド様たちが覗き込んでいる……

おいしく……
めしあがれ……

No.744
精進料理 From 宝蔵院胤舜
illust. asaro
解説 宝蔵院胤舜からの贈りもの。

胃に優しいものを中心とした精進料理。
チョコレートにもたれがちな胃を優しく
癒してくれるだろう。

成長期であれば、多少物足りないかもしれないが、
そこは腹八分目ということで。

精進料理で胃を休めたら、
再びチョコとの戦いが君を待つ。

No.745
銘菓風魔まんじゅう・改 From 加藤段蔵
illust. 佐々木みどり
解説 加藤段蔵からの贈り物。

風魔の里が総力を挙げて開発した、栄養補助食品。
従来のソレを段蔵が改良したもの。

饅頭一つで一日の栄養を全て摂るのみならず、蓄積した
疲労を拭い去り、一時的な魔力の増加さえ成すという。
新時代のビジネスマンに加えて魔術師たちもが垂涎する、驚異の忍具。

改良前の普及品にとって最大の特徴であった
独特の食感と生臭さについては───

なんと!
そのまま!

たわしを食っているような食感はそのままに、
生魚を混ぜたことによる生臭さもそのままに、
なにやら新たな後味も追加されているという。

No.746
洋風ぜんざい From アサシン・パライソ
illust. はよせな
解説 アサシン・パライソからの贈り物。

ホットチョコレートに、白玉と小豆を混ぜたもの。
ぜんざい(おしるこ)風の外観である。

彼女はその味に絶対の自信がなかったようだけれど、
これでなかなか美味なもの。
厨房常駐サーヴァントたちのお墨付きでもある。

あたたかいチョコレートで
日々の疲れをじっくりと癒やしたら───
彼女に、ぜひ、味わいの感想を言ってあげよう。
きっと喜ぶに違いない。

No.747
甘栗子ちよこれいと From アーチャー・インフェルノ
illust. ベップミツナカ
解説 アーチャー・インフェルノからの贈り物。

甘栗の中身をチョコレートでコーティングしたモノ。
結果として「皮を剥く前の甘栗」じみた
外観になっている。

……云ってしまえばそれだけなのだが、
「まるで甘栗だ」という完璧な外観に到達するために
かなりの試行回数を経ている模様。

彼女はもちろん、その事実を隠している……
なので、決して。
「がんばって作ってくれたんだね」
等と言及してはいけない。

No.748
古楓橋 From 柳生但馬守
illust. 加藤たいら
解説 柳生但馬守からのバレンタインのお返し。

───秋の紅葉によく映える、古木の楓。

現在の奈良市柳生下町に現存する、芳徳禅寺。
かつて柳生但馬守の願いを受けた沢庵和尚が建立した
柳生の菩提寺である。
北から禅寺へと登る坂は霊源坂と呼ばれ、
坂の登り口にかかる橋は古楓(もみじ)橋と呼ばれる。
これらの風景は、沢庵が選んだと云われる「柳生十景」
に数えられている。

(沢庵は生涯、柳生庄を訪れなかったとの説もある)

No.749
ナンディーチョコ(1/1スケール) From パールヴァティー
illust. 佐々木みどり
解説 パールヴァティーからのバレンタインチョコ。

―――せめて空洞にしてくれれば……。
なぜ、中身まで詰め込んでしまったのだ。

押し寄せる甘味、
雪崩のようなカカオ、カカオ、カカオ。
650万キロカロリーの暴力。
凄まじいまでの多幸感に意識が飛ぶ。
おっと、いいのが入った。
肘か。膝か。
いや拳だ。
関節だ。
自分でも何を言っているかわからない。
餓えた狼のように立ち向かえ。
空腹などなく、飽きることなどなく、
ヘビー級のチョコに次々と倒れ行くサーヴァント。
ジャガーマン、責任を取って。
メドゥーサ、がんばって。
クー・フーリン、とりあえず巻き込まれて欲しい。
エミヤ、とにかくがんばろう。
メディア先生、カロリーが減る魔術とか、
胃袋を異界にする魔術とかありませんか……!

最後の一欠片を食べたとき、
流れた涙は決して嘘ではない。

ごちそうさまでした。
とても美味しかったです。

No.750
ありきたりで悪い? From 刑部姫
illust. ベップミツナカ
解説 刑部姫からのバレンタインチョコ。

色々と、色々と、考えたのです。
一生懸命考えたのです。
心臓を撃ち抜くような殺し文句も、
蕩けるように甘い囁きも、頭を捻って考えたのです。

けれど、どうにも嘘臭くて、
ありきたりのように思われて、
他の人のチョコレートや贈り物に嫉妬して、
そうしてできあがったのがコレなのです。

そんなありきたりのチョコを、
この上なく大切に食べてくれたあなたの姿が、
この上なく大切な思い出なのです。

No.751
レシーバー From メカエリチャン
illust. 秋田犬
解説 メカエリチャンからの贈りもの。

メカエリチャンに指令を送るためのレシーバー。
メカエリチャンはチョコを食べないのでチョコは贈らないのである。
マスターの頭部を守りつつ、メカエリチャンとのリンクは絶やさないというパイロット垂涎のアイテム。

「おまえには勿体ない品ですが、いずれこれが似合う日も来るでしょう。その時のため、日頃から練習しておくように。なにを、ですって? 決まっているでしょう、カメラ映りを前提にした、格好いい命令ポーズをです!」

No.752
シートベルト From メカエリチャンⅡ号機
illust. 秋田犬
解説 メカエリチャンⅡ号機からの贈りもの。

Ⅱ号機がいつかメガフレームを手に入れた時用の
シートベルト。
こう見えて銀色に塗られたベルトは純革であり、
ズラーッと打たれているビスはパイロットの安全性を
考慮したもの。ちょっとチクチクする。

「……。想像していたより似合うのね。
 それなら私も文句はないわ。次は……そうね。
 銀色のラバースーツを用意してあげるわ」

No.753
チョコの鍵 From アビゲイル
illust. はよせな
解説 アビゲイルからのバレンタインチョコ。

チョコの鍵(出来たて)
アビゲイル・ウィリアムズ(12歳)手製のチョコレート菓子。素朴な鍵型のフォルム。湯煎後成形された本体にアーモンド、アラザン、食用銀箔、粉砂糖が装飾されている。壊れやすく温度と扱いに注意を要する。製作を補助したキャットの毛が数本混入している。
甘さ 9 香り 8 重さ 1oz 食べやすさ 8
高揚感 7 素早さ 10 可愛さ 8 苦味 4
正気度 0 耐久力 1
ダメージボーナス:+1D4
武器:心臓への甘美な苦痛 55%、ダメージ1D3
技能:鍵開け 25%、説得 40%、跳躍 65%、水泳 80%
正気度喪失:鑑賞時0/1、完食後1/1D10

No.754
ピンク・ピグレット From オケアノスのキャスター
illust.
解説 オケアノスのキャスターからのバレンタインチョコ。

―――お時間よろしいかしら、マスター?

すこしご相談を。ええ、わかっているわ。
こんな時期ですもの。
貴方がそわそわと、誰かを心待ちにしていたのは百も承知。
けれど少しばかりこの私、メディアの話につきあってくださる?

相談というのは他でもない、私の魔術工房について。ええ。
それが突然、占拠されてしまったのよ。
あの二人に―――叔母様と、メディア・リリィに!
お菓子作りに向いたキッチンに改装するのですって!
バレンタイン期間のみ開店ウィッチズ・キッチンだとか。
まったく迷惑千万な話だわ。だいたい魔女の厨房って……添加物ありと誇大広告しているようなものでしょう?

それで叔母様ときたら―――
「神話に名高き魔女たるもの、菓子作りの道具も、そして調理服だって、一級品を揃えなければね! 空を飛ぶにはまず羽繕いからだ!」
……なんてずいぶん張り切ってしまって。
菓子作りの時点で、もう魔女とか無関係で、ただの素人パティシエにすぎないって気づいてるのかしら、あの人。
私まで勧誘されかけたけれど、丁重に断ったわ。

―――え? もったいない?
それに、調理服の用意だけは私が手を貸したのでは、ですって?

……よくわかったわね。実はそうよ。白状しておくわ。
リリィはともかく……叔母様はその……。
あれでほら、何を着せても案外似合ってしまう人だから。
私もついお裁縫とミシンに熱が入ってしまって。
叔母様ご自身は「メディアにそんな家庭的な特技があったとはね……」と、若干引き気味のようだったけれど……。

ともあれ、パティシエ風のコックコートの方は、なかなか可愛らしく仕立てられた自信作よ。お菓子の出来映えまでは保証しないけれど、衣裳だけでも見てあげたらどうかしらね。
仕方ないから工房のことはしばらく忘れて、剣士の部屋にでも間借りするわ。

わざわざマスターの所に来たのは、いくつか尋ねたい事があって。
叔母様ときたら、昼夜問わず押し掛けて私を質問責めにするのよ。

神話に名高き大魔女、いわく―――
「マスターの好みのフレーバーを知りたくてさ。甘さの加減はどうだろう。ほろ苦いほうが舌に合うかな?」
「苦手な香料があれば熟知しておきたいんだ。今後の調薬のためにもね」
「よく考えると手作りのお菓子なんてダサいよな……なぁ、どう思うメディア?」
「マスターの前世が豚だとすると何種だい?」「ニホンにはトーキョー●ックスっていう交配種がいるんだよ。浪漫だね! ●ックスだぞ!」
品種とかどうでもいい。
「なぁメディア……実はバレンタインとか、マスターはとっくにトラウマでさ。笑顔でチョコを口にしたその裏で、部屋でたまらず吐いてしまう、とか耳に挟んだんだけど……悪い冗談だよなぁ? なぁ?」

……といった具合なのよ。ふぅ。
今は追い込みで手が離せないらしくて、代わりに私が来させられたの。こんな役目はリリィにやらせればいいのに。
本当に叔母様の気まぐれとお祭り好きには困ったものよね。ふふ。マスターもそう思うでしょう?
まあ、あの人も不慣れなりに努めているようだから、答えられる範囲で答えてあげてはくれないかしら?

あらいいのよ、あらたまって私にお礼なんて……え?
だ、だから!!
わ、私は、メ、メディアだ!! です!? でしょう!?
ちゃ、ちゃんと最初にそう言っただろ!? う、嘘じゃないぞ!!
まったくきみは失礼だな!!

No.755
節制と嘘とビタースイート From ミドラーシュのキャスター
illust. 青味ドリ
解説 ミドラーシュのキャスターからのバレンタインチョコ。

―――昔々、とある砂漠の国で。
高名なる僧侶さまが広められたと囁かれる
薫り香ばしき琥珀色の飲み物、それが『珈琲』。
過去には、重税からの解放を意味する自由の象徴であり、
現代に至るまでずっと、会話を陽気に咲かせ、恋を実らせる魅惑の一服でもあった。

カカオを原料とする『チョコレート』もまた
当初は飲料として嗜まれた上流階級にふさわしい高級品だった。
優れた効能が評価され、発祥のメソアメリカでは、それ自体が貨幣の役割も果たした。

で、あるならば……
精霊の目を持ち、現代でも通用する鑑定の眼力を誇る、かの女王が
ふと、深夜でも煌々と輝く雑貨商に立ち寄り、どこか懐かしいこの菓子を手に取ったのも不思議なことではない……。
―――そう。
とある商機を期待して。
意味もなく店内をうろついて、ただ暇をつぶしたり―――
困惑する店員に、思わせぶりな視線を幾度も向けてみたり―――
そういった行為もまた、まったく奇妙なエピソードではない。

※審議中
【エハド某】「むりみある」
【シュタ某】「店員マジ店員。完全スルー無表情」
【シャロ某】「おばちゃんムーブさ、放置でいいね。面白いから」

No.756
蓮花愛すは何人ぞ From 哪吒
illust. はよせな
解説 哪吒からのバレンタインチョコ。

―――とある異国の港町の中華街。
華やかな大通りからはずれた細い路地。
ひっそりとその菓子工房は在る。

店を構えるは長年連れ添った老夫婦。
それと3匹の猫。
数年前につてを頼り、親族の若夫婦が国からやってきた。
最初は大きな失敗もあった。喧嘩もした。
それでも若夫婦の働きぶりは真剣だった。
乾いた失望は、やがて暖かな期待と安堵へと変わった。

今年もまた旧正月が間近に迫った。
華人たちの祝い事には欠かせない伝統的な菓子作りで、店は多忙を極める。
そんな折にふらりと、その注文は舞い込んだ。
情人節、巧克力。じんりんちえ、ちゃおけーりー。
バレンタインデーの細工菓子をご所望らしい。
以前は腕を買われ、大きな店にも作品を卸していたが、近頃は目が弱くなり遠ざかっていた。
断りたかったが相手は旧知の依頼主で悩ましい。
ただ、情人節に蓮花とは珍しいと、ふと思った。

街の廟への参拝が店主の朝の日課だ。
手を合わせながら、昨夜、若夫婦があらたまった様子で切り出した話が胸をよぎる
子供を授かった。名付け親になってほしいと。
蓮花は子宝と安産祈願の象徴だ。
熟考の末、店主は依頼を受けることにした。

No.757
聖夜のホワイトケーキ From アルテラサンタ
illust. 佐々木みどり
解説 アルテラサンタからのバレンタインチョコ。

幼い頃、誰もが夢見たホールケーキ独り占め。
たった一度のクリスマスを忘れないよう、
アルテラサンタの旅の思い出が詰まっている。

「フォッフォッフォッ。ワシも食べたいが、ヒゲに
クリームがついてしまうからな。
我がふわふわのマスターよ。おぬしひとりで、胸いっぱいになるまで食べるといい。私にとっては、それが一番の贈りものだ」

No.758
冥界のスイートホーム From エレシュキガル
illust. ベップミツナカ
解説 エレシュキガルからのバレンタインチョコ。

エレシュキガルの「槍檻」のミニチュア版。
一番作り慣れた造形のものでトライしたあたり、
乾坤一擲、絶対に失敗できない感が伝わってくる。

カタチはたいへんよく出来ましたが、
味はまだまだというところ。

No.759
ちよこちよこ蛸かいな From 葛飾北斎
illust. 秋田犬
解説 葛飾北斎からのバレンタインチョコ。

「ちよこちよこ蛸かいな」

【材料(一人分)】
・大福(買ってきた。賞味期限に注意)
・ちよこれえと粉末(きゃっとに貰った)
・イイダコ(じるどれがくれた)

【作り方】
一.イイダコをまな板に押さえつける。
二.大福を上から「てやんでぇ!!」と
  豪快に叩きつける。
三.ちよこれえと粉末をたっぷりまぶす。
四.ちよこぺんしる(白)で大福に顔を描く。
五.適当に飾り付けて出来上がり。

「ぼなぺてい! 召し上がれィ!
 ……あれ? とと様どこ行った? ま、いいかァ」

No.760
裏切りのチョコレートたち From セミラミス
illust. 加藤たいら
解説 セミラミスからのバレンタインチョコ。

毒は入っていない、と言ったと?
ふむ、確かに言った。
しかしな、マスター。考えてもみるがいい。
貴様に毒は効かぬ、そしてサーヴァントにもこの程度の
毒は効かぬ。

で、あれば。
これは毒ではなく、貴様にしか食べられぬチョコ、
という訳だ。

……そしていずれ、食べられなくなるチョコでもある。
サーヴァントと貴様の関係みたいであろう?

何、そう悲しむでない。
それでもやはり、このチョコは美味しいのだ。
今はそれに耽溺するがいいさ。

No.761
ストレンジャー・アマンド From マシュ
illust. 秋田犬
解説 マシュからのバレンタインの贈りもの。

ホワイトチョコケーキに、
アーモンドと苺をふんだんに使ったもの。
華やかな見栄えとふわふわのスポンジは
前回からの成長をうかがわせる。

「と、取り分けはまだなのです。お世話になった先輩
 に、いちばんはじめに食べてほしいので……!」

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最終更新:2023年02月18日 13:30